(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記プロパティ情報に含まれる上記更新対象ユニットの信頼性の方が、上記更新管理ユニットの信頼性より高くない場合で、かつ、上記更新管理ユニットのメモリ容量が上記更新ソフトウェアのサイズに対応できる場合には、
上記更新管理ユニットの更新制御手段および上記更新管理ユニットの更新ファイル生成手段が動作することを特徴とする請求項2または請求項3記載のソフトウェア更新システム。
上記プロパティ情報に含まれる上記更新対象ユニットの信頼性の方が、上記更新管理ユニットの信頼性より高くない場合で、かつ、上記更新管理ユニットのメモリ容量が上記更新ソフトウェアのサイズに対応できない場合には、
上記更新管理ユニットの更新制御手段が動作するとともに、上記更新対象ユニットの更新ファイル生成手段が動作することを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項記載のソフトウェア更新システム。
上記更新管理ユニットおよび上記更新対象ユニットは、それぞれ、上記更新対象ユニットのソフトウェアの更新の完了後に、誤り検出により正しく更新できたことを確認する更新完了確認手段を有し、
上記更新制御手段が動作した上記更新管理ユニットまたは上記更新対象ユニットの更新完了確認手段が動作することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項記載のソフトウェア更新システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1について、図を用いて詳細に説明する。
図1は、この発明の実施の形態1におけるソフトウェア更新システムを示す構成図である。
図1において、配信ユニット10は、更新ソフトウェアとプロパティ情報が含まれる更新情報11を配信する。更新管理ユニット20は、配信ユニット10から更新情報11を受信し、更新対象ユニット30の車載ソフトウェアの更新管理を行う。更新対象ユニット30は、車載ソフトウェアが更新される車載制御ユニットである。
ここで、配信ユニット10は、外部サーバでもよいし、配信ツールでもよいし、記憶媒体でもよい。また、配信ユニット10と更新管理ユニット20の間の通信方法は無線でも有線でもよい。
【0010】
更新管理ユニット20は、メモリを有する計算機であり、次のように構成されている。
更新情報取得手段21は、配信ユニット10の配信する更新情報11を受信する。更新プロパティ判定手段22は、更新情報取得手段21によって受信された更新情報11に含まれるプロパティ情報の内容を判定する。
更新情報送信手段23は、更新情報取得手段21によって受信された更新情報11を更新対象ユニット30に送信する。
更新制御手段24は、更新情報11に含まれる更新ソフトウェアの更新可否判断を行う。更新ファイル生成手段25は、更新情報11の更新ソフトウェアが差分ファイルの場合に、差分ファイルから全データを有する更新ファイルを生成する。更新指示手段26は、更新対象ユニット30に車載ソフトウェアの更新指示を出す。更新完了確認手段27は、更新対象ユニット30の更新が正しく完了したことを確認する。
【0011】
なお、更新情報11のプロパティ情報には、更新ソフトウェアが適用される更新対象ユニットの信頼性と、更新ソフトウェアのサイズ情報が含まれる。
また、更新管理ユニット20のメモリには、当該更新管理ユニット20の信頼性情報が記憶されている。
また、更新管理ユニット20が更新対象ユニット30の更新制御を行う場合、更新対象ユニット30から更新可否状態を取得し、取得した更新可否状態が更新可能状態の時のみ更新対象ユニット30の車載ソフトウェアを更新するようにしてもよく、あるいは、更新管理ユニット20が車両の状態を判断し、車両状態が更新可能状態の時のみ更新対象ユニット30の車載ソフトウェアを更新するようにしてもよい。
【0012】
更新対象ユニット30は、車載ソフトウェアによって車両の各種制御を行い、更新管理ユニット20と車内ネットワークに接続されており、次のように構成されている。
更新情報取得手段31は、更新管理ユニット20から送信される更新情報11を受信する。更新制御手段32は、更新情報11に含まれる更新ソフトウェアの更新可否判断を行う。更新ファイル生成手段33は、更新情報11の更新ソフトウェアが差分ファイルの場合に、差分ファイルから更新ファイルを生成する。
更新実行手段34は、更新ソフトウェアにより車載ソフトウェアを書き換える更新を実行する。更新完了確認手段35は、更新が正しく完了したことを確認する。
【0013】
なお、更新制御手段24および更新制御手段32、更新ファイル生成手段25および更新ファイル生成手段33、更新完了確認手段27および更新完了確認手段35は、それぞれ同じ機能を有する。
【0014】
図3は、この発明の実施の形態1におけるソフトウェア更新システムの動作を示す説明図である。
図3において、10、11、20〜23、30〜35は
図1におけるものと同一のものである。
【0015】
次に、動作について説明する。
この発明は、更新管理ユニット20と更新対象ユニット30の信頼性の高い方のユニットにより、更新ソフトウェアの更新制御を行うようにしたものである。
まず、
図2を用いて、更新管理ユニット20の動作について説明する。
更新情報取得手段21が、配信ユニット10の配信する更新情報11を受信する(S1)。
次いで、更新プロパティ判定手段22が、更新情報11に含まれるプロパティ情報から、更新対象ユニット30の信頼性情報を抽出し(S2)、これと更新管理ユニット20のメモリに記憶された信頼性情報と比較する(S3)。
更新対象ユニット30の信頼性の方が高い場合には、更新情報送信手段23により、更新情報11を更新対象ユニット30に送信し、車載ソフトウェアの更新制御を委ね、更新ソフトウェアが差分ファイルの場合には、更新ファイルを生成した上で、車載ソフトウェアの更新を実行してもらう(S4)。
【0016】
一方、更新管理ユニット20の信頼性より、更新対象ユニット30の信頼性が高くない場合には、プロパティ情報に含まれる更新ソフトウェアのサイズが、更新管理ユニット20のメモリ容量で対応できるかどうかをチェックし(S5)、更新管理ユニット20のメモリ容量で対応できる場合には、更新管理ユニット20が、車載ソフトウェアの更新制御(更新可否の判断)を行うとともに、更新ソフトウェアが差分ファイルの場合に更新ファイル生成を行う(S6)。
S5で、更新管理ユニット20のメモリ容量で対応できない場合には、更新管理ユニット20が更新制御を行うとともに、更新対象ユニット30により、更新ソフトウェアが差分ファイルの場合に更新ファイル生成を行う(S7)。
S6、S7の後に、更新管理ユニット20は、更新ソフトウェアによる車載ソフトウェアの更新完了を確認する(S8)。
また、S4で、更新対象ユニット30で、更新制御および更新ファイル生成を行った場合には、更新対象ユニット30が更新ソフトウェアによる車載ソフトウェアの更新完了を確認する。
【0017】
次に、
図3を用いて、具体例について説明する。
図3の例は、配信ユニット10から受信したプロパティ情報の中の更新対象ユニット30の信頼性情報が、更新管理ユニット20の信頼性より高い場合、かつ更新ソフトウェアのサイズが、更新管理ユニット20のメモリ容量より大きいかまたは小さい場合についてのものである。つまり、更新対象ユニット30の信頼性情報が、更新管理ユニット20の信頼性より高い場合は、更新ソフトウェアのサイズに関わりなく、以下の動作を行う。
【0018】
更新管理ユニット20は、
図2のS1〜S3、S5のとおり、配信ユニット10からの更新情報11を更新情報取得手段21により受信し、更新プロパティ判定手段22により、受信した更新情報11のプロパティ情報に含まれる信頼性情報および更新ソフトウェアのサイズ情報と、更新管理ユニット20が持つ信頼性および対応できるメモリ容量とを比較する。
図3の例では、更新対象ユニット30の信頼性が、更新管理ユニット20より高い場合、かつ更新ソフトウェアのサイズが、更新管理ユニット20のメモリ容量より大きいかまたは小さい場合であるため、信頼性を優先して判断し、更新制御は更新対象ユニット30により、実施することを決定する。
【0019】
次に、
図2のS4のとおり、更新管理ユニット20は、更新情報送信手段23により、配信ユニット10から受信した更新情報11を更新対象ユニット30に送信する。
更新対象ユニット30は、更新情報取得手段31により更新情報11を受信すると、更新制御手段32により、更新が可能な状態かどうかを判定する。また、更新に当たり、同一ネットワーク上に接続されている車載制御ユニットの動作の停止が必要であれば、動作停止指示も行う。
次に、更新情報11に含まれる更新ソフトウェアが差分ファイルの場合は、更新ファイル生成手段33により、差分ファイルから更新ファイルを生成する。更新ソフトウェアが差分ファイルではなく、全てのデータを含むファイルである場合は、更新ファイルの生成は実行しない。
【0020】
次に、更新実行手段34により、更新ソフトウェアを用いて車載ソフトウェアの書き換えを実施し、書き換え完了後、更新完了確認手段35により更新が確実に完了したことを誤り検出により確認する。
以上が、実施の形態1での車載ソフトウェア更新の動作である。
【0021】
実施の形態1によれば、信頼性の高い方の更新対象ユニットが更新制御を行うため、信頼性の高い更新が保証される。
【0022】
実施の形態2.
実施の形態2では、配信ユニット10から受信したプロパティ情報の中の更新対象ユニット30の信頼性情報が、更新管理ユニット20の信頼性より低い場合、及び更新ソフトウェアのサイズが、更新管理ユニット20のメモリ容量より小さい場合について説明する。
【0023】
図4は、この発明の実施の形態2におけるソフトウェア更新システムの動作を示す説明図である。
図4において、10、11、20〜22、24〜27、30、34は
図1におけるものと同一のものである。
【0024】
次に、実施の形態2の具体的な車載ソフトウェア更新の流れを、
図4を用いて説明する。
まず、更新管理ユニット20は、
図2のS1〜S3、S5のとおり、配信ユニット10から更新情報11を更新情報取得手段21により受信する。更新管理ユニット20は、更新プロパティ判定手段22により、受信した更新情報11のプロパティ情報に含まれる信頼性情報および更新ソフトウェアのサイズ情報と、更新管理ユニット20が持つ信頼性および対応できるメモリ容量とを比較する。
実施の形態2では、プロパティ情報に含まれる更新対象ユニット30の信頼性が、更新管理ユニット20より低い場合、および更新ソフトウェアのサイズが、更新管理ユニット20のメモリ容量より小さい場合であるため、信頼性は更新管理ユニット20の方が高く、更新管理ユニット20のメモリが、更新ソフトウェアのサイズに対応できるため、更新制御は更新管理ユニット20により実施することを決定する。
【0025】
次に、
図2のS6のとおり、更新管理ユニット20は、更新制御手段24により、車載ソフトウェアの更新が可能な状態かどうかを判定する。また、車載ソフトウェアの更新に当たり、同一ネットワーク上に接続されている車載制御ユニットの動作の停止が必要であれば、動作停止指示も行う。
次に、更新情報11に含まれる更新ソフトウェアが差分ファイルの場合は、更新ファイル生成手段25により、差分ファイルから更新ファイルを生成する。更新ソフトウェアが差分ファイルではなく全てのデータを含むファイルである場合は、更新ファイルの生成は実行しない。
【0026】
次に、更新指示手段26により、更新対象ユニット30に車載ソフトウェアの更新指示を出す。この更新指示の方法は問わない。例えば、更新対象ユニット30が、CANバス上に接続されているのであれば、ISO14229−1に規定されているソフトウェアダウンロード仕様などを使って、車載ソフトウェアの更新をすればよい。
更新対象ユニット30は、更新指示を受けて、更新実行手段34により車載ソフトウェアを書き換える。
【0027】
次に、更新管理ユニット20は、更新指示が完了した後に、
図2のS8のとおり、更新完了確認手段27により、車載ソフトウェアの更新が確実に完了したことを誤り検出により確認する。
以上が、実施の形態2における車載ソフトウェア更新動作である。
【0028】
実施の形態2によれば、信頼性の高い方の更新管理ユニットにより更新制御を行うため、信頼性の高い更新が保証される。
【0029】
実施の形態3.
実施の形態3では、配信ユニット10から受信した更新情報11のプロパティ情報に含まれる信頼性情報が更新管理ユニット20の信頼性より低い場合、及び更新管理ユニット20のメモリ容量が、更新ソフトウェアのサイズより小さい場合について説明する。
【0030】
図5は、この発明の実施の形態3におけるソフトウェア更新システムの動作を示す説明図である。
図5において、10、11、20〜24、27、30、31、33、34は
図1におけるものと同一のものである。
【0031】
次に、実施の形態3の具体的な車載ソフトウェア更新の流れを説明する。
まず、更新管理ユニット20は、
図2のS1〜S3、S5のとおり、配信ユニット10から更新情報11を更新情報取得手段21により受信する。更新管理ユニット20は、更新プロパティ判定手段22により、受信した更新情報11のプロパティ情報に含まれる更新対象ユニット30の信頼性情報および更新ソフトウェアのサイズ情報と、更新管理ユニット20が持つ信頼性および対応できるメモリ容量とを比較する。
実施の形態3では、更新対象ユニット30の信頼性が更新管理ユニット20より低い場合、および更新管理ユニット20のメモリ容量が更新ソフトウェアのサイズより小さい場合であるため、信頼性は更新管理ユニット20の方が高いが、更新管理ユニット20のメモリ容量では、更新ソフトウェアのサイズに対応できないため、更新制御は、更新管理ユニット20により実施し、更新ファイルの生成と更新の実行は、更新対象ユニット30が実施することを決定する。
【0032】
次に、
図2のS7のとおり、更新管理ユニット20は、更新制御手段24により、車載ソフトウェアの更新が可能な状態かどうかを判定する。また、更新に当たり、同一ネットワーク上に接続されている車載制御ユニットの動作の停止が必要であれば、動作停止指示も行う。
次に、更新管理ユニット20は、更新情報送信手段23により、配信ユニット10から受信した更新情報11を更新対象ユニット30に送信する。
【0033】
更新対象ユニット30は、更新情報取得手段31により更新情報11を受信すると、更新情報11に含まれる更新ソフトウェアが差分ファイルの場合は、更新ファイル生成手段33により差分ファイルから更新ファイルを生成する。実施の形態3は、更新ソフトウェアのサイズが、更新管理ユニット20のメモリ容量より大きい場合なので、基本的に更新ソフトウェアは差分ファイルとなる。
次に、更新実行手段34により、車載ソフトウェアの書き換えを実行する。
【0034】
次に、更新管理ユニット20は、
図2のS8のとおり、更新完了確認手段27により、更新が確実に完了したことを誤り検出により確認する。
以上が、実施の形態3での車載ソフトウェア更新動作である。
【0035】
実施の形態3によれば、信頼性の高い方の更新管理ユニットが更新制御を行うため、信頼性の高い更新が保証される。
また、更新ソフトウェアのサイズが更新管理ユニットのメモリ容量より大きいものは、差分ファイルを更新対象ユニットに送信し、更新対象ユニットが差分ファイルから更新ファイルを生成して更新を実行することにより、更新管理ユニットに大きいメモリを持たせる必要がなく、更新管理ユニットを低コストで製造することができる。
【0036】
なお、上述では、プロパティ情報として、更新対象ユニットの信頼性情報と、更新ソフトウェアのサイズ情報を持つ場合について説明したが、プロパティ情報は、これに限らず、更新管理ユニットと更新対象ユニットの信頼性の関係から決定された更新制御を行うユニットを指定する情報であってもよく、この場合、更新管理ユニットが、指定されたユニットに更新制御を行う決定をする。
【0037】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【解決手段】更新管理ユニット20は、配信ユニット10から配信される更新ソフトウェアおよびプロパティ情報を含む更新情報11を受信し、更新プロパティ判定手段22により、更新情報11のプロパティ情報に含まれる更新対象ユニット30の信頼性情報および更新ソフトウェアのサイズ情報を、更新管理ユニット20の信頼性およびメモリ容量と比較して、比較結果に応じて、更新管理ユニット20および更新対象ユニット30のいずれが、更新対象ユニット30のソフトウェアの更新可否判定を含む更新制御を行うかを決定するようにした。