特許第5989160号(P5989160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989160
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】遊技場用管理装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   A63F7/02 328
   A63F7/02 332B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-32820(P2015-32820)
(22)【出願日】2015年2月23日
(62)【分割の表示】特願2011-115739(P2011-115739)の分割
【原出願日】2011年5月24日
(65)【公開番号】特開2015-97825(P2015-97825A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向山 幸治
【審査官】 ▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−228862(JP,A)
【文献】 特開2011−019545(JP,A)
【文献】 特開2011−067608(JP,A)
【文献】 特開2002−263351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を貯留する遊技球貯留皿と、
前記遊技球貯留皿から遊技球を受け入れて遊技盤へ発射する発射手段と、
発射された遊技球が入賞可能な始動入賞口及び大入賞口と、
前記始動入賞口へ入賞したときに大当たりか否かの抽選を実行する抽選手段と、
前記抽選手段による抽選結果を表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された抽選結果が大当たりの場合に、前記大入賞口を開放する大当たり状態を発生する大当たり発生手段と、
前記大当たり状態が終了した後に、大当たりの当選確率を高めると同時に前記始動入賞口への入賞率を高める特別状態を所定の確率で発生する特別状態発生手段と、
前記始動入賞口及び前記大入賞口への入賞に応じて、前記遊技球貯留皿へ規定数の遊技球を払い出す遊技球払出手段と、を備えた複数種類のパチンコ遊技機を管理対象とする遊技場用管理装置において、
パチンコ遊技機の種類毎に、前記遊技球貯留皿に貯留可能な遊技球の最大貯留数を設定する貯留数設定手段と、
前記特別状態が発生した時点から次の大当たり状態が発生するまでに減少した遊技球の数である減少遊技球数を特定する減少遊技球数特定手段と、
前記最大貯留数から前記減少遊技球数を減算した残貯留数を特定する残貯留数特定手段と、
前記残貯留数を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする遊技場用管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動入賞口への入賞率を高める特別状態を所定の確率で発生する遊技機を管理対象とする遊技場用管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のパチンコ遊技機は、特別状態としていわゆる確変状態を発生可能なタイプが一般的であり、確変状態では普通役物の作動率(始動入賞口への入賞率)を高めた時短状態も同時に発生するのが普通である。従って、確変状態では大当たりの当選確率が高まると同時に出玉率も高まるので、持ち玉の減少を抑えつつ次の大当たり当選を待つことができる。このようなパチンコ遊技機においては、通常状態及び大当たり状態に加え、確変状態における出玉率も考慮した上で釘調整を行うことが重要であり、例えば特許文献1に記載されているように確変状態の出玉率を管理することが一般的である。確変状態での出玉率は通常80〜90%程度に調整することが多く、徐々に持ち玉が減少することになるが、通常状態に比べるとはるかに高い出玉率であるため、持ち玉の減少をほとんど気にかけない遊技者が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3859247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、出玉率を低く調整しすぎると(釘調整が適切でない)と確変状態であっても持ち玉の減少が大きくなるため、遊技者が持ち玉の減少を実感することとなり、遊技者に対して悪い印象を与えてしまうという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、確変状態において適度な割合で持ち玉が減少するような釘調整を行うことができる遊技場用管理装置を提供することにある。
【発明の効果】
【0005】
請求項1に記載した発明は、遊技球を貯留する遊技球貯留皿と、前記遊技球貯留皿から遊技球を受け入れて遊技盤へ発射する発射手段と、発射された遊技球が入賞可能な始動入賞口及び大入賞口と、前記始動入賞口へ入賞したときに大当たりか否かの抽選を実行する抽選手段と、前記抽選手段による抽選結果を表示する表示手段と、前記表示手段に表示された抽選結果が大当たりの場合に、前記大入賞口を開放する大当たり状態を発生する大当たり発生手段と、前記大当たり状態が終了した後に、大当たりの当選確率を高めると同時に前記始動入賞口への入賞率を高める特別状態を所定の確率で発生する特別状態発生手段と、前記始動入賞口及び前記大入賞口への入賞に応じて、前記遊技球貯留皿へ規定数の遊技球を払い出す遊技球払出手段と、を備えた複数種類のパチンコ遊技機を管理対象とする遊技場用管理装置において、パチンコ遊技機の種類毎に、前記遊技球貯留皿に貯留可能な遊技球の最大貯留数を設定する貯留数設定手段と、前記特別状態が発生した時点から次の大当たり状態が発生するまでに減少した遊技球の数である減少遊技球数を特定する減少遊技球数特定手段と、前記最大貯留数から前記減少遊技球数を減算した残貯留数を特定する残貯留数特定手段と、前記残貯留数を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用管理装置。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態による管理装置を適用した遊技場用システムの構成を概略的に示す図
図2】遊技機の構成を模式的に示す図
図3】管理装置が設定する上皿貯留数設定を示す図
図4】上皿の貯留状態を平面視及び断面視にて模式的に示す図
図5】管理装置が集計する遊技データを示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一実施形態による遊技場用管理装置について、図1から図5を参照しながら説明する。
図1は、遊技場用管理装置を適用した遊技場用システム1の全体構成を概略的に示している。遊技場用システム1が設けられている遊技場内には、複数種類且つ複数台の遊技機2が設置されており、各遊技機2に対応して貸出ユニット3が設置されている。これら遊技機2及び貸出ユニット3は、それぞれ遊技機端末4に接続している。貸出ユニット3は、遊技者による貨幣の投入などに応じて、遊技球に相当するパチンコ玉(遊技価値)を貸し出す。遊技機端末4は、遊技機2や貸出ユニット3など遊技機2側の機器から出力される後述する遊技信号を、LAN5を経由して管理装置6(遊技場用管理装置に相当する)に転送する。また、遊技機端末4は、遊技場の従業員を呼び出す呼出機能や遊技機2の稼動データを表示するデータ表示機能も有している。管理装置6は、詳細は後述するが、遊技場内の例えば事務所などに設置されており、モニタ7や図示しないプリンタなどの表示装置(表示手段及び比較結果出力手段に相当する)に接続している。このような遊技場内には、例えば数百台の遊技機2が設置され、管理装置6の管理対象となっている。尚、遊技場内には、図示しない計数装置や景品交換装置(POS)なども設置されている。
【0008】
パチンコ遊技機としての遊技機2(大当たり発生手段、抽選手段、大当たり発生手段、特別状態発生手段、遊技球払出手段に相当する)は、図2に示すように、パチンコ玉を遊技盤2aに発射する図示しない発射機構に設けられているハンドル10(発射手段に相当する)、遊技盤2aに設けられている表示部11(表示手段に相当する)、発射されたパチンコ玉が入賞可能な普図入賞口12、始動入賞口13及び大入賞口14、遊技機2から払い出されたパチンコ玉が貯留される上皿15(遊技球貯留皿に相当する)、パチンコ玉が回収されるアウト口16、上皿15から溢れたパチンコ玉が貯留される下皿2bなどを備えている。
【0009】
このような遊技機2において、遊技者がハンドル10を操作すると、上皿15から発射機構に受け入れられたパチンコ玉が遊技盤2aに発射される。発射されたパチンコ玉が特図入賞口である始動入賞口13(いわゆる普通役物)に入賞すると遊技機2は内部抽選を実行し、規定数のパチンコ玉を払い出すとともに、大当たりか否か及び大当たりの場合には確変状態を発生するか否かを決定する。この内部抽選は、予め定められた大当たり当選確率に基づいて実行される。本実施形態では、大当たりは約1/300の確率で発生するように構成されている。遊技機2は、内部抽選の抽選結果を受けて表示部11の特図表示部11aに停止表示する特図の種類を決定し、図柄変動を開始する。そして、停止表示した特図(図2では「777」)が大当たり図柄である場合に大当たり状態を発生し、大入賞口14を予め定められた回数だけ繰り返し開放する。この大入賞口14にパチンコ玉が入賞すると、一般的には始動入賞口13への入賞時よりも多い規定数のパチンコ玉が払い出しされる。このため、大当たり状態が発生すると、大量のパチンコ玉が払い出される(遊技者が大量のパチンコ玉を獲得する)ことになる。
【0010】
このとき、遊技機2から払い出されたパチンコ玉は、まず上皿15に貯留され、上皿15から溢れたパチンコ玉が下皿2bに貯留される。この上皿15は、遊技機2の種類(機種)によって異なるものの、約300〜400個のパチンコ玉が貯留可能となっている。尚、遊技機2は、機種に応じて大当たり当選の確率や入賞時の賞球数(払い出しされるパチンコ玉の数)などのスペックが異なっている。
【0011】
また、遊技機2は、発射されたパチンコ玉が普図入賞口12に入賞した場合には普図抽選を実行して当たりか否かを決定し、この普図抽選の結果を受けて普図表示部11bに停止表示する普図(図2では「5」)の種類を決定して普図の図柄変動を開始する。そして、普図抽選の結果が当たりである場合には、始動入賞口13の電チュー13aを開放する。本実施形態の場合、通常状態では、普図の図柄変動時間は約30秒であり、電チュー13aの開放時間は約0.1秒である。
【0012】
遊技機2は、内部抽選で決定された大当たり図柄が確変大当たり図柄である場合(約1/2)には、大当たり状態の終了後に確変状態を発生する。この確変状態では、大当たりの当選確率が約1/30まで高められるとともに、普図の図柄変動時間が約30秒→約3秒に短縮され、電チュー13aの開放時間が約0.1秒→約3秒まで増加する。このように、本実施形態の遊技機2は、確変状態を発生するとき、始動入賞口13へのパチンコ玉の入賞率が大幅に高められるいわゆる時短状態も併せて発生する。つまり、この確変状態は、大当たりの当選確率を高めると同時に始動入賞口13への入賞率を高める特別状態に相当する。
【0013】
このような構成の遊技機2及びその周辺機器は、パチンコ玉の打ち込みや上記した始動入賞口13への始動入賞など遊技者による遊技の進行に伴って、各種の遊技信号を出力する。この遊技信号は、例えば使用玉を回収するアウトBOX(図示せず)から出力され、使用媒体数(アウト)を特定可能なアウト信号、遊技機2から出力され、払出媒体数(セーフ)を特定可能なセーフ信号、始動入賞口13への入賞(始動入賞)を特定可能な始動入賞信号、始動入賞口13への始動入賞により変動(作動)を開始する図柄変動(役物作動)を特定可能な図柄変動信号などである。また、遊技機2からは、大当たり状態であることを示す大当たり信号、及び、確率変動状態であることを示す確率変動信号も出力される。また、貸出ユニット3からは、投入された貨幣に応じて貸し出したパチンコ玉の数を示す売上信号なども遊技信号として出力される。
【0014】
管理装置6(遊技場用管理装置、貯留数設定手段、減少遊技球数特定手段、残留遊技球数特定手段、出力手段、比較結果出力手段に相当する)は、図示しないCPUからなる制御部、図示しないROMやRAM及びHDDなどからなる記憶部、及び上記した遊技信号などの送受信を行う入力手段である図示しない入出力部を備えたコンピュータで構成されている。管理装置6は、記憶部に記憶している制御プログラムに従って作動し、入出力部に入力される遊技機2側の機器からの遊技信号に基づいて、遊技機2毎或いは遊技機2の機種毎に遊技データを算出及び集計する。具体的には、管理装置6は、遊技機2側の機器から入力される各種の遊技信号に基づいて、アウト、セーフ、差玉、図柄変動回数(スタート回数)、特賞回数(大当たり状態の発生回数)、確変回数(確率変動状態の発生回数)、売上などの周知の遊技データを遊技機2毎に算出及び集計する。この集計結果は、モニタ7や図示しないプリンタなどに表示(出力)する。
【0015】
また、管理装置6は、後述するように上皿15に貯留されているパチンコ玉数を特定可能な遊技データを集計する。そのため、管理装置6は、図3に示す上皿貯留設定を設定する。この上皿貯留設定には、遊技機2の種類(機種AAAA、機種BBBBなど)毎に、それぞれの上皿15に貯留可能な最大のパチンコ玉数を示す最大貯留(最大貯留数に相当する)、及び、上皿15の底面15a(後述する図4参照)の全域を覆うのに最小限必要なパチンコ玉の数を示す中間貯留(中間貯留数に相当する)が設定されている。
【0016】
次に上記した構成の管理装置6の作用について説明する。
図4は、上皿15に貯留されるパチンコ玉の状態を、上皿15の平面視及び断面視にて模式的に示している。ここで、図4(A)は、例えば大当たり状態の終了直後など、上皿15に貯留可能な最大のパチンコ玉が貯留された状態を示している。この場合、断面視にて示すように、上皿15にはパチンコ玉17が2〜3段に重なって貯留された状態になる。この図4(A)に示す状態が、最大貯留の状態(上皿15に貯留可能な最大数(最大貯留数)のパチンコ玉17が貯留された状態)に相当する。この上皿15に貯留されているパチンコ玉17は、発射機構に流入し、ハンドル10の操作により遊技盤2aに発射される。
【0017】
さて、大当たりの終了後に確変状態が発生した場合であっても、遊技者が遊技を継続すると、遊技機2の出玉率の設定(釘調整)によってはパチンコ玉17が徐々に減少することがある。具体的には、遊技の進行に応じて最大貯留の状態からパチンコ玉17が徐々に減少し、図4(B)の断面視にて示すように上皿15にはパチンコ玉17が1〜2段に重なって貯留された状態になる。そして、そのまま遊技が継続されると、さらにパチンコ玉17が減少し、図4(C)の断面視にて示すように、上皿15にパチンコ玉17が1段で残留した状態、且つ、平面視にて示すように上皿15の底面15aの全域がパチンコ玉17により覆われた状態になる。この図4(C)に示す状態が、中間貯留の状態(上皿15の底面15aの全域を覆うのに最小限必要な数(中間貯留数)のパチンコ玉17貯留された貯留された状態)に相当する。この中間貯留の状態では、遊技機2の種類にもよるが、概ね150〜200個のパチンコ玉17が貯留されている。尚、上皿15の底面15aの全域がパチンコ玉17で覆われている状態とは、底面15aにパチンコ玉17が配置される余地がない状態(図4(A)〜(C)の状態)を意味しており、底面15aがパチンコ玉17の隙間からも完全に視認不可能な状態を意味するものではない。
【0018】
図4(C)の状態からさらに遊技が継続されると、図4(D)及び(E)に示すように上皿15の底面15aの一部がパチンコ玉17により覆われていない状態となる。この図4(D)、(E)に示すように上皿15の底面15aが現れた状態になると、遊技者は、パチンコ玉17が減少したことを実感するようになる。そのため、確変状態が発生しているにも関わらず図4(D)、(E)のような状態になると、出玉率が不利(低い)な状態に設定されていると遊技者が考えるなど、遊技者に対して悪い印象を与えてしまう虞がある。
【0019】
そこで、管理装置6は、遊技機2側の機器から出力される遊技信号に基づいて上皿15に貯留されているパチンコ玉17の数である残貯留数を特定し、その残貯留数をモニタ7などに表示する。具体的には、管理装置6は、アウト信号やセーフ信号に基づいて、図5に示すように、大当たり状態、確変状態及び通常状態(大当たり状態及び確変状態以外の状態)における遊技データを集計している。図5の場合、機種AAAAの遊技機の遊技データを示しており、各項目の意味は以下の通りである。尚、管理装置6は、遊技機2の台番毎及び機種毎に同様の遊技データを集計している。
【0020】
アウト=遊技盤2a面に発射されたパチンコ玉数。
セーフ=各始動口への入賞に応じて払い出されたパチンコ玉数。
大当たり=大当たりの発生回数。
確変=確変状態の発生回数。
ベース1=通常状態における出玉率。
アウト2=確変状態におけるアウト。
セーフ2=確変状態におけるセーフ。
ベース2=確変状態における出玉率。セーフ2÷アウト2で算出。
差2=確変状態における差玉数。セーフ2−アウト2で算出。
差2平均=確変1回当たりの平均差玉数。差2÷確変で算出。減少球技球数に相当する。
残貯留=確変1回終了時点の平均貯留数。最大貯留+差2平均で算出する。残貯留数に相当する。各遊技機2の機種毎に設定された中間貯留よりも小さい場合には、該当箇所をマーキングして表示する。尚、図5ではマーキングされた状態をハッチングにて示している。
【0021】
管理装置6は、上記したアウト信号、セーフ信号及び確率変動信号に基づいて、確変状態において使用されたアウト2、払い出されたセーフ2を集計し、確変状態において減少したパチンコ玉の数(減少球技球数)である差2平均を特定する。そして、最大貯留数から差2平均を減算することにより、次の大当たり状態の発生時点において上皿15に貯留されているパチンコ玉の数である残貯留(残貯留数)、すなわち、確変状態1回が終了した時点で上皿15に残留しているパチンコ球の数を特定する。そして、残貯留を中間貯留と比較することにより、確変状態における遊技球の減少を遊技者がどの程度実感したのかを把握可能に出力する。
【0022】
これにより、遊技場の管理者は、遊技機の釘調整を把握できる。具体的には、例えば機種AAAAの台番1の遊技機2の場合、残貯留(161玉)が中間貯留(180玉)よりも小さくなっている。このため、台番1の遊技機2では、確変状態における出玉率(ベース2:82%)は一般的な約80%〜90%の範囲に設定されているものの、図4(D)或いは(E)に示されるような上皿15の底面15aがパチンコ玉で覆われていない状態になっていることを把握できる。また、台番2の遊技機2の場合、残貯留(162玉)が中間貯留(180玉)よりも小さくなっているとともに、確変状態における出玉率(ベース2:78%)が通常よりも若干低く設定されていることが把握できる。
【0023】
これら台番1、2のような遊技機2は、図4(D)或いは(E)に示されるような上皿15の底面15aがパチンコ玉で覆われていない状態になっており、上記したように遊技者に悪い印象を与える虞がある。そのため、遊技場の管理者は、図5の遊技データを把握することで、釘調整を適切に変更するなどの対策をたてることができる。
一方、台番3の遊技機2は、確変状態が終了しても残貯留(207玉)が中間貯留以上の状態を維持しており、確変状態における出玉率(83%)も通常の設定になっている。このため、台番3の遊技機2の場合、遊技者に悪い印象を与える虞が少ないことを把握できる。換言すると、台番3の遊技機2に対しては適切な釘調整が行われているといえる。
このように、管理装置6は、残貯留を特定するとともに、残貯留、及び残貯留と中間貯留との比較結果をモニタ7などに表示(出力)する。
以上説明した管理装置6によれば、次のような効果を奏する。
【0024】
管理装置6は、確変状態において次の大当たり状態が発生した時点で上皿15に残留しているパチンコ玉が上皿15の底面15aの全域を隠す(覆う)程度であるか否かを把握可能に表示する。このとき、上皿15の底面15aがパチンコ玉で全て覆われていれば(図4(A)〜(C)参照)、遊技者は外見上パチンコ玉が減少したことを実感しにくい。一方、上皿15の底面15aが現れてしまほどパチンコ玉が減少した場合(図4(D)、(E)参照)には、遊技者はパチンコ玉が減少したという事実を実感しやすくなる。つまり、確変状態において図4(D)、(E)のような状態になると、遊技者に対して悪印象を与えてしまう虞があるが、図5に示すように残貯留を遊技データとして集計することにより、上皿15に残留しているパチンコ玉数を把握でき、確変状態中に上皿15の底面15aが現れない程度にパチンコ玉が減少するよう釘調整を行うことができる。
【0025】
また、図5に示すように、残貯留と中間貯留とを比較し、残貯留が中間貯留よりも少ない場合には表示領域をマーキングして比較結果を出力するので、遊技場の管理者は、残貯留数が適切であるか否か、すなわち、釘調整が適切であるか否かを容易に判断することができる。
【0026】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した一実施形態にて例示したものに限定されることなく、次のように変形又は拡張することができる。
特別状態として確変状態を例示したが、大当たりの当選確率は変化せず、始動入賞口13への入賞率のみが向上する時短状態を発生可能なパチンコ遊技機を管理対象としてもよい。
残貯留のセル全体をマーキングすることにより中間貯留と残貯留とを比較可能に表示したが、例えば数値を表示する表示色を変更するなど、比較表示の態様は一実施形態で例示したものに限定されない。また、中間貯留と残貯留との比率(例えば残貯留÷中間貯留)を表示することで、両者を比較表示してもよい。
【0027】
一実施形態で示した数値は一例であり、例えば図2に示す上皿設定値は遊技機2の種類に応じて適宜設定すればよいし、図5に示す遊技データに平均スタート(大当たり状態が発生するまでの始動入賞回数の平均値)などの他の項目を設けてもよい。
図5の遊技データは当日分を想定しているが、複数日に亘って遊技データを集計してもよい。つまり、同一機種(例えば機種AAAA)の遊技機2に対してほぼ同様の釘調整を行っても(例えば台番1:出玉率82%、台番3:出玉率83%)、例えば1日などの短期間においては必ずしも残貯留の状態が一致するとは限らないため(台番1:161玉、台番3:207玉)、遊技データを複数日にわたって集計し、その平均に基づいて釘調整を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
図面中、2は遊技機(パチンコ遊技機、抽選手段、大当たり発生手段、特別状態発生手段、遊技球払出手段)、6は管理装置(遊技場用管理装置、貯留数設定手段、減少遊技球数特定手段、残留遊技球数特定手段、出力手段、比較結果出力手段)、10はハンドル(発射手段)、11は表示部(表示手段)、13は始動入賞口、14は大入賞口、15は上皿(遊技球貯留皿)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5