(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記のセグメント化された脂肪族ポリウレタンが、脂肪族ウレタンセグメントに連結したポリエステル又はポリエステル−カーボネート鎖セグメントに共有結合したポリオキシアルキレングリコール鎖を含む、請求項6に記載の現場ゲル形成組成物。
前記のポリエステル又はポリエステル−カーボネート鎖セグメントがε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p−ジオキサノン、1,5−ジオキセパン−2−オン、1−ラクチド、dl−ラクチド、グリコリド、モルホリンジオン及びそれらの組合せによって示される群から選択される少なくとも1種の環状モノマーから誘導される、請求項7に記載の現場ゲル形成組成物。
前記の脂肪族ウレタンセグメントがヘキサメチレンジイソシアネート、リジン誘導ジイソシアネート及びシクロヘキサンビス(メチレンイソシアネート)より成る群から選択される少なくとも1種のジイソシアネートから誘導され、1:0.6〜1:1.4のプレポリマー:ジイソシアネート比(w/w)を有する、請求項6に記載の現場ゲル形成組成物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳しい説明
以下の詳しい説明は、当業者が本発明を実行することを可能にするために示したものである。説明の目的で、本発明の充分な理解を提供するために特定の名称を記載する。しかしながら、これらの特定の詳細が本発明を実施するために必須というわけではないとことは、当業者には明らかであろう。特定応用例の記載は、代表的な例として提供しただけである。好ましい実施形態に対する様々な変更が当業者には容易にわかるだろう。ここに規定した一般原理は本発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態及び応用例に適用できる。
【0012】
矛盾する場合、定義を含めて本明細書が支配である。長年の特許の法律の慣習に従い、特許請求の範囲を含めて本明細書で用いた時の単数形は、「1種又は2種以上の」を意味するものとする。
【0013】
用語「有効量」とは、組織、系、動物又は人間における生物学的又は医学的応答(例えば研究者や医師によって求められ又は望まれるもの)を引き起こす医薬又は製薬活性成分の量を意味する。さらに、用語「有効量」とは、この量を摂っていない対応患者と比較して次の結果:改善された処置、疾病、異常、症候群、病状、愁訴(complaint)若しくは障害の治癒、予防若しくは解消、又は副作用の予防又は疾病、愁訴若しくは障害の進行の減速:を有する量を意味する。用語「有効量」とはまた、正常な生理的機能を高めるのに有効な量も包含する。
【0014】
別段の記載がない限り、ここで用いられるすべての技術及び科学用語は、ここに開示される主題事項が属する分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を持つ。ここに記載したものと同様又は同等の任意の方法、装置及び材料を、ここに開示される主題事項の実行又は試験に用いることができるが、代表的な方法、装置及び材料をここに開示する。
【0015】
現場ゲル形成組成物
本発明の1つの局面は、1種又は2種以上の吸収性ポリマーと、NMP、ポリエチレングリコール、DMSOのような溶剤と、随意としての1種又は2種以上の生物活性物質とを含む注入可能なゲル形成組成物に関する。この組成物は、注入可能であり、且つ、処置部位において水性環境と接触するとヒドロゲル又は半固体状物を形成するものである。この組成物は、(1)様々な血管の疾患、例えば冠動脈及び末梢動脈疾患、動脈瘤並びに末梢静脈の疾患、(2)血管形成術及びステンティングのような医療処置によって引き起こされる血管の異常、並びに(3)局所的癌治療のようなその他の適用先の処置に用いることができる。
【0016】
吸収性ポリマー
前記の1種又は2種以上の吸収性ポリマーは、NMPやポリエチレングリコール、DMSO等の溶剤と混和性であって且つ水性環境と接触するとヒドロゲル又は半固体状物を形成することができる任意の吸収性ポリエステル/ポリエーテルコポリマー又はポリエステル/ポリエーテルコポリマーの混合物であることができる。
【0017】
ここで用いた時、用語「吸収性ポリマー」又は「生物分解性ポリマー」とは、植え付けた部位における生理学的環境との相互作用の際に化学的又は物理的プロセスによって分解することができ、且つ、期間内、例えば数日、数週間又は数か月間で浸食され又は溶解するポリエステルコポリマーを指す。吸収性又は生物分解性ポリマーは、体内において一時的な機能、拡張蛇行静脈を閉じたり、管腔を支持又はシールしたり、薬剤を送出したりといった機能を果たし、その後に減成又は分解して代謝又は抽出可能な成分になる。
【0018】
前記の1種又は2種以上の吸収性ポリマーは、線状又は分岐状の形にあることができる。ある実施形態において、前記の1種又は2種以上の吸収性ポリマーは、親水性ブロック(ここでは「Y」と示す)と比較的疎水性のポリエステルブロック(ここでは「X」と示す)とを有する分子鎖を含む。疎水性ブロックX及び親水性ブロックYはより好ましくは次式:X−Y−X又は(X−Y)
nを有する分子構造及びその分岐構造を含む。特に好ましくは、疎水性ブロックXは、親水性ポリマー前駆体(即ちY)のヒドロキシル又はアミノ基上にグリコリド、ラクチド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン、トリメチレンカーボネート又はそれらの組合せをグラフトさせることによって形成されるポリエステルを含み;親水性ブロックYは、ポリオキシエチレン、ポリ(オキシエチレン−b−オキシプロピレン)、ポリペプチド ポリアルキレンオキサメート、多糖及びその誘導体;又は線状若しくは分岐状形態でオキサレート若しくはスクシネート官能基に連結された液状の高分子量ポリエーテルグリコールを含む。
【0019】
ここで用いた時の用語「疎水性ブロック」とは、可変長さの吸収性ポリエステル鎖ブロック又はセグメントであって、単離された形で存在するのであれば25℃未満のT
gを有するほとんど非晶質(5%未満の結晶化度)又は完全に非晶質の材料を作り、好ましくは室温において粘性液体であるものを指す。疎水性ブロック(X)は、この分野において周知の化学のコポリマー状セグメント、例えば環状ラクトン(たとえはグリコリド、1−ラクチド、dl−ラクチド、εカプロラクトン、p−ジオキサノン、トリメチレンカーボネート)、ポリアルキレンオキサレート等から成るものを含む。より一層好ましくは、疎水性セグメント又はブロックXは、ラクチド/グリコリドコポリマー(1−又はdl−ラクチド51〜80%)を含む。
【0020】
ここで用いた時の用語「親水性ブロック」とは、単離された形で存在するのであれば水溶性であるポリマーブロック又はセグメントを指す。親水性ブロック又はセグメントYは、ポリ(オキシエチレン)を、もっと高級の同族体(例えばポリ(オキシプロピレン)−ポリペプチド、ポリアルキレンオキサメート、多糖及びその誘導体)である少量成分と共に又はなしで、含む。親水性ブロックの長さ及びその重量分率は、ゲル形成速度、そのモジュラス、その含水率、それを通過する生物活性薬剤の拡散率、その周囲組織への粘着性、及び生体吸収性を調節するために、変更することができる。
【0021】
ここで用いた時の用語「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル状物」とは、水を吸収及び/又は保持する傾向が高く、性状的に逆転可能な物理的架橋を通じて機械的完全性を維持する材料を指す。
【0022】
ここで用いた時の用語「半固体]又は「半固体状物」とは、いくつかの点で固体と同様である(例えば、それ自身の重量を支えて、その形状を維持することができる)がしかし同時にいくつかの液体の特性(例えばそれに圧力を加えるものに対する形状適合性や、加圧下での流動可能性)も持つ材料を指す。
【0023】
別の実施形態において、前記の1種又は2種以上の吸収性ポリマーは、この分野における任意の周知技術(例えば、末端スクシニル化及び末端アセチル化等)によって形成されたカルボキシル末端基を随意に含む。これは、生物学的に活性な物質又は薬剤の吸収性ポリマーへのイオン結合を促進して、薬剤放出を調整できるようにする。この生物学的に活性な物質又は薬剤は、不溶性の形態(例えば(1)微粒子分散体、(2)吸収性微孔質微粒子上への表面付着コーティング、及び/又は(3)吸収性微孔質微粒子の用面上へのイオン結合分子の形態)で、吸収性ポリマー上に存在するのが好ましい。
【0024】
別のある実施形態において、前記の1種又は2種以上の吸収性ポリマーは、セグメント化された脂肪族ポリウレタンであって、脂肪族ウレタンセグメントに連結した、ポリエステル又はポリエステル−カーボネート鎖セグメントに共有結合したポリオキシアルキレングリコール鎖を含む前記のセグメント化された脂肪族ポリウレタンを含む。このポリオキシアルキレングリコール鎖は、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシトリメチレン及びオキシテトラメチレン繰返し単位で代表される群から選択される少なくとも1つのタイプのオキシアルキレンシーケンスを含む。ある実施形態において、このポリオキシアルキレングリコール鎖は、200〜1200ダルトンの平均分子量を有する。別の実施形態において、このポリオキシアルキレングリコール鎖は、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 500、PEG 600、PEG 700、PEG 800、PEG 900、PEG 1000及びそれらの誘導体である。前記のポリエステル又はポリエステル−カーボネート鎖セグメントは、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、p−ジオキサノン、1,5−ジオキセパン−2−オン、1−ラクチド、dl−ラクチド、グリコリド、モルホリンジオン及びそれらの組合せで代表される群から選択される少なくとも1種の環状モノマーから誘導される。前記脂肪族ウレタンセグメントは、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジン誘導ジイソシアネート及びシクロヘキサンビス(メチレンイソシアネート)より成る群から選択される少なくとも1種のジイソシアネートから誘導される。
【0025】
ある実施形態において、前記のセグメント化された脂肪族ポリウレタンは、20〜49/80〜51、好ましくは25〜40/75〜55、特に好ましくは30〜40/70〜60のエーテル/エステル質量比を有する。別の実施形態において、前記のセグメント化された脂肪族ポリウレタンは、1:0.5〜1:1.4の範囲のプレポリマー/ジイソシアネート質量比を有する。1つの実施形態において、前記のセグメント化された脂肪族ポリウレタンは、1:0.66、1:0.8又は1:1.2のプレポリマー/ジイソシアネート質量比を有する。
【0026】
別の実施形態において、前記の1種又は2種以上の吸収性ポリマーは、比較的低速吸収性のセグメント化されたポリエーテル−カーボネート−ウレタン(PECU)を含み、これは、次の特徴の内の1つ又は2つ以上を有するものである:(a)水中で20%未満の溶解度を示すか又は水中溶解性を示さない;(b)約50℃において液状であるように作られている;(c)10kDaを超える重量平均分子量を有する;(d)水性環境中で膨潤して、少なくとも3%の体積増加をもたらす;(e)NMPやポリエチレングリコール、DMSO等の溶剤中に混和性で、水性生物学的部位に導入された時にゲル形成する注入可能な配合物として用いるのが容易である。
【0027】
別の実施形態において、前記の1種又は2種以上の吸収性ポリマーは、比較的迅速吸収性のセグメント化された脂肪族ポリエーテル−エステルウレタン(PEEU)及びポリエーテル−カーボネート−エステルウレタン(PECEU)を含む。1つの実施形態において、この比較的迅速吸収性のセグメント化された脂肪族PEEU及びPECEUは、次の特徴の内の1つ又は2つ以上を有するものである:(a)水中で制限された(20%未満の)溶解度を示すか又は水中溶解性を示さない;(b)約50℃において液状であるように作られている;(c)10kDaを超える重量平均分子量を有する;(d)水性環境中で膨潤して、少なくとも3%の体積増加をもたらす;(e)NMPやポリエチレングリコール、DMSO等の溶剤中に混和性で、水性生物学的部位に導入された時にゲル形成する注入可能な配合物として用いるのが容易である。
【0028】
さらに別の実施形態において、前記の1種又は2種以上の吸収性ポリマーは、セグメント化された脂肪族ポリエーテル−エステルウレタン(APEEU)及びポリエーテル−エステル−カーボネートウレタン(APEECU)を含む。典型的なAPEEU及びAPEECUは、ポリオキシアルキレン鎖(例えばポリエチレングリコール及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロック又はランダムコポリマーから誘導されるもの)がポリエステル又はポリエステル−カーボネートセグメント(トリメチレンカーボネート、c-カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、p−ジオキサノン、l,5−ジオキセパン−2−オン及びモルホリンジオンで代表される群から選択される少なくとも1種のモノマーから誘導されるもの)に共有結合し且つ1,6−ヘキサメチレン、1−4−シクロヘキサン、シクロヘキサン−ビス−メチレン、1,8−オクタメチレン又はリジン誘導ジイソシアネートから誘導される脂肪族ウレタンセグメントに連結したものを含む。
【0029】
別の実施形態において、前記吸収性ポリマーは、吸収性ポリエステルコポリマー又はその混合物を含む。好適な吸収性ポリエステルコポリマーには、以下のものが包含されるが、これらに限定されるわけではない:ラクチド/グリコリドコポリマー、カプロラクトン/グリコリドコポリマー、ラクチド/トリメチレンカーボネートコポリマー、ラクチド/グリコリド/カプロラクトントリポリマー、ラクチド/グリコリド/トリメチレンカーボネートトリポリマー、ラクチド/カプロラクトン/トリメチレンカーボネートトリポリマー、グリコリド/カプロラクトン/トリメチレンカーボネートトリポリマー、及びラクチド/グリコリド/カプロラクトン/トリメチレンカーボネートターポリマー。
【0030】
ある実施形態において、前記ポリエステルコポリマーは、ラクチド/グリコリドモル比が60〜90/40〜10であるラクチド/グリコリドコポリマーである。
【0031】
溶剤
前記ゲル形成ポリマーは、注入可能な液状配合物を形成するために、溶剤中に溶解せしめられる。好適な溶剤には、NMP、ポリエチレングリコール(例えばPEG 400及びPEG 200)、DMSO、酢酸メチル、酢酸エチル、エタノール及びカプロラクトンモノマーが包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0032】
ポリマー対溶剤の比
ポリマー対溶剤の比は、生物活性物質の溶解性、その意図される放出部位並びに好ましいゲル化速度及び放出速度に合わせて、調節することができる。1つの実施形態において、ポリマー対溶剤(w/w)比は、約5:95〜55:45の範囲、好ましくは20:80〜50:50w/wの範囲である。ある実施形態において、溶剤はNMPを含み、ポリマー対溶剤(w/w)比は10:90〜50:50、10:90〜20:80、又は15:85〜30:70の範囲である。別の実施形態において、溶剤はPEGを含み、ポリマー対溶剤(w/w)比は50:50〜70:30の範囲である。別の実施形態において、溶剤は酢酸メチル及び/又は酢酸エチルを含み、ポリマー対溶剤(w/w)比は10:90〜50:50の範囲である。別の実施形態において、溶剤はカプロラクトンモノマーを含み、ポリマー対溶剤(w/w)比は40:60〜60:40の範囲である。さらに別の実施形態において、溶剤はDMSOを含み、ポリマー対溶剤(w/w)比は70:30〜90:10の範囲である。
【0033】
生物活性物質
注入可能なゲル形成組成物は、1種又は2種以上の生物活性物質の調節放出のためのビヒクルとして用いることができる。かかる生物活性物質の非限定的な例には、抗真菌剤、抗細菌剤及び抗生物質、抗炎症剤、免疫抑制剤、免疫賦活剤、防腐剤、麻酔薬、栄養剤、抗酸化剤、リポ多糖錯化剤、過酸化物、細胞/組織成長因子、抗新生物及び抗癌剤が包含される。
【0034】
抗真菌剤の非限定的な例には、ポリエン抗真菌剤、アゾール抗真菌薬及び、エキノカンジンが包含される。
【0035】
抗細菌剤及び抗生物質の非限定的な例には、エリスロマイシン、ペニシリン、セファロスポリン、ドキシサイクリン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、トブラマイシン、クリンダマイシン及びマイトマイシンが包含される。
【0036】
抗炎症剤の非限定的な例には、ケトロラク、ナプロキセン、ジクロフェナクナトリウム及びフルルビプロフェン等の非ステロイド系抗炎症薬が包含される。
【0037】
免疫抑制剤の非限定的な例には、グルココルチコイド、アルキル化剤、代謝拮抗物質、並びにシクロスポリンやタクロリムス等のイムノフィリンに作用する薬剤が包含される。
【0038】
免疫賦活剤の非限定的な例には、抗体、TNFα、VEGF、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、トール様レセプター(TLR)アゴニスト、サイトカインレセプターアゴニスト、CD40アゴニスト、Fcレセプターアゴニスト、CpG含有免疫刺激性核酸、補体レセプターアゴニスト、又はアジュバントが包含される。
【0039】
防腐剤の非限定的な例には、クロルヘキシジン及びチベゾニウムヨージドが包含される。
【0040】
麻酔薬の非限定的な例には、リドカイン、メピバカイン、ピロカイン、ブピバカイン、プリロカイン及びエチドカインが包含される。
【0041】
抗酸化剤の非限定的な例には、抗酸化剤ビタミン類、カロチノイド及びフラボノイドが包含される。
【0042】
リポ多糖錯化剤の非限定的な例には、ポリミキシンが包含される。
【0043】
過酸化物の非限定的な例には、過酸化ベンゾイル及び過酸化水素が包含される。
【0044】
細胞成長促進因子の非限定的な例には、上皮成長因子、ヒト血小板由来TGF-β、内皮細胞増殖因子、胸腺細胞活性化因子、血小板由来成長因子、線維芽細胞増殖因子、フィブロネクチン又はラミニンが包含される。
【0045】
抗新生物/抗癌剤の非限定的な例には、パクリタキセル、カルボプラチン、ミコナゾール、レフルナミド及びシプロフロキサシンが包含される。
【0046】
ある治療形態においては、同じ送出システム、即ち本願発明の現場ゲル形成システムにおいて、物質/薬剤の組合せが最適な効果を得るのに有用であり得ることが認められている。従って、組み合わされた効果を提供するために例えば抗細菌剤と抗炎症剤とを単一のコポリマー中で組み合わせることができる。
【0047】
ある実施形態において、現場ゲル形成組成物はさらに、拡張蛇行静脈の治療用の硬化剤(sclerosant)を含むことができる。ある実施形態において、この硬化剤は、ポリドカノール、テトラデシル硫酸ナトリウム又はその両方を含む。別の実施形態において、現場ゲル形成組成物はポリドカノールを0.2%〜5.0%(w/w)、0.2%〜1.0%(w/w)、0.5%〜1.5%(w/w)、0.5%〜2.5%(w/w)、1.0%〜2.0%(w/w)、2.0%〜3.0%(w/w)、3.0%〜4.0%(w/w)又は4.0%〜5.0%(w/w)の量で含む。関連実施形態において、この組成物はさらに、血管収縮薬を含む。血管収縮薬の非限定的な例には、3−(4,5−ジヒドロ−lH−イミダゾール−2−イルメチル)−2,4−ジメチル−6−t−ブチル−フェノール(以下においては「オキシメタゾリン」と称する)、エピネフリン、ノルエピネフリン、レボフェド(levophed)又はドーパミンが包含される。ある実施形態において、血管収縮薬はオキシメタゾリンである。別の実施形態において、血管収縮薬は、投与後少なくとも8時間、10時間又は12時間効き目がある長時間作用性の血管収縮薬である。さらに別の実施形態において、組合せは、硬化剤と血管収縮薬との両方を含む。
【0048】
固体状吸収性キャリヤー
ある実施形態において、現場ゲル形成組成物は、1種又は2種以上の生物活性物質を担持するための固体状吸収性キャリヤー(担体)をさらに含む。生物活性物質/薬剤は、固体状吸収性キャリヤー上に全部又は一部だけ付着させることができる。ある実施形態において、固体状吸収性キャリヤーは、吸収性の微孔質低分子量ポリエステルであって、高結晶質で、現場ゲル形成組成物の吸収性ポリマー中にほとんど不溶性のものである。
【0049】
1つの実施形態において、現場ゲル形成組成物は、固体状キャリヤーと吸収性ポリマーとを20/80の重量比で含み、このキャリヤーは、0.70〜0.95の固体割合、0.5〜200ミクロンの平均粒子寸法及びカルボキシル含有鎖を持つ低分子量の微孔質ポリグリコリドである。高濃度の鎖上カルボキシル基は、開始剤としてジ−又はポリカルボン酸を用いて固体状キャリヤーを調製することによって、達成できる。固体状キャリヤー上に付着した物質は、多段階の放出プロファイルを示すことができ、この放出プロファイルは次のもの:
(a)現場ヒドロゲルを通した可溶性の遊離薬剤の単純な迅速拡散;
(b)固体状キャリヤーの細孔中に収容された可溶性の遊離薬剤の遅い拡散;及び
(c)イオン結合した分子のイオン交換によるカルボキシル化A鎖の鎖末端又は固体状キャリヤーの表面(外側及び孔の両方)における薬剤の放出:
を含む。現場ゲル形成組成物中の固体状キャリヤーの濃度を変えることによって、物質の流動特性及び放出プロファイルを調整することができる。
【0050】
ある実施形態において、吸収性キャリヤーは、調節された薬剤送出のために、生物分解性ポリ乳酸(PLA)マイクロスフェアのようなマイクロスフェア又はナノ粒子を含む。その他の好適な生物分解性ポリマーには、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)、ポリ−ε−カプロラクトン(PCL)、乳酸−ε−カプロラクトンコポリマー(PLCL)、ポリジオキサノン(PDO)、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)、ポリ(アミノ酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル及びそれらのコポリマーが包含されるが、それらに限定されるわけではない。前記のマイクロスフェア又はナノ粒子は、1種又は2種以上の生物活性物質の存在下で重合条件下においてモノマー混合物を、重合生成物中に生物活性物質が取り込まれるように、重合させることによって、調製することができる。
【0051】
他の成分
注入可能なゲル形成組成物は、時期尚早な重合に対する安定剤(例えばヒドロキシキノンやブチル化ヒドロキシアニソール)及び所望のpHを維持するための緩衝剤のような他の成分をさらに含むことができる。
【0052】
粘度
ある実施形態において、本発明の現場ゲル形成組成物は、37℃、好ましくは25℃又は室温において、液体又は半液体の形にある。ある実施形態において、現場ゲル形成組成物は、室温において液状であり、従来の硬化療法操作にとって標準的/典型的なシリンジ針やカテーテルを通して容易に投与することができる。
【0053】
ある実施形態において、現場ゲル形成組成物は、室温において注入可能な液体である。以下において、用語「注入可能な液体」とは、針やシリンジ、カテーテルなどの医療分野において通常用いられる注入装置を通して受け手に投与することができる液体を指す。ある実施形態において、注入可能な液体は、過度の力を必要とすることなく10ゲージの針を通して液体を投与することを可能にする粘度を有する。別の実施形態において、注入可能な液体は、過度の力を必要とすることなく30ゲージの針を通して液体を投与することを可能にする粘度を有する。ある実施形態において、注入可能な液体は、約1cP〜約1000cP、約1cP〜約300cP、約1cP〜約100cP、約1cP〜約30cP、約10cP〜約300cP、約10cP〜約100cP、約30cP〜約300cP又は約30cP〜約100cPの範囲の粘度を有する。
【0054】
ゲル化速度及び吸収速度
本発明の現場ゲル形成組成物は、処置部位における迅速なゲル化のために配合される。ある実施形態において、現場ゲル形成組成物は、処置部位において1〜120秒、1〜5分、5〜15分又は15〜30分でヒドロゲル又は半固体状物を形成することができる。ある実施形態において、現場ゲル形成組成物は、処置部位において15秒、30秒、60秒又は90秒以内にヒドロゲル又は半固体状物を形成する。ある実施形態において、ゲル化時間は、視覚的に注入と固体塊の形成との間の時間を観察することによって、決定される。水性環境に曝された時に、溶液の希釈剤/溶剤部分から硬化したポリマー状ヒドロゲル又は半固体状物が沈殿して離脱するのが視覚的に検出できる。ゲル化速度は、1種又は2種以上のゲル化促進剤を現場ゲル形成組成物に加えることによって、調節することができる。ゲル化促進剤としての働きをすることができる化合物には、コラーゲン、トロンビン、活性化した血小板、キトサン、フィブリノゲン及び抗繊維素溶解薬が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0055】
別の実施形態において、本発明の現場ゲル形成組成物は、処置部位における遅い分解のために配合される。ある実施形態において、本発明の現場ゲル形成組成物は、様々なポリマー形態の利用を通じて、1〜3週間、1〜3か月、3〜6か月、又は6〜12か月の分解時間となるように配合される。
【0056】
現場ゲル形成組成物は、様々な血管用途のために配合することができる。ある実施形態において、現場ゲル形成組成物は硬化剤を含み、静脈閉塞の硬化療法のために配合される。別の実施形態において、現場ゲル形成組成物は、コラーゲン、トロンビン、活性化した血小板、キトサン、フィブリノゲン又は抗繊維素溶解薬を含み、出血をコントロールするために塞栓措置において用いるために配合される。別の実施形態において、現場ゲル形成組成物は化学療法薬剤を含み、局所的癌治療用の化学塞栓措置のために配合される。別の実施形態において、現場ゲル形成組成物はパクリタキセル、シロリムスゾタロリムス又はラパマイシンを含み、血管形成術後の再狭窄を最小限に抑えるための薬剤の局所的放出のために配合される。さらに別の実施形態において、現場ゲル形成組成物は、タイプI及びタイプIIのリークを防ぐための動脈瘤の血管内修復に適した1種又は2種以上の生物活性物質を含み、タイプI及びタイプIIのリークを防ぐための動脈瘤の血管内修復に対する付加物として配合される。動脈瘤の血管内修復に適した生物活性物質の非限定的な例には、コラーゲン、トロンビン、活性化した血小板、キトサン、フィブリノゲン又は抗繊維素溶解薬が包含される。
【0057】
処置方法
本発明の別の局面は、本発明の現場ゲル形成組成物を用いて様々な疾病及び異常を処置するための方法に関する。この方法は、かかる処置を必要とする対象中に、1種又は2種以上の吸収性ポリマー、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ポリエチレングリコール又はDMSO等の溶剤及び随意としての1種又は2種以上の生物活性物質を含む有効量の現場ゲル形成組成物を注入する工程を含み、この現場ゲル形成組成物は、処置部位において水性環境と接触するとヒドロゲル又は半固体状物を形成するものである。
【0058】
ある実施形態において、この方法は、血管の疾患又は異常の処置に関する。血管の疾患及び異常の非限定的な例には、冠動脈及び末梢動脈疾患, 動脈瘤, 及び末梢静脈疾患、並びに血管形成術及びステンティング等の医療処置によって引き起こされる血管の異常が包含される。別の実施形態において、この方法は、クモ状静脈、クモ状毛細管拡張症、網状脈、網状静脈瘤、細静脈拡張症、支流拡張蛇行静脈、隆起拡張蛇行静脈、静脈支流、拡張蛇行伏在静脈又はそれらの組合せ等の末梢静脈の疾患の処置に関する。この処置は、浮腫、皮膚の変化、潰瘍、拡張蛇行静脈の後遺症、打撲、汚染(staining)、血栓形成、捕捉血液(trapped blood)、血餅又はそれらの組合せ等の拡張蛇行静脈の疾患に関連する症状を防止又は改善する。これらの症状は、圧迫ストッキングを用いることなく防止又は改善されるのが好ましい。
【0059】
別の実施形態において、この方法は、静脈奇形、動静脈奇形、クリッペル−トルノーネイ症候群、動脈瘤、動脈瘤修復後のエンドリーク、脳動脈瘤、腫瘍、(外傷からの)ひどい出血、癌又はそれらの組合せの処置に関する。
【0060】
別の実施形態において、この方法は、化学療法薬剤を含む現場ゲル形成組成物を用いた癌又は腫瘍の処置に関する。
【0061】
癌の非限定的な例には、肺癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌、膵臓癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌(liver cancer)、膀胱癌、尿路癌、肝癌(hepatoma)、乳癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、肝癌(hepatic carcinoma)、肛門癌、陰茎癌、黒色腫、脳腫瘍および関連する転移が包含される。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、塞栓措置の間の出血をコントロールするための方法に関する。この方法は、1種又は2種以上の吸収性ポリマー、NMP、ポリエチレングリコール又はDMSO等の溶剤、及び1種又は2種以上の生物活性物質を含む有効量の現場ゲル形成組成物を塞栓部位において投与する工程を含み、この現場ゲル形成組成物は、処置部位において水性環境と接触するとヒドロゲル又は半固体状物を形成するものである。好適な生物活性物質には、コラーゲン、トロンビン、活性化した血小板、キトサン、抗繊維素溶解薬、ビタミンK、フィブリノゲン及び血液凝固因子が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0063】
別の実施形態において、本発明は、血管形成術後の再狭窄を最小限に抑えるための方法に関する。この方法は、1種又は2種以上の吸収性ポリマー、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ポリエチレングリコール又はDMSO等の溶剤、及び1種又は2種以上の生物活性物質を含む有効量の現場ゲル形成組成物を血管形成術の部位において投与する工程を含み、この現場ゲル形成組成物は、処置部位において水性環境と接触するとヒドロゲル又は半固体状物を形成するものである。好適な生物活性物質には、パクリタキセル、シロリムスゾタロリムス及びラパマイシンが包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0064】
さらに別の実施形態において、本発明は、タイプI及びタイプIIのリークを防ぐための動脈瘤の血管内修復のための方法に関する。この方法は、1種又は2種以上の吸収性ポリマー、NMP、ポリエチレングリコール又はDMSO等の溶剤、及び動脈瘤の血管内修復に好適な1種又は2種以上の生物活性物質を含む有効量の現場ゲル形成組成物を動脈瘤の部位において投与する工程を含み、この現場ゲル形成組成物は、処置部位において水性環境と接触するとヒドロゲル又は半固体状物を形成するものである。動脈瘤の血管内修復に好適な生物活性物質には、コラーゲン、トロンビン、活性化した血小板、キトサン、フィブリノゲン又は抗繊維素溶解薬が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0065】
本発明の別の局面は、薬剤送出方法に関する。この方法は、1種又は2種以上の吸収性ポリマー、NMP、ポリエチレングリコール又はDMSO等の溶剤、及び1種又は2種以上の生物活性物質を含む生物分解性マイクロスフェア又はナノ粒子を含む有効量の現場ゲル形成組成物を対象中に投与する工程を含み、この現場ゲル形成組成物は、処理部位において水性環境と接触するとヒドロゲル又は半固体状物を形成するものである。
【0066】
キット
本発明の別の実施形態は、本発明の現場ゲル形成組成物及びこの現場ゲル形成組成物をどのように使用するかについての取扱説明を含むキットに関する。1つの実施形態において、このキットは、前記現場ゲル形成組成物を予充填シリンジ又はバイアル中に包装された状態で含む。
【実施例】
【0067】
以下の実施例によって本発明をさらに例示するが、これら実施例は、限定的意味を持つものと解釈すべきではない。本願明細書全体を通じて引用されたすべての文献、特許及び公開特許出願の内容及び図面は、参照によってここに取り入れられる。
【0068】
例1:ポリエーテル−エステルウレタンの合成及び特徴付け:一般的方法
PTFEコーティング電磁式撹拌棒を備えた500ミリリットルの三つ口丸底フラスコ中に、初期装填用に、ポリ(エチレングリコール)(M
n=400Da)及び2−エチルヘキサン酸スズ(II)を加えた。この内容物を70℃に加熱し、10分間撹拌した。2番目の装填用に、dl−ラクチド及びグリコリドを加え、内容物を135℃に加熱した。ほとんど完全なモノマーの転化が達成されるまで、条件を維持した。電磁式撹拌棒を取り除き、ステンレス鋼製機械式撹拌機に置き換えた。ポリマーを室温まで冷ました。3番目の装填用に、1,6−ジイソシアナトヘキサンを加え、内容物を完全な混合が達成されるまで撹拌した。内容物を撹拌し、100℃に加熱した。1.25時間、条件を維持した。ポリマーを室温まで冷まし、次いで同部のテトラヒドロフラン中に溶解させた。ポリマー溶液を55℃において5ミリリットルの2−プロパノールで処理し、次いで冷水中で沈殿させた。精製されたポリマーを回転式蒸発器を用いて55℃において一定重量になるまで乾燥させた。精製されたポリマーを、移動相としてテトラヒドロフランを用いたGPCによって分子量について特徴付けした。FT−IR及びNMRによって同定及び組成確認をした。
【0069】
例2:例1から得られたポリウレタン組成物を用いた生物活性配合物の調製及び評価:一般的方法
例1の生成物のアリコート(4.5g)を50℃に加熱し、次いでその温度において分子量400Daのポリエチレングリコール(PEG−400)(4.4g)と充分に混合した。混合されたポリマーを室温に達するまで放置し、次いでエタノール中の薬剤溶液と予混合されたPEG−400の第2のアリコート(1.1g)と充分に混合した。薬剤放出の研究を実施する前に、最終配合物を減圧下で乾燥させてエタノールを蒸発させた。それぞれの配合物中の特定薬剤の放出プロファイルを、緩衝溶液及びHPLCを用いて実施した。
図1に、いくつかの試験配合物からのドキシサイクリンの例示的放出曲線を示す。
【0070】
上記の説明は、本発明の実施の仕方を当業者に教えることを目的としたものであり、この説明を読んだ当業者に明らかとなるすべての自明な変更や変法を詳述しようとするものではない。しかしながら、このような自明な変更及び変法のすべてが、以下の実施形態によって規定される本発明の範囲内に含まれるものとする。この実施形態は、別段の記載がない限り、意図される目的に適合するのに有効な任意の順序の成分及び工程をカバーすることを意図するものである。さらに、出願人は、ここに開示したすべての範囲のすべての部分的範囲をここに開示する。これらの部分的範囲もまた、本発明を実施するに当たって有用である。