特許第5989029号(P5989029)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989029
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20160825BHJP
   B65H 3/44 20060101ALI20160825BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B65H3/06 350A
   B65H3/44 Z
   B65H3/52 Z
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-100804(P2014-100804)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-218006(P2015-218006A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2016年3月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】望月 将行
【審査官】 松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−027806(JP,A)
【文献】 特開2007−230666(JP,A)
【文献】 特開2003−176045(JP,A)
【文献】 特開平02−182636(JP,A)
【文献】 特開2011−195276(JP,A)
【文献】 特開2009−018921(JP,A)
【文献】 特開2010−006528(JP,A)
【文献】 特開2001−139169(JP,A)
【文献】 特開2010−211119(JP,A)
【文献】 特開2013−28434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00− 3/68
B65H 7/00− 7/20
B65H 43/00−43/08
B41J 2/01
B41J 2/165−2/215
B41J 2/015−2/205
B41J 11/00−11/70
B41J 13/00−13/32
B41J 15/00−15/24
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートの搬送路において前記記録シートを検出するセンサーと、
前記搬送路へ向けて前記記録シートを送り出すシート供給装置と、
前記記録シートに画像を形成する画像形成部と、
前記搬送路において、前記センサーが前記記録シートを検出したタイミングに応じて前記画像形成部に前記記録シートを搬送するタイミングを調整するレジストローラーと、
前記シート供給装置を制御する制御部と、を備え、
前記シート供給装置は、
それぞれ複数の記録シートを重ねて載置可能な複数のシート受部と、
前記シート受部ごとに設けられ、前記記録シートに押し付けられて回転することにより前記記録シートを前記シート受部から送り出すピックアップローラー、前記ピックアップローラーから送られてくる前記記録シートを、外周面が弾性部材で形成されたリタードローラーとの間に挟みつつ前記搬送路へ向けてさらに送り出すシート供給ローラー、回転可能に支持され前記ピックアップローラーに係合するピックアップ係合回転体、前記ピックアップ係合回転体に対しその回転方向において遊びを有して係合する連結機構および入力される制御信号に従って駆動部から前記連結機構へ動力を伝達する状態とその伝達を解除した状態とに選択的に切り替わる供給クラッチをそれぞれ有し、前記シート受部から前記搬送路へ向けて前記記録シートを送り出す複数のシート送出部と、を備え、
前記連結機構は、前記供給クラッチから作用する動力を、前記シート供給ローラーおよび前記ピックアップ係合回転体に伝達し、
前記制御部は、前記供給クラッチ各々に対し、前記記録シート1枚ごとの供給開始イベントの発生を基準にしたタイミングで前記制御信号を出力することにより、前記シート送出部各々に前記記録シートを前記シート受部から送出するシート供給動作を実行させ、
予め定められた選択ルールに従って前記シート供給動作の対象とする前記シート送出部を自動的に選択しつつ複数の前記記録シートを連続して送り出すオートチェンジ制御が行われる場合に、前記制御部は、前記供給クラッチ各々に前記シート供給動作を実行させる際に、選択された前記シート送出部から1枚目の前記記録シートを送出するときの前記制御信号の出力タイミングを、それに連続して同じ前記シート送出部から2枚目以降の前記記録シートを送出するときの前記制御信号の出力タイミングよりも、前記連結機構における前記ピックアップ係合回転体に係合する部分が前記遊びの分を回転するのに要する時間だけ遅らせる遅延制御を実行する、画像形成装置
【請求項2】
前記供給開始イベントが、前記レジストローラーを動作させる信号がアクティブになったことである、請求項1に記載の画像形成装置
【請求項3】
記録シートの搬送路において前記記録シートを検出するセンサーと、
前記搬送路へ受けて前記記録シートを送り出すシート供給装置と、
前記記録シートに画像を形成する画像形成部と、
前記搬送路において、前記センサーが前記記録シートを検出したタイミングに応じて前記画像形成部に前記記録シートを搬送するタイミングを調整するレジストローラーと、を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記シート供給装置は、
それぞれ複数の記録シートを重ねて載置可能な複数のシート受部と、
前記シート受部ごとに設けられ、前記記録シートに押し付けられて回転することにより前記記録シートを前記シート受部から送り出すピックアップローラー、前記ピックアップローラーから送られてくる前記記録シートを、外周面が弾性部材で形成されたリタードローラーとの間に挟みつつ前記搬送路へ向けてさらに送り出すシート供給ローラー、回転可能に支持され前記ピックアップローラーに係合するピックアップ係合回転体、前記ピックアップ係合回転体に対しその回転方向において遊びを有して係合する連結機構および入力される制御信号に従って駆動部から前記連結機構へ動力を伝達する状態とその伝達を解除した状態とに選択的に切り替わる供給クラッチをそれぞれ有し、前記シート受部から前記搬送路へ向けて前記記録シートを送り出す複数のシート送出部と、を備え、
前記連結機構は、前記供給クラッチから作用する動力を、前記シート供給ローラーおよび前記ピックアップ係合回転体に伝達し、
前記制御方法は、
前記供給クラッチ各々に対し、前記記録シート1枚ごとの供給開始イベントの発生を基準にしたタイミングで前記制御信号を出力することにより、前記シート送出部各々に前記記録シートを前記シート受部から送出するシート供給動作を実行させる制御工程を有し、
予め定められた選択ルールに従って前記シート供給動作の対象とする前記シート送出部を自動的に選択しつつ複数の前記記録シートを連続して送り出すオートチェンジ制御が行われる場合の前記制御工程は、
前記シート送出部にこれから実行させる前記シート供給動作が、当該シート送出部の一連の動作にける1枚目の前記記録シートを送り出す動作であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記シート供給動作が1枚目の前記記録シートの送出動作であると判定されたときの前記制御信号の出力タイミングを、前記判定工程において前記シート供給動作が2枚目以降の前記記録シートの送出動作であると判定されたときの前記制御信号の出力タイミングよりも、前記連結機構における前記ピックアップ係合回転体に係合する部分が前記遊びの分を回転するのに要する時間だけ遅らせる遅延制御工程と、を含む、画像形成装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置は、シートカセット(給紙カセット)または手差しトレイなどのシート受部から記録シートを搬送路へ向けて送り出すシート送出部およびそれを制御する制御部を含むシート供給装置を備えている。前記シート送出部は、前記記録シートに押し付けられて回転することによって前記記録シートを前記シート受部から送り出すピックアップローラーを備える。
【0003】
また、前記搬送路には、前記記録シートを検出するシート検出センサーが設けられていることが多い。画像形成部への前記記録シートの搬送のタイミングは、前記シート検出センサーの検出タイミングに応じて制御される。
【0004】
また、前記画像形成装置が複数の前記シート送出部を備える場合に、オートチェンジ制御が行われることが知られている(例えば、特許文献1参照)。前記オートチェンジ制御は、予め定められた選択ルールに従ってシート供給動作の対象とする前記シート送出部を自動的に選択しつつ複数の前記記録シートを連続して送り出すための制御である。
【0005】
また、前記記録シートの搬送時間の実績値に応じて前記記録シートの搬送間隔を調整することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−248709号公報
【特許文献2】特開2013−130772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記シート供給装置において、駆動部の動力を前記ピックアップローラーに伝達する機構が、前記ピックアップローラーの回転方向において遊びを有していることが考えられる。そのような場合に、前記制御部が、前記記録シート1枚ごとの供給開始イベントの発生を基準にして一定のタイミングで前記記録シートの供給を開始させることが考えられる。
【0008】
上記の場合、前記遊びに起因して、前記記録シートが前記シート受部から前記シート検出センサーに至るまでの時間にばらつきが生じ得る。そうすると、短い時間間隔で前記記録シートの連続供給が行われる場合に、前記記録シートが、前記シート検出センサーの検出可能な時間間隔より短い時間間隔で前記シート検出センサーの位置に到達するおそれがある。
【0009】
また、例えば前記遊びに起因する前記ばらつきが特定の条件下でのみ生じる場合、前記記録シートの搬送時間の実績値に応じて前記記録シートの搬送間隔が調整されても、前記ばらつきの発生を防止できない。
【0010】
本発明の目的は、駆動部の動力をピックアップローラーに伝達する機構が回転方向の遊びを有する場合に、記録シートがシート検出センサーに到達する時間のばらつきの発生を防止しつつ極力短い時間間隔で記録シートを連続供給できるシート供給装置、それを備える画像形成装置およびシート供給装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一の局面に係るシート供給装置は、複数のシート受部と、前記シート受部ごとに設けられた複数のシート送出部と、制御部とを備える。前記シート受部各々は、それぞれ複数の記録シートを重ねて載置可能である。前記シート送出部各々は、ピックアップローラーと、ピックアップ係合回転体と、連結機構と、供給クラッチとを有する。前記ピックアップローラーは、前記記録シートに押し付けられて回転することにより前記記録シートを前記シート受部から送り出す。前記ピックアップ係合回転体は、回転可能に支持され前記ピックアップローラーに係合する。前記連結機構は、前記ピックアップ係合回転体に対しその回転方向において遊びを有して係合する。前記供給クラッチは、入力される制御信号に従って駆動部から前記連結機構へ動力を伝達する状態とその伝達を解除した状態とに選択的に切り替わる。前記制御部は、前記供給クラッチ各々に対し、前記記録シート1枚ごとの供給開始イベントの発生を基準にしたタイミングで前記制御信号を出力することにより、前記シート送出部各々に前記記録シートを前記シート受部から送出するシート供給動作を実行させる。前記制御部は、前記シート送出部に前記シート供給動作を実行させる際に、当該シート供給動作が他の前記シート送出部の前記シート供給動作に連続した動作である場合に、前記シート送出部から1枚目の前記記録シートを送出するときの前記制御信号の出力タイミングを、それに連続して同じ前記シート送出部から2枚目以降の前記記録シートを送出するときの前記制御信号の出力タイミングよりも遅らせる遅延制御を実行する。
【0012】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、本発明の一の局面に係る前記シート供給装置と、前記シート供給装置の前記シート送出部から供給される前記記録シートに画像を形成する画像形成部とを備える。
【0013】
本発明の他の局面に係るシート供給装置の制御方法は、複数の前記シート受部と、前記シート受部ごとに設けられた複数の前記シート送出部とを備えるシート供給装置の制御方法である。本制御方法は、前記供給クラッチ各々に対し、前記記録シート1枚ごとの供給開始イベントの発生を基準にしたタイミングで前記制御信号を出力することにより、前記シート送出部各々に前記記録シートを前記シート受部から送出するシート供給動作を制御部が実行させる制御工程を有する。前記制御工程は、判定工程と遅延制御工程とを含む。前記判定工程は、前記シート送出部に前記シート供給動作を実行させる際に、当該シート供給動作が他の前記シート送出部の前記シート供給動作に連続した連続切替供給動作であるか否かを判定する工程である。前記遅延制御工程は、前記判定工程の結果が前記連続切替供給動作である場合に、前記シート送出部から1枚目の前記記録シートを送出するときの前記制御信号の出力タイミングを、それに連続して同じ前記シート送出部から2枚目以降の前記記録シートを送出するときの前記制御信号の出力タイミングよりも遅らせる遅延制御工程と、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、駆動部の動力をピックアップローラーに伝達する機構が回転方向の遊びを有する場合に、記録シートがシート検出センサーに到達する時間のばらつきの発生を防止しつつ極力短い時間間隔で記録シートを連続供給できるシート供給装置、それを備える画像形成装置およびシート供給装置の制御方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置におけるシート供給制御の関連機器のブロック図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置が備えるピックアップユニットの第1の底面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置が備えるピックアップユニットの第2の底面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る画像形成装置が備えるピックアップユニットの第3の底面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置が備えるピックアップユニットの第4の底面図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る画像形成装置が備えるピックアップユニットの第5の底面図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置が備えるピックアップユニットの第6の底面図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る画像形成装置が備えるピックアップユニットの第7の底面図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の制御部が実行するシート供給制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格を有さない。
【0017】
[画像形成装置10の概略構成]
本発明の実施形態に係る前記画像形成装置10は、電子写真方式の画像形成装置である。図1が示すように、前記画像形成装置10は、複数のシート供給部2、シート搬送部3、画像形成部4、光走査部5、定着部6、シート検出センサー801および制御部8などを備える。
【0018】
前記画像形成装置10は、原稿90から画像を読み取る原稿搬送読取部1および操作表示部80を備える複合機である。本発明に係る画像形成装置の他の例として、プリンター、コピー機またはファクシミリーなども考えられる。
【0019】
前記原稿搬送読取部1は、画像読取部11およびADF(Auto Document Feeder)12を備えている。前記画像読取部11は、原稿台111、読取ユニット112、ミラーおよびレンズなどの光学系113及びCCD(Charge Coupled Device)114などを備える。
【0020】
前記原稿台111は、前記画像読取部11の上面に設けられた原稿が載置される部分である。前記読取ユニット112は、前記原稿台111上の読取位置にある前記原稿90に光を照射し、その反射光を前記光学系113へ向けて反射する。前記読取ユニット112は、副走査方向(図に向かって左右の方向)に移動可能である。前記光学系113は、前記原稿90からの反射光を前記CCD114へ導く。前記CCD114は、受光量に応じた電気信号を前記原稿90の画像データとして前記制御部8へ出力する光電変換素子などを有する。
【0021】
前記ADF12は、複数の搬送ローラー122各々を駆動させることにより、原稿載置部121にセットされた前記原稿90を前記画像読取部11による画像の読取位置を通過させて排紙トレイ123まで搬送する。
【0022】
前記シート供給部2各々は、シート受部21およびシート送出部22を備えている。前記シート送出部22各々は、前記シート受部21ごとに設けられている。前記画像形成装置10における複数の前記シート供給部2および前記制御部8の部分は、本発明の実施形態に係るシート供給装置である。
【0023】
図1,2は、前記画像形成装置10が3つの前記シート供給部2を備える例を示す。しかしながら、前記画像形成装置10が2つまたは4つ以上の前記シート供給部2を備えることも考えられる。
【0024】
前記シート受部21各々は、複数の記録シート9を重ねて載置可能に構成されている。前記記録シート9は、紙、コート紙、ハガキ、封筒、およびOHPシートなどのシート状の画像形成媒体である。
【0025】
前記シート送出部22各々は、ピックアップローラー221、シート供給ローラー222およびリタードローラー223を備える。前記ピックアップローラー221および前記シート供給ローラー222は、それらを支持する可動支持部2200とともにピックアップユニット220を構成している。前記シート送出部22各々は、供給クラッチ20、連結機構23およびピックアップ係合回転体24をさらに備えている。
【0026】
前記ピックアップローラー221は、前記シート受部21に載置された前記記録シート9に押し付けられて回転する。これにより、前記シート送出部ピックアップローラー221は、前記記録シート9を前記シート受部21から前記シート供給ローラー222および前記リタードローラー223の間へ送り出す。前記ピックアップローラー221は、前記可動支持部2200が前記シート受部21側へ回動することにより、前記記録シート9に押し付けられる。
【0027】
また、回転する前記シート供給ローラー222が、前記ピックアップローラー221から送られてくる前記記録シート9を前記リタードローラー223との間に挟みつつ前記搬送路30へ向けてさらに送り出す。前記リタードローラー223は、前記記録シート9の重送を防止する。前記ピックアップローラー221、前記シート供給ローラー222および前記リタードローラー223の各々は、それぞれ外周面がエラストマーまたはゴムなどの弾性部材で形成されている。
【0028】
図1が示す例において、3つの前記シート供給部2のうち、第1シート供給部2aおよび第2シート供給部2bは、前記画像形成装置10の筐体100(本体)に対して取り外し可能に装着されたカセット式の前記シート受部21を備えている。残りの第3シート供給部2cは、前記画像形成装置10の筐体100(本体)に対して折り畳み可能な手差しトレイを成す前記シート受部21を備えている。
【0029】
なお、図2において、前記第1シート供給部2a、前記第2シート供給部2bおよび前記第3シート供給部2c各々に対応する前記供給クラッチ20が、それぞれ第1供給クラッチ20a、第2供給クラッチ20bおよび第3供給クラッチ20cとして示されている。
【0030】
前記供給クラッチ20各々は、入力される制御信号に従って、モーターによって駆動されるギアなどの駆動部から前記連結機構23に対して動力を伝達する状態である接続状態とその伝達を解除した状態である解除状態とに選択的に切り替わるクラッチである。なお、前記連結機構23および前記ピックアップ係合回転体24の詳細については後述する。
【0031】
前記シート搬送部3は、レジストローラー31、搬送ローラー32および排出ローラー33などを備える。前記レジストローラー31および前記搬送ローラー32が、前記シート供給部2から供給される前記記録シート9を前記画像形成部4へ向けて搬送する。さらに、前記排出ローラー33が画像形成後の前記記録シート9を前記搬送路30の排出口から排出トレイ101上へ排出する。
【0032】
前記記録シート9を検出する前記シート検出センサー801は、前記搬送路30に設けられている。より具体的には、前記シート検出センサー801は、前記レジストローラー31の位置に対し前記記録シート9の搬送方向の上流側の位置に設けられている。前記シート検出センサー801は、前記シート供給部2各々から供給される前記記録シート9が前記搬送路30における前記レジストローラー31の手前の位置に到達したことを検出する。
【0033】
また、前記制御部8は、前記シート検出センサー801が前記記録シート9を検出したタイミングに応じて前記レジストローラー31の停止および回転を制御する。これにより、前記画像形成部4への前記記録シート9の搬送のタイミングが調節される。
【0034】
前記画像形成部4は、前記シート送出部22から供給されて前記搬送路30を移動中の前記記録シート9の表面に画像を形成する。前記画像形成部4は、ドラム状の感光体41、帯電部42、現像部43、転写部45およびクリーニング部47などを備える。なお、前記感光体41は像担持体の一例である。
【0035】
前記感光体41が回転し、前記帯電部42が前記感光体41の表面を一様に帯電させる。さらに、前記光走査部5がレーザー光を走査することにより帯電した前記感光体41の表面に静電潜像を書き込み、前記現像部43が前記感光体41にトナーを供給することにより、前記静電潜像をトナー像へ現像する。なお、前記トナーは、トナーコンテナ40から前記現像部へ供給される。
【0036】
さらに、前記転写部45が、前記感光体41の前記トナー像を前記搬送路30を移動中の前記記録シート9に転写する。最後に、前記クリーニング部47が前記感光体41表面に残存する前記トナーを除去する。
【0037】
前記定着部6は、ハロゲンヒーターなどのヒーターを内包する定着ローラー61と加圧ローラー62との間に前記トナー像が形成された前記記録シート9を挟み込み、後工程へ送り出す。これにより、前記定着部6は、前記記録シート9上の前記トナー像(画像)を加熱し、前記記録シート9上に画像を定着させる。
【0038】
前記制御部8は、前記操作表示部80に操作メニューなどを表示させる。さらに、前記制御部8は、前記操作表示部80を通じて入力される入力情報および前記シート検出センサー801を含む各種センサーの検出結果に基づいて、前記供給クラッチ20を含む各種の電気機器を制御する。例えば、図2が示すように、前記制御部8は、MPU(Micro Processor Unit)81、メモリー82および信号インターフェイス83を備えている。
【0039】
前記MPU81は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記メモリー82は、前記MPU81に各種の処理を実行させるための制御プログラムPr1,Pr2,Pr3,Pr4,Pr5などの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。さらに、前記メモリー82は、前記MPU81による各種情報の読み書きが可能な記憶部でもある。
【0040】
前記制御部8は、前記MPU81が前記メモリー82に予め記憶された各種の制御プログラムPr1,Pr2,Pr3,Pr4,Pr5を実行することにより前記画像形成装置10を統括的に制御する。
【0041】
前記信号インターフェイス83は、前記MPU81とセンサーおよび制御対象機器との間の信号の受け渡しを中継するインターフェイス回路である。前記MPU81は、前記信号インターフェイス83を介して前記シート検出センサー801などの各種のセンサーの検出信号(計測信号)を入力する。さらに、前記MPU81は、前記信号インターフェイス83を介して前記供給クラッチ20などの制御対象機器へ制御信号を出力する。
【0042】
[シート送出部22の詳細]
続いて、図3,4を参照しつつ、前記シート送出部22の詳細について説明する。図3,4は、それぞれ異なる状態の前記ピックアップユニット220の底面図である。
【0043】
前記ピックアップユニット220は、前記ピックアップローラー221、前記シート供給ローラー222および前記可動支持部2200に加え、前記連結機構23および前記ピックアップ係合回転体24を備える。
【0044】
前記ピックアップ係合回転体24は、前記ピックアップローラー221の回転中心線を中心として回転可能に支持された部材である。前記ピックアップ係合回転体24は、前記連結機構23および前記ピックアップローラー221の各々に係合可能である。前記連結機構23は、前記供給クラッチ20から作用する動力を前記シート供給ローラー222と前記ピックアップ係合回転体24とに伝達する機構である。なお、図3,4において、前記供給クラッチ20が仮想線(2点鎖線)で描かれている。
【0045】
前記供給クラッチ20は、不図示の前記駆動部から前記シート供給ローラー222の回転軸2221へ動力を伝達する状態とその伝達を解除した状態とに選択的に切り替わるクラッチである。
【0046】
前記連結機構23は、ワンウェイクラッチ230、第1ギア231、第2ギア232および第3ギア233を含む。前記ワンウェイクラッチ230および前記第1ギア231は、前記シート供給ローラー222の回転軸2221に設けられている。前記第3ギア233は、前記ピックアップローラー221の回転軸2211に設けられている。前記第1ギア231が前記第2ギア232と噛み合い、前記第2ギア232が前記第3ギア233に噛み合う。
【0047】
以下、前記ピックアップローラー221および前記シート供給ローラー222が、前記記録シート9を送り出すときに回転する方向を順方向、その反対の回転方向を逆方向と称する。なお、各図に直線矢印で示される方向R1は、前記記録シート9の進行方向である。
【0048】
前記供給クラッチ20が前記接続状態になると、前記ワンウェイクラッチ230および前記第1ギア231が前記順方向へ回転する。さらに、前記ワンウェイクラッチ230に連動して前記シート供給ローラー222も順方向へ回転する。さらに、前記第1ギア231に前記第2ギア232が連動して回転することにより、前記第3ギア233も前記順方向へ回転する。前記第3ギア233には、前記回転軸2211の方向に延びて形成された張出部234が形成されている。
【0049】
前記張出部234における順方向への回転方向の下流側の端面は、先端側から根本側へ徐々に広がる方向へ傾斜したテーパ面2341である。
【0050】
前記ピックアップローラー221および前記ピックアップ係合回転体24は、前記回転軸2211に対して回転自在に支持されている。前記ピックアップ係合回転体24には、前記張出部234が引っ掛かる(係合する)凹部242と、その凹部242に対し反対側の第1鋸歯状ギア241とが形成されている。また、前記ピックアップローラー221には、前記第1鋸歯状ギア241と噛み合う(係合する)第2鋸歯状ギア224が形成されている。
【0051】
前記ピックアップ係合回転体24の前記凹部242における、順方向への回転方向の上流側の縁のことを上流側縁2421と称し、順方向への回転方向の下流側の縁のことを下流側縁2422と称する。
【0052】
前記ピックアップ係合回転体24の周方向における前記凹部242の幅は、前記張出部34の幅よりも十分に大きく形成されている。従って、前記第3ギア233の前記張出部234は、前記ピックアップ係合回転体24の前記凹部242に対し、回転方向において遊びを有して係合する。即ち、前記連結機構23は、前記ピックアップ係合回転体24に対しその回転方向において遊びを有して係合する。
【0053】
前記供給クラッチ20が前記連結機構23に動力(回転力)を伝達し、前記連結機構23が前記シート供給ローラー222および前記ピックアップ係合回転体24に動力を伝達し、前記ピックアップ係合回転体24が前記ピックアップローラー221に動力を伝達する。これにより、前記供給クラッチ20が前記接続状態になると、前記シート供給ローラー222および前記ピックアップローラー221が順方向へ回転する。
【0054】
図3は、前記張出部234が前記凹部242における最も前記上流側縁2421寄りに位置している状態を示し、図4は、前記張出部234が前記凹部242における最も前記下流側縁2422寄りに位置している状態を示す。
【0055】
また、前記ピックアップ係合回転体24は、前記第3ギア233と前記第2鋸歯状ギア224との間において、前記回転軸2211に沿う方向においてスライド移動可能に支持されている。図3は、前記ピックアップ係合回転体24が最も前記第3ギア233寄りに位置し、前記第1鋸歯状ギア241と前記第2鋸歯状ギア224との噛み合いが外れている状態を示す。一方、図4は、前記ピックアップ係合回転体24が最も前記第2鋸歯状ギア224寄りに位置し、前記第1鋸歯状ギア241と前記第2鋸歯状ギア224とが噛み合っている状態を示す。
【0056】
[ピックアップユニット220の動きの詳細]
次に、図5〜9を参照しつつ、前記シート供給部2が前記記録シート9を前記シート受部21から送り出すシート供給動作を行うときの前記ピックアップユニット220の動きの詳細について説明する。以下に示す現象は、従来は明確に把握されておらず、各種の実験により初めて明らかになった現象である。
【0057】
図5が示すように、前記供給クラッチ20が前記接続状態(ON状態)であるとき、前記連結機構23が前記シート供給ローラー222および前記第3ギア233に順方向への回転力を伝達する。その際、前記第3ギア233が順方向に回転することにより、前記張出部234の前記テーパ面2341が前記ピックアップ係合回転体24の前記凹部242における前記下流側縁2422に接触する。そのため、前記下流側縁2422が前記テーパ面2341を摺動し、前記ピックアップ係合回転体24が前記第2鋸歯状ギア224側へ変位する。これにより、前記第1鋸歯状ギア241と前記第2鋸歯状ギア224とが噛み合い、前記ピックアップローラー221が、前記ピックアップ係合回転体24の回転に連動して順方向へ回転する。
【0058】
即ち、前記供給クラッチ20が前記接続状態(ON状態)になると、前記連結機構23による動力の伝達により、前記シート供給ローラー222および前記ピックアップローラー221が、順方向へ回転して前記記録シート9を前記シート受部21から送出する。この動作が前記シート供給動作である。前記制御部8は、前記供給クラッチ20各々に対し、前記記録シート9の送出が必要になるごとに発生する供給開始イベントを基準にしたタイミングで前記制御信号を出力する。これにより、前記制御部8は前記シート送出部22各々にシート供給動作を実行させる。
【0059】
前記シート供給部2が前記シート供給動作を行っているとき、前記リタードローラー223の外周面を成す弾性部材は、前記記録シート9から受ける前記記録シート9の進行方向R1への引力(摩擦力)によって弾性変形している。
【0060】
前記ワンウェイクラッチ230は、前記シート供給ローラー222の逆方向への回転を制限するが、前記シート供給ローラー222の順方向への回転を制限しない。また、前記第1鋸歯状ギア241は、前記ピックアップ係合回転体24が順方向へ回転する場合に前記第2鋸歯状ギア224と噛み合うが、前記ピックアップローラー221の順方向への回転を制限しない。そのため、前記シート供給ローラー222および前記ピックアップローラー221は、常に順方向へ回転可能である。
【0061】
従って、前記供給クラッチ20が前記解除状態(OFF状態)になり、前記連結機構23が停止した状態においても、前記シート供給ローラー222および前記ピックアップローラー221は、外力が加わった場合に、順方向へのみ回転可能である。
【0062】
図6が示すように、前記供給クラッチ20が前記解除状態になり、前記シート供給動作が終了すると、前記シート搬送部3によって搬送される前記記録シート9から受ける力または惰性により、前記ピックアップローラー221および前記シート供給ローラー222は、引き続き順方向へ回転した後に停止する。そうすると、前記第2鋸歯状ギア224から前記第1鋸歯状ギア241に対し、順方向へ回転させる力および前記第3ギア233側へ変位させる力が作用する。これにより、前記第1鋸歯状ギア241および前記第2鋸歯状ギア224の噛み合いが外れるとともに、前記凹部242の前記上流側縁2421が前記張出部234に近づく。以下、この状態のことを連結解除直後の状態と称する。
【0063】
図7は、前記連結解除直後の状態からほとんど時間をおかずに前記供給クラッチ20が前記接続状態にされる場合の前記ピックアップユニット220の様子を示す。この場合、前記張出部234が前記凹部242における前記上流側縁2421寄りの位置から順方向へ回転し始める。
【0064】
従って、前記供給クラッチ20が前記接続状態になってから、前記張出部234が前記凹部242の遊び分を回転する時間が経過した後、前記ピックアップローラー221の回転が開始する。なお、前記凹部242の遊び分を回転する時間とは、前記張出部234が前記凹部242における前記上流側縁2421寄りの位置から前記下流側縁2422に接触する位置まで回転するのに要する時間である。
【0065】
図8,9は、前記連結解除直後の状態からしばらくの間、前記供給クラッチ20が前記解除状態にされたままである場合の前記ピックアップユニット220の様子を示す。この場合、前記リタードローラー223の外周面を成す前記弾性部材が、前記記録シート9の進行方向R1へ弾性変形した状態から下の状態へ戻る。これにより、図8が示すように、前記リタードローラー223に接する前記シート供給ローラー222がわずかに逆方向へ回転し、前記張出部234もそれに連動してわずかに逆方向へ回転する。
【0066】
さらに、わずかに逆方向へ回転した前記張出部234は、前記凹部242の前記上流側縁2421を逆方向へ弾くように押す。これにより、図9が示すように、前記凹部242の前記下流側縁2422が前記張出部234に引っ掛かる位置に至るまで、前記ピックアップ係合回転体24が逆方向へ回転する。
【0067】
従って、前記連結解除直後の状態からしばらくの時間が経過した後に前記シート供給動作が再開されると、前記供給クラッチ20が前記接続状態になった直後に、前記ピックアップローラー221の回転が開始する。
【0068】
以上に示したように、本実施形態に係る前記シート供給装置において、前記駆動部の動力を前記ピックアップローラー221に伝達する前記連結機構23は、前記ピックアップローラー221の回転方向において遊びを有している。このようなシート供給装置において、前記制御部8が、前記記録シート9ごとの供給開始イベントの発生を基準にして一定のタイミングで前記記録シート9の供給を開始させることが考えられる。
【0069】
上記の場合、前記遊びに起因して、前記記録シート9が前記シート受部21から前記シート検出センサー801に至る時間のばらつきが生じ得る。そうすると、短い時間間隔で前記記録シート9の連続供給が行われる場合に、前記記録シート9が、前記シート検出センサー801の検出可能な時間間隔より短い時間間隔で前記シート検出センサー801の位置に到達するおそれがある。
【0070】
また、例えば前記遊びに起因する前記時間のばらつきが特定の条件下でのみ生じる場合、前記記録シートの搬送時間の実績値に応じて前記記録シートの搬送間隔が調整されても、前記ばらつきの発生を防止できない。
【0071】
一方、本実施形態に係る前記シート供給装置においては、前記制御部8が以下に示される制御を実行する。これにより、前記駆動部の動力をピックアップローラー221に伝達する前記連結機構23が回転方向の遊びを有する場合でも、前記時間のばらつきの発生を防止しつつ極力短い時間間隔で前記記録シート9を連続供給することが可能になる。
【0072】
[シート供給装置の制御方法]
続いて、図10を参照しつつ、前記画像形成装置10において前記制御部8が実行する前記シート供給部2の制御工程の一例について説明する。図10は、前記制御部8が実行するシート供給制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0073】
前記制御工程は、前記制御部8が、前記供給クラッチ20各々に対し、前記シート送出部22各々に前記記録シート9を前記シート受部21から送出する前記シート供給動作を実行させる工程である。前記制御部8は、前記記録シート9の1枚の供給ごとに発生する前記供給開始イベントを基準にしたタイミングで前記制御信号を出力する。
【0074】
前記制御部8は、例えば前記画像形成部4による画像形成のジョブが発生したときに、図10が示す前記制御工程を開始する。以下の説明において、S1,S2,・・・は、処理手順の識別符号を表す。なお、以下に示される前記制御部8の処理は、前記MPU81が前記メモリー82に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。
【0075】
<ステップS1>
まず、前記制御部8は、前記ジョブの内容を参照することにより、これから開始する前記シート供給動作の対象が、複数の前記シート供給部2のうちのいずれであるかを特定する。このステップS1は、前記MPU81が動作判定プログラムPr1を実行するステップである。
【0076】
<ステップS2>
さらに、前記制御部8は、これから前記シート供給部2に実行させる前記シート供給動作が、予め定められた条件に合致する連続切替供給動作であるか否かを判定する。このステップS2は、前記MPU81が動作判定プログラムPr1を実行するステップである。
【0077】
前記制御部8は、ステップS1で特定された前記シート送出部22に実行させようとする前記シート供給動作が、他の前記シート送出部22の前記シート供給動作に連続した動作である場合に、前記連続切替供給動作であると判定する。ここで、前記連続した動作とは、ある前記シート送出部22の前記シート供給動作の終了時点から予め定められたごく短い時間内に異なる前記シート送出部22のシート供給動作が開始されることである。
【0078】
例えば、画像形成の前記ジョブが、前記シート供給部2のオートチェンジ制御を伴うジョブである場合に、前記シート供給動作が前記連続切替供給動作であると判定される。前記オートチェンジ制御は、予め定められた選択ルールに従って前記シート供給動作の対象とする前記シート送出部22を自動的に選択しつつ複数の前記記録シート9を連続して送り出す制御である。この場合、一連の前記オートチェンジ制御において2番目以降に選択された前記シート送出部22による前記シート供給動作が前記連続切替供給動作である。
【0079】
例えば、前記オートチェンジ制御は、最初に選択された前記シート送出部22に対応する前記シート受部21の前記記録シート9が前記ジョブの途中で無くなったこと(シート残量0%)が検出された場合に、自動的に他の前記シート送出部22を選択して前記ジョブを続行する制御である。
【0080】
また、前記ADF12の前記原稿載置部121にサイズの異なる複数の前記原稿90がセットされている場合に、前記オートチェンジ制御が行われることも考えられる。この場合、前記制御部8は、前記画像読取部11で得られた前記原稿90の画像データに基づいて、前記ADF12によって順次搬送される前記原稿90各々のサイズを検出する。そして、前記制御部8は、検出された前記原稿90のサイズに対応するサイズの前記記録シート9がセットされている前記シート供給部2の前記シート送出部22を前記シート供給動作の対象として選択する。
【0081】
また、ある画像形成ジョブについてある前記シート供給部2からの前記記録シート9の連続供給が行われている最中に、他の前記シート供給部2を用いる新たな画像形成ジョブが発生した場合にも、その新たな画像形成ジョブについての前記シート供給動作は前記連続切替供給動作となる。
【0082】
<ステップS3>
さらに、前記制御部8は、ステップS1で特定された前記シート送出部22にこれから実行させる前記シート供給動作が、当該シート送出部22の一連の動作において1枚目の前記記録シート9を送り出す動作であるのか否かを判定する。このステップS3も、前記MPU81が動作判定プログラムPr1を実行するステップである。
【0083】
<ステップS4>
そして、これから行われる前記シート供給動作が、前記連続切替供給動作であり、かつ、1枚目の前記記録シート9の送出動作であると判定された場合、前記制御部8は、後述する制御に用いる調整時間変数Taに、予め定められた基準調整時間よりも予め定められた遅延時間Tdだけ長い時間を表す値を設定する。ステップS4は、前記MPU81が遅延制御プログラムPr2を実行するステップである。前記基準調整時間は、前記シート供給部2ごとに予め定められている。
【0084】
ステップS4が実行される状況は、前記シート供給動作の開始時において、前記張出部234および前記ピックアップ係合回転体24の前記凹部242が図9に示される位置関係にある状況である。即ち、前記張出部234が前記凹部242における前記下流側縁2422寄りに位置する状況である。
【0085】
また、前記遅延時間Tdは、前記張出部234が前記凹部242の遊び分だけ回転(変位)するのに要する時間である。
【0086】
<ステップS5>
一方、これから行われる前記シート供給動作が、前記連続切替供給動作ではない、または、1枚目の前記記録シート9の送出動作ではない(2枚目以降である)と判定された場合、前記制御部8は、前記調整時間変数Taに前記基準調整時間を表す値を設定する。ステップS5は、前記MPU81が非遅延制御プログラムPr3を実行するステップである。
【0087】
ステップS5が実行される状況は、前記シート供給動作の開始時において、前記張出部234および前記ピックアップ係合回転体24の前記凹部242が図7に示される位置関係にある状況である。即ち、前記張出部234が前記凹部242における前記上流側縁2421寄りに位置する状況である。
【0088】
<ステップS6〜S8>
そして、前記制御部8は、前記供給開始イベントの発生を監視する(S6)。さらに、前記制御部8は、前記供給開始イベントの発生から前記調整時間変数Taが示す時間が経過した時点で、ステップS1で特定された前記シート送出部22に対応する前記供給クラッチ20を前記接続状態にする(S7)。さらに、前記制御部8は、一定時間後にその供給クラッチを前記解除状態に戻す(S8)。なお、前記制御部8は、前記制御信号を前記供給クラッチ20に出力することにより、前記供給クラッチ20を前記接続状態または前記解除状態にする。
【0089】
前記供給開始イベントは、例えば、前記レジストローラー31のクラッチ(不図示)を接続状態(ON状態)にする制御信号がアクティブ(ON)になったことなどである。
【0090】
前記制御部8がステップS6〜S8の処理を行うごとに、1枚の前記記録シート9が前記シート受部21から前記搬送路30へ向けて送り出される。ステップS6〜S8は、前記MPU81がクラッチ制御信号出力プログラムPr4を実行するステップである。
【0091】
なお、前記制御部8が実行するステップS1〜S3の工程は、前記判定工程の一例である。前記判定工程は、前記シート送出部22に前記シート供給動作を実行させる際に、当該シート供給動作が他の前記シート送出部22の前記シート供給動作に連続した前記連続切替供給動作であるか否かを判定する工程である。
【0092】
また、前記制御部8が実行するステップS4〜S8の工程は、前記遅延制御工程の一例である。前記遅延制御工程は、前記判定工程の結果が前記連続切替供給動作である場合に、前記シート送出部22から1枚目の前記記録シート9を送出するときの前記制御信号の出力タイミングを、それに連続して同じ前記シート送出部22から2枚目以降の前記記録シート9を送出するときの前記制御信号の出力タイミングよりも遅らせる工程である。
【0093】
<ステップS9>
次に、前記制御部8は、予め定められた待機条件が成立しているか否かを判定する。前記待機条件は、例えば、画像形成処理の終了後、予め定められた時間が経過するまで新たな画像形成ジョブが発生しない状態が継続することなどである。このステップS9は、前記MPU81が待機判定プログラムPr5を実行するステップである。
【0094】
そして、前記制御部8は、前記待機条件が成立しない期間、以上に示したステップS1からステップS9までの処理を随時繰り返す。例えば、前記制御部8は、一定時間の経過ごとにステップS1からステップS9までの処理を実行する。また、前記制御部8は、前記待機条件が成立したと判定すると、前記待機状態へ移行する。
【0095】
以上に示したことから、前記画像形成装置10の前記シート供給装置によれば、前記調整時間変数Taが、回転方向において遊びを有して係合する前記連結機構23の前記張出部234と前記ピックアップ係合回転体24の前記凹部242との位置関係に応じて変更される。
【0096】
その結果、前記駆動部の動力を前記ピックアップローラー221に伝達する前記連結機構23が前記遊びを有するにも関わらず、前記記録シート9が前記シート検出センサー801に到達する時間がばらつきくことを防止できる。その結果、前記記録シート9が、前記シート検出センサー801の検出可能な時間間隔より短い時間間隔で前記シート検出センサー801の位置に到達してしまうことを防止できる。
【0097】
また、前記制御部8は、前記シート供給動作が前記連続切替供給動作ではない場合、前記遅延制御工程を行わない。さらに、前記遅延時間Tdは、前記連続切替供給動作における1枚目の前記記録シート9の供給時というごく限られた場合にのみ設定される。そのため、複数の前記記録シート9が連続供給される場合に、2枚目以降の前記記録シート9を極力短い時間間隔で連続供給することができる。
【0098】
[その他の応用例]
図10に示される前記制御工程の手順はあくまで一例であり、前記制御工程が他の手順で行われることも考えられる。例えば、ステップS2とステップS3とが逆の順序で行われることなども考えられる。
【0099】
なお、本発明に係るシート供給装置、画像形成装置およびシート供給装置の制御方法は、各請求項に記載された発明の範囲において、以上に示された実施形態及び応用例を自由に組み合わせること、或いは実施形態及び応用例を適宜、変形する又は一部を省略することによって構成されることも可能である。
【符号の説明】
【0100】
1 :原稿搬送読取部
2 :シート供給部
3 :シート搬送部
4 :画像形成部
5 :光走査部
6 :定着部
8 :制御部
9 :記録シート
10 :画像形成装置
11 :画像読取部
12 :ADF
20 :供給クラッチ
21 :シート受部
22 :シート送出部
23 :連結機構
24 :ピックアップ係合回転体
30 :搬送路
31 :レジストローラー
32 :搬送ローラー
33 :排出ローラー
34 :張出部
40 :トナーコンテナ
41 :感光体
42 :帯電部
43 :現像部
45 :転写部
47 :クリーニング部
61 :定着ローラー
62 :加圧ローラー
80 :操作表示部
81 :MPU
82 :メモリー
83 :信号インターフェイス
90 :原稿
100 :筐体
101 :排出トレイ
111 :原稿台
112 :読取ユニット
113 :光学系
114 :CCD
121 :原稿載置部
122 :搬送ローラー
123 :排紙トレイ
220 :ピックアップユニット
221 :ピックアップローラー
222 :シート供給ローラー
223 :リタードローラー
224 :第2鋸歯状ギア
230 :ワンウェイクラッチ
231 :第1ギア
232 :第2ギア
233 :第3ギア
234 :張出部
241 :第1鋸歯状ギア
242 :凹部
801 :シート検出センサー
2200 :可動支持部
2211,2221:回転軸
2341 :テーパ面
2421 :上流側縁
2422 :下流側縁
Pr1 :動作判定プログラム
Pr2 :遅延制御プログラム
Pr3 :非遅延制御プログラム
Pr4 :クラッチ制御信号出力プログラム
Pr5 :待機判定プログラム
R1 :記録シートの進行方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10