特許第5989136号(P5989136)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アドヴァンスト パワー テクノロジーズ,インコーポレーテッドの特許一覧

特許5989136大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置
<>
  • 特許5989136-大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置 図000005
  • 特許5989136-大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置 図000006
  • 特許5989136-大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置 図000007
  • 特許5989136-大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置 図000008
  • 特許5989136-大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置 図000009
  • 特許5989136-大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置 図000010
  • 特許5989136-大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置 図000011
  • 特許5989136-大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置 図000012
  • 特許5989136-大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989136
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】大きな電磁気変動から電力変圧器を保護する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/04 20060101AFI20160825BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20160825BHJP
   H01F 41/00 20060101ALN20160825BHJP
【FI】
   H02H7/04 A
   G01R31/00
   !H01F41/00 F
【請求項の数】19
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-554993(P2014-554993)
(86)(22)【出願日】2013年3月17日
(65)【公表番号】特表2015-513881(P2015-513881A)
(43)【公表日】2015年5月14日
(86)【国際出願番号】US2013032734
(87)【国際公開番号】WO2013162777
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2014年7月23日
(31)【優先権主張番号】61/687,459
(32)【優先日】2012年4月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/736,927
(32)【優先日】2013年1月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514185909
【氏名又は名称】アドヴァンスト パワー テクノロジーズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ゲリイ,アール.
(72)【発明者】
【氏名】クオン,エドワード,エス.
(72)【発明者】
【氏名】カイ,ホン
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/012517(WO,A2)
【文献】 特開2010−124623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/04
G01R 31/00
H01F 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)入力巻線と、(b)負荷に結合されることが意図される少なくとも1つの出力巻線と、(c)グランドに戻される中性線とを有する変圧器を保護するシステムであって、前記変圧器が電磁条件にさらされるとき、過剰な電流が中性線内を流れ、前記変圧器のコアを飽和させる可能性があり、保護システムが、
(a)以下では「I」と呼ぶ、前記中性線内を流れる電流のレベルを感知し、所定の時間枠よりも長い間にわたってIのレベルが所定の値より上にあるかどうかを判定し、この条件が生じたとき、第1の信号アラームを生成する回路と、
(b)前記負荷に結合された前記出力巻線内を流れる電流の選択された偶数高調波および奇数高調波を感知し、選択された高調波を処理して、事前選択された持続時間にわたって、コア飽和を示す前記高調波に関する一定の関係が存在するかどうかを判定し、それに対応する高調波ステータス信号を生成する回路と、
(c)第2のアラーム信号を生成する、前記第1の信号アラームおよび前記高調波ステータス信号に応答する回路と
を含むシステム。
【請求項2】
負荷電流のレベルを感知し、前記負荷電流レベルが所与の値より上にあり、前記第2のアラーム信号が存在する場合、第3のアラーム信号を生成する回路をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1、第2、および第3の信号が、視覚アラームまたは可聴アラームの少なくとも一方を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記負荷内を流れる電流の前記高調波を感知する前記回路が、アナログ−デジタル変換器と、選択された偶数高調波および奇数高調波を生成するフーリエ信号プロセッサと、コア飽和を示す前記奇数高調波と偶数高調波との間の一定の所定の関係が存在するかどうかを判定する手段とを含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
各偶数高調波および隣接する次の高次奇数高調波が、対応する比較器に印加され、前記偶数高調波が所定の量だけ前記隣接する次の高次奇数高調波を超過するとき、信号が生成される請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
それぞれの前記対応する比較器が設定可能タイマに結合され、偶数高調波が事前設定された時間枠にわたって所定の量だけ次の隣接する高次奇数高調波を越えるとき、高調波ステータス信号が生成される請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
選択された偶数高調波および奇数高調波を感知する前記回路が、前記少なくとも1つの出力巻線に結合された変流器を含み、負荷が前記出力巻線に接続される請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記中性線内を流れる電流のレベルを感知する前記回路が、前記中性線内を流れるを測定するホール効果装置を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記負荷電流レベルを自動的に低減する、前記負荷に結合された、前記第3のアラーム信号に応答する手段を含む請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
負荷電流のレベルおよび前記変圧器の温度を感知し、前記第2のアラーム信号が存在する場合、かつ前記負荷電流レベルが所与の値より上にあり、または前記変圧器の温度が所定の時間枠にわたって所与の温度より上にある場合、第3のアラーム信号を生成する回路をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
負荷電流のレベルを感知し、前記負荷電流レベルが所与の値より上にあり、前記第2のアラーム信号が存在する場合、第3のアラーム信号を生成する回路をさらに含み、前記変圧器の温度を感知し、前記変圧器温度が所定の値より上にある場合、臨界温度信号を生成し、前記第3のアラーム信号が存在する場合、第4のアラーム信号を生成する回路をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
負荷電流のレベルを感知し、前記負荷電流が所定のレベル未満である場合、前記第2のアラームの生成を抑制する回路をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
入力電圧を受ける入力巻線と、負荷に結合されることが意図される出力巻線とを有する電力変圧器であって、グランドに戻される中性線をも有し、過剰な電流が中性線内を流れ、変圧器のコアを飽和させる可能性がある電力変圧器と、
前記変圧器のコアが飽和しているかどうかを判定し、前記変圧器を保護する回路であって、
(a)前記中性線内を流れる電流(I)のレベルを感知し、所定の時間枠よりも長い間にわたって(I)が所定の値より上にあるかどうかを判定し、次いで、この条件が生じたとき、第1の信号アラームを生成する回路と、
(b)前記負荷内を流れる電流の選択された高調波を感知し、選択された高調波を処理して、コア飽和を示す偶数高調波および奇数高調波に関する一定の関係が存在するかどうかを判定し、その持続時間が事前選択された時間を越える場合、それに対応する高調波ステータス信号を生成する回路と、
(c)第2のアラーム信号を生成する、前記第1の信号アラームおよび前記高調波ステータス信号に応答する回路と
を備える回路と
を備えるシステム。
【請求項14】
負荷電流のレベルを感知し、前記負荷電流レベルが所与の値より上にあり、前記第2のアラーム信号が存在する場合、第3のアラーム信号を生成する回路をさらに含む請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記負荷電流のレベルを低減するために前記負荷を制御する前記第3のアラーム信号に応答する回路をさらに含む請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
負荷電流のレベルおよび前記変圧器の温度を感知し、前記第2のアラーム信号が存在する場合、かつ前記負荷電流レベルが所与の値より上にあり、または前記変圧器の温度が所定の時間枠にわたって所与の温度より上にある場合、第3のアラーム信号を生成する回路をさらに含む請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
負荷電流のレベルを感知し、前記負荷電流レベルが所与の値より上にあり、前記第2のアラーム信号が存在する場合、第3のアラーム信号を生成する回路をさらに含み、前記変圧器の温度を感知し、前記変圧器温度が所定の値より上にある場合、臨界温度信号を生成し、前記第3のアラーム信号が存在する場合、第4のアラーム信号を生成する回路をさらに含む請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
(a)入力巻線と、(b)負荷に結合されることが意図される少なくとも1つの出力巻線と、(c)グランドに戻される中性線とを有する変圧器を保護するシステムであって、前記変圧器が電磁条件にさらされるとき、過剰な電流が中性線内を流れ、前記変圧器のコアを飽和させる可能性があり、保護システムが、
(a)以下では「I」と呼ぶ、前記中性線内を流れる電流のレベルを感知し、Iのレベルが所定の値より上にあるかどうかを判定し、それを示す第1の信号を生成する回路と、
(b)前記負荷に結合された前記出力巻線内を流れる電流の選択された高調波を感知し、選択された高調波を処理して、コア飽和を示す前記高調波に関する一定の関係が存在するかどうかを判定し、それに対応する高調波ステータス信号を生成する回路と、
(c)負荷電流のレベルを感知し、前記負荷電流のレベルが所与の値より上にあるかどうかどうかを判定し、それを示す第2の信号を生成する回路と、
前記第1および第2の信号ならびに前記高調波ステータス信号のうちの選択されたものに応答する、前記信号の選択されたものが所定の時間枠よりも長い間にわたって存在するときにアラーム信号を生成する手段と
を含むシステム。
【請求項19】
前記中性線内を流れる前記電流(I)が所定の時間枠よりも長い間にわたって所定の値より上にあるとき、第1のアラーム信号が生成され、前記第1の信号が存在し、コア飽和を示す前記高調波ステータス信号が存在し、前記負荷電流が第1のレベルより上にある場合、第2の信号が生成される請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Method and Apparatus for Detection of Core Saturation of Power Transformers due to Geomagnetically Induced Currentsに関する2012年4月25日出願の仮出願第61/687459号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電力変圧器の接地中性線内の過大な直流(dc)問題に関する(図1および2参照)。
【背景技術】
【0003】
電力変圧器の周りに大きな電磁気変動があるとき、過大なdc電流が電力変圧器の接地中性線内を流れる可能性がある。電力変圧器のコアが飽和することがあり、過大なdc電流の持続時間および変圧器に印加される負荷に応じて、電力変圧器が損傷し、または破壊されることがある。したがって、本発明の一態様は、大きな電磁気変動による電力変圧器のコア飽和を検出する方法および装置に関する。
【0004】
大きな電磁気変動は、例えば、地磁気嵐、さらには核爆発の結果として生じる可能性がある。例として、黒点活動による太陽フレアまたは太陽嵐は11年周期に従う。太陽フレアまたは太陽嵐は11年ごとに強度が増大し始め、周期が始まった後の3から5年間に頂点に達する。これらの嵐は、世界中の通信および電力システムに影響を及ぼす可能性がある。太陽フレアは、太陽陽子現象、または「コロナ質量放出」(CME)と呼ばれる、高荷電コロナ粒子のクラウドを放出し、それは宇宙空間を高速で移動する。クラウドが地球の大気の方向である場合、これらの粒子は、地球の大気内に捕らえられ、アースに接続された任意の装置への直流(DC)を引き起こす可能性がある。さらに、数百マイルの高電圧線が、太陽フレアからの電磁パルスを世界の電力グリッド上の数千の変圧器に引き寄せるアンテナのような働きをする。吸収されたエネルギーにより、多くの変圧器が焼損する可能性があり、その結果、配電システムの破壊または損傷、および焼損した変圧器を交換するコストを含む多くの経済的損失が生じる。
【0005】
アースと、アース(グランド)に電気的に接続された任意の電力装置(例えば、変圧器、モータ、および発電器)との間の電位差により、地磁気誘導電流(GIC)とも呼ばれることのある直流(DC)が流れる。電力変圧器の中性線がグランドに接続される場合、中性線内を流れるGICの大きさは、電力変圧器のアース接続内を流れる数アンペアから数百アンペアまで変動する可能性があり、電流は、数分から1時間超まで持続する可能性がある。グランドに戻る中性導線を有する電力変圧器の場合、中性導体に沿って流れる/搬送されるGIC(INDCとも呼ばれる)により、変圧器コアが飽和する可能性がある。
【0006】
GICに対するコア飽和に関する確率は変圧器の設計に依存し、単相、5脚コア、およびシェル型設計が最も影響を受けやすい。通常、こうしたタイプの変圧器は、電力システムで最大のものであり、コア飽和が生じた場合、システム信頼性に対する最大の危険をもたらす可能性がある。三相コア型設計は影響を受けにくいが、高GICレベル(例えば、100アンペア超)ではやはり飽和することがある。
【0007】
GICによるコア飽和は、電力変圧器が必要な定格電力を負荷に送達することができなくなるので、極めて望ましくない。さらに、および変圧器タンク内の導線および金属構成要素で渦電流を誘導する漂遊フラックスのために、局所的な加熱および全般的な過熱が生じることになる。そのような条件が、負荷を低減することなく持続することが許される場合、それにより、電力変圧器の破滅的な障害となる可能性があり、それが配電システム全体に影響を及ぼす可能性がある。
【0008】
電力変圧器のDC中性電流(「INDC」)を監視し、電流の振幅を使用して、電力変圧器によって搬送される負荷を除去または軽減するかどうかを判断することが知られている。しかし、INDCはコア飽和が実際に生じているかどうかを正確に予測しないので、もっぱらINDCのレベルを感知することに依拠することには問題がある。コア飽和を引き起こすINDCのレベルを正確に予測するように変圧器をモデル化することは非常に困難である。GICに等しいINDCのレベルだけが使用される場合、負荷を与えることが早すぎ、または遅すぎるような誤った判断を変圧器オペレータが行う可能性がある。複数のユニットが過剰なGICの流れを示している場合は特に、負荷を与えるのが早すぎると、システムにひずみが加えられることになる。実際には、変圧器に悪影響があることがあったとしても、ほんの少数である。しかし、負荷を十分に速やかに除去しないと、過熱のために破滅的な装置損傷が生じることがあり、それによって、変圧器の絶縁システムの誘電体完全性が損なわれる可能性がある。
【0009】
コア飽和を判定するために別の方法を使用することは、信頼性が証明されていない。例えば、INDCを監視することなく、高電圧巻線、低電圧巻線、および三次巻線上のRMS電流内の高調波を測定することは、コア飽和を判定するための信頼性の高い方法ではない。その理由は、GICに関連する特定の高調波が変圧器設計に応じて変動する可能性があることである。いくつかの電力変圧器設計は、GICにさらされるとき、その高調波スペクトルが様々であり、高調波がGICの結果であるのか、それとも変圧器の負荷またはその供給源からのものであるかを判定することが極めて困難になる。さらに、変圧器コアが飽和していないとしても、GICの大きさに比例する無効電力(VAR)潮流が常にあるので、変圧器コアが飽和したか否かを判定する手段として無効電力潮流を検査することは、100パーセント信頼できるわけではない。
【0010】
したがって、大きい電磁気変動の結果として電力変圧器がコア飽和を受けているときを確実に判定することに問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明は、GICによる電力変圧器のコア飽和をより確実に検出する方法および装置を対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明を実施するシステムは、入力巻線と、少なくとも1つの出力巻線と、中性線への大電流を引き起こす電磁気条件が存在するとき、グランドに戻る中性線とを有する変圧器を保護する手段を含む。保護システムは、(a)変圧器の中性線内の直流(DC)レベル(「INDC」または「GIC」)を感知し、所定の時間枠よりも長い間にわたってGICレベルが所定の値より上にあるかどうかを判定し、この条件が発生した場合、第1のアラーム信号を生成する感知手段と、(b)負荷に接続された変圧器出力(または入力)巻線に存在する電流の高調波を感知し、高調波を処理して、所与の時間枠にわたって所定の基準を示すかどうかを判定し、GICが所定の時間枠にわたって所定のレベルを超え、事前選択した時間枠にわたって高調波が所定の条件を示すとき、第2のアラーム信号を生成する回路手段とを含む。
【0013】
高調波を処理する回路は、選択した偶数高調波および奇数高調波を比較して、それが所定の関係を有するかどうかを判定する様々な回路を含むことができる。
【0014】
本発明を実施するシステムはまた、負荷レベル(例えば、負荷電流レベル)を感知し、高調波およびINDCまたはGICが、第2のアラーム信号の生成を引き起こす値を有するとき、負荷レベルが所与の値より上にある場合、第3のアラーム信号を生成する手段をも含むことができる。
【0015】
本発明を実施するシステムはまた、第2または第3のアラーム信号条件に応答して、負荷を自動的に制御する(例えば、低減する)手段をも含むことができる。
【0016】
本発明を実施することにより、電力変圧器装置のオペレータおよび所有者は、そのシステムの動作に関してより良い決定を行うことができ、緊急対応策を実施して、負荷を処理すると同時に、貴重で高価な電力変圧器が損傷を受けることから救うことができる。
【0017】
原寸に比例しない添付の図面では、同様の参照文字が同様の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】典型的なデルタ−ワイ接続の巻線を示す従来技術の電力変圧器の簡略化した概略図である。
図2】典型的なデルタ−ワイ接続された電力変圧器の接地中性線内の地磁気誘導電流(GIC)の流れを示す簡略化した概略図である。
図3】変圧器コアが飽和したときに変圧器の出力巻線上に存在する非常にひずんだ波形を示す波形図である。
図4】変圧器コアが飽和したときに変圧器の出力巻線上に存在することがある高調波の一部を示すチャートである。
図5】本発明を実施する保護回路の詳細な準ブロック準概略図である。
図6】本発明を実施する保護回路の簡略化した準ブロック準概略図である。
図7A図5および6の回路と共に使用される変圧器温度回路の略図である。
図7B図5および6の回路と共に使用される変圧器温度回路の略図である。
図8】本発明を実施する際に使用される高調波信号を処理する代替回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記のように、太陽嵐/フレアにより、通常よりも大量の高エネルギー電磁場および大量の高荷電コロナ粒子が地球に向かって進む。高荷電コロナ粒子が地球の大気に入ったとき、配電システムの破壊の確率が高くなる。電力システムの破壊のレベルは、地球の大気で捕らえられた荷電粒子の地理空間関係と、これらの粒子が所与の時間枠よりも長い間にわたって所定のレベルを超えるGIC(INDC)を電力変圧器の接地中性線に誘導するのに十分なエネルギーを有するかどうかとに依存する。変圧器に対する荷電粒子の効果は、地球上のその位置に応じて異なる。効果は非常に局所化され、現在のところ、地球上のどこで最高の影響が生じるかを予測する方法はない。したがって、本発明の機能は、変圧器のオペレータおよび所有者に、そのシステムが悪影響を受けている場合、どこに位置するとしても、アラームを与えることである。
【0020】
図1に、例として「デルタ」接続として構成することのできる高電圧1次側(P1)と、例として「ワイ」接続として構成することのできる巻線を有する2次側(S1)とを有する電力変圧器XFRを示す。2次は、3相巻線(X1、X2、X3)と、中性線12を介してアース・グランドに接続された中央接続11とを有する。
【0021】
巻線は、高ケイ素鋼の積層コアの周りに巻くことができる。変圧器の通常の動作の下では、中性導線内を流れるゼロ電流がある(すなわち、ゼロ・シーケンス成分はない)。しかし、(1)相間に不均衡があり、その結果中性脚内のAC電流が生じる場合、(2)数百サイクル内に一般に崩壊するDCオフセットを有する、相から相、または相から中性への障害がある場合、あるいは(3)主にDC電流であるGICの流れを引き起こす大きな電磁気変動がある場合などの一定の条件下で、電流が変圧器の中性脚内を流れる可能性がある。
【0022】
相−グランド障害がある場合、その大きさが障害のインピーダンスに依存する多量のゼロ・シーケンス成分があることになる。相−グランド障害下では、電流波形が非常にひずむことがあるが、著しい時間枠にわたって持続するDC成分または低次高調波を含むことはまれである。
【0023】
しかし、著しい電磁気変動が生じたとき、数アンペアから数百アンペア以上に及ぶことのある、図2に示されるようなDC電流(INDCまたは「GIC」)が、変圧器の中性線12内を流れる。変動により、GICが数分から1時間以上にわたって流れる可能性がある。GICの大きさが十分に大きい場合、変圧器のコアが、部分的にはコア内に存在するフラックスに依存する多量の漂遊フラックスのために飽和し始め、漂遊フラックスは、変圧器負荷の関数であり、変圧器の損傷を引き起こす。変圧器コアが飽和したとき、タイ・プレート、タンク壁、巻線、および存在する他の金属構成要素内の渦電流を誘導する漂遊磁束のために加熱が増大する。変圧器がその定格レベルまたはその近くで負荷がかけられる場合、最終的な結果は、変圧器がこれらのレベルで著しい過熱で動作することになり、変圧器の絶縁システムの誘電体完全性が失われ、変圧器の障害が生じる。
【0024】
GICの大きさそれ自体は、変圧器コアが飽和を受けているという決定要因ではないことがある。しかし、コアが飽和を受けるとき、「相導線」とも呼ばれる出力(2次)巻線上のAC波形が、図3に示されるように非常にひずみ、高調波信号を生成する。コア飽和の実際の範囲を確認するために、出力巻線上に存在する高調波を検出および解析することを使用できることを本出願人らは理解した。
【0025】
コアが飽和したとき、偶数高調波のレベルの著しい増大があることも本出願人らは理解した。電磁気変動のためにコア飽和が生じたとき、図4に示されるように、偶数高調波は常に隣接する(高次)奇数高調波よりも大きくなることも本出願人らは理解した。すなわち、2次高調波は3次高調波よりも大きくなり、4次高調波は5次高調波よりも大きくなり、以下同様である。したがって、本発明を実施するシステムは、「偶数」高調波と、隣接する高次「奇数」高調波との間の一定の関係を解析および処理する回路を含む。
【0026】
したがって、本発明を実施するシステムおよび回路(図5および6参照)は、変圧器の中性線内を流れる電流(GIC)の振幅を感知し、負荷電流内に存在する高調波の性質を検出する。図面では、出力巻線に変流器を接続することによって負荷電流を感知し、潜在的に危険な飽和コア条件が存在するかどうかを確認する(しかし、このことは、1次巻線に反映される高調波を感知することによって行うこともできる)。
【0027】
図5では、変圧器T1の接地中性線12がホール効果変換器101に結合され、中性線内を流れるDC電流レベル(INDCまたは「GIC」)が感知される。あるいは、直列に接続された抵抗器を使用し、発生する電圧を感知することによって電流レベルを測定することができる。ホール効果変換器101は、正および負の電流をどちらも検出し、測定したDC信号の絶対量を表す信号を生成するように設計される。ホール効果変換器101が、絶対量増幅器/フィルタ103の入力に接続され、絶対量増幅器/フィルタ103の出力が、所定のDC電流しきい値レベル106でバイアスされる比較器105の入力に印加される。しきい値レベル106は、変圧器設計に基づいて選択される。増幅器103からの信号の大きさが、比較器105に印加されるしきい値レベル106を超えるとき、比較器出力は状態を変更し(例えば、Highとなり)、過剰なGIC条件を示す。したがって、ホール効果センサ(例えば、101)などのDC電流センサの使用によってGIC(すなわち、INDC)のレベルを検出し、中性線内のDC電流を測定することができる。あるいは、変圧器の中性線終端と直列の分路抵抗器(図示せず)の両端間の電圧を測定することによってGICを求めることができる。
【0028】
持続するのが数分未満である過剰なGIC(すなわち、INDC)レベル(しきい値106の超過を引き起こすもの)は、一般には問題ではない。しかし、数分を超えて持続する過剰なGICレベルが主な問題であり、それに対処する必要がある。したがって、比較器105の出力がタイマ回路107に供給され、タイマ回路107の機能は、過剰なGIC条件が所定の時間枠(tD)を超えて持続する場合にのみ、状態を変更する(例えば、Highとなる)ことである。過剰なGIC条件の持続が所定の時間枠(tD)未満である場合、タイマ回路107の出力は状態を変更しない。しかし、過剰なGIC条件が所定の時間枠(tD)を超えて持続する場合、タイマ回路107の出力が状態を変更し、著しい大きさおよび持続時間のGIC条件が生じていることを示す第1のアラーム信号(マイナーGICアラーム)を生成する。この第1の信号(マイナーGICアラーム)を使用して、変圧器が変圧器の中性線内の過剰なGIC条件にさらされているという可聴または視覚アラートを変圧器の所有者/オペレータに与えることができる。
【0029】
本発明の別の態様は、変圧器の出力巻線XFRの選択されたものの中の相電流を測定する回路を含む(上記のように、1次巻線を見ることによって高調波感知を行うこともできる)。図5および6では、出力相導線巻線X1の周りに接続された電流変換器201が示されている。相導線上の負荷電流を感知するのに使用される電流変換器201は、ブッシングCTの2次導線を介して接続されたスプリット・コア変流器(CT)でよい(これは単に例であり、他の既知の電流感知方式を使用できることに留意されたい)。スプリット・コアCT201の2次は増幅器/フィルタ221に接続され、増幅器/フィルタ221は、適切にフィルタ処理されない場合に誤りが生じる可能性のあるサンプリング・レートより上の周波数をなくすのに使用されるフィルタリング回路を含む。
【0030】
アナログ信号である増幅器/フィルタ221の出力は、高精度アナログ−デジタル(A/D)変換器223に印加され、A/D変換器223は、信号をサンプリングし、信号をアナログ領域からデジタル領域に変換する働きをする。サンプリング後のデジタル同等物が回復されると、高速フーリエ変換技法を使用してそれを処理し、波形内に存在する個々の高調波を導出することができる。
【0031】
式[1]は、基本周波数f(t)に対してサンプリングされた波形に含まれる個々の高調波を抽出するのに使用される式である。
【0032】
【数1】
上式で、f(t)は信号の基本周波数、
=f(kΔt)、Δt=1/(m×f(t)) [2]、
n=基本周波数f(t)の整数高調波、
m=検査すべき基本周波数の最大整数高調波、および
k=別個のサンプル。
【0033】
例として、第5高調波m=5および基本周波数60Hzでは、エイリアシングを回避するための最小サンプリング・レートは600サンプル/秒である。
【0034】
機能ブロック223および225は、高調波h−hを導出し、e=2、4、6、...、mとして、偶数高調波h(またはF)および隣接する奇数高調波he+1(またはFe+1)を、偶数高調波と隣接する(高次)奇数高調波との比を導出する個々の除算器対に供給する。
【0035】
図5では、A/D変換器223の出力がフーリエ・プロセッサ225に印加され、フーリエ・プロセッサ225は、負荷信号の2次、3次、4次、5次、6次、および7次高調波(h2、h3、h4、h5、h6、h7)を生成するように設計される。2次および3次高調波が第1の除算器d1に供給され、4次および5次高調波が第2の除算器d2に供給され、6次および7次高調波が第3の除算器d3に供給される。除算器d1の出力Od1が比較器C1に供給され、除算器d2の出力0d2が比較器C2に供給され、除算器d3の出力Od3が比較器C3に供給される。
【0036】
除算器(d1、d2、d3)の各出力(Od1、0d2、0d3)は、奇数高調波(例えば、h3、h5、h7)がその対応する隣接する(低次)偶数高調波(例えば、h2、h4、h6)よりも大きいとき、一定の信号条件(例えば、「低」)を有し、隣接する(低次)偶数高調波(例えば、h2、h4、h6)が隣接する(高次)奇数(例えば、h3、h5、h7)高調波以上である場合、他の信号条件(例えば、「High」)を有する。
【0037】
次いで、各除算器からの出力(Od1、0d2、Od3)が、それに対応して番号付けされた比較器(C1、C2、C3)の第1の入力に供給される。しきい値信号(T1、T2、T3)が、それに対応して番号付けされた各比較器の第2の入力に印加される。(a)T1を求めるための2次高調波と3次高調波の必要な比、(b)T2を求めるための4次高調波と5次高調波の必要な比、および(c)T3を求めるための6次高調波と7次高調波の必要な比を設定する回路230、232、および234により、しきい値T1、T2、およびT3が生成される。
【0038】
各比較器(C1、C2、C3)は、対応するタイマ回路(M1、M2、M3)に印加され、それをトリガする出力を有する。各比較器(C1、C2、C3)は、その入力での偶数高調波(図4参照)がその入力での隣接する奇数高調波よりも所定のレベルだけ大きいとき、その対応するタイマ(M1、M2、M3)をトリガする。それが大きい場合、比較器は、状態を変更し、その対応する設定可能ピックアップ・タイマをトリガする。
【0039】
各設定可能タイマ(M1、M2、M3)は、タイマ(M1、M2、M3)が設定されるフルタイム持続時間にわたってその対応する比較器によってトリガされる場合にのみ、状態を変更する(例えば、Highになる)。タイマの時間設定は、ユーザがコア飽和の効果をどれほどの期間無視することができるかに基づく。本明細書および添付の特許請求の範囲では、高調波比ピックアップ・タイマ(M1、M2、M3)の出力(OM1、OM2、OM3)を「高調波ステータス信号」と呼ぶことがある。信号OM1、OM2、OM3は、それに対応して番号付けされた2つの入力ANDゲート(G1、G2、G3)の入力に供給される。
【0040】
ANDゲートG1、G2,G3の第2の入力はすべて、2つの入力ANDゲートG5の出力に接続される。ANDゲートG5の2つの入力は、(1)INDCが過剰であることを示す第1のアラーム信号(すなわち、マイナーGICアラーム)が生成されるタイマ107の出力、および(2)KILOADが所定の第1の負荷しきい値(T5)を超えるときに生成されるタイマM5からの信号である。KILOADによって表される負荷電流が選択されたしきい値T5を超えるまで、ゲートG5の出力は、ゲートG1、G2、およびG3を「ディスエーブル」する。比較器C5の出力は、2つの入力ANDゲートG5の1つの入力に印加されるタイマM5を駆動し、変圧器コアが飽和することがあるとしても、変圧器が軽負荷条件下にある場合、メジャーGICアラームの生成を抑制するようにその出力を制御する。(軽負荷下での)そのような飽和は、変圧器の動作を危険にさらすことはなく、したがって無視することができる(注:顧客は、C5およびM5を迂回し、マイナー・アラーム信号をゲートG1、G2、G3の入力に接続することを選ぶことがある)。
【0041】
ANDゲートG1、G2、およびG3の出力が、メジャーGICアラームとしても識別される第2のアラーム信号が生成される出力260を有するORゲートOR1の入力に印加される。メジャーGICアラームは、過剰なGICレベルが存在し、変圧器のコアの飽和を明白に示す十分な大きさのAC高調波があること、さらには負荷電流が第1の負荷しきい値(T5)を超えることを示す。この第2のアラーム信号(メジャーGICアラーム)を使用して、変圧器が変圧器の中性線内の過剰なGIC条件にさらされており、変圧器コアが飽和しているという可聴または可視アラートを変圧器の所有者/オペレータに与えることができる。
【0042】
比較器C4、タイマM4、およびAND G4を備える追加の回路を使用して、変圧器コアが飽和するとき負荷電流が高すぎるかどうかを判定し、臨界GICアラームとして識別される信号を生成することができる。ORゲートOR1の出力260はまた、2つの入力ANDゲートG4の1つの入力に印加される。ANDゲートG4への第2の入力が、タイマM4の出力に接続され、タイマM4は、負荷電流レベルおよび負荷ピックアップしきい値(T4)に応答して、比較器C4によって駆動される。負荷電流(KILOAD)が負荷ピックアップしきい値(T4)を超える場合、比較器C4の出力は状態を変更し(例えば、Hiになる)、タイマM4を駆動し、負荷電流が所定の時間枠にわたって負荷しきい値T4を超える場合、その出力を設定する(例えば、HI)。M4の出力およびORゲートOR1の出力260が、ANDゲートG4の2つの入力に印加される。次いで、(a)GICレベルが所定の時間枠よりも長い間にわたって高であったことをタイマ107の出力が示し、(b)負荷信号の高調波成分がコア飽和を示すことをORゲートORの出力が示し、(c)負荷電流が所定のしきい値より上にある場合、ゲートG4は、臨界GICアラームと呼ばれることがある出力信号を生成する。
【0043】
したがって、中性線内を流れる電流およびその持続時間を感知し、変圧器の入力線または出力線上に存在する高調波を感知することにより、電力変圧器のコアの飽和を確実に求めることができることが示された。コア飽和が存在すること、およびその持続時間に基づいて、変圧器に対する損傷を防止するために補正処置を取ることができる。上記のように、GICによるコア飽和により、非常に大きくなることのある漂遊フラックスを引き起こされるので、これは重要である。大きな漂遊フラックスにより、メジャーが極度に加熱する。異常加熱は2つの問題を引き起こす。(1)漂遊フラックスによるホットスポットの位置での絶縁材料の全般的劣化、および(2)油または絶縁材料内に水がある位置での極度の加熱が、水蒸気に変換される可能性があり、それにより、過度の損傷を与える蒸気圧、および誘電体完全性の破壊が引き起こされること。
【0044】
図6は、図5に示すタイプの回路と、臨界GICアラーム条件が生じたときに負荷の低減を自動的に制御するためのフィードバック・ループ(負荷制御に対する第3のアラーム信号)とを含むブロック図である。図6は、(1)第1のアラーム信号を生成するためにINDCまたはGICの振幅およびその持続時間を感知するブロック60に含まれる回路と、(2)第1のアラーム信号が存在する場合、ANDネットワーク63の出力で第2のアラーム信号を生成するために負荷電流(INDC)の高調波成分の振幅およびその持続時間を感知するブロック62に含まれる回路と、(3)第2のアラーム信号が存在する場合、ANDネットワークG4の出力で第3のアラーム信号または臨界アラーム信号を生成するために負荷電流(ILOAD)の振幅およびその持続時間を感知するブロック64に含まれる回路とを含む。図6では、臨界アラーム条件が存在するとき、臨界GICアラーム信号が負荷制御モジュール68にフィードバックされ、負荷が自動的に低減される。
【0045】
コア飽和および流れることのできる大電流により、電力変圧器の温度が一定の臨界値より上に上昇することがある。したがって、臨界値を越えるコア飽和および温度の表示があるとき、アラーム条件を生成することが望ましい。図7Aおよび7Bに、電力変圧器温度と、コア飽和があるかどうかを感知する2つの異なる回路を示す。
【0046】
図7Aでは、変圧器の温度を直接的または間接的に感知する任意の周知の装置でよい温度センサが、比較器C6の入力に印加される。比較器C6への別の入力はしきい温度レベルT6である。変圧器の温度がしきい温度T6を越えることを温度センサが示すとき、臨界温度信号Tc(例えば、High)が比較器C6の出力で生成される。臨界温度信号TcがORゲート720に印加される。同時に、負荷ピックアップしきい値(T4)および負荷電流(KILOAD)が比較器C4に印加され、出力信号OC4が生成され、出力信号OC4は、負荷電流がしきい値T4より上にあるときの条件(例えば、High)を仮定する。信号OC4もORゲート720に印加され、図5に示すように、ORゲート720の出力は、タイマM4に印加される。したがって、(a)負荷電流が臨界値(T4)より上にある場合、または(b)変圧器温度が臨界値(T6)より上にある場合、M4の出力OM4がトリガされる(例えば、Highとなる)。メジャーGICアラームが存在する場合、変圧器温度レベルまたは変圧器負荷電流レベルの関数となる臨界GICアラーム信号が生成される。
【0047】
図7Bでは、温度センサおよび温度しきい値T6が比較器C6に印加され、比較器C6の出力TcがANDゲート722の入力に印加される。ANDゲート722への別の入力は、図5に示すように、AndゲートG4の出力であり、その出力は臨界GICアラーム信号である。したがって、第3の(臨界GIC)アラーム信号が存在し、変圧器の温度が臨界値T6より上にあるとき、図7Bの回路は第4のアラーム信号を生成する。
【0048】
図示した特定の回路は例示のためのものであること、中性線内を流れる電流の振幅を感知し、コアが飽和したときに存在する存在する高調波を感知するための、図示したのとは異なる回路を使用して本発明を実施できること、ならびにアラームは可聴装置および/または電子ディスプレイでよいことに留意されたい。
【0049】
上述の高調波比の使用に加えて、合計偶数高調波ひずみ(THD)と合計奇数高調波ひずみ(THD)の使用を利用して、図8に示す本発明を実装することができる。プロセッサP1を介して偶数高調波(h、h、h)を処理し、THDを生成することができる。
ただし、
【0050】
【数2】
およびh、h、hは、それぞれ2次、4次、および6次高調波である。
【0051】
プロセッサP2を介して奇数高調波(h3、h5、h7)を処理し、THDを生成することができる。ただし
【0052】
【数3】
およびh、h、hは、それぞれ3次、5次、および7次高調波である。
【0053】
次いで、信号THDおよびTHDをプロセッサP3に印加して、THDとTHDを比較し、THDとTHDの比を処理することができ、得られる比が事前設定したしきい値を越える場合、タイマM8を開始することができ、タイマM8をゲートG8によってゲートG5の出力とAND演算し、メジャーGICアラーム信号を生成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8