特許第5988998号(P5988998)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5988998パワートレーンの一ベルトプーリ平面内に設けられた切換可能なプラネタリギヤを制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988998
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】パワートレーンの一ベルトプーリ平面内に設けられた切換可能なプラネタリギヤを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F02N 11/04 20060101AFI20160825BHJP
   F02N 15/02 20060101ALI20160825BHJP
   B60L 11/14 20060101ALN20160825BHJP
   F16H 61/02 20060101ALN20160825BHJP
【FI】
   F02N11/04 A
   F02N15/02 M
   !B60L11/14
   !F16H61/02
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-545043(P2013-545043)
(86)(22)【出願日】2011年12月5日
(65)【公表番号】特表2014-509504(P2014-509504A)
(43)【公表日】2014年4月17日
(86)【国際出願番号】DE2011002076
(87)【国際公開番号】WO2012083919
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月2日
(31)【優先権主張番号】102010056164.9
(32)【優先日】2010年12月24日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011009465.2
(32)【優先日】2011年1月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ディルツァー
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ライツ
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−124815(JP,A)
【文献】 特開2001−298900(JP,A)
【文献】 特表2003−530515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02N 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ(14)によりハウジングに結合されて固定可能なリングギヤ(13)と、パワートレーンの内燃機関(2)のクランク軸(8)に接続され、周方向で配置された複数のプラネタリピニオン(16)を有するキャリア(17)と、スタータジェネレータ(7)のロータ(9)と少なくとも1つの補機(18)とに回転が伝達されるように接続されるサンギヤ(15)とを有する、スタータジェネレータ(7)と内燃機関(2)との間で変速比を切り換えるプラネタリギヤ(12)と、
前記ロータ(9)から前記クランク軸(8)へのトルク方向でトルク伝達経路を遮断し、前記クランク軸(8)から前記ロータ(9)へのトルク方向でトルク伝達経路を接続する第1のフリーホイール(10)と、
前記クランク軸(8)から前記ロータ(9)へのトルク方向でトルク伝達経路を遮断し、前記ロータ(9)から前記クランク軸(8)へのトルク方向でトルク伝達経路を接続する第2のフリーホイール(11)と、
前記第1のフリーホイール(10)と前記第2のフリーホイール(11)とを選択的に切り換えるアクチュエータと、
を備える、自動車のパワートレーン(1)のベルトドライブ(3)を制御する方法であって、
前記変速比を切り換える際の前記ブレーキ(14)の操作によるショックを伴ったトルク分配を回避して、前記ブレーキ(14)の開閉を制御するために、前記ブレーキ(14)の操作ストロークと前記ブレーキ(14)を介して伝達可能なトルク間の関係を示す特性線を、前記ブレーキ(14)の操作ストロークを介して、前記ブレーキ(14)がまさにトルクの伝達を開始する、前記ブレーキ(14)の操作位置であるコンタクトポイント及び/又は摩擦係数を求めることで、設定することを特徴とする、自動車のパワートレーンのベルトドライブを制御する方法。
【請求項2】
前記特性線の設定を、前記第1のフリーホイール(10)が選択されたときに行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記特性線の設定、位置制御される前記ブレーキ(14)閉鎖している間の、前記スタータジェネレータ(7)の運転データを評価することで行う、請求項記載の方法。
【請求項4】
前記特性線の設定を、前記内燃機関のクランク軸(8)が停止しているときに行う、請求項又は記載の方法。
【請求項5】
前記特性線の設定を、前記クランク軸(8)が回転し、該クランク軸(8)により前記スタータジェネレータ(7)が駆動されているときに行う、請求項又は記載の方法。
【請求項6】
前記特性線の設定、前記補機(18)の負荷を前記スタータジェネレータ(7)の運転データの評価に際し考慮したうえで前記補機(18)としての空調用コンプレッサ(19)の運転中に行う、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記特性線の設定を、
前記スタータジェネレータ(7)が最大の負荷に切り換えられたときに、前記ブレーキ(14)位置制御して開放
前記ロータ(9)及び前記クランク軸(8)の回転数を調整し
記少なくとも1つの補機(18)の負荷考慮するとともに、運動エネルギの変化のために必要なトルク成分考慮し、
前記スタータジェネレータ(7)の運転データを評価すことで行う、請求項記載の方法。
【請求項8】
前記特性線の設定を、
前記第のフリーホイール(10)が選択されたときに、前記ブレーキ(14)を予め決められた位置まで前記特性線に基づいて異なった閉鎖速度で閉鎖し、該ブレーキ(14)がスリップしない状態に到達した後、該ブレーキ(14)を、操作ストロークの予め決められた分だけさらに閉鎖することで行う、請求項1、又は請求項1を引用する請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記スタータジェネレータ(7)の運転データは、前記ロータ(9)の回転数及び/又は該ロータ(9)に作用するトルク及び/又はこれらの勾配である、請求項3、6又は7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキによりハウジングに結合されて固定可能なリングギヤと、パワートレーンの内燃機関のクランク軸に接続され、周方向で配置された複数のプラネタリピニオンを有するキャリアと、スタータジェネレータのロータと少なくとも1つの補機とに回転が伝達されるように接続されるサンギヤとを有する、スタータジェネレータと内燃機関との間で変速比を切り換えるプラネタリギヤと、ロータからクランク軸へのトルク方向で遮断する切換可能な第1のフリーホイールと、クランク軸からロータへのトルク方向で遮断する切換可能な第2のフリーホイールと、を備える、自動車のパワートレーンのベルトドライブを制御する方法に関する。
【0002】
自動車のパワートレーン内、特に内燃機関の、トランスミッション側とは反対側のベルトプーリ平面に設けられたベルトドライブは、以前より公知である。この場合、クランク軸は、ベルトドライブを介して補機、例えばスタータジェネレータ、空調用コンプレッサ、オイルポンプ及び/又はウォータポンプ等を駆動する。ジェネレータ及びスタータモータとして使用可能ないわゆるスタータジェネレータを、そのサイズ及び出力に関して、両機能のために設計可能とするために、ドイツ連邦共和国特許出願公開第102004060991号明細書及びドイツ連邦共和国特許出願公開第102007021233号明細書では、スタータジェネレータのロータと内燃機関のクランク軸との間のトルク伝達経路に応じて異なった変速比を設定するプラネタリギヤを有するベルトドライブが提案される。したがって、例えば内燃機関の始動プロセス中、スタータジェネレータの回転数は、インパルススタート(Impulsstart)のための必要な回転インパルスを達成するために、減速される一方、ジェネレータモード中、ロータとクランク軸との間には、小さな変速比が付与されるか、あるいは変速比が付与されない。
【0003】
変速比及びトルク伝達経路の切換は、1つのアクチュエータによって実施されるか、又は複数のアクチュエータによって実施される。一方では、変速比は、リングギヤをハウジングに結合して固定するブレーキにより実現され、他方では、トルク伝達経路は、互いに逆向きの切換可能な2つのフリーホイールにより実現される。2つのフリーホイールは、相互に切り換えられている。その結果、両フリーホイールのどちらを遮断するように切り換えるかで、ロータがクランク軸をオーバーラン可能となるか、又はクランク軸がロータをオーバーラン可能となる。こうして、停止した内燃機関は、減速比で始動され、同じ変速比でスタータジェネレータのトルクアシストにより運転され得る(ブースト運転)。さらにスタータジェネレータは、ジェネレータとして、両変速比で内燃機関により駆動され得る。加えて、空調用コンプレッサとして設けられた補機が、クランク軸のオーバーラン時、スタータジェネレータにより好ましくは変速せずに駆動されることにより、内燃機関停止時の自動車の停止時空調(Standklimatisierung)が行われ得る。
【0004】
その際、変速比を切り換えるブレーキの制御は、困難であり、材料の摩耗や快適性の喪失に至りかねないジャーク状のショックを伴うトルク変化を回避するために、正確に実施されねばならない。
【0005】
それゆえ本発明の課題は、ブレーキを改良された形で切換可能な、ベルトドライブを制御する方法を提供することである。
【0006】
上記課題は、ブレーキによりハウジングに結合されて固定可能なリングギヤと、パワートレーンの内燃機関のクランク軸に接続され、周方向で配置された複数のプラネタリピニオンを有するキャリアと、スタータジェネレータのロータと少なくとも1つの補機とに回転が伝達されるように接続されるサンギヤとを有する、スタータジェネレータと内燃機関との間で変速比を切り換えるプラネタリギヤと、ロータからクランク軸へのトルク方向で遮断する切換可能な第1のフリーホイールと、クランク軸からロータへのトルク方向で遮断する切換可能な第2のフリーホイールと、を備える、自動車のパワートレーンのベルトドライブを制御する方法であって、ブレーキを介して伝達可能なトルクの特性線を、ブレーキの操作ストロークを介して適応することを特徴とする、自動車のパワートレーンのベルトドライブを制御する方法により解決される。この種の特性線の使用により、ブレーキのトルク特性は、操作ストロークを介して確定されており、本発明により継続的に適応され得る。これにより、ブレーキを操作ストロークに沿って閉鎖及び開放するアクチュエータの高信頼性の制御が可能となる。その際、特性線の形状が、例えばアルゴリズム又は経験に基づいて適当な特性データにより、かつブレーキの目下の運転特性に適合可能な単数又は複数のサポートポイントに基づいて設定可能であることが判っている。例えば特性線は、摩擦係数の適応、及びブレーキがトルクの伝達を開始するコンタクトポイント(Tastpunkt)の適応により適応可能である。この場合、特にコンタクトポイントの定期的な適合は、特に大きな利点を有している。
【0007】
本発明の思想によれば、コンタクトポイントの適応は、定期的な適応を行い得るように、スタータジェネレータの複数の、好ましくはすべての運転状態で実施可能である。好ましい方法において、特性線を、第1のフリーホイールが遮断するように切り換えられたときに実現可能である。このとき、コンタクトポイントを、スタータジェネレータの運転データを評価しながら、ブレーキの位置制御される閉鎖により求める。このことは、ブレーキの閉鎖中、トルク伝達が開始されたときに、スタータジェネレータの挙動が評価され、これによりブレーキのコンタクトポイントが検出され、適応値として記憶され、かつ次にコンタクトポイントを求めるまで特性線の適応のために使用されることを意味する。
【0008】
第1のフリーホイールが遮断するように切り換えられたとき、コンタクトポイントは、内燃機関のクランク軸の停止時、スタータジェネレータが一定の条件下でブレーキの閉鎖中に少なくともスタータジェネレータの反応によりコンタクトポイントの確定に至るまで運転されることによって、求められ得る。内燃機関が停止していて、スタータジェネレータのロータが回転し、クランク軸をオーバーランしているときには、空調用コンプレッサの運転が特に有利であることが判っている。それにもかかわらず、例えば分析された挙動により予想され得るか、あるいは属性付与されて推定され得る空調用コンプレッサの負荷と、自動車の停止時空調のこの運転状態でのスタータジェネレータに対するその影響の補償とを適当に考慮すれば、十分な精度でコンタクトポイントが特定され得る。択一的には、空調用コンプレッサの負荷の変動が認識又は判定される場合、計画されたコンタクトポイント検出は、短期的に中断又は中止されてもよい。
【0009】
さらにコンタクトポイントは、ブレーキを開放したジェネレータモード中、ブレーキが、前と同様、低速で閉鎖されることにより実現可能である。その際、スタータジェネレータは、回転数制御されて、好ましくはクランク軸の回転数を僅かに上回る目標回転数で運転され、スタータジェネレータの運転データは、コンタクトポイントを求めるために評価される。補機、特に空調用コンプレッサの負荷は、前述したように求められ、補償され得る。
【0010】
ブレーキが閉鎖されているとき、摩擦係数を、スタータジェネレータが最大の負荷に切り換えられたときのブレーキの位置制御される開放と、ロータ及びクランク軸の調整される回転数と、スタータジェネレータの運転データの評価及び場合によっては少なくとも1つの補機の負荷の考慮下での、運動エネルギの変化のために必要なトルク成分の考慮とにより求めることができる。その際、ジェネレータの負荷を最大に設定し、空調用コンプレッサの負荷を考慮し、ロータ及びクランク軸の回転数を好ましくは互いに調整することができる。その結果、運動エネルギの変化に寄与するトルク成分を求めて、補償することができる。この事情下で求められたスタータジェネレータの運転データの評価は、十分な精度で摩擦係数を求めるために援用可能である。
【0011】
例えばスタータジェネレータが回転し、空調用コンプレッサが駆動されているときのインパルススタート時には、第2のフリーホイールが遮断するように切り換えられたときに、ブレーキを閉鎖し、摩擦係数を、例えばスタータジェネレータの回転数の勾配等の運転データが監視され、特性線の目下求められたトルクとスタータジェネレータの運動方程式とに基づいて調整されることにより。その際、空調用コンプレッサの負荷を考慮してもよい。ブレーキは、スリップしていない状態に到達した後、スリップ状態を回避するために、操作ストロークの所定の分だけさらに閉鎖され得る。
【0012】
スタータジェネレータの運転データは、例えばロータの回転数及び/若しくはロータに作用するトルク並びに/又はこれらの勾配であってよい。
【0013】
本発明が、ブレーキによりハウジングに結合されて固定可能なリングギヤと、パワートレーンの内燃機関のクランク軸に接続され、周方向で配置された複数のプラネタリピニオンを有するキャリアと、スタータジェネレータのロータと少なくとも1つの補機とに回転が伝達されるように接続されるサンギヤとを有する、スタータジェネレータと内燃機関との間で変速比を切り換えるプラネタリギヤと、ロータからクランク軸へのトルク方向で遮断する切換可能な第1のフリーホイールと、クランク軸からロータへのトルク方向で遮断する切換可能な第2のフリーホイールと、を備え、上述の提案した方法によって制御されるベルトドライブを有する自動車のパワートレーンを包含することは、自明である。
【0014】
本発明について、図1乃至6に示した実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ベルトドライブを備える自動車のパワートレーンの概略図である。
図2】減速されたジェネレータモードにある図1に示したベルトドライブの概略図である。
図3】変速されないジェネレータモードにある図1に示したベルトドライブの概略図である。
図4】内燃機関が停止し、停止時空調が作動しているときの図1に示したベルトドライブの概略図である。
図5】内燃機関の始動時の図1に示したベルトドライブの概略図である。
図6】内燃機関がスタータジェネレータによりアシストされているときの図1に示したベルトドライブの概略図である。
【0016】
図1は、内燃機関2、ベルトドライブ3、摩擦クラッチ4、トランスミッション5及び駆動輪6を有する自動車のパワートレーン1の概略図である。
【0017】
内燃機関2は、クランク軸8によりトランスミッション5とベルトドライブ3とを駆動する。トランスミッション5は、マニュアルトランスミッション、オートメーテッドマニュアルトランスミッション、デュアルクラッチトランスミッションその他これに類するトランスミッションとして形成されていてよい。ベルトドライブ3は、スタータジェネレータ7を含む。スタータジェネレータ7のロータ9は、回転が伝達されるように、例えば同軸的にか、又は図示しないベルトプーリ及びベルトによって、内燃機関のクランク軸8に、互いに逆向きに作用するように図示しないアクチュエータによって切り換えられるフリーホイール10,11により接続可能に設けられている。その際、第1のフリーホイール10は、クランク軸8からロータ9へのトルク伝達経路を接続し、逆方向のトルク伝達経路を遮断する一方、第2のフリーホイール11は、ロータ9からクランク軸8へのトルク伝達経路を接続し、逆方向のトルク伝達経路を遮断する。フリーホイール10,11は選択的に切り換えられる。さらに、ロータ9とクランク軸8との間には、プラネタリギヤ12が接続されている。プラネタリギヤ12のリングギヤ13は、ブレーキ14により、ハウジングに対して固定に、例えば内燃機関2のエンジンハウジング21に結合可能である。サンギヤ15は、回転が伝達されるようにロータ9に結合されている。リングギヤ13とサンギヤ15との間に噛合するプラネタリピニオン16は、キャリア17に保持されている。キャリア17は、回転が伝達されるようにクランク軸8に結合されている。
【0018】
さらにロータ9には、少なくとも1つの補機18が、回転が伝達されるように接続、例えばベルトプーリによりベルトドライブ3のベルトに接続されている。図示の実施の形態において、補機18は、空調用コンプレッサ19により形成されている。空調用コンプレッサ19は、固定の変速比でか、又は変速されずにロータ9に、回転が伝達されるように接続されている。
【0019】
クランク軸8には、回転が伝達されるように、ベルトプーリダンパ20が配設されている。ベルトプーリダンパ20は、動吸振器及び/又は減衰器として形成されていてよい。
【0020】
フリーホイール10,11及びブレーキ14を、図示しないアクチュエータ又はすべての操作機能を制御する唯一のアクチュエータにより適当に操作することにより、パワートレーン1の相応の運転状態が制御される。この場合、ブレーキ14は、プラネタリギヤ12の変速比を制御し、フリーホイール10,11は、ロータ9とクランク軸8との間のトルク伝達経路を制御する。内燃機関2及びスタータジェネレータ7の運転状態に基づいて、パワートレーン1の複数の有利な運転状態が生じる。これらの運転状態については、後続の図2乃至6において、詳細に説明する。運転状態の調節時、ブレーキ14は、プラネタリギヤ12の負荷切換機能(Lastschaltende Funktion)のために、重要な機能を果たす。プラネタリギヤ12の両変速比段間のジャーク状のショックを伴ったトルク分配を回避するために、ブレーキ14は、操作ストロークを介して、トルクを完全に伝達する状態、つまりリングギヤ13をスリップなしにハウジングに対して固定に結合した状態から、リングギヤ13が自由に回転可能な状態まで、格納された特性線に基づいて操作される。この特性線は、操作ストロークと、ブレーキ14を介して伝達されるトルクとの間の関係を再現し、特に、ブレーキ14がまさにトルクの伝達を開始する操作位置であるコンタクトポイントを求めることにより適応可能である。以下に、運転状態に基づいて実施される有利なコンタクトポイント適応について説明する。
【0021】
図2は、ブレーキ14が閉鎖され、第1のフリーホイール10が接続されているジェネレータモードにあるベルトドライブ3を示している。回転するクランク軸8は、トルクをキャリア17に伝達する。ハウジングに対して固定に制動されたリングギヤ13は、例えば3:1の変換比で回転数を変換する、プラネタリピニオン16及びサンギヤ15を介したトルク伝達経路を形成する。これにより、特にクランク軸8の回転数が小さいときでも、ロータ9のより高い回転数、ひいてはスタータジェネレータ7のより高い効率が達成される。
【0022】
この運転状態から出発して、摩擦係数適応は、以下の方法ステップにしたがって実施される。
‐高いエネルギ入力を回避するために、場合によってはスタータジェネレータの回転数制御を伴う、スタータジェネレータの負荷の高乃至最大の設定、
‐ブレーキ14の、操作ストロークを介して位置制御される開放、
‐ロータ9及びクランク軸8の回転数の連結の調整、
‐空調コンプレッサの負荷及び運動エネルギの変化によるトルク成分の考慮下での、ブレーキ14の開放中のトルクの相応の反応時の摩擦係数の検出を伴う、スタータジェネレータのトルクの評価。
【0023】
図3は、ブレーキ14が開放され、第1のフリーホイール10が接続されているジェネレータモードにあるベルトドライブ3を示している。自由回転するリングギヤ13は、クランク軸8から第1のフリーホイール10を介してロータ9に至る、1:1の比での無変換のトルクの伝達を形成する。
【0024】
この運転状態から出発して、コンタクトポイント適応は、以下の方法ステップにしたがって実施される。
‐クランク軸8の回転数を僅かに上回るロータ9の好ましい目標回転数を有する回転数制御でのスタータジェネレータの運転、
‐ブレーキ14の、操作ストロークを介して位置制御される閉鎖、
‐スタータジェネレータのトルク及び/又はロータ9の回転数の評価、並びに空調用コンプレッサの負荷の考慮下での、ブレーキ14を介したトルクの伝達開始時のトルクの相応の反応時のコンタクトポイントの検出。
【0025】
図4は、内燃機関が停止してクランク軸8が停止しており、かつブレーキ14が開放され、第1のフリーホイール10が接続されているベルトドライブ3を示している。スタータジェネレータは、自動車の停止状態での空調(Stillstandsklimatisierung)のために空調用コンプレッサ19(図1)を駆動するために運転され、ロータ9は、クランク軸8をオーバーランする。
【0026】
この運転状態から出発して、コンタクトポイント適応は、以下の方法ステップにしたがって実施される。
‐ブレーキ4の、操作ストロークを介して位置制御される閉鎖、
‐スタータジェネレータのトルク及び/又はロータ9の回転数の評価、並びに空調用コンプレッサの負荷の考慮下での、ブレーキ14を介して伝達されるトルクの結果としての、ベルトドライブ3の相応の反応時のコンタクトポイントの検出。
【0027】
停止状態での空調がオフであるときは、前述の方法ステップとは異なり、スタータジェネレータも停止している。この運転状態でコンタクトポイントの適応を実施するために、前述の方法ステップに代えて、以下の方法ステップが実施される。
‐ブレーキ14の場合によっては開放を伴った、ジェネレータモードへの切換、
‐スタータジェネレータの、例えば300 1/minへの回転数制御、
‐ブレーキ14の、操作ストロークを介して位置制御される閉鎖、
‐スタータジェネレータのトルク及び/又はロータ9の回転数の評価、並びに空調用コンプレッサの負荷の考慮下での、ブレーキ14を介したトルクの伝達開始時のトルクの相応の反応時のコンタクトポイントの検出。
【0028】
図5は、ブレーキ14が閉鎖され、第1のフリーホイール10が接続されている、スタータジェネレータによる内燃機関のインパルススタートの運転状態におけるベルトドライブ3を示している。その際、ロータ8は、クランク軸8に対して3:1の変速比のより高い回転数で回転し、ブレーキ14が閉鎖されている間は、クランク軸8を連れ回す。これにより、内燃機関は始動される。
【0029】
この運転状態から出発して、特性線の適応は、以下の方法ステップにしたがって実施される。
‐ブレーキ14の、操作ストロークを介して位置制御される閉鎖、好ましくは、平たんな特性線領域における迅速な閉鎖、記憶されたコンタクトポイントを越えた後の減速された閉鎖、
‐勾配、例えばスタータジェネレータのトルク勾配及び/又は回転数勾配の監視、空調用コンプレッサの負荷の考慮下での、操作ストロークを介した運動方程式、及び記憶された特性線からの監視された勾配からの目下の特性線、特にコンタクトポイントの作成、
‐場合によってはブレーキ14の、始動プロセスに基づいて減速された閉鎖又は操作プロセスの停止、
‐ブレーキ14のスリッププロセスの終了後のブレーキ14の閉鎖。
【0030】
図6は、ブレーキ14が開放され、第2のフリーホイール11が閉鎖されている、内燃機関をアシストするスタータジェネレータの運転状態(ブーストモード)におけるベルトドライブ3を示している。ロータ9は、変速せずにトルクをクランク軸8に伝達し、自動車の駆動時にクランク軸をアシストする。
【符号の説明】
【0031】
1 パワートレーン
2 内燃機関
3 ベルトドライブ
4 摩擦クラッチ
5 トランスミッション
6 駆動輪
7 スタータジェネレータ
8 クランク軸
9 ロータ
10 フリーホイール
11 フリーホイール
12 プラネタリギヤ
13 リングギヤ
14 ブレーキ
15 サンギヤ
16 プラネタリピニオン
17 キャリア
18 補機
19 空調用コンプレッサ
20 ベルトプーリダンパ
21 エンジンハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6