(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989118
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】二重経路型の平行過熱器
(51)【国際特許分類】
F22G 3/00 20060101AFI20160825BHJP
F22G 5/12 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
F22G3/00 A
F22G5/12 B
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-527145(P2014-527145)
(86)(22)【出願日】2012年6月21日
(65)【公表番号】特表2014-527152(P2014-527152A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】US2012043477
(87)【国際公開番号】WO2014018000
(87)【国際公開日】20140130
【審査請求日】2015年3月18日
(31)【優先権主張番号】61/499,253
(32)【優先日】2011年6月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/528,208
(32)【優先日】2012年6月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509106500
【氏名又は名称】ザ・バブコック・アンド・ウイルコックス・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Babcock&Wilcox Company
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・イー・ヒックス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ジェイ・グリース
【審査官】
吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−213504(JP,A)
【文献】
特開平09−060810(JP,A)
【文献】
特開平5−280705(JP,A)
【文献】
特開平6−147410(JP,A)
【文献】
米国特許第03139869(US,A)
【文献】
米国特許第03139068(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22G 1/00 − 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重経路型の平行過熱器(20)であって、
蒸気を送るようになっているドラム(30)にして、前記蒸気用の分離状態の第1及び第2経路に開口するドラム出口を含むドラムと、
ドラムに相対する蒸気受け用装置と、
前記ドラムから蒸気を受けるようになっており、且つ、受けた蒸気を過熱して前記蒸気受け用装置(32)方向に送る前記第1経路を形成する第1表面(22)と、
前記ドラムから蒸気を受けるようになっており、且つ、受けた蒸気を過熱して前記蒸気受け用装置(32)方向に送る前記第2経路を形成する第2表面(24)にして、前記第2経路が前記第1経路と平行位置に位置付けられる第2表面と、
を含み、
前記第1及び第2の各経路がその中間ステージ位置に噴霧温度低減器(26、28)を有し、
前記第1及び第2の各経路が過熱器出口位置で再合流され、
各前記第1表面(22)及び第2表面(24)が各々過熱用表面を含み、
前記第1経路及び第2経路が、前記ドラム出口と過熱器(20)の出口との間で分離状態に維持され、かくして、各前記第1及び第2の経路を流れる蒸気が個別に過熱され、最大蒸気温度とされた後に再合流され、
前記過熱器出口から前記蒸気受け用装置(32)に向けて単一量の過熱蒸気を送るように位置決めされた、前記再合流された流れ用の経路を更に含む二重経路型の平行過熱器。
【請求項2】
ドラム(30)に相対する蒸気受け用装置(32)と、
前記第1表面(22)が、蒸気を前記蒸気受け用装置(32)方向に送る構成を有し、
前記第2表面(24)が、蒸気を前記蒸気受け用装置(32)方向に送る構成を有し、
前記第1及び第2の各表面(22、24)が、前記単一量の蒸気流れを前記蒸気受け用装置(32)方向に送る構成を有する請求項1に記載の二重経路型の平行過熱器。
【請求項3】
蒸気を過熱する方法であって、
前記蒸気を送るようになっているドラム(30)を提供すること、
前記ドラム(30)と相対する蒸気受け装置(32)を提供すること、
前記蒸気を受け且つ送るようになっている第1経路を形成する第1表面(22)を提供すること、
前記蒸気を受け且つ送るようになっている第2経路を形成する第2表面(24)にして、前記第2経路が前記第1経路と実質的に平行に構成される第2表面を提供すること、
前記ドラム(30)からの第1の量の蒸気を前記第1経路の方向に送ること、
前記ドラム(30)からの第2の量の蒸気を前記第2経路の方向に送ること、
前記第1経路に沿って前記第1の量の蒸気を過熱すること、
前記第2経路に沿って前記第2の量の蒸気を過熱すること、
前記第1の量の蒸気を前記第1経路から離れる前記蒸気受け装置(32)方向に送ること、
前記第2の量の蒸気を前記第2経路から離れる前記蒸気受け装置(32)方向に送ること、
を含み、
各前記第1表面及び第2表面が各々過熱用表面を含み、
前記第1の量の蒸気及び第2の量の蒸気が過熱中に分離状態に維持され、
前記第1経路から送られる第1の量の蒸気と、前記第2経路から送られる第2の量の蒸気とが再合流されて前記蒸気受け用装置(32)に送られる単一の第3の量の蒸気を形成するよう、前記第1経路から送られる第1の量の蒸気が前記第2経路から送られる第2の量の蒸気と混合されるように送られる方法。
【請求項4】
前記第1経路の中間ステージ位置に噴霧温度低減器(26)が設けられる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2経路の中間ステージ位置に噴霧温度低減器(28)が設けられる請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記ドラム(30)内の蒸気がドラム出口位置で前記第1経路と第2経路とに分岐され、前記第1経路及び第2経路内の蒸気が、各前記経路内で個別に最大蒸気温度とされた後に過熱器出口位置で再合流される請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第1経路の中間ステージ位置に噴霧温度低減器(26)を提供すること、
前記第2経路の中間ステージ位置に噴霧温度低減器(28)を提供すること、
を含み、
各前記噴霧温度低減器(26、28)が前記第1及び第2経路内の蒸気温度を個別に制御し、前記第1及び第2経路内の蒸気温度が同一温度に個別に制御され、
前記第1及び第2経路内の蒸気が、前記制御により同一温度とされた後に再合流される請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記ドラム(30)内の蒸気がドラム出口位置で前記第1及び第2経路に分岐され、前記第1及び第2経路内の蒸気が過熱器出口位置で再合流される請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、制御及び効率的様式下に蒸気搬送を有効に増大させる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のボイラは、一般に、その温度及び又は蒸気流れ(容積)を増大させる必要がある。過熱器を横断する圧力低下は蒸気容積を増大させるに従い大きくなる。大きな圧力低下は容積増大の制限因子になることがある。そのため、過熱器全体を定期的に交換して圧力低下を小さくする必要がある。
【0003】
代表的シナリオでは、オペレーターが蒸気流れの増大(例えば、543.4kpph)を要求する。標準的プラクティスでは過熱器は、蒸気が唯一の経路により過熱され得るような構成とされる。蒸気を増大量の蒸気で過熱するための表面が追加される。
図1には従来の単一経路型の直列過熱器用の代表的な構成が番号10で示され、増大容積分を処理する新規の表面12が既存の表面14に追加されている。蒸気を表面12及び14に送るドラム16と、表面12及び14から最終的に蒸気を受けるタービン18とが設けられる。
以下の表1は
図1により画定される各位置での蒸気の予想温度及び圧力を表す。
【0004】
【表1】
【0005】
望ましい出口圧力値は1300psig(ゲージ圧での8963.5kPa)、望ましい出口温度は900°F(482.2℃)である。
蒸気温度制御用の第1及び第2の各噴霧温度低減器が、2つの中間位置、即ち、位置B及びC間と、位置D及びE間に配置される。従来構成では最大蒸気温度は噴霧温度49°F(9.4℃)との合計で得られると予測される。しかしながら、従来構成では目標出口圧力1300psig(ゲージ圧での8963.5kPa)を達成し得ない。達成し得る最大出口圧力は1236psig(8522.22kPa)に過ぎない。この場合の伝統的な対応策は既存表面における平行蒸気流れ経路数を増やすことである。そのためには既存の加熱器管路、加熱器ヘッダ、ルーフシール、等の全てを交換する必要があり、煤ブロワキャビティの再配置を要することもある。
かくして、既存の加熱器の交換を要することなく蒸気量を増大させることに対する要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の加熱器の交換を要することなく蒸気量を増大させる二重経路型の平行過熱器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、蒸気送達用のドラム、ドラムに相対する蒸気受け用装置、ドラムから受けた蒸気を、蒸気受け用装置に送る以前に過熱する第1及び第2の各経路を提供する第1及び第2の各表面、を含む二重経路型の平行加熱器が提供される。第1及び第2の各経路に沿って噴霧温度低減器も設けられる。
【0008】
本発明によれば、蒸気をドラム出口位置で2つの経路に分岐させるシステム及び方法が提供される。一方の経路は過熱器の既存の表面により画定され、他方の経路は炉にオーバーハングする新規の表面により画定される。各経路は噴霧温度低減器により個別に制御され、個別に最大蒸気温度を達成する。各流れは過熱器出口位置で単一経路に再合流される。本発明の二重経路型平行過熱器(以下、DPPS)によれば、既存の過熱器の交換を要することなく蒸気量を増大可能である。
【発明の効果】
【0009】
既存の加熱器の交換を要することなく蒸気量を増大させる二重経路型の平行過熱器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、従来の単一経路型の直列過熱器の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の二重経路型の平行過熱器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2を参照するに、本発明に従う二重経路型の平行過熱器(DPPS)が示され、その構成上、蒸気を過熱させる2つの平行経路を有している。
図2のDPPS構成では増大容積を処理する新規表面22が本来の表面24に追加される。
従来構造における如く、表面22及び24に蒸気を送るドラム30と、表面22及び24からの蒸気を最終的に受ける蒸気受け用装置32とが設けられる。
以下の表2には、
図2に示す位置A1−A4及びB1−B4での予測蒸気温度及び圧力が示される。
【0013】
望ましい出口圧力は1300psig(ゲージ圧での8963.5kPa)であり、望ましい出口温度は900°F(482.2℃)である。
図2では2つの経路が反映され、経路AはA1−A4に配置され、経路BはB1−B4に配置される。各経路は、蒸気温度を制御するための噴霧温度低減器を1つの中間ステージ位置に有する。
【0014】
図2に示すように、経路Aは位置A1−A4を含み、中間ステージ噴霧器である噴霧温度低減器26を利用するために側部を連ねて配置され、他方、新規に組み込む必要のあるバンクは1つのみで良い。噴霧温度低減器26は位置A2とA3との間に位置付けられる。噴霧温度低減器26は蒸気温度を制御し、低蒸気流れに固有の高い金属温度を低下させる。
【0015】
経路Aのバンク内の各管はSA213−T22等の鋼配合物製のものであり得、出口側脚部用には複数のステンレス鋼管を用い得る。更には、本発明の並列設計上、高温蒸気は、煙道ガスが最高温度にある炉の前方部に再導入されるため新規加熱表面の必要数が最小化される。
【0016】
経路Bは位置B1−B4を含み、ユニットの既存の過熱器表面と、位置B2及びB3間に位置付けた既存の中間ステージ噴霧器である噴霧温度低減器28とを再利用する。噴霧温度低減器28は蒸気温度を制御し、低蒸気流れに固有の高い金属温度を低下させる。経路Bのバンクの金属は経路Aと同様に当業者に周知の材料製のものであり得る。経路Bの一次過熱器の出口列材料は例外であり、これら出口列は一般にステンレス鋼製管に交換する必要がある。
【0017】
経路A及びBは個別に最大蒸気温度を達成する。経路Aにおける噴霧マージンは41°F(約5℃)であり、経路Bでのそれは61°F(約16.1℃)である。経路A及びBからの蒸気は同一温度に制御された後、再合流して単一の出口流れを形成する。
【0018】
平行な経路A及びBは降圧量が同一となる設計とされる。この構成は、先ず、新規表面のヘッダをサブドリリングする、あるいは、既存の表面にオリフィス付きダッチマン(orificed−Dutchman)を組み込むことで実現し得る。ヘッダのサブドリリング及びオリフィス付きダッチマンの組み込みは斯界に知られた技法である。しかしながら、ユニットが汚染され噴霧流れが変化するに従い、各ラインでの圧力損失が変化し得る。制御手段としてのトリムバルブをラインの少なくとも一部に組み込み得る。圧力低下の動的調節可能なため、各経路における蒸気流れが設計通りに維持され得る。かくして、蒸気の温度及び圧力も設計通りに維持され得る。
【0019】
本発明には数多くの利益がある。本発明は容量増大を図る工業ボイラ用のものである。蒸気量が増大するとドラム及び過熱器出口間の降圧量が増大する。新規の所望蒸気量が十分多い場合、出口圧力を維持するために、追加の流れ経路を有する新規の過熱器が必要となる。既存の過熱器の条件に拘わらず新規表面が必要となる。そのため、オペレーターは各管をその寿命以前に廃棄する、あるいは、その経費の高さ故にプロジェクト全体を放棄せざるを得ない場合がある。本発明のDPPSによれば、既存表面を交換する必要無く蒸気流れを増大させ得る。
【0020】
オペレーターは、交換費用を掛ける前に可能な限り既存設備を最大限利用しようと努力し続ける。これは、既存設備の運転条件が良好である場合は特にそうである。本発明では既存表面が再利用されるためオペレーターとって経費節減となる。本発明によれば、伝統的解決策よりずっと低コストで蒸気増大要求を満足させ得る。本発明には、多くの異なる表面構成に適用可能である点で用途上の融通性がある。
【0021】
本発明のDPPS構成は、これに限定しないが、製紙業のプロセスリカバリー用ボイラ、スターリング式発電ボイラ、を含む幾つかのボイラ形式、廃棄物−エネルギー用途、バイオマス燃焼テクノロジー、に適用可能である。
上記表1及び2を比較すると、本発明のDPPS構成では増大蒸気流れはその所望の出口圧力を維持しつつ目標蒸気温度に制御され得ることが示される。
【0022】
DPPSはその設計上、増大流れ条件下において、出口圧力を低下させずに既存の過熱器表面を再利用する能力、表面を従来設計における以上には加熱せずに最大蒸気温度を達成する能力、各蒸気経路を横断しての圧力降下を制御する能力、を提供する。
増大流れ条件を処理する別法には、出口圧力の低下、既存の過熱器(管、ヘッダ、ルーフシール等)の除去、追加の平行流路を備える新規表面の組み込み、が含まれる。
別態様では、容量増大の全てあるいは一部が運転温度の増大により得られる。それらの実施例では、ここで説明した方法を、所望の過熱器出口温度を維持しつつ所望の圧力降下を維持するために更に用い得る。以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0023】
22、24 表面
26、28 噴霧温度低減器
30 ドラム
32 蒸気受け用装置