特許第5989141号(P5989141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989141
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】皮膚組織を移植するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/10 20060101AFI20160825BHJP
   A61B 17/322 20060101ALI20160825BHJP
   A61L 27/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20160825BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20160825BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20160825BHJP
【FI】
   A61F2/10
   A61B17/322
   A61L27/00 C
   A61P17/00
   A61P17/02
   A61K35/12
【請求項の数】2
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-930(P2015-930)
(22)【出願日】2015年1月6日
(62)【分割の表示】特願2011-529220(P2011-529220)の分割
【原出願日】2009年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-109983(P2015-109983A)
(43)【公開日】2015年6月18日
【審査請求日】2015年1月15日
(31)【優先権主張番号】61/099,799
(32)【優先日】2008年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/153,846
(32)【優先日】2009年2月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】アーシュラニ ファルグニ
(72)【発明者】
【氏名】ファリネリ ウィリアム エイ
(72)【発明者】
【氏名】シャー エイジェイ
(72)【発明者】
【氏名】リュー ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン アール ロックス
【審査官】 石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/034438(WO,A2)
【文献】 特表2009−509576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/10
A61B 17/322
A61K 35/12
A61L 27/00
A61P 17/00
A61P 17/02
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その下部部分に備えられた少なくとも一つの細長い溝を含む構造、
該少なくとも一つの溝と圧力的に連絡している真空源を提供するように構成された導管、及び
複数の交差する溝を含み、かつ少なくとも2つの隣接する溝間の距離が2mmよりも小さい、吸引水疱を作るための装置。
【請求項2】
第一の複数の穴を含む第一の平面、ここで、第一の複数の穴は、そこを通って突出する、皮膚組織に形成された、複数の水疱の隆起した部分と実質的に類似するように、前記第一の平面上に分布された複数の穴のパターンを形成し、
該第一の平面に連結された第二の平面、ここで、該第二の平面は、第二の複数の穴を含む、および
該第一の平面および該第二の平面の間に配置された切断構成、ここで、該切断構成は、水疱の隆起した部分が第一の穴から突出しているときに水疱の隆起した部分を皮膚組織から分離するように構成されている、
を含む複数の移植組織を形成するための装置であって、
皮膚組織の上部の部分は、皮膚組織に形成された水疱の隆起した部分である、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、ドナー部位からの微小の(顕微鏡でしか見えないほど小さい)組織移植片を用いた、皮膚組織を移植するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の表示)
本出願は、2008年9月24日出願の米国特許仮出願第61/099,799号および2009年2月19日出願の米国特許仮出願第61/153,846号の優先権を主張するものであり、かつそれら出願のすべての開示は、ここで引用されることにより本明細書の一部である。
【0003】
皮膚組織は、多くのタイプの損傷、例えば、熱傷、外傷、脱色素(例えば、白斑)などの対象となるかもしれない。移植は、しばしは、このような皮膚損傷を修復するために用いられる。しかしながら、移植技術は、一般に、ドナー部位から、好ましくは患者から多量の組織を取り出すこと、および/または、より小さなドナー試料からより多くの移植片組織の部分を形成するために実験室施設を用いた高価で複雑な手順を必要とする。
【0004】
例えば、多くの人が、美観的に望ましくないであろう、脱色素した皮膚領域の結果である白斑と呼ばれる状態を呈する。このような脱色素は、特に、黒い肌の人において、精神・社会的な悪いイメージを起こしうる。白斑は、推定で1〜2百万人のアメリカ人を含む、人口の約1〜4%に起こっている。それは、すべての人種および年齢の男性および女性に起こっている。
【0005】
メラニンは、皮膚に特徴的な色を与える色素である。それは、メラノサイトと呼ばれるある種の皮膚細胞で産生される。メラノサイトが、死んだりあるいはメラニン産生を止めたときに、白斑が起こる。このような状態は、明るいまたは白くなった皮膚の小さな斑点として始まり、それは、時間と共に広がりそしてより大きく成長しうる。脱色素は、変化のない時期およびそれに続くさらなる色素損失の時期という、周期的に起こりうる。脱色素した皮膚領域は、不規則な傾向にあり、より暗い色の皮膚をもった人により顕著である。白斑の正確な原因は、現在不明であるが、自己免疫反応に関連していると信じられている。
【0006】
安定な白斑とは一般に、障害が、長期の観察期間(例えば、数日または数週間、あるいはそれ以上)に及んで、大きさや数が著しく増加しない状態の白斑を意味する。安定な白斑の現在の治療は、限定的な効果しかもたない。このような治療は、副腎皮質ステロイド化合物を含有する、経口薬または局所クリームを含む。例えば、ソラレン(光感作物質)の使用と組み合わせたUV−AやUV−B放射への露出に基づいた紫外線療法が用いられうる。脱色素領域が一時的に黒みを帯びることはまた、皮膚に色を付ける、着色化粧品または染料を用いて達成できる。他の方法は、相似の皮膚色調を得るために、周りの通常の色素のある皮膚から色素を永久に除去することであり、これは、20%のヒドロキノンのモノベンジルエーテルを含む化合物を局所適用することにより可能である。この治療は一般に、完了するまでに約1年を要し、色素の除去は恒久的となる。
【0007】
患者自身のメラノサイトを脱色素した領域に用いる自己移植術は、白斑のその他の治療技術である。メラノサイトの培養および脱色素領域への移植は、均一の再色素形成を得ることができるが、このような自己移植術は、扱いにくく、高額で、時間がかり、および/または高度な実験施設を要求するであろう。このアプローチの最近の商業的方法は、採取装置と、自己移植に先だってメラノサイトを分散させる生物酵素を用いる。この治療は、高額で、そして、しばしば望ましくない酵素を用いる。
【0008】
シート状の移植片は、修復組織部位の改善された外観を提供でき、例えば、白斑を治療するために用いられてきた。例えば、シート状の移植片は、顔、首および手の大きな領域に用いることができ、これらのより見えやすい体の部分は、治療後に、より少ない傷跡の外観を呈することができる。シート状の移植片は、例えば、もし損傷を受けた部位が小さければ、皮膚の脱色素または損傷した全領域を覆うために用いられうる。シート状の移植片を配置した後に、シート状の移植片の下で液体の蓄積(血腫)が起こりえるので、小さな領域のシート状の移植片は、配置後に失われうる。
【0009】
シート状の移植片は、全層または分層でありうる。慣用の分層移植片は、リンゴの皮むきと同様のやり方で、例えば、ドナー部位から表皮または真皮上層組織のシートを採取することにより形成できる。次いで、分層移植片は、熱傷または潰瘍の部位に置くことができる。ドナー部位においては、皮膚組織は、その後、成長して元に戻るが、それには、一般に長期の治癒期間がかかる。ドナー部位からの大量の全層皮膚組織の除去は、ドナー部位における瘢痕化および長期の治癒期間、ならびに増大した感染リスクをもたらしうるので、分層移植片が全層移植片より好ましいかもしれない。しかしながら、分層皮膚自己移植のためにドナー部位から取り出された皮膚組織は、表皮および真皮の一部を含み、ドナー部位において瘢痕化および/または色素異常(dispigmentaion)(例えば、高色素沈着または低色素沈着)を引き起こしうる。
【0010】
皮膚の色素異常を治療するために用いられうる他の慣用技術は、「非培養自己メラノサイト移植」として参照できる。この技術では、採取した移植片組織は、酵素消化工程(例えば、トリプシン等で組織を処理することにより)、または機械的に組織をすりつぶすことのいずれかを用いて、分離されて、ペースト様基質を形成できる。得られた細胞溶液は、次いで、ドレッシング(例えば、慣用のドレッシング、コラーゲン包帯等)上に移植されることができ、その後、ドレッシングは、病気領域に提供されうる。しかしながら、このような技術を用いて形成された移植片は、良好に制御することはできずおよび/または再現性がない。このような技術における移植組織の処理はまた、細胞外傷を生じることがあり、それは、適用した移植片の有効性を減ずることがある。
【0011】
熱傷は、他のよくある皮膚外傷の種類であり、自己移植によって治療されうる。皮膚の大きな領域が熱傷によって損傷を受け、それは一般に、それらの損傷を修復するために、ドナー部位からのより大きな領域の組織の取り出しを要求する。熱傷した組織の修復はしばしば、熱傷した領域への、生存能力のあるケラチノサイトを含む組織の提供に基づいている。ケラチノサイトの増殖は、皮膚組織の再成長、および損傷を受けた領域の修復を助けることができる。
【0012】
他の自己移植アプローチは、水疱移植(blister grafting)であり、そこでは、吸引を用いて有色素の皮膚の上に、水疱が形成される。次いで、隆起した水疱を切断して取り除き、そして、同じ大きさの水疱が形成されて除去された脱色素した皮膚領域に移植される。この技術は一般に、治療すべき脱色素領域と実質的に同じ面積の、広範囲に及ぶドナー部位の使用を要求する。隆起した水疱から形成された小さな細長い移植片を皮膚剥離したレシピエント部位に移植する、例示的な水疱移植技術は、S. S Awad, Dermatol Surg, 34:9 (Sept 2008), 1186-1193に記載されている。Awadの文献はまた、吸引水疱を形成するために用いる種々の装置を記載している。
【0013】
他の自己移植技術は、ミニパンチ(mini-punch)自己移植であり、そこでは、ミニパンチバイオプシーがドナー領域から取り出される。同じ大きさのミニパンチバイオプシーが、レシピエントの脱色素部位から取り除かれ、ドナー領域のミニパンチ移植片によって置き換えられる。この技術はしばしば、レシピエント部位に「敷石状」所見を呈し、そしてまた、ドナー部位に瘢痕化を生じうる。ミニパンチ自己移植はまた、大きな領域の再色素形成には有効でないかもしれない。
【0014】
組織の自己移植に用いることができる他の慣用の技術は、しばしば、「ミーク(Meek)」技術として文献で引用され、それは、ドナー部位からの移植組織領域の取り出し、各々の大きさがミリメートルオーダーである微小な組織片への皮膚組織の切断、あらかじめ折り畳まれたガーゼ片への切断移植組織の塗布、およびガーゼを広げ所望の分離距離に個々の微小移植片を分離することを含む。分離した微小移植片を含む広げられたガーゼは、次いで、外傷部位に当てられ、微小移植片が外傷部位において組織中へと成長することを可能とする。数日後、ガーゼを取り除き、同種移植片等を微小移植片上に当てることができる。このような技術は、例えば、R. W. Kreis et al., Burns, 20 (1) (1994), S39-S42、およびA.R Lari et al , Burns, 27, (2001), 61-66に記載されている。ミーク技術は、用いる微小移植片が比較的大きな大きさであり、皮膚の不均一な外観を引き起こしうること、およびその後の微小移植片の分離距離を決定する特定の配置にて前もって折り畳まれるガーゼの使用によって制限されうる。
【0015】
他の自己移植技術は、S. V Mulekar et al., Dermatol Surg, 35 1 (Jan. 2009), 66-71に記載されており、そこでは、ドナー部位の表面部分から得た細胞の遠心懸濁物の形成を含む。この懸濁物はその後、あらかじめ薄く削られたより大きなレシピエント部位上に塗布され、次いで、乾燥コラーゲンフィルムで覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許公報第6,071,247号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】S. S Awad, Dermatol Surg, 34:9 (Sept 2008), 1186-1193
【非特許文献2】R. W. Kreis et al., Burns, 20 (1) (1994), S39-S42
【非特許文献3】A.R Lari et al , Burns, 27, (2001), 61-66
【非特許文献4】S. V Mulekar et al., Dermatol Surg, 35 1 (Jan. 2009), 66-71
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従って、皮膚組織を修復するための、例えば、皮膚領域の再色素形成によって白斑を治療するためのまたは熱傷を治療するための、長持ちする、比較的簡単な、費用がかからず、そして効果的な、改善された方法および装置が必要とされている。このような方法および装置は、酵素、または高額な費用、そして、複雑な実験室施設や細胞培養を要求しないのが好ましく、そして、ドナー部位からの大きな皮膚部分の取り出しを必要とせずに組織の比較的大きな領域を修復できるのが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0019】
このような要求は、本明細書中に記載の本発明の開示の例示的な実施態様によって処理できうる。例えば、本発明の開示の例示的な実施態様は、ドナー部位から採取された組織領域より顕著に大きな皮膚組織の損傷を受けた部分の再色素形成を含む、修復を提供するための方法および装置に関する。このような例示的な修復は、細胞培養、酵素または特別な実験室施設を要求しない、機械的手順を用いた臨床的状況において達成できる。本発明の開示の例示的な実施態様は、現存の自己移植技術に比べて、比較的簡単で費用が高額でない。
【0020】
最初の例示的な実施態様では、ドナー組織の部分、例えば全層表皮組織を得ることを含む、損傷した組織を修復するための方法が提供されることができ、組織は、任意の種々の技術、例えば、ドナー部位での吸引水疱の形成を用いて得ることができる。ドナー組織は、次いで、例えば、約1mmより小さい、例えば約200〜1000ミクロン、または好ましくは約400〜800ミクロンの横寸法をもつ個々の移植組織の細片へと分割されうる。これらの移植組織の片(例えば、微小移植片)は、次いで、柔軟なドレッシング物質に付着でき、そしてドレッシング物質は、引き伸ばされて、微小移植片の間隔が空いた配置を提供できる。微小移植片およびドレッシング物質は、準備されたレシピエント部位に直接当てることができ、微小移植片は、レシピエント部位において組織に接触してそこに付着し、成長する。
【0021】
本発明の開示の第二の例示的な実施態様では、一つの移植組織片から複数の微小移植片を形成するように構成された切断装置が提供される。フレームおよび/またはハンドルが、装置の操作を容易にするための、任意に提供されうる。例示的な装置は、約1mmより小さい間隔で、例えば、200〜1000マイクロの間隔で、または好ましくは約400〜800マイクロの間隔で離れた複数の実質的に平行の刃または刃先を含みうる。刃先は、少なくとも2回、異なった方向で、移植組織中に押しつけられて、移植組織から小さな微小移植片を形成することができる、さらなる例示的な実施態様では、刃先は、微細格子の形で提供され、そこでは、格子の開口部の幅は、約1mmの幅より小さく、例えば、約200〜1000ミクロンの幅、または好ましくは400〜800ミクロンの幅である。
【0022】
本発明の開示の第三の例示的な実施態様では、付着した微小移植片を有するドレッシング物質を制御下で引き伸ばしまたは伸張し、個々の微小移植片の間のより大きな分離距離を形成するために用いることができる、引き伸ばし装置が提供できる。例示的な引き伸ばし装置は、内部容積をもったハウジング、およびドレッシング物質片を収容するように構成された開口端を含みうる。圧力源および、またはバルブ配置が、ハウジングと連絡するようにして提供されうる。例示的な引き伸ばし装置は、例えば、装置の内部容積中に導入された加圧ガスまたは他の流体によって提供される力に基づいてドレッシング物質を引き伸ばすために配置されうる。ハウジングに移動可能にまたはスライド可能に連結された基板が提供され、ドレッシング物質が引き伸ばされている間、基板はドレッシング物質の一部と接触できるようになっている。
【0023】
第四の例示的な実施態様では、皮膚領域上で、種々の形状で、ネットワークのまたは複数の吸引水疱を形成するために用いられうる吸引装置が提供される。このような例示的な配置の形状は、メラノサイトが水疱内に提供されたときに、皮膚領域の実質的に均一な再色素形成を容易にするように選択できる。例えば、例示的な吸引装置は、その表面上に備えられた1またはそれ以上の溝をもつ平板を含むことができる。通路が、低い圧力または真空源に付着するように配置された平板の各溝および外部部分の間に提供されうる。隣接する溝間の距離は、4mmより小さく、または約2mmより小さくできる。溝は、複数の伸張した溝として、または任意にそのような溝の交差するネットワークとして配置することができる。各溝の幅は、約10mm幅より小さく、または約5mm幅より小さくできる。
【0024】
第五の例示的な実施態様では、所定のドナー部位およびレシピエント部位に複数の水疱を形成するための方法および装置が提供される。水疱の上部が、任意に、両方の部位から取り除かれ、取り除かれた水疱の真下の皮膚領域を露出させることができる。ドナー部位から取り除かれた水疱組織の部分は、ドレッシング物質を用いて、レシピエント部位の露出された皮膚組織のマッチング領域上に置かれうる。任意に、レシピエント部位から取り除かれた水疱組織片は、同様に、ドナー部位の対応する露出した皮膚領域の上に置くことができる。そこを通して複数の水疱の形成を容易にするために提供される複数の穴をもつ平板を含む装置が提供できる。装置は、任意に、組織表面から離して平板を位置づけるために構成された、1またはそれ以上のスペーサーを含むことができ、刃先等は、平板および組織表面の間を行き来して、水疱の隆起した部分を切断することができる。第一の平板中の穴に対応する(および、それと位置合わせした)穴をもつさらなる平板が、第一の(上部)平板に、そこから僅かに隙間をあけて付けられて、隆起した水疱の部分が両平板の対応する穴を通り抜ける。刃および他の切断構造が、平板の間を行き来し、水疱の隆起した部分を切断することができる。あるいは、下の平板は、上部の平板にスライド可能に取り付けられうる。下の平板は、薄くすること、および/または穴の周りに鋭い端をもって提供でき、下の平板が上部平板との関係で平行移動したときに、水疱の隆起した部分が、下にある組織から切断される。
【0025】
第六の例示的な実施態様では、ドナー組織の部分、例えば全層表皮組織を得ることを含む、損傷した組織を修復するための方法が提供され、組織は、任意の種々の技術、例えば、ドナー部位での吸引水疱の形成を用いて得ることができる。次いで、ドナー組織は、その後に懸濁物を形成するための溶液へと導入されうる、小さな移植組織部分へと分割されうる。移植組織の部分を含む懸濁物は、レシピエントに形成された1またはそれ以上の水疱下に注入され、組織の部分は、レシピエント部位において水疱下の皮膚に接触し、付着し、そして成長しうる。懸濁物は、隆起した水疱の下部部分中に、隣接する組織を通じて注入されて、隆起した水疱は無傷な状態を維持でき、従って、注入された懸濁物および組織部分が水疱内に封入されうる。
【0026】
本発明の開示の、これらおよび他の目的、特性および利点は、添付の特許請求の範囲との関連において、本発明の実施態様の以下の詳細な記述を読むことにより明らかとなろう。
【0027】
本発明の開示によって提供されるさらなる目的、特性および利点は、具体的な実施態様を示す添付の図面との関連において、以下の詳細な記載から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、移植組織を作るために、ドナー部位において形成された複数の例示的な吸引水疱の画像である。
図2図2は、ドナー部位における吸引水疱の除去によって形成された移植組織片の画像である。
図3図3Aは、微小移植片を形成するために用いることができる複数の刃を含む例示的な装置の画像である。図3Bは、図3Aに示された例示的な装置を用いて形成された例示的な微小移植片の画像である。
図4図4Aは、本発明の開示の例示的な実施態様に従った、微小移植片を形成するために移植組織片の上に置かれた例示的なメッシュ装置の画像である。図4Bは、図4Aで示された移植組織から形成された例示的な微小移植片の画像である。図4Cは、微小移植片を形成するために用いることができる例示的なメッシュ装置の概略側面図である。
図5図5は、後に引き伸ばされるドレッシング物質に付着した図3Bに示された微小移植片の画像である。
図6図6は、引き続いて引き伸ばされたドレッシング物質に付着した図4Bに示された微小移植片の画像である。
図7図7は、再色素形成すべき皮膚領域上に置かれた、付着した微小移植片を有する例示的な引き伸ばされたドレッシング物質の画像である。
図8図8Aは、本発明の開示の例示的な実施態様に従った、移植組織片の上に置かれた例示的なメッシュ装置の画像である。図8Bは、微小移植片を形成するために移植組織を圧迫している図8Aの例示的なメッシュ装置の画像である。
図9図9は、溶液中の例示的な微小移植片の懸濁物の画像である。
図10図10Aは、皮膚領域の例示的な再色素形成を提供するために用いることができる例示的な水疱パターンの画像である。図10Bは、皮膚領域の例示的な再色素形成を提供するために用いることができるさらなる例示的な水疱パターンの画像である。
図11図11は、本発明の開示の例示的な実施態様に従った、水疱の上の隆起した組織に穴をあけることなしに、吸引水疱中へ針を導入することを説明している。概略側面図である。
図12図12Aは、付着した微小移植片を有するドレッシング物質を制御下で引き伸ばすために用いることができる、例示的な装置の略図である。図12Bは、ドレッシング物質を制御下で引く伸ばすために用いることができるさらなる例示的な装置の略図であり、引き伸ばされたドレッシング物質と接触する位置に置かれうる移動可能な基板を含む。図12Cは、引き伸ばされたドレッシング物質と接触した位置に置かれた基板をもつ、図12Bに示された例示的な装置の略図である。図12Dは、付着した引き伸ばされたドレッシング物質の部分をもつ基板の略図である。
図13図13Aは、複数のまたはネットワークの吸引水疱を形成するための用いることができる例示的な装置の概略側面図である。図13Bは、図13Aに示された例示的な装置の概略底面図である。
図14図14は、所定の位置において形成された複数の水疱の例示的な画像である。
図15図15は、図14に示された例示的な水疱を形成するための例示的な吸引装置等に用いることができる例示的な平面の説明図である。
図16図16Aは、図14に示された複数の水疱の隆起した部分を取り除き、そしてドレッシング物質への付着を容易にするために用いることができる例示的な装置の側面図である。図16Bは、図14に示された複数の水疱の隆起した部分を取り除き、そしてドレッシング物質への付着を容易にするために用いることができるさらなる例示的な装置の側面図である。
図17図17Aは、5つの水疱から表皮組織を取り除いた後の6週間後のドナー部位の例示的な画像である。図17Bは、複数の付着した微小移植片を有するドレッシングで覆われている剥皮されたレシピエント部位の例示的な画像である。図17Cは、脱色素領域を示す、治療前のレシピエント部位の例示的な画像である。図17Dは、脱色素領域の再色素形成を示す、治療6週間後の図17Cに示されたレシピエント部位の例示的な画像である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面においては、同じ参照番号及び符号は、特に断りのない限り、図解された実施態様の、同様の特徴、要素、構成要素又は部分を示すために用いられる。さらに、本発明の開示は、図面を参照して詳細に記載されるが、それは、図解の実施態様と関連してなされ、そして図中で図解された特定の実施態様によって限定されるものではない。
【0030】
本発明の開示は、自己移植組織を用いた皮膚の修復のための例示的な方法および装置、特には、大きな面積のドナー組織を要求せず、そして、臨床的状況で比較的簡単にそして高額でなく実施できかつ使用できる、このような例示的な方法および装置に関する。このような例示的な方法および装置は、熱による熱傷および化学火傷の両方を含む熱傷、水疱形成、皮膚科病状態、例えば、表皮水疱症または壊疽性膿皮症、放射線療法潰瘍、糖尿病性潰瘍、虚血性潰瘍または栄養障害性潰瘍、外傷、または脱色素(例えば、白斑)による皮膚損傷を修復するために用いることができる。
【0031】
一つの観点において、本発明の開示の例示的な実施態様は、自己移植を用いて皮膚組織を修復または再色素形成するための方法が提供でき、そこでは、ドナー部位から採取された組織が、ドナー部位より大きな組織領域を修復または再色素形成するために用いることができる。図1に示すように、複数の隆起した水疱がドナー部位において形成されうる。これらの水疱は、吸引表皮水疱として形成できる。慣用の吸引水疱装置を用いることができ、それらは、小型真空ポンプ、圧力調節装置および/または温度調節装置を含む。例えば、組織を僅かに加熱、例えば、約40〜41℃の温度に加熱した後に、吸引水疱を形成できる。水疱の直径または横寸法は、約6mmおよび約12mmの間でありうるが、それより大きいまたは小さい大きさの水疱も用いることができる。
【0032】
一般にメラノサイトを含む隆起した水疱の表皮組織は、切断によってドナー部位より取り出すことができる。次いで、図2に示すように、この移植組織を、ガラススライドまたは他の無菌表面、例えば上を向いている角質層(外皮表面)の上に置くことができる。
【0033】
移植組織は次いで、例えば、切断または他の同様の技術を用いて、分割または細かく切られ、移植組織から複数の微小移植片を形成しうる。切断は、移植組織を部分的にまたは完全に通過するようにできる。例えば、再色素形成皮膚組織の場合は、用いる微小移植片は、メラノサイトが存在するのが好ましいかもしれない。従って、このような微小移植片の横寸法は、約1mmより小さい、例えば約200〜1000ミクロンの間、または好ましくは400〜800ミクロンの間でありうる。微小移植片の面積は、約0.04mm2と約1mm2の間、またはより好ましくは約0.16mm2と約0.64mm2の間でありうる。これらの例示的な大きさの範囲は、十分に大きな微小移植片を提供することができ、各微小移植片がメラノサイトを含む可能性が高く、また小さいが特定の移植組織片から多くの数の微小移植片を提供するに十分であり、そして本明細書に記載の如く、移植部位上での著しい程度の拡張を容易にできる。熱傷又は潰瘍の治療のためには、ケラチノサイトの存在および増殖が重要でありうる場合は、微小移植片の大きさは、幾分かはより小さいかもしれない。例えば、ケラチノサイトを含む微小移植片の横寸法は、約50ミクロンと約1000ミクロンの間、または好ましくは約100ミクロンと約800ミクロンの間でありうる。このような微小移植片の面積は、約0.0025mm2と約1mm2の間、または好ましくは約0.01mm2と約0.36mm2の間でありうる。これらの例示的な大きさの範囲は、生存が可能で損傷を受けていないケラチノサイトを含んでいるのに十分に大きく、かつ小さいが特定の移植組織片から多くの数のこのような微小移植片を提供でき、損傷を受けた皮膚の大きな領域の修復を容易にできるのに十分でありうる。
【0034】
一つの例示的な実施態様では、微小移植片は、例えば図3Aに示されるように、複数の実質的に平行な、狭い間隔で並んだ刃を含む装置を用いて形成される。この装置の隣接する刃間の距離は、約200〜1000ミクロンの間、または好ましくは約400〜800ミクロンの間でありうる。この例示的な装置は、移植組織に押しつけられて、そこを通って、第一の複数の実質的に平行な切断を形成する。次いで、2度目は、第一の複数の切断と実質的に直角またはある角度をもって、例示的な装置が移植組織に押しつけられて、第二の複数の実質的に平行な切断が形成されうる。図3Aに示される切断装置を用いて形成された例示的な微小移植片を図3Bに示す。
【0035】
さらなる例示的な実施態様では、例えば、図4Aに示された例示的なメッシュ装置を用いて微小移植片が形成できる。メッシュ装置は、移植組織内へと圧迫されて、移植組織を通って実質的に切断がなされ、そして複数の微小移植片が形成できる。図4Aのメッシュ装置を用いて形成された例示的な微小移植片を図4Bに示す。
【0036】
例示的なメッシュ装置は、例えば、生物組織に対して無害の構造的に固い材料、例えばステンレススチール等を用いて形成できる。例えば、例示的なメッシュ装置は、316Lステンレススチールを用いて、または、外科手術用の器具を形成するために用いることができる他の金属あるいは金属アロイを用いて形成できる。例示的なメッシュ装置は、メッシュ材料の薄いシートに備えられた、複数の開口部を含むことができる。このような例示的な構造は、例えば、織りスクリーン構造(例えば、互いに直交する方向で織られたワイヤまたはより糸材料をもつメッシュ)よりは組織片を捕捉する可能性が低いであろうし、例示的な装置からの微小移植片の分離を容易とできる。
【0037】
例示的なメッシュ装置の開口部または穴は、所望の大きさの範囲の微小移植片を提供できる大きさとすることができる。例えば、開口部は、約100ミクロンおよび約600ミクロンの間の、または好ましくは約200ミクロンおよび約400ミクロンの間の、横の大きさ(例えば、開口部の幅または直径)を有することができる。これらの開口部間のメッシュ材料の幅は、好ましくは小さく、例えば、約100ミクロンより小さできる。より小さな幅が、例示的なメッシュ装置を移植組織に押しつけた後に、組織の切断および/または分離を容易とするために好ましい。開口部間のメッシュ物質の幅はまた、機械的安定性を提供し、例示的なメッシュ装置を移植組織に押しつけたときに壊れないまたは裂けないように十分に大きいものとすべきである。
【0038】
例示的なメッシュ装置の厚み(例えば、メッシュ装置を形成するためのシート材料の厚み)は、移植組織試料の厚みとほぼ同じかまたはそれより大きいのが好ましいであろう。このようなメッシュの厚みは、例示的なメッシュ装置を移植組織上に容易に押し下げ、移植組織および/または形成された微小移植片が、例示的なメッシュ装置の上面の上に突出することなしに、微小移植片に分割することを手助けする。このような厚みは、移植組織を通ってメッシュを押して複数の微小移植片に分割するために、メッシュ表面への圧迫(例えば、機械的または液圧プレス)を容易とできる。例えば、例示的なメッシュの厚みは、約100ミクロンより大きく、例えば、約100ミクロンと約250ミクロンの間にできる。2つまたはそれ以上のより薄いメッシュを重ねたものもまた用いることができ、そこでは、積み重ねの全厚みは切断する組織の厚みよりも大きくできる。積み重ねの厚みは、例えば、約100ミクロンより大きく、例えば、約100ミクロンと約250ミクロンの間にできる。
【0039】
図4Aおよび4Bに示された、例示的なメッシュ装置の開口部およびこの例示的な装置を用いて形成された微小移植片は、実質的に正方形の形でありうる。メッシュ装置のさらなる例示的な実施態様は、細長い長方形、三角形、ハニカム形状(すなわち、六角形)、またはナローダイヤモンド様形状を含む、他の形をもったメッシュ開口部を含むことができる。このような開口部の形状は、本明細書の記載の如く、メッシュ装置を移植組織中へと押しつけたときに、実質的に同様の形状をもつ微小移植片を形成するために用いることができる。
【0040】
メッシュ装置400の例示的な実施態様は、図4Cに示すように、さらに、ハンドル410、フレーム420、および/または1またはそれ以上のメッシュ430の横側面に沿って備えられる追加の物質を含むことができる。例えば、硬質フレーム420が、メッシュ430の周辺部分に取り付けられうる。メッシュ430は、フレーム420に取り付けられてピンと張った状態で提供され、メッシュ430の構造的な剛性を増加させることができる。このような例示的な特性は、メッシュ430を移植組織中に押しつけることおよびそこからメッシュ430を除くことを含む、メッシュ装置400の操作を容易にできる。
【0041】
本発明の開示のさらなる例示的な実施態様では、微小移植片を形成するために、例えば、本明細書に記載の例示的な刃装置や例示的なメッシュ装置を用いて、移植組織につけた切断や刻み目は、移植組織を通って完全に通過していなくても良い。例えば、このような切断や刻み目は、実質的に連続した組織の薄い層が移植組織の底の部分に残っているようにして提供されうる。このような薄い層は、刃装置またはメッシュ装置を移植組織の上部部分上に押しつけるために用いる圧力または力を調節することにより提供されうる。組織の実質的に連続した層は、以下に記すように、(i)微小移植片を形成するための用いられる装置からの微小移植片の取り出し、(ii)小さな微小移植片の取扱い、および/または(iii)ドレッシングへの微小移植片の付着を容易にできる。次いで、本明細書中に記載するように、微小移植片間に横方向の力を加えることにより、個々の微小移植片を切断または刻み目に沿って互いに分離できる。
【0042】
微小移植片を移植組織から形成した後に、ドレッシング物質が少なくとも部分的に微小移植片の上部表面(例えば、角質層)に付着するように、ドレッシング物質を微小移植片の上に置くことができる。あるいは、ドレッシング物質の一片を、接着層が上を向くようにして面上に提供することができる。移植物質の一片を、角質層が下を向き、ドレッシング物質に接触しそして付着するように、ドレッシング物質の上に置くことができる。次いで、移植物質がドレッシング物質に付着している状態で、例えば、複数の刃を含むことができる例示的な装置またはメッシュ装置を用いて、微小移植片が形成されうる。
【0043】
ドレッシング物質は、生体適合性で、穏やかな張力をかけて引き伸ばすことができ、そしてまたガス透過性でもよいフィルムとして提供されうる。ドレッシング物質は、一方の面上に接着特性を持つ表面を含むことができる。例えば、ドレッシング物質は、テガデルム(Tegaderm)(登録商標)ドレッシング、オプサイト(Opsite)(登録商標)ドレッシング等を含む。ドレッシング物質は、固有の接着特性を有しても良く、またはその代わりに、ドレッシング物質の面に、接着性物質、例えば、接着性のドレッシングスプレイ、例えば、ロイコスプレー(Leukospray)(登録商標)(バイヤスドルフ社、ドイツ)を処理しても良い。
【0044】
付着した微小移植片をもつドレッシング物質(例えば、テガデルム(登録商標)ドレッシング)は、次いで、引き伸ばされて、付着した微小移植片の隣接する移植片間の距離が増加する。本明細書において記載されるように、もし微小移植片が、組織の表面に沿って、実質的に連続した組織の薄い層とともに形成された場合は、ドレッシング物質の引き伸ばしはまた、微小移植片の分離を容易にできる。例えば、個々の微小移植片間に生じる横方向の力、例えばドレッシング物質の引き伸ばしによる横方向の力は、もし存在すれば、実質的に連続する組織の薄い層の部分を優先的に裂くことができ、前もって形成された切断または裂け目に沿って微小移植片を分離できる。引き伸ばしは、手によって、またはドレッシング物質を特定の大きさに引き伸ばすために構成された例示的な装置を用いて行われうる。例えば、ドレッシング物質は、フレームまたは平坦な表面の上で、例えばマンドレル等で、それを引っ張ってピンと張ることにより引き伸ばされうる。
【0045】
本発明の開示のさらなる例示的な実施態様では、加圧流体例えばガスを用いて、付着した微小移植片をもつドレッシングの実質的に均一な引き伸ばしを容易にする、例示的な装置が提供されうる。このような例示的な装置は、以下にさらに詳細に記載する。
【0046】
皮膚組織の再色素形成のために、引き伸ばしの程度は、隣接する微小移植片間の距離が約4mmより小さくなるように、ドレッシング物質に提供されうる。脱色素領域に移植されたときに、微小移植片間の領域を再色素形成するために、メラノサイトが、各微小移植片から約2mmまで移動できる。隣接する微小移植片間の距離は、より均一な再色素形成を提供するために、約2mmより小さいのがより好ましいであろう。いかなる最小の距離も、ドレッシング物質を引き伸ばした後に、微小移植片間に提供できる。引き伸ばしの程度は、好ましくは、ドナー部位から取り出された特定の量の移植組織を用いて、より大きな領域である損傷を受けた組織を修復するために、微小移植片を含むドレッシング物質の十分に大きな領域を提供できるに十分な大きさでありうる。例えば、引き伸ばされたドレッシング物質上の隣接する微小移植片間の距離は、約0.5mmより大きくできるが、より小さな分離距離もまた用いることができる。
【0047】
領域拡大の量、例えば、ドナー部位から取り出された移植組織の領域に対する修復されるべき損傷を受けた組織の領域の比は、約500倍またはそれ以上かもしれない。約10倍から100倍の間の領域拡大が、ある例示的な実施態様では、レシピエント部位のより均一な被覆および/または再色素形成を提供するために好ましい。熱傷または潰瘍組織を修復するためには、微小移植片は、上記に比べて幾分小さくてもよく、そして隣接する微小移植片間の分離距離は、ケラチノサイトのより大きな移動範囲に基づいて、ドレッシング物質の引き伸ばし後は幾分大きいかもしれない。このような例示的な用途において、約1000倍またはそれ以上の拡大領域が用いられうる。
【0048】
図5は、図3Aの例示的な装置を用いて形成された微小移植片を含む例示的なドレッシング物質を示している。図5に示される例示的なドレッシング物質は、本明細書に記載のようにして引き伸ばされて、微小移植片を分離し、そして隣接する微小移植片間の距離を広げる。切断していない移植組織の一片を、図5で、引き伸ばしたドレッシングの左に示している。図4Aに示された例示的なメッシュ装置を用いて形成された、微小移植片が付着した引き伸ばしたドレッシング物質の同様の一片を、図6に示す。図5および図6に示された、例示的な引き伸ばされたドレッシング物質は、空間的に分離した微小移植片の配列を支持する。図5に示されそして本明細書中に記載されているように、分離された微小移植片を含む引き伸ばされたドレッシング物質の領域は、元の切断していない移植組織の全領域と比べて非常に大きくなることができる。
【0049】
表皮組織は、もし治療すべき領域に存在すれば、微小移植片を受け取るための領域を準備するために取り除くことができる。熱傷したまたは潰瘍のある領域は、領域の洗浄またはレシピエント部位の他の準備を行うかも知れないが、表皮組織を除く必要がないかもしれない。レシピエント部位において表皮組織が取り除かれた領域の大きさは、付着した微小移植片をもつ引き伸ばされたドレッシング物質の領域とほぼ同じ大きさである。この大きさは、微小移植片を作るためにドナー部位から取り出された元の移植組織の大きさより大きくできる。治療すべき脱色素または損傷した皮膚領域は、紙やすりまたは他の粗い物質で剥がすことができる。あるいは、表皮組織は、治療すべき領域の上に、1またはそれ以上の水疱、例えば吸引水疱または凍結水疱を形成し、次いで、隆起した表皮水疱組織を、切断または他の手段で除くことにより、レシピエント部位から取り除くことができる。レシピエント部位を準備するためには、吸引水疱が、他の技術例えば研磨に比べて下にある組織により少ないダメージを与えうるので好ましいかもしれない。
【0050】
図7の例示的な画像で示されるように、引き伸ばされたドレッシング物質は、治療すべき領域の上に置かれて、被覆を形成できる。付着した微小移植片をもつドレッシング物質の部分を、修復すべき領域、例えば、表皮組織が再色素形成のために研磨されているまたは取り除かれている領域の上に位置決めできる。引き伸ばされたドレッシング物質は、例えばテープ等を用いて、治療領域の上に固定できる。ドレッシング物質は、治療領域において微小移植片が付着しそして成長することができるのに十分な時間が過ぎた後、例えば、1〜2週間後に除去できる。任意に、次いで、治療領域をUV−B照射に曝し、再色素形成のために、治療領域においてメラニン産生を促進することができる。
【0051】
この例示的な微小移植方法は、ドナー部位から取り出した移植組織領域より遙かに大きい、例えば25倍またはそれ以上の皮膚領域での再色素形成を容易にできる。他の例示的な拡大の程度は、ドレッシング物質を引き伸ばす量を変えることによって達成できる。しかしながら、引き伸ばし量は、好ましくは、治癒した後に、治療された領域の均一な外観を生じるに十分なほど小さいのが好ましい。
【0052】
他の観点において、本発明の開示の例示的な実施態様は、自己移植技術を用いた皮膚組織の再色素形成のためのさらなる方法を提供できる。例えば、上記した、そして図1に示されるように、上皮組織の1またはそれ以上の隆起した水疱がドナー部位において形成されうる。水疱の直径は、約6mmと約12mmの間でありうるが、それより大きいまたは小さい大きさの水疱もまた用いることができる。水疱の隆起した表皮組織は、切断または他の方法によりドナー部位から取り出すことができる。この取り出した移植組織は次いで、角質層が下を向くようにして、ガラススライドまたは他の無菌の面上に置くことができ、その結果、表皮組織の基底層が上を向く。
【0053】
図4Aに示されるのと同様に、他の例示的なメッシュ装置が、図8Aに示すように、次いで移植組織の上に置かれうる。このさらなるメッシュ装置において備える例示的なメッシュは、移植組織の厚さより薄くできる。例えば、メッシュを形成するために用いるシート物質(従って、メッシュそのもの)は、約60ミクロンの厚さより小さくまたは約50ミクロンの厚さより小さくできる。このような寸法は、さらなるメッシュ装置を移植組織中へと押しつけた場合に、メッシュの上面の上に移植片の一部が突き出すのと容易とすることができる。この例示的な構成は、以下により詳細に記載するように、自己移植治療において用いられうる組織部分の形成を容易にすることができる。
【0054】
このさらなる例示的なメッシュ措置における、メッシュ開口部の横方向の幅または直径は、好ましくは、約100ミクロンと約600ミクロンの幅の間、またはより好ましくは、約200ミクロンと約500ミクロンの幅の間である。これらの開口部の間のメッシュ物質の幅は、好ましくは小さく、例えば、約100ミクロンより小さい。開口部間のメッシュ物質の幅は。好ましくは、機械的安定性を提供しかつさらにメッシュ装置を移植組織中へと押しつけた際に壊れずまた破れないように十分に大きい。
【0055】
さらなるメッシュ装置は、図8Bに示されるように、移植組織上へと押しつけることができ、移植組織の一部は、メッシュの上面の上へと突き出る。次いで、掻きとり用装置、例えば鋭い刃または金属スクレーパーをメッシュの上面に当ててそこから突き出た移植組織を取り除く。取り除かれた組織のこれらの例示的な部分は、約600ミクロンの幅より小さく、または好ましくは約400ミクロンの幅より小さくでき、これらの大きさは、メッシュの開口部の大きさに対応する。例えば、組織の部分の平均的な面積は、約0.01mmおよびの約0.4mm間、または好ましくは約0.04mmおよびの約0.25mm間でありうる。これらの例示的な大きさは、以下に詳細に記載するように、溶液中に懸濁した際に、良好な拡散を提供するのに十分に小さく、かつ、ほとんどの組織部分が通常少なくとも一つの活動性のメラノサイトを含むのに十分に大きい。図9に示される、取り除かれた組織部分は、以下に記載するように、損傷を受けたまたは脱色素された領域の治療のための微小移植片として用いることができる。これらの組織部分の実際の大きさは、それらを形成するためにメッシュから突出した組織部分をかき取るやり方のため、幾分小さくおよび/または不規則な形である。
【0056】
この方法での使用に適した例示的な微小移植片はまた、上皮移植組織を、ある大きさ、例えば、約100ミクロンと約600ミクロンの間の大きさの微小移植片へと機械的切断することにより形成できる。例えば、複数の狭い間隔で並んだ刃、例えば図3Aで示すような刃を含む装置を、本明細書の記載のようにして用いることができる。あるいは、図4Aに示される例示的なメッシュ装置を、移植組織を個々の微小移植片へと切断するために用いることができる。これらの機械的技術では、移植組織の角質層は、スライドまたは他の支持体表面に対して置かれうる。切断装置は次いで、移植組織を通過して切断を起こすに十分な力または圧迫でもって、移植組織の上部部分の上に押しつけられ、それによって約400ミクロンより小さくでもよい大きさをもつ個々の微小移植片を形成しうる。
【0057】
これらの微小移植片は次いで、好ましくは無菌で注射可能な溶液中で懸濁されうる。例えば、微量の(例えば、約10%未満の濃度で)グリセリンを含む溶液が、微小移植片の生存能力を維持しながら、隣接する表面への微小移植片の付着を防ぐために用いられうる。溶液はまた、電解質(例えば、生理的食塩水溶液)を含むことができ、その中で懸濁されている微小移植組織の生存能力を維持することを助ける。他の濃度、および溶液成分または添加物を用いることもできる。一般には、溶液は、好ましくは、生存能力のある微小移植組織を維持でき、そして副作用を起こすことなしに組織中へと注入できるものである。微小移植片を含んでいる懸濁液は、シリンジ中へと吸引することができる。例えば、懸濁液は、シリンジに連結した低摩擦チューブ、例えばテフロン(登録商標)チューブを通して吸引することができ、シリンジ内および外へ懸濁液を移す際に微小移植片が接着することを防ぐことができる。
【0058】
吸引水疱は、治療すべき脱色素領域において形成されうる。さらなる例示的な実施態様では、複数の吸引水疱が治療すべき領域上に形成されることができ、それは、より大きな領域を処理できる。このような例示的な水疱は、個々で形成されるかまたは相互につながった水疱のネットワークとして形成されうる。例えば、複数の、図10Aで示されるような細長い水疱が、治療すべき脱色素領域上に形成されうる。あるいは、図10Bに示されるように、複数の交差する細長い水疱も形成できる。図10Bに示される四角の領域は、例示的な、影響を受けない(水疱形成されていないまたは隆起していない)皮膚の領域を示しており、一方、実質的に垂直に交差する線のネットワークは、吸引水疱によって形成された表皮の隆起した部分を示している。
【0059】
図11に示すように、例示的な実施態様に従って、シリンジ1110(例えば、1ccシリンジ)に取り付けたニードル1100(例えば、25Gニードル等)が、水疱空洞1120中に挿入できる。ニードル1100は、図11に示すように、ニードルの先端が下部表面1130を通って水疱空洞1120の中心に位置し、水疱を覆う隆起した組織1140を突き刺さないように、向けられうる。次いで、シリンジ1110中の微小移植片含有懸濁液は、水疱空洞1120中に注入でき、引き続きニードル1100が除かれうる。ニードル1100およびからの空のシリンジ1110はまた、任意に、水疱から液を排出するために用いることもできる。シリンジ1110は次いで、ニードル1100から外すことができ、次いで、微小移植片が懸濁されている溶液を含んださらなるシリンジ1110をニードル1100に取り付けることができ、そして懸濁液が、排水された水疱中に注入できる。
【0060】
水疱内の例示的な微小移植片は次いで、安定し、そして水疱の下部表面1130において組織に付着する。微小移植片は、治療すべき領域上で増殖して皮膚組織の治療および/または再色素形成を促進する、健康なメラノサイトおよびケラチノサイトを含むことができる。本明細書中に記載されるようにして準備された、組織の部分中に提供された細胞のあるものは、場合により細胞シグナル機構によって、移植された際に脱分化過程へと向かうこともありうる。次いで、このような細胞は増殖し、引き続いてレシピエント部位(例えば、吸引水疱または創傷ドレッシング)へ移植された場合にメラノサイトへと分化しうる。従って、組織部分を含む溶液またはドレッシングはまた、本技術分野でこれらの効果(例えば、細胞増殖または分化)を促進すると知られているさらなる添加物を含むことができ、時間調節様式にて、増殖、分化その他の異なったフェーズを促進する添加物を含むこともできる。
【0061】
図11に示されるように、水疱上の隆起した組織1140への穿刺または穴開けを避けることにより、微小移植片を含む懸濁液は、水疱空洞1120内でより簡単に維持できる。無傷の隆起した組織1140はまた、下にある皮膚の保護を提供し、治療を容易にし、感染の危険を減らすことができる。
【0062】
図10Aおよび10Bに示される水疱の例示的なパターンは、水疱間の隆起していない皮膚部分を含む。これらの隆起していない部分の小さな幅は、約4mmより小さく、または好ましくは約2mmより小さくでき、隆起した水疱の下から隣接する隆起していない部分へのメラノサイトの移動を容易にすることができる。従って、これらの例示的な隆起していない部分は、水疱の治癒後の全体的に均一な色素性の外観をもたらすのに十分に小さくできる。
【0063】
より均一な再色素形成を望む場合は、先の水疱が治癒した後に、任意に、治療すべき皮膚の同じ領域の上に、水疱のさらなるパターンを形成することができる。これらの追加の水疱は、先の水疱が形成されたときに、先の隆起していなかった/水疱形成されていなかった部分の領域の上に形成することもできる。次いで、これらのさらなる水疱から排水が行われ、上記したように微小移植片の懸濁液の注入が行われ、治療が成される。この例示的な手順は、治療領域で、所望の程度の再色素形成および均一性が達成されるまで繰り返すことができる。
【0064】
隆起した水疱の他のパターンも用いることができる。例えば図10Bに示されるような交差する水疱のパターンは、例えば図11に示すような1回の注入(または、水疱ネットワーク内で種々の場所で提供される、少ない数のこのような注入)を用いて、水疱のネットワークを通じてメラノサイトを含む溶液の分散を容易にするために形成されうる。水疱は、水疱ネットワークを通じてメラノサイトの拡散を容易にするために、メラノサイトを含む溶液を注入した後に、穏やかにマッサージまたは触診されうる。用いることができる交差水疱の他のパターンは、例えば、三角形または六角形のパターンを含み、種々の角度で交差する、複数の細長い隆起した水疱として形成されうる。
【0065】
上記した例示的な方法は、水疱下の皮膚組織の修復および/または再色素形成を容易にできる一方、治療領域上での開放創の形成を避けることができる。さらに、治療した領域は、ドナー部位から取り出された移植組織の大きさより遙かに大きくできる。従って、ドナー部位において取り出される特定の量の皮膚組織を用いて、より大きな皮膚領域を修復または再色素形成できる。
【0066】
本発明の開示のさらなる例示的な実施態様では、本明細書に記載の方法は、皮膚組織以外の他の組織、例えば、他の上皮組織、例えば潰瘍のある組織のための下部消化管に適用できる。従って、レシピエント部位でのより大きな領域を修復するための適した移植組織を作る一方、ドナー部位において比較的小さな損傷および素早い治癒を提供する移植片が、様々な組織のために形成できる。
【0067】
さらなる観点においては、本発明の開示の例示的な実施態様は、図12A〜12Dに示されるように、付着した微小移植片をもつドレッシング物質1250(例えば、テガデルム(登録商標)ドレッシング)を制御下で引き伸ばすために用いることができる、例示的な引き伸ばし装置1200を提供する。例示的な装置1200は、皮膚のより大きな領域を修復または再色素形成するために、本明細書に記載のようにして付着した微小移植片間の距離を制御下で増加するために用いられうる。
【0068】
図12Aに示された例示的な引き伸ばし装置1200は、閉鎖端1220および開口端1230をもつハウジング1210を含む。ハウジング1210は、実質的に筒状であることができるが、他の形状も用いることができる。シェル1210の大きさおよび形状は、引き伸ばされる(例えば、付着した微小移植片をもつ)ドレッシング物質1250の大きさと実質的に同じ大きさ、またそれより大きくできる開口部1230を備えるように選択できる。ハウジング1210および閉鎖端1220は、一緒になって、内部容積を取り囲みそして開口部1230を規定する、連続する構造として提供されることもできる。
【0069】
ドレッシング物質1250は、移植片がドレッシング物質1250の外部表面(例えば、引き伸ばし装置1200の内部に対して外部である側面)に付着した状態で、引き伸ばし装置1200の開口端1230の上に配置できる。次いで、ドレッシング物質1250は、開口部1230の上に、例えば、Oリング1260、ゴムバンド等を用いて固定されうる。圧力源1270は、任意にバルブ装置1275を通じて、シェル1210の内部容積と連絡するようにして備えられうる。圧力源1270およびバルブ構造1275は、例えば、例示的な引き伸ばし装置1200の内部容積内を、所定の圧力にするようにおよび/または所定の圧力に維持するように構成できる。あるいは、圧力源1270およびバルブ構造1275は、特定の程度のドレッシング物質1250の引き伸ばしが起こるまで、引き伸ばし装置1200の内部容積内の圧力を、制御下で上昇させるように構成できる。
【0070】
圧力源1270は、例えば、空気ポンプ(例えば、電気ポンプまたは手押しポンプ)を含むことができる。一つの例示的な実施態様では、圧力源1270は、引き伸ばし装置1200の内部容積内へと、口で空気を送ることを容易にするチューブでありえる。さらなる例示的な実施態様では、圧力源1270は、例えばバルブ装置1275を用いて、引き伸ばし装置1200の内部容積を制御下で増加させることができる圧縮ガスが入った小型の容器を含むことができる。
【0071】
シェル1210の内部容積の圧力は、例えば、ガスまたは他の流体を内部容積内に送り込むことにより増加させることができる。増加した圧力は、引き伸ばし装置1200の開口部1230の上で、ドレッシング物質1250の伸張をもたらすことができる。圧力源1270は、ドレッシング物質1250の引き伸ばし量を制御するために構成された制御装置を含むことができる。例えば、単純なオン/オフスイッチが用いられ、引き伸ばし量は、目視での観察に基づいて、スイッチを用いて手動で制御される。制御装置は、圧力表示、および/またはバルブ装置1275に連結された圧力センサーを含むことができ、所定の圧力がシェル1210の内部容積内に提供できる。
【0072】
従って、図12Aに示される例示的な引き伸ばし装置1200は、ドレッシング物質1250の、制御された量の引き伸ばしを容易にできる。ドレッシング物質1250は、引き伸ばし装置1200を用いて、異なった方向へと実質的に均一に引き伸ばすことができる。もしドレッシング物質を、従来の技術、例えば、ドレッシング物質1250の端を、手でまたはクランプ装置を用いて異なった方向に引っ張った場合は、このような引き伸ばしは、均一ではなく、また全方向性でもないであろう。
【0073】
図12Bおよび12Cに示されるさらなる例示的な実施態様では、例示的な引き伸ばし装置1200はさらに、ロッド1285に固定された基板1280を含む。基板1280は、引き伸ばし装置1200の内部容積内に配置されうる。ロッド1285は、装置1200の閉鎖端1220の開口部を通り抜けることができ、あるいはハウジング1210に移動可能に連結されて、基板1280の位置は、閉鎖端1220の下部面を越えて突き出ているロッド1285の近位端を動かすことにより、ハウジング1210の開口部1230に対して変化させることができる。閉鎖端1220とそこを通り抜けるロッド1285の間にシールを提供することができ、そこでは、シールは、装置1200内で上昇した圧力を維持できるように構成され、例えば、シールは、ロッド1285が動いた場合でも、著しい量のガスが閉鎖端1220の開口部を通じて漏れるのを防ぐ。
【0074】
例示的な引き伸ばし装置1200の内部容積は、圧力源1270および/またはバルブ装置1275を用いて加圧でき、付着した微小移植片をもつドレッシング物質1250は、図12Bに示すように引き伸ばされる。基板1280は、引き伸ばされたドレッシング物質1250に向かって動かすことができ、図12Cに示すように、ドレッシング物質の少なくとも一部と接触する。装置1200の内部の圧力は、次いで、例えば、バルブ装置1275を用いて、任意に開放または減少できる。次いで、ドレッシング物質1250は、基板1280の周囲で、刈り込まれまたは切断されうる。この例示的な手順は、図12Dに示すように、引き伸ばされてまたは膨張させられた状態で、基板1280に部分的に接着したドレッシング物質の部分を提供できる。ドレッシング物質1250の一部は、本明細書に記載の如く、準備した治療すべき皮膚領域へと広げられたドレッシング物質を位置決めして適用することを容易にするために、基板1280の端を超えて突出したままにしても良い。ロッド1285はまた、治療すべき領域の上にドレッシング物質1250の部分を位置決めするためのハンドルとして用いることもできる。
【0075】
さらなる観点において、本発明の開示の例示的な実施態様は、図13Aに示される吸引装置を提供でき、それは、種々の形状の吸引水疱、例えば図10Bに示される例示的な水疱ネットワークを形成するために用いることができる。一般的な吸引水疱装置は、例えば米国特許第6,071,247号に記載されている。例示的な吸引装置1300は、真空源1310を含むことができる。例えば、真空源1310は、ポンプ本体1312、および1またはそれ以上の回数、一緒に強く握ることにより吸引を生じる一対のバネで留められたハンドル1314を含むコンパクトなポンプでありうる。あるいは、真空源1310は、例えば、電気ポンプまたは冷却または収縮できる加熱されたガスを含有する容器を含むことができる。
【0076】
真空源1310は、チューブ1330を介して平板1340と連結して提供されうる。1またはそれ以上の溝1342が、平板1340の下部面に沿って提供されうる。例えば、このような溝1342の連続するネットワークを、平板1340の下部面からの見たものが、図13Bに示される。1またはそれ以上の導管1344が、溝1342および平板1340の外部面の間に通路を作るために提供されうる。例えば、少なくとも一つの導管1344が、ブロック1340内の各々の分離する溝1342のために提供されうる。各分離した溝1342は次いで、分離した吸引水疱を形成するために用いられうる。圧力ゲージ1320は、任意に、真空源1310に連結されることができ、組織表面および溝1342間のその時点での圧力を示す。
【0077】
例示的な吸引装置1300は、治療すべき皮膚領域上に、平板1340を置くことにより操作できる。ゲルまたは他の物質を、平板1340と皮膚表面間の密封を改善するために、平板1340の下部面上に提供できる。皮膚領域は、任意に、平板1340を当てる前に、例えば約45℃までの温度、または好ましくは39℃〜41℃の間の温度に加熱できる。加熱は、慣用の技術、例えば、暖かい物体を皮膚に接触させるまたは皮膚を加熱した水または他の流体に曝すことにより達成できる。非接触の加熱技術または装置、例えば、加熱ランプまたは赤外ランプもまた用いることができる。このような加熱は、水疱が形成される間に、任意に提供できる。次いで、真空源1310が始動され、溝1342内に、部分的な真空(例えば、より低い圧力)を生み出す。適した低圧が溝1342内で、十分な時間維持されることにより、その下の皮膚に溝1342と同じパターンをもった吸引水疱を形成できる。吸引水疱の形成に要求される時間および圧力は、慣用の吸引水疱技術に従って決定することができる。このような吸引水疱を形成するための好ましい時間は、例示的な吸引装置1300を用いる前に皮膚を前加熱した場合は、減らすことができる。
【0078】
例示的な吸引装置1300は、溝1342の適したデザインによって形づけられる、種々のパターンの吸引水疱の形成を容易にできる。これらの溝1342を含むブロック1340の下部面は、皮膚の異なった領域を治療するために、種々の形、例えば(図13Bに示すような)四角、例えば円形、卵形等で提供されることができる。ブロック1340の下部面はまた、曲面として、治療すべき皮膚領域の曲線により合うようにすることもできる。例えば、実質的に円筒状の輪郭を持つものは、腕または足の湾曲にぴったり合うであろう。隣接する溝間の距離は、約4mmより小さく、または好ましくは約2mmより小さくでき、本明細書中に記載されているように、形成された水疱の下から隣接する隆起していない部分へのメラノサイトの移動を可能とする。各溝の幅は、約10mm幅より小さく、または約5mm幅より小さくできる。このような例示的な幅は、治癒に長い時間がかかるかもしれない過剰に大きな水疱を避ける一方、十分な量の移植される水疱領域を提供するのに十分なほど大きい水疱を形成できる。
【0079】
さらなる観点では、本発明の開示の例示的な実施態様は、複数の小さな、間隔をおいて離れた移植片が、ドナー部位の所定の位置において形成されそして治療部位に提供される、自己移植方法および装置を提供できる。例えば、複数の小さな水疱片、例えば皮膚組織の吸引水疱または他の隆起した部分が、図14に示すようにドナー部位において形成できる。
【0080】
このような水疱は、例えば、図15に示されるような、複数の穴1520をもつ平板またはシート1510を含む例示的な吸引水疱装置1500を用いて形成できる。各水疱の幅または直径は、約0.5mmおよび約2.5mmの間の直径であることができ、それは、レシピエント部位の大きな皮膚領域を修復するに十分な大きさの移植組織試料であるが、一方、ドナー部位から取り除かれた後に治癒が容易であるように十分なほど小さい移植組織試料を提供できる。あるいは、より大きなまたはより小さな大きさの水疱もまた用いることができる。穴1520は、種々の形のいずれかをとることができる。実質的に円形または楕円形の、例えば、凸曲面形をもつ穴が、明確な端をもつ隆起した水疱を生じるために好ましい。
【0081】
図16Aに示される例示的な装置1600は、次いで、ドナー部位の複数の水疱の上に置くことができる。図16に示される例示的な装置1600は、薄いギャップが平板の間に備わるようにして下部平板1615とそれに取り付けられた上部平板1610を含み、そこでは、ギャップは、刃又は他の切断端が平板の間を通り抜けできるように十分に幅が広い。例えば、平板1610、1615は、平板1610、1615の周辺部分またはその近くに備えられうる複数のスペーサーを用いて、お互いに貼り付けられることができる。ある例示的な実施態様では、平板1610、1615の各々は、複数の穴1620を含み、穴1620のパターンは、水疱を形成するために用いられる穴のパターンと、実質的に同じまたは類似とできる。さらなる例示的な実施態様では、下部平板1615は除くこともでき、そしてスペーサー1630は、装置1600を形成された水疱の上に置いた際に、皮膚表面から僅かな距離でもって離れたところに、穴1620のパターンをもった上部平板1610を配置できるように構成されうる。またさらなる例示的な実施態様では、真空源は、装置1600を皮膚に置いた後に、装置の上に提供され、穴1620を通して複数の水疱を形成できる。
【0082】
図16Aの例示的な装置1600は、次いで、ドナー部位に形成された水疱上に置くことができ、水疱の上部は、穴1620を通して、上部平板1610の上部面から突き出る。少なくとも一つの面上で接着特性を持つことができるドレッシング物質(例えば、テガデルム(登録商標)ドレッシング等)は、次いで、上部平面1610および水疱の突出した頂点上に当てられ、少なくとも部分的に水疱に付着する。次いで、刃または他の切断装置が、上部平板1610と下部平板1620の間、または下部平板1615が備えられない場合は上部平板1610と皮膚表面の間を平行移動して、下の皮膚組織から隆起した水疱を切断する。次いで、付着した水疱の隆起した部分をもつドレッシングは、上部平板1610から除かれうる。この例示的な方法で、複数の水疱から形成された小さな移植片のパターンが、ドレッシング物質の所定の位置に提供されうる。
【0083】
図16Bに示すさらなる例示的な実施態様では、例えば、上部平板1610に備えられた実質的に平行な溝内をスライドできる突起物1650を用いて、上部平板1610に摺動自在に備えられうる下部平板1615を含む装置1640が提供されうる。下部平面1615は、薄い状態でおよび/または穴1620の周りに鋭い端をもって提供されることができ、水疱の隆起した部分は、下部平板1615が上部平板1610に対して平行移動した時に、下部平板1615の穴1620の端によって下に存在する組織から切断されうる。
【0084】
複数の水疱が、ドナー部位のために上記した同じ技術を用いて、レシピエント部位に形成できる。水疱のパターンまたは空間的な配置は、ドナー部位およびレシピエント部位で、実質的に同じである。例えば、水疱の各セットは、図15に示した同じ装置、または同様の装置または製品を用いて形成できる。レシピエント部位での水疱は、切断しそして廃棄することができ、あるいは、それらはドナー部位で形成される小さな水疱に関して上記したようにしてドレッシング物質の第二の片に付着することもできる。
【0085】
付着したドナー部位からの小さな移植片のパターンを有するドレッシング物質は次いで、レシピエント部位上に置かれることができ、移植片は、水疱が取り除かれ露出した領域に実質的に位置合わせされる。ドレッシングは、移植片が周辺の組織に付着するのを容易にするために、または付着できるように、十分な時間(例えば、数日から2、3週間)そのままに置かれ、その後、ドレッシング物質が取り除かれうる。もし、レシピエント部位からの水疱を、(廃棄するのではなく)ドレッシング物質の第二の断片に付着させた場合は、ドレッシング物質の第二の片をドナー部位の上に貼り付けて、レシピエント部位から取り出された水疱を、ドナー部位の水疱が取り除かれ露出した領域に実質的に位置合わせされる。この第二のドレッシング物質はまた、水疱断片が、ドナー部位において周辺の組織に十分に付着するまで、そのままに置かれうる。
【0086】
この例示的な方法では、ドナー部位から、複数の分離した小さな移植片が形成されそして取り除かれ、レシピエント部位の対応する露出した皮膚領域の上に配置される。任意に、レシピエント部位から取り除かれた小さな組織片もまた、ドナー部位の適合する露出した皮膚領域の上に配置されうる。この例示的な自己移植手順が行われた後、ほとんどのまたはすべての外傷および再配置された組織片が覆われそして手当てされ、それらは治癒へと向かうことができる。
【0087】
またさらなる例示的な実施態様では、レシピエント部位が、例えば、レシピエント部位の表皮の少なくとも一部が取り除かれることにより、準備されうる。このような準備は、例えば、慣用の皮膚を薄く削る技術を用いて行なうことができる。付着したドナー部位からの小さな移植片をもつドレッシング物質は次いで、移植片の少なくとも一部が、表皮組織の一部またはすべてが取り除かれたレシピエント部位の領域と合うようにしてレシピエント部位の上に置かれることができる。ドレッシングは、上記したように、移植片が周辺の組織に付着するのを容易とする、またはそれを可能とするのに十分な時間(例えば、数日から2、3週間)、そのまま置かれうる。ドレッシング物質上の隣接する小さな移植片間の平均距離は(ドナー部位で形成された水疱間の距離に対応しうる)、上記したように、メラノサイトおよび/またはケラチノサイトの移動に基づいて選択されうる。例えば、隣接する小さな移植片の最も近い端間の平均距離は、約4mmより小さく、または約2mmより小さくでき、小さな移植片間でのメラノサイトの移動を容易とできる。もし、ケラチノサイトの移動が治療組織と関係している場合は、例えば、メラノサイトと比べたケラチノサイトのより大きな典型的な移動距離に基づいて、この平均距離は、より大きくすることもできる。
【実施例】
【0088】
以下に詳細に記載するように、例示的な移植手順を、本発明の開示の例示的な実施態様に従って行った。例示的な手順は、白斑を伴う脱色素を示す患者の手首領域の再色素形成を提供するために行った。
【0089】
本明細書に記載のようにして、吸引水疱を形成することにより、ドナー組織の5つの表皮片を、患者の大腿部から約1時間の間に得た。ドナー部位を約41℃の温度に加熱し、そして約15インチ(1/2気圧)の吸引圧を用いて、水疱を形成した。水疱から得た各組織片は、直径が約8mmであった。5つの組織片がそこから取り除かれたドナー部位の、水疱形成から約6週間後のものを図17Aに示す。小程度の色素増加(黒ずみ)が目で確認でき、そこでは、表皮細胞が取り除かれている。真皮の関与や瘢痕化は観察されず、温和な色素増加が、約3〜6ヶ月のうちに現れるであろう。
【0090】
次いで、表皮移植組織のこれらの各片を用いて、複数の微小移植片を形成した。つまり、本明細書の記載に従って、機械的圧迫を用いて、移植片の外側面(皮膚表面または角質層)上に、2つの積み重ねステンレススチールメッシュを押しつけることにより、微小移植片を形成した。各メッシュは、約90ミクロンの厚さ(これは、約180ミクロンの全厚さをもつ積み重ねに対応する)で、各メッシュラインの幅は約100ミクロンであった。メッシュ中の穴は、約400ミクロンの幅であった。この方法を用いて、ドナー組織の各片から、複数の微小移植片が形成した。各微小移植片は約400ミクロンの幅であった。微小移植片は、メッシュ装置によって、部分的にのみ互いに分離され、組織の僅かな切断していない部分によって連結されて、ドナー組織の各片は、そこから複数の微小移植片が形成された後、一つの単位として操作できた。
【0091】
次いで、移植組織の5つの表皮片は、本明細書の記載のようにして、テガデルム(登録商標)ドレッシング(3M)の断片の粘着性のある面の上に、互いに隣接するようにして、かつ外部皮膚表面(角質層)がテガデルム(登録商標)ドレッシングに付着するようにして置いた。この方向は、テガデルム(登録商標)ドレッシングをレシピエント部位上に置いたときに、移植組織中に存在するケラチノサイトおよびメラノサイトと、レシピエント部位の準備された表面の間の直接の接触を容易にする。
【0092】
付着した移植組織をもつテガデルム(登録商標)ドレッシングは次いで、図12Aに示される例示的な拡張装置に、Oリングを用いて固定した。ポンプを用いて、拡張装置内の圧力を上げて、テガデルム(登録商標)ドレッシングを風船のように拡張して、ドレッシングを均一に引き伸ばした。この手順は、本明細書に記載のように、隣接する微小移植片間の分離をもたらした。個々の微小移植片は、それらの小さな大きさのために個々には引き伸ばされているようには見えなかった。各微小移植片の死んだ角質層がドレッシングに付着しているので、ドレッシングは上皮の生きた細胞に直接接触せず、各移植片は、その完全性を維持できる。
【0093】
テガデルム(登録商標)ドレッシングは、拡張され、引き伸ばされたドレッシングを引き裂くことなしに、約2mmという隣接する微小移植片間の距離が形成された。これは、ドナー部位の約2.5〜3倍の大きさである微小移植片を含むドレッシング領域に相当した。次いで、プラスチックリングを、ドレッシングに付着した微小移植片の配列の外側周辺を少し越えたところで、ドレッシングに固定し、ドレッシングを引き伸ばした形状で保持し、そして次いで、ドレッシングの外側部分をリングの周囲で切断して除いた。次いで、他の引き伸ばしていないテガデルム(登録商標)ドレッシングの断片を、引き伸ばしたドレッシングの非粘着性の面に付着させ、さらなる強度および安定性を提供した。
【0094】
レシピエント部位は、慣用の手順を用いて皮膚を剥がし、湿った状態に保持した。次いで、分離された微小移植片が付着した引き伸ばしたテガデルム(登録商標)ドレッシングを、引き伸ばしていないテガデルム(登録商標)ドレッシング層およびプラスチックリングとともに、皮膚が剥がされたレシピエント部位の上に置いた。引き伸ばしていないテガデルム(登録商標)ドレッシングは、皮膚組織から離れた状態で、ドレッシングの外側表面を提供した。患者の左手首上のレシピエント部位に適用した、付着した微小移植片を含むこのドレッシング構造を、図17Bに示す。次いで、患者は、このドレッシング物質をその場所に保持したまま帰宅した。
【0095】
レシピエント部位上のドレッシングは、7日後に交換した。抗生物質も鎮痛剤も処方せず、またその必要も見受けられなかった。ドレッシングを交換した時(微小移植片をレシピエント部位に適用してから7日後)は、再色素形成は観察されなかった。レシピエント部位はきれいで、感染を示す形跡もなく、また他の合併症も見られなかった。
【0096】
レシピエント部位に微小移植片を適用した2週間後に、再色素形成の最初の兆候が目で観察された。治療領域では、複数の色素形成した小さな領域が形成され、一方、対照の治療していない領域では、同様の色素形成した小さな領域はなかった。6週間後、色素形成した斑点が融合して、より大きな色素形成斑点を形成した。この観察された様態は、移植片が受容されそして増殖したことを示唆している。図17Cおよび17Dは、本明細書に記載の微小移植片を適用前、および適用6週間後のレシピエント部位を示している。これらの図中の円で囲った治療領域の高さは、約3cmである。図17Cで示された脱色素された領域の大部分は、図17Dに示すように、約6週間後には、適用された微小移植片の付着および成長を通じて、有色素となっていた。
【0097】
上記は、本発明の原理を単に説明するに過ぎない。記載された実施態様に対しての、種々の変更および置換は、本明細書に記載された教示により当業者にとって明らかである。従って、本技術分野の当業者は、本明細書に明白に記載されてはいないが、本発明の原理を具現化する多数の技術を考えることができるということが理解され、従って、それらは本発明の範囲に含まれる。本明細書で参照されたすべての特許公報及び文献の開示のすべては、引用されることにより本明細書の一部である。

図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
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図15
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