特許第5989108号(P5989108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989108暗電流又はリーク電流を制御するためのキャパシタを含むフォトダイオード装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989108
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】暗電流又はリーク電流を制御するためのキャパシタを含むフォトダイオード装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20160825BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20160825BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20160825BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   H01L31/10 A
   H05B33/14 A
   H05B33/26 Z
   H05B33/22 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-517789(P2014-517789)
(86)(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公表番号】特表2014-521207(P2014-521207A)
(43)【公表日】2014年8月25日
(86)【国際出願番号】EP2012063038
(87)【国際公開番号】WO2013004746
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年6月22日
(31)【優先権主張番号】1156026
(32)【優先日】2011年7月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(73)【特許権者】
【識別番号】513257535
【氏名又は名称】イソルグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・ベンワディ
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許第2729972(EP,B1)
【文献】 特開2003−258267(JP,A)
【文献】 特表2011−526071(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/152889(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−50/15
H05B 33/00−33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−アノード(4)を形成する第一電極と、
−カソード(10)を形成する第二電極と、
−前記第一電極と前記第二電極との間に提供される活性層(6)と、
−少なくとも一つの第三電極(20、22)と、を含む有機フォトダイオードであって、
第三電極が、第一電極と第二電極との間で活性層において提供され、且つ前記第一電極又は前記第二電極のいずれとも接触しておらず、第三電極が、フォトダイオードの暗電流(Idark)又はリーク電流(Ioff)の少なくとも一部をトラップするために、第一電極と共に、又は第二電極と共に、又は第一電極及び第二電極と異なる第四電極と共に、キャパシタンスのプレートを形成し、有機フォトダイオードが、暗電流又はリーク電流(Ioff)の関数として、前記キャパシタンスの両端に電圧を印加するための電圧供給手段を用いて、第三電極及び/又は第四電極に電力を供給可能にする、トラック及び/又はパッドによって提供される手段、をさらに含む、有機フォトダイオード。
【請求項2】
その上に第一電極(4)及び第二電極(10)が提供される基板(2)を含み、第三電極(20)もこの基板上に提供される、請求項1に記載の有機フォトダイオード
【請求項3】
その上に第一電極(4)が提供される基板(2)を含み、第二電極(10)が活性層(6)上に提供される、請求項1に記載の有機フォトダイオード
【請求項4】
第一電極と第二電極との間で活性層(6)において提供される第四電極(22)をさらに含み、この第四電極が、第三電極(20)と共に、暗電流又はリーク電流(Ioff)の一部をトラップするためのキャパシタンス(26)を形成する、請求項3に記載の有機フォトダイオード
【請求項5】
キャパシタンスのプレートの間の材料が、活性層の材料である、請求項1から4の何れか一項に記載の有機フォトダイオード
【請求項6】
少なくとも第三電極が、誘電材料の一部(30)において密閉される、請求項1から5の何れか一項に記載の有機フォトダイオード
【請求項7】
前記誘電材料の誘電率が、2より大きく、10より小さい、請求項6に記載の有機フォトダイオード
【請求項8】
前記誘電材料が、ポリビニルフェノール、又はポリメタクリレート、又はポリスチレン、又はシリカ、又はアルミナである、請求項6又は7に記載の有機フォトダイオード
【請求項9】
前記活性層がnタイプ及びpタイプの層の混合物である、請求項1から8の何れか一項に記載の有機フォトダイオード
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機光検出器(OPD)又は有機発光器(OLED)にの分野に関するもので、より具体的には、検出タイプの又は発光タイプのフォトダイオードの効率を最適化する問題に取り組むものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、OPDの暗電流(Idark)に関する。
【0003】
OPDは、光線(又は光子)を集め、それらを電流へと変換する。活性層と呼ばれる有機層上に到達する光子は、電子/ホールのペアへと解離するであろう。この電子/ホールのペアは、外部電場の印加によって分離されることになり、電子は陽極によって集められることになり、ホールは陰極によって集められることになるであろう。最適な性能を達成するために、最大限の光子が吸収され、電子/ホールのペアに変換され、最大限の電子及びホールが電極で集められるべきである。
【0004】
最も一般的に使用される構造は、有機及び/又は非有機層の垂直積層体である。
【0005】
図1はこのようなOPDの構造体を示す:
−ガラスの基板2の上に、第一電極、例えばアノードとして機能する、ITOの透明層4が横たわり、それは例えば噴霧によって堆積フレームにおいて作製され、下部電極として使用される、
−その後、電子注入層(EIL、例えばPDOT:PSS)が、例えば真空蒸着によって堆積される、
−nタイプ及びpタイプポリマーの混合物(例えば、PBCM:P3HT)は活性層6(又はボリュームヘテロ接合)と呼ばれ、例えばこれはスピンコーティング、スプレーコーティング等の堆積技術を介して堆積される、
−ホール注入層(HIL、例えばZnO);例えばいわゆる“スピンコーティング”技術によって堆積される、
−最後に、金属層10が上部電極(又はカソード)として用いられ、それは例えば真空蒸着技術、或いはプリンティング技術によって堆積される。
【0006】
このタイプの構造では、両方の電極の内の少なくとも一つは、光を検出できるようにするために透明である(アノード、又はカソード)。
【0007】
また、水平構造と呼ばれる他の一つの構造が図2に示される。
【0008】
その後、アノード4及びカソード10の電極は、基板2の表面で同一のレベルであり、活性層6がそれら両方の間、及び上に提供される。
【0009】
意図された構造に関わらず、活性層6は、真空蒸着を介して堆積された“小さな分子”から作製され得(例えば、nタイプのためのジイミドペリレンと混合された、pタイプのためのTIPS(トリイソプロピルシリルエチニル)分子)、又はウェット堆積(スピンコーティング、ドクターブレード、インクジェット)されたポリマー材料である。
【0010】
一般的に、フォトダイオードは、光場の放射を検出するための、及びそれを電気的シグナルへと変換するための、半導体要素(n+p)であり、反対に、電圧を受けると光子を生成する。フォトダイオードは、例えばpnヘテロ接合、或いはダブルpinヘテロ接合を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0207112号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
いわゆる暗電流はフォトダイオードを介して流れる電流であり、その入力で光が無い場合でさえ、ゼロでないシグナルを引き起こす。図7Aは、電極4、10の間に印加された電圧の関数としての、一方は検出された電流Iの、他方は暗電流Idarkの経過を示す。後者は、検出された光子の吸収以外の物理的なプロセスによって生成される。フォトダイオードの性能は、照明下でのできるだけ高い電流(I)と、できるだけ低いIdark(又は暗電流)によって特徴づけられる。
【0013】
照明下での暗電流と電流との差が、光を検出することを可能にする。検出の鋭敏さを最適化するために、(照明無しでの)暗電流を最小化することが試みられる。
【0014】
同様に、発光器が動作していないときに、迷光が装置を照らし、望ましくない電荷を生成し、リーク電流を形成する。
【0015】
OPDタイプの光検出器における暗電流を、又はOLEDタイプの発光器におけるリーク電流を減少させることが可能な新しい手段を提供することの問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本出願は、第一電極、活性層、第二電極、及び、第一電極及び第二電極の内の一つと共に、又は第四電極と共にキャパシタンスを形成する少なくとも一つの第三電極を含み、新しいタイプの有機フォトダイオードを説明する。
【0017】
言い換えると、キャパシタンスは、第一電極と第三電極との間、又は第二電極と第三電極との間、或いは第一電極及び第二電極と異なる第四電極と第三電極との間に形成され得る。
【0018】
また、フォトダイオードは、アノードを形成する第一電極、活性層、カソードを形成する第二電極、及び第一電極若しくは第二電極、又は第一電極及び第二電極と異なる第四電極に相当する他の一つの電極と共にキャパシタンスを形成する少なくとも一つの第三電極を含むことが説明される。このように形成されたキャパシタンスは、フォトダイオードの暗電流(Idark)又はリーク電流(Ioff)の少なくとも一部をトラップすることが可能である。有機フォトダイオードは、トラップすることが望まれる、(例えば、フォトダイオードが発光器を形成するときは)リーク電流(Ioff)又は(例えば、フォトダイオードが光検出器を形成するときは)暗電流の関数としての、上記キャパシタンスの両端の電圧を調整するための手段をさらに含む。
【0019】
追加のキャパシタンスが、暗電流又はリーク電流の望ましくない電荷の少なくとも一部をトラップすることが可能な追加的な電極、第三電極を用いて、このように装置へと設けられる。この追加的な電極は、追加のキャパシタンスのプレートの内の一つの役割を果たす。他のプレートは、すでに存在している電極の内のいずれか一つの、又は他の一つの追加的な電極である。
【0020】
フォトダイオードが非アクティブモードであるとき、第三電極を含む追加のキャパシタンスは、活性層に存在する、暗電流又はリーク電流の移動する電荷を阻止するために、及びそれらがフォトダイオードの電気回路に到達することを防ぐために、電力が供給される。
【0021】
そのため、フォトダイオードは、二つの電極及び検出用電気回路を形成する活性層を含むものとして説明され、それは、追加のキャパシタンスのプレートの内の一つを作製する活性層において少なくとも一つの第三電極を含むことを特徴とする。これは、検出回路、又はこの回路に並列であるかのいずれかである。
【0022】
検出されるシグナルのレベルの関数として、追加のキャパシタンスの値は調整され得、電流Idark(暗電流)又はIoff(=リーク電流)を調節することを可能にする。
【0023】
異なる実施形態が行われ、そのため、本発明による装置は、
−その上に第一電極及び第二電極が提供される基板であって、この基板上に第三電極も提供される基板(言い換えると、3つの電極は互いに接触することなく、基板に接触し得る)と、
−その上に、例えば前記基板と接触する第一電極が提供される基板であって、第二電極が活性層上に提供され、少なくとも第三電極が、第一電極と第二電極との間で、活性層において提供される基板と、
−第一電極と第二電極との間で活性層において提供される第四電極であって、この第四電極が、第三電極と共に、暗電流又はリーク電流の一部をトラップするためのキャパシタンスを形成する第四電極と、
を含み得る。
【0024】
さらに代替的に、第三電極は、第一電極と共に、又は第二電極と共に、暗電流又はリーク電流の一部をトラップするためのキャパシタンスを形成し得る。
【0025】
意図された実施形態に関わらず、このような装置では、少なくとも第三電極は、誘電材料の一部において密閉され得、その誘電率は好ましくは2と4との間である。この誘電材料は、例えば、ポリビニルフェノール、又はポリメタクリレート、又はポリスチレン、又はシリカ、又はアルミナであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】既知のOPD又はOLED構造を示す。
図2】他の一つの既知の、いわゆる水平OPD又はOLED構造を示す。
図3】新しいOPD又はOLED構造を示す。
図4A】新しい水平タイプのOPD又はOLED構造の動作を示す。
図4B】新しい水平タイプのOPD又はOLED構造の動作を示す。
図5A】新しい垂直タイプのOPD又はOLED構造の動作を示す。
図5B】新しい垂直タイプのOPD又はOLED構造の動作を示す。 [図5C]新しい垂直タイプのOPD又はOLED構造の動作を示す。 [図5D]新しい垂直タイプのOPD又はOLED構造の動作を示す。
図6】誘電体と共にキャパシタンスが活性層内に挿入される構成を示す。
図7A】既知の構造の、(OLEDタイプの発光器の)OPDタイプの光検出器における暗電流(又はリーク電流)、及び測定されたシグナルの経過を示す。
図7B】本発明によるフォトダイオードにおける追加のキャパシタンスの値の関数としての暗電流(又はリーク電流)の経過を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の実施例は、光検出器の場合について説明されることになるが、それらは容易に発光器の場合について置き換えることが可能である。
【0028】
図3は、どちらも基板2上に提供される、第一電極4、第二電極10を含む新しいOPD構造を示す。後者は、硬くてよく(ガラス)、又はフレキシブル(例えばポリマー又は金属)でよい。
【0029】
活性層6は、両方の電極4、10の間に提供される。
【0030】
この活性層6は、例えばnタイプ及びpタイプのポリマーの混合物(例えばPBCM:P3Ht)であり、これは、例えばスピンコーティング、スプレーコーティング等の堆積技術によって堆積された。
【0031】
この装置は、例えば真空蒸着を介して堆積された電子注入層(EIL、例えばPDOT:PSS)、及び/又はホール注入層(HIL、例えばZnO)をさらに含み得、例えばいわゆる“スピンコーティング”技術によって堆積された。
【0032】
ここで、
−PDOT:PSSは、ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルホン酸を意味し、
−PBCMは、フェニルブレティリック(Phenylbretiric)酸エステルを意味し、
−P3HTは、ポリ3−ヘキシルチオフェンを意味する。
【0033】
アノード4を形成することを意図した、電極の内の一つは、透明材料であり(例えばITO)得るが、Cナノチューブ、又は導電性ポリマー材料でもあり得る。それは例えば堆積フレームにおいて噴霧を介して堆積される。
【0034】
カソード10を形成することを意図した他の電極は、真空蒸着によって堆積され得る。それは例えばアルミニウム、又はフッ化リチウムとアルミニウムとの混合物であり得る。
【0035】
また、第三電極20が、両方の電極4、10の間で基板2上に提供される。この第三電極は、第一電極4と共に、図3において符号24によって象徴されるキャパシタンスを形成する。この第三電極の組成、及び/又は形成技術は、任意の他の電極のものと同一又は同様であり得る。
【0036】
(これらは断面図であるため、)図面において示されてはいないが、それぞれの電極をパッドへと接続する接続があり、供給手段を用いてそれらに電極を供給することを可能にしている。
【0037】
暗電流を制御するために、このキャパシタンス24は、両方の電極4、20の間に電圧を印加することによって電極が供給される。このキャパシタンスは、活性層6の電荷をトラップすることによって、OPDのアノード4とカソード10との間で、暗電流の少なくとも一部の流れを阻止する。
【0038】
このキャパシタンス24の両端に印加される電圧の値は、程度の差はあるが効率的にそれを阻止するために、暗電流レベルの関数として、調整され得る(このことは、これらの電圧が非常に低く、それらは照明下での動作を乱さないため、このキャパシタンスの両端に印加される電圧が第二の役割を果たす、という以下における主張と矛盾するものではない)。
【0039】
このような装置の動作を説明するために、図4Aにおいて、既知のタイプのOPD構造が、上述の第三電極20無しで、概略的に示される。暗電流Idarkは、アノード4からカソード10へと流れる。
【0040】
図4Bは、第三電極20と共に、上述の構造を形成するOPD構造を概略的に示す。暗電流Idarkは、アノード4から第三電極20へと流れ、それはカソード10には到達しない。入射光が光検出器によって集められるとき、測定されたシグナルにおける暗電流の成分は、図4Aの場合に対して減少される。
【0041】
図3において示される構造は、水平タイプのものである。
【0042】
しかし、図5A及び図5Bに概略的に示されるように、垂直構造も実施され得る。
【0043】
両方の電極4、10は、活性層6のいずれかの側に提供され、それらの全ては基板2上に置かれている。電極及び活性層に関して上記ですでに示唆された材料はここで用いることも可能である。
【0044】
図5Aの構造において、第三電極20、及び第四電極22は、第一電極4と第二電極10との間で、活性層6において提供され、後者に対して実質的に平行である。両方のこれらの電極20、22は、活性層6において実質的に同一のレベルでさらに提供され、つまり、それらのそれぞれと、両方の他の電極4、10のそれぞれとの間に実質的に同一の距離がある。前と同じように、電極は、トラック(tracks)及び/又は電気パッドと接続され、電圧供給手段を用いてそれらに電力を供給することを可能にする。
【0045】
これらは両方とも、その後キャパシタンス26を形成することになる活性層6のこれらの内部電極20、22であり、光検出器としての装置を作動する際に、暗電流Idarkの少なくとも一部を集めることを可能にするであろう。
【0046】
図5Bの構造において、第三電極20は、活性層6において、第一電極4と第二電極10との間で提供され、後者と実質的に平行である。前と同じように、電極はトラック、及び/又は電気パッドと接続され、電圧供給手段を用いてそれらに電力を供給することを可能にする。
【0047】
そして、これらは、キャパシタンス28を形成するであろう両方の電極10、20(又は、4及び20)であり、光検出器としての装置を作動する際に、暗電流Idarkの少なくとも一部を集めることを可能にする。
【0048】
上述されてきた実施例において、それは、その両方のプレート4、20、又は10、20、又は20、22の間で、キャパシタンス24、26、又は28の材料を形成する活性層6の材料である。
【0049】
図6において示される、水平タイプの構造の代替案において、第三電極20は、誘電体層30において密閉され、それは活性層6によって被覆される。
【0050】
上述のように、同様の暗電流を集める効果が達成されるが、この場合、誘電材料30は、活性層における電荷の回収を改善するために、キャパシタンス22の誘電率を適合させることを可能にする。
【0051】
例えば:
−誘電率ε=2を備える厚さe=50nmを有する誘電材料30の層がある場合、キャパシタンスは低くなり、少数の電荷を引き付けるのみであろう、
−誘電率ε’=20を備える厚さe’=50nmを有する誘電材料30の層がある場合、キャパシタンスによってトラップされる電荷の量は、以前の場合よりも多くなり、システムの効率も改善されるであろう。
【0052】
2から10の間の誘電率eを備える誘電材料30が好ましくは選択される。さらに好ましくは、活性層6に対して優れた化学的親和性を有する材料が選択され、堆積時における濡れ性の問題を回避することが可能である。
【0053】
例えば、誘電材料30として、ε=4から6を備えるPVP(ポリビニルフェノール)、又はε=2.8から4.6を備えるPMMA(ポリメタクリレート)、又はε=3を備えるポリスチレン、又はε=4を備えるシリカでさえ、又はε=8を備えるアルミナが用いられ得る。
【0054】
一般的に、上述されたような構造において、追加的な電極20、22の内の少なくとも一つによって形成されるキャパシタンスは、伝導に対するブレーキとして機能する。
【0055】
このキャパシタンスの値に応じて、暗電流のレベル及び値は、減少、又は増加し得る。このことは、所望の検出しきい値を調整するため、及び得るために非常に興味深い傾向がある。
【0056】
例えば、追加のキャパシタンス24、26、28の増加する値が用いられ得(例えば、増加した領域を有する、又は増加した誘電率εを有する、又は増加した電圧を印加するキャパシタンスを選ぶ)、それに応じて残りの暗電流が調節され得る。
【0057】
こうして、図7Bにおいて、異なるキャパシタンスC〜Cに関して、電圧の関数として、暗電流の経過が示され、キャパシタンスC(i=2〜6)は、キャパシタンスCi−1よりも大きい。(例えば、C=1pF、C=2pF、C=5pF、C=10pF、C=15pF、C=20pF)。キャパシタンス値の増加と共に暗電流が減少することが注目される点である。
【0058】
比較すると(図7A)、追加的な電極の無い既知のタイプの装置は、所与の電圧に関して、調整できない単一の暗電流を有する。
【0059】
キャパシタンス24、26、28のプレートの寸法は実際、所望のキャパシタンスC=εS/dの値を与える(d=厚さ、ε=電極と、プレートのS領域との間の材料を形成する誘電体の誘電率)。
【0060】
図3図5B、又は図6等の構造において、追加的なプレート20は、電極4、10の間での導電を遮断するために、電極4、10(図3から6における電極4、図5Bにおける電極10)の内の一つと非常に近接して好ましくは配される。電極20の寸法は変化することができる。これは例えば、約100μm(又は、例えば50μmと500μmの間)の、基板2の表面に対して平行な平面において測定された長さ、及び、数マイクロメートルと数十マイクロメートルとの間の、例えば1μmと50μmの間の、例えばさらに、10μmと等しい、又は近い、基板2の表面に対して平行な同一の平面において測定された幅を有し得る。これらの寸法は、電極20が、電極4又は10と共に、十分なキャパシタンスCを形成できるように選択されるであろう。典型的には、1pFから50pFまでのキャパシタンスの値Cが用いられ得る。そのため、第三電極20(及び/又は第四電極22)は少なくとも50μmの領域を有すし得る。有利には、電極は、可能な限り大きい領域を有するために、指状の形状を有し、光子の放出又は発光時に妨害を回避することを可能にする。それらの厚みは、可能な限り小さくなるであろう。例えば、10nmから30nmの間の厚さが、特に金に関して、選択されるであろう。
【0061】
それぞれの追加の電極20、22は好ましくは、それと共に追加のキャパシタンス24、26又は28を形成することになる電極に対して平行、又は同一の平面に配される。しかし、より一般的には、それらの相対的な配置は、それらがこの追加のキャパシタンスを形成可能であるという条件付きで、任意の配置であり得る。
【0062】
キャパシタンスの両方の電極の間に印加される電圧は、それがフォトダイオードに印加される電圧と比較して非常に低いため、二次的な役割を果たす。そのため、外部電圧が例えば1mVと1V(±1V)の間で印加され得、一方で、ダイオードは1Vと10Vの間の電圧を受ける、又は供給するであろう。
【0063】
複数の追加のキャパシタンスが、同一のフォトダイオード、例えば異なる電圧発生器において用いられ得るが、フォトダイオード当たり一つだけのキャパシタンスを用いることがよりシンプルである。
【符号の説明】
【0064】
2 基板
4 アノード、第一電極
6 活性層
10 カソード、第二電極
20 第三電極
22 第四電極
24、26、28 キャパシタンス
30 誘電体層、誘電材料
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B