(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
店舗内で使用される複数の携帯型端末並びにレジスタ端末を含み、当該複数の携帯型端末と当該レジスタ端末とがローカルエリアネットワークを介して接続されたオーダー処理システムであって、
前記複数の携帯型端末の各々は、
前記レジスタ端末に認証要求を送信し、前記認証要求の送信に応じて前記レジスタ端末から受信したパスコードと、自身の識別子と、を前記レジスタ端末に送信する第1の認証処理手段と、
前記第1の認証処理手段において用いられた前記識別子および前記パスコードと前記店舗内で用いられる情報とを含むデータを前記レジスタ端末に送信する送信手段と、
前記送信手段によって送信されたデータの通信が失敗したときに、前記レジスタ端末に割り当てられたネットワークアドレスの通知のリクエストを前記ローカルエリアネットワークの全機器を対象としたブロードキャスト通信によって送信する第1の処理手段と、
前記第1の処理手段による処理の結果、前記レジスタ端末に割り当てられたネットワークアドレスを受信した場合、前記受信したネットワークアドレスを宛先として、通信が失敗したデータを送信する再送信手段と
を備え、
前記レジスタ端末は、
前記携帯型端末の各々から受信した前記認証要求に応じて各々のパスコードを送信し、前記パスコードの送信に応じて前記携帯型端末の各々から受信した識別子とパスコードとを対にして記憶手段に記憶する第2の認証処理手段と、
前記携帯型端末の各々から送信されるデータを受信する受信手段と、
前記受信手段において前記携帯型端末から前記ネットワークアドレスの通知のリクエストを受信したときに、自身に割り当てられているネットワークアドレスを前記リクエストの送信元である前記携帯型端末へ送信する第2の処理手段とを備える、
オーダー処理システム。
店舗内で使用される複数の携帯型端末並びにレジスタ端末を含み、当該複数の携帯型端末と当該レジスタ端末とがローカルエリアネットワークを介して接続されたオーダー処理システムにおける処理方法であって、
前記複数の携帯型端末の各々が、
前記レジスタ端末に認証要求を送信し、前記認証要求の送信に応じて前記レジスタ端末から受信したパスコードと、自身の識別子と、を前記レジスタ端末に送信することと、
前記識別子および前記パスコードと前記店舗内で用いられる情報とを含むデータを前記レジスタ端末に送信することと、
前記送信されたデータの通信が失敗したときに、前記レジスタ端末に割り当てられたネットワークアドレスの通知のリクエストを前記ローカルエリアネットワークの全機器を対象としたブロードキャスト通信によって送信することと、
前記ブロードキャスト通信による送信の処理の結果、前記レジスタ端末に割り当てられたネットワークアドレスを受信した場合、前記受信したネットワークアドレスを宛先として、通信が失敗したデータを再送信することと
を含み、
前記レジスタ端末が、
前記携帯型端末の各々から受信した前記認証要求に応じて各々のパスコードを送信し、前記パスコードの送信に応じて前記携帯型端末の各々から受信した識別子とパスコードとを対にして記憶手段に記憶することと、
前記携帯型端末の各々から送信されるデータを受信することと、
前記受信したデータが前記携帯型端末からの前記ネットワークアドレスの通知の前記リクエストであるときに、自身に割り当てられているネットワークアドレスを前記リクエストの送信元である前記携帯型端末へ送信することと、
を含む方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のオーダー処理システムの全体構成を示すブロック図である。図示のオーダー処理システム1は、店舗内システム100と、店舗外に設置されたサーバ200を含んで構成されている。店舗内システム100とサーバ200との間はインターネット等の通信ネットワーク300を介して相互に通信可能に接続されている。
【0011】
店舗内システム100は、一例としての飲食店に設置されるシステムであり、複数(本例では3つ)の携帯型端末10a、10b、10cと、レジスタ端末11と、無線通信装置12と、キッチンプリンタ13を含んで構成されている。
【0012】
携帯型端末10a、10b、10cは、それぞれ、店舗内の店員が携行し、来店したお客を空きテーブルへ案内したり、お客からの注文(オーダー)を受け付けたりする際に用いられる。これらの携帯型端末10a等としては、例えば市販のスマートフォンに対して所定のソフトウェア(いわゆるアプリ)を予めインストールしたものを用いることができる。
【0013】
レジスタ端末11は、各携帯型端末10a等に対して空きテーブルの情報や、メニューの情報などを提供し、かつ各携帯型端末10a等から注文に関する情報等を受け取ってキッチンプリンタ13へ送信し、あるいは会計(料金の精算)を行うなど店舗内システム100の運営に関わる処理を行う。このレジスタ端末11としては、例えば市販のタブレット型コンピュータに対して所定のソフトウェア(いわゆるアプリ)を予めインストールしたものを用いることができる。
【0014】
無線通信装置12は、各携帯型端末10a等、レジスタ端末11、キッチンプリンタ13の相互間を無線通信によって相互に通信可能に接続する。この無線通信装置12を中心にして店舗内の各機器が接続されることでローカルエリアネットワークが構成されている。また、無線通信装置12は、通信ネットワーク300とも接続されており、この通信ネットワーク300を介して各携帯型端末10a等及びレジスタ端末11をサーバ200との間で相互に通信可能に接続する。
【0015】
キッチンプリンタ13は、店舗内のキッチン(調理場)に設置されており、各携帯型端末10a等を用いて取得されたオーダーの内容がレジスタ端末11から与えられたときにそのオーダーの内容を紙に印刷して出力する。この印刷物は、キッチン内の店員がオーダー内容に沿って調理を進めたり、飲み物を用意したりするのに用いられる。
【0016】
サーバ200は、店舗内システム100の各携帯型端末10a等またはレジスタ端末11からオーダーの内容やその他のデータを取得し、それらデータを図示しない記憶部に格納する。この記憶部に蓄積されるデータを用いて売上げ管理や売れ筋商品に関する分析(POS処理)などが行われる。本実施形態では同じデータがレジスタ端末11にも蓄積されるが、レジスタ端末11の故障等が発生してデータが消失する場合もあるので、そのような状況に備えたバックアップとしてサーバ200でもデータを蓄積している。従って、レジスタ端末11から要求があれば、サーバ200は当該データを適宜、レジスタ端末11へ提供することができる。また、店舗内システム100がフランチャイズ展開した複数の店舗にそれぞれ設置されている場合等であれば、各店舗における店舗内システム100からデータを取得することで、サーバ200側で各店舗の稼働状況を一元管理することができる。
【0017】
図2は、各携帯型端末とレジスタ端末の相互間で送受されるデータについて説明するための概念図である。また、
図3は、各携帯型端末における表示画像の遷移の一例を示す模式図である。店舗内システム100を稼働させる際には、まず、各携帯型端末10a等をレジスタ端末11に登録して、各携帯型端末10a等とレジスタ端末11との間を連携させる処理(認証)が実行される。例えば、各携帯型端末10a等とレジスタ端末11は、ともにNFC(Near Field Communication)規格に対応しており、各携帯型端末10a等をレジスタ端末11にかざすことで認証が完了する。
図3(A)は認証前(起動時)の各携帯型端末10a等の表示画像の例を示している。図示の表示画像にはこの携帯型端末10a等が未認証であることを示すメッセージが含まれており、かつ認証をするためのボタンも含まれている。認証完了後は、
図2で示すように各携帯型端末10a等とレジスタ端末11との間で直接的にデータの送受信が行われる。また、レジスタ端末11は、適宜サーバ200との間でデータの送受信を行う。以下に、送受信されるデータについて説明する。
【0018】
「マスタ取得」とは、レジスタ端末11に登録されているメニューの情報(例:ハンバーガー、カフェオレ等と各々の値段)や店舗内に設置されているテーブルの情報(例:テーブル番号1、2、・・・と各々の着席可能人数)を示すデータをレジスタ端末11から各携帯型端末10aに対して送信し、各携帯型端末10a等が当該データを取得することをいう。
図3(B)はマスタ取得後の各携帯型端末10a等の表示画像の一例を示している。図示の表示画像には店舗内のテーブル番号の一覧が含まれている。
【0019】
「テーブル選択」とは、例えばお客が15番テーブルに着席したときに、店員が各携帯型端末10a等においてテーブル番号の一覧から「15番」のアイコンをタップすることによって、15番テーブルが選択されたことを示すデータを各携帯型端末10a等からレジスタ端末11へ送信することをいう。また、「テーブル情報」とは、各携帯型端末10aにおいてテーブル番号が選択されると、そのテーブル番号に対応するテーブルについての情報を示すデータをレジスタ端末11から各携帯型端末10aへ送信することをいう。ここでいうテーブルについての情報とは、そのテーブルの定員、テーブルの空き状況などである。
図3(C)はテーブル情報を取得した後の各携帯型端末10a等の表示画像の一例を示している。選択されたテーブルが空きテーブルである場合にはその旨を示すメッセージが各携帯型端末10aに表示されるとともに、新たに伝票を作成するためのボタンも表示される。このボタンをタップし、来客数などの情報を入力することでそのテーブルに対応する新たな伝票を作成することができる。
【0020】
「注文入力」とは、新たな伝票が作成された場合、あるいは選択されたテーブルはすでに使用中であった場合に、注文入力のための画像が表示され、それに基づいてお客からの注文が店員によって入力されたことを示すデータが各携帯型端末10aで生成されることをいう。
図3(D)は注文入力のための表示画像の一例を示している。選択可能なメニューが表示され、その中から適宜アイコンをタップすることでお客の注文したメニューを選択できる。「注文修正・キャンセル」とは、一旦選択したメニューが誤っていたときに他のメニューに修正し、あるいはその選択したメニューを削除されたことを示すデータが各携帯型端末10a等で生成されることをいう。
【0021】
「注文履歴」とは、上記した注文入力(あるいは注文修正・キャンセル)を経て、選択されたことが確定したメニューの情報を示すデータを各携帯型端末10a等からレジスタ端末11へ送信することをいう。「注文履歴情報」とは、すでに埋まっているテーブルで新たに注文をとるような場合に、そのテーブルでのそれまでに注文されたメニューの情報を示すデータがレジスタ端末11から各携帯型端末10a等へ送信されることをいう。
図3(E)は各携帯型端末10a等で表示される注文履歴情報の内容を示す表示画像の一例を示している。
【0022】
「リクエストの成否」とは、注文入力が受け付けられたか否かの情報を示すデータがレジスタ端末11から各携帯型端末10a等へ送信されることをいう。例えば、選択されたメニューが売り切れ等によって注文を受け付けることができない場合にはその旨が各携帯型端末10aに示される。また、レジスタ端末11からキッチンプリンタ13に注文入力が伝わっていない場合にもその旨が各携帯型端末10aに示される。
【0023】
「印刷リクエスト」とは、注文入力されたメニューの内容を印刷することを指示するデータがレジスタ端末11からキッチンプリンタ13へ送信されることをいう。また、「エラーコード」とは、例えば印刷用紙がなくなった場合などキッチンプリンタ13での印刷ができない状況の場合にその旨を示すデータがキッチンプリンタ13からレジスタ端末11へ送信されることをいう。
【0024】
図4は、第1実施形態のオーダー処理システムの詳細構成を示すブロック図である。なお、ここでは携帯型端末については1つだけ図示しているが、他の複数の携帯型端末についても同様の構成を備えているものとする。また、説明の便宜上、携帯型端末10aとレジスタ端末11の相互間を接続する通信手段については図示を省略する。
【0025】
携帯型端末10aは、制御部21、入力部22、表示部23、通信部24および記憶部25を備えている。制御部21は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって構成されるものであり、機能ブロックとしての認証処理部31、データ生成部32、通信回復処理部(第1の処理手段)33を有する。
【0026】
入力部22は、例えば制御部21と接続されたタッチパネルなどの入力手段であり、店員が各種情報を入力するために用いられる。表示部23は、例えば制御部21と接続された液晶表示パネルなどの表示手段であり、各種の画像表示を表示する。通信部24は、制御部21と接続されており、外部との情報通信に関わる処理を行う。記憶部25は、制御部21と接続されたハードディスク装置などの記憶手段であり、各種のデータを記憶する。
【0027】
認証処理部31は、携帯型端末10aをレジスタ端末11に登録して、携帯型端末10aがレジスタ端末11との間でデータの送受信を行えるように、認証を受けるための処理を行う。
【0028】
データ生成部32は、入力部22を用いて店員により入力される店舗内でのオーダーに関する情報を受け付けて当該情報を示す第1データを生成する。この第1データには、少なくとも「注文入力」、「注文修正・キャンセル」、「注文履歴」のそれぞれに関するデータが含まれる。
【0029】
通信回復処理部33は、携帯型端末10aがレジスタ端末11に認証された後、データの送受信を行うときに、レジスタ端末11との間の通信ができない状況となった場合に、相互間の通信を回復させるための処理を行う。
【0030】
レジスタ端末11は、制御部41、入力部42、表示部43、通信部44および記憶部45を備えている。制御部41は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって実現されるものであり、機能ブロックとしての認証処理部51、データ生成部52、通信回復処理部(第2の処理手段)53を有する。
【0031】
入力部42は、例えば制御部41と接続されたタッチパネルなどの入力手段であり、店員が各種情報を入力するために用いられる。表示部43は、例えば制御部41と接続された液晶表示パネルなどの表示手段であり、各種の画像表示を表示する。通信部44は、制御部41と接続されており、外部との情報通信に関わる処理を行う。記憶部45は、制御部41と接続されたハードディスク装置などの記憶手段であり、各種のデータを記憶する。
【0032】
認証処理部51は、携帯型端末10aをレジスタ端末11に登録して、携帯型端末10aがレジスタ端末11との間でデータの送受信を行えるように、携帯型端末10aを認証する処理を行う。
【0033】
データ生成部52は、入力部42を用いて店員により入力される店舗内でのオーダーに関する情報に対応してこのオーダーを処理するための情報を示す第2データを生成する。この第2データには、少なくとも「注文履歴」、「注文履歴情報」、「リクエストの成否」のそれぞれに関するデータが含まれる。
【0034】
通信回復処理部53は、携帯型端末10aを認証した後、データの送受信を行うときに、携帯型端末10aとの間の通信ができない状況となった場合に、相互間の通信を回復させるための処理を行う。
【0035】
図5は、携帯型端末およびレジスタ端末の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、相互の認証に関する動作手順にのみ着目して説明する。
【0036】
携帯型端末10aの認証処理部31は、通信部24を介してレジスタ端末11に対して認証の要求を送信する(ステップS11)。
【0037】
携帯型端末10aからの認証の要求を受信したレジスタ端末11の認証処理部51は、通信部44を介して携帯型端末10aに対してパスコードを送信する(ステップS12)。ここでいうパスコードとは、例えば数字、アルファベット、記号を組み合わせて構成される数桁の文字列データである。
【0038】
携帯型端末10aの認証処理部31は、通信部24を介してレジスタ端末11から送信されたパスコードを受信し、このパスコードを記憶部25へ記憶させる(ステップS13)。
【0039】
次に、携帯型端末10aの認証処理部31は、通信部24を介して、識別子としてのUUID(Universally Unique Identifier)を、ステップS13で受信したパスコードとともに、レジスタ端末11へ送信する(ステップS14)。ここでいうUUIDとは、携帯型端末10aを一意に特定し、識別するための識別子であり、認証処理部31によって生成される。
【0040】
携帯型端末10aから送信されたUUIDとパスコードを受信したレジスタ端末11の認証処理部51は、携帯型端末10aから受信したパスコードが、ステップS12で送信したパスコードと同じであることを照合したとき、携帯型端末10aから受信したUUIDと上記したパスコードを対にして記憶部45へ記憶させる(ステップS15)。
【0041】
以上により携帯型端末10aの認証が完了する。その後は、携帯型端末10aからオーダー等のデータが送信される際、UUIDとパスコードとともにデータが送信される。これにより、携帯型端末10aからデータが送信される毎に、UUIDとパスコードを用いて携帯型端末10aによるデータ送信の正当性を検証することができる。
【0042】
図6は、携帯型端末およびレジスタ端末の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、両者間のデータ送受信が不調となった際に両者間の通信を回復させるための動作手順にのみ着目して説明する。
【0043】
携帯型端末10aの通信回復処理部33は、レジスタ端末11との間で通信不調な状態であるか否かを判定する(ステップS21)。具体的には、通信回復処理部33は、データ生成部32によってオーダー等のデータが生成され、当該データが通信部24を介して送信されたがレジスタ端末11に受信されなかった場合を検知する。通信不調が検知されなければ、この処理が繰り返される(ステップS21;NO)。なお、携帯型端末10aからレジスタ端末11へのデータ送信などが届かなくなるという通信不調は、レジスタ端末11のIPアドレスが変わった場合などに生じる。レジスタ端末11のIPアドレスは、割り当て期間が過ぎてしまった場合や、レジスタ端末11をネットワークに再接続した場合などに変わり得る。
【0044】
通信不調が検知された場合に(ステップS21;YES)、通信回復処理部33は、通信部24を介して、レジスタ端末11のIPアドレスを要求するリクエストを、店舗内のローカルエリアネットワークに、ブロードキャストによって送信する(ステップS22)。このリクエストは、無線通信装置12を介して接続されているローカルエリアネットワーク内の全ての機器に送信され、結果としてレジスタ端末11へ送信される。
【0045】
リクエストを受信したレジスタ端末11の通信回復処理部53は、通信部44を介して、レジスタ端末11自身に割り当てられているIPアドレスを含むメッセージを携帯型端末10aへ返信する(ステップS23)。
【0046】
レジスタ端末11から送信されたIPアドレスを受信した携帯型端末10aは、このIPアドレスを用いてデータ送信を再開する(ステップS24)。具体的には、データ生成部32によって生成されたオーダー等のデータが、通信部24を介して、通信回復処理によって得られたIPアドレスに対して送信される。これにより、レジスタ端末11は、携帯型端末10aから送信されたデータを受信する(ステップS25)。
【0047】
以上により、携帯型端末10aとレジスタ端末11の間の通信不調を回復することができる。この動作は自律的に行われるので、携帯型端末10aを用いる店員等は、特に自身で操作をする必要がなく、オーダー等の送信を続けることができる。
【0048】
以上のような第1実施形態によれば、オーダーに関する情報を送受するオーダー処理システムにおいて、端末間の通信不調が生じた場合にも自律的に回復させて店舗でのオーダー処理を継続させることが可能となる。
【0049】
<第2実施形態>
上記した第1実施形態では各携帯型端末10a等とレジスタ端末11とのデータの送受信は相互間で直接的に行われていたが、第2実施形態では各携帯型端末10a等とレジスタ端末11とのデータの送受信は、基本的にサーバ200を介して行われる。特に、「注文入力」、「注文修正・キャンセル」、「注文履歴」、「注文履歴情報」、「リクエストの成否」のそれぞれに関するデータはサーバ200を介して送受信され、かつそれらのデータはサーバ200にも蓄積される。しかし、サーバ200自体あるいは通信ネットワーク300に何らかの障害が発生した場合など、サーバ200を経由したデータの送受信が不可能である場合には、サーバ200が復旧するまでの間は、各携帯型端末10aとレジスタ端末11との間で直接的にデータが送受信される。この場合には、レジスタ端末11等に蓄積されたデータは、サーバ200の復旧後にレジスタ端末11等からサーバ200へ送信される。すなわち、携帯型端末10a等とレジスタ端末11は、相互間での情報通信を行うときにサーバ200を経由した情報通信を優先的に実行し、サーバ200経由の情報通信が実行できない場合には直接的な情報通信を実行する。以下、このような処理を行うためのオーダー処理システム1の構成と動作手順についてさらに詳細に説明する。
【0050】
図7は、第2実施形態のオーダー処理システムの詳細構成を示すブロック図である。なお、ここでは携帯型端末については1つだけ図示しているが、他の複数の携帯型端末についても同様の構成を備えているものとする。また、説明の便宜上、携帯型端末10a、レジスタ端末11およびサーバ200の相互間を接続する通信手段については図示を省略する。上記のようにオーダー処理システム1は、店舗内で使用される携帯型端末10a並びにレジスタ端末11と、店舗外に設置されたサーバ200とを備えており、携帯型端末10aとレジスタ端末11は相互間で直接的に情報通信可能に接続されるとともにサーバ200を経由して相互に情報通信可能に接続されている。
【0051】
携帯型端末10aは、制御部21、入力部22、表示部23、通信部24および記憶部25を備えている。制御部21は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって構成されるものであり、機能ブロックとしてのサーバ状態判定部34、データ生成部32、優先度設定部35およびデータ保存処理部36を有する。なお、第1実施形態と共通する構成については同符号を用いており、それらについての詳細な説明は省略する。
【0052】
サーバ状態判定部34は、サーバ経由の情報通信が実行可能か否かを判定する。ここでいう情報通信が実行可能ではない場合とは、サーバ200自体に何らかの障害が発生している場合と、サーバ200までの間の通信経路に何らかの障害が発生している場合など、いかなる原因であってもよい。
【0053】
優先度設定部35は、サーバ状態判定部34により情報通信が実行可能と判定された場合には第1データをサーバ200へ送信し、情報通信が実行可能ではない判定された場合には第1データをレジスタ端末11へ送信するように、情報通信の優先度を設定する。この設定された優先度に従って、通信部24により第1データがサーバ200またはレジスタ端末11へ送信される。
【0054】
データ保存処理部36は、サーバ状態判定部34により情報通信が実行可能ではないと判定された場合に、第1データを記憶部25へ保存(記録)する。また、データ保存処理部36は、記憶部25に保存された第1データを、その後に情報通信が実行可能と判定された機会において通信部24を介してサーバ200へ送信する。
【0055】
レジスタ端末11は、制御部41、入力部42、表示部43、通信部44および記憶部45を備えている。制御部41は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって実現されるものであり、機能ブロックとしてのサーバ状態判定部(第2判定部)54、データ生成部52、優先度設定部55およびデータ保存処理部56を有する。なお、第1実施形態と共通する構成については同符号を用いており、それらについての詳細な説明は省略する。
【0056】
サーバ状態判定部54は、サーバ経由の情報通信が実行可能か否かを判定する。ここでいう情報通信が実行可能ではない場合とは、サーバ200自体に何らかの障害が発生している場合と、サーバ200までの間の通信経路に何らかの障害が発生している場合など、いかなる原因であってもよい。
【0057】
優先度設定部55は、サーバ状態判定部54により情報通信が実行可能と判定された場合には第2データをサーバ200へ送信し、情報通信が実行可能ではない判定された場合には第2データを携帯型端末10aへ送信するように、情報通信の優先度を設定する。この設定された優先度に従って、通信部44により第2データがサーバ200または携帯型端末10aへ送信される。
【0058】
データ保存処理部56は、サーバ状態判定部54により情報通信が実行可能ではないと判定された場合に、第2データを記憶部45へ保存(記録)する。また、データ保存処理部56は、記憶部45に保存された第2データを、その後に情報通信が実行可能と判定された機会において、通信部44を介してサーバ200へ送信する。
【0059】
サーバ200は、制御部201、通信部202および記憶部203を備えている。制御部201は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムにおいて所定の動作プログラムを実行させることによって実現されるものであり、サーバ200の全体動作を制御する。通信部202は、制御部201の制御により、携帯型端末10aから送信された第1データをレジスタ端末11へ転送するとともに、レジスタ端末11から送信された第2データを携帯型端末10aへ転送する。記憶部203は、制御部201の制御により、第1データおよび第2データを記憶する。
【0060】
図8は、携帯型端末の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、第1データの送受信に関する動作手順にのみ着目して説明する。
【0061】
サーバ状態判定部34は、サーバ200経由の情報通信が実行可能か否かを判定する(ステップS31)。情報通信が実行可能である場合には(ステップS31;YES)、優先度設定部35により、情報通信の優先度が「サーバ優先」に設定され、この設定された優先度に応じて、データ生成部36によって生成された第1データが通信部24を介してサーバ200へ送信される(ステップS32)。この第1データはサーバ200からレジスタ端末11へ転送される。
【0062】
情報通信が実行可能ではない場合には(ステップS31;NO)、優先度設定部35により、情報通信の優先度が「レジスタ端末優先」に設定され、この設定された優先度に応じて、データ生成部32によって生成された第1データが通信部24を介してレジスタ端末11へ送信される(ステップS33)。また、データ保存処理部36は、情報通信が実行可能ではないと判定された場合に、第1データを記憶部25へ保存(記録)する(ステップS34)。
【0063】
次の送信機会において、サーバ状態判定部34は、サーバ200経由の情報通信が実行可能か否かを判定する(ステップS35)。サーバ200経由の情報通信が未だ実行可能ではない場合には(ステップS35;NO)、上記したステップ13に戻り、レジスタ端末11へのデータ送信ならびに記憶部25へのデータ記憶が実行される。
【0064】
サーバ200経由の情報通信が実行可能である場合には(ステップS35;YES)、データ保存処理部36は、記憶部25に保存された第1データを読み出し、通信部24を介してサーバ200へ送信する(ステップS36)。その後、上記したステップS31へ戻る。
【0065】
図9は、レジスタ端末の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、第2データの送受信に関する動作手順にのみ着目して説明する。
【0066】
サーバ状態判定部54は、サーバ200経由の情報通信が実行可能か否かを判定する(ステップS41)。情報通信が実行可能である場合には(ステップS43;YES)、優先度設定部55により、情報通信の優先度が「サーバ優先」に設定され、この設定された優先度に応じて、データ生成部52によって生成された第2データが通信部44を介してサーバ200へ送信される(ステップS42)。この第2データはサーバ200から携帯型端末10aへ転送される。
【0067】
情報通信が実行可能ではない場合には(ステップS41;NO)、優先度設定部55により、情報通信の優先度が「レジスタ端末優先」に設定され、この設定された優先度に応じて、データ生成部52によって生成された第2データが通信部44を介して携帯型端末10aへ送信される(ステップS43)。また、データ保存処理部56は、情報通信が実行可能ではないと判定された場合に、第2データを記憶部45へ保存(記録)する(ステップS44)。
【0068】
次の送信機会において、サーバ状態判定部51は、サーバ200経由の情報通信が実行可能か否かを判定する(ステップS45)。サーバ200経由の情報通信が未だ実行可能ではない場合には(ステップS45;NO)、上記したステップ33に戻り、携帯型端末10aへのデータ送信ならびに記憶部45へのデータ記憶が実行される。
【0069】
サーバ200経由の情報通信が実行可能である場合には(ステップS45;YES)、データ保存処理部56は、記憶部45に保存された第2データを読み出し、通信部44を介してサーバ200へ送信する(ステップS46)。その後、上記したステップS41へ戻る。
【0070】
以上のような第2実施形態によれば、外部装置であるサーバを介してオーダーに関する情報を送受するオーダー処理システムにおいて、サーバと店舗装置である各携帯型端末並びにレジスタ端末との情報授受に関して障害が発生した場合にも店舗でのオーダー処理を継続させることが可能となる。
【0071】
すなわち、特許文献1に開示されるシステムでは、タブレット型コンピュータにて売り上げ管理などのいわゆるPOS処理が行われるが、例えば売れ筋商品に関する分析をより詳細に行いたい場合、データ損失に備えてバックアップを取りたい場合、あるいはフランチャイズ展開された複数の店舗における情報を一元管理したい場合など種々の場合を考えると、オーダー処理に関する情報等を外部のサーバに適時送信したい場合がある。この場合、例えばオーダー情報等をスマートフォンから随時サーバへ送り、サーバではオーダー情報等を保存しつつ、タブレット型コンピュータへオーダー情報等を転送するという方法をとることが考えられる。ところが、このような方法をとった場合には、外部のサーバと店舗のスマートフォンやタブレット型コンピュータとの間の通信に何らかの障害が発生した場合や、サーバ自体に動作障害が発生した場合などにおいては、店舗におけるオーダー処理が滞るという不都合を生じる。このような不都合を上記した第2実施形態によって解消することができる。
【0072】
なお、本発明は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上記した実施形態において各携帯型端末並びにレジスタ端末は、予め所定の動作プログラムをインストールしておき、その動作プログラムを実行することによって各機能が実現されていたが、ブラウザを用いて各機能を実現してもよい。また、上記した実施形態では飲食店における適用例を示していたが本発明の適用範囲は飲食店に限定されない。また、各携帯型端末とレジスタ端末は、第1実施形態で示した構成と第2実施形態で示した構成を併せ持っていてもよい。
【0073】
(付記:第2実施形態に係る技術的思想)
1:
店舗内で使用される携帯型端末並びにレジスタ端末と、
前記店舗外に設置されたサーバと、
を含み、
前記携帯型端末と当該レジスタ端末は相互間で直接的に情報通信可能に接続されるとともに前記サーバを経由して相互に情報通信可能に接続されており、
前記携帯型端末と前記レジスタ端末は、相互間での情報通信を行うときに、前記サーバを経由した情報通信を優先的に実行し、当該サーバ経由の情報通信が実行できない場合に直接的な情報通信を実行する、オーダー処理システム。
2:
前記携帯型端末は、
店舗内でのオーダーに関する情報を受け付けて当該情報を示す第1データを生成する第1データ生成部と、
前記サーバ経由の情報通信が実行可能か否かを判定する第1判定部と、
前記第1判定部により情報通信が実行可能と判定された場合には前記第1データを前記サーバへ送信し、前記第1判定部により情報通信が実行可能ではないと判定された場合には前記第1データを前記レジスタ端末へ送信するように、情報通信の優先度を設定する第1優先度設定部と、
前記第1データを前記サーバ又は前記レジスタ端末へ送信する第1通信部と、
を有し、
前記レジスタ端末は、
前記オーダーを処理するための情報を示す第2データを生成する第2データ生成部と、
前記サーバ経由の情報通信が実行可能か否かを判定する第2判定部と、
前記第2判定部により情報通信が実行可能と判定された場合には前記第2データを前記サーバへ送信し、前記第2判定部により情報通信が実行可能ではないと判定された場合には前記第2データを前記携帯型端末へ送信するように、情報通信の優先度を設定する第1優先度設定部と、
前記第2データを前記サーバ又は前記携帯型端末へ送信する第2通信部と、
を有する、上記1に記載のオーダー処理システム。
3:
前記携帯型端末は、
第1記憶部と、
前記第1判定部により情報通信が実行可能ではないと判定された場合に前記第1データを前記第1記憶部へ保存する第1データ保存処理部と、
を更に備える、上記2に記載のオーダー処理システム。
4:
前記第1データ保存処理部は、前記第1記憶部に保存した前記第1データを、その後に前記第1判定部により情報通信が実行可能と判定された機会において、前記第1通信部を介して前記サーバへ送信する、上記3に記載のオーダー処理システム。
5:
前記レジスタ端末は、
第2記憶部と、
前記第2判定部により情報通信が実行可能ではないと判定された場合に前記第2データを前記第2記憶部へ保存する第2データ保存処理部と、
を更に備える、上記2に記載のオーダー処理システム。
6:
前記第2データ保存処理部は、前記第2記憶部に保存した前記第2データを、その後に前記第2判定部により情報通信が実行可能と判定された機会において、前記第2通信部を介して前記サーバへ送信する、上記3に記載のオーダー処理システム。
7:
前記サーバは、
制御部と、
前記制御部による制御により前記携帯型端末から送信された前記第1データを前記レジスタ端末へ転送するとともに前記レジスタ端末から送信された及び前記第2データを前記携帯型端末へ転送する第3通信部と、
前記制御部による制御により前記第1データ及び前記第2データを記憶する第3記憶部と、を有する、上記2に記載のオーダー処理システム。
【解決手段】店舗内で使用される複数の携帯型端末並びにレジスタ端末を含み、当該複数の携帯型端末と当該レジスタ端末とがローカルエリアネットワークを介して接続されたオーダー処理システムであって、複数の携帯型端末の各々は、レジスタ端末との間の情報通信が不調であるときに、レジスタ端末に割り当てられたネットワークアドレスの通知のリクエストをレジスタ端末に送信し、レジスタ端末は、リクエストを受信したときに、自身に割り当てられているネットワークアドレスをリクエストの送信元である携帯型端末携帯型端末へ送信する、オーダー処理システムである。