特許第5989225号(P5989225)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989225
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】有極電磁リレー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 49/00 20060101AFI20160825BHJP
   H01H 50/04 20060101ALI20160825BHJP
   H01H 50/18 20060101ALI20160825BHJP
   H01H 50/64 20060101ALI20160825BHJP
   H01H 50/36 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   H01H49/00 J
   H01H50/04 R
   H01H50/18 H
   H01H50/64 G
   H01H50/36 N
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-502328(P2015-502328)
(86)(22)【出願日】2013年3月27日
(65)【公表番号】特表2015-515097(P2015-515097A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】EP2013056547
(87)【国際公開番号】WO2013144218
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年12月1日
(31)【優先権主張番号】102012006436.5
(32)【優先日】2012年3月30日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(72)【発明者】
【氏名】ハインリッヒ,イェヌス
(72)【発明者】
【氏名】ムエラー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ラルフ
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−333481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 49/00
H01H 50/04
H01H 50/18
H01H 50/36
H01H 50/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁石と、永久磁石(11)と、接極子(12)と、作動可能スイッチ(20、30)とを備える有極電磁リレーを製造する方法であって、
構造ユニットとして鉄心(2)と磁極片(3、4)を有するコイル(1)とを備えるコイル組立体(10)を設ける工程aと、
前記接極子の側まで延在する磁極組立体(7、8、9、11)用の第1の収容空間(41)と、前記コイル組立体(10)用の第2の収容空間(42)とを有する支持構成部品(40)を設ける工程bであって、前記第1の収容空間及び前記第2の収容空間は棚構成部品のように配置される工程bと、
磁束片(7、8、9)及び非磁化永久磁石前駆体を含む前記磁極組立体(7、8、9、11)を前記第1の収容空間(41)に取り付ける工程cと、
前記第2の収容空間(42)が空である間に前記磁極組立体内で前記永久磁石前駆体を磁化する工程であって、それにより前記永久磁石(11)を得る工程dと、
前記第2の収容空間(42)に前記コイル組立体(10)を取り付ける工程eと、
前記リレー構成部品の残りを取り付けるステップであって、それにより前記リレーを完成する工程fと、
を具備する有極電磁リレーを製造する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記工程cは、異なる程度まで磁化可能な2つの前駆体磁石部分(11a、11b)を、前記磁極組立体(7、8、9、11)の3つの磁束片(7、8、9)の間に取り付ける工程を有し、
前記工程dは、
前記2つの前駆体磁石部分(11a、11b)を磁化する工程d1と、
より弱い前駆体磁石部分(11b)を、前記磁化した部分(11a、11b)の同様の磁極がそれらを分離する前記磁束片(9)において互いに面するように、再度磁化する工程d2と、
を具備する方法。
【請求項3】
接極子の側まで延在する第1の収容空間(41)と、第2の収容空間(42)と、第3の収容空間(45)とを有する棚状又は階層状構成の支持構成部品(40)であって、前記第1の収容空間、前記第2の収容空間及び前記第3の収容空間が順に重なって配置されている、支持構成部品(40)と、
中心磁束片(9)及びその両側の磁極片(7、8)を画定する磁束片(7、8、9)と、該磁極片のうちの少なくとも1つと前記中心磁束片(9)との間の永久磁石(11)とを備える磁極組立体(7、8、9、11)であって、前記支持構成部品(40)の前記第1の収容空間(41)に収容されている磁極組立体(7、8、9、11)と、
構造ユニットとして鉄心(2)と磁極片(3、4)を有するコイル(1)とを備え、電磁石の一部を形成するコイル組立体(10)であって、前記第2の収容空間(42)に収容されているコイル組立体(10)と、
前記磁極組立体(7、8、9、11)の上に配置され、該磁極組立体に対して枢動可能であり、可動スイッチ素子(23、33)に接続されている接極子(12)と、
を具備する有極電磁リレー。
【請求項4】
請求項3に記載の有極電磁リレーであって、
前記支持構成部品(40)の前記第3の収容空間(45)は、負荷を切り替えるスイッチ(30)を収容し、ハウジング底部(50)によって閉鎖されている有極電磁リレー。
【請求項5】
請求項4に記載の有極電磁リレーであって、
前記ハウジング底部(50)は、前記負荷を切り替える前記スイッチ(30)の少なくとも1つの固定接点(31)を支持し、前記支持構成部品(40)と合わせて、端子ピン(15、16、25、26、35、36)を支持する有極電磁リレー。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載の有極電磁リレーであって、
前記電磁石は、磁束片(7、8)を画定する隣接する磁極片を有するU字型ヨーク(2、3、4)を備え、
前記接極子(12)は、第1の脚(12a)と第2の脚(12b)とを有する揺動接極子として構成され、該接極子は、中心磁束片(9)に支持され、閉鎖した低磁気ギャップ磁束経路を、前記中心磁束片(9)と磁極片として動作可能な前記磁束片(7、8)のそれぞれ1つとともに、前記接極子の脚(12a、12b)のそれぞれ1つによって形成し、
前記脚(12a、12b)はそれぞれ、それぞれのスイッチ(20、30)の可動接点(22、32)を作動させる有極電磁リレー。
【請求項7】
請求項6に記載の有極電磁リレーであって、
診断を行うスイッチ(20)として使用可能な第1のスイッチが、前記支持構成部品(40)の固定接点(21)と、前記揺動接極子(12)の前記第1の脚(12a)に固定されている第1の接点ばね(23)の可動接点(22)とによって形成され、前記負荷を切り替える前記スイッチ(30)として使用可能な第2のスイッチが、前記ハウジング底部(50)の固定接点(31)と、電気的絶縁されている結合部材(37)を介して前記揺動接極子(12)の前記第2の脚(12b)に機械的に結合されている第2の接点ばね(33)の可動接点(32)とによって形成されている有極電磁リレー。
【請求項8】
請求項7に記載の有極電磁リレーであって、
前記支持構成部品(40)は、前記電気的に絶縁されている前記結合部材(37)用の案内面(46)を有し、ハウジングキャップ(60)が、前記支持構成部品(40)を封止し、それにより前記ハウジング底部(50)を部分的に包囲している有極電磁リレー。
【請求項9】
請求項3から8のいずれか一項に記載の有極電磁リレーであって、
前記永久磁石(11)が1つの部品からなる構成部品であり、その一方の極は前記中心磁束片(9)に隣接し、その他方の極は、磁極として有効な前記磁束片(7、8)のうちの一方に隣接している有極電磁リレー。
【請求項10】
請求項3から8のいずれか一項に記載の有極電磁リレーであって、
前記永久磁石(11)は2つの部分(11a、11b)を備え、該2つの部分(11a、11b)は、全体として3極永久磁石(11)を形成するように、同様の磁極が前記中心磁束片(9)にあるように互いに面している有極電磁リレー。
【請求項11】
請求項10に記載の有極電磁リレーであって、
前記部分のうちの一方(11a)は、他方の部分(11b)より保磁力が高い有極電磁リレー。
【請求項12】
請求項11に記載の有極電磁リレーであって、
より保磁力が高い前記部分(11a)は、より保磁力が低い前記部分(11b)よりも小さい容積を占める有極電磁リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁石と、永久磁石と、接極子と、作動可能スイッチとを備える有極電磁リレーを製造する方法に関し、さらに、こうした方法によって製造される有極電磁リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
有極電磁リレーは、3極永久磁石を有する構成(特許文献1)及び2極永久磁石を有する(特許文献2、特許文献3、特許文献4)で知られている。いずれの場合も、電磁石は、ヨーク型構成の鉄心片と磁極片とを備えるコイルを含む。3極永久磁石の場合、この永久磁石は、コイルの上方のヨークの2つの脚の間に、かつコイルの軸に平行に配置される。この永久磁石を、磁化したストリップから分離してヨークの2つの脚の間の巻型に挿入することができる。2極永久磁石の場合、この永久磁石は、一方の極が古い鉄心のおよそ中間にあって、コイルの軸に対して横方向に磁気的に接続される(特許文献2、特許文献3)。
【0003】
特許文献5から、コイル、鉄心及び磁極脚を含む電磁ブロックと、磁極脚の間の永久磁石と、磁極脚の上の接極子及びスイッチ素子を含む接極子ブロックとが内部に取り付けられた、上部が開口した基礎ハウジングを備える有極電磁リレーが知られている。組立体は、磁化により非磁化強磁性前駆体から、磁極脚の間に位置する永久磁石を作製することを可能にせず、それは、これにより過度の誘導電流によってコイルが損傷するためである。
【0004】
特許文献6から、別の有極電磁リレーが既知であり、そこでは、コイルが、2つの強磁性ヨーク及びそれらの間に介挿された永久磁石とともに、基体内に上方から挿入され、埋込用樹脂で固定されている。設置状態での非磁化前駆体の磁化は可能ではない。
【0005】
また、コイル軸に対して平行に延在する2極永久磁石を含むリレーもすでに知られている(特許文献4)。頂部及び底部に磁極がある板状永久磁石は、接極子板に受け入れられる。電磁石は、2つの部分からなるハウジングに収容され、そのハウジングは、貫通形状の下方部分と、スイッチの固定接点と接極子用の回転支持体とが位置する箱型上方部分とを備えている。可動接点ばねは、絶縁接極子板に埋め込まれている。接極子板の凹部は、2極永久磁石を収容するように適合されている。この文献は、永久磁石が、接極子板におけるその埋込状態で磁化されるか否かを開示していない。いずれの場合も、欠点は、閉磁束経路に大きい強磁性自由経路をもたらす、2極永久磁石と電磁石の鉄心との間の大きい間隔であり、それによって、接極子のあらゆる位置で大きい磁気抵抗がもたらされる。
【0006】
小型の有極リレーを実施することができるために、非常に強力な永久磁石が必要である。こうした強力な永久磁石は入手可能であり、或る割合の希土類元素を含む。しかしながら、磁石の間に強力な引力があるため、個々の磁石の供給源からのそれら磁石の扱いは、磁石が互いに付着するという点のみでなく、設置中に磁極面に破片及び塵埃粒子がないようにするという点でも困難である。製造技術に関して、非磁化強磁性合金の材料片を使用し、リレーに設置された「前駆体」を「磁化」することがより好ましい。しかしながら、高磁場強度を用いる適所での磁化には、リレーの磁気系の他の構成部品、特に電磁石のコイルが、強力な誘導電圧及び電流のために損傷を受ける可能性があるというリスクを伴う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第93/23866号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,912,438号明細書
【特許文献3】米国特許第5,153,543号明細書
【特許文献4】米国特許第6,670,871号明細書
【特許文献5】米国特許第4,975,666号明細書
【特許文献6】独国特許第19520220号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、有極リレーの永久磁石を、リレーの他の構成部品に対していかなるリスクもなしに磁化するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、具体的な製造ステップとともに、リレーの構成部品の別個の製造及び構成を使用し、それにより、永久磁石の磁化は、電磁石のコイルを損傷するリスクを招くことなく可能である。
【0010】
具体的には、コイルと、鉄心と、磁極片とを備えるリレーの1つの構成部品として、コイル組立体が提供され、更に支持構成部品が提供され、そこには、電磁石の磁極片及び接極子の支持部分等、リレーの磁気系の磁束片が含まれる。これらの磁束片は、軟鉄から作製され、高い磁場強度によって損傷を受けない。
【0011】
磁束片と整列して、非磁化強磁性合金の1つの部分からなる又は2つの部分からなる永久磁石前駆体が支持構成部品に設置され、その前駆体が、磁化によって永久磁石になる。支持構成部品は収容空間を更に有し、その中に、永久磁石が磁化されると、電磁石の損傷を受けやすい部分である別個に製造されたコイル組立体が挿入され、取り付けられる。そして、リレーによって駆動されるスイッチを含むリレー構成部品の残りが取り付けられて、リレーが完成する。
【0012】
本発明はまた、電磁石と、磁束片及び永久磁石を含む磁極組立体と、支持構成部品と、接極子とを備える有極電磁リレーに関する。電磁石は、コイルと、鉄心と磁極片とを含む構造ユニットとして構成されたコイル組立体を備える。支持構成部品は、磁束片及び磁化した永久磁石を含む磁極組立体用の収容空間を画定する上部空洞と、コイル組立体用の収容空間を画定する中間挿入空洞とを備える、棚状又は階層状構成を有することが好ましい。リレーの接極子は、支持構成部品において電磁石に対して枢動可能に取り付けられ、可動スイッチ素子に接続される。
【0013】
この構成により、高感度の更には小型かつ細い有極リレーを製造することが可能になる。構成部品のパラメータを変更することにより、有極リレーの様々な機能を具現化することができる。
【0014】
本発明の更なる詳細は、図面を参照して2つの例示的な実施形態の以下の説明から、及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】上方から長辺及び短辺に対して斜めに見た、ハウジングキャップが取り外されている、リレーの第1の実施形態の斜視図である。
図2】第1の実施形態のリレーの縦断面図である。
図3】上方から長辺及び正面端に対して斜めに見た支持構成部品の斜視図である。
図4】コイル組立体の斜視図である。
図5】第1の実施形態によるリレーの個々の構成部品の分解図である。
図6】リレーの第2の実施形態の斜視図である。
図7図6のリレーの縦断面図である。
図8図6のリレーの個々の構成要素の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
電磁リレーは、合わせて保持されハウジング構成部品によって保護される磁気系及びスイッチ系から構成されている。磁気系は、コイル組立体10(図4)及び磁極片(図2)から構成されている電磁石を備えている。コイル組立体10は、巻型5に巻回されたコイル1と、強磁性鉄心2と、強磁性磁極片3及び4とを備えており、それらは構造ユニットを形成している。鉄心2は、2つの磁極片3、4のうちの一方に又は両磁極片に一体的に接合されている。磁気系は、磁束片7、8、9と、永久磁石11と、接極子12とを更に備えている。磁束片7及び8は、電磁石の磁極片を画定している。磁束片9は、本例では揺動接極子12の形態である接極子12用の支持片を形成している。第1の実施形態の永久磁石11は、2つの磁極を有し、磁極片7と磁束片9との間に配置され、一方、磁束片8と磁束片9との間では、磁束が遮断されている。永久磁石及び磁束ギャップの配置を反転することも可能である。重要なことは、磁極片7又は8に対するかつ磁束片9に対する永久磁石の磁極の向きである。磁束片7、8、9及び永久磁石11は磁極組立体を形成している。
【0017】
図示する例示的な実施形態(図4)では、接続ブロック6がコイル組立体10に接続されているが、それは本発明には必須ではない。接続ブロック6は、コイル1の巻端に直接接続するために偏向した脚15a、16aを有するスイッチ信号端子ピン15、16を備えている。試験接点端子ピン25がクランク状に曲げられ、したがって接続ブロック6と磁極片3との間で締め付けることができる。
【0018】
図4に示す構成部品は、棚コンパートメント、又は棚状若しくは階層状支持構成部品40(図3)の収容空間42に、挿入されかつ固定されるように構成される。この目的で、空間42は、コイル組立体10に加えてかつそれに隣接して接続ブロック6を収容し位置決めするための2つの空洞延長部43及び44を有している。
【0019】
棚状又は階層状支持構成部品40はまた、磁極組立体、すなわち磁束片7、8、9及び永久磁石11を収容するようにも適合されている。この目的で、接極子側収容空間41が設けられ、ポケットに分割されている。部片7、8、9及び11は、支持構成部品40に、そこに埋め込まれることによって固定されている。幾つかの埋込方法、例えば、オーバーモールド、糊付け、圧入が企図される。さらに、支持構成部品40の上側に固定接点21が設けられ、それは端子ピン26に電気的に接続され、端子ピン26は同様に支持構成部品40に、そこに埋め込まれることによって固定されている。
【0020】
スイッチ系は、診断スイッチ20と、少なくとも1つの負荷スイッチ30とを備えている。診断スイッチ20は、固定接点21と、二重接点の形態で接点ばね23のフォーク状端部に取り付けられている可動接点22とを備えている。接点ばね23が、接極子12の脚12aに固定されかつそれによって駆動される。可動接点22は、端子ピン25に対する電気的接続を提供する。
【0021】
本発明の変更実施形態では、試験接点端子ピン25が、試験接点端子ピン26に平行に支持構成部品40に埋め込まれており(図示せず)、支持構成部品40の上側に、2つ別個の固定接点が設けられている。この実施形態では、接点ばね23の端部は、スイッチ20を閉成するために橋絡接点として使用される。
【0022】
負荷スイッチ30は、固定接点31と接点ばね33に据え付けられている可動接点32とを備え、接点ばね33は、電源レール34を介して支持構成部品40に取り付けられ、負荷端子ピン35に更に電気的に接続されている。固定接点31は、別の負荷端子ピン36に導電接続されている。接点ばね33は、電気的絶縁結合部材37を介して駆動され、結合部材37の上端は、接極子12の第2の脚12bに機械的に結合されている。機械的接続を、図示するように、オーバーストロークばね38を介して、又は揺動接極子12の端部と結合部材37の端部とを直接接続することによって確立することができる。
【0023】
2つの脚12a及び12bに加えて、接極子12は、湾曲した支持部分12cを更に有し、それによって、接極子は、支持片として形成される磁束片9の上に載っている。リレーの動作タイプ(単安定、双安定)に応じて、接極子12の脚12a、12bは、長さが異なり、ばね力によって、異なる磁極ギャップ幅で保持される。こうしたばね力は、接点ばね23、オーバーストロークばね38(設けられている場合)及び接点ばね33によって生成される。接点ばね23は、接極子の脚12aにリベット締めにされ、ばね突起23a及び23b並びに締結タブ23cを有し、締結タブ23cは、接極子12と磁極面7との間に所定の角度位置で支持片9に溶接されている。オーバーストロークばね38は、同様に脚12bにリベット締めされ、同様にばね突起38a、38bと支持片9に溶接されている締結タブ38cとを有している。接点ばね33の力に加えて、ばね脚23b及び38bのねじり力が、リレーの全体的なばね挙動に主に関与している。
【0024】
ばね力に加えて、接極子12に対する磁気引力により、単安定リレーが得られるか又は双安定リレーが得られるかに関して相違がもたらされる。接極子の脚12a、12bに対する引力は、永久磁石11の強度と磁極片7、8の磁極面のサイズとによって決まる。接極子の一方の端部位置で、磁気引力が、引上げ方向における有効ばね力より大きく、他方の端部位置で、磁気引力がばねの引上げ力より小さい場合、単安定リレーになる。対照的に、接極子の両端部位置において、磁気引力が引上げ方向における有効ばね力より大きい場合、双安定リレーになる。
【0025】
支持構成部品40はハウジングの主要要素であるが、ハウジング底部50及びハウジングキャップ60もまた設けられている。図1に示すように、支持構成部品40は、図示するその正面において、絶縁結合部材37を案内する案内面46を有している。この案内面とリレーの上側とは、図1による組み立てられたリレーのハウジングキャップ60によって覆われている。浅い空洞45(図2)が、支持構成部品40の底部に沿って延在しており、この空洞は、負荷接点ばね33及びその移動範囲を収容する役割を果たし、ハウジング底部50によって下側の境界が定められている。負荷接点端子ピン36は、底部50に挿入され、固定接点31によって底部にリベット締めされている。
【0026】
ハウジングキャップ60の上部には、接極子12の位置を手動で変更するスイッチを設けることができる。
【0027】
図6図7及び図8は、本発明の第2の実施形態を示す。第1の実施形態に類似する構成部品は、同じ参照符号で示されている。第2の実施形態によるリレーの全体的な構成は、第1の実施形態のものに類似しており、したがって、対応する説明部分は繰り返さず、相違のみをより詳細に説明する。
【0028】
リレーの第2の実施形態では、永久磁石11は、2つの部分11a及び11bを備え、それらの間に、3極永久磁石を形成するように軟鉄の磁束片9が介挿されている。部分11aは、部分11bと比較した場合、保磁力が高い。2つの部分11a及び11bは、磁束片9に向かって同じ極性を有し、それは、ともにS極が磁束片9に面するように位置合せされているか、又はともにN極が面するように位置合せされており、一方で、リレーの外端に向かって、合計3つの磁極を有する永久磁石11は、場合によって、N極のみ又はS極のみを示すことを意味する。磁束片9は、隣接する極性、すなわち、永久磁石のN極が外側に面している場合はS極、永久磁石のS極が外側に面している場合はN極を示す。
【0029】
第2の実施形態では、接極子12の取付けは、十字ばね39が磁束片9における接極子12の支持を提供するという点で、第1の実施形態と異なる。十字ばね39はタブ39aを有し、タブ39aを介して十字ばね39は溶接によって磁束片9に接合され、十字ばね39は、ねじりウェブ39bとそれを横切って接極子12を支持する支持タブ39cとを更に有している。別のタブ39dが十字ばね39から延在することができ、タブ39dは、磁束片8に対する接極子12の衝撃を減衰させるように適合され、同時に十字ばね39によって張力が与えられ、これは接極子12の後続する切替えに有用であり、それは、このように、接極子が磁束片8からより容易に離れることになるためである。十字ばねはねじりばねと同様に有効であり、すなわち、軸受摩擦がなく、ばね39のヒステリシス損失が非常に小さい。
【0030】
第2の実施形態の別の変更として、接点ばね23及びオーバーストロークばね38は一体的に形成される。接点ばね23は導電性であり、導電性接極子12に接続され、導電性接極子12は導電性十字ばね39を介して導電性磁束片9に接続され、導電性磁束片9は試験接点端子ピン25と導電接続される。
【0031】
接極子12の脚12bの磁束片8に対する付着力(adhesive force)を調整するために、板金材料又はプラスチックの中間片8aが更に設けられている。すなわち、接極子12の脚12a、12bの長さが異なるため、それらに対する有効な引上げ力が異なり、それが、部片8aの介挿によって幾分か補償される。
【0032】
有極電磁リレーは、新規の方法で接続され組み立てられる。図5及び図8に示す個々の構成部品は、複数のユニット、例えば図4に示すコイル組立体10に部分的に組み立てられる。このコイル組立体は、少なくともコイル1と、鉄心2と、磁極片3及び4とを備えている。図示する例示的な実施形態では、巻型5が更に設けられ、それに接続ブロック6が取り付けられ、接続ブロック6を通って、コイル端部から端子ピン15、16まで接続部が延在している。
【0033】
図5及び図8に示す個々の構成部品は、支持構成部品40を更に備え、支持構成部品40は、本発明の目的で、リレーの製造方法に適合される。すなわち、支持構成部品40は、磁束片7、8、9用及び永久磁石11用の接極子側収容空間41と、さらにコイル組立体10用の挿入空洞状収容空間42とを有している。磁束片7、8及び9並びに永久磁石11を、磁極組立体と呼ぶことができ、それは、それらが、接極子12に対して2つの外側磁極及び中心磁極を示すためである。磁極組立体は、支持構成部品40の収容空間41に挿入され、例えばオーバーモールドによってその中に固定される。
【0034】
本発明の特別な特徴は、磁極組立体の設置中、取り付けられるのが完成した永久磁石ではなく、或る割合の希土類元素を含む非磁化強磁性合金の永久磁石前駆体である、ということである。こうした前駆体磁石を、極めて高い保磁力で「磁化する」ことができる。この目的で、非常に強力な磁場を印加しなければならず、それにより、前駆体磁石が所望の方向に磁化される。実際には、必要な磁場強度を生成するために、コイルを磁極組立体の周囲に配置しなければならない。これを、支持構成部品40の収容空間41内における磁極組立体の設置状態で達成することができる。コイル組立体10用の収容空間42を空のままにすることができることが理解されよう。これにより、大電流の高電圧がコイル組立体に発生する(これによりコイル組立体の損傷がもたされる可能性がある)ことが防止される。
【0035】
磁極組立体を磁化するとき、生成される永久磁石のタイプを考慮しなければならない。リレーの第1の実施形態に対応する1つの部品からなる2極永久磁石が生成される場合、上述した方法で十分である。しかしながら、磁化によって3極永久磁石が生成される場合、手順は変更される。2つの前駆体磁石部分11a、11bが、中心磁束片9の両側で使用され、隣接する磁束片7及び8とそれぞれ接触する。これらの前駆体磁石部分のうちの一方、ここでは部分11aは、他方の部分11bより磁化することができる合金から作製される。また、より磁化可能な部分11aを、磁化が弱い方の部分11bより小さくすることができる。磁極組立体が、例えば7、11a、9、11b、8という部分の順序で支持構成部品40の収容空間41に取り付けられると、より強力な永久磁石部分11aに対応する画定された方向で磁化が行われる。そして、より弱くかつ初期磁気方向とは反対の磁場が、磁極組立体に印加され、このより弱い磁場は、永久磁石部分11aの磁化を反転させるには不十分であるが、より弱い永久磁石部分11bの磁化を反転させるには十分である。その結果として、同様の磁極が中心磁束片9において互いに面するようになる。このように、2つの同様の磁極が、外端にあり、すなわち磁極片として有効な磁束片7及び8に向かい、反対の磁極が中心磁束片9にある、完成した永久磁石11が得られる。この構成は、3極永久磁石を画定する。
【0036】
永久磁石11が生成されると、コイル組立体10を挿入空洞状収容空間42内に、リスクなしに取り付けることができる。
【0037】
そして、残りの構成部品が取り付けられてリレーが完成する。これらには、ばね23、38及び39を有する接極子12と、結合部材37とともに負荷スイッチ30と、ハウジング部品50及び60とが含まれる。
【0038】
新規のリレーにより、有極リレーのさまざまな機能を、個々の構成部品のサイズ、配置及びパラメータを変更することによって実施することができる。支持構成部品内で磁化を通して永久磁石を生成することにより、リレーの組立に複雑性をもたらすことなく、強力な永久磁石を使用することができ、それは、磁化時に、リレーが、磁気コイル等のいかなる損傷を受けやすい構成部品も含まないためである。リレーを非常に小型にすることができ、それは、高い保磁力の永久磁石を生成することができるためである。
【0039】
当業者には、上述した実施形態が例として意図されており、本発明はそれに限定されず、請求項の範囲から逸脱することなく多くの方法で変更することができることが明らかとなろう。さらに、それらの特徴は、他の特徴とともに記載されている場合であっても、それらが明細書、特許請求の範囲、図又は他の場所のいずれで開示されているかに関わらず、本発明の個々に重要な構成要素も定義している。
図1
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図8