(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
袋表側と袋裏側に袋表用や袋裏用の各フィルムが存するものであって袋の形状と構造と機能とをもつ袋体が、複数の袋閉鎖部と袋口用の開口部と物品包装用の収容空間部とを有するものであり、そのうちの開口部が当該袋体の上端部側に位置していること、および、 開閉型の袋用閉鎖手段として上記袋体の開口部側の内部に設けられる開閉具が、開閉自在な一対の雌型開閉部材と雄型開閉部材とを備えていること、および、
上記開閉具の雌型開閉部材が、上記袋体内の左右両側部間にわたる横長テープ状のものであって単層と複層とのうちのいずれかからなるシール用基部と、そのシール用基部の片面に該当する接着面とその反対側の片面に該当する咬合面とのうちの咬合面側に一体形成されて当該咬合面の長さ方向に沿う雌型咬合部とを有するものであり、かつ、上記開閉具の雄型開閉部材が、上記袋体内の左右両側部間にわたる横長テープ状のものであって単層と複層とのうちのいずれかからなるシール用基部と、そのシール用基部の片面に該当する接着面とその反対側の片面に該当する咬合面とのうちの咬合面側に一体形成されて当該咬合面の長さ方向に沿う雄型咬合部とを有するものであること、および、
上記袋体の開口部側の内部における上記両フィルムの内面には、上記開閉具の雌型開閉部材や雄型開閉部材にそれぞれあるシール用基部の接着面が接着されて当該開閉具が上記袋体の開口部側の内部に設けられており、かつ、上記両開閉部材の各咬合面にそれぞれある雌型咬合部と雄型咬合部とが咬合自在に対面対応して上記開閉具が開閉自在になっていること
を前提とする包装用袋において、
開閉自在な上記開閉具を具備した接着積層構造の上記袋閉鎖部には、常閉型の減圧弁が一つ以上設けられていること、および、
上記減圧弁が、上記シール用基部と上記フィルムとの積層面間において上記シール用基部の下部側から上向きに入り込んだ形状の非接着空間部と、その非接着空間部の上部側に連なる接着常閉弁部とを具備するものであること、および、
上記減圧弁が上記袋体内の幅方向全長にわたり広域化されていて、上記非接着空間部や上記接着常閉弁部が上記袋体内の幅方向全長にわたるものであること、および、
上記減圧弁の上記非接着空間部には、上記シール用基部の下部側から上向きに最も入り込んだ非接着空間があり、その最も入り込んだ非接着空間から上記袋体内の両側部に向けて当該非接着空間部の非接着空間が漸減していること、および、
上記袋閉鎖部における上記減圧弁とその他部との相対関係について、上記減圧弁における接着常閉弁部の接着力が、当該袋閉鎖部におけるその他部の接着力を下回るものであること、および、
上記袋閉鎖部にある上記減圧弁について、上記袋体内の幅方向全長にわたる上記非接着空間部が、当該袋閉鎖部下にある収容空間部と通じているものであること
を特徴とする減圧弁付き包装用袋。
上記雌型開閉部材と上記一方のフィルム内面との接着面間および/または上記雄型開閉部材と上記他方のフィルム内面との接着面間に上記減圧弁が設けられている請求項1に記載された減圧弁付き包装用袋。
上記シール用基部と上記フィルムとの積層面間には、上記シール用基部の上部側から上記減圧弁の接着常閉弁部に向けて入り込んだ形状の非接着補助空間部が設けられており、かつ、その非接着補助空間部が上記袋体内の幅方向全長にわたるものである請求項1または2に記載された減圧弁付き包装用袋。
【背景技術】
【0002】
袋体に施されるシールには大別して二通りある。その一つは帯状に長い汎用のシールである。この汎用シールの場合は、製袋とか袋の形態保持とか袋内外の遮断とかを目的として設けられるものである。他の一つはイージーオープンシールであり、これは一定のシール強度を保持しつつ開封の容易さも兼備させるというものである。このイージーオープンシールは、プラスチック製(合成樹脂製)の包装用袋において、袋体内の開口部側に設けられたものが多く提供されている。
【0003】
下記特許文献1ないし5に開示された各包装用袋は、イージーオープンのためのシール体が開口部側の内部に設けられたものである。これらのうちにはチャックなどの開閉具が開口部側の内部に併設されているものもある。ちなみにシールに関する性質・機能とイージーオープンに関する性質・機能についていうと、この二つの性質・機能は本来対立するものである。したがって、シール機能を十分に確保した上でイージーオープン性をも高度に維持するということは、技術難度がかなり高いものになる。
【0004】
一方、包装商品の取り扱いについていうと、袋詰め食品などの場合は、これを加熱調理する際に袋詰め(密封包装状態)のままで電子レンジに掛けたり湯煎したりすることがよくある。さらにいうと、易剥離性を優先した包装用袋(袋詰め食品)を、電子レンジ加熱や湯煎などで高温に熱処理したときには、袋内部がかなりの高圧になるためにシール破壊が生じることもある。イージーオープン型包装用袋でみられる既存品の場合、かかる圧力に耐えるほどの高シール性を確保しつつ開口部側からのイージーオープン性をも満足させるものがほとんどみられない。それは、このような袋を具現するための技術難度が高いからである。他方、イージーオープン用のシール体とチャックなどの開閉具とを備えた包装用袋の場合でも、チャックの閉鎖保持力に限度があるので、上記高圧に対する耐圧性が十分でない。したがって、このような要求を満足させることのできるイージーオープン型包装用袋を具現しようとするときには、新たな手段が要求されることとなる。
【0005】
上記のような要求に対して、下記特許文献6ないし7に開示された包装用袋の場合は、大きな袋内圧に耐えるといわれている。それは低接着層と高接着層とからなる積層構造のシール体が、袋表用フィルムの内面や袋裏用フィルムの内面に対して巧みに貼り付けられているからである。すなわち当該文献技術の場合、袋の開口部側からの開封力が低接着層側に及ぶことで袋の開口部側からの開封が容易に行える一方、袋内圧が高接着層の下部側のみに及ぶためシール破壊が起こりがたいというのである。したがって特許文献6ないし7に開示されたイージーオープン型包装用袋の場合、高い袋内圧に耐えることのできる高シール性と開口部側からのイージーオープン性とが両立することとなる。
【0006】
しかしながら特許文献6ないし7に開示された包装用袋にも、この技術による高耐圧性に起因した特有の懸念がある。それは加熱調理時の高内圧に耐えることで袋内圧が高くなりすぎ、それが袋自体の破損破裂を誘発しかねないというのである。かかる事態の発生を未然に防止するとなると、別の観点からの対策が必要になる。
【0007】
この課題の対策として、下記特許文献8に開示された電子レンジ包装体では、つぎのような手段が講じられている。すなわち当該文献技術の場合は、ヒートシール部に開封部が設けられた電子レンジ包装体において、その開封部に弱接着部と強接着部とが併設されているのである。しかも弱接着部については、山形のような先鋭形状(特許文献8の
図2参照)なども開示している。
【0008】
特許文献8に開示された電子レンジ包装体において包装体内圧が高まった場合は、その高い内圧で弱接着部が剥離されていき、ついには弱接着部のシール決壊に至る。そして包装体内の高圧気体などが弱接着部のシール決壊箇所から包装体外へと噴出する結果、包装体そのものの圧力破壊が未然に防止されるのである。ゆえに特許文献8に開示されたこの技術は、包装体の圧力破壊対策として応分の有効性があるといえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
包装用袋については上記のとおり、イージーオープン型のシールを袋高内圧から防護するという技術(特許文献6ないし7参照)と、袋高内圧を利用した意図的なシール決壊によるガス抜きで袋自体を破裂から防護するという技術(特許文献8参照)とがある。これらの技術は二者択一というよりも、包装商品の用途や包装後の取り扱い態様などを考慮して最善の選択をすべきものである。それで、袋破裂を未然に防止するという場合には、特許文献8のような技術を優先的に選択することとなる。しかしながら特許文献8の技術には、実用上克服すべきいくつかの課題が残されている。以下これについて指摘する。
【0011】
特許文献8に記載されたシール構造の場合は、強接着部と弱接着部とが同一平面内に混在して共存する。これについてさらにいえば、強接着部の一部が弱接着部で置換されたようなシール構造である。このように強接着部と弱接着部とが同一平面内に混在するシール構造の場合は、これを形成するのがきわめて難しい。それは接着強度が強弱で二元化したものを同一平面内で同時形成しなければならないため、所定の強接着強度や所定の弱接着強度に仕上げる際のシール加工難度が格段に高くなるからである。
【0012】
上記のようにシール加工難度の高いものは、また、その加工難度の高さゆえに、所定の袋内圧でシール決壊を起こさせるための精度維持も困難になる。そしてこのような精度不足が生じる結果、所定の内圧でシール決壊を起こさせて包装用袋の破裂を確実に回避するということが十分に期待できなくなる。
【0013】
特許文献8に記載されたシール構造は、さらに、袋内における強接着部と弱接着部とが全体として一定幅のシールゾーンを形成しており、強接着部の縁(下縁)と弱接着部の縁(下縁)とが横一直線状をなして同一線上に並んでいるものである。こうしたシールの形状や構造の場合、弱接着部といえども、接着状態にあるフィルム相互の剥離に大きな初期荷重(剥離力)を要することとなる。これについて袋内圧との関係でいうと、意図的な決壊(シール剥離)を起こさせるのに大きな初期荷重を要するため、袋内圧が所定値に達しているにもかかわらず袋破裂回避のためのシール決壊が起こらないのである。ゆえに袋は膨満して破裂する方向へと進展する。特許文献8のシール構造にはこのように、圧力に対するシール決壊の応答性が悪く、これが袋内圧に対する感度不良ないし感度不足も是正すべき課題として残される。もっとも、所定部のシール強度を大幅に低下させることで袋内圧応答性を高めることもできなくはないが、こうした場合には、強度不足に起因して本来のシール機能が損なわれてしまい、平時の取扱中に袋内容物が漏出する事態も起こりかねない。
【0014】
以上概観したとおり、袋破裂対策として袋内圧により意図的なシール決壊を起こさせる既成技術の場合、精度不足や感度不足がともないがちであり、そのための対策にしても、安易なものでは本来のシール機能が損なわれてしまう。ゆえに高精度かつ高感度の袋破裂対策を具備した包装用袋を高歩留まりで作製するのが難しくなり、それがコストアップの原因にもなっている。
【0015】
かかる課題解決のために創作された本発明は、意図的なシール決壊を起こさせることで破裂を回避するようにした包装用袋について、袋内圧に応答するシール決壊が高精度かつ高感度で安定して誘起されること、シール決壊のためのシールの形状構造が簡潔であること、良品の歩留まりが高いこと、製品が廉価であることなど、これらを満足させることのできる包装用袋を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る減圧弁付き包装用袋は、上述するところの課題を解決するための手段として、下記<01>ないし<04>に記載された技術内容を特徴とするものである。
<01> 袋表側と袋裏側に袋表用や袋裏用の各フィルムが存するものであって袋の形状と構造と機能とをもつ袋体が、複数の袋閉鎖部と袋口用の開口部と物品包装用の収容空間部とを有するものであり、そのうちの開口部が当該袋体の上端部側に位置していること、および、
開閉型の袋用閉鎖手段として上記袋体の開口部側の内部に設けられる開閉具が、開閉自在な一対の雌型開閉部材と雄型開閉部材とを備えていること、および、
上記開閉具の雌型開閉部材が、上記袋体内の左右両側部間にわたる横長テープ状のものであって単層と複層とのうちのいずれかからなるシール用基部と、そのシール用基部の片面に該当する接着面とその反対側の片面に該当する咬合面とのうちの咬合面側に一体形成されて当該咬合面の長さ方向に沿う雌型咬合部とを有するものであり、かつ、上記開閉具の雄型開閉部材が、上記袋体内の左右両側部間にわたる横長テープ状のものであって単層と複層とのうちのいずれかからなるシール用基部と、そのシール用基部の片面に該当する接着面とその反対側の片面に該当する咬合面とのうちの咬合面側に一体形成されて当該咬合面の長さ方向に沿う雄型咬合部とを有するものであること、および、
上記袋体の開口部側の内部における上記両フィルムの内面には、上記開閉具の雌型開閉部材や雄型開閉部材にそれぞれあるシール用基部の接着面が接着されて当該開閉具が上記袋体の開口部側の内部に設けられており、かつ、上記両開閉部材の各咬合面にそれぞれある雌型咬合部と雄型咬合部とが咬合自在に対面対応して上記開閉具が開閉自在になっていること
を前提とする包装用袋において、
開閉自在な上記開閉具を具備した接着積層構造の上記袋閉鎖部には、常閉型の減圧弁が一つ以上設けられていること、および、
上記減圧弁が、上記シール用基部と上記フィルムとの積層面間において上記シール用基部の下部側から上向きに入り込んだ形状の非接着空間部と、その非接着空間部の上部側に連なる接着常閉弁部とを具備するものであること、および、
上記減圧弁が上記袋体内の幅方向全長にわたり広域化されていて、上記非接着空間部や上記接着常閉弁部が上記袋体内の幅方向全長にわたるものであること、および、
上記減圧弁の上記非接着空間部には、上記シール用基部の下部側から上向きに最も入り込んだ非接着空間があり、その最も入り込んだ非接着空間から上記袋体内の両側部に向けて当該非接着空間部の非接着空間が漸減していること、および、
上記袋閉鎖部における上記減圧弁とその他部との相対関係について、上記減圧弁における接着常閉弁部の接着力が、当該袋閉鎖部におけるその他部の接着力を下回るものであること、および、
上記袋閉鎖部にある上記減圧弁について、上記袋体内の幅方向全長にわたる上記非接着空間部が、当該袋閉鎖部下にある収容空間部と通じているものであること
を特徴とする減圧弁付き包装用袋。
<02> 上記雌型開閉部材と上記一方のフィルム内面との接着面間および/または上記雄型開閉部材と上記他方のフィルム内面との接着面間に上記減圧弁が設けられている上記<01>に記載された減圧弁付き包装用袋。
<03> 上記シール用基部と上記フィルムとの積層面間には、上記シール用基部の上部側から上記減圧弁の接着常閉弁部に向けて入り込んだ形状の非接着補助空間部が設けられており、かつ、その非接着補助空間部が上記袋体内の幅方向全長にわたるものである上記<01>または<02>に記載された減圧弁付き包装用袋。
<04> すべての接着がヒートシールによるものであること上記<01>ないし<03>のいずれかに記載された減圧弁付き包装用袋。
【0017】
〔常閉型減圧弁〕
本発明における常閉型の減圧弁について、その概要はつぎのようなものである。(1) 平時においては作動せずに、閉鎖状態を保持し続ける。(2) 袋破裂を引き起こすほど包装用袋の内圧が高くなったときは、当該内圧を受けて減圧弁が開放されるとともに、当該内圧力が開放された減圧弁から外部などへと放出される。かくて袋体の内部が減圧される。これが常閉型の減圧弁たる所以である。(3) この開放は、袋の破裂を回避するための緊急措置として行われるものである。よって原則として、開放後の減圧弁を元の閉鎖状態に戻すことはしない。
【0018】
上記のような機能を有する常閉型の「減圧弁」については、種々のとらえ方をすることができるので、下記1ないし7のような用語に変更することもできる。ただし、その名称を変更しても弁の構成や機能が実質的に変わることはない。したがって、この用語変更のいかんにかかわらず、弁としては同一のものである。
1.逃がし弁
2.リリーフバルブ(relief valve)
3.安全弁
4 セーフティバルブ(safety valve)
5.安全逃がし弁
6.セーフティリリーフバルブ(safety relief valve)
7.エスケープバルブ(escape valve)
【0019】
〔常閉型減圧弁の作用〕
本発明に係る減圧弁付き包装用袋において袋体の所定部に設けられた常閉型減圧弁は、上記のようなものである。したがってこの常閉型減圧弁の場合、密封された袋体の内圧が安全レベルにある平時においては常閉状態を保持する。他方、たとえば袋破裂を引き起こすほどの高内圧が袋体の内部に発生したときには、袋内部側から袋外部側に向けて入り込んだ形状の非接着空間部すなわち常閉型減圧弁の要部にも、その高内圧が行きわたる。そしてこの際の高内圧が接着常閉弁部の接着力を上回るときのみ、常閉型減圧弁の接着常閉弁部がその高内圧によって剥離開放される。これで常閉型減圧弁が弁開状態になるのである。かくて常閉型減圧弁が弁開状態になると、袋内の高い圧力が他所へと逸散していく。その結果、袋体の高内圧状態が解消されて袋破裂が回避される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る減圧弁付き包装用袋は下記<21>〜
<30>に記載するところの諸効果を有するものである。
<21> この減圧弁付き包装用袋における常閉型の減圧弁は、袋内圧に起因したトラブルの発生を未然に防止するためのものである。しかもそれは、袋破裂などをきたすおそれのある高内圧が発生したときのみ弁を開放して袋内圧を減じ、かかる事態の発生を回避するというものである。そのように高い内圧が袋体内に発生したときの常閉型減圧弁の開放は、設定値に基づく所定の力で安定して行うことができる。それはつぎのような理由によるものである。1.常閉型減圧弁で常閉状態を保持しているのは接着常閉弁部であるが、接着積層構造においてこの接着常閉弁部は大きすぎることがなく、かつ、複雑な形状構造にすることも要しない。とくに簡潔とか小型とかの接着常閉弁部は、これを形成するのがきわめて簡単で、耐圧性も所定どおりに容易に設定することができる。また、耐圧性能テストによる接着常閉弁部の精度確認も簡単容易におこなうことができる。これらはいずれも接着常閉弁部の精度を高めることに通じる。よって接着常閉弁部は、所定どおりの耐圧性を有するものに仕上がる。これが袋内圧に対して正確かつ安定して応答(弁開放)するところの一要因になる。2.常閉型減圧弁における接着常閉弁部の接着力は、積層接着構造におけるその他部の接着力を下回るものである。それは積層接着構造における常閉型減圧弁の接着常閉弁部の場合、相対的に接着力が小さいのであるから、設定値に達した袋内圧によって的確に開放されるということである。とくに接着常閉弁部が小型で簡潔なものはこの効果が顕著である。これも袋内圧に対して正確で安定に応答(弁開放)するところの一要因になる。3.常閉型減圧弁においては接着常閉弁部と入り込み形状の非接着空間部とが互いに隣接しており、また、非接着空間部がその積層接着構造の内側にある袋体収容空間部と通じているものである。これは非接着空間部と袋体収容空間部とが互いに連通しているのであるから、袋内圧による負荷は常に接着常閉弁部にかかる態勢にある。それゆえ袋内圧が設定値に達したときには、接着常閉弁部が即時開放されることとなる。ちなみに接着常閉弁部に非接着空間部が存在せず、その領域までも接着常閉弁部の一部である場合は、既成のものと同様、接着状態にあるフィルム相互の剥離に大きな初期荷重(剥離力)を要することとなる。それに対し、接着常閉弁部と入り込み形状(たとえば凹形)の非接着空間部とが上記のように隣接しているものでは、非接着空間部をすでに開放された部分とみなすことができるから、既成のもののような初期荷重を要しない。すなわちこれも、接着力の小さい接着常閉弁部を単純開放するだけとなるから、袋内圧に対して正確かつ安定して応答(弁開放)するところの一要因になる。
<22> 常閉型減圧弁の枢要部である接着常閉弁部は上記のとおり、構成面において接着力が小さくて所定の袋内圧で正確に弁開作動するから高精度のものである。かかる高精度ゆえ、当該減圧弁付き包装用袋は、袋内圧に起因した袋破裂などのトラブルが発生しがたいものになる。
<23> 常閉型減圧弁の非接着空間部も枢要なものであり、これも上記のとおり、接着常閉弁部の弁開作動を円滑迅速に行わせる上で有意に働くものである。すなわち非接着空間部は、袋内圧を瞬時に接着常閉弁部へ到達させるほか、接着常閉弁部が弁開作動する際の初期荷重を小さいものにし、これに依拠して当該接着常閉弁部を所定の袋内圧に応答させて即時稼働させるから、常閉型減圧弁を高感度のものにする。かかる高感度ゆえ、当該減圧弁付き包装用袋は、袋内圧に起因した袋破裂などのトラブル発生を速やかにして未然に回避できるようになる。
<24> 非接着空間部や接着常閉弁部を備えた常閉型減圧弁の場合、袋内圧が常に適切範囲にあるときには稼働の機会がない。このようなときに袋が廃棄されたりすると、稼働の機会がなかった常閉型減圧弁は無駄になるかのごとくである。しかしながら、常閉型減圧弁に存在する非接着空間部は、自明の非接着であるためにシールを剥がすときの要剥離部分が少ないものになり、シールそのものを剥がしやすいものにする。したがって、袋体内の開口部側にある積層接着構造(インナシール)に当該減圧弁が設けられる場合は、その非接着空間部に依存してシール解除時の易剥離性が高まることとなる。それゆえ、かかる多機能性により構成上の無駄が回避できて実用上の利便性もさらに増す。
<25> 液体や粘性体など流動性物を包装するための包装用袋については、袋開封側への内容物の漏れ防止対策として、閉鎖専用型の袋用閉鎖手段(積層接着構造の袋閉鎖部)が袋体の開口部側の内部に設けられることがある。この袋閉鎖部は、袋体の開口部側の内部において、その袋体の両側部にわたり横長テープ状のシール体があてがわれて積層接着形成されるものである。かかる袋閉鎖部を有する包装用袋の場合、内部の流動性物は袋閉鎖部下に留まるので、それよりも上側に至ることがない。ゆえに袋上端部のヒートシール部を切除する際、流動性の内容物に対する漏洩の配慮が不要になり、その分だけ袋開封時の取り扱いが容易になる。その後は、開口部内の袋閉鎖部を通常の剥離操作で無理なく開ければよいのである。このタイプの包装用袋の場合、袋上端部のヒートシール部は切除するものの、開口部側の内部の袋閉鎖部は未開封状態のままにして、湯煎加熱したり電子レンジ加熱したりすることがある。その際に袋内圧が高まり、その高内圧で袋体が破損破裂する虞もある。これに対し、閉鎖専用型の袋用閉鎖手段(積層接着構造の袋閉鎖部)が袋体の開口部側の内部に設けられていて、その袋閉鎖部が既述の常閉型減圧弁を備えている包装用袋の場合は、袋体内に破損破裂するほどの高内圧が発生したとしても、そのときに減圧弁が正確・迅速・安定に開放されて袋体内の内圧が外部に放出されるので、既述と同様に袋体の破損破裂が回避される。
<26> この種の包装用袋については、また、開閉自在な一対の雌型開閉部材と雄型開閉部材とを備えた開閉具が、開閉型の袋用閉鎖手段(袋閉鎖部)として袋体の開口部側の内部に設けられるものもある。この開閉型袋用閉鎖手段のうちで、開閉具の雌型開閉部材と雄型開閉部材とが袋体の開口部側の内部で互いに対面して接着積層構造をなすものでは、雌型開閉部材や雄型開閉部材のシール用基部(横長テープ状)が、袋表用フィルムや袋裏用フィルムの各内面に積層されて接着される。それが当該開閉型袋用閉鎖手段(袋閉鎖部)となるのである。開閉具付き包装用袋については周知のとおり、開閉具を介して袋体の開口部を開けたり閉じたりすることができるので、利便性が高い。ちなみにこの種の開閉具の多くは、袋体内に生じる不測の事態たとえば圧力変動などで袋体内部側から開放されるのを防止するために、内因開放防止型(または内因開放抑制型)のものを採用している。しかしながら内因開放防止型の開閉具を備えた包装用袋の場合、袋高内圧をしても開閉具が内部側から開かないことから、上記のような加熱処理時にはかえって袋体の破損破裂にまで発展する虞がある。これに対し、開閉型の袋用閉鎖手段(積層接着構造の袋閉鎖部)が袋体の開口部側の内部に設けられていて、その袋閉鎖部に既述の常閉型減圧弁が備えられている包装用袋の場合は、袋体内に発生する異常な高内圧にも十分に対処することができる。その理由は、袋を破損破裂させるほどの高内圧が袋体内に発生した場合に、減圧弁が正確・迅速・安定に開放されて袋体内の内圧が外部放出され、それによって、袋体の破損破裂に至るような事態が回避されるからである。
<27> 開閉型の袋用閉鎖手段(袋閉鎖部)として袋体の開口部側の内部に設けられる開閉具は、開閉自在な一対の雌型開閉部材と雄型開閉部材とを備えている。この両開閉部材についていうと、雌型開閉部材は横長テープ状のシール用基部と、そのシール用基部の咬合面側に一体形成された雌型咬合部とを有し、かつ、雄型開閉部材は横長テープ状のシール用基部と、そのシール用基部の咬合面側に一体形成された雄型咬合部とを有するものである。かかる両開閉部材では、シール用基部の他の一面(咬合面の反対面)は両フィルムの内面に対する接着面となる。このような構成の両開閉部材を袋体の開口部側の内部に設けるときは、ヒートシールなどの加熱加圧とか、接着剤使用による常温加圧とかで、シール用基部の接着面が両フィルムの内面に接着されたりする。その際に、熱および/または圧力で雌型咬合部や雄型咬合部に変形をきたすおそれがあったりすると、当該部位(雌型咬合部・雄型咬合部)への加圧または加熱加圧を避けるような態様で両開閉部材のシール用基部が両フィルム内面に接着される。それはシール用基部の特定部位(上縁部・下縁部)を加圧または加熱加圧することで、両開閉部材が両フィルム内面に接着されるというものである。もちろん雌型咬合部・雄型咬合部のうちのいずれか一方が変形しがたくて、その他方が変形しやすいものであるときには、変形しやすい咬合部をもつ開閉部材のみがこのような接着方法でフィルム内面に接着されることとなる。このように加圧接着される両開閉部材の一方または両方についていうと、シール用基部の接着面は、上縁部と下縁部とがフィルム内面に接着されるのであるから、当該接着面における上下両縁部間には、フィルム内面に対して横長の非接着状態をなす非接着帯状部が介在することになる。上述のとおり、両開閉部材を備えた開閉具は、開閉型の袋用閉鎖手段に該当し、かつ、袋体内の左右両側部間にわたる接着積層構造をもつ横長の袋閉鎖部として袋体の開口部側に位置するものである。この開閉自在な開閉具を具備した接着積層構造の袋閉鎖部に常閉型の減圧弁が一つ以上設けられた包装用袋の場合、その減圧弁の非接着空間部は上記非接着帯状部と連通する。減圧弁付き包装用袋の場合も、袋体内に発生する異常な高内圧にも十分に対処することができる。それは前記と同様、袋を破損破裂させるほどの高内圧が袋体内に発生した場合に、減圧弁が正確・迅速・安定に開放されて袋体内の内圧が外部放出され、それによって、袋体の破損破裂に至る事態が回避されるからである。
<28> 開閉自在な開閉具を具備した接着積層構造の袋閉鎖部に常閉型の減圧弁が設けられた包装用袋は上記のとおり、その袋閉鎖部に非接着帯状部があって減圧弁の非接着空間部が当該非接着帯状部としているものである。これは換言して、袋閉鎖部の非接着帯状部が減圧弁の非接着空間部を拡充することになるから、非接着空間部を不可欠要素とする減圧弁を有利に形成することができる。とくに減圧弁の高感度・高精度・高機能をはかるために、複数の非接着空間部や複数の接着常閉弁部を袋幅方向に分布させるタイプの減圧弁では、その複数の非接着空間部や複数の接着常閉弁部を横長の非接着帯状部によって一連に纏めることができるので、この点でも減圧弁の形成が有利に行える。
<29> 接着常閉弁部や非接着空間部を有する簡潔構成の常閉型減圧弁については、たとえば、設計や実験などで確認のとれた最適形状構造をパターン化すればよいだけであり、それによって高精度かつ高感度の接着常閉弁部を簡単かつ安定して形成することができるのである。しかも、積層接着構造に含まれる常閉型減圧弁の場合、新たな工程を追加することなく当該積層接着構造と同時形成することができるのである。ゆえに、この減圧弁付き包装用袋の場合、有用で有益な減圧弁を備えているとはいえ、シール工程を備えた通常の製造手段で歩留まりよく良品を量産することができる。
<30> この減圧弁付き包装用袋は上記のとおり、減圧弁が簡潔構成であるから、減圧弁付きといえども、通常の製造手段で製造することができるものである。これは有用で有益な減圧弁を備えた包装用袋が、格別の設備投資をせずとも製造できるということである。これに加え、歩留まりよく良品を量産することができる。ゆえに、この減圧弁付き包装用袋として、廉価なものを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
はじめに、本発明に係る減圧弁付き包装用袋の各種実施形態が示された添付の各図を参照して、袋体11の概要を説明する。
【0023】
本発明に係る減圧弁付き包装用袋については、以下において単に「包装用袋」ということもある。
【0024】
添付の各図に示された袋体11は自明の袋状をなすものである。袋体11の内部には、包装を目的として任意の内容物を入れることができる。袋体11には開口部15がある。この開口部15の場合、袋体11内に内容物が入れられた包装完了段階のとき封鎖状態にある。また、封鎖後においては、内容物を取り出したりするために袋体11の開口部15が開封されるものである。
【0025】
袋体11の主要な構成材料についていうと、それは下記に例示するフィルムである。この袋体用のフィルムについては「膜・膜状材料・薄葉材料・シート」などと称されることもある。
【0026】
添付の図面に示された袋体11は、ほとんどの場合、複数の構成部材を一体化することで構成されるものである。その場合の構成材料として用いられるフィルムは周知である。袋体11の構成材料で典型的な一例は、合成樹脂製(プラスチック製)のものであり、とくにいえば熱可塑性合成樹脂製のものである。合成樹脂製のフィルムは、結晶性であってもよいし非晶性であってもよい。もちろんこのフィルムの場合、合成樹脂製のみに限定されるものではない。袋体用フィルムの具体的材料としてはつぎのようなものがある。PE系の一部としては、低密度ポリエチレン・中密度ポリエチレン・高密度ポリエチレン・リニヤー低密度ポリエチレン・メタロセンポリエチレン・エチレン−酢酸ビニル共重合フィルム(EVA)・PE系シーラントフィルムなどをあげることができる。PP系の一部としては、無延伸ポリプロピレンや二軸延伸ポリプロピレンをあげることができる。ナイロン(登録商標)系すなわちポリアミド系の一部としては、延伸ポリアミド・Kコートポリアミド・無延伸ポリアミドなどをあげることができる。その他の合成樹脂としてはポリ塩化ビニリデン・ポリエチレンテレフタレート・ポリエステル・ポリビニルアルコール・ポリ塩化ビニル・ポリ塩化ビニリデン・ポリアクリロニトリル・ポリスチレン・スチロールなどをあげることができる。袋体用フィルムの材料としては、さらに、合成樹脂以外の材料も採用することができる。その場合の材料は、紙・セロハン・織布・不織布・アルミニウム箔などであったりするが、このような非合成樹脂系材料は、合成樹脂系材料とのコーティング態様のものや合成樹脂系材料とのラミネート態様のものが用いられる。それらの中にはアルミ蒸着フィルムや共押出フィルムなども含まれる。かかる袋体用フィルムについては、包装用袋の製造条件・形状・構造・用途・その他の諸事項に鑑み、所要の要件を満足させる材料のものが上記に掲げたうちから選択される。袋体用フィルムについて加工上の観点からいうと、これは袋の製造に際してヒートシール手段にかけられることが多いものである。したがってこのような事情を考慮に入れるときには、袋体用フィルムとしてヒートシール性(熱溶着性)の良好な熱可塑性合成樹脂製のフィルムが選択されることとなる。これ以外に関してはつぎのとおりである。すなわち、上記合成樹脂系材料と上記非合成樹脂系材料とが積層された袋体用フィルムであって、それがフィルム貼り合わせの際にヒートシール手段にかけられるものであるときなどは、少なくともそのフィルム内面側にヒートシール性保持のための合成樹脂系材料層が存在していることとなる。
【0027】
添付の図面に示された袋体11が自明の袋状であることは既述のとおりである。この袋体11が開口部を有することも既述のとおりである。袋体11のその他の構成なども、常閉型の減圧弁41とこれに関連する構成とを除けば、公知内容を含む部分や周知内容を含む部分がみられる。このような袋体11を主体にした本発明包装用袋は、つぎに述べるような事項を前提にしている。
【0028】
袋体11の前提事項の一つは開口部15を有することである。袋体11において開口部15が設けられるところは、支障さえなければ、いずれの部位であってもよい。したがって開口部15の場合、袋体11の上端部・下端部・左側端部・右側端部・表部・裏部・隅部など、このうちから選択された一つまたは二つ以上の部位に設けられたりする。これらの各部位はつぎのようにいうこともある。すなわち、袋体11の「上端部」を「上部・上端縁部・天部」、袋体11の「下端部」を「下部・下端縁部・底部」、袋体11の「左側端部」を「左側部・左側縁部」、袋体11の「右側端部」を「右側部・右側端縁部」のようにそれぞれいうこともあり、また、袋体11の「表部」を「正面部」、袋体11の「裏部」を「背面部」、袋体11の「隅部」を「角部」のようにそれぞれいうこともある。典型的な一例でいうと、この開口部15は袋体11の上端部側に設けられることが多い。袋体11において、開口部15のほかに、内容物を入れるための別口が用意されているときには、内容物を入れる前の袋体11の開口部15が閉じられていたりすることもある。一方において、袋体11の開口部15が内容物を入れるための口をも兼ねるとき、その開口部15は内容物を入れた後に閉じられたりする。通常、内容物を入れられた後に密封された袋体11の場合は、初回の内容物取り出しを行うまで、密封状態を保持しているものである。
【0029】
袋体11の前提事項の他の一つは、密封状態にあるときの当該袋体11が一つ以上の積層接着構造を有することである。かかる積層接着構造の一例は、袋体11の構成材料であるフィルム相互が面接触状態で重なり合い、その重なり合う部分が接着一体化されて構成(形成)されるものである。この際の接着一体化については、たとえば、接着剤による接着手段とか、または、粘着系接着剤を用いる常温圧着手段(加圧接着手段)とかも採用することができるが、通常は、ヒートシール手段ともいわれる熱溶着手段(加圧加熱溶着手段)が採用されてフィルム相互が接着一体化される。袋体11において必要に応じて形成される積層接着構造は、これの形成される部位にしたがい、つぎのようにいわれる。袋体11の両側部に形成される積層接着構造の場合は側部シール・サイドシールなどといわれる。袋体11の上部に形成される積層接着構造の場合は上部シール・天部シール・アッパシール・トップシールなどといわれる。袋体11の下部に形成される積層接着構造の場合は下部シール・底部シール・アンダシール・ボトムシールなどといわれる。袋体11の襠部に形成される積層接着構造の場合は襠部シール・ガゼットシールなどといわれる。このガゼットシールの場合は、また、それが袋体両側部にあるときにサイドガゼットシールのようにいわれ、それが袋体底部にあるときにボトムガゼットシールのようにいわれる。さらに、袋体11の内部に形成される積層接着構造の場合は内部シール・インナシール・インサイドシールなどといわれる。上記積層接着構造の他の一例は、袋体11の構成材料である一方のフィルムと他方のフィルムとの間に適当な形状のシール体、たとえば長い帯状のシール体が介在されてこの三者が積層されるとともに、一方のフィルムの内面とシール体の片面、かつ、他方のフィルムの内面とシール体の他の片面とが、それぞれ上記と同様の手段により接着一体化されて構成(形成)されるものである。
【0030】
本発明に係る減圧弁付き包装用袋として、
図1(A)(B)(C)と
図2(A)(B)の実施形態に例示されたものは、もちろん上記の前提事項を具備している。この実施形態の場合、袋表用のフィルム12aと袋裏用のフィルム13aとを主体にして袋体11が袋状に形成されている。それは両フィルム12a・13aの左右両側部内面や底部内面が対面状態で積層接着されるという接着(密着)一体化手段により袋状に形成(構成)されているものである。したがって、この実施形態における袋体11の場合は、既述の積層接着構造として(両フィルム12a・13aによる積層接着構造として)、左右両側端部のサイドシール14SL・14SRや下端部のボトムシール14SBを有するものである。このほかについて、袋体11の上端部には仮想線(二点差線)で示すところのアッパシール14SUが設けられる。このアッパシール14SUは、内容物を入れる前の袋体11にボトムシール14SBが先行して設けられているとき、内容物を入れた後の袋体11に形成されるものである。その一方において、内容物を入れる前の袋体11にボトムシール14SBが設けられていないときは、そのボトムシール14SBに代えてアッパシール14SUが袋体11に先行形成されることとなる。さらにその他に関して、コーナシール14SCの場合は、アッパシール14SUやボトムシール14SBに対するサイドシール14SL・14SRのように、縦横のシールが互いに交差する角部に存在するものである。すなわちこれは、その縦シールと横シールとが重なり合っているものである。袋体11の上端部側には開口部15がある。袋体11には、また、その内部であって開口部15側に、積層接着構造としてのインナシール14SIが存在する。かかるインナシール14SIの場合は、つぎに説明する積層構造のシール体31を用いることにより、袋体11の内部に設けられるものである。
【0031】
積層接着構造の一つとして上記でも触れたインナシール14SIについては、これをつくるための部材としてシール体31が用いられる。シール体31の層数は、原則としては単数・複数いずれでもよいが、両フィルム12a・13aとの接着性を考慮する場合に複層のものが優先して用いられることが多い。複層のシール体31は自明のとおり、二層以上の積層構造を有するものである。ちなみに
図1に例示されたシール体31は積層構造が三層のものである。その三層のうちでは、一つが横長テープ状の低接着層32、他の一つが横長テープ状の高接着層33、さらに他の一つが横長テープ状の中間層34である。この三層は、低接着層32と高接着層33との間に中間層34を介在させた態様でこれらが積層一体化されている。シール体31における各層の場合、それぞれの一層あたりの厚さは一例として100〜200μm程度である。三層構造からなるシール体31の合計厚さは、約300〜800μm程度になる。また、実施態様によっては、各層の合計厚さが300μm未満のシール体31もあり、各層の合計厚さが800μm超過のシール体31もある。もちろんシール体31については二層の積層構造もある。二層構造からなるシール体31の一例としては、たとえば、上記三層構造からなるシール体31において、中間層34が省略されて低接着層32と高接着層33とが直接積層されるものである。
【0032】
一般的にいうと、合成樹脂を材料とする上記積層構造のシール体31は、押出ラミネート法・ドライラミネート法・共押出法のいずれか、または、これら以外のラミネート法、あるいは、これら各方法の併用により作製されるものである。この種のラミネート法のうちには、ホットメルトラミネート・コーティングポリラミネート・ウェットラミネート・サーマルラミネートなどの各法も含まれる。さらに、非合成樹脂系材料と合成樹脂系材料との組み合わせからなるシール体31の場合は、たとえば、非合成樹脂系材の層の表面に合成樹脂系材料の層が接着形成または塗布形成されて、積層構造のシール体31がつくられることとなる。
【0033】
上述の低接着層32と高接着層33と中間層34とからなる合成樹脂製のシール体31について、以下、それぞれの層を詳細に説明する。
【0034】
低接着層32はシール体31の易剥離性(弱接着性)を決定づける重要な要素である。シール体31の低接着層32が合成樹脂製、かつ、これと弱接着対応する一方のフィルム(12aまたは13a)の内面側も合成樹脂製であるとき、合成樹脂製フィルム(12aまたは13a)の内面に対する合成樹脂製の低接着層32は、層間剥離タイプ・凝集剥離タイプ・界面剥離タイプなど、このいずれかの剥離タイプになるように接着されるものである。より具体的にいうと、低接着層32は、常温圧着手段(加圧接着手段)や、熱溶着手段(加圧加熱溶着手段)で相手側に接着されるものである。常温圧着手段で合成樹脂製フィルム(12aまたは13a)の内面に接着される低接着層32は、代表的一例として合成樹脂製で粘着剤系の接着材料からなる。熱溶着手段で合成樹脂製フィルム(12aまたは13a)の内面に接着される低接着層32の場合は、複数の異種高分子がブレンドされたブレンドポリマーを主体にしたものからなる。この後者の低接着層32の場合、層間剥離タイプ・凝集剥離タイプ・界面剥離タイプなどいずれの剥離タイプにするかで、配合するポリマーの組み合わせ(異種のポリマーブレンド)や各ポリマーの配合割合が設定されて所要のものになる。また、この後者の低接着層32に関する相手側合成樹脂製フィルムとの接着強度(易剥離性)は、合成樹脂製フィルム(12aまたは13a)と同種のポリマーをどの程度含むか、換言すると、そのフィルム(12aまたは13a)に対して異種となるポリマーをどの程度含むかでも定まるものである。さらに、この後者の低接着層32は、合成樹脂製フィルムと熱溶着するときの温度・加圧力・加圧時間などを調整することで熱溶着後のその易剥離性を種々変化させることができる。このように、上記後者の低接着層32については、その易剥離性(弱接着性)を決定づけるパラメータが多くあるから、その一部または全部に基づいて易剥離性を設定することとなるが、異種のポリマーブレンドという観点からは、上記両フィルム12a・13aにおいて熱可塑性合成樹脂として各種掲げたもののうちから、種類の異なる二つの合成樹脂成分、または、種類の異なる三つ以上の合成樹脂成分を含んだものからなる。この低接着層32の具体的な例をあげると、ポリエチレン系の樹脂とポリプロピレン系の樹脂とが適当割合で配合されたもの、ポリエチレン系の樹脂とポリプロピレン系の樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合樹脂とが適当割合で配合されたものなどなどであるが、もちろん低接着層32についてはこのような例のみに限定されず、既述の熱可塑性合成樹脂のうちから二種以上の樹脂系が選択されてブレンドされるものである。
【0035】
シール体31における高接着層33の主たる役割は、接着相手のフィルムに対してシール体31を確実かつ安定に定着させることである。したがって高接着層33の材料については、これと接着対応する上記いずれかのフィルム(12aまたは13a)に対して強力に接着されるものであるか、あるいは、完全に接着一体化されるものであることが望ましい。ちなみに高接着層33が切着相手のフィルム(12aまたは13a)と同一の合成樹脂製であれば、既述の熱溶着手段で高接着層33とフィルム(12aまたは13a)とを接着することにより、この両者がほぼ完全に接着一体化されることとなる。このような理由から、高接着層33の材料としては、切着相手のフィルム(12aまたは13a)と同一の熱可塑性合成樹脂が用いられる。その際の具体的な熱可塑性合成樹脂は、両フィルム12a・13aの前記材料説明で述べたものと同じであるので、それを参照することで説明を省略する。
【0036】
シール体31における中間層34の主な役割は柔軟性・弾性・剛性・強度・耐熱性・加工安定性・その他を含めたシール体31の物性とくに機械的特性や化学的特性を調整することである。この中間層34の材料についても、低接着層32や高接着層33が熱可塑性合成樹脂製である場合には、熱可塑性合成樹脂が用いられる。中間層34の材料として用いられるものも、両フィルム12a・13aの前記材料説明として掲げたもののうちから採用される。その具体例をいくつかあげれば、ポリエチレンテレフタレートとかポリイミドとかの熱可塑性合成樹脂である。低接着層32と高接着層33との間に介在される当該中間層34は、単層でもよいし複層でもよいものである。しかしながらこの層数を過剰に増やしたりすると、コストアップをきたすだけでなく、シール体31のレベルで望ましくない嵩張り・強張りなどが生じる。したがって中間層34の層数は1〜2程度でよい。
【0037】
積層構造のシール体31は、二層構造の場合でも、また、三層以上の積層構造の場合でも、貼り合わせ・コーティング・共押出などいずれかの手段でつくられるものである。しかもシール体31はテープ状をしている。このようにしてつくられるシール体31が低接着層32と高接着層33とによる二層構造からなる場合は、低接着層32と高接着層33とが弱接着されたものであっても強接着されたものであっても構わない。さらに、シール体31が低接着層32と高接着層33と中間層34とによる多層構造(三層以上の積層構造)からなる場合も、上記と同じく、低接着層32と中間層34とは弱接着されたものでも強接着されたものでも構わない。積層構造でテープ状をした当該シール体31は、その一方のテープ面に低接着層32の片面(層表面)が露出しており、その他方のテープ面に高接着層33の片面(層表面)が露出しているものである。この露出した各層表面は、前記両フィルム12a・13aに対する接着面になる。この場合において、一方のフィルム12aとシール体低接着層32との接着面間に後述の減圧弁41が形成されたり、他方のフィルム13aとシール体高接着層33との接着面間に後述の減圧弁41が形成されたりするときには、その接着態様が、必ず「一部接着かつ残部非接着」になる。また、この二つの接着面間のうちのいずれか一方または両方に後述の減圧弁41がないとき、その接着態様として「全面接着」または「一部接着かつ残部非接着」が採用される。
【0038】
図1(A)(B)(C)および
図2(A)(B)の実施形態では、積層接着構造としてシール体31によるインナシール14SIが袋体11内の開口部15側に設けられる。すなわち、この実施形態の場合は、開口部15側の内部幅方向にわたってシール体31が介在配置された袋体11において、フィルム12aの内面と低接着層32の層表面とが相対接着され、かつ、フィルム13aの内面と高接着層33の層表面とが相対接着されて、インナシール14SIが設けられるものである。この場合、低接着層32とフィルム12aとの接着は易剥離性のある前記弱接着であり、高接着層33とフィルム13aとの接着は接着強度の高い前記強接着である。
【0039】
図1と
図2とくに
図1(A)(B)を参照して明らかなように、積層接着構造型の上記インナシール14SIには、その長さ方向の両端部間にある中央部領域に常閉型の減圧弁41が設けられている。この常閉型の減圧弁41は非接着空間部(非接着遊離部)42と接着常閉弁部43とを具備するものである。そのうちで、非接着空間部(非接着遊離部)42は、シール体31における低接着層32の一部表面とフィルム12aの一部内面とを非接着とすることで形成されたものである。非接着空間部42は、さらに、
図1(B)に示された非接着領域NS01にも該当するものである。非接着空間部42の形状についていうと、それはシール体31の下部側からその上部側に向けて入り込んだ凹形の形状をしており、この図示例のものは等脚台形による凹形のものである。一方で接着常閉弁部43は、フィルム12aと低接着層32との接着部のうち、その接着部の一部がこれに該当するものである。すなわち
図1の実施形態では、フィルム12aと低接着層32との全接着部において、非接着空間部42上に連なる接着部が接着常閉弁部43となっている。別の観点でいうと、
図1(B)に示された接着領域SE01の一部が接着常閉弁部43として活用されているものである。
【0040】
図1(C)を参照して明らかなように、高接着層33の層表面は、その上位側にある横長の接着部44とその下位側にある横長の非接着部(遊離部)45とで占められている。この場合において高接着層33がフィルム13aと強接着状態を呈しているのは、上位側の接着部44であり、下位側の非接着部45はフィルム13aから遊離している。遊離部ともいえるこの横長の非接着部45は、高接着層33の層表面上部にも設けられることがあるほか、低接着層32の層表面上部および/または層表面下部にも設けられることがある。他方では、この非接着部45が層表面下部に設けられないこともある。かかる非接着部(遊離部)は、低接着層32や高接着層33における接着強度や剥離易度などを調整するために、両層32・33に設けられたり、または、省略されたりするものである。
【0041】
シール体31について、一方のフィルム12aの内面と弱接着している低接着層32には易剥離性がある。これに対し、他方のフィルム13aの内面と強接着している高接着層33の接着部44は難剥離性である。当然のことではあるが、この場合の易剥離性の接着強度(低接着層32の接着強度)は難剥離性の接着強度(接着部44の接着強度)を下回るものである。これらの接着強度は包装の条件や用途などで種々異なり、その要望に応じて任意に設定されるものである。その場合の接着強度を具体的数値で示すと、易剥離性の接着強度は300〜1500g/15mm程度の範囲内で設定され、かつ、難剥離性の接着強度は2000〜4000g/15mm程度の範囲内で設定される。
【0042】
図1(A)(B)(C)および
図2(A)(B)の実施形態において、袋体11内の開口部15側には、シール体31よりも上位に部位に周知の開閉具51が設けられている。かかる開閉具51は、一般に、チャック・ジッパー・ファスナーなどの名称で呼ばれており、雌雄一対の部材からなるものである。
図1・
図2の実施形態で開閉具51は、互いに咬み合い自在な雌型開閉部材51aと雄型開閉部材51bとからなるものが採用されている。開閉具51はこれに限定されるものでなく、たとえば、面ファスナータイプのものであっても構わない。
図1・
図2の開閉具51で雌型開閉部材51aと雄型開閉部材51bは合成樹脂製(プラスチック製)であり、両フィルム12a・13aで述べたような熱可塑性の合成樹脂製であることが多い。かかる開閉具51における雌型開閉部材51aや雄型開閉部材51bも、たとえば、両フィルム12a・13aの内面に対して常温圧着手段(加圧接着手段)や、熱溶着手段(加圧加熱溶着手段)で接着されるものである。
【0043】
本発明に係る減圧弁付き包装用袋として
図1・
図2に例示されたものの場合、これは自明のとおり、袋体11の開口部15から内容物(被包装物)を取り出すものである。内容物を取り出すために袋体11の開口部15側を開けるときは、これも自明のとおり、開閉具51の閉鎖状態(咬合状態)を解除して雌雄両部材51a・51bの咬み合いを外すとともに、シール体31によるシール状態も解除するのである。このほか、袋体11がアッパシール14SUを有するものであるときは、開閉具51の開放やシール体31の解除などに先行してアッパシール14SUが切除される。
【0044】
上記におけるシール体31のシール解除操作についていうと、それは袋体11の開口部15側において袋表用フィルム12aや袋裏用フィルム13aの上端中央部を把持し、そのそれぞれを
図1(B)の左右方向に引き離して大きく遊離させるだけである。このときに解除対象となるシール体31については、既述のとおり、一方フィルム12aに対する低接着層32の接着力(弱接着側)が他方フィルム13aに対する高接着層33の接着力(強接着側)を下回るものである。しかも強接着側(フィルム13a:高接着層33)の場合、ユーザーが加える程度のシール解除力で剥離破壊したりしないが、弱接着側(フィルム12a:低接着層32)の場合は、それが弱接着であるため、かかるシール解除力で剥離破壊するのである。さらにいうと、それは弱接着側であるフィルム12aと低接着層32との間で層間剥離・凝集剥離・界面剥離のいずれかが生じてこの両者12a・32が剥離(乖離)するからである。
【0045】
本発明に係る減圧弁付き包装用袋で
図1・
図2に例示されたものの場合、袋体11内におけるシール体31と開閉具51との間には上方空間部16が存在し、袋体11内のシール体31下には収容空間部17が存在する。被包装物などは、このうちの収容空間部17に内容物として収容されるのである(収容空間部17については以下において、袋体収容空間部17ということがある)。
【0046】
袋詰め状態(未開封)のものを包装用袋ごと湯煎したり電子レンジ加熱したりするときは、周知のとおり、その際の加熱で包装用袋が膨張する。これについて
図1・
図2の包装用袋では、袋体11内の収容空間部17が熱膨張することとなる。この熱膨張にともなう内圧が許容範囲内にあれば問題はないが、それが上昇の一途をたどるというとき、通常のケースでは袋体11の不本意な破裂が起こりかねない。
【0047】
このとき
図1・
図2の包装用袋では、袋体11内の収容空間部17が所定圧に達することでインナシール14SIの減圧弁41が開放されるから、袋破裂を未然に防止することができる。それは減圧弁41の非接着空間部42が収容空間部17内の熱膨張高圧で膨満状態になったとき、非接着空間部42に隣接する接着常閉弁部43が高圧を受けて強制剥離開放されるからであり、さらにいえば、収容空間部17内の高圧がその開放弁部43から上方空間部16側へと抜けるからである。かくて減圧弁41の接着常閉弁部43が開放されて収容空間部17内と上方空間部16内とが連通状態になるときは、この両部16・17の合体で袋体11内の実質容量が増し、それによって袋体11内の膨張状態が緩和されるのである。この後において両部16・17が所定の膨満状態になると、今度はその高内圧によって開閉具51が開放される。ちなみに、アッパシール14SUのない袋体11であれば、熱膨張に起因した袋破裂のおそれはこの時点でなくなる。また、アッパシール14SUのある袋体11も、開閉具51の開放によって袋体上部(開口部15側)の容量が加算されるため、袋体11内の膨張状態が上記と同様に緩和される。
【0048】
本発明に係る減圧弁付き包装用袋として、
図1・
図2に例示された以外のものについていうと、そのようなものには、袋体11の内部に設けられるシール体31や開閉具51の数や部位に基づく種々の実施形態がある。これにつき、以下
図3を参照して説明する。
【0049】
図3(A)に例示されたものでは、袋体11内においてシール体31が一つだけ設けられている。
図3(B)に例示されたものでは、袋体11内に設けられた各一つのシール体31と開閉具51とが、上から下(開口部15側から袋底部側)に向けてシール体31→開閉具51の順に並んでいる。
図3(C)に例示されたものでは、袋体11内に設けられた二つのシール体31と一つの開閉具51とが、上から下に向けてシール体31→開閉具51→シール体31の順に並んでいる。
図3(D)に例示されたものでは、袋体11内に設けられた一つのシール体31と二つの開閉具51とが、上から下に向けて開閉具51→シール体31→開閉具51の順に並んでいる。
図3(E)に例示されたものの場合は、袋体11内に設けられた二つのシール体31と一つの開閉具51とが、上から下に向けて開閉具51→シール体31→シール体31の順に並んでいる。
図3(F)に例示されたものの場合は、袋体11内に設けられた二つのシール体31と一つの開閉具51とが、上から下に向けてシール体31→シール体31→開閉具51の順に並んでいる。
図3(G)に例示されたものの場合は、袋体11内に設けられた一つのシール体31と二つの開閉具51とが、上から下に向けてシール体31→開閉具51→開閉具51の順に並んでいる。さらに
図7(H)に例示されたものでは、袋体11内に設けられた一つのシール体31と二つの開閉具51とが、上から下に向けて開閉具51→開閉具51→シール体31の順に並んでいる。
【0050】
図3(A)〜(H)を参照して明らかなように、この図示例の各袋体11には積層接着構造としてのインナシール14SIが開口部15側の内部に設けられている。
図3での各態様相違は、開閉具51の有無、開閉具51の数(単数または複数)、インナシール14SIの数(単数または複数)などによるものであるが、いずれの袋体11にもインナシール14SIが存在する。そしてこの図示例の各袋体11にも、既述の減圧弁41が設けられている。すなわち、非接着空間部42と接着常閉弁部43とを具備した常閉型の減圧弁41が袋体11内のインナシール14SIに設けられているのである。
【0051】
図3(A)〜(H)に例示された各袋体11の場合も、袋詰め状態(未開封)のものを包装用袋ごと湯煎したり電子レンジ加熱したりするときには、その加熱時の高内圧に起因した破袋が回避される。それは減圧弁41の非接着空間部42が収容空間部17内の熱膨張高圧で膨満状態になったとき、接着常閉弁部43が高圧を受けて強制剥離開放されるという既述の弁開動作が生じて収容空間部17内の高圧がその開放弁部43から上方空間部16側へと抜けるからである。その他の作用とそれに基づく結果(効果)は、前記の実施形態と実質的に同様であるので説明を省略する。
【0052】
図3(C)(E)(F)を参照して明らかなように、この図示例の各袋体11にはインナシール14SIが複数設けられている。このような場合、少なくとも一つのインナシール14SIにだけ減圧弁41が設けられることがある。その具体的一例をあげると、最下段のインナシール14SIにのみ減圧弁41が設けられたりする。
【0053】
これまでに例示された各袋体11の場合、積層接着構造として、インナシール14SIを有するとともにサイドシール14SL・14SR・アッパシール14SU・ボトムシール14SB・コーナシール14SCなども有するものである。この種の袋体11の場合、インナシール14SI以外の各シールにも常閉型の減圧弁41が設けられることがある。それらの具体例これについて、以下図を参照して説明する。
【0054】
図4の例では、上記と同様の減圧弁41が袋体11のアッパシール14SUに設けられている。
図4に例示された減圧弁41については、それが前記実施形態(
図1・
図2)の袋体11に設けられることがある。
【0055】
一方において、
図5(A)(B)に示すところの袋体11は箱状(ボックス型)ないし筒状(シリンダー型)の袋形状をなすものである。この図示例の袋体11は、合掌部を含む袋上胴用のフィルム12b・12cと袋下胴用のフィルム12dと袋側面用のフィルム13c・13dとを主体にして上記の箱状ないし筒状に接着構成されたものである。この場合の各フィルム12b・12c・12d・13c・13dは前述した各構成材料のうちのいずれかからなり、その具体的一例として合成樹脂製のものからなる。この袋体11の各シールは
図5(A)(B)を参照してつぎのようなものである。袋上胴用とした両フィルム12b・12cの合掌部両側はこれらに設けられたトップサイドシール14TSL・14TSRを介して相互に接着されている。同じく、袋上胴用である両フィルム12b・12cの上胴部両側と袋側面用である両フィルム13c・13dの両側部とは、これらに設けられたミドルサイドシール14MSL・14MSRを介して相互に接着されている。袋下胴用であるフィルム12dの両側部と袋側面用である両フィルム13c・13dの両側部とは、これらに設けられたダウンサイドシール14DSL・14DSRを介して相互に接着されている。袋上胴用フィルム12bの前縁部と袋下胴用フィルム12dの前縁部および袋上胴用フィルム12cの後縁部と袋下胴用フィルム12dの後縁部とは、それぞれフロントシール14FES・リアシール14RESを介して相互に接着されている。さらに、この袋体11で開口部15のある合掌部には、その内部に前述のシール体31によるインナシール14SIが設けられており、かかるインナシール14SIが前述の減圧弁41を具備しているのである。このほかこの袋体11の合掌部(頂部)の上端には、適時または必要に応じてアッパシール14SUが施されたりする。一方で、開口部15のある合掌部内には、既述の開閉具51も設けられる。
【0056】
図5(A)(B)に例示された袋体11の場合も、その収容空間部17が所定圧に達することでインナシール14SIの減圧弁41が開放されるから、袋破裂を未然に防止することができる。この場合の減圧弁41の作用は前述の内容と実質的に同様であるから、それを参照すればよい。
【0057】
図5(A)(B)を参照して明らかなように、この図示例の袋体11には、インナシール14SIのほかに、トップサイドシール14TSL・14TSR・ミドルサイドシール14MSL・14MSR・ダウンサイドシール14DSL・14DSR・フロントシール14FES・リアシール14RES・アッパシール14SU・コーナシール14SCなどが積層接着構造として存在する。したがって、この図示例の袋体11の場合、
図4(A)〜(H)に例示された減圧弁41のうちの一つ以上が設けられることがある。この図示例の袋体11には、また、
図5(A)(B)のインナシール14SIに存在する減圧弁41に代えて、
図4(A)〜(H)に例示された減圧弁41のうちの一つ以上が設けられることもある。さらに、この図示例の袋体11で開口部15のある合掌部(袋体11の頂部)には、
図3(A)〜(H)を参照して説明した内容に準じて、または、それと実質的に同様にして、複数のインナシール14SIが設けられたり、複数の開閉具15が設けられたりすることもある。その場合のインナシール14SIは、他部に減圧弁41が存するか否かで、減圧弁41が設けられたり、または、設けられなかったりする。これ以外の例として、
図5(A)(B)の実施形態に係る袋体11については、開閉具15とインナシール14SIとのうちのいずれか一方または両方が設けられないこともある。
【0058】
これまでに述べた常閉型減圧弁41において、非接着空間部42と接着常閉弁部43とは幅方向の寸法や高さ方向の寸法が設計変更の範囲内で増減されることがある。たとえば非接着空間部42の幅および/または高さが、これまでの図示例のものよりも大きく設定されたり小さく設定されたりすることがある。接着常閉弁部43の幅および/または高さについてもこれと同様に設定されたりすることがある。概していうと、非接着空間部42が大きくなるにしたがい接着常閉弁部43が相対的に小さくなる傾向にあり、逆に接着常閉弁部43が大きくなるにしたがい非接着空間部42が相対的に小さくなる傾向にある。非接着空間部42・接着常閉弁部43などに関するこれらの事項は、要求される弁開放応答性によって設定される。
【0059】
つぎに、本発明の要旨と関連する常閉型減圧弁41の実施形態について、
図6を参照して説明する。
【0060】
図6(A)(B)に例示された常閉型の各減圧弁41は、長さ方向にわたって広域化された弁形状を有するものである。このような減圧弁41は、既述の各シール(積層接着構造)において、幅方向全長にわたって設けたり、高さ方向全長にわたって設けたりするときに採用されるものである。このうちで
図6(A)の減圧弁41は、非接着空間部42が扁平な三角形をしており、
図6(B)の減圧弁41は、非接着空間部42が扁平な長い円弧形をしている。このように長い減圧弁41の場合は、幅方向全域または高さ方向全域にわたって袋内圧を受け止める場合に都合よいものである。
【0061】
図6(C)(D)に例示された常閉型の各減圧弁41は、同図(A)(B)の当該減圧弁41において、接着常閉弁部43に向けて凹んだ非接着補助空間部46が設けられたものである。かかる減圧弁41は上記のように都合がよいほか、既述の内圧応答性も兼ね備えている。この場合における非接着空間部42や非接着補助空間部46の凹み形状は、扁平三角形・扁平円弧形などの長いものであれば、いずれでも採用できる。したがって、
図6(C)(D)の各減圧弁41の場合、接着常閉弁部43と非接着補助空間部46とが共に扁平三角形であったり、共に扁平円弧形であったりすることもある。
【0062】
袋体11内の常閉型減圧弁については、図7以降の図面(符号41X・41Y参照)や後述の説明で明らかなように、開閉具51を利用して設けられることもある。この場合の開閉具51は前述のとおり、咬合具タイプでもよいし面ファスナータイプでもよい。典型例として示された図7(A)〜(D)の実施形態では、雌型開閉部材51aと雄型開閉部材51bとからなる開閉具51が減圧弁形成のために用いられる。材料材質に関していうと、開閉具51の両開閉部材51a・51bは前述したと同様の合成樹脂製である。それぞれの開閉部材51a・51bは、両フィルム12a・13aの内面に対して、たとえば熱溶着手段(加圧加熱溶着手段)などで接着されるものである。以下図7(A)〜(D)に例示された開閉具51について説明する。
【0063】
図7(A)〜(D)にそれぞれ例示されている開閉具51において、一方(雌型)の開閉部材51aの場合は、シール用基部52aの咬合面53a側に雌型咬合具54aが一体形成されており、他方(雄型)の開閉部材51bの場合も、シール用基部52bの咬合面53b側に雌型咬合具54bが一体形成されている。開閉具51の両開閉部材51a・51bは、これを両フィルム12a・12bの内面と相対接着するための接着面55a・55bを有するものである。その接着面55a・55bは両シール用基部52a・52bにおいて咬合面53a・53bの反対側にある。すなわち両シール用基部52a・52bにおいて咬合面53a・53bの反対面が所要の接着面55a・55bとなっているのである。雌雄一対の開閉部材51a・51bからなる開閉具51は、また、前例の開閉具と同様に横長であり、その有効長さは袋体11の内部幅に対応するものである。
【0064】
一例にすぎない図7(A)〜(D)を参照していうと、開閉具51の構成要素である雌雄一対の開閉部材51a・51bは、たとえば既述の加圧加熱溶着手段を介して両フィルム12a・13aの開口部側の内面に接着(熱溶着)される。したがって、雌型開閉部材51aと袋表用フィルム12aとの間には開閉具シール(積層接着構造)14FSCが介在し、雄型開閉部材51bと袋裏用フィルム13aとの間には開閉具シール(積層接着構造)14RSCが介在することとなる。これについて、さらに詳しくいうと、両シール用基部52a・52bの接着面55a・55bは、両フィルム12a・13aの内面に対して全面接着されるのでなく、接着面55a・55bの上縁部55Ua・55Ubや下縁部55Da・55Dbという特定部位が接着されるのである。ゆえに両フィルム12a・13aの内面に接着された両シール用基部52a・52bの場合、接着面55a・55bにおける上縁部55Ua・55Ubと下縁部55Da・55Dbとの間に横長の非接着帯状部(非接着遊離部)56a・56bが介在することとなり、この非接着帯状部(非接着遊離部)56a・56bが両フィルム12a・13aの内面に対して非接着状態となっているのである。かかる場合における非接着帯状部(非接着遊離部)56a・56bの上下寸法(上下幅)は、雌雄両咬合具54a・54bの上下幅とほぼ同一であったり、あるいは、それを少し上回ったりするが、これに限定されるものではない。この接着面55a・55bにおける横長の上縁部55Ua・55Ubや下縁部55Da・55Dbなどについては、接着上縁部や接着下縁部のようにいうこともできる。
【0065】
図7(A)〜(D)に例示された実施形態の場合は、袋体11内の開口部側に開閉具51が装備されており、その開閉具51の所定部に非接着帯状部56a・56bが存するものである。そしてこのような袋体11において、非接着帯状部56a・56bを利用するという態様で常閉型の減圧弁41X・41Yが設けられるのである。より具体的にいうと、横長の非接着帯状部56a・56bに対して、減圧弁41X・41Yが縦方向に交差して設けられるのであるが、この図示例の減圧弁41X・41Yは、図1に例示された減圧弁41と基本的に変わるところがない。すなわち、この図示例における減圧弁41X・41Yも、袋体11の中央垂直線を左右の対称軸とする等脚台形の非接着空間部(非接着遊離部)42y・42zと、その非接着空間部(非接着遊離部)42y・42z上に連なる接着常閉弁部43a・43bとを有するものである。したがって図7における減圧弁41X・41Yの場合、その符号「41X」および「41Y」を符号「41」と読み替えることにより、既述の減圧弁と等価なものになる。これは図8や図9で示される減圧弁41X・41Yについても同様のことがいえる。
【0066】
図7(A)〜(D)の減圧弁41X・41Yに関するその他の事項について、交差状態にある非接着空間部42y・42zと非接着帯状部56a・56bとは、これら遊離部分が互いに重なり合って連通したことにより、両者の境界部が消失している。
【0067】
図7(A)〜(D)に例示された減圧弁付き包装用袋の場合、包装用袋としての使用例は前例と同じである。また、内容物入り袋を袋ごと加熱処理するときも、この例の減圧弁付き包装用袋は前例と実質的に同じかそれに準ずる態様で取り扱われる。かかる加熱処理時、雌雄両咬合具54a・54bからなる開閉具51は、両咬合具54a・54bが互いに咬み合った閉じ状態保持されるので、袋体11の開口部15は閉じられている。
【0068】
図7(A)〜(D)の包装用袋が、上記のような内容物入り状態かつ開口部閉鎖状態で加熱処理を受けた場合、それにともなって袋体11内の収容空間部17が熱膨張し、異常に高圧化することがある。かかる場合は、安全弁としての減圧弁41Xおよび/または減圧弁41Yがその異常高圧により開放されるので、熱膨張高圧に起因した袋破裂が、前例と同様、未然に防止されることとなる。より詳しくいうと、減圧弁41Xおよび/または減圧弁41Yの非接着空間部42が収容空間部17内の熱膨張高圧で膨満状態になったときに、非接着空間部42に隣接する接着常閉弁部43がその高圧を受けて強制剥離開放され、収容空間部17内の高圧が開放弁部43より袋体11外へと放出される。
【0069】
図7(A)〜(D)に例示された実施形態の場合、雌型の開閉部材51a側に減圧弁41Xが備えられ、かつ、雄型の開閉部材51b側に減圧弁41Yが備えられている。かかる袋体11に内部異常高圧が発生したとき、両減圧弁41X・41Yのいずれか一方または両方が内部異常高圧を受けて開放されるので、袋破裂が未然に防止される。
【0070】
図8(A)〜(F)に例示された減圧弁付き包装用袋は、図7(A)〜(D)に例示された実施形態のものに類する。しかしながら図8(A)〜(F)に例示されたものでは、所要の減圧弁が、雌型開閉部材51aまたは雄型開閉部材51bのいずれか一方のみを利用して設けられており、この点が前例と異なっている。このような減圧弁付き包装用袋における減圧弁41Xまたは減圧弁41Yも、袋内異常高圧に対する安全弁としては上記前例と同様に機能するものである。ちなみに、図8(A)(C)の減圧弁付き包装用袋では、雌型開閉部材51ba側にのみ減圧弁41Xが設けられており、図8(B)(D)の減圧弁付き包装用袋では、雄型開閉部材51b側にのみ減圧弁41Yが設けられている。さらに説明すると、図8(A)の雄型開閉部材51bでは、既述の減圧弁がないにもかかわらず、フィルム13a内面とシール用基部52b内面との間に非接着帯状部56bが介在しており、同じく、図8(B)の雌型開閉部材51aでも、既述の減圧弁がないにもかかわらず、フィルム12a内面とシール用基部52a内面との間に非接着帯状部56aが介在している。その一方において、図8(C)の雄型開閉部材51bではシール用基部52bがフィルム13aの内面に全面接着されており、図8(D)の雌型開閉部材51aではシール用基部52aがフィルム12aの内面に全面接着されている。このほか、雌雄両開閉部材51a・51bのシール用基部52a・52bについては、加工時における樹脂相互の熱接着性や減圧弁開放時における樹脂相互の剥離性を調整するため、図8(E)(F)のような二層の積層構造に設けられたり、または、三層以上の積層構造に設けられたりすることがある。
【0071】
雌雄両開閉部材51a・51bのシール用基部52a・52bを利用して設けられる減圧弁41X・41Yの実施形態としては、図9(A)〜(P)に例示するところの各種のものがある。この減圧弁41X・41Yの説明は、図9(A)に示された寸法d1〜d3の説明後に行う。
【0072】
図9(A)に略示された雌雄両開閉部材51a・51bを参照して明らかなとおり、シール用基部52a・52bの接着面55a・55bについては、上下方向にわたる各部の寸法(上下幅)がd1〜d3でそれぞれ示されている。これらのうちでは、「d1」が接着面55a・55bの上縁部55Ua・55Ubの上下幅に該当し、「d2」が接着面55a・55bの下縁部55Da・55Dbの上下幅に該当し、さらに、「d3」が非接着帯状部56a・56bの上下幅に該当するものである。かかる場合の具体的一例として図9(A)の実施形態では、d1〜d3が[d3]<[d1]=[d2]となっているものである。このd1〜d3については、「これら三つがすべて等しい」、「そのうちのいずれか二つが互いに等しくて残る一つが他の二つよりも大きいかまたは小さい」、「そのうちのいずれか一つが最も大きくて、残る二つのうちのいずれか一つがそのつぎに大きい」など、このような態様をも含めて任意に設定されるものである。
【0073】
図9にそれぞれ例示された各種態様の減圧弁41X・41Yについて、以下に説明するが、これを理解する上での共通事項は下記<41>〜<43> のとおりである。
<41> 減圧弁41X・41Yは、所定各部の寸法d1〜d3が上記のように任意設定される場合にすべて適用できるものである。ただし図16におけるそれぞれの減圧弁41X・41Yは、上記寸法d1〜d3が[d3]<[d1]=[d2]であるときの典型例で示されている。
<42> 図9に例示された各減圧弁41X・41Yは、袋開口部側の内面に開閉具51が設けられたことで袋内部に所要の積層接着構造が存するという袋体11において、フィルム12a(13a)の内面とシール用基部52a・52bの接着面55a・55bとの間に設けられるものである。この場合において、雌型開閉部材51aを利用して設けられる減圧弁41Xや雄型開閉部材51bを利用して設けられる減圧弁41Yは、その両方が設けられたり、そのうちのいずれか一方が省略されたりするものであるが、図9の各種態様は、このいずれの場合にも適用できるものである。
<43> 図9の図示における一方の減圧弁41Xと他方の減圧弁41Yとは、双方の構成内容に差異がないため図を兼用する形で示されている。それは「41X」と「41Y」など、二つの符号を「41X(41Y)」のように併記することで図を兼用させている。
【0074】
図9(A)に例示された減圧弁41X(41Y)の場合、複数(三つ)の非接着空間部42と複数(三つ)の接着常閉弁部43とを備えている。この複数の非接着空間部42や複数の接着常閉弁部43について、それぞれ異種の各符号を加えてこれを区別すると、非接着空間部42p・42q・42rや接着常閉弁部43p・43q・43rのようになる。そのうちの各非接着空間部42p・42q・42rは非接着帯状部56a(56b)と交差しており、しかも、該各非接着空間部42p・42q・42rの基端部(入口部)と先端部とが、非接着帯状部56a(56b)を介して接着面55a(55b)の上縁部55Ua(55Ub)側と下縁部55Da(55Db)側に分離している。この場合、それぞれの非接着空間部42p・42q・42rにおいては、その基端部(入口部)とその先端部とが共通の中央垂直軸心線上にある。図16(A)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0075】
図9(B)に例示された減圧弁41X(41Y)の場合、複数(三つ)ある各非接着空間部42p・42q・42rは、単数(一つ)の入口用基端部を共有しているものである。図9(B)に例示された減圧弁41X(41Y)において各非接着空間部42p・42q・42rの出口用先端部はその非接着空間部数に応じて複数(三つ)あり、かつ、接着常閉弁部43p・43q・43rも、図9(A)の例と同様に複数(三つ)ある。図9(B)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0076】
図9(C)に例示された減圧弁41X(41Y)での非接着空間部42は、入口用の基端部が複数(三つ)で出口用の先端部が単数(一つ)というものである。図9(C)の例で減圧弁41X(41Y)の接着常閉弁部43は、図16(A)(B)の例と異なり単数(一つ)である。図9(C)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0077】
図9(D)に例示された減圧弁41X(41Y)は、それぞれ複数(四つ)の非接着空間部42p・42q・42r・42sと複数(四つ)の接着常閉弁部43p・43q・43r・43sとを有していて図9(A)のものに類する。ただし図9(D)に例示された各非接着空間部42p・42q・42r・42sの基端部(入口部)と先端部(出口部)について、これを「左側から1番目の入口部と左側から1番目の出口部」、「左側から2番目の入口部と左側から2番目の出口部」、「左側から3番目の入口部と左側から3番目の出口部」というように[1:1]で対応させた場合、左側から4番目(最右側)の出口部にはこれと対応する入口部がないことになる。したがって図16(D)において最右側にある非接着空間部42sは、非接着帯状部56a(56b)を通じて他の非接着空間部42p・42q・42rと連通しているものの、出口用先端部のみを有するものとみなすことができる。図9(D)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0078】
図9(E)に例示された減圧弁41X(41Y)も複数すなわち七つの接着常閉弁部43p・43q・43r・43s・43t・43u・43vを有していて、これと同数ある非接着空間部42p・42q・42r・42s・42t・42u・42vの先端部(出口部)が、それぞれの接着常閉弁部43p・43q・43r・43s・43t・43u・43vに臨む形で対応している。図9(E)における各接着常閉弁部43p・43q・43r・43s・43t・43u・43vの場合、上下接着寸法(上下接着幅)については、[43s>43r=43t>43q=43u>43p=43v]というように、中央の接着常閉弁部43sが最も大きく、かつ、両側の接着常閉弁部43p・43vへ向かうにしたがい、その上下接着寸法(上下接着幅)が段階的にまたは漸減的に小さくなっている。図9(E)に例示された減圧弁41X(41Y)の場合、各非接着空間部42p・42q・42r・42s・42t・42u・42vの基端部(入口部)は、図9(A)(C)(D)で説明したような複数タイプであってもよいし、また、図9(B)で説明したような単数タイプであってもよい。さらにこの場合の単数タイプについては、図9(K)(L)(M)を参照して後述するようなものであってもよい。図9(E)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0079】
図9(F)に例示された減圧弁41X(41Y)は単数(一つ)の接着常閉弁部43を有するものである。この単一の接着常閉弁部43と、これに向けて指向する非接着空間部42の単一の先端部(出口部)は、これらの境界部が波形をしている。この図示例での波形は典型的一例として鋸歯状をしているが、これについては曲面をともなって上下に蛇行するような波形状であってもよい。図9(F)に例示された減圧弁41X(41Y)の場合、非接着空間部42の基端部(入口部)は、図16(A)(C)(D)で説明したような複数タイプであってもよいし、また、図9(B)で説明したような単数タイプであってもよい。さらにこの場合の単数タイプも、図9(K)(L)(M)を参照して後述するようなものであってよい。この非接着空間部42と接着常閉弁部43との境界部を波形にすることについては図9(A)〜(D)の各実施形態でも採用することができ、さらに図9(G)(H)(I)(J)を参照して後述する各実施形態でも採用することができる。図9(F)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0080】
図9(G)に例示された減圧弁41X(41Y)も単数(一つ)の接着常閉弁部43を有するものである。この例での接着常閉弁部43上には、これに向けて凹んだ非接着補助空間部(補助遊離部)46が設けられている。図9(F)の減圧弁41X(41Y)においても、非接着空間部42の基端部(入口部)は、図9(A)(C)(D)で説明したような複数タイプであってもよく、また、図9(B)で説明したような単数タイプであってもよい。さらに当該単数タイプも、図16(K)(L)(M)を参照して後述するようなものであってよい。この非接着補助空間部46の場合、図9(A)〜(D)の各実施形態でも採用することができるし、図9(G)(H)(I)(J)を参照して後述する各実施形態でも採用することができる。図9(G)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0081】
図9(H)に例示された減圧弁41X(41Y)の場合、複数(三つ)の接着常閉弁部43p・43q・43rを有するものであり、かつ、この三つの接着常閉弁部43p・43q・43r上には、上記と同様に、これらに向けて凹んだ非接着補助空間部46p・46q・46rがそれぞれ設けられている。図9(H)の減圧弁41X(41Y)での各非接着空間部42p・42q・42rの先端部(出口部)は、自明のとおり複数であるが、非接着空間部42の基端部(入口部)については、図9(A)(C)(D)で説明したような複数タイプ、また、図9(B)で説明したような単数タイプ、さらには、後述する図9(K)(L)(M)のような単数タイプであってもよい。図9(H)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0082】
図9(I)に例示された減圧弁41X(41Y)の場合は、複数(四つ)の接着常閉弁部43p・43q・43r・43sを有していて、この四つの各接着常閉弁部43p・43q・43r・43s上に非接着補助空間部46p・46q・46r・46sがそれぞれ設けられている。さらにいうと、それぞれ四つある接着常閉弁部や非接着補助空間部のうちで、左右両側に位置する接着常閉弁部43p・43sの上下接着幅(上下接着寸法)は中央二つの接着常閉弁部43q・43rよりも相対的に小さく、かつ、左右両側に位置する非接着補助空間部46p・46sの上下深さ(上下凹み寸法)は中央二つの非接着補助空間部46q・46rよりも相対的に大きい。図9(I)の減圧弁41X(41Y)で各非接着空間部42p・42q・42r・42sの先端部(出口部)は、自明のとおりの複数であるが、非接着空間部42の基端部(入口部)については、図9(A)(C)(D)で説明したような複数タイプや図9(B)で説明したような単数タイプであってもよいし、さらには、後述する図9(K)(L)(M)のような単数タイプであってもよい。図9(H)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0083】
図9(J)に例示された減圧弁41X(41Y)も、前例と同様に複数(四つ)の接着常閉弁部43p・43q・43r・43sを有するものである。一方で、この減圧弁例での非接着補助空間部46は、複数の接着常閉弁部43p・43q・43r・43sにわたる横長で単一のものであり、この横長で単一の非接着補助空間部46が各接着常閉弁部43p・43q・43r・43sの上位に位置して設けられている。図9(I)に例示された減圧弁41X(41Y)でも、各非接着空間部42p・42q・42r・42sの先端部(出口部)は自明のとおりの複数であるが、非接着空間部42の基端部(入口部)については既述と同様、図9(A)(C)(D)のような複数タイプ、図9(B)のような単数タイプ、後述する図9(K)(L)(M)のような単数タイプなど、いずれでもよい。図9(H)の減圧弁41X(41Y)に関するその他の事項は、図8を参照して説明した事項と実質的に同じかそれに準ずるものである。
【0084】
上述した図9(A)〜(J)の各減圧弁41X(41Y)において、各非接着空間部42・42p・42q・42r・42s・42t・42u・42vの基端部(入口部)はその両側部が等脚台形の傾斜した二辺ようになっている。これについては略ハの字形のようにもいうことができる。かかる非接着空間部42・42p・42q・42r・42s・42t・42u・42vの基端部(入口部)の両側部については、図16(K)のような平行形でもよく、また、図9(L)のような互いに向き合った横向きの凸形でもよい。さらに、図9(M)のような逆ハの字形、すなわち、図9(A)〜(J)の基端部を上下反転させたような形状も、非接着空間部の基端部形状(入口部形状)として採用することができる。
【0085】
上述した図9(A)〜(J)の各減圧弁41X(41Y)については、また、各非接着空間部42・42p・42q・42r・42s・42t・42u・42vの先端部(出口部)が多角形のうちから選択された四角形をしており、より具体的には等脚台形をしている。かかる非接着空間部の先端部形状(出口部形状)としては、三角形以上の多角形・半円形・半楕円形・U字形・異形など、各種の形状が任意に採用されてよいものである。非接着空間部の先端部に関するそのような形状の具体例として、図9(N)には半円形の当該先端部形状が示されており、図9(O)には逆U字形の当該先端部形状が示されており、図9(P)には五角形の当該先端部形状が示されている。もちろん当該先端部形状としては、図7〜図7の各図に例示されているような具体的な各形状も採用することができる。
【0086】
図9(A)〜(J)に例示された各減圧弁41X(41Y)において、複数の入口部や複数の出口部を有する非接着空間部については、少なくとも一つの入口部と少なくとも一つの出口部とを残すという条件を満たすのであれば、そのうちの一つ以上の入口部および/または一つ以上の出口部が省略されてもよい。
【0087】
上述した図9(A)〜(J)の減圧弁41X(41Y)については、さらに、各非接着補助空間部46・46p・46q・46r・46sとして、図7や図8に例示されたような形状構造のものも技術的互換性の範囲内で採用することができる。
【0088】
図7〜図9の各図を参照して説明した減圧弁41X(41Y)は、図1〜図6を参照して説明した各実施形態のうちの開閉具51を備えた袋体11においても、その開閉具51を利用して設けることができるものである。その場合の減圧弁41X(41Y)においては、図7〜図9を参照して説明したすべての事項が適宜選択されて適用されるものである。