(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。各実施形態は、個々に独立したものではなく、過剰説明をするまでもなく、当業者をすれば、適宜、組み合わせることが可能であり、この組み合わせによる相乗効果も把握可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。
【0026】
<第1実施形態>
図1乃至
図13を参照して第1実施形態について説明する。
図1は、ICカードの概略的な断面模式図であり、
図2に示す点線I−Iに沿う概略的な断面構成を示す。
図2は、ICカード内のアンテナ配線のアンテナパターンを示す概略的な平面模式図である。
図3は、ICカード内の回路装置の概略的な断面模式図であり、アンテナ配線のワイヤ部分及びハンダも併せて図示する。
図4及び
図5は、ICカードの概略的な製造工程図であり、各工程を断面的に示す。
図6は、ICカードの概略的な製造工程図であり、ワイヤの把持工程を概略的に示す。
図7乃至
図10は、ICカードの概略的な製造工程図であり、各工程を平面的に示す。
図11は、ICカードの概略的な製造工程図であり、共通の基板から多数のICカードが取り出されることを模式的に示す。
図12及び
図13は、ICカード内の回路装置のバリエーションを示す概略的な断面模式図である。
【0027】
図1に示すIC(Integrated Circuit)カード100は、非接触通信媒体の一例であり、ICが組み込まれたカードである。詳細には、ICカード100は、アンテナを介した信号の送信及び受信の一方又は両方が可能に構成される。本例に係るICカード100は、より端的には、外部から伝送される電力、典型的にはRFIDシステムの主構成要素であるR/Wから送信される電磁波を駆動電源とするパッシブタイプのRFIDタグである。
図1に示すICカード100のICインレイ(非接触通信媒体)、後述のコアシート2に対応する部分をRFIDシステムのR/W側に転用しても構わないが、この場合、ICカード100の如くカード化する必要は無いかもしれない。ICカード100のことをRFIDカード、RFIDタグ等と呼んでも構わない。
【0028】
ICカード100は、可撓性を有する有端のワイヤ15rが所定のアンテナパターン15’に巻かれたアンテナ配線15、及びアンテナ配線15に対して電気的に接続した回路装置50を内蔵する。アンテナ配線15のアンテナパターン15’、換言すればワイヤ15rの形成パターンは、通信に用いられる搬送波の周波数に基づいて設定され、本例においてはアンテナ配線15が渦巻き状に設けられる。なお、アンテナパターン15’のパターン態様は任意であり、ループアンテナの例に限られるべきものではない。なお、アンテナパターン15’に無端のループが含まれていても構わない。
【0029】
アンテナ配線15は、一定幅の断面視円形のワイヤ15rを所定のアンテナパターン15’に描線して成る。銅箔等の金属箔をエッチングによりアンテナ配線15を形成する場合、銅箔の多くの部分がエッチングにより除去されてしまう。本実施形態のようにワイヤの描線等によりワイヤを配線すれば、無駄になる金属量を大幅に低減することができ、コスト面及び環境面において特に有利である。
【0030】
なお、アンテナの配線方法/形成方法は、印刷方式や中空巻線方式も挙げられる。印刷方式は、アンテナの主材の銀ペーストの価格が高く、印刷後の乾燥で高温乾燥が必要になり、高コスト、低生産性となる場合がある。中空巻線方式は、巻線装置でアンテナを形成後、ICモジュールの接続や基板への固定が手作業となり、機械化するとしても複雑で高価な機械が必要になる場合がある。
【0031】
回路装置50に内蔵されるICチップは、一般的には電源回路、制御回路、メモリー、及び送受信回路を含んで構成される。電源回路は、アンテナ配線15を介して受信する電力を駆動電源として作動し、他の回路ブロックに対して電源を供給する。送受信回路は、アンテナ配線15を介して信号を送受信する回路である。制御回路は、送受信回路とメモリーに対して信号入出力可能に結合し、送受信回路とメモリー間でのデータ転送を介在する。例えば、制御回路は、送受信回路からの入力信号に応じてメモリーからデータリードして送受信回路へ転送し、若しくは送受信回路からの入力信号に応じてメモリーに対してデータライトする。上述の説明から明らかなように、回路装置50は、アンテナ配線15を介して外部の通信装置、典型的にはR/Wと通信可能である。
【0032】
図1に示すように、ICカード100は、コアシート(非接触通信媒体)2が下部シート4と上部シート6により挟み込まれた積層構造を有する。コアシート2は、平板状の支持基板10、アンテナ配線15、及び回路装置50を含む。下部シート4は、コアシート2の下層に位置し、下部外装シート41の外面の下面に下部ラミネートフィルム43が面着されて成る。上部シート6は、コアシート2の上層に位置し、上部外装シート42の外面の上面に上部ラミネートフィルム44が面着されて成る。後述の説明から明らかなように、ICカード100は、コアシート2に対して下部シート4と上部シート6を積層した後、所定の平面形状に輪郭出しされて成る。下部外装シート41及び上部外装シート42は、例示的かつ典型的にはラミネートフィルムを介して視認可能なように意匠印刷された熱可塑性樹脂シートである。
【0033】
コアシート2に含まれる支持基板10は、所定厚の樹脂基板であり、単層若しくは複層により構成される。支持基板10を構成する樹脂材料は熱可塑性樹脂を用いることが望ましい。例えば、PETG(非結晶性PETコポリマー)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、発泡PET、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)等の熱可塑性樹脂を用いると良い。支持基板10の厚みは任意であるが、例えば、0.10mm〜0.50mm程度の厚みとしても良い。支持基板10を複層で構成する例としては、紙基材上に熱可塑性樹脂を塗工したものが挙げられる。
【0034】
支持基板10は、一組の主面として上面(第1主面)10pと下面(第2主面)10qを有する。支持基板10の上面10pには、アンテナ配線15が配線され、典型的にはワイヤ15rを引き回すワイヤ15rの描線によりアンテナ配線15が配線され、より端的にはワイヤ15rが部分的に支持基板10の上面10pに埋め込まれる態様でアンテナ配線15が描線される。
【0035】
支持基板10の上面10pへのワイヤ15rの埋め込みは主として支持基板10の上面10pを構成する熱可塑性樹脂の溶融により達成されるものであり、超音波融着の原理を活用してアンテナ配線15を支持基板10の上面10pに埋め込むことが望ましい。超音波融着により、支持基板10の上面10pを溶融し、ワイヤ15rが支持基板10の上面10pに埋め込まれる。超音波融着に際しては、ワイヤ15rを繰り出しながらワイヤ15rを支持基板10の上面10pに埋め込むことが可能な配線装置を用いると良い。このような配線装置に組み込まれる超音波ヘッドは、ワイヤ15rを支持基板10の上面10p上へ繰り出しつつ、振動と加圧により支持基板10の上面10pにワイヤ15rを埋め込むことができる。
【0036】
支持基板10の上面10pへのワイヤ15rの埋め込みにより、支持基板10上でのアンテナ配線15の位置決めを行うことができ、外部からの衝撃によりワイヤ15rが位置ズレすることを抑制することができる。更に、アンテナ配線15内にワイヤ15rが埋め込まれることによりコアシート2の薄型化を図ることができ、支持基板10の上面10pの凸凹の程度を低減することができる。支持基板10へのワイヤ15rの埋め込みを好適に確保するために、少なくとも支持基板10の主面を熱可塑性樹脂で構成することが望ましい。
【0037】
アンテナ配線15を構成するワイヤ15rは、少なくとも導電線を含んで構成され、好ましくは導電線が自己融着性の絶縁層により被覆されて成る。導電線は、例えば、銅線、鉄線、金線等の金属線であるが、導電性を有する他の材料を活用しても良い。コスト的な見地から、銅線を導電線として用いることが望ましい。導電線を被覆する絶縁層は、絶縁性の樹脂層である。ワイヤ15rとして市販のエナメル線を活用しても良い。ワイヤ15rの直径は、例えば、0.05mm〜0.20mmである。ワイヤ15rの長さは、アンテナ配線15のアンテナパターン等に応じたものなるが、例えば、20cm〜120cmである。
【0038】
図1及び
図2に示すように、支持基板10には、その上面10pと下面10q間を貫通する開口部OP10が設けられる。支持基板10の開口部OP10内には回路装置50が配置され、収容される。開口部OP10の開口サイズは、回路装置50を収容可能な程度に設定することが望ましく、これにより、コアシート2の十分な薄型化が達成される。
【0039】
図3に回路装置50の簡易模式図を示す。
図3に示すように回路装置50は、実装基板(基板部分)51上にICチップ(回路素子)52が実装したものであり、短手幅5mm×長手幅8mm×厚み0.32mm程度である。実装基板51は、接続端子部51m及び接続端子部51nを有し、接続端子部51m、51n間にはICチップ52が載置される載置部51rが設けられる。載置部51rが導電性を有する場合には、接続端子部51m、51nに対して載置部51rが絶縁される。ICチップ52の実装基板51に対するICチップ52の電気的接続は、本例では金線等のボンディングワイヤー55により確保される。実装基板51に電気的に接続されたICチップ52は樹脂材料から成る封止部53により封止される。
【0040】
ICチップ52は、冒頭で述べたように、電源回路、制御回路、メモリー、及び送受信回路等を含んで構成される。ICチップ52の上面には、一組のボンディングワイヤー55が個別にボンディングされる電極パッドが設けられる。回路装置50のより具体的な構成については、
図12及び
図13を参照して最後に付加的に説明する。なお、
図1等においては、回路装置50の最大厚が、支持基板10の厚み/支持基板10の開口部OP10の深さに一致するように図示されているが、必ずしもこの限りではない。
【0041】
図2に示すように描線されたアンテナ配線15のアンテナパターン15’は、アンテナとして実質的に機能するアンテナ領域15mと、回路装置50に接続された接続端子領域15nを有する。本例ではアンテナパターンとしてループアンテナが採用されており、アンテナ領域15mが、支持基板10の上面10pに渦巻き状に描線されたワイヤパターンを含む。接続端子領域15nが、支持基板10の上面10pにおいて横並びに配置された一組のワイヤ端部(ワイヤ部分)15n1、15n2を含む。
【0042】
支持基板10上にアンテナ配線15を設けるタイミングと、支持基板10に開口部OP10を設けるタイミングの前後関係は任意であるが、好ましくは、開口部OP10の形成タイミングが、アンテナ配線15の形成タイミングよりも先である。この場合、切削金型等を使用して支持基板10に開口部OP10を形成することが容易である。
【0043】
開口部OP10の形成方法は任意であり、上述の切削金型による打ち抜きに限らず、他の機械的切断や熱的切断を活用しても良く、より具体的には、刃やレーザーを活用して支持基板10を開口させても良い。例示的には、ビク刃、切削刃、レーザーカッター、ミーリング装置等を活用しても良い。
【0044】
支持基板10上にアライメントマークを設け、このアライメントマークを画像認識等したうえで支持基板10に開口部OP10を設け、これにより、支持基板10に開口部OP10の位置精度を確保しても良い。アライメントマークとしてはアンテナ配線15自体を活用しても構わない。支持基板10の4辺の外周辺に含まれる2辺を活用してステージ上に支持基板10を固定しても良い。
【0045】
支持基板10に対して開口部OP10を設けるのと同時に位置決め用貫通穴(位置決め部)を設けることが望ましい。位置決め用貫通穴に対して位置決めピンを挿入することでステージ上での支持基板10の位置決めが簡便に確保される。コアシート2に対する下部シート4、上部シート6の貼り合わせ等の位置決めも簡便になる。また、位置決め用の開口部を支持基板10に設ける方法は安価で正確である。
【0046】
図1に示したコアシート2は、支持基板10の表裏の一方又は双方に更に他のシートを貼り合わせて複層構成としても良い。更に積層されるシートは、例えば、PETG(非結晶性PETコポリマー)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、発泡PET、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)等の熱可塑性樹脂である。
【0047】
下部シート4は、下部外装シート41の外面に下部ラミネートフィルム43が熱処理及び/又はプレス処理を介して貼り合わされて成る。下部外装シート41を構成する樹脂材料は、PETG(非結晶性PETコポリマー)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、発泡PET、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)等の熱可塑性樹脂である。
【0048】
下部ラミネートフィルム43は、例えば、熱ラミネート又はプレスラミネート用のフィルムである。下部ラミネートフィルム43としては市販されているものを活用することができる。例えば、使用される下部ラミネートフィルム43は、ベースフィルム上にアンカーコートを介して熱可塑性樹脂層が積層された構成を含む。下部外装シート41と下部ラミネートフィルム43の間には粘着剤或いは接着剤が塗布されていても良い。上部シート6の構成は、下部シート4の構成と同一であり、重複説明は省略する。
【0049】
コアシート2に対する下部外装シート41の位置決めは、アライメントマークを活用した画像認識技術の活用、シート同士のエッジ合わせ、及び位置決めピンの活用等により確保することができ、この点は、コアシート2に対する上部外装シート42の位置決めについても同様である。例えば、コアシート2の支持基板10の主面上にアライメントマークを設け、カメラを活用してコアシート2のアライメントマークに対する下部外装シート41の位置をモニターし、このモニタリングに応じて下部外装シート41の位置合わせを制御しても良い。下部外装シート41に対してアライメントマークを設け、下部外装シート41に対してコアシート2を位置合わせしても良い。
【0050】
コアシート2の表裏に下部外装シート41及び上部外装シート42を位置決めした状態の積層体をラミネート処理し、これにより、ICカード100の外表面が下部ラミネートフィルム43及び上部ラミネートフィルム44により被覆される。
【0051】
図4乃至
図11を参照してICカード100の製造方法について説明する。なお、
図7は、
図4(b)に対応する平面図である。
図8は、
図4(c)に対応する平面図である。
図9は、
図4(d)に対応する平面図である。
図10は、
図4(e)に対応する平面図である。
【0052】
まず、
図4(a)に示すように、支持基板10に対して開口部OP10を設ける。典型的には、鋭利な刃を有する打ち抜き金型310をステージ(不図示)上に載置された支持基板10に対して押し付け、これにより、支持基板10に開口部OP10を形成する。
【0053】
金型による打ち抜きに代えて、支持基板10を線的に切断して支持基板10を部分的に抜き出す、若しくは支持基板10を部分的に切削しても良い。例えば、刃やレーザー装置等の切削手段を用いると良く、端的には、ビク刃、切削刃、レーザーカッター、又はミーリング装置等を活用すると良い。切削手段の移動は、コンピューター制御により達成可能である。
【0054】
次に、
図4(b)に示すように、支持基板10の上面10pにアンテナ配線15を配線する。好適には、超音波融着の原理を活用してアンテナ配線15を支持基板10の上面10pに埋め込む態様にてワイヤ15rを描線する。超音波融着により、支持基板10の上面10pが溶融し、ワイヤ15rが支持基板10の上面10pに埋め込まれる。超音波融着に際しては、ワイヤ15rを繰り出しながら、ワイヤ15rと支持基板10の上面10pに埋め込むことが可能な配線装置を用いると良い。このような配置装置に組み込まれ得る超音波ヘッドは、ワイヤ15rを支持基板10の上面10p上へ繰り出しつつ、振動と加圧により支持基板10の上面10pにワイヤ15rを埋め込むことが可能に構成される。
【0055】
アンテナ領域15mと比較して接続端子領域15nを開口部OP10の近くに配線することが好ましい。これにより、接続端子領域15nにあるワイヤ端部15n1、15n2を把持し、これらを支持基板10の上面10p上から開口部OP10上へ移動するための移動距離を短縮化することができ、ICカード100の生産効率化を高めることができる。
【0056】
接続端子領域15nを支持基板10の上面10pに埋め込んでも良いが、
図4(b)に例示的に示すように埋め込まなくても良い。
図4(b)に示すように接続端子領域15nにおいてワイヤ15rを埋め込まないことにより、把持装置によるワイヤ端部15n1、15n2の把持がより簡便になる。ワイヤ15rの非埋込みは、超音波振動の停止により簡便に達成可能である。
【0057】
次に、
図4(c)に示すように、支持基板10の開口部OP10内に回路装置50を配置する。これにより、支持基板10の開口部OP10を介して回路装置50の接続端子部51m、51nが露出し、支持基板10の上面10p側からそれら視認可能になる。なお、支持基板10の開口部OP10内に回路装置50が完全に収容される必要は必ずしもない。
【0058】
次に、
図4(d)に示すように、支持基板10の上面10p上のワイヤ端部15n1、15n2を開口部OP10上へ変位させる。詳細には、ワイヤ端部15n1、15n2を支持基板10の上面10pから持ち上げ、支持基板10の開口部OP10側へ変位させ、開口部OP10内にある回路装置50の接続端子部51m、51nに向かって下方変位させる。これにより、アンテナ配線15のワイヤ端部15n1、15n2が回路装置50の接続端子部51m、51n上へ載置される。ワイヤ15rが可撓性を有するため、ワイヤ15rの変位によりワイヤ15r自体に亀裂等が生じることはない。
図7と
図9の対比から明らかなように、ワイヤ端部15n1、15n2の変位によりワイヤ端部15n1とワイヤ端部15n2の間隔W150が狭くなる。
【0059】
ワイヤ端部15n1、15n2の変位は、
図6に例示的に示す把持装置210を用いることができる。把持装置210は、近接及び離間可能な態様の一組の把持部210a、210bを有し、一組の把持部210a、210b間の離間距離の調整に応じてワイヤ15rを把持及びその把持解除を実行可能である。支持基板10にワイヤ15rが埋め込まれていない場合、ワイヤ15rの外周からワイヤ15rを簡単に挟み込むことができる。把持装置210の把持部210a、210bの移動軌跡はコンピューター制御により簡便に調整可能である。
【0060】
なお、ワイヤ端部15n1、15n2を把持した状態において、ワイヤ15rの絶縁層15qを除去して導電線15pが露出したコンタクト領域を設けても良い。これにより、回路装置50とアンテナ配線15の電気的接続を好適に確保することができる。コンタクト領域の形成方法は任意であるが、例えば、熱的又は機械的処置により、絶縁層15qを除去して導電線15pを露出させると良い。熱的には、半田ごてのような高温金属を押し当てる方法、機械的には、切削刃、研磨装置、レーザーカッター、又はミーリング装置等を活用すると良い。絶縁層15qに加えて導電線15pも除去しても良い。導電線15pに対する過度な切削によりワイヤ15rが切断してしまうことは、金属探知機能付きの加工装置を活用すること等により回避することができる。
【0061】
次に
図4(e)に示すように、開口部OP10においてアンテナ配線15のワイヤ端部15n1、15n2と回路装置50の接続端子部51m、51nを電気的に接続する。好適には、導電性材料の典型例であるハンダを介してワイヤ端部と接続端子部間を短絡させると良い。好ましくは、
図6に開示した把持装置は、ハンダの塗布装置に一体的に組み込まれている。このような構成のハンダ塗布装置においては、ワイヤの把持変位の動作に協調してハンダの塗布動作を行うことができ、より短時間にこれらの各工程を実行することができる。ハンダ塗布装置は、ハンダの吐出前にワイヤ15rの絶縁層15qを除去する機能を具備しても良い。
【0062】
なお、回路装置50とアンテナ配線15間の電気的接続を確保する具体的な方法は任意であり、金属接合の形成等により達成しても構わない。ハンダを用いる場合、アンテナ配線15のワイヤ端部と回路装置50の端子部間の位置精度が低くても構わないため大量生産に適している。
【0063】
図4(e)に示すコアシート2の表裏にラミネートフィルムを形成しても良い。これにより、コアシート2の表裏面の凸凹が緩和され、ICカード100の最終的な仕上がりが良好となる。コアシート2の表裏のラミネートフィルムは、凸凹の緩衝層として機能する。
【0064】
次に、
図5(f)に示すように、コアシート2の表裏に下部外装シート41及び上部外装シート42を貼り合わせて積層する。下部外装シート41及び上部外装シート42は、熱可塑性樹脂材料から成るため、加熱プレス工程により支持基板10上に十分に密着させても良い。上部外装シート42の下面が回路装置50の封止部53に接触するとしても、開口部OP10の深さ方向に回路装置50が下降し、支持基板10の上面10p上の凸凹が顕著に問題となることは抑制される。必要に応じて、回路装置50の封止部53に対応する範囲で開口した1以上のシートを支持基板10と上部外装シート42の間に介在させても良い。
【0065】
次に、
図5(g)に示すように、
図5(f)に示す積層体の表裏にラミネート処理を施す。典型的には、熱処理及び/又はプレス処理を介して下部外装シート41に下部ラミネートフィルム43を貼り合わせ、同様に上部外装シート42に上部ラミネートフィルム44を貼り合わせる。このようにしてICカード100が製造される。
【0066】
図4乃至
図10を参照して一枚のICカード100の製造手順に着目して説明したが、
図11から理解できるように一群のICカード100を一括して製造することが望ましい。
図11の点線で示す切断線に沿って積層体を切断することにより一群のICカード100が得られる。積層体を切断する具体的な方法は任意であるが、例えば、金型による打ち抜き、回転刃、カットワイヤ、レーザー等を活用すると良い。
【0067】
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、支持基板10上のアンテナ配線15のワイヤ端部15n1、15n2を把持して支持基板10の上面10p上から開口部OP10上へ変位させる工程と、開口部OP10においてアンテナ配線15のワイヤ端部15n1、15n2と回路装置50の接続端子部51m、51nを個別に電気的に接続する工程を含む。本製法を採用する場合、ワイヤ端部15n1、15n2の接続先を任意に調整することができ、ワイヤ端部15n1、15n2と接続端子部51m、51n間の接続方法/接続態様の自由度を確保できる。接続端子部51m、51n上に直にワイヤ端部15n1、15n2を載置して両者をハンダ付けする場合、両者間の高い接続信頼性も確保することができるだろう。
【0068】
本製法によれば、仮に支持基板10の開口部OP10に収容される回路装置50にサイズ変更等が生じても、開口部OP10の開口範囲内におけるワイヤ端部15n1、15n2の位置は任意に変更できるため、支持基板10やアンテナ配線15に関する設計変更や微調整を行う必要が無く、つまり高い融通性を確保できる。
【0069】
更に、本製法によれば、開口部OP10上でのワイヤ15rの延在態様を適当に調整することにより、開口部OP10上を延びるワイヤ15rの長さを短くすることができ、ワイヤ15rの金属使用量を低減できる。本例においては、
図2に示すように、支持基板10の上面10pにおいて矩形に開口した開口部OP10の隣り合う2辺を跨ぐようにワイヤ15rが延在し、開口部OP10の対向する2辺を跨ぐ場合と比較して開口部OP10上のワイヤ15rの延在長を短くすることができる。
【0070】
最後に
図12及び
図13を参照して回路装置50の構成例について補足する。
図12においては、実装基板51は、金属製のリードフレームから成る。接続端子部51mと接続端子部51n間の載置部51rは、接続端子部51mと接続端子部51nに非連結のランドである。載置部51r上にICチップ52が実装され、ICチップ52がボンディングワイヤー55を介して実装基板51の接続端子部51m、51nに電気的に接続する。封止部53によりリードフレーム同士の一体性やリードフレームとICチップ間の一体性が確保される。
【0071】
図13に示す回路装置50においては、絶縁性の平板状の実装基板51の上面にパターニングされた銅箔から成る接続端子部51m、51nが形成され、各接続端子部51m、51n上にバンプ57を介してICチップ52が電気的に接続し、実装基板51とICチップ52間の一体性が封止部53により確保されている。このようにICカード100に内蔵される回路装置50の具体的な構成は任意であり、本願に開示の例に限定されるべきものではない。
【0072】
<第2実施形態>
図14を参照して第2実施形態について説明する。
図14は、ICカードの概略的な部分平面模式図であり、アンテナパターンのバリエーションを示す。本実施形態においては、アンテナパターン15’の接続端子領域15nにおいてワイヤ15rを非直線的に描線し、支持基板10の上面10pからワイヤ15rを持ち上げた時に得られる十分なワイヤ長を確保する。ワイヤ長の増加によりワイヤ端部15n1、15n2の可動範囲が拡大し、支持基板10の開口部OP10に配置される回路装置50とワイヤ端部15n1、15n2間の接続自由度を高めることができる。なお、本実施形態においても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
図14に示すように、支持基板10の上面10pのアンテナパターン15’の接続端子領域15nにはワイヤ15rが非直線に描線された非直線領域155a、155bが開口部OP10を挟み込む態様にて設けられている。各非直線領域155においてワイヤ15rが波状に蛇行しているが、
図14に示す態様に限らず、ジグザグ状、渦巻き状等であっても構わない。いずれの場合においても、単線のワイヤ15rを直線的に描線された場合と比較してより長いワイヤ長を確保できる。
【0074】
各非直線領域155においてワイヤ15rの延在方向が2回反転しているが、このワイヤ15rの延在方向の反転数は1回以上であれば構わず、また、ワイヤ15rの延在方向の変更度合は必ずしも180°に限られない。支持基板10の開口部OP10の周囲に非直線領域155を設けることが好ましいが、必ずしもこの限りではない。
【0075】
ワイヤ15rの描線時の超音波ヘッドの移動軌跡を非直線領域155におけるワイヤ15rの延在パターンに対応づけることにより、
図14に示すワイヤパターンの非直線領域155を簡便に得ることができる。非直線領域155において支持基板10の上面10pにワイヤ15rを埋め込んでも良いし、埋め込まなくても良いが、把持装置210によるワイヤ15rの把持の容易性を確保するために非埋め込みとすることが望ましい。
【0076】
<第3実施形態>
図15及び
図16を参照して第3実施形態について説明する。
図15は、ICカードの概略的な部分平面模式図であり、把持用開口部が設けられた場合を示す。
図16は、ICカードの概略的な製造工程図であり、ワイヤの把持工程を概略的に示す。本実施形態においては、支持基板10の上面10pにおいて開口した把持用開口部OP95を設け、把持用開口部OP95上のワイヤ15rを把持装置210により把持する。このような場合、把持用開口部OP95内に把持装置210が進入可能であり、把持装置210によるワイヤ15rの把持をより確実に行うことができる。なお、本実施形態においても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。第2実施形態に本実施形態を組み合わせても構わない。
【0077】
図15に示すように組を為す一方の把持用開口部OP95aがワイヤ端部15n1に対応して設けられ、他方の把持用開口部OP95bがワイヤ端部15n2に対応して設けられる。開口部OP10の横のワイヤ端部15n1、15n2の先端側に対応して把持用開口部OP95を設けることが好ましい。把持用開口部OP95の形成は、開口部OP10の形成と同一の工程において行うことが望ましい。
図16に示すように、把持装置210の把持部210a、210bが把持用開口部OP95内に進入可能であり、これによりワイヤ15rの把持の確実性が向上する。
【0078】
把持用開口部OP95は、支持基板10の上面10pにおいて開口していることに意義があり、必ずしも支持基板10の上面10pと下面10q間を貫通している必要はない。つまり、把持用開口部OP95は、凹部であっても構わない。この場合においても把持用開口部OP95への把持装置210の把持部210a、210bの進入が許容されてワイヤ15rの把持の確実性が向上する。把持用開口部OP95の開口形状は円形状に限らず、他の様々な形状にて開口し得る。把持用開口部OP95を開口部OP10に連通させても構わない。
【0079】
<第4実施形態>
図17を参照して第4実施形態について説明する。
図17は、ICカードの概略的な部分平面模式図であり、回路装置が第1〜第4接続端子部を有する。本実施形態においては、回路装置の接続端子部の組数が上述の実施形態よりも多い。このような場合であっても、上述の実施形態に係る製法によればワイヤ端部の接続先の自由な調整が可能であり、接続端子部上でのワイヤ端部の連続した引き回しの態様を確保でき、つまり高い配線自由度を確保可能である。
【0080】
図17に示すように、回路装置50は、接続端子部51a、51cの組、接続端子部51b、51dの組を有する。ワイヤ端部15n1が支持基板10の上面10pにて把持され、支持基板10の上面10pから持ち上げられ、支持基板10の上面10p上から開口部OP10内の接続端子部51a、51b上へ移動され、ハンダを介してそこに電気的に接続される。ワイヤ端部15n2も同様にして接続端子部51c、51d上にハンダを介して電気的に接続される。回路装置50の接続端子部51a、51bの一方に対するワイヤ端部15n1の接続が確保できなくても他方に対する接続の確保によりICカード100の動作を確保でき、この点は、接続端子部51c、51dとワイヤ端部15n2との関係においても同様に当てはまる。
【0081】
接続端子部に対するワイヤ端部の接続方法は任意であるが、例えば、支持基板10上のワイヤ端部15n1を把持装置210で把持して接続端子部51b上へ移動してハンダ付けし、その後、接続端子部51bに固着した箇所よりも先端側においてワイヤ15rを把持し、接続端子部51a上へ移動してハンダ付けする。同様の工程を接続端子部51c、51dへのワイヤ端部15n2の接続に適用しても良い。
【0082】
<第5実施形態>
図18を参照して第5実施形態について説明する。
図18は、ICカードの概略的な部分平面模式図であり、回路装置に加えて電子部品が支持基板の開口部に設けられた場合を示す。本実施形態においては、回路装置50とは同一又は異なる電子部品に対してもアンテナ配線15を配線接続する。このような場合においても、上述の実施形態に係る製法によれば、ワイヤ端部の接続先を自由に調整することができるため、複数の電子部品に対してアンテナ配線を簡便に電気的に接続可能である。
【0083】
図18に示すように支持基板10には開口部OP10とは別に開口部OP70を設け、開口部OP70に電子部品70を収容する。開口部OP70は、電子部品70のサイズに応じて開口部OP50よりも小さく開口している。支持基板10における開口部OP70の位置は任意であるが、開口部OP10の隣に設けることが望ましい。これにより、回路装置50から電子部品70間のワイヤ長さの増大を回避することができる。開口部OP10と同一の工程において開口部OP70を形成すれば良いが、必ずしもこの限りではない。
【0084】
電子部品70は、例えば、コンデンサ、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、スピーカー、液晶等の表示素子等であり、ICカード100の用途に応じて適当に選択される。電子部品70がコンデンサであれば、ICカード100のアンテナ特性を変更又は調整することができ、端的には共振周波数の微調整や通信距離を伸ばすことができる。電子部品70が、発光素子であれば、ICカード100がR/Wとの通信可能範囲に入ったことをユーザーに報知することができる。なお、R/Wから伝送される電磁力に応じてアンテナ配線15に流れる電流に応じて発光素子が発光する。LEDの発光に必要な電流は、そのアンテナ配線15に流れる電流により十分に確保することができる。
【0085】
開口部OP10に回路装置50を収容し、開口部OP70に電子部品70を収容した状態において支持基板10の上面10pのワイヤ端部15n1、15n2が、上述の実施形態と同様にして処置され、回路装置50、電子部品70に対して順不同に電気的に接続される。例えば、支持基板10上のワイヤ端部15n1を把持装置210で把持して回路装置50の接続端子部上へ移動してハンダ付けし、その後、回路装置50の接続端子部に固着した箇所よりも先端側においてワイヤ15rを把持し、電子部品70の接続端子部上へ移動してハンダ付けする。回路装置50と電子部品70に対するワイヤ端部15n2の接続についても同様である。
【0086】
電子部品70を収容する開口部OP70は、回路装置50を収容する開口部OP10に連通していても構わない。第4実施形態に本実施形態を組み合わせても良い。
【0087】
<第6実施形態>
図19を参照して第6実施形態について説明する。
図19は、ICカードの概略的な部分平面模式図であり、開口部上でワイヤ端部が終端する場合を示す。本実施形態においては、開口部OP10上においてワイヤ端部が終端する。このような場合、ワイヤ端部が支持基板10の開口部OP10を跨ぐように延在する場合と比較して、アンテナ配線15のワイヤ15rの金属使用量を低減することができる。なお、本実施形態においても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
RFIDの需要の拡大に伴ってICインレイの更なるコストダウンの要求が著しい。支持基板10の開口部OP10を跨ぐようにワイヤ端部を設ければ、各ワイヤ端部の位置的な安定性を高めることができる。しかしながら、この場合、アンテナと回路装置の接続に必要な延在長よりも長く開口部OP10上をワイヤが延在してしまい、不要な金属量が発生してしまう。
【0089】
本実施形態においては、1個当りのICインレイでは通常は見過ごしてしまうような微量な金属量までも低減し、ICインレイを大量生産した時の金属量の低減のインパクトを確保する。これにより、ICインレイの製造単価を下げることが可能となり、市場ニーズのコストダウンの要請に対処することができる。
【0090】
本実施形態のように開口部OP10上でワイヤ端部15n1、15n2を終端させる場合、仮にワイヤ15rが、絶縁層15qにより被膜された導電線15pから成る場合であっても、ワイヤ15rの端面において導電線15pの端面が露出し、これにより、回路装置50に対するアンテナ配線15のコンタクト領域を好適に確保することができる。ワイヤ15rの絶縁層15qの除去によりコンタクト領域を更に設けても良いことは言うまでもない。絶縁層15qの除去によりコンタクト領域を設ければ、より広いコンタクト面積を確保することができ、より確実に電気的接続を確保することができる。
【0091】
本実施形態のように開口部OP10上でワイヤ端部15n1、15n2を終端させると、支持基板10の下面に実装された回路装置50の実装基板51側へワイヤ端部15n1、15n2を下降変位させやすい。これにより、回路装置50とアンテナ配線15の接続工程をよりスムーズに行うことが可能になる。
【0092】
<第7実施形態>
図20及び
図21を参照して第7実施形態について説明する。
図20及び
図21は、ICカード内の支持基板に設けられる開口部の形状のバリエーションを示す概略的な平面図である。本実施形態においては、上述の実施形態で開示した開口部OP10とは異なる構成の開口部OP10を設ける。このような場合であっても上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
図20に示すように、支持基板10の開口部OP10は、3つの開口領域OP11〜OP13を有する。開口領域OP11は、回路装置50の封止部53を収容する。開口領域OP12は、回路装置50の一組の接続端子部の一方に対応して開口領域OP11の横隣に設けられる。開口領域OP13は、回路装置50の一組の接続端子部の他方に対応して開口領域OP11の横隣に設けられる。開口領域OP12、OP13においてアンテナ配線15と回路装置50間の電気的な接続が確保される。
【0094】
開口領域OP12、OP13の開口形状及びサイズは一致し、双方とも開口領域OP11の開口サイズよりも小さい。これにより、貫通穴の開口領域OP12、OP13上を延在するワイヤ15rの長さを短くすることができ、支持基板10に対する回路装置50の変位を好適に抑制することができる。場合によっては、アンテナ配線15と回路装置50間の接続信頼性も向上するかもしれない。
【0095】
開口領域OP11の開口形状は矩形状であるが、開口領域OP12、OP13の各開口形状は円形状である。このように各開口領域の具体的な開口形状は任意であり、円や、三角形、四角形、五角形等の多角形、星型等の任意の開口形状をとり得る。
【0096】
図20に示すように、ワイヤ端部15n1、15n2が延在する方向における開口領域OP11の開口幅Wop11よりも開口領域OP12の開口幅Wop12が狭く、好適には1.25≦Wop11/Wop12≦5.0を満足し、より好適には1.60≦Wop11/Wop12≦2.5を満足する。このような態様によれば、貫通穴の開口領域OP12上に延びるアンテナ配線15のワイヤ長を十分に短くすることができ、支持基板10との関係における回路装置50の位置安定性を高めることができる。なお、開口領域OP13の開口幅Wop13は、開口領域OP12の開口幅Wop12に等しい。開口幅Wop12は、例えば、2〜4mmである。開口幅Wop12に直交する方向の開口幅は、1〜3mmである。
【0097】
図21に示すように、開口領域OP11〜OP13を連通し、これらの各領域を包含する単一の開口部OP10を支持基板10に設けても良い。この場合、支持基板10に1つの開口部OP10を設けるだけであり、開口工程の簡素化を図ることができる。
【0098】
本実施形態においては、開口部OP10内に回路装置50を収容しない場合が図示されているが、開口部OP10の開口形状の変更や回路装置50の基板形状の変更により開口部OP10内に回路装置50を収容可能としても良い。
【実施例】
【0099】
以下、実施例について例示のために説明する。
(実施例1)
支持基板となるプラスチップ樹脂シート(三菱樹脂製ディアフィクスPG−WHI−FG厚み0.15mm)に、回路装置の収納用の貫通穴を設け、貫通穴の近傍にワイヤ端部を配置するようにワイヤ(ELEKTRISOLA社製自己融着被膜導線AB15φ0.10mm)を超音波ヘッドにて埋め込みながらアンテナを形成した。回路装置の収納用の貫通穴は、ビク刃を用いて加工し、支持基板へのワイヤの埋め込みは、超音波ヘッドを用いて行った。このとき、それ以降の加工基準となる位置決めピン穴を同時に形成した。
【0100】
回路装置の収納用の貫通穴に回路装置(NXP社製MOA4)を収納し、その後、ワイヤのワイヤ端部をチャックし、ワイヤのワイヤ端部を回路装置の接続端子部へ移動させ、半田によって接続を確保した。ワイヤをチャックする把持機構は、半田接合ユニットに付属しており、ワイヤをチャックし、移動させながら接合作業を行うようにした。
【0101】
(実施例2)
ワイヤを回路装置の収納用の貫通穴の近傍へ導く際に、
図14に示すように1.5往復させて配置させ、ワイヤのワイヤ端部をチャックして、回路装置の接続端子部へ接続を行った。それ以外は実施例1と同様の方法で本発明のICインレイを作製した。ワイヤを1.5往復させて配置しているため、ワイヤのワイヤ端部をチャックして回路装置の接続端子部へ移動させた時にワイヤの長さに余裕ができ、接続可能範囲を広げることができる。また、チャックしたワイヤを移動する際に、無理に引っ張ることなく移動することができたので、ワイヤが切れたり、損傷したりすることがなく、安定して回路装置の接続端子部と接続することができた。
【0102】
(実施例3)
支持基板となるプラスチップ樹脂シート(三菱樹脂製ディアフィクスPG−WHI−FG厚み0.15mm)に、回路装置の収納用の貫通穴とワイヤのチャック用の貫通穴を設け、チャック用の貫通穴の跨ぐようにワイヤ(ELEKTRISOLA社製自己融着被膜導線AB15φ0.10mm)のワイヤ端部を配置し、ワイヤを超音波ヘッドにて埋め込みながらアンテナを形成した。貫通穴は、ビク刃を用いて加工し、支持基板とワイヤの接合は、超音波ヘッドを用いて行った。このとき、それ以降の加工基準となる位置決めピン穴を同時に形成した。
【0103】
回路装置の収納用の貫通穴に回路装置(NXP社製MOA4)を収納し、チャック用の貫通穴上のワイヤのワイヤ端部をチャックし、ワイヤのワイヤ端部を回路装置の接続端子部へ移動させ、半田によって接続を実施し本発明のICインレイを作製した。
【0104】
(実施例4)
ワイヤをチャックして回路装置に接続する際、
図18に示すように、回路装置(NXP社製MOA4)とLED部品への接続を行った。まず、支持基板となるプラスチップ樹脂シート(三菱樹脂製ディアフィクスPG−WHI−FG厚み0.15mm)に、回路装置の収納用の貫通穴と電子部品の収納用の貫通穴を設け、貫通穴の近傍までワイヤ端部を配置するようにワイヤ(ELEKTRISOLA社製自己融着被膜導線AB15φ0.10mm)を超音波ヘッドにて埋め込みながらアンテナを形成した。貫通穴は、ビク刃を用いて加工し、支持基板とワイヤの接合は、超音波ヘッドを用いて行った。このとき、それ以降の加工基準となる位置決めピン穴を同時に形成した。
【0105】
回路装置の収納用の貫通穴に回路装置(NXP社製MOA4)を収納し、電子部品の収納用の貫通穴にLED部品を収納した。回路装置(NXP社製MOA4)の接続端子部とワイヤ(ELEKTRISOLA社製自己融着被膜導線AB15φ0.10mm)のワイヤ端部を半田で接続し、ワイヤの末端側の余った部分のワイヤ端部をLED部品へ導き、ワイヤとLED部品の接続を行った。この構成のインレイをカード化し、R/W(NXP社製RD260)の通信可能領域へ配置したとき、R/Wから通信用の電波が出ている時のみ発光することが確認できた。
【0106】
実施例1〜4で作製したICインレイシートの表裏にプラスチック樹脂シート(三菱樹脂製ディアフィクスPG−WHI−FG厚み0.15mm)を位置決めピンを使用して貼り合わせ、1次ラミネートを行い、コアシートを作製した。次に、コアシートと意匠印刷を施したプラスチック樹脂シート(三菱樹脂製ディアフィクスPG−WHI−FG厚み0.15mm)をCCDカメラで位置合わせして仮留めし、最終ラミネートを行った。最終ラミネートした樹脂シートを金型方式の抜き装置でカード化を行い、非接触通信媒体を作製した。
【0107】
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。非接触通信媒体は、カード状のものに限られるべきものではない。アンテナ配線のアンテナパターンのパターン態様は任意である。回路装置の具体的な構成は任意である。開口部の具体的な開口形状は任意である。有端のワイヤの両端においてアンテナ配線と回路装置間の電気的な接続を確保する必要はない。回路装置と支持基板の間に他の基板、シートが配置されていても構わない。ワイヤの具体的構成や構成材料は任意である。回路装置に接続されるワイヤの一組のワイヤ部分は、共通の開口部に対応して設けられる必要はない。開口部上で延びるワイヤ部分の延在態様は直線的な態様に限られるべきものではない。
【0108】
上述の説明から明らかなように、本願には、非接触通信媒体の製造方法に加えて、有端のワイヤが所定のアンテナパターンに巻かれたアンテナ配線と1以上の回路装置を電気的に接続する方法も開示されている。