特許第5989167号(P5989167)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5989167
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】濾材の製造装置、濾材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/04 20060101AFI20160825BHJP
   C02F 3/10 20060101ALI20160825BHJP
   C02F 3/06 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B01D39/04
   C02F3/10 Z
   C02F3/06
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-63529(P2015-63529)
(22)【出願日】2015年3月26日
【審査請求日】2015年9月25日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596180319
【氏名又は名称】株式会社協立
(74)【代理人】
【識別番号】709004972
【氏名又は名称】栗田 挙郎
(72)【発明者】
【氏名】井出 尚武
(72)【発明者】
【氏名】井出 正之
(72)【発明者】
【氏名】栗田 挙郎
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−154298(JP,A)
【文献】 特表2009−541506(JP,A)
【文献】 特開2002−326871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/04
C02F 3/06
C02F 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多面体である多孔質体を搬送する搬送部と、
該搬送部により搬送される該多孔質体の稜線に対して直線状に液状の補強材を塗布する塗布部であって、該多孔質体の内部への液体の浸入を許すように該液状の補強材を該多孔質体の稜線に対して直線状に塗布する該塗布部と、
該多孔質体の稜線に対して直線状に塗布された該液状の補強材を硬化させる硬化部と、
を有する材の製造装置。
【請求項2】
多面体である多孔質体の稜線に対して直線状に液状の補強材を塗布する塗布工程であって、該多孔質体の内部への液体の浸入を許すように該液状の補強材を該多孔質体の稜線に対して直線状に塗布する該塗布工程と、
該多孔質体の稜線に対して直線状に塗布された該液状の補強材を硬化させる硬化工程と、
を有する材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材の製造装置および濾材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂製の容器状担体(容器)と、容器状担体の内部に収納されたポリウレタン製などのスポンジ状担体(スポンジ)と、からなる複合型の水処理用の濾材が記載されている(特許文献1の段落〔0019〕)。濾材は、容器の内面、およびスポンジの表面及び内部に設けられた無数の不規則形状の流路が微生物繁殖用の担体部として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−154298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の複合型の水処理用濾材は、容器およびスポンジを別々に製造する。このため、水処理用濾材にするためには、容器の小開口部からスポンジを挿入するための工数が必要であるという問題があった。本発明は、かかる工数を削減し、安価な濾材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明に係る濾材は、多孔質体と、該多孔質体の表面における全部または一部に密着して形成され、該多孔質体の内部への液体の浸入を許す補強材と、を有する。ここで、密着とは、ぴったりとくっつくことをいう。
【0006】
発明に係る濾過槽は、液体が入れられる槽と、該多孔質体および該補強材を合わせた比重が該液体の比重以上である発明に記載の濾材であって、該槽内に入れられる該濾材と、を備える。
【0007】
発明に係る濾過槽は、液体が入れられる槽と、該多孔質体および該補強材を合わせた比重が該液体の比重よりも小さい発明に記載の濾材であって、該槽内に入れられる該濾材と、該槽の中に設けられ、該液体を流動させる流動部であって、該液体の該流動により、該濾材中に該液体を侵入させる該流動部と、を有する。
【0008】
請求項に係る濾材の製造装置は、多面体である多孔質体を搬送する搬送部と、該搬送部により搬送される該多孔質体の稜線に対して直線状液状の補強材を塗布する塗布部であって、該多孔質体の内部への液体の浸入を許すように該液状の補強材を該多孔質体の稜線に対して直線状に塗布する該塗布部と、該多孔質体の稜線に対して直線状に塗布された該液状の補強材を硬化させる硬化部と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項に係る濾材の製造方法は、多面体である多孔質体の稜線に対して直線状液状の補強材を塗布する塗布工程であって、該多孔質体の内部への液体の浸入を許すように該液状の補強材を該多孔質体の稜線に対して直線状に塗布する該塗布工程と、該多孔質体の稜線に対して直線状に塗布された該液状の補強材を硬化させ硬化工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
発明によれば、容器を使わないので、容器中にスポンジを挿入する工数を無くすことができ、安価な濾材を提供できる。
【0011】
発明によれば、濾材が安価なので、安価な濾過槽を提供できる。
【0012】
発明によれば、容器を使わない濾材を使用するので、液体が流動して液体が濾材に当たっても容器中から濾材が飛び出すことはない。
【0013】
請求項およびによれば、容器中にスポンジを挿入する工数を無くした安価な濾材を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】多孔質体の斜視図である。
図2】多孔質体の部分拡大図である。
図3】濾材の部分拡大図である(実施形態)。
図4】濾材の斜視図である(実施形態)。
図5】濾材の部分拡大図である(実施形態)。
図6】濾材の製造装置の斜視図である(実施形態)。
図7】濾材の製造装置の斜視図である(実施形態)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
(多孔質体)
まず、本発明で用いる多孔質体について、図1および図2を用いて説明する。図1は、多孔質体の一例としてのスポンジ1の斜視図である。図2は、図1における部分2の拡大図である。
【0016】
スポンジ1は、ポリウレタンなどの公知の材料を用いて、公知の成形方法で成形される多面体とされている。スポンジ1は、図1に示すように、稜線3を12本有し、面6を6個有する6面体を例示できる。スポンジ1は、図2に示すように、連続的に繋がる樹脂部分4と、樹脂部分4の間に形成された空間部分5と、を有する。スポンジ1は、空間部分5を有するため、スポンジ1の内部に液体が浸入できるようになっている。
【0017】
次に、スポンジ1を用いて製造する濾材、濾材の製造装置および製造方法について説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
(濾材)
第1実施形態の濾材11は、図3にその一部を示すように、スポンジ1と、スポンジ1の表面に形成された補強材の一例としての塗膜41であって、スポンジ1の内部への液体の浸入を許す塗膜41と、を有する。塗膜41は、スポンジ1の表面から剥離されることの無いよう、密着して固定されている。
【0019】
濾材11を液体中で濾材として機能させる場合は、スポンジ1および塗膜41を合わせた比重が液体の比重以上になるように設定される。また、濾材11を液体の表面で濾材として機能させる場合は、スポンジ1および塗膜41を合わせた比重が液体の比重よりも小さくなるように設定される。
【0020】
塗膜41は、液体をスポンジ1の内部に侵入させる必要があるため、スポンジ1の面6における樹脂部分4に形成され、樹脂部分4と樹脂部分4の間に形成される全ての空間部分5を埋めないように形成される。
【0021】
スポンジ1の表面に形成された塗膜41は、スポンジ1を補強する機能を持たせる必要があることから、スポンジ1を構成する樹脂と同じ硬度、またはスポンジ1を構成する樹脂よりも高い硬度の樹脂を採用する。
【0022】
例えば、スポンジ1を構成する樹脂がポリウレタンであって、スポンジ1の表面に塗布する塗料の主成分がポリウレタンとする。この場合、ポリウレタン樹脂の比重が1.2なので、濾材11の比重は約1.2となる。このため、液体が水の場合は、濾材11は液体に沈んで濾材として機能する。
【0023】
また、例えば、スポンジ1を構成する樹脂がABSであって、スポンジ1の表面に塗布する塗料の主成分がポリウレタンとする。この場合、ABSの比重が1.01〜1.21、ポリウレタン樹脂の比重が1.2なので、濾材11の比重は約1以上となる。このため、液体が水の場合は、濾材11は液体に沈んで濾材として機能する。
【0024】
例えば、スポンジ1を構成する樹脂がポリプロピレンであって、スポンジ1の表面に塗布する塗料の主成分がウレタンとする。この場合、ポリプロピレン樹脂の比重は1よりも小さく(0.91〜0.92)、ウレタンの比重は1よりも大きいが、ウレタンの使用量がポリプロピレン使用量よりも少ないので、濾材11の全体の比重は1よりも小さくすることができる。このため、液体が水の場合は、濾材11は液体に浮いて濾材として機能する。
【0025】
濾材11は、スポンジ1の表面に直接補強材の一例としての塗膜を形成するので、従来の濾材のように容器を必要とせず、容器中にスポンジを挿入する必要もない。このため、濾材11は、従来の濾材と比較して安価に製造することができる。また、濾材11は、液体を濾過槽内で激しく流動させた場合であっても、容器から濾材が飛び出すこともない。
【0026】
(濾材の製造装置)
濾材11を製造するための製造装置は、図6に示すように、スポンジ1を搬送する搬送部の一例としてのコンベア32と、コンベア32により搬送されるスポンジ1の表面に液状の補強材の一例としての塗料を塗布するノズル33と、ノズル33によりスポンジ1の表面に塗布された塗料を硬化させる硬化部の一例としての乾燥炉(図示せず)と、を有する。
【0027】
ノズル33は、塗布部の一例であって、スポンジ1の内部への液体の浸入を許すように、液状の塗料をスポンジ1の表面に塗布する。
【0028】
コンベア32は、長尺な一対の筐体30と、一対の筐体30の長手方向の両端部に回転可能に支持された一対の回転ロール(図示せず)と、該一対の回転ロール間に掛け回された無端ベルト31と、を有する。
【0029】
一対の回転ロールは、一方が駆動ロールであり、他方が従動ロールとされている。無端ベルト31は、駆動ロールの回転駆動により、その上面が図6の紙面左側から紙面右側に向けて動作する。このため、無端ベルト31の上面に置かれたスポンジ1は、図6の紙面左側から紙面右側に向けて移動する。
【0030】
ノズル33は、ホース34の一端が接続され、ホース34から供給された液体塗料を霧状にしてスポンジ1の表面に塗布(噴霧)する。ホース34の他端には、液体塗料の供給装置(図示せず)が接続されている。該供給装置によりホース34を介して供給された液体塗料(液状の塗料)は、ノズル33により霧状にされてスポンジ1に塗布される。
【0031】
乾燥炉(図示せず)は、スポンジ1の表面(上面および4つの側面の表面)に塗布された液状の塗料を硬化させる装置であり、図6に示すコンベア32の下流側に設置される。
【0032】
乾燥炉は、具体的には、ヒーター等の加熱部と、該加熱部により加熱された乾燥炉内の空気を被乾燥部材(塗料が表面に塗布されたスポンジ1)に当てるファン等の送風部と、被乾燥部材から蒸発した溶剤等を乾燥炉の内部から外部に排出する排気部と、を有する。
【0033】
(濾材の製造方法)
ノズル33は、図6に示すように、コンベア32の短手方向の両側に配置されている。このため、一対のノズル33により、無端ベルト31上のスポンジ1における上面および4つの側面は、霧状の塗料が塗布される(塗布工程)。
【0034】
ノズル33により霧状にされた液体塗料が表面に塗布されたスポンジ1は、乾燥炉中で加熱および乾燥され、液状の塗料は塗膜41となってスポンジ1の表面に固着する(乾燥工程)。
【0035】
前記した一連の工程では、塗膜41は、スポンジ1の上面および4つの側面に形成され、スポンジ1の下面には形成されていない。スポンジ1の下面に塗膜41を形成するためには、下記の2つの手段のいずれかを採用すれば良い。
【0036】
(1)前記した一連の工程を終え、上面および4つの側面に塗膜41が形成されたスポンジ1を回転させ、塗膜41が形成されていないスポンジ1の下面を上にして、再度、上記した一連の工程を実施する。
(2)前記したコンベア32および乾燥炉からなる1組の製造装置を2組連結し、当該連結部にスポンジ1を回転させてスポンジ1の下面を上に向ける装置(例えば、スポンジ1を把持するチャックを備えた多間接ロボット)を配置する。
【0037】
その他の手段としては、下記(3)も採用可能である。
(3)無端ベルト31に対し、常に振動を加え、無端ベルト上のスポンジ1の面が一定とならない状態(無端ベルト上でスポンジ1が飛び跳ねる状態)にし、ノズル33によりスポンジ1の全面に塗料を塗布する。乾燥炉中においても、同様の状態で加熱および乾燥を行う。
【0038】
(濾過槽)
濾過槽は、液体が入れられる槽と、該槽内に入れられる濾材11と、を備える。濾材11は、スポンジ1および塗膜41を合わせた比重が液体の比重以上である場合、濾過槽内部の固定床に静置させても良いし、濾過槽内部の流動床に液体と共に流動させてもよい。ここで、濾過槽内部の液体の流動は、濾過槽内部に設けられた流動部の一例としてのスクリューにより行われる。
【0039】
スクリューは、複数の回転翼と、当該複数の回転翼が接続された回転部と、を有している。当該回転部が回転して複数の回転翼が回転することにより、濾過槽中の液体が流動する。回転翼は、モータ等のアクチュエータの回転軸に接続されている。電源からモータに電流が供給されると、回転翼が回転する。濾過槽中には、少なくともスクリューが設けられていれば良く、アクチュエータは、濾過槽の内部に設けられていても濾過槽の外部に設けられていても良い。電源は、濾過槽の外部に設けられていることが望ましい。
【0040】
前記した流動部は、スポンジ1および塗膜41を合わせた濾材11の比重が液体の比重以上である場合、濾過槽にとって必須の構成ではない。しかし、スポンジ1および塗膜41を合わせた濾材11の比重が液体の比重よりも小さい場合、流動部は、濾過槽にとって必須の構成となる。
【0041】
つまり、スポンジ1および塗膜41を合わせた濾材11の比重が液体の比重よりも小さい場合、濾材11は、液体の表面に浮く。この状態では、液体と接するのは濾材11の1つの面のみとなるため、濾過効率が非常に悪い。このため、スポンジ1および塗膜41を合わせた比重が液体の比重よりも小さい濾材11を使用する場合は、流動部により液体を流動させ、この流動した液体を液面状にある濾材11の内部に侵入させる必要がある。
【0042】
濾過槽内の濾材11は、スポンジ1と補強材が一体になっているので外力に強い。このため、濾材11は、濾過槽内の液体に投入する際、または濾過槽内の液体の流れによって濾過槽の壁または他の濾材に衝突する際においても破損および摩耗の虞を低減できる。よって、濾過槽は、濾過槽内における生物処理を長期的に安定して行うことができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
図4図5および図7を用いて本発明に係る他の実施形態を説明する。説明を分かり易くするため、第1実施形態と同一の部分は、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0044】
(濾材)
第2実施形態の濾材12と第1実施形態の濾材11の主な相違点は、濾材11は塗膜41がスポンジ1の表面の全面に形成されているのに対し、濾材12は塗膜42がスポンジ1の稜線3に形成されている点である。
【0045】
第2実施形態の濾材12は、図4および図5に示すように、スポンジ1と、スポンジ1の稜線3に形成された補強材としての塗膜42であって、スポンジ1の内部への液体の浸入を許す塗膜42と、を有する。濾材12は、液体中で濾材として機能させる必要があることから、スポンジ1および塗膜42を合わせた比重が液体の比重以上になるように設定される。
【0046】
スポンジ1の稜線3に形成する塗膜42は、スポンジ1を補強する機能を持たせる必要があることから、スポンジ1を構成する樹脂と同じ硬度、またはスポンジ1を構成する樹脂よりも高い硬度の樹脂を採用する。
【0047】
例えば、スポンジ1を構成する樹脂がポリウレタンであって、スポンジ1の表面に塗布する塗料の主成分がポリウレタンとすることができる。この場合は、ポリウレタン樹脂の比重が1.2であるので、濾材12の比重は約1.2となる。このため、液体が水の場合は、濾材12は液体に沈んで濾材として機能する。
【0048】
また、例えば、スポンジ1を構成する樹脂がABSであって、スポンジ1の表面に塗布する塗料の主成分がポリウレタンとすることができる。この場合は、ABSの比重が1.01〜1.21、ポリウレタン樹脂の比重が1.2であるので、濾材12の比重は約1以上となる。このため、液体が水の場合は、濾材12は液体に沈んで濾材として機能する。
【0049】
濾材12は、スポンジ1の稜線3に直接補強材としての塗膜を形成するので、従来の濾材のように容器を必要とせず、容器中にスポンジを挿入する必要もない。このため、濾材12は、従来の濾材と比較して安価に製造することができる。
【0050】
(濾材の製造装置)
濾材12を製造するための製造装置は、図7に示すように、スポンジ1を搬送する搬送部の一例としてのコンベア32と、コンベア32により搬送されたスポンジ1の稜線3に液状の補強材の一例としての塗料を塗布するノズル35と、ノズル35によりスポンジ1の表面に塗布された塗料を硬化させる硬化部の一例としての乾燥炉(図示せず)と、を有する。ノズル35は、塗布部の一例であって、スポンジ1の内部への液体の浸入を許すように、液状の塗料をスポンジ1の稜線3に塗布する。
【0051】
ノズル35は、ホース36の一端が接続され、ホース36から供給された液体塗料をスポンジ1の稜線3に塗布する。ホース36の他端には、液体塗料の供給装置(図示せず)が接続されている。該供給装置によりホース36を介して供給された液体塗料は、ノズル35によりスポンジ1の稜線3に塗布される。
【0052】
乾燥炉(図示せず)は、スポンジ1に塗布された液状の塗料を硬化させる装置であり、図7に示すコンベア32の下流側に設置される。
【0053】
乾燥炉は、具体的には、ヒーター等の加熱部と、該加熱部により加熱された乾燥炉内の空気を被乾燥部材(塗料が表面に塗布されたスポンジ1)に当てるファン等の送風部と、被乾燥部材から蒸発した溶剤等を乾燥炉の内部から外部に排出する排気部と、を有する。
【0054】
(濾材の製造方法)
ノズル35は、図7に示すように、コンベア32の側方に配置されている。このため、ノズル35により、無端ベルト31上のスポンジ1における上方の稜線3は、液状の塗料で塗布される(塗布工程)。
【0055】
ノズル35により液状の塗料が稜線3に塗布されたスポンジ1は、乾燥炉中で加熱および乾燥され、液状の塗料は塗膜42となってスポンジ1の稜線3に固着する(乾燥工程)。
【0056】
前記した一連の工程では、塗膜42は、スポンジ1の稜線3の内、上方に位置する稜線3に形成され、スポンジ1の下方に位置する稜線3には形成されていない。スポンジ1の方面に位置する稜線3に塗膜42を形成するためには、下記の2つの手段のいずれかを採用すれば良い。
【0057】
(1)前記した一連の工程を終え、上方の稜線3に塗膜42が形成されたスポンジ1を回転させ、塗膜42が形成されていないスポンジ1の下方を上にして、再度、上記した一連の工程を実施する。
(2)前記したコンベア32および乾燥炉からなる1組の製造装置を2組連結し、連結部にスポンジ1を回転させて下面を上に向ける装置(例えば、スポンジ1を把持するチャックを備えた多間接ロボット)を配置する。
【0058】
前記した実施例は、説明のために例示したものであって、本発明としてはそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0059】
例えば、前記した実施例においては、液体として水を用いたものを示したが、用いる液体は水以外であっても良い。
【0060】
また、前記した実施例においては、スポンジを構成する材料および補強材を構成する材料の両者の比重が液体の比重以上であるものを示したが、いずれか一方の比重が液体の比重よりも小さくても良い。しかし、この場合であっても、濾材11および12の全体の比重は、当該濾材を用いる液体の比重以上である必要がある。
【0061】
また、前記した実施例においては、補強材を形成するために用いる塗料を塗膜にする装置として、加熱部等を有する乾燥炉を示したが、これに限られるものではない。塗料は紫外線硬化型の塗料を採用することができ、当該紫外線硬化型の塗料を採用した場合、硬化部は、紫外線を照射する装置になる。
【0062】
さらに、前記した実施例においては、6面体のスポンジ1を用いて形成した濾材を説明したが、スポンジ1は6面体に限る趣旨ではない。例えば、4面体であっても8面体であっても良く、球形状または卵形状であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、濾材に適用される。
【符号の説明】
【0064】
1 スポンジ(多孔質体)
11 濾材
12 濾材
32 搬送部
33 塗布部
35 塗布部
41 塗膜(補強材)
42 塗膜(補強材)
【要約】      (修正有)
【課題】複合型水処理用濾材であって、濾材を製造する工数を削減し、安価な濾材の提供。
【解決手段】濾材11は、多孔質体としてのスポンジ1と、スポンジ1の表面における全部または一部に形成された補強材としての塗膜41であって、スポンジ1の内部への液体の浸入を許す塗膜41と、を有し、スポンジ1及び塗膜41を合わせた比重が液体の比重以上である濾材41。濾材11が、濾過槽中の液体に沈み込み、液体を濾過する機能を有する濾過槽。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7