(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記共重合体(A)と前記重合体(B)との重量比(共重合体(A)の重量/重合体(B)の重量)が5/95〜95/5であることを特徴とする請求項1に記載の防汚塗料組成物。
前記重合体(B)がその他のエチレン性不飽和単量体から誘導される構成単位(b−2)をさらに含有し、前記構成単位(b−1)と前記構成単位(b−2)との重量比((b−1)の重量/(b−2)の重量)が30/70〜80/20であることを特徴とする請求項1または2に記載の防汚塗料組成物。
前記共重合体(A)および前記重合体(B)の総重量と前記モノカルボン酸化合物(C)との重量比率((共重合体(A)および重合体(B)の総重量)/(化合物(C)の重量))が99.9/0.1〜30/70であることを特徴とする請求項6に記載の防汚塗料組成物。
前記防汚剤が、銅または銅化合物(D)(ただし、銅ピリチオンを除く。)および有機防汚剤(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物。
着色剤(F)、体質顔料(G)、脱水剤(H)、可塑剤(I)、揺変剤(J)および溶剤(K)からなる群から選ばれる1種以上の成分をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物。
請求項1〜9のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物であって、前記共重合体(A)と前記重合体(B)との合計重量が、該防汚塗料組成物の固形分の全量100重量%に対して、5重量%以上であることを特徴とする防汚塗料組成物。
固形分含有量が70重量%以上であり、25℃条件下でストーマー粘度計にて測定された塗料粘度(KU値)が70〜110であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の防汚塗料組成物。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る防汚塗料組成物等をさらに詳細に説明する。
【0029】
[防汚塗料組成物]
本発明に係る防汚塗料組成物は、上述した共重合体(A)、重合体(B)および防汚剤を含有する。
【0030】
<共重合体(A)>
前記共重合体(A)は、下記一般式(a1):
【0032】
(式中、Rは、水素原子またはメチル基である)
で示される単量体から誘導される構成単位(a−1)、グリシジル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位(a−2)を含み、任意にその他のエチレン性不飽和単量体(以下「単量体(a3)」ともいう。)から誘導される構成単位(a−3)をさらに含む。
【0033】
前記構成単位(a−1)、前記構成単位(a−2)および前記構成単位(a−3)は、それぞれ下式で表される。
【0036】
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
構成単位(a−2):
【0038】
(式中、Rは水素原子またはメチル基である。)
構成単位(a−3):
【0040】
(式中、Rは水素原子またはメチル基であり、Aは1価基である。)
前記単量体(a3)としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸;
メチル(メタ)アクリレート(アクリレートおよびメタクリレートを、まとめて「(メタ)アクリレート」と記す。以下も同様である。)、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、プロポキシエチルエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソブトキシブチルジグリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート類;ならびに
酢酸ビニル、イソブチルビニルエーテル、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、およびプロピオン酸ビニル等のビニル系単量体
が挙げられる。これらの中でも、長期防汚性の観点から、メチルメタクリレート、ブチルアクリレートおよびブチルメタクリレートがさらに好ましい。
【0041】
前記構成単位(a−3)の種類または量を変えることにより、前記共重合体(A)および本発明に係る防汚塗膜の硬さ、粘度、ガラス転移温度等を調整することができる。
【0042】
前記構成単位(a−3)は、全量がこれらの単量体から誘導されていてもよく、大部分(たとえば95重量%以上)がこれらの単量体から誘導され、少量(たとえば5重量%以下)が他の単量体から誘導されていてもよい。
【0043】
前記構成単位(a−1)、前記構成単位(a−2)および前記構成単位(a−3)は、それぞれ1種であってもよく2種以上であってもよい。
【0044】
前記共重合体(A)はスチレンから誘導される構成単位(a−1)を含むため、本発明に係る防汚塗料組成物から形成される塗膜等は耐衝撃性、耐屈曲性、耐水性、研掃性に優れている。また前記共重合体(A)はグリシジル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位(a−2)を含むため、本発明に係る防汚塗料組成物から形成される塗膜等は基材との付着性に優れる。
【0045】
防汚塗膜が、柔軟性がある骨格のみを含む樹脂から構成される場合、水中摩擦などの外力に対して粘着する作用が防汚塗膜に働き、塗膜の研掃性が損なわれるところ、前記共重合体(A)の構成単位(a−1)に含まれるスチレン骨格は、側鎖にベンゼン環を持ち適度な硬さを保有するため、スチレン骨格を含む前記共重合体(A)を含む防汚塗膜であれば物理的な研掃性が発揮される。加えて、スチレン骨格に含まれるベンゼン環は疎水性の官能基であり防汚塗膜の耐水性を向上させる効果を持ち、海水中での塗膜物性の向上に役に立つ。
【0046】
一般的に、加水分解性基を有する樹脂に加水分解性基を有さない樹脂をコールドブレンドするにつれて、これらの樹脂を含む加水分解性の防汚塗膜の研掃性は低下し、多くの場合、防汚性低下を招く恐れがあるのに対し、前記共重合体(A)は、重合体(B)の加水分解性に影響を及ぼすことなく重合体(B)を含む防汚塗膜の性能を向上させるという優れた特徴も有している。
【0047】
重合体(B)を含む防汚塗料組成物に共重合体(A)を配合することにより、塗料組成物の粘度を低減でき、防汚塗料組成物のハイソリッド化を実現できる。さらに、VOC量を低減できるため、重合体(B)に加えて共重合体(A)を含有する本発明に係る防汚塗料組成物は、環境安全性が高い。
【0048】
前記共重合体(A)は、汎用的な単量体の共重合体であるため、少ない環境負荷で、かつ低コストで製造可能である。
【0049】
共重合体(A)に含まれる前記構成単位(a−1)の割合は、10〜80重量%、好ましくは15〜75重量%、さらに好ましくは20〜70重量%である。前記割合が10重量%よりも過度に少ない場合には、該共重合体を含む防汚塗料組成物から形成された塗膜等は、耐衝撃性、耐屈曲性、耐水性に劣る。また、前記割合が80重量%よりも過度に多い場合には、該共重合体および溶剤を含む防汚塗料組成物から塗膜を形成する際に、乾燥過程においてクラックが発生しやすくなる。
【0050】
共重合体(A)に含まれる前記構成単位(a−2)の割合は、1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。前記割合が1重量%よりも過度に少ない場合には、本発明の防汚塗料組成物から形成される塗膜の基材への十分な付着性が得られず、また、本発明の防汚塗料組成物が後述する顔料を含む場合において、顔料の十分な分散性が得られない。また、前記割合が50重量%よりも過度に多いと、防汚塗料組成物が顔料を含む場合に、共重合体(A)と顔料との親和性が大きくなりすぎて防汚性能に支障をきたす場合がある。
【0051】
共重合体(A)に含まれる前記構成単位(a−3)の割合は、全構成単位の割合100重量%から前記構成単位(a−1)および前記構成単位(a−2)の割合を差し引いた値であり、0〜89重量%、好ましくは0〜84重量%、さらに好ましくは0〜79重量%である。
【0052】
前記共重合体(A)の数平均分子量は、好ましくは1,000〜50,000、より好ましくは1,000〜30,000、さらに好ましくは1,000〜15,000の範囲内である。前記数平均分子量が50,000以下であると、本発明に係る防汚塗料組成物が溶剤を含む場合であっても該組成物の揮発性有機化合物(VOC)量を400g/L以下とすることが容易であり、また、前記数平均分子量が1,000以上であると、本発明に係る防汚塗料組成物から形成される塗膜等の耐水性が優れる。この数平均分子量は、後述する実施例で採用した条件の下でのGPC測定、または同等の方法により、求めることができる。
【0053】
<重合体(B)>
前記重合体(B)は下記一般式(b1):
【0055】
(式中、Xは水素原子またはカルボキシル基であり、R
1は水素原子またはメチル基であり、R
2〜R
6は炭素数1〜6の直鎖または分岐アルキル基であって互いに同一であっても異なっていてもよく、nは0または1以上の整数である。)
で示される、トリオルガノシリルエステル基を有する単量体(以下「単量体(b1)」ともいう。)から誘導される構成単位(b−1)を含み、任意にその他のエチレン性不飽和単量体(以下「単量体(b2)」ともいう。)から誘導される構成単位(b−2)をさらに含む。
【0056】
前記単量体(b1)としては、例えば、トリプロピルシリル(メタ)アクリレート、トリイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、トリブチルシリル(メタ)アクリレート、トリイソブチルシリル(メタ)アクリレート、トリsec−ブチルシリル(メタ)アクリレート、トリ2−エチルヘキシルシリル(メタ)アクリレート、ブチルジイソプロピルシリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらの中でも、耐加水分解性の観点から、分岐アルキル基を持つアルキルシリル(メタ)アクリレートが好ましく、その中でもトリイソプロピルシリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。前記構成単位(b−1)は、1種であってもよく2種以上であってもよい。
【0057】
前記単量体(b2)としては、例えば、
(メタ)アクリル酸;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、プロポキシエチルエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソブトキシエチル(メタ)アクリレート、イソブトキシブチルジグリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;ならびに
酢酸ビニル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリロニトリル、及びプロピオン酸ビニル等のビニル系単量体
が挙げられる。前記構成単位(b−2)は、1種であってもよく2種以上であってもよい。
【0058】
前記構成単位(b−2)は、全量がこれらの単量体から誘導されていてもよく、大部分(たとえば95重量%以上)がこれらの単量体から誘導され、少量(たとえば5重量%以下)が他の単量体から誘導されていてもよい。
【0059】
重合体(B)に含まれる前記構成単位(b−1)の割合は、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは45〜75重量%である。また、重合体(B)に含まれる前記構成単位(b−2)の割合は、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%、さらに好ましくは25〜55重量%である。構成単位の割合が上記の範囲にあると、本発明に係る防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜等は、消耗性に優れ、長期にわたって防汚性に優れる。
【0060】
前記重合体(B)の数平均分子量は、好ましくは1,000〜50,000、より好ましくは1,000〜30,000、さらに好ましくは1,000〜15,000の範囲内であるのが好ましい。前記数平均分子量が50,000以下であると、本発明に係る防汚塗料組成物が溶剤を含む場合であっても該組成物の揮発性有機化合物(VOC)量を400g/L以下とすることが容易であり、また、前記数平均分子量が1,000以上であると、本発明に係る防汚塗料組成物から形成される塗膜等の耐水性が優れる。この数平均分子量は、後述する実施例で採用した条件の下でのGPC測定、または同等の方法により、求めることができる。
【0061】
<(共)重合体の製造方法>
本発明の共重合体(A)および重合体(B)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば前記単量体を上述した構成単位の割合となるように混合し、重合開始剤の存在下、60〜200℃程度の温度で重合させる方法が挙げられる。
【0062】
前記重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2'−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4'−アゾビス−4−シアノ吉草酸等のアゾ系ラジカル重合開始剤やtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ジtert−ブチルパーオキシド等の過酸化物系ラジカル重合開始剤等を使用することができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0063】
共重合体(A)および共重合体(B)のそれぞれを製造する方法としては、溶液重合、懸濁重合、加圧重合等が挙げられ、汎用性が高い点では、一般的な有機溶剤を用いて常圧下で行う溶液重合が好ましい。
【0064】
前記溶液重合に用いられる溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン等のケトン系溶剤等が挙げられ、これらの中でも、防汚塗料組成物の溶剤として汎用性が高い点ではキシレンが特に好ましい。これら溶剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
【0065】
防汚塗料組成物の長期貯蔵安定性を考慮すると、共重合体(A)と重合体(B)とは相溶していることが好ましい。これらの相溶性を確認する手法としては、以下の手法が挙げられる。
【0066】
(相溶性の確認法)
共重合体(A)と重合体(B)とを重量比で1:1の割合で混合し、そこへキシレンを共重合体(A)および重合体(B)の固形分の合計重量が30重量%になるように加えて、これらをよく撹拌する。次いで30分間の静置後、混合溶液が透明もしくは白濁していれば相溶していると判断され、2層に分離している場合相溶していないと判断される。
【0067】
<防汚剤>
前記防汚剤としては、銅または銅化合物(D)、有機防汚剤(E)などが挙げられる。
【0068】
(銅または銅化合物(D))
前記銅としては銅粉が挙げられる。また、前記銅化合物としては亜酸化銅、チオシアン酸銅、キュプロニッケルなどが挙げられ、亜酸化銅、チオシアン酸銅が特に好ましい。なお、本発明において、銅ピリチオンは、銅化合物(D)ではなく有機防汚剤(E)に分類される。前記銅または銅化合物(D)の量は、本発明に係る防汚塗料組成物の固形分の全量100重量%に対して、好ましくは0.1〜90重量%、より好ましくは1〜80重量%である。前記銅化合物は、塗料の貯蔵安定性の観点から、その総重量に基づいて2重量%以上の金属銅を不純物として含まないことが好ましい。
【0069】
なお、上記固形分(加熱残分)の値は、以下の方法または同等の方法で測定した場合の値である。成分(D)以外の成分についても同様である。
【0070】
[固形分(加熱残分)の含有率の測定条件]
直径6cmのアルミ試験皿に防汚塗料組成物をX
1(g)量り取り、均一になるように塗り広げる。それを160℃の恒温槽内で1時間加熱して揮発分を除去する。得られた不揮発分の重さ(X
2(g))を量り、下記式から固形分(加熱残分)の含有率を算出する。
【0071】
固形分(加熱残分)の含有率(%)=X
2÷X
1×100
(有機防汚剤(E))
本発明に係る防汚塗料組成物は、耐スライム性、耐藻類性を向上させる観点から、有機防汚剤(E)を含んでいてもよい。その他有機防汚剤(E)としては、銅ピリチオン、ジンクピリチオン等の金属ピリチオン類、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、ピリジントリフェニルボラン、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、(+/−)−4−[1−(2 ,3−ジメチルフェニル)エチル]−1H−イミダゾール、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメート、クロロメチル−n−オクチルジスルフィッド、N,N'−ジメチル−N'−フェニル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N,N'−ジメチル−N'−トリル−(N−フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、テトラアルキルチウラムジスルフィド、ジンクジメチルジチオカーバメート、ジンクエチレンビスジチオカーバメート、2,3ジクロロ−N−(2'、6'−ジエチルフェニル)マレイミド、2,3ジクロロ−N−(2'−エチル−6'−メチルフェニル)マレイミドなどを含有することができる。これらの中でも、銅ピリチオン、ジンクピリチオン等の金属ピリチオン類、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−ブロモ−2−(4−クロロフェニル)−5−(トリフルオロメチル)−1H−ピロール−3−カルボニトリル、ピリジントリフェニルボラン、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルSトリアジン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメートが特に好ましい。前記有機防汚剤(E)の量は、本発明に係る防汚塗料組成物の固形分(加熱残分)の全量100重量%に対して、好ましくは0.1〜90重量%、より好ましくは0.5〜80重量%である。
【0072】
<他の成分>
本発明に係る防汚塗料組成物は、塗膜消耗性の調整の観点から、好ましくはモノカルボン酸化合物(C)を含んでいる。モノカルボン酸化合物(C)としては、脂肪族または脂環式のモノカルボン酸、これらのモノカルボン酸誘導体またはこれらの金属塩などが挙げられる。その重量比率(前記共重合体(A)と前記重合体(B)との総重量/前記モノカルボン酸化合物(C)の重量)は、好ましくは99.9/0.1〜30/70、さらに好ましくは95/5〜40/60である。
【0073】
前記モノカルボン酸の例としてはロジン、ロジン誘導体、ナフテン酸、シクロアルケニルカルボン酸、ビシクロアルケニルカルボン酸、バーサチック酸、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸、ネオデカン酸、イソノナン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸およびサリチル酸ならびにこれらの金属塩が挙げられ、この中でもロジン、ロジン誘導体、ナフテン酸、バーサチック酸、トリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸ならびにこれらの金属塩が特に好ましい。
【0074】
本発明に係る防汚塗料組成物は、さらに、着色剤(F)、体質顔料(G)、脱水剤(H)、可塑剤(I)、揺変剤(たれ止め・沈降防止剤)(J)、溶剤(K)のうちいずれか1種類以上を含んでいてもよい。
【0075】
前記着色剤(F)としては、従来公知の有機系、無機系の各種顔料や染料を用いることができる。有機系顔料としては、たとえば、カーボンブラック、ナフトールレッド、フタロシアニンブルーが挙げられる。無機系顔料としては、たとえば、ベンガラ、バライト粉、チタン白、黄色酸化鉄が挙げられる。本発明に係る防汚塗料組成物が着色剤(F)を含有していると、該組成物から得られる防汚塗膜の色相を任意に調節できる点で好ましい。前記着色剤(F)の含有量は、本発明に係る防汚塗料組成物の固形分(加熱残分)の全量100重量%に対して、好ましくは0.01〜70重量%、より好ましくは0.01〜50重量%である。
【0076】
前記体質顔料(G)としては、たとえば、酸化亜鉛、タルク、シリカ、マイカ、クレー、カリ長石、また沈降防止剤としても用いられる炭酸カルシウム、カオリン、アルミナホワイト、艶消し剤としても用いられるホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウムが挙げられ、これらの中では、タルク、シリカ、マイカ、クレー、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、カリ長石からなる群から選ばれる体質顔料が好ましい。これらの体質顔料は、該組成物から得られる防汚塗膜の造膜性、耐水性、光沢性等を調節できる観点から1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。前記体質顔料(G)の含有量は、本発明に係る防汚塗料組成物の固形分(加熱残分)の全量100重量%に対して、好ましくは0.1〜90重量%、より好ましくは1〜75重量%である。
【0077】
防汚塗膜は、浸水の初期から長期間に亘って一定の割合で消耗する挙動を示すことが好ましい。消耗性が一定でない場合、塗膜の更新性が突如に上昇し、早期に防汚塗膜が消失したり、あるいは塗膜の更新性が損なわれ汚損するリスクが高まる。また、塗装する箇所により防汚性能に差異が生じ、安定した防汚性能が発揮できない恐れがある。
【0078】
本発明に係る防汚塗料組成物が顔料を含む場合には、共重合体(A)のスチレン骨格に含まれるベンゼン環は疎水性の顔料に対して吸着し、グリシジル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位(a−2)は、グリシジル基を介して該塗料組成物中に含まれる親水性の顔料に対して吸着する。このような顔料成分への吸着効果により該塗料組成物中で、共重合体(A)は良好に分散する。この効果により、重合体(B)に加えて共重合体(A)を含む防汚塗料組成物から形成された塗膜は、均一な組成を有し、一定の速度で消耗することができる。
【0079】
前記脱水剤(H)としては、好ましくは、無機系脱水剤として合成ゼオライト及び無水石膏・半水石膏が挙げられ、有機系脱水剤としてテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン類またはその縮合物であるポリアルコキシシラン類、オルト蟻酸メチル、オルト蟻酸エチル等のオルト蟻酸アルキルエステル類が挙げられる。これら脱水剤(H)は、該防汚塗料組成物の貯蔵時において生成される水分が原因で、加水分解樹脂の分解が起こり塗料がゲル化する等を防止することを目的に用いられる。前記脱水剤(H)の含有量は、本発明に係る防汚塗料組成物の固形分(加熱残分)の全量100重量%に対して、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.01〜30重量%である。
【0080】
前記可塑剤(I)としては、塩素化パラフィン(「塩化パラフィン」ともいう。)、石油樹脂類、ケトン樹脂、TCP(トリクレジルフォスフェート)、ポリビニルエチルエーテル、ジアルキルフタレート等が挙げられ、これらの中でも塩素化パラフィン、石油樹脂類およびケトン樹脂が好ましい。これらの可塑剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明に係る防汚塗料組成物が可塑剤(I)を含有していると、該防汚塗料組成物から形成される塗膜(防汚塗膜)の耐クラック性が更に向上する点で好ましい。
【0081】
前記塩素化パラフィンとしては、直鎖状でもよく分岐を有していていてもよく、室温で液状でも固体(粉体)でもよいが、1分子中の平均炭素数が通常8〜30、好ましくは10〜26のものが好ましく用いられ、数平均分子量が通常200〜1200、好ましくは300〜1100であり、粘度が通常1以上(ポイズ/25℃)、好ましくは1.2以上(ポイズ/25℃)であり、比重が1.05〜1.80/25℃、好ましくは1.10〜1.70/25℃のものが好ましく用いられる。このような平均炭素数の塩素化パラフィンを用いると、得られる防汚塗料組成物を用いて割れ(クラック)、剥がれの少ない塗膜を形成できる。
【0082】
また、この塩素化パラフィンの塩素化率(塩素含有量)は、好ましくは35〜75%、さらに好ましくは35〜65%である。このような塩素化率の塩素化パラフィンを用いると、得られる防汚塗料組成物を用いて割れ(クラック)、剥がれの少ない塗膜を形成できる。
【0083】
前記塩素化パラフィンとしては、市販品であれば東ソー(株)製の「トヨパラックス150」、「トヨパラックスA−70」などが挙げられる。
【0084】
また、前記石油樹脂類としては、たとえば、C5系、C9系、スチレン系、ジシクロペンタジエン系のものやそれらの水素添加物が挙げられ、市販品であれば、日本ゼオン製の「クイントン1500」、「クイントン1700」などが挙げられる。
【0085】
前記可塑剤(I)の含有量は、本発明に係る防汚塗料組成物の固形分(加熱残分)の全量100重量%に対して、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.01〜30重量%である。
【0086】
前記揺変剤(たれ止め・沈降防止剤)(J)としては、
有機粘土系Al、Ca、Znのアミン塩、ステアレート塩、レシチン塩およびアルキルスルホン酸塩からなる群から選択される塩類(j1);
ポリエチレンワックス、アマイドワックス、水添ヒマシ油ワックス系、ポリアマイドワックス系からなる群から選択される有機ワックス系(j2);
両者((j1)及び(j2))の混合物(j3);および
合成微粉シリカ(j4)
が挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。揺変剤(たれ止め・沈降防止剤)(J)は、該防汚塗料組成物の貯蔵時における前記銅または銅化合物(D)、有機防汚剤(E)、着色剤(F)、体質顔料(G)、脱水剤(H)等固形材料の沈殿防止や、塗装時における塗装作業性向上を目的に用いられる。前記揺変剤(たれ止め・沈降防止剤)(J)の含有量は、本発明に係る防汚塗料組成物の固形分(加熱残分)の全量100重量%に対して、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.01〜30重量%である。
【0087】
本発明の防汚塗料組成物は、重合体(B)への共重合体(A)などの分散性を向上させたり、該組成物の粘度を調整したりするために、必要に応じて、水または有機溶剤等の溶剤(K)を含んでいてもよい。前記溶剤(K)は、共重合体(A)または重合体(B)を調製する際に使用した溶剤であってもよく、共重合体(A)および重合体(B)と必要に応じてその他の成分とを混合して本発明に係る防塗料組成物を調製する際に、別途添加された溶剤であってもよい。
【0088】
前記有機溶剤としては、たとえば、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;エタノール、イソプロピルアルコール,ブタノール、イソブタノール等の脂肪族(炭素数1〜10、好ましくは2〜5程度)の1価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;が挙げられる。
【0089】
前記溶剤(K)の含有量は、本発明に係る防汚塗料組成物の固形分(加熱残分)の全量100重量%に対して、通常0〜80重量%、好ましくは10〜60重量%である。
【0090】
前記共重合体(A)と前記重合体(B)の合計重量は、本発明に係る防汚塗料組成物の固形分(加熱残分)の全量100重量%に対して、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。前記合計重量がこの範囲にあると、前記溶剤を含有する防汚塗料組成物から形成された塗膜を乾燥させた際に塗膜にクラック等の不良が生じ難い。
【0091】
本発明に係る防汚塗料組成物としては、好ましくは、固形分含有量が70重量%以上であり、25℃条件下でストーマー粘度計にて測定された塗料粘度(KU値)が70〜110であるものが挙げられる。
【0092】
<防汚塗料組成物の製造方法>
本発明に係る防汚塗料組成物は、前記共重合体(A)および前記重合体(B)を用いる点を除けば、公知の方法を適宜利用して製造することができる。たとえば、共重合体(A)と、重合体(B)と、必要に応じて他の成分(たとえば、成分(C)〜成分(K)から選ばれる成分)とを、一度にあるいは任意の順序で攪拌容器に添加し、公知の攪拌・混合手段で各成分を混合して、溶剤中に分散または溶解させて製造してもよい。
【0093】
また、溶剤中に、各成分を分散または溶解させた後に、アマイドワックス(たとえば、ディスパロン630−20X等)を添加し、分散(たとえば、10〜20分間程度の撹拌により分散)させて、防汚塗料組成物を調製することが好ましい。得られた防汚塗料組成物を基材に塗付した際に、タレの発生を低減できるためである。
【0094】
攪拌・混合手段としては、ハイスピードディスパー、サンドグラインドミル、バスケットミル、ボールミル、三本ロール、ロスミキサー、プラネタリーミキサー、万能品川攪拌機などが挙げられる。
【0095】
[防汚塗料組成物の用途]
本発明に係る防汚塗膜は、本発明に係る防汚塗料組成物から形成される。
【0096】
また、本発明に係る防汚基材は、基材と、該基材の表面に設けられた本発明に係る防汚塗膜とを有する。
【0097】
本発明に係る防汚基材の製造方法は、本発明に係る防汚塗料組成物を、基材(目的物、被塗装物)に、塗付するかまたは含浸させる工程を含み、さらに該組成物が溶剤を含む場合には、基材に塗付または含浸された塗料組成物から溶剤を除去する工程をさらに含んでいる。前記の塗付には、たとえばエアスプレー、エアレススプレー、刷毛、ローラー等の塗装手段を用いることができ、前記の溶剤の除去には、たとえば自然乾燥(すなわち、室温程度の温度での放置)、ヒーター等の加熱手段を用いることができる。
【0098】
前記基材としては、特に限定されないが、好ましくは、海水または淡水に接触する基材が挙げられ、具体的には、各種発電所(火力、原子力)の給排水口や、湾岸道路、海底トンネル、港湾設備または運河・水路等の各種海洋・河川土木工事において使用される汚泥拡散防止膜等の水中構造物、FRP船等の船舶(特に船舶の喫水部から船底部分)、漁業資材(ロープ、魚網等の漁具、浮き子またはブイなど)が挙げられる。
【0099】
それら基材の材質としては、船舶では、鋼、アルミニウム、木材などが挙げられ、魚網等では、天然・合成繊維が挙げられ、浮き子、ブイ等では、合成樹脂が挙げられ、水中にあって防汚性等が求められる基材である限り、その材質は、特に限定されない。
【0100】
これらの基材の表面(基材が船底等の場合には、通常、鋼製基材の表面に防錆塗料等のプライマーを下塗りした後のプライマー処理基材の表面)に、上述したような方法で、1回または複数回、本発明に係る防汚塗料組成物(防汚塗料)を塗付し、または基材が魚網等の場合には基材に本発明に係る防汚塗料組成物(防汚塗料)を含浸させ、必要に応じて、塗付または含浸させた防汚塗料組成物を、溶剤を除去するなどして硬化させて防汚塗膜を形成すると、アオサ、フジツボ、アオノリ、セルプラ、カキ、フサコケムシ等の水棲生物の付着を長期間に亘って防止する特性(防汚性、特に静置防汚性)に優れ、防汚成分(例、銅化合物(D成分)、有機防汚剤(E成分))を長期に亘って徐放することができる。
【0101】
また、基材が船舶(特にその船底)、水中構造物等の場合には通常、基材表面がプライマー処理されていたり、基材表面にエポキシ樹脂塗料、ビニル樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、の何れから形成された層を有する場合もある。その基材表面に、本発明に係る防汚塗料組成物を複数回塗付(厚塗り:乾燥膜厚100〜600μm程度)して得られる防汚塗膜は、優れた防汚性とともに、適度な可撓性および優れた耐クラック性をバランスよく発揮する。
【0102】
前記防汚基材を製造するに当たって、基材が魚網や劣化した防汚塗膜を有する鋼板の場合には、基材表面に本発明の防汚塗料組成物を直接塗付あるいは含浸(魚網等の場合)してもよく、また、基材が鋼板生地の場合には、基材表面に防錆剤やプライマーなどの下地材を予め塗付して下地層を形成した後に、該下地層の表面に本発明の塗料組成物を塗付してもよい。また、本発明の防汚塗膜または従来の防汚塗膜が形成された基材の表面に、補修を目的として、本発明の防汚塗膜をさらに形成してもよい。
【0103】
本発明に係る防汚塗膜の厚さは、特に限定されないが、基材が船舶や水中構造物である場合、たとえば、30〜1000μm程度である。
【0104】
また、基材上に前記防汚塗料組成物を塗付して防汚塗膜を形成する場合には、1回の塗装で形成される防汚塗膜の厚さ(前記防汚塗料組成物が溶剤を含む場合であれば、溶剤除去後の塗膜の厚さ)は、特に限定されないが、基材が船舶や水中構造物である場合、たとえば、30〜250μm程度である。
【0105】
このように、本発明の防汚塗膜を有する水中構造物は、長期間に亘って水棲生物の付着を防止できることに起因して、水中構造物の機能を長期間維持できる。また、本発明の防汚塗膜を有する魚網は、環境汚染の恐れが少ない上に、水棲生物の付着を防止できることに起因して網目の閉塞を防止できる。
【実施例】
【0106】
以下、実施例および比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0107】
(共)重合体および(共)重合体溶液に対して加熱残分の含有率、粘度、GPCの測定を行った。各測定条件は以下の通りである。
【0108】
[加熱残分の含有率測定条件]
直径6cmのアルミ試験皿に(共)重合体溶液をX
1(g)量り取り、均一になるように塗り広げた。それを160℃の恒温槽内で1時間加熱して揮発分を除去した。得られた不揮発分の重さ(X
2(g))を量り、下記式から加熱残分の含有率を算出する。
【0109】
加熱残分の含有率(%)=X
2÷X
1×100
[粘度測定条件]
装置: E型粘度計 (東機産業(株)社製)
測定温度: 25℃
[GPC測定条件]
装置: HLC−8120GPC (東ソー(株)社製)
カラム: SuperH2000+SuperH4000 (共に東ソー(株)社製、6mm(内径)×15cm(長さ))
溶離液: THF (テトラヒドロフラン)
流速: 0.500ml/min
検出器: RI
カラム恒温槽温度: 40℃
標準物質: ポリスチレン
<製造例1 (共重合体(A)の溶液の製造)>
攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管および滴下装置を備えた反応容器にキシレン66.66部を仕込み、窒素雰囲気下で液温が110℃になるよう加熱攪拌を行なった。同条件を保持しつつ滴下装置より、反応容器内にモノマー類(スチレン 50部、グリシジルメタクリレート 10部、メタクリル酸メチル 15部、ブチルアクリレート 25部)と重合開始剤(2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル 1.5部、tert−ブチルパーオキシベンゾエート 1部)との混合物を3時間かけて滴下し、次いで同温度で1時間、120℃で1時間、130℃で1時間加熱攪拌を続けた後、反応容器にキシレン15.16部を加えて共重合体(A)−1の溶液(以下「共重合体溶液(A)−1」ともいう。)を得た。
【0110】
モノマー類を表1に記載のとおり変更した以外は上記同様の操作を行い、他の共重合体(A)溶液(共重合体溶液(A)−2〜共重合体溶液(A)−13)を作製した。その性状値を表1に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
<製造例2 (共重合体(B)の溶液の製造)>
攪拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管および滴下装置を備えた反応容器にキシレン53部を仕込み、窒素雰囲気下で液温が85℃になるよう加熱攪拌を行なった。同条件を保持しつつ滴下装置より、反応容器内にモノマー類(トリイソプロピルシリルアクリレート 60部、メチルメタクリルレート 40部)と重合開始剤(2,2'−アゾビスイソブチロニトリル 0.5部)との混合物を4時間かけて滴下し、次いで同温度で1時間加熱攪拌を続けた後、反応容器にtert−ブチルパーオキシベンゾエート 0.5部を加えた。次いで、液温90℃で1時間、100℃で1時間、110℃で1時間、120℃で1時間加熱攪拌を続けた後、反応容器にキシレン28.8部を加えて共重合体(B)−1の溶液(以下「共重合体溶液(B)−1」ともいう。)を得た。
【0113】
モノマー類を表2に記載のとおり変更した以外は上記同様の操作を行い、他の共重合体(B)溶液(共重合体溶液(B)−2〜共重合体溶液(B)−4)を作製した。その性状値を表2に示す。
【0114】
【表2】
【0115】
<防汚塗料組成物の調製>
(実施例1)
防汚塗料組成物を以下のようにして調製した。
【0116】
まず、容量1000mlのポリ容器内で溶剤キシレン(14.1部)とトリメチルイソブテニルシクロヘキセンカルボン酸(9.0部)とを配合し、該カルボン酸が均一に溶解するまでこれらをペイントシェーカーで攪拌した。得られた溶液に、共重合体溶液(A)−1(8.2部)、共重合体溶液(B)−1(8.2部)を添加しこれらを均一に混ざるまで攪拌し、次いで、さらに酸化亜鉛(4.0部)、亜酸化銅NC301(44部)、ナフトールレッド(2.5部)、チタン白R−5N(1.5部)、銅ピリチオン(3.0部)、沈降防止剤ディスパロン4200−20X(2.0部)、焼石膏FT−2(1.0部)を添加し、ガラスビーズ200部を添加し、これらを1時間撹拌して分散させた。得られた分散液に、タレ止め剤ディスパロン630−20X(2.5部)を添加し、これらを、20分間撹拌して分散させた後、80メッシュのろ過網でろ過し防汚塗料組成物を調製した。
【0117】
(実施例2〜18)
配合量および共重合体溶液の種類を表3に示したように変更した以外は実施例1と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。
【0118】
【表3】
【0119】
(比較例1〜6)
配合量および共重合体溶液の種類を表4に示したように変更した以外は実施例1と同様にして、防汚塗料組成物を調製した。
【0120】
【表4】
【0121】
表4:比較例配合表
なお、実施例および比較例で使用された成分の詳細は以下のとおりである。
【0122】
【表5】
【0123】
<防汚塗料組成物の物性評価>
実施例1〜18および比較例1〜6の防汚塗料組成物ならびにそれらを用いて形成した塗膜の物性は、以下のように評価した。得られた結果を表6に示す。
【0124】
(1)塗料粘度測定
JIS K−5600−2−2の規定に従ってストーマー粘度計で測定した。
【0125】
ストーマー粘度計:コーティングテスター工業製ストーマー粘度計
設定温度 :25℃±0.5℃
サンプル量 :500ml
おもり :75g〜1000g
(2)防汚塗膜の促進劣化試験
150×70×1.6mmのサンドブラスト処理鋼板に、エポキシ系塗料(中国塗料(株)製"バンノー500")を乾燥膜厚150μm、エポキシ系バインダー塗料(中国塗料(株)製"バンノー500N")を乾燥膜厚100μmとなるように、この順序で1日毎に塗装した後、該エポキシ系バインダー塗料から形成された塗膜の表面に、実施例または比較例で調製した防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が150μmとなるように塗付し、試験板を作成した。1種の防汚塗料組成物につき2つの試験板を作成した。
【0126】
前記試験板を23℃で7日間かけて乾燥させ、1つの試験板を50℃の天然海水に、もう1つの試験板を50℃の水道水に浸漬し、それぞれ1ヶ月毎に塗膜外観を調査し、これを4ヶ月間実施した。なお、天然海水及び水道水は1週間ごとに新鮮なものと入れ替えた。
【0127】
塗膜のクラックについては、50℃の海水に浸漬した試験板を用いてJIS K5600−8−4に準拠して評価し、ブリスターについては50℃の水道水に浸漬した試験板を用いて目視にて評価した。
【0128】
評価基準:
<クラック性>
0/10倍に拡大しても視感できない
1/10倍に拡大すれば視感できる
2/正常に補正された視力でやっと認識できる
3/正常に補正された視力で明らかに認識できる
4/一般的に幅1mmに達する大きな割れ
5/一般的に幅1mmを超える非常に大きな割れ
<ブリスター性>
0/外観に異常なし
1/ブリスターが1〜5個存在する
2/ブリスターが5個以上存在する
(3)静置防汚性試験
100×300×3.2mmのサンドブラスト処理鋼板に、エポキシ系塗料(中国塗料(株)製"バンノー500")を乾燥膜厚150μm、エポキシ系バインダー塗料(中国塗料(株)製"バンノー500N")を乾燥膜厚100μmとなるように、この順序で1日毎に塗装した後、該エポキシ系バインダー塗料から形成された塗膜の表面に、ついで実施例または比較例で調製した防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が150μmとなるように塗装間隔1日で塗付し、試験板を作成した。
【0129】
前記試験板を23℃で7日間かけて乾燥させ、長崎県長崎湾に静置浸漬し、1ヶ月毎の付着生物の付着面積を目視により計測し、下記評価基準に基づき評価を行なった。
【0130】
<評価基準>
0 : 水生生物の付着無し
0.5: 水生生物の付着面積が0%を超え10%以下
1 : 水生生物の付着面積が10%を超え20%以下
2 : 水生生物の付着面積が20%を超え30%以下
3 : 水生生物の付着面積が30%を超え40%以下
4 : 水生生物の付着面積が40%を超え50%以下
5 : 水生生物の付着面積が50%を超える
(4)塗膜消耗性
実施例および比較例で得られた各防汚塗料組成物を硬質塩化ビニル板(50mm×50mm×1.5mm)に乾燥膜厚150μmになるようにアプリケーターで塗付し乾燥させて、試験板を作製した。
【0131】
得られた試験板を、回転ドラムに取り付け、該回転ドラムを海水中に浸漬して、海水温度30℃の条件下で周速15ノットで回転させ、1ヶ月毎の消耗膜厚を測定した。また、浸漬開始から12ヶ月後における塗膜外観を観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
【0132】
評価基準:外観 ○/外観に異常無し
×/クラックが発生
【0133】
【表6】
【0134】
【表7】
【0135】
【表8】