特許第5989131号(P5989131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989131
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】電動負圧ポンプの始動制御の方法
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/00 20060101AFI20160825BHJP
   B60T 8/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B60T17/00 C
   B60T8/00 Z
【請求項の数】12
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-547810(P2014-547810)
(86)(22)【出願日】2012年11月27日
(65)【公表番号】特表2015-500768(P2015-500768A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2012073734
(87)【国際公開番号】WO2013092132
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年6月18日
(31)【優先権主張番号】102011088974.4
(32)【優先日】2011年12月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】カルベック・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シッケ・ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】メルクル・クリスティアン
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−167072(JP,A)
【文献】 特開平08−295230(JP,A)
【文献】 特開2006−044314(JP,A)
【文献】 特開2000−125587(JP,A)
【文献】 米国特許第05518373(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第10021479(DE,A1)
【文献】 独国特許出願公開第19647940(DE,A1)
【文献】 特開2008−068747(JP,A)
【文献】 特開平07−290937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 17/00
B60T 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御システムによる、車輌のブレーキ力補助/ブレーキ力増加の為の負圧システムの為の電動負圧ポンプの始動の制御の為の方法であって、始動が、少なくとも二つの異なる始動モードに従い行われることができる、つまり一つの標準モードと少なくも一つの特別モードに従い行われることができる方法であって、
・ 標準モードにおいては、負圧ポンプが非パルス式に供給電圧に接続され、
・ 特別モードにおいては、負圧ポンプが動的かつパルス式に供給電圧に接続され、
およびその際、始動の為の負圧ポンプの運転パラメータ及び/又は周辺パラメータが、以下の条件(a)から(i)の少なくとも一つを満たすとき、負圧ポンプの始動が、特別モードにおいて行われ、そうでないとき始動は標準モードでおこなわれる方法。
(a)負圧ポンプの温度が、一つの閾値T_pよりも低いとき。
(b)電気制御部の温度が、一つの閾値T_eよりも低いとき。
(c)電気制御部の出力ドライバーの温度が、一つの閾値T_lよりも高いとき。
(d)負圧ポンプの静止時間が、一つの閾値T_szよりも長く、その際、静止時間が、始動の時点に時間的に直接先行するとき。
(e)負圧ポンプが覚醒の後、または端子交換の後、いまだ運転されていなかったというウェークアップマネジメント情報が示されるとき。
(f)周囲温度が閾値T_uよりも低いとき。
(g)負圧ポンプの始動の際の実際の始動速度/始動回転数が、ひとつの閾値y_pの下にあるとき。
(h)負圧システム中で計測された負圧が、ひとつの閾値p_vac_thよりも低いとき。
(i)負圧ポンプの始動の際の負圧システム中で計測される負圧の進行変化が、一つの閾値p_vac_grad_thよりも上にあるとき。
【請求項2】
周辺パラメータ及び/又は運転パラメータが、段階的閾値及び/又は閾値の予設定可能な組合せを下回るまたは上回るとき、複数の異なる始動モードが使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
特別モードにおける負圧ポンプの駆動が、既にある期間T_enhの間行われ、及び/又は、好ましくは、負圧ポンプ回転数、実際の電流/電流推移、負圧ポンプ温度、負圧/負圧勾配の値に基づく、負圧ポンプが通常のパラメータ内で動いているという表示が存在すると、即座に特別モードを離れることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
所定の始動時間t_aの間、負圧ポンプの駆動が、各所定の時間T_onおよびT_offを有するオン/オフサイクルから成るパターンに従い行われ、その際、時間T_onおよびT_offが周辺条件に応じて変化することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
時間T_onが、供給電圧の値に応じて選択され、その際T_onが、低い供給電圧値の際に、高い供給電圧値の際よりも長く選択されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
時間T_onが、実際に計測された負圧ポンプ電流及び/又は負圧ポンプの出力ドライバーの温度に応じて可変に選択されることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
時間T_offが、電気制御部の実際に計測された温度T_e及び/又は出力ドライバー温度に応じて可変に選択されることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
時間T_onおよびT_offが、始動の実際の期間に応じて変化され、その際、好ましくは始動の開始の後の増加する時間Tと共に、時間T_onが長くなり、および時間T_offが短くなり、その際、好ましくは全期間T_on+T_offが可変であることを特徴とする請求項4から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
時間T_onおよびT_offが一つのモデルによって、または一つのフィールドによって決定されることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
時間T_onが、およそ数秒のオーダーであり、時間T_offがおよそ数百ミリ秒のオーダーであることを特徴とする請求項4から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
稼働された特別モードにおいて予設定可能な期間の後、走行情報、好ましくは音響的警告及び/又は視覚的警告が出力されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
稼働された特別モードにおいて予設定可能な期間の後、上位配置された走行システムが情報を受けるので、上位配置された走行システムが緊急運転プログラムを実施することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の負圧システムの為の電動負圧ポンプの始動の制御の為の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術から、電動真空ポンプ(負圧ポンプ)が公知である。これらは、自動車(乗用車)中で、従来の方法(ガソリンエンジンにおけるエンジン吸入による負圧、またはディーゼルエンジンにおける機械的負圧ポンプによる負圧)を置き換えるまたは補足するために使用される。この負圧は、車両中で特にブレーキ力補助/ブレーキ力増加の為に必要とされる。
【0003】
電動負圧供給システムを使用する理由の一つは、明らかに低いエネルギー消費である。というのは、ポンプエネルギーは実際の負圧の要求の際にのみ供給されるからである。
【0004】
安全上の理由から、電動負圧供給システムにおいては、他のシステムにおいてと同様に、如何なる時も負圧が供給されることが可能である必要がある。よって、電動負圧ポンプを、如何なるときも正確に運転することができる必要がある。これは特に負圧ポンプの始動を含む。
【0005】
様々な周辺条件に基づいて、種々の運転状況において、負圧ポンプの始動が変更された動的挙動に至るということが可能である。
【0006】
例えば、所定の状況においては、負圧ポンプを「ゆっくりと」始動することが可能である。これは、電気駆動の理由から、高い始動電流に通じる。これは、再び、駆動される電気的ユニット(例えばリレーボックス、ECU、...)における熱エネルギー発生の上昇に通じる。
【0007】
このエネルギー浪費は、デザインにおいて駆動する電気ユニットの設計の際に考慮される必要があり(部材選択、基板レイアウト)、また供給システムの設計の際にも考慮される必要がある(例えばジェネレーター、バッテリー、配線)。
【0008】
現在のシステムは、「ワーストケース」要求に対する供給システムまたは部材を設計する。この事は当然、
a)部材における高い要求に基づく高コストと
b)高い負担に基づく短縮された寿命
を意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
よって本発明の課題は、そのような電動負圧ポンプの始動制御の為の一つの方法を提示することである。当該方法は、始動フェーズにおける可能な限り低いエネルギー消費のもと、始動の際の負圧ポンプの駆動の為の部材に対して、とりわけ高くない要求を与える。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、発明に従い、独立主請求項に記載の特徴によって解決される。
【0011】
発明に従い、電動負圧ポンプの標準モードにおける始動か、または特別モードにおける始動が代替的に意図される。
【0012】
標準モードは、その際、通用の運転方式に相当する。この運転方式では、負圧ポンプは特別な制御、調整、またはパルス無しに供給電圧に接続される。
【0013】
しかし特別モードでは、負圧ポンプは中断なくではなくて、パルス式に、つまり時間的にインターバル式に供給電圧に接続される。これによって、標準モードにおける始動の際よりも(平均として)明らかに低い電流が負圧ポンプ始動の際に図られる。
【0014】
両始動モード間の選択は、発明に従い周辺パラメータ(例えば温度)に基づいて、及び/又は負圧ポンプの運転パラメータ(例えば以前の静止時間)に基づいて行われる。
【0015】
これらが、望まれないほど高い電流摂取を伴う標準モードの始動に通じる恐れがあるとき、始動の為に通常のモードでなく、特別モード(または特別モードの一つ)が選択され、これによって電流摂取が標準モードに対して減少される。
【0016】
このような本発明に係る方法によって、エネルギー浪費が明らかに減少されるが、しかし負圧ポンプシステムは同時に、負圧ポンプシステムが、例えば暖められ、そして再び通常の運転パラメータに移行するよう要求を受ける。
【0017】
本発明の形態に従い、有利には以下のパラメータが、周辺パラメータ及び/又は運転パラメータとして使用されることが可能である。その際、これらは個々に、または組合せとして使用可能である。
【0018】
特別モードにおける始動は、以下の場合に実施される。
a)負圧ポンプの温度が、一つの閾値T_pよりも低い、
b)ECUの温度または電気制御部(エンジン制御部/負圧ポンプモーター制御部)の温度が、一つの閾値T_eより低い、
c)負圧ポンプの駆動の為の出力ドライバーの温度が、一つの閾値T_lよりも高い、
d)負圧ポンプの静止時間が、一つの閾値T_szよりも長い、
e)負圧ポンプがウェークアップの後、または端子交換の後、未だ運転されていないことを示すウェークアップマネジメント情報が出力される、
f)周囲温度が、一つの閾値T_uよりも低い、
g)負圧ポンプスタートの際の実際の始動速度が、一つの閾値V_pよりも下にある、
h)測定された負圧が、一つの閾値p_vac_thよりも下にある、
i)負圧ポンプスタートの際の実際の負圧勾配が、一つの閾値p_vac_grad_thよりも上にある。
【0019】
よって、負圧ポンプの始動の為のモードの選択のための重要なパラメータとして、特に、負圧ポンプの温度、ECUの温度、出力ドライバーの温度、負圧ポンプの静止時間、ウェークアップマネジメント情報、周囲温度、(例えばホールセンサー、またはモデルによって決定される、例えば負圧ポンプの実際の電流消費または負圧ポンプ電流による)負圧ポンプの始動速度、測定された負圧、負圧の勾配が使用される。これら全ての記載された条件は、任意に(及び/又は)関連づけられることが可能である。
【0020】
これら全ての負圧の考察は、ネガティブに考察されるべきであるという点注意されたい。つまり、一つの高い負圧は、周囲圧に対するより大きな圧力差を意味し、そして一つの負の圧力勾配は、負圧の構築を意味する。
【0021】
本発明の別の有利な形態に従い、各閾値が、場合によっては異なる段階的な複数閾値へ拡張されることも可能である。これらは其々異なる始動モードに通じる。
【0022】
同様に、条件の異なる組合せもまた、異なる始動モードに通じることができる。
【0023】
本発明の別の有利な形態に従い、以下の場合にはすぐに特別モードを離れる。
a)特別モードにおける負圧ポンプの駆動が、すでに期間T_enhだけ行われている、
b)システム中に、負圧ポンプが、通常のパラメータ、例えば負圧ポンプ回転数、実際の電流/電流推移、負圧ポンプ温度、負圧/負圧勾配で動いているという表示がある、
c)負圧ポンプ動作の要求がもはや。
上述した全ての条件は任意の方法で(及び/又は)関連づけられることが可能である。
【0024】
負圧ポンプ始動制御(制御の概念は、オープンループ/クローズドループ制御を含む)は、選択された特別モードに応じて選択される。その際、標準モードにおいては、常に、負圧ポンプの簡単な稼働(例えば出力エレクトロニックの静的接続)を根底に置く。
【0025】
特別モードでは、本発明の別の有利な形態に従い、出力エレクトロニックの動的接続(パルス)が以下のように選択的に行われることが可能である。
a)所定の駆動時間t_aの間、各所定の時間T_onおよびT_offを有するオン/オフサイクルからなるパターンが駆動される。
b)時間T_onおよびT_offは、周囲条件に応じて変化可能であり、有利にはT_onは、供給電圧、例えば車両の電気供給システムの運転電圧に応じて、(一次的依存性またはフィールドによって)変化可能であるので、T_onは低い運転電圧のもとでは延長される。
c)T_offは、実際に計測された負圧ポンプ電流に基づいて、または出力ドライバー温度に基づいて変化を受けることが可能であり、及び/又は
d)時間T_onおよびT_offは、それ以前の始動の期間に応じて、または駆動推移の期間に応じて変化を受けることが可能であるので、有利には、負圧ポンプ稼働のスタート後の増加する時間Tと共に時間T_onは延長、時間T_offは短縮され、その際全期間T_on+T_offも同様に可変であることが可能である。
【0026】
本発明の別の有利な形態に従い、時間挙動は、一つのモデル、またはフィールドによって決定される。
【0027】
本発明の別の有利な形態に従い、時間T_onまたはT_offのオーダーは数秒または100msの領域にある。
【0028】
本発明の別の有利な形態に従い、安全重要性に基づいて、選択された特別モードの場合(負圧ポンプは全性能で動いておらず/負圧は十分に提供されない)、走行情報、音響的、視覚的またはこれらが組み合わされた警告、例えばインストルメンタルパネル内における示唆、音響的チャイム、または警告灯が出力される。
【0029】
本発明の別の有利な形態に従い、安全重要性に基づいて、選択された特別モードの場合(負圧ポンプは全性能で動いておらず/負圧は十分に提供されない)、上位配置された走行システムが情報を受ける結果、これらはある種の緊急運転プログラムへと移行する(例えばエンジントルク減少、マスターシリンダにおける液圧ポンプによるブレーキ圧構築、オートマチックトランスミッションにおけるギア段制限等)。
【0030】
よって、電動負圧ポンプの始動制御のための本発明に係る方法は、負圧ポンプを駆動するエレクトロニクスの設計を、コスト面で安価に、スペース節約的に、エネルギー面で効率的に、かつ温度依存せず設計することを可能とし、その際負圧ポンプの機能提供性を減少することが無い。同時にコンポーネントの寿命は、より低い要求の結果延長される。
【0031】
本発明は、パラメータ考慮のもと簡単な駆動を、ハードウェアに対する追加的コストが発生せず、同時に、自動車産業の技術的特徴、例えばEMV値が、運転領域に保たれることができるよう行うことを可能とする。
【0032】
以下に本発明のいくつかの実施例を添付の図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】標準モードと特別モードの間の一段階の選択の為の例示的フローチャート。
図2】標準モードと複数の始動モードの間の複数段階の選択の為の例示的フローチャート。
図3】特別モードにおける負圧ポンプのパルス式のエネルギー供給の時間的推移の例示的図。
図4】別のパルス時間を有する例示的な、他の特別モードの図3に相当する図。
図5】可変パルス時間を有する別の例示的特別モードの図3に相当する図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、自動車の負圧システム中における負圧の発生の為の図には表されていない電動負圧ポンプの始動の制御の為の特別モードと標準モードの間の、発明に係る一段選択の為のフローチャートが例示的に示されている。
【0035】
始動の際の負圧ポンプの望まれない大きなエネルギー摂取を防止するために、これは代替的に、負圧ポンプの通常の運転モードに相当する一つの標準モード、または少なくとも一つの特別モードとすることが可能である。この特別モードは、負圧ポンプの始動フェーズにおける電気的エネルギー摂取が、望まれず高くなってしまうことが無いよう最適化されており、およびこのモード中では、負圧ポンプが、パルス式に電気的エネルギー源に接続される。
【0036】
このモードの選択の為に、負圧ポンプの始動の際、発明に従い負圧ポンプの運転パラメータ及び/又は周辺パラメータが考慮される。
【0037】
そのような特別モードの一つの簡単な例は、図1に示唆されている。負圧ポンプのスタートの前に、この例では周囲温度が確認され、および一つの閾値(ここでは摂氏−30°)と比較される。実際の温度が、この閾値の上にあるとき、負圧ポンプの始動は標準モードで行われる。この標準モードでは負圧ポンプは、非パルス式に電気エネルギー源に接続される。
【0038】
しかし測定された温度が、この閾値よりも下にあるとき、負圧ポンプの、特に高い始動電流を考慮する必要がある。よって、特別モードに切り替えられる。この特別モードでは、負圧ポンプは始動フェーズにおいてパルス式にエネルギー源に接続される。これは平均値で、負圧ポンプが標準モードで始動されたであろうときよりもよりも少ない、始動フェーズ中の電流摂取に通じる。
【0039】
場合によっては複数の始動モードがパルスの異なるパラメータと共に意図されることが可能である。
【0040】
そのような例は図2に表されている。ここでは、始動の際に負圧ポンプを支配する条件に対するより良好な適合と、始動電流の更に正確な制限を図るために、負圧ポンプの運転パラメータ及び/又は周辺パラメータに基づく複数の決定に関して、(異なるパルス時間を有する)異なる三つの始動モードと一つの標準モードの間の一つの選択が実施される。
【0041】
負圧ポンプが既に動いているとき、いずれにせよ標準モードに切り替えられる。動いていないとき、よって負圧ポンプの始動が行われる必要があると、まず、図1の例と類似して、周囲温度が閾値(ここでは摂氏−30度)の下にあるか、または上にあるか確認される。
【0042】
実際の温度がこの閾値の下にあるとき、更なる判断で、負圧ポンプの静止時間が予設定可能な時間よりも長いかどうか確認される。もしそうであれば、特別モード1が選択され、そうでなければ特別モード2が選択される。
【0043】
実際の温度が閾値摂氏−30度の上にあるとき、更なる判断で、周囲温度が第二の閾値(ここでは摂氏−20度)の下にあるか上にあるか確認される。そうであれば、特別モード3が選択され、そうでなければ標準モードで始動が実施される。
【0044】
始動モード1から3はその際、特別モード1における負圧ポンプのパルスは、負圧ポンプが比較的短いパルス時間の間エネルギー源に接続されるよう形成されており、これに対して特別モード3では負圧ポンプが比較的長いパルス時間の間エネルギー源に接続される。特別モード2では平均のパルス期間が選択される。
【0045】
負圧ポンプがエネルギー源に接続されるパルス時間は、よって様々に選択されることが可能であり、また可変であることが可能である。
【0046】
これに対するいくつかの例を、図3から5の時間的パルス推移が示す。
【0047】
図3は、例示的に時間に関する特別モードのパルス推移を示す。(正の)インパルスの間、負圧ポンプはエネルギー源に接続され、しかしローフェーズ中は接続されない。これによって、負圧ポンプは、常にエネルギー源に接続されていた場合よりも、平均として低い電流を摂取するということが達成される。
【0048】
図4には、図3におけるものに相当する時間的推移が表されている。しかしいくらか長い、負圧ポンプの接続フェーズを有している。その様な特別モードは、例えば、負圧ポンプの運転パラメータ及び/又は周辺パラメータが、図3の特別モードの存在が選択されるパラメータよりも低い始動電流を期待できるとき選択されることが可能である。
【0049】
パルス中の接続時間は、可変及び/又は時間依存的に変化可能に選択されることが可能である。
【0050】
そのような例を図5は示す。そこには、始動が進むにつれて接続フェーズはますます長くなる。これは、例えば、始動の際の負圧ポンプの温度が、最初、極めて低く、そして始動が進むにしたがって徐々に高くなるというとき有利である。
【0051】
図1から5の例は、負圧ポンプの始動の為の発明に係る方法が、存在する構造上のおよび周辺条件に極めて可変に適合することを可能とすることを示す。
図1
図2
図3
図4
図5