特許第5989063号(P5989063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989063
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】シリコーン樹脂基材
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/00 20060101AFI20160825BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20160825BHJP
   C08J 7/00 20060101ALI20160825BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20160825BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20160825BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20160825BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20160825BHJP
   C08K 7/04 20060101ALI20160825BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20160825BHJP
   C08K 9/06 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   C08J5/00CFH
   C08J5/18
   C08J7/00 301
   C08J7/00 302
   B32B27/00 101
   C08L83/04
   C08K3/22
   C08K3/00
   C08K7/04
   C08K5/54
   C08K9/06
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-228219(P2014-228219)
(22)【出願日】2014年11月10日
(62)【分割の表示】特願2013-45473(P2013-45473)の分割
【原出願日】2007年12月28日
(65)【公開番号】特開2015-28188(P2015-28188A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2014年11月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597096161
【氏名又は名称】株式会社朝日ラバー
(74)【代理人】
【識別番号】100088306
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 良雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126343
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 浩之
(72)【発明者】
【氏名】田崎 益次
(72)【発明者】
【氏名】高木 和久
【審査官】 飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−146191(JP,A)
【文献】 特開2006−272660(JP,A)
【文献】 特開2000−143678(JP,A)
【文献】 特開2005−294779(JP,A)
【文献】 特開2007−324460(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/074813(WO,A1)
【文献】 特開平09−118830(JP,A)
【文献】 特開2002−363414(JP,A)
【文献】 特開2009−155415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 5/00−5/02
C08J 5/12/5/22
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加反応又は縮合反応により三次元架橋をし得るポリシロキサン化合物である透明シリコーン樹脂をバインダーとしアルミナ粉末、マグネシア粉末、チッ化アルミニウム粉末、チッ化ホウ素粉末、チッ化ケイ素粉末、グラファイト粉末、カーボン粉末、シリカ粉末、炭化ホウ素粉末、炭化チタン粉末、ムライト粉末、ダイヤモンド粉末、銅粉末、アルミニウム粉末、銀粉末、鉄粉末、レジンパウダー、カオリン粉末、酸化鉄粉末、シリカアルミナ粉末、タルク粉末、ガラスファイバー、及びカーボンファイバーから選ばれる少なくとも何れかフィラーとして含み、前記透明シリコーン樹脂が、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はアルミネートカップリング剤と架橋反応し得る前記ポリシロキサン化合物であり、アルキルオキシ基、ビニル基、アミノ基、及びエポキシ基から選ばれる少なくとも何れかの反応性官能基を有する前記シランカップリング剤と前記バインダーと前記フィラーとが含有された加熱三次元架橋性又は光照射三次元架橋性の混合組成物で前記三次元架橋をしている三次元架橋シリコーン樹脂を含有する成形がなされているシリコーン樹脂基材であって、前記付加反応又は縮合反応によって前記ポリシロキサン化合物が前記三次元架橋をし三次元架橋シリコーン樹脂として硬化している前記三次元架橋シリコーン樹脂の分子間に前記フィラーが内包されて含まれつつ、前記成形がなされており、前記フィラーにより不透明になっており、420nm以上720nm以下で反射率を80%未満としかつ透過率を最大で17%とすることを特徴とする熱伝導性のシリコーン樹脂基材。
【請求項2】
前記ポリシロキサン化合物と前記フィラーとへの加熱又は光照射により、前記ポリシロキサン化合物が前記三次元架橋をして前記三次元架橋シリコーン樹脂となっていることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項3】
前記フィラーが、酸化チタン、炭化ケイ素粉末、チタン酸バリウム粉末、酸化亜鉛粉末、及び/又は着色剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項4】
前記フィラーが、アルミナ、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チッ化ケイ素、グラファイト、カーボン粉末、シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ムライト、及びダイヤモンドから選ばれるセラミックス系物質と、銅、アルミニウム、銀、及び鉄から選ばれる金属フィラー系物質との少なくとも何れかの無機フィラー、及びシリコーン樹脂パウダー又はフッ素パウダーである有機フィラーから選ばれる少なくとも何れかのフィラーを含むことにより、
熱伝導率が調整されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項5】
前記フィラーが、チタン酸バリウム、酸化チタン、粉末アルミニウム、カオリンフィラー、酸化鉄フィラー、酸化亜鉛、シリカアルミナ、タルク、及びフッ素樹脂パウダーから選ばれる少なくとも何れかのフィラーを含むことにより、
誘電率が調整されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項6】
前記フィラーが、ガラスファイバー、及び/又はカーボンファイバーを含むことにより、物理的強度が調整されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項7】
前記フィラーが、前記三次元架橋シリコーン樹脂と異なる線膨張係数を有するもので、有機フィラーと、ガラスファイバー及びカーボンファイバーから選ばれる無機フィラーとから選ばれる少なくとも何れかのフィラーを含むことにより、
線膨張係数が調整されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項8】
前記フィラーが、全体量に対して40〜90質量%とすることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項9】
前記フィラーが、ルチル型酸化チタンからなる前記酸化チタン粉末を含むことを特徴とする請求項に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項10】
前記フィラーが、平均粒径を10〜100nmとする前記酸化チタン粉末を含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項11】
梨地面状に仕上がっていることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項12】
前記ポリシロキサン化合物が、液状のものであることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項13】
水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれる水和金属化合物類と、アンチモン化合物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、モリブデン化合物、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム微粒子、炭酸金属塩、水和金属化合物、銅酸化物、及び酸化鉄から選ばれる無機酸化物と、ナノ水和金属化合物、及びカーボンナノチューブから選ばれるナノフィラーと、フェロセンと、有機金属化合物との少なくとも何れか一種の難燃剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項14】
前記シランカップリング剤が、前記ポリシロキサン化合物の不飽和基又はヒドロシリル基に付加する不飽和基を有していることを特徴とする請求項に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項15】
前記バインダーと、シランカップリング剤で被覆された前記フィラーとが混合されつつ含有された前記組成物で、前記成形がされていることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項16】
前記フィラーに対し1質量%の前記シランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項17】
反射膜層で被覆されていることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項18】
前記ポリシロキサン化合物が、ジフェニルシロキシ基及び/又はジメチルシロキシ基と、加水分解性基含有−、脱反応性縮合性基含有−、アルキルオキシ含有−、ジアルキルオキシ含有−、ビニル含有−、ジビニル含有−、ヒドロ含有−、及びジヒドロ含有−シリル基から選ばれる少なくとも何れかとを有し、前記付加反応又は縮合反応により前記三次元架橋をし得るポリシロキサン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項19】
前記バインダーとしての前記透明シリコーン樹脂が、充填剤を含まないことを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。
【請求項20】
発光ダイオード基板、半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板、およびそれらのパッケージの何れかの製品であり、その基板及び/又はパッケージが、請求項1〜19の何れかに記載のシリコーン樹脂基材で形成されていることを特徴とするシリコーン樹脂基材含有製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子や電気素子の基板やパッケージに用いられるもので、通電や発光のロスを生じず、強度が強く、自在に成形できるシリコーン樹脂基材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明器具、信号機など様々な発光機器に、発光ダイオード(LED)が用いられている。このような発光ダイオード、特に高輝度発光ダイオードは、白熱電球、ハロゲンランプ、水銀灯、蛍光灯などの白色系単色照明装置よりも、明るく消費電力が少ない。
【0003】
従来、発光ダイオードは、セラミックス製基板や、熱可塑性樹脂であるエポキシ樹脂製基板又はポリエーテルエーテルケトン製基板に載置され、背面側の基板と反対側で、レンズにより封止され、発光機器内に組み込まれていた。例えば特許文献1には、発光ダイオードを実装するベース体の上部に、反射面を有する開口を形成したアルミナセラミックスのカバー体を貼付した発光ダイオード用パッケージが開示されている。特許文献2に、発光ダイオード素子の保護、接着、波長変更・調整、レンズに使用されるもので、オルガノポリシロキサンとオルガノハイドロジェンポリシロキサンと白金族金属系触媒とを主成分とする発光ダイオード素子用シリコーン樹脂組成物が、開示されている。
【0004】
セラミックス製基板は、セラミックスの焼成時の大きな収縮の所為で精密構造にすることができなかったり、発光した光の一部が基板へ向いて出射されセラミックス孔から遺漏したり、表面をメッキしてもメッキ金属がその孔からマイグレーションしたりする。エポキシ樹脂製やポリエーテルエーテルケトン製の基板は、成形時に鉛フリーリフローに耐え得るが、その際に極僅かに収縮した凹み、所謂、ひけを生じたり、転写性が悪いため精密かつ正確な基板を成形できなかったり、発光した高輝度の光の一部の曝露やその光源の熱の曝露により基板を黄変させて劣化させたり、基板での反射効率を低下させたりする。またポリシロキサン組成物から形成した透明シリコーン樹脂製基板は、強度が不十分である所為で、応力や歪がかかると容易く割れてしまう。
【0005】
【特許文献1】特開2006−108180号公報
【特許文献2】特開2004−221308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、発光ダイオードを始めとする光学素子や電気素子の基板やパッケージに用いることができ、鉛フリーリフローに耐え、ひけを生じることなく精密な成形ができ、光や熱で黄変したり劣化したりせず、メッキなどの表面加工を施すことができ、硬くて丈夫なシリコーン樹脂基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するためになされた熱伝導性のシリコーン樹脂基材は、付加反応又は縮合反応により三次元架橋をし得るポリシロキサン化合物である透明シリコーン樹脂をバインダーとしアルミナ粉末、マグネシア粉末、チッ化アルミニウム粉末、チッ化ホウ素粉末、チッ化ケイ素粉末、グラファイト粉末、カーボン粉末、シリカ粉末、炭化ホウ素粉末、炭化チタン粉末、ムライト粉末、ダイヤモンド粉末、銅粉末、アルミニウム粉末、銀粉末、鉄粉末、レジンパウダー、カオリン粉末、酸化鉄粉末、シリカアルミナ粉末、タルク粉末、ガラスファイバー、及びカーボンファイバーから選ばれる少なくとも何れかフィラーとして含み、前記透明シリコーン樹脂が、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はアルミネートカップリング剤と架橋反応し得る前記ポリシロキサン化合物であり、アルキルオキシ基、ビニル基、アミノ基、及びエポキシ基から選ばれる少なくとも何れかの反応性官能基を有する前記シランカップリング剤と前記バインダーと前記フィラーとが含有された加熱三次元架橋性又は光照射三次元架橋性の混合組成物で前記三次元架橋をしている三次元架橋シリコーン樹脂を含有する成形がなされているシリコーン樹脂基材であって、前記付加反応又は縮合反応によって前記ポリシロキサン化合物が前記三次元架橋をし三次元架橋シリコーン樹脂として硬化している前記三次元架橋シリコーン樹脂の分子間に前記フィラーが内包されて含まれつつ、前記成形がなされており、前記フィラーにより不透明になっており、420nm以上720nm以下で反射率を80%未満としかつ透過率を最大で17%とすることを特徴とするものである。
【0008】
シリコーン樹脂基材は、前記ポリシロキサン化合物と前記フィラーとへの加熱又は光照射により、前記ポリシロキサン化合物が前記三次元架橋をして前記三次元架橋シリコーン樹脂となっていてもよい。
【0009】
シリコーン樹脂基材は、前記フィラーが、酸化チタン、炭化ケイ素粉末、チタン酸バリウム粉末、酸化亜鉛粉末、及び/又は着色剤を含有するものであることが好ましい。
【0010】
シリコーン樹脂基材は、アルミナ、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チッ化ケイ素、グラファイト、カーボン粉末、シリカ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ムライト、及びダイヤモンドから選ばれるセラミックス系物質と、銅、アルミニウム、銀、及び鉄から選ばれる金属フィラー系物質との少なくとも何れかの無機フィラー、及びシリコーン樹脂パウダー又はフッ素パウダーである有機フィラーから選ばれる少なくとも何れかのフィラーを含むことにより、熱伝導率が調整されているものであってもよい。
【0011】
シリコーン樹脂基材は、前記フィラーが、チタン酸バリウム、酸化チタン、粉末アルミニウム、カオリンフィラー、酸化鉄フィラー、酸化亜鉛、シリカアルミナ、タルク、及びフッ素樹脂パウダーから選ばれる少なくとも何れかのフィラーを含むことにより、誘電率が調整されているものであってもよい。
【0012】
シリコーン樹脂基材は、前記フィラーが、ガラスファイバー、及び/又はカーボンファイバーを含むことにより、物理的強度が調整されているものであってもよい。
【0013】
シリコーン樹脂基材は、前記フィラーが、前記三次元架橋シリコーン樹脂と異なる線膨張係数を有するもので、有機フィラーと、ガラスファイバー及びカーボンファイバーから選ばれる無機フィラーとから選ばれる少なくとも何れかのフィラーを含むことにより、線膨張係数が調整されているものであってもよい。
【0014】
シリコーン樹脂基材は、前記フィラーが前記酸化チタン粉末又は前記アルミナ粉末を含むことにより、反射強度が調整されているものであってもよい。
【0015】
シリコーン樹脂基材は、前記フィラーが、全体量に対して40〜90質量%とするものであってもよい
【0016】
シリコーン樹脂基材は、前記フィラーが、ルチル型酸化チタンからなる前記酸化チタン粉末を含むことが好ましい。
【0017】
シリコーン樹脂基材は、前記フィラーが、平均粒径を10〜100nmとする前記酸化チタン粉末を含んでいてもよい。
シリコーン樹脂基材は、梨地面状に仕上がっていてもよい。
【0018】
シリコーン樹脂基材は、前記組成物が、アルキルオキシ基、ビニル基、アミノ基、及びエポキシ基から選ばれる少なくとも何れかの反応性官能基を有するシランカップリング剤を含んでおり、前記ポリシロキサン化合物と前記フィラーと前記シランカップリング剤との加熱又は光照射により前記三次元架橋をして前記三次元架橋シリコーン樹脂となることによって、前記成形がなされていてもよい。
【0019】
シリコーン樹脂基材は、前記ポリシロキサン化合物が、液状のものであってもよい。
【0020】
シリコーン樹脂基材は、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれる水和金属化合物類と、アンチモン化合物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、モリブデン化合物、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム微粒子、炭酸金属塩、水和金属化合物、銅酸化物、及び酸化鉄から選ばれる無機酸化物と、ナノ水和金属化合物、及びカーボンナノチューブから選ばれるナノフィラーと、フェロセンと、有機金属化合物との少なくとも何れか一種の難燃剤を含んでいてもよい。
【0021】
シリコーン樹脂基材は、前記透明シリコーン樹脂が、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、又はアルミネートカップリング剤と架橋反応し得る前記ポリシロキサン化合物であってもよい。
【0022】
シリコーン樹脂基材は、前記シランカップリング剤が、前記ポリシロキサン化合物の不飽和基又はヒドロシリル基に付加する不飽和基を有していてもよい。
【0023】
シリコーン樹脂基材は、前記バインダーと、シランカップリング剤で被覆された前記フィラーとが混合されつつ含有された前記組成物で、前記成形がされていてもよい。
シリコーン樹脂基材は、前記フィラーに対し1質量%の前記シランカップリング剤を含有していてもよい。
シリコーン樹脂基材は、JIS K7197の線膨率試験方法に準じた線膨張係数が8.90×10−5/℃以下であってもよい。
シリコーン樹脂基材は、JIS R1601の曲げ強度試験に準じた曲げ強度が、シランカップリング剤を用いないシリコーン樹脂基材よりも、9Mpa高くてもよい。
【0024】
シリコーン樹脂基材は、反射膜層で被覆されていてもよい。
【0025】
シリコーン樹脂基材は、前記ポリシロキサン化合物が、ジフェニルシロキシ基及び/又はジメチルシロキシ基と、加水分解性基含有−、脱反応性縮合性基含有−、アルキルオキシ含有−、ジアルキルオキシ含有−、ビニル含有−、ジビニル含有−、ヒドロ含有−、及びジヒドロ含有−シリル基から選ばれる少なくとも何れかとを有し、前記付加反応又は縮合反応により前記三次元架橋をし得るポリシロキサン化合物であってもよい。
【0026】
シリコーン樹脂基材は、前記バインダーとしての前記透明シリコーン樹脂が、充填剤を含まないものであってもよい。
【0027】
シリコーン樹脂基材含有製品は、発光ダイオード基板、半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板、およびそれらのパッケージの何れかの製品であり、その基板及び/又はパッケージが、前記シリコーン樹脂基材で形成されているものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明のシリコーン樹脂基材は、高い機械的強度を有し、強光で劣化せず、硬くて耐久性に優れたものである。それの製造の際、260℃以上に加熱される鉛フリーリフローに耐え、ひけを生じることなく精密かつ正確に成形でき、生産効率が良いため、安価に大量生産できる。
【0029】
しかも、シリコーン樹脂基材に、金属メッキや金属蒸着のような表面加工処理を施すことができる。シリコーン樹脂基材は、その表面加工処理が施されても、セラミックスのようにその孔からの光漏れや表面処理した金属のマイグレーションを生じないうえ、セラミックス並みの硬度を有する。
【0030】
このシリコーン樹脂基材は、熱伝導率や誘電率や反射強度を調整することができるので、発光ダイオードを始めとする光学素子や電気素子の基板やパッケージとして組み込んでシリコーン基材含有製品とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明を適用するシリコーン樹脂基材を組み込んだシリコーン樹脂基材含有製品の断面図である。
図2】本発明を適用するシリコーン樹脂基材中のフィラーの充填量と曲げ強度との相関関係を示す図である。
図3】本発明を適用するシリコーン樹脂基材中のフィラーの充填量と熱伝導率との相関関係を示す図である。
図4】本発明を適用するシリコーン樹脂基材中のフィラーの添加部数と線膨張係数との相関関係を示す図である。
図5】本発明を適用するシリコーン樹脂基材中のフィラーの種類及び充填量毎についての波長と、透過率及び反射率との相関関係を示す図である。
図6】本発明を適用するためのシリコーン樹脂製の及び本発明を適用外のエポキシ樹脂製のについての波長と、加熱下の経時的な透過率との相関関係を示す図である。
図7】本発明を適用するためのシリコーン樹脂製の及び本発明を適用外のエポキシ樹脂製のについての波長と、ブラックライト照射下の経時的な透過率との相関関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0033】
本発明のシリコーン樹脂基材1及びそれが発光ダイオード基板として組み込まれた発光ダイオードパッケージ11であるシリコーン樹脂基材含有製品の実施の態様について、図1を参照しながら説明する。
【0034】
シリコーン樹脂基材1は、シランカップリング剤とそれに架橋反応するシロキサン化合物とにより三次元架橋しているシリコーン樹脂からなるバインダー2、及びフィラー3が含有されており、外形が長方体でその上面が中央で湾曲して窪むように鋼型で成型されたものである。その窪み8の表面に、反射膜層4が形成されている。
【0035】
発光ダイオードパッケージ11は、シリコーン樹脂基材1と、発光ダイオード6と、それらを覆うフィルター5とで、組み立てられている。シリコーン樹脂基材1の底面から上面の窪み8に向けて、発光ダイオード6の導線7が貫通している。発光ダイオード6が、窪み8の底で、接着されて固定されている。フィルター5が、窪み8を覆っており、シリコーン樹脂基材1の上部の縁で封止剤・接着剤により接着されて、シリコーン樹脂基材1を封止している。フィルター5に、レンズ9が被せられて接着されている。
【0036】
このような発光ダイオードパッケージ11は、反射型LEDと言われるもので、発光ダイオード6から放射された光の内、その反射膜層4へ向いて放射された光を反射膜層4で反射して、所望の方向へ出射するというものである。レンズ9又はフィルター5が無くてもよい。レンズ9は平凸レンズであってもよく、凹レンズであってもよく、フレネルレンズであってもよい。
【0037】
発光ダイオードパッケージ11の発光ダイオード6を通電すると、発光する。その光は、窪み8を経て、(a)のように真直ぐにレンズ9から出射し、又は(b)のように反射膜層4で反射されてレンズ9で屈折して出射する。
【0038】
シリコーン樹脂基材1及び発光ダイオードパッケージ11は、以下のようにして作製される。
【0039】
先ず、シランカップリング剤とシロキサン化合物とフィラーとを含むバインダー用組成物を調製し、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とが架橋したバインダーとしその分子間にフィラーを含ませたシリコーン樹脂を金型内で成型し、中央で窪んだシリコーン樹脂基材である発光ダイオード基板を得る(いわゆる内添法)。その窪みの表面に金属メッキ処理を施して反射膜層を付し、窪みに発光ダイオードの導線を貫通させ、発光ダイオードと発光ダイオード基板とを接着剤で固定する。発光ダイオード基板をフィルターで覆い接着剤で固定して封止すると、発光ダイオードパッケージが得られる。
【0040】
内添法の例を示したが、フィラーにシランカップリング剤をコーティング処理してから、シロキサン化合物に加え、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とを架橋させてバインダーの分子間にフィラーを内包させたシリコーン樹脂を金型内で成型させるいわゆる乾式法で、発光ダイオード基板を得てもよい。
【0041】
発光ダイオード基板は、内添法で作製されるよりも、乾式法で作製された方が、強度を強くすることができるので、好ましい。
【0042】
シロキサン化合物は、三次元架橋してシリコーン樹脂を形成するものであれば特に限定されないが、ポリシロキサン化合物であることが好ましい。
【0043】
ポリ(ジアルキルシロキサン)やポリ(ジフェニルシロキサン)は直鎖状に高分子量化したものであるから平面被膜を形成するだけであるが、この三次元架橋し得るポリシロキサン化合物はその途中のSi基が、アルキルオキシシリル基やジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基やジビニルシリル基、ヒドロシリル基やジヒドロシリル基であったり、それらの基が複数存在したりすることにより、網目状に三次元的に架橋するというものである。シロキサン化合物同士や、シロキサン化合物とシランカップリング剤とは、夫々のアルキルオキシシリル基又はジアルキルオキシシリル基同士が脱アルコール化反応により縮合して架橋したり、ビニルシリル基やジビニルシリル基とヒドロシリル基やジヒドロシリル基とが白金錯体等の白金触媒存在下で、無溶媒中、加熱や光照射によって付加して架橋したりする。シロキサン化合物はその中でも、付加して架橋するポリシロキサン化合物が好ましい。ジフェニルシロキシ基(-Si(C)-O-)やジメチルシロキシ基(-Si(CH)-O-)のような繰り返し単位を有するシロキサン化合物であってもよいが、ジフェニルシロキシ基が多くなるほど、架橋して得られるシリコーン樹脂は、その強度が増加する反面、強い光の曝露により黄変し易くなり、反射性が低下したりくすんだりする。シロキサン化合物は、ジメチルシロキシ基の繰り返し単位を有し、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基、ジヒドロシリル基を有しているポリシロキサン化合物であると、一層好ましい。
【0044】
シロキサン化合物は、具体的にはヒドロシリル含有シリル基、ビニルシリル含有シリル基、アルコシキシリル含有シリル基、及び加水分解性基含有シリル基を有するもので、シリコーン樹脂を形成するものであれば、特に限定されない。
【0045】
より具体的には、ヒドロシリル含有シリル基を有するシロキサン化合物の例として、
(CH3O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(CH3O)3SiCH2CH2CH2Si(OCH3)2OSi(OCH3)3
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(OCH3)2OSi(OCH3)3
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2H、
(CH3O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2H、
(i-C3H7O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)H
(n-C3H7O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2Si(CH3)2H、
(n-C4H9O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(t-C4H9O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(C2H5O)2CH3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(CH3O)2CH3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2Si(CH3)2Si(CH3)2H、
CH3O(CH3)2SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(n-C3H7)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(i-C3H7O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(n-C4H9)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(t-C4H9O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2H、
(CH3O)3SiCH2C6H4CH2CH2Si(CH3)2C6H4Si(CH3)2H、
(CH3O)2CH3SiCH2C6H4CH2CH2Si(CH3)2C6H4Si(CH3)2H、
CH3O(CH3)2SiCH2C6H4CH2CH2Si(CH3)2C6H4Si(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2C6H4CH2CH2Si(CH3)2C6H4Si(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2C6H4OC6H4Si(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2C2H4Si(CH3)2H、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]p1Si(CH3)2H、
C2H5O(CH3)2SiCH2CH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]p2Si(C2H5)2H、
(C2H5O)2CH3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]p3Si(CH3)2H、
(CH3)3SiOSiH(CH3)O[SiH(CH3)O]p4Si(CH3)3
(CH3)3SiO[(C2H5OSi(CH3)CH2CH2CH2)SiCH3]O[SiH(CH3)O]p5Si(CH3)3
(CH3)3SiO[(C2H5OSiOCH3CH2CH2CH2)SiCH3]O[SiH(CH3)O]p6Si(CH3)3
(CH3)3SiO[(C2H5OSi(CH3)CH2CH2CH2)SiCH3]O[SiH(CH3)O]p7Si(CH3)3
(CH3)3SiO[(Si(OC2H5)2CH2CH2CH2)SiCH3]O[SiH(CH3)O]p8Si(CH3)3
(CH3)3SiOSi(OC2H5)2O[SiH(CH3)O]p9[Si(CH3)2O]q1Si(CH3)3
(CH3)3SiO[(C2H5Osi(CH3)CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][SiH(CH3)O]p10[Si(CH3)2O]q2Si(CH3)3
(CH3)3SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][SiH(CH3)O]p11[Si(CH3)2O]q3Si(CH3)3
(CH3)3SiOSi(OC2H5)2O[SiH(C2H5)O]p12Si(CH3)3
(CH3)3SiO[(Si(OC2H5)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(C2H5)]O[SiH(C2H5)O]p13Si(CH3)3
(CH3)3SiO[(C2H5OSi(CH3)CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(C2H5)]O[SiH(C2H5)O]p14Si(CH3)3
C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2(CH3)2SiO[HSi(CH3)2OSiC6H5O]p15Si(CH3)2H、
Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2(CH3)2SiO[HSi(CH3)2OSiC6H5O]p16Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p17Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p18Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p19Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p20Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p21Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p22Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2C6H4CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p23Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p24Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p25Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p26Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p27Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p28Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p29Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p30Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p31Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2C6H4CH2CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p32Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p33Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p34Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(Si(OCH3)3CH2CH2C6H4CH2CH2)Si(CH3)O][HSiCH3O]p35Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[(CH3O)Si(CH3)CH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSiC6H5O]p36[HSi(CH3)2OSiC6H5O]q4Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[Si(OCH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2Si(CH3)2OSiC6H5O]p37[HSi(CH3)2OSiC6H5O]q5Si(CH3)2H、
C2H5O(CH3)2SiO[SiH(CH3)O]p38[SiCH3(C6H5)O]q6Si(CH3)2H、
Si(OC2H5)3CH2CH2CH2CH2CH2CH2(CH3)2SiO[SiH(CH3)O]p39[SiCH3(C6H5)O]q7Si(CH3)2H、
C2H5OSi(CH3)2CH2CH2CH2CH2CH2CH2(CH3)2SiO[SiH(CH3)O]p40[SiCH3(C6H5)O]q8Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO(C2H5O)Si(CH3)O[SiH(CH3)O]p41[SiCH3(C6H5)O]q9Si(CH3)2H、
H(CH3)2SiO[Si(OC2H5)3CH2CH2CH2Si(CH3)]O[SiH(CH3)O]p42[SiCH3(C6H5)O]q10Si(CH3)2H
が挙げられる。これらの基中、p1〜p42及びq1〜q10は1〜100までの数である。一つの分子に、ヒドロシリル基を、1〜99個有していることが好ましい。
【0046】
ビニルシリル含有シリル基を有するシロキサン化合物として、
(C2H5O)3SiCH2CH=CH2
(CH3O)3SiCH2CH2CH=CH2
(C2H5O)3SiCH2CH2CH=CH2
(CH3O)3SiCH2CH2CH2CH2CH=CH2
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2CH=CH2
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2CH2CH2CH2CH=CH2
(CH3O)3SiCH2(CH2)7CH=CH2
(C2H5O)2Si(CH=CH2)OSi(OC2H5)CH=CH2
(CH3O)3SiCH2CH2C6H4CH=CH2
(CH3O)2Si(CH=CH2)O[SiOCH3(CH=CH2)O]t1Si(OCH3)2CH=CH2
(C2H5O)2Si(CH=CH2)O[SiOC2H5(CH=CH2)O]t2Si(OC2H5)3
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t3CH=CH2
(CH3O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t4CH=CH2
CH3O(CH3)2SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t5CH=CH2
(C2H5O)2CH3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t6CH=CH、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2[Si(CH3)2O]t7CH=CH、
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2(Si(CH3)3O)Si(CH3)O[SiCH3(-)O]u1Si(CH3)3CH=CH2
(C2H5O)3SiCH2CH2CH2Si(CH3)2OSi(CH3)2CH2CH2(Si(CH3)3O)Si(CH3)O[SiCH3(-)O]u2[Si(CH3)2O]t8Si(CH3)3CH=CH2
(C2H5O)2Si(CH=CH2)O[SiCH3(OC2H5)O]u3Si(OC2H5)2CH=CH2
(C2H5O)2Si(CH=CH2)O[Si(OC2H5)2O]u4Si(OC2H5)2CH=CH2
(C2H5O)2Si(CH=CH2)O[Si(OC2H5)2O]u5Si(OC2H5)2CH=CH2
が挙げられる。これらの基中、t1〜t8及びu1〜u5は1〜30までの数である。一つの分子に、ビニル基を、1〜30個有していることが好ましい。
【0047】
アルコキシシリル末端含有シリル基を有するシロキサン化合物の例として、
(C2H5O)3SiCH2CH2Si(OC2H5)3
(C2H5O)2CH3SiCH2CH2Si(OC2H5)3
(C2H5O)3SiCH=CHSi(OC2H5)3
(CH3O)3SiCH2CH2Si(OCH3)3(CH3O)3SiCH2CH2C6H4CH2CH2Si(OCH3)3
(CH3O)3Si[CH2CH2]3Si(OCH3)3
(CH3O)2Si[CH2CH2]4Si(OCH3)3
(C2H5O)2Si(OC2H5)2
(CH3O)2CH3SiCH2CH2Si(OCH3)2CH3
(C2H5O)2CH3SiOSi(OC2H5)2CH3
(CH3O)3SiO[Si(OCH3)2O]v1Si(OCH3)3
(C2H5O)3SiO[Si(OC2H5)2O]v2Si(OC2H5)3
(C3H7O)3SiO[Si(OC3H7)2O]v3Si(OC3H7)3
が挙げられる。これらの基中、v1〜v3は0〜30までの数である。
【0048】
加水分解性基含有シリル基を有するシロキサン化合物の例として、
CH3Si(OCOCH3)3、(CH3)2Si(OCOCH3)2、n-C3H7Si(OCOCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCOCH3)3、C6H5Si(OCOCH3)3、CF3CF2CH2CH2Si(OCOCH3)3、CH2=CHCH2Si(OCOCH3)3、CH3OSi(OCOCH3)3、C2H5OSi(OCOCH3)3、CH3Si(OCOC3H7)3、CH3Si[OC(CH3)=CH2]3、(CH3)2Si[OC(CH3)=CH2]3、n-C3H7Si[OC(CH3)=CH2]3、CH2=CHCH2Si[OC(CH3)=CH2]3、C6H5Si[OC(CH3)=CH2]3、CF3CF2CH2CH2Si[OC(CH3)=CH2]3、CH2=CHCH2Si[OC(CH3)=CH2]3、CH3OSi[OC(CH3)=CH2]3、C2H5OSi[OC(CH3)=CH2]3、CH3Si[ON=C(CH3)C2H5]3、(CH32Si[ON=C(CH3)C2H5]2、n-C3H7Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CH2=CHCH2Si[ON=C(CH3)C2H5]3、C6H5Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CF3CF2CH2CH2Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CH2=CHCH2Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CH3OSi[ON=C(CH3)C2H5]3、C2H5OSi[ON=C(CH3)C2H5]]3、CH3Si[ON=C(CH3)C2H5]3、CH3Si[N(CH3)]3、(CH3)2Si[N(CH3)]2、n-C3H7Si[N(CH3)]3、CH2=CHCH2Si[N(CH3)]3、C6H5Si[N(CH3)]3、CF3CF2CH2CH2Si[N(CH3)]3、CH2=CHCH2Si[N(CH3)]3、CH3OSi[N(CH3)]3、C2H5OSi[N(CH3)]3、CH3Si[N(CH3)]3などの昜加水分解性オルガノシランが挙げられる。
【0049】
シリコーン樹脂は、付加反応性で、無溶媒下で加熱硬化するものであり、型を用いて、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で成形される。
【0050】
シランカップリング剤は、反応性官能基として、アルキルオキシ基やビニル基やアミノ基やエポキシ基を有するものが挙げられる。カップリング剤としては、シランカップリング剤の他に、チタネートやアルミネートのカップリング剤でもよい。
【0051】
シランカップリング剤は、より具体的には、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製の商品名Z−6011)、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(同Z−6020)、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(同Z6023)、アミノシランのメタノール溶液(同Z6026)、1,2−エタンジアミン,N−(3−トリメトキシシリル)プロピル−N−((エテニルフェニル)メチル)誘導体・塩酸塩(同z−6032)、アミノシランのイソプロパノール溶液(同Z−6050)、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(同Z−6049)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(同Z−6610)、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(同Z−6883)、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドの50%メタノール溶液(同DC5700)のようなアミノ系シランカップリング剤;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(同Z−6040)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(同Z−6041)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(同Z−6042)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(同Z−6044)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(同Z−6043)のようなエポキシ系シランカップリング剤;
ビニルトリアセトキシシラン(同Z−6075)、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン(同Z−6172)、ビニルトリメトキシシラン(同Z−6300)、ビニルトリエトキシシラン(同Z−6519)、ビニルトリイソプロポキシシラン(同Z−6550)、アリルトリメトキシシラン(同Z−6825)、ビニルトリメトキシシラン混合物(同Z−6758又は同Z−6398)のようなビニル系シランカップリング剤が挙げられる。
【0052】
アミノ系シランカップリング剤は、元々着色していたり架橋反応後に着色したりする。ビニル系シランカップリング剤は、着色せず、しかもフィラーと相互作用し易くシロキサン化合物と架橋反応してシリコーン樹脂を形成し易いので、好ましい。
【0053】
シランカップリング剤には、フィラーに付着するタイプと、フィラーに結合するタイプとがある。このようなシランカップリング剤は、分子量が小さいほど、フィラーと相互作用し難く、フィラーに付着しても、シリコーン樹脂のバインダー自体を膨張させない。
【0054】
シロキサン化合物にシランカップリング剤が含まれていると、それが含まれていない場合よりも、フィラーを網目構造の中に確りと取り込むため、シリコーン樹脂の強度が顕著に強くなる。
【0055】
シロキサン化合物とシランカップリング剤とにより三次元架橋したシリコーン樹脂は、シランカップリング剤の分子量が小さいほど、アルミナのようなフィラーと相互作用し難くまたフィラーに付着してもシリコーン樹脂のバインダー自体を膨張させない。その結果、シリコーン樹脂基材の線膨張係数が小さいものとなる。シランカップリング剤は、フィラーが顔料であると、シリコーン樹脂基材の線膨張係数がなお一層小さいものとなる。
【0056】
特に、シランカップリング剤処理してフィラーと、バインダーであるシリコーン樹脂とが架橋しているシリコーン樹脂基材は、フィラーがシランカップリング剤を介してシリコーン樹脂と架橋しているため、曲げ強度、濡れ性・分散性が向上しており、高品質のものとなる。このようなシランカップリング処理は、例えばフィラーに対し1質量%のシランカップリング剤を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌して表面処理を行い、100〜130℃で、30〜90分間、乾燥させるというものである。
【0057】
本来、透明なシリコーン樹脂をバインダーとし、そこにフィラーを分散させつつ介在させたこのシリコーン樹脂基材は、フィラーにより、着色して不透明になっている。例えば、フィラーが酸化チタンである場合、シリコーン樹脂基材は不透明な白色となっている。
【0058】
フィラーは、シリコーン樹脂基材中に、その全体量に対し、40〜90質量%含まれていることが好ましい。この範囲を下回るとシリコーン樹脂基材が透明となり、またフィラーを含むことによる強度の向上が図れなくなってしまう。一方、この範囲を上回ると加工性が低下するため成形できなくなってしまう。60〜80質量%含まれていると一層好ましく、75〜80質量%含まれているとなお一層好ましい。
【0059】
シリコーン樹脂基材の熱伝導性を向上させるのに用いられるフィラーとして無機フィラー例えば、アルミナ、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素(六方晶・立方晶)、チッ化ケイ素、グラファイト、カーボン粉末、シリカ(結晶性シリカ・溶融シリカ)、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、ムライト、ダイヤモンドのようなセラミックス系物質;銅、アルミニウム、銀、鉄のような金属フィラー系物質が挙げられる。シリコーン樹脂パウダー、フッ素樹脂パウダーで例示されるレジンパウダーのような有機フィラーであってもよい。これらは、フレーク状結晶、不定形状粉末、又は球状粉末であることが好ましい。その粉末の平均粒子径は、10μm以下であることが好ましく、0.3〜8μmであると一層好ましい。とりわけ、フレーク状、不定形状、又は球状のアルミナが好ましい。アルミナは、二次凝集している場合があるので、ボールミルやジェットミルで微粉砕して、0.3〜8μmの略球状の一次粒子としていることが好ましい。これらのフィラーの種類や充填量を調節することにより、シリコーン樹脂基材の熱伝導率を調整することができる。
【0060】
シリコーン樹脂基材の誘電率を調整するのに用いられるフィラーとして、誘電率の高いフィラーであるチタン酸バリウム、酸化チタン;誘電率が低いフィラーであるシルクフィラー、カオリンフィラー、酸化鉄フィラー、酸化亜鉛、シリカアルミナ、タルク、フッ素樹脂パウダー、粉末アルミニウムが挙げられる。なかでも、酸化チタンは、屈折率が大きいため、光反射性や隠蔽性が大きく、光漏れ防止に有効である。酸化チタンは、ルチル型結晶構造であってもアナターゼ型結晶構造であってもよく、平均粒子径を10〜100nmとすることが好ましい。ルチル型結晶構造は、屈折率が一層高いから、反射効率を向上させることができる。さらに酸化チタンは、酸化還元触媒作用があるので、黄変対策に有効である。
【0061】
シリコーン樹脂基材の物理的強度を向上させるのに用いられるフィラーとして、ガラスファイバー、カーボンファイバーが挙げられる。
【0062】
シリコーン樹脂基材の線膨張係数を調整させるのに用いられるフィラーとして、シリコーン樹脂と異なる線膨張係数を有する有機フィラーや、ガラスファイバー・カーボンファイバーのような無機フィラーが用いられる。適切なフィラーを選択することにより、例えばシリコーン樹脂基材をパッケージに使用した場合、封止剤の材質に合わせて、シリコーン樹脂基材を封止剤で封止しているパッケージと、封止剤との剥離を生じないように、互いの線膨張係数を近づけることができる。
【0063】
このようなフィラーが含有されたシリコーン樹脂基材は、発光ダイオード基板、半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板、それらのパッケージやそれの部材として、有用である。また、260℃以上に加熱される鉛フリーリフロー対応基板、及びその半導体パッケージやそれの部材として、有用である。
【0064】
シリコーン樹脂基材を色分けするのに用いられるフィラーとして、着色剤、例えばフタロシアニン系、アゾ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジケトピロロピロール系の顔料や染料、レーキ顔料などの有機顔料、コバルトブルー、群青、酸化鉄などの無機顔料、プラスチックの粉末を蛍光性のある染料で着色した蛍光顔料のような擬似顔料が挙げられる。より具体的には、黄色顔料として、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマンネントイエローNCG、タートラジンレーキ;橙色顔料として、赤口黄鉛、モリブテンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK;赤色顔料として、縮合アゾ顔料、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B;紫色顔料として、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ;青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、フタロシアニングリーン、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC;緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG;白色顔料として、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトが挙げられる。有機蛍光染料としてはペリレン系、ナフタルイミド系、クマリン系、シアニン系、フラビン系、ローダミン系が挙げられる。有機蛍光染料に、チオベンジルニッケル錯体で例示されるチオベンジル遷移金属錯体、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、マロン酸付加フラーレン、マロン酸ジターシャリーブチル付加フラーレンで例示されるフラーレン化合物を共存させてもよい。りん光を発光するりん光剤として、例えば、イリジウム錯体、プラチナ錯体で例示される公知の金属錯体、五重項のような多重項から発光するテルビウム錯体で例示される希土類金属錯体が挙げられる。
【0065】
反射膜層は、金属メッキや金属蒸着によって形成される被膜である。シリコーン樹脂基材を形成しているシリコーン樹脂に金属メッキ処理や金属蒸着処理を施し易い。反射膜層は、銀メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、金メッキであってもよく、アルミニウム蒸着膜であってもよい。ニッケルメッキは次第に黒ずむようになり、アルミニウム蒸着膜は表面コートする必要があることから、光還元されて光沢が持続する銀メッキが好ましい。シリコーン樹脂は、セラミックスのような孔を有しない緻密な構造であるため、銀等のメッキ金属や蒸着金属の流動やイオン化やマイグレーションを引き起さないうえ、整然と結晶化するため、極めて平滑となる。
【0066】
シリコーン樹脂基材は、強い強度がある。シリコーン樹脂基材は、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレートのようなエンジニアリングプラスチックで成形する場合に生じるひけを発現しない。さらに、シリコーン樹脂基材は、金型で成型したときの転写性に優れ収縮や膨張を生じないので、金型のナノオーダーレベルの凹凸があってもその金型通りの形状に精密かつ正確に成形でき、転写性、寸法安定性に優れる。
【0067】
シリコーン樹脂基材の難燃性を向上させるために無機系難燃剤が含まれていてもよい。無機系難燃剤は、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムのような水和金属化合物類;アンチモン化合物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、モリブデン化合物、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、ゼオライト、酸化チタンのような無機酸化物;モンモリロナイト、ナノ水和金属化合物、カーボンナノチューブのようなナノフィラー;炭酸カルシウム微粒子、炭酸金属塩、水和金属化合物、銅酸化物、酸化鉄、フェロセン、有機金属化合物が挙げられる。
【0068】
シリコーン樹脂基材は、それの表面反射効率を上げて、光漏れを防止するために、銀蒸着、アルミニウム蒸着のような金属蒸着処理;めっき処理が施されて金属被膜が形成されていてもよい。金属被膜ほどの反射効率でなくてもよい場合には、屈折率の大きな酸化チタンのような白色フィラーや、アルミニウム粉末のような金属フィラーを含有するものであってもよい。それにより、高輝度の発光ダイオード等の光や熱の所為で、黄変してしまうのを、防ぐことができる。
【0069】
シリコーン樹脂基材は、粒系1μm以下の細かなフィラーを用いることにより鏡面状に仕上げることができる。それよりもっと粗いフィラーを用いることにより梨地面状に仕上げることができる。
【0070】
なお、シリコーン樹脂基材は、ジフェニルシロキシ基及び/又はジメチルシロキシ基と、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基、及びジヒドロシリル基から選ばれる少なくとも何れかとを有しているポリシロキサン化合物によって、三次元架橋しているシリコーン樹脂からなるバインダーと、前記ポリシロキサン化合物に少なくとも酸化チタン粉末又はアルミナ粉末を含むフィラーとが含有されて、成形され、420nm以上の反射率は、前記フィラーが前記酸化チタン粉末を含有するときに少なくとも90%であり、前記フィラーが前記アルミナ粉末を含有するときに少なくとも80%であってもよい。
【0071】
また、シリコーン樹脂基材は、前記フィラーが、マグネシア粉末、チッ化アルミニウム粉末、チッ化ホウ素粉末、チッ化ケイ素粉末、グラファイト粉末、カーボン粉末、シリカ粉末、炭化ケイ素粉末、炭化ホウ素粉末、炭化チタン粉末、ムライト粉末、ダイヤモンド粉末、銅粉末、アルミニウム粉末、銀粉末、鉄粉末、レジンパウダー、チタン酸バリウム粉末、シルク、カオリン粉末、酸化鉄粉末、酸化亜鉛粉末、シリカアルミナ粉末、タルク粉末、ガラスファイバー、カーボンファイバー、及び/又は着色剤を含有していてもよい。
【0072】
シリコーン樹脂基材含有製品として、シリコーン樹脂基材を発光ダイオードパッケージに用いた例を示したが、反射膜層を有しないシリコーン樹脂基材を発光ダイオード基板に用いたものであってもよく、また半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板に用いたものであってもよく、それらをケースやハウジングとして用いたパッケージであってもよい。
【実施例】
【0073】
以下に示す通り、本発明を適用するシリコーン樹脂基材と、本発明を適用外のシリコーン樹脂基材とを、様々な条件で試作し、それの様々な物性を比較した。
【0074】
(試験1.曲げ強度測定試験(その1)・硬さ測定試験)
フィラーであるアルミナに対するシランカップリング処理の有無による曲げ強度・硬さの物性についての試験を行った。
【0075】
フィラーであるアルミナA−42−6(昭和電工株式会社製;商品名)を80質量部に、ビニルメトキシシランであるシランカップリング剤SZ6300(東レ・ダウコーニング株式会社製;商品名)の1質量部を、撹拌羽根のあるミキサーによる混合する乾式法によりシランカップリング処理し、シランカップリング剤で被覆されたアルミナのフィラーを調製した。それの300質量部を、バインダーであるシリコーン樹脂KJR632(信越化学工業株式会社製;商品名)の100質量部に充填し、コンプレッション成形により、成形して、硬化物であるシリコーン樹脂基材(試験1:試験基材No.1-1)を得た。この基材について、JIS R1601に準じた曲げ強度試験、及びJIS K6253に準じた硬さ試験を行い、物性を評価した。その結果を表1に示す。
【0076】
一方、フィラーとしてシランカップリング剤処理していないアルミナを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂基材(試験1:試験基材No.1-2)を得た。この基材について、同様にして、曲げ強度試験及び硬さ試験により、強度・硬さの物性を評価した。その結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1から明らかな通り、バインダーとシランカップリング剤で被覆されたフィラーとが混合されつつ含有されて成形されているシリコーン樹脂基材No.1-1の方が、シランカップリング剤を有しないシリコーン樹脂基材No.1-2よりも、曲げ強度及び硬さの点で、優れていた。
【0079】
(試験2.曲げ強度測定試験(その2))
フィラーであるアルミナに対するシランカップリング処理の有無とアルミナの充填量とによる曲げ強度物性についての試験を行った。
【0080】
アルミナの量を、全体量に対し、0質量%、60質量%、75質量%としたこと以外は、試験1と同様にして、シランカップリング処理又は未処理のアルミナを用いたシリコーン樹脂基材を作製し、試験1と同様にして曲げ強度試験を行った。その結果を図2に示す。
【0081】
図2から明らかな通り、シリコーン樹脂基材は、シランカップリング処理したアルミナを多く含有するほど、曲げ強度が増強していたが、シランカップリング未処理のアルミナの含有量に関わらず曲げ強度が殆ど変化しなかった。
【0082】
(試験3.熱伝導率測定試験)
フィラーであるアルミナの含有量毎の熱伝導率の物性についての試験を行った。
【0083】
バインダーであるシリコーン樹脂KJR632(信越化学工業株式会社製;商品名)へ、その全体量に対し、フィラーであるアルミナA−42−6(昭和電工株式会社製;商品名)の0質量%、10質量%、30質量%、50質量%、60質量%、80質量%を夫々充填し、170℃で平板に成形し、シリコーン樹脂基材を得た。それらの熱伝導率を、迅速熱伝導率計(京都電子工業株式会社製;商品名)で測定した。その結果を図3に示す。
【0084】
図3から明らかな通り、フィラーの充填量を多くするほど熱伝導率を向上させることができる。なお、フィラーの種類を変更しても熱伝導率を変化させることもできる。
【0085】
(試験4.線膨張係数測定試験)
フィラーであるアルミナの含有量毎の線膨張係数の物性についての試験を行った。
【0086】
試験1と同様にして、フィラーであるアルミナA−42−6(昭和電工株式会社製;商品名)を80質量部に、ビニルメトキシシランであるシランカップリング剤SZ6300(東レ・ダウコーニング株式会社製;商品名)を、乾式法によりシランカップリング処理し、シランカップリング剤で処理したアルミナのフィラー(添加配合数0、150、300phr:phrはパーツハンドレッドラバー:parts hundred rubber)を夫々調製した。それを、バインダーであるシリコーン樹脂KJR632(信越化学工業株式会社製;商品名)に充填し、コンプレッション成形により、成形して、シリコーン樹脂基材(試験基材No.4-1〜4-3)を得た。この基材について、JIS K7197のプラスチックの熱機械分析による線膨率試験方法を行い、線膨張係数の物性を測定した。その結果を表2、及び図4に示す。
【0087】
【表2】
【0088】
表2及び図4から明らかな通り、フィラーの量が多いほど、またシランカップリング処理したフィラーよりも未処理のフィラーの方が、線膨張係数を低下させることができる。
【0089】
(試験5.透過率測定試験・反射率測定試験)
フィラーであるアルミナ又は酸化チタンの含有量毎の透過率と反射率との物性についての試験を行った。
【0090】
フィラーであるアルミナA−42−6(昭和電工株式会社製;商品名)、又は酸化チタンTTO−51(石原産業株式会社製;商品名)の20質量%、40質量%、60質量%をシリコーン樹脂KJR632(信越化学工業株式会社製;商品名)に夫々充填し、金型を用いたコンプレッション成形により、成形して、硬化物であるシリコーン樹脂基材を得た。夫々の透過率と反射率とを、分光光度計UV−3150(株式会社島津製作所製;商品名)により測定した。その結果を、図5に示す。
【0091】
図5から明らかな通り、フィラーがアルミナであるよりも酸化チタンである方が、シリコーン樹脂基材の透過率が低く、何れも40質量%、60質量%含まれていると、透過率が極めて低く、光の遺漏が殆ど認められない。一方、フィラーがアルミナであるよりも酸化チタンである方が、シリコーン樹脂基材での420nm以上の反射率が高い。フィラーがアルミナである方が酸化チタンであるよりも、低波長での320nm近傍の低波長での反射率が高い。
【0092】
(試験6.表面粗さ測定試験)
フィラーであるアルミナの粒径と表面粗さの物性についての試験を行った。
【0093】
信越化学製シリコーン樹脂KJR632に対して、粒径の異なる1乃至2種のアルミナを、計300phrの割合で充填し、鏡面金型にて成形した成形物(試験6:試験基材No.6-1〜6-6)の表面粗さを測定した。表面粗さ測定は、表面粗さ・輪郭複合測定機(ACCRETECH社製)を用い、JIS−94規格に基づき測定を実施した。その結果を、表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
表3から明らかな通り、アルミナの粒径に応じて、表面粗さを調整することができる。
【0096】
(試験7.熱安定性試験)
シリコーン樹脂基材の熱安定性の物性についての試験を行った。
【0097】
試験1で作製したと同様なシリコーン樹脂製のを作製した。それを、150℃の循環式オーブン内に、クリップで吊るし、100時間、200時間、400時間、700時間、800時間経過後に、全光線透過率を測定した。なお、対照としてエポキシ樹脂製の基を用いた。その結果を図6に示す。図6から明らかな通り、シリコーン樹脂製のは、長期間加熱しても、黄変も透過率低下も起こっていない。一方、エポキシ樹脂製の基は、経時的に長波長側の透過率が低下しており、品質の劣化が認められた。
【0098】
(試験8.紫外線安定性試験)
シリコーン樹脂基材の紫外線安定性の物性についての試験を行った。
【0099】
試験1で作製したと同様なシリコーン樹脂製のを作製した。それを、100mJ/cm/分のブラックランプで紫外線に曝し、24時間、46時間、117時間、208時間経過後に、全光線透過率を測定した。なお、対照としてエポキシ樹脂製の基を用いた。その結果を図7に示す。図7から明らかな通り、シリコーン樹脂製のは、長期間紫外線に曝されても、黄変も透過率低下も起こっていない。一方、エポキシ樹脂製の基は、経時的に長波長側の透過率が低下しており、品質の劣化が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明のシリコーン樹脂基材は、発光ダイオード基板、半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板として、またそれらのパッケージとして用いることができる。
【符号の説明】
【0101】
1はシリコーン樹脂基材、2はシリコーン樹脂のバインダー、3はフィラー、4は反射膜層、5はフィルター、6は発光ダイオード、7は導線、8は窪み、9はレンズ、11はシリコーン樹脂基材含有製品である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7