特許第5989240号(P5989240)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989240粒子検出センサの機能監視方法及び粒子検出センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989240
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】粒子検出センサの機能監視方法及び粒子検出センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/06 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   G01N15/06 D
【請求項の数】33
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-517680(P2015-517680)
(86)(22)【出願日】2013年6月12日
(65)【公表番号】特表2015-520387(P2015-520387A)
(43)【公表日】2015年7月16日
(86)【国際出願番号】EP2013062151
(87)【国際公開番号】WO2013189806
(87)【国際公開日】20131227
【審査請求日】2014年12月19日
(31)【優先権主張番号】102012210525.5
(32)【優先日】2012年6月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ゲアトナー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス クレンク
(72)【発明者】
【氏名】カローラ ヘアヴェーク
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ベッセン
【審査官】 北川 創
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0109331(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0314899(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0196499(US,A1)
【文献】 特開2011−080439(JP,A)
【文献】 特開2012−037373(JP,A)
【文献】 特開2012−077716(JP,A)
【文献】 特開2013−011605(JP,A)
【文献】 特表2008−547032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/06
G01N 27/04
F01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
を検出するセンサ(10)の機能監視のための方法であって、
前記センサ(10)は、電気絶縁材料からなる基板(18)上に配置された少なくとも2つの測定電極(20)と加熱要素(14)とを含んでいる方法において、
以下のステップ、すなわち、
前記加熱要素(14)によって前記センサ(10)を加熱して前記センサ(10)の第1の温度(42)のもとで第1の測定量を求めるために前記2つの測定電極(20)間における第1の電流−電圧測定を実施するステップと、
前記センサ(10)の温度が前記第1の温度(42)よりも低い第2の温度(60)に低下したときに当該第2の温度(60)のもとで第2の測定量を求めるために前記2つの測定電極(20)間における第2の電流−電圧測定を実施するステップと、
前記第1の測定量と前記第2の測定量とから差分値を形成し、当該差分値に基づいてシャント電流をオフセットとして除外するステップとを、
含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2の電流−電圧測定は、前記第1の測定量が所定の閾値を下回った場合にのみ実施される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2の温度(60)は、前記第1の温度(42)よりも低い、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記第2の温度(60)は、前記第1の温度(42)よりも、80℃乃至220℃だ低い、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第2の温度(60)は、前記第1の温度(42)よりも100℃乃至200℃だけ低い、請求項4記載の方法
【請求項6】
前記第2の温度(60)は、前記第1の温度(42)よりも120℃乃至180℃だけ低い、請求項4記載の方法
【請求項7】
前記第2の電流−電圧測定は、時間的に前記第1の電流−電圧測定の後で実施される、請求項1からいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第2の電流−電圧測定は、前記第1の電流−電圧測定から1秒乃至20秒に実施される、請求項記載の方法。
【請求項9】
前記第2の電流−電圧測定は、前記第1の電流−電圧測定から1秒乃至15秒後に実施される、請求項8記載の方法
【請求項10】
前記第2の電流−電圧測定は、前記第1の電流−電圧測定から1秒乃至12秒後に実施される、請求項8記載の方法
【請求項11】
前記第1の電流−電圧測定及び/又は前記第2の電流−電圧測定は、100ミリ秒乃至500ミリ秒の期に亘って実施される、請求項1から10いずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記第1の電流−電圧測定及び/又は前記第2の電流−電圧測定は、200ミリ秒乃至400ミリ秒の期間に亘って実施される、請求項11記載の方法
【請求項13】
前記第1の電流−電圧測定及び/又は前記第2の電流−電圧測定は、250ミリ秒乃至350ミリ秒の期間に亘って実施される、請求項11記載の方法
【請求項14】
前記センサ(10)の機能性を判定するための閾値として、前記第1の測定量と前記第2の測定量との間の差分値に、0.1μA乃至0.6μAのが定められる、請求項1から13いずれか1項記載の方法。
【請求項15】
前記センサ(10)の機能性を判定するための閾値として、前記第1の測定量と前記第2の測定量との間の差分値に、0.15μA乃至0.35μAの値が定められる、請求項14記載の方法
【請求項16】
前記センサ(10)の機能性を判定するための閾値として、前記第1の測定量と前記第2の測定量との間の差分値に、0.2μA乃至0.3μAの値が定められる、請求項14記載の方法
【請求項17】
前記第1の温度(42)は、20秒乃至80秒の期間にわたって、一定に維持され、前記第1の電流−電圧測定は、前記期間の終了時に測定される、請求項1から16いずれか1項記載の方法。
【請求項18】
前記第1の温度(42)は、30秒乃至60秒の期間にわたって、一定に維持される、請求項17載の方法
【請求項19】
前記第1の温度(42)は、40秒乃至50秒の期間にわたって、一定に維持される、請求項17記載の方法
【請求項20】
前記第1の測定量に対する閾値は、1.5μA乃至2.5μの電流(38)である、請求項1から19いずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記第1の測定量に対する閾値は、1.7μA乃至2.3μAの電流(38)である、請求項20記載の方法
【請求項22】
前記第1の測定量に対する閾値は、1.8μA乃至2.2μAの電流(38)である、請求項20記載の方法
【請求項23】
前記第1の温度(42)は、700℃乃至860であり、前記第2の温度(60)は、560℃乃至700である、請求項1から22いずれか1項記載の方法。
【請求項24】
前記第1の温度(42)は、740℃乃至820℃である、請求項23記載の方法
【請求項25】
前記第1の温度(42)は、760℃乃至800℃である、請求項23記載の方法
【請求項26】
前記第2の温度(60)は、600℃乃至660℃である、請求項23記載の方法
【請求項27】
前記第2の温度(60)は、620℃乃至640℃である、請求項23記載の方法
【請求項28】
前記電流−電圧測定は、7V乃至10Vの測定電圧(54)を含む、請求項1から27いずれか1項記載の方法。
【請求項29】
前記電流−電圧測定は、7.5V乃至9Vの測定電圧(54)を含む、請求項28記載の方法
【請求項30】
前記粒子は、煤粒子である、請求項1から29いずれか1項記載の方法
【請求項31】
を検出するセンサ(10)であって、
前記センサ(10)は、電気絶縁材料からなる基板(18)上に配置された少なくとも2つの測定電極(20)と、加熱要素(14)と、制御部(25)とを含んでおり、
前記制御部(25)は、請求項1から30いずれか1項記載の方法を実施するように構成されていることを特徴とするセンサ(10)。
【請求項32】
前記測定電極(20)は、櫛形電極(22)として構成されている、請求項31記載のセンサ(10)。
【請求項33】
前記粒子は、内燃機関の排ガス流内の煤粒子である、請求項31又は32記載のセンサ(10)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子検出センサの機能監視方法及び粒子検出センサに関している。
【背景技術】
【0002】
従来技術からは、煤粒子や埃粒子などの粒子を検出するための方法および装置が数多く知られている。従って本発明は、以下ではさらなる実施形態やさらなる用途を特に限定することなく、特に粒子であって、とりわけ内燃機関の排ガス流中の煤粒子を検出するためのセンサに関連させて説明する。
【0003】
実際には、セラミック上に配置された2つの電極を用いて、粒子の濃度、例えば排ガス中の煤埃粒子のような粒子の濃度を測定することが公知である。このことは、例えば2つの電極を分離させるセラミック材料の電気抵抗を測定することによって行われる。この種のセンサは、例えば、ディーゼル機関のような内燃機関の排気管に使用されている。通常この種のセンサは、内燃機関やディーゼル粒子フィルタの下流側に配置されている。環境意識の高まりや一部の法的規制に起因して、将来的には、自動車の走行動作中にも煤の排出が監視され、そのような監視の機能性も保証されなければならなくなるであろう。このような機能性の監視方式は、一般にオンボード診断と呼ばれている。さらに、システムの高い安全性と、少ない効率で、低燃費の再生サイクルを達成しつつ、低コストなフィルタ材料、例えばコージライトも使用できるようにするために、ディーゼル粒子フィルタの負荷予測も重要である。これに対する1つの手段としては、抵抗性の煤センサがあり、このセンサは、櫛形電極構造部の煤の堆積に基づく抵抗変化を煤検出のために用いている。その機能性に基づいて前記抵抗性煤センサは、収集原理方式に分類される。このような煤センサは、例えば独国特許出願公開DE 101 49 333 A1明細書又は国際公開第2003/006976号パンフレットから公知である。
【0004】
そのような導電性粒子のための抵抗性粒子センサでは、2つ以上の金属電極が電気絶縁性の基板上に形成され、その際電気的測定電圧の影響下で、堆積した粒子、特に煤粒子が、櫛形に相互に嵌合する形態の電極を短絡させ、それらのセンサ電極の間で、減少する抵抗ないしは増加する電流が一定の印加電圧のもとで測定され得る。煤が堆積した後のセンサ素子の再生のためには、当該センサ素子が、統合された加熱要素の支援でもって自由燃焼される。センサ信号の評価は、システム内で、生排気モデルを援用した信号特性モデルから求められた目標トリガ時間と実際のセンサトリガ時間との比較によって行われる。
【0005】
フィールドにおいて電極の機能性とセンサの機能性を監視するために、電極において再生過程終了時に測定電圧が印加される。それにより、少なくともナトリウムの形態の不純物に起因してイオン流が生じる。このイオン流が所定の閾値を越えれば、電極は正常であるとみなされる
【0006】
粒子を検出するための従来技術から既知の方法および装置の多くの利点にもかかわらず、これらには依然として改善の余地が含まれる。したがって、上記したような形態の自己診断は、安定性の経年劣化のみに限られる。これまで、電極測定セルの固有導電率は、所定の温度のもとで、原則として一度だけ測定されてきた。しかしながら一般に、センサの経年劣化に伴って、自己診断電流の減少が伴う。それにより、センサの所定の経年劣化の時点から、センサの故障に帰結されることなく自己診断電流が閾値を下回るようになる。2μΑ未満の電流が測定されるセンサは、例えばこれまでの多くのケースにおいて欠陥品とみなされてきた。なぜなら1.5μΑまでは分流ないしシャントに起因する可能性があるからである。従って所定の経年劣化の時点からは、閾値の下回りがもはや経年劣化に基づいて引き起こされたものなのか欠陥に基づいて引き起こされたものなのかを区別することが困難になる。
【0007】
発明の開示
したがって、本発明の課題は、粒子、特に煤粒子を検出するセンサの機能監視のための方法、並びに粒子、特に煤粒子を検出するセンサにおいて、公知方法および装置における欠点を少なくとも大幅に回避し、かつ、それらの例えば分流ないしシャントに係る部分をオフセットとして除外することができるように改善を行うことである。
【0008】
本発明によれば、粒子、特に煤粒子を検出するセンサの機能監視のための方法であって、前記センサが電気絶縁材料からなる基板上に配置された少なくとも2つの測定電極と加熱要素とを含んでいる方法において、以下のステップを含む、すなわち、
第1の測定量を求めるために第1の温度のもとで第1の電流−電圧測定を実施するステップと、
第2の測定量を求めるために第2の温度のもとで第2の電流−電圧測定を実施するステップと、
前記第1の測定量と前記第2の測定量とから差分値を形成するステップとを含む。
【0009】
前記第2の電流−電圧測定は、例えば、条件付きで若しくは無条件で実施されてもよい。そのため、第2の電流−電圧測定は、例えば、所定の条件が満たされている場合にのみ、例えば、第1の電流−電圧測定が実施された後でチェックされる条件を満たしている場合にのみ実施するようにしてもよい。例えば、第2の電流−電圧測定は、第1の測定量が所定の閾値に達した場合及び/又は所定の閾値を下回った場合にのみ実施されてもよい。
【0010】
前記第2の温度は、前記第1の温度より低くてもよい。前記第2の温度は、80℃乃至220℃だけ、有利には100℃乃至200℃だけ、特に有利には120℃乃至180℃だけ、例えば150℃だけ、第1の温度より低くてもよい。前記第2の電流−電圧測定は、時間的に前記第1の電流−電圧測定の後で行うことができる。例えば、前記第2の電流−電圧測定は、前記第1の電流−電圧測定から0.5秒乃至20秒後に実施することができる。好ましくは前記第2の電流−電圧測定は、前記第1の電流−電圧測定から有利には1秒乃至20秒後、有利には1秒乃至15秒後、特に有利には1秒乃至12秒後に実施することができ、例えば第1の電流−電圧測定後10秒以内に実施することが可能である。
【0011】
前記第1の電流−電圧測定及び/又は前記第2の電流−電圧測定は、それぞれ100ミリ秒乃至500ミリ秒の期間、好ましくは200ミリ秒乃至400ミリ秒の期間、より好ましくは250ミリ秒乃至350ミリ秒の期間にわたって実施されてもよく、例えば300ミリ秒の期間に亘って実施され得る。
【0012】
前記第1の電流−電圧測定及び/又は第2の電流−電圧測定は、それぞれ単一で行ってもよいし、繰り返し行ってもよい。また上述した差分値は、例えば、時間的に相前後する電流−電圧測定から求められた複数の測定量間で形成されてもよいし、時間的に相前後していない電流−電圧測定から求められた複数の測定量間で形成されてもよい。
【0013】
センサの機能性を判定するための閾値として、前記第1の測定量と前記第2の測定量との間の差分値に、0.1μA乃至0.6μAの値、有利には0.15μA乃至0.35μAの値、特に有利には0.2μA乃至0.3μaの値が定められ、例えば一例として0.25μAの値が定められる。また前記第1の温度は、20秒乃至80秒の期間にわたって、有利には30秒乃至60秒の期間にわたって、特に有利には40秒乃至50秒、例えば45秒の期間にわたって、実質的に一定に維持され得る。その際前記第1の電流−電圧測定は前記期間の終了時に測定される。第1の測定量に対する閾値は、1.5μA乃至2.5μAの電流、有利には1.7μA乃至2.3μAの電流、特に有利には1.8μA乃至2.2μAの電流、例えば2μAの電流であってもよい。前記第1の温度は、700℃乃至860℃、有利には740℃乃至820℃、特に有利には760℃乃至800℃、例えば785C°であってもよい。この場合の第2の温度は、560℃乃至700℃、有利には600℃乃至660℃、特に有利には620℃乃至640℃、例えば635℃であってもよい。前記電流−電圧測定は、7V乃至10Vの測定電圧、有利には7.5V乃至9Vの測定電圧、例えば8.5Vの測定電圧を含んでいてもよい。
【0014】
本発明による、粒子、特に内燃機関の排ガス流内の煤粒子を検出するセンサは、電気絶縁材料からなる基板上に配置された少なくとも2つの測定電極と、加熱要素と、制御部とを含んでおり、この場合前記制御部は、請求項1から12いずれか1項記載の方法を実施するように構成されている。
【0015】
前記測定電極は、特に櫛形電極として、構成されていてもよい。すなわち前記測定電極は、それらが相互に係合するすだれ状の電極、例えば2つ以上の相互に係合する櫛形構造で構成していてもよい。
【0016】
前記粒子とは、本発明の主旨においては、特に導電性の粒子、例えば、煤や埃と理解されたい。
【0017】
また前記測定電極とは、本発明の枠内では、電流若しくは電圧の測定に適している電極と理解されたい。
【0018】
さらに前記電気絶縁材料とは、本発明の枠内では、例えばセラミックのような、電流通流を阻止するのに適した任意の材料と理解されたい。
【0019】
電流−電圧測定とは、本発明の枠内では、その間に測定電極に所定の電圧が印加され、測定電極間の電流が測定されるか、又は、その間に測定電極に所定の電流が供給され、測定電極間の電圧が測定されるような測定を意味するものと理解されたい。前記電流電圧測定は、特に抵抗測定であってもよい。その際には、測定電極と基板とによって形成された構造部の抵抗が測定されてもよい。またその際には、例えば電圧が開ループ制御若しくは閉ループ制御された測定、及び/又は、電流が開ループ制御若しくは閉ループ制御された測定が行なわれてもよい。電流及び/又は電圧の印加は、連続した信号の形態、及び/又はパルス状の信号の形態で行われてもよい。それにより、例えば、直流電圧及び/又は直流電力を印加し、電流応答値ないし電圧応答値を検出してもよい。あるいは、パルス状の電流及び/又はパルス状の電圧を印加し、電流応答値ないし電圧応答値を検出してもよい。
【0020】
本発明の枠内では、測定量とは、電流−電圧測定によって求められた特性量と理解されたい。この測定量は、対応する電流または対応する電圧であり得る。また、そこから導出される電気抵抗値を前記特性量として用いることも可能である。
【0021】
実質的に温度の一定維持とは、本発明の枠内では、温度を、予め定めた期間にわたって、予め定めた値に維持することを意味するものと理解されたい。この温度は最大で15℃の偏差、有利には最大で5℃の偏差を含み得る。
【0022】
前記電流−電圧測定を前記期間の終了時に実施するとは、本発明の枠内では、電流−電圧測定を次のように実施することを意味するものと理解されたい。すなわち、前記電流−電圧測定を、実質的に所定の期間と同時に、すなわち最大でも1秒の時間的ずれしか伴わずに終了することを意味する。
【0023】
前記制御部とは、本発明の枠内では、本発明による方法を実施するのに適している任意の機器であって、その際には相応の開ループ制御過程及び/又は閉ループ制御過程が実施される機器を意味するものと理解されたい。前記制御部は、センサに対応付けられた固有の制御部であってよいし、内燃機関の制御ユニットの一部、例えば内燃機関、特にディーゼル機関のエンジンの制御システムの一部であってもよい。
【0024】
前記櫛形電極とは、本発明の枠内では、互いに係合する、とりわけ櫛歯状に配置された電極と理解されたい。
【0025】
本発明の枠内においては、内燃機関の運転に係る電子制御系ソフトウェアの動作ストラテジと適応化の変更が提案されており、そこでは、電極自己診断による寿命の大幅改善が提案されている。とりわけ異なる温度のもとでの電極測定セルの固有導電率の二回の測定と差分値の考慮とによって、シャント−オフセット電流を消去し、評価限界を引き上げることが試みられる。前述したような従来技術と比較して、ここでは、評価基準として2つの電流値又は2つの電圧値の間の差分値が用いられる。この差分値形成のもとでは、シャントに係る部分がオフセットとして除外できるので、センサの機能性に対する閾値を大幅に低減させること、例えば0.25μΑまで低減させることができるようになる。このようにして、センサの経年劣化とそれに伴う自己診断電流の減少がセンサの故障に結び付けられてしまうことは、大幅に先延ばしされる。
【0026】
本発明の任意の更なる詳細および特徴は、図面に概略的に示されている好ましい実施形態の以下の説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】粒子を検出するセンサの分解図
図2】本発明による方法を示す線図
【0028】
発明の実施形態
図1は、自動車の排気管に組み込むために使用される、内燃機関の排気ガス流のようなガス流中の粒子、特に煤粒子を検出するセンサ10を示している。例えばこのセンサ10は、煤センサとして設計され、有利にはディーゼルエンジンを搭載した車両の煤フィルタの下流側に設けられる。
【0029】
前記センサ10は、板状の支持体層12を含み、この支持体層12は少なくとも部分的に、セラミックやアルミナのような電気絶縁材料で製造されている。前記支持体層12には、加熱要素14が統合されており、この加熱要素14は、複数の接点16を介して適切な電源に接続可能であり、場合によってセンサ10に付着した煤などの粒子を燃焼によって消滅させるために用いられる。
【0030】
前記支持体層12上には、板状の基板18設けられており、この基板18は少なくとも部分的に電気絶縁材料、例えばアルミナ等のセラミックで作られている。前記基板18上には、2つの測定電極20からなる構造部が配置されている。例えば前記測定電極20は、櫛形電極22として構成され、それによって前記測定電極は、相互に櫛歯状に係合し得る。前記測定電極20は、複数の接点24を介して制御部25に接続可能である。
【0031】
測定電極20が相互に櫛歯状に係合している領域では、測定電極20は、誘電体26によって少なくとも部分的に覆われていてもよく、それにより、前記測定電極20は、測定可能なキャパシタンスを有するキャパシタ電極として使用可能である。この誘電体26も保護層28を備えることが可能であり、それによって周辺媒体から分離され、誘電体26の変質が排除される。
【0032】
前記センサ10はさらに、図1に示すような構造を取り囲むケーシングを含んでいるが、これはセンサ10の構成の説明を簡単にするために図1には示されていない。例えば、このケーシングは、測定電極20の上方にある領域に開口部を備え、排気管内を流れる排ガス流を落ち着かせるために用いられ、それによってガス流中に含まれる煤粒子やその他の粒子を好ましくは測定電極20の領域内に堆積させるキャッチスリーブとして構成されていてもよい。
【0033】
図1によるセンサ10は、以下のように動作することができる。基板18上に、煤またはその他の導電性粒子が堆積すると、2つの測定電極20の間の電気抵抗が減少する。これらの2つの測定電極20間のインピーダンス測定によって、いわゆるRC回路に典型的な特性が生じる。このことは、当該の排ガス中の煤濃度ないし粒子濃度を、RC回路の抵抗成分の時間的変化に基づいて検出することができることを意味する。
【0034】
センサ10を再生するために、堆積した粒子は、支持体層12に組み込まれた加熱要素14を用いて、一定時間燃焼される。機能性の良いセンサ10においては、前述したいわゆる加熱の後で、前記測定電極20間の抵抗がめざましく増加し、有利には無限大に向かう。センサ10の動作方式は、粒子濃度の検出であること自体は、例えば前述した国際公開第2003/006976 A2号パンフレット記載の従来技術からも周知であるので、ここでは当該センサ10の慣用的動作方式についての詳細には触れないが、当該センサ10の機能性の説明に係る上記従来技術の内容は、参照によって本願明細書にも完全に組み込まれる。その代わりに、ここではセンサ10の機能性監視のための本発明による方法を説明する。この方法は、例えば上述した制御部25によって実施される。特にこの方法は、図2に基づいて説明する。
【0035】
特に図2中では、x軸30上には時間がプロットされ、Y軸32上には所定の特性量、例えば温度34、電圧36、電流38の経過が時間に関して示されている。図2は、例えば前述したようなセンサ10の自由燃焼又は加熱を示している。この目的のために、前記センサ10は加熱要素14によって加熱される。このことは、例えば第1の時点40からの温度34の経過に基づいて認識可能である。センサ10は、第2の時点44で、第1の温度42に到達するまで加熱される。この第1の温度42は、第2の時点44からは、例えば20秒乃至80秒の期間、有利には30秒乃至60秒の期間、特に有利には40秒乃至50秒の期間、例えば45秒の期間にわたって実質的に一定に維持される。前記第1の温度42は、例えば700℃乃至860℃、有利には740℃乃至820℃、特に有利には760℃乃至800℃、例えば785℃であってもよい。
【0036】
さらに図2においては、測定電極20に印加された電圧36の経過が示されている。図2からもわかるように、第1の時点40と第2の時点44との間の電圧は一定して0Vである。第3の時点46では、測定電極20に、−7.5V乃至−9V、例えば−8.5Vの負の電圧48が印加され、それらは基板18のセラミックの電荷担体に基づく極性反転に使用される。この負の電圧48は、第4の時点50まで一定に維持される。前記第3の時点46と第4の時点50との間の期間は、例えば300ミリ秒である。前記第4の時点50とそれに直ぐにつながっている第5の時点52との間では、0Vの電圧36が存在する。
【0037】
第5の時点52からは、第1の測定量を求めるために第1の電流−電圧測定が行われる。この実施形態では、前記電流−電圧測定は、次のように実施される。すなわち測定電極20に一定の測定電圧54が印加され、当該測定電極20の間を流れる電流38が測定量として求められる。しかしながらそれに代えてに、測定電流を前記測定電極20に供給し、電圧を測定することも可能である。測定電圧54は、例えば7V乃至10V、有利には7.5V乃至9V、例えば8.5Vであってもよい。前記第1の電流−電圧測定は、第1の温度42のもとで、第6の時点56まで実施される。この第6の時点56からは、測定電極20に再び0Vの電圧36が印加される。換言すれば、第1の電流−電圧測定は、第1の温度42が一定に維持される期間の終了時に行われる。第1の電流−電圧測定が実施される第5の時点52と第6の時点56の間の期間は、100ミリ秒乃至500ミリ秒、有利には200ミリ秒乃至400ミリ秒、特に有利には250ミリ秒乃至350ミリ秒、例えば300ミリ秒である。この場合図2には、測定電圧54の印加のもとで電流38が、電荷担体の遷移による減少形態の第1の測定値として検出されることが示されている。それ故この第1の測定量として、第1の電流−電圧測定期間にわたって時間平均された電流値が使用され得る。
【0038】
電流38の形態の第1の測定量が、所定の閾値を超えると、すなわち第1の測定量が、1.5μA乃至2.4μA、有利には1.7μa乃至2.3μA、特に有利には1.8μΑ乃至2.2μΑ、例えば2.0μΑの値を超えると、このことは既にセンサ10の機能性を示している。この場合には、更なる測定は必ずしも必要ない。前記第1の測定量が当該第1の測定量に対する所定の閾値を下回った場合には、本発明による方法が継続される。この目的のために、第6の時点56と第7の時点58の間の温度34が第2の温度60まで著しく低減する。この第2の温度60は、第1の温度42よりも、80℃から220℃だけ低く、有利には100℃から200℃だけ低く、特に有利には120℃から180℃だけ低い。例えば第1の温度42よりも150℃低い。例えば前記第2の温度58は、560℃から700℃、有利には600℃から660℃、特に有利には620℃から640℃、例えば635℃であってもよい。前記第2の温度60は、第7の時点58から一定に維持される。
【0039】
第8の時点62では、測定電極20に、再び−8.5Vの負の電圧が印加され、これは基板18のセラミックの電荷担体に基づく極性反転に用いられる。この負の電圧48は、第9の時点64まで一定に保持される。前記第8の時点62と前記第9の時点64の間の期間は、例えば300ミリ秒である。前記第9の時点64とその直後に続く第10の時点66の間には、再び0Vの電圧36が印加される。
【0040】
第10の時点66からは、第2の測定量を測定するための第2の電流−電圧測定が行われる。この実施形態では、前記第2の電流−電圧測定は、前記第1の電流−電圧測定に類似して次のように実施される。すなわち測定電極20に、8.5Vの一定の測定電圧54を印加し、第2の測定量として、前記測定電極20間に流れる電流38を求める。しかしながらこの第2の電流−電圧測定は、第2の温度60のもとで、第11の時点68まで実施される。前記第2の電流−電圧測定が行われる前記第10の時点66と前記第11の時点68の間の期間は、100ミリ秒から500ミリ秒、有利には200ミリ秒から400ミリ秒、特に有利には250ミリ秒から350ミリ秒、例えば300ミリ秒間実施される。この場合図2には、測定電圧54の印加のもとで、電流38が第2の測定量として、電荷担体の遷移に基づく低減した形態で検出される。それ故第2の測定量として、第2の電流−電圧測定の期間にわたって時間平均された電流値を使用することが可能である。温度の低下とともに減少する導電率に基づいて、第2の電流−電圧測定のもとでの電流38は、第1の電流−電圧測定のもとでの電流38よりも低い。
【0041】
第2の電流−電圧測定のための期間は、第1の電流−電圧測定の期間と同一である。第2の電流−電圧測定は、前記第1の電流−電圧測定から1秒乃至20秒後、有利には1秒乃至15秒後、特に有利には1秒乃至12秒後に実施され、例えば前記第1の電流−電圧測定後10秒以内に実施され得る。この期間は、とりわけセンサ10の冷却速度に依存する。前記第2の電流−電圧測定によって第2の測定量が求められた後では、第1の測定量と第2の測定量との間の差分が形成される。すなわち第2の電流−電圧測定で求められた電流値38が、第1の電流−電圧測定で求められた電流値38から減算される。この評価の根拠は、センサ10の機能性を推論することに基づいており、ここでは、第1の測定量と第2の測定量の間の差分値が所定の閾値、例えば0.1μA乃至0.6μAの値、有利には0.15μA乃至0.35μAの値、特に有利には0.2μA乃至0.3μAの値、例えば0.25μΑの値で定められる閾値と比較される。その結果として前記閾値に達していない場合には、センサ10の欠陥ないし不良が推論される。前記閾値を上回っている場合には、センサ10の正常な機能性が推論される。差分形成することによって、シャントがオフセットとして排除される。これによりセンサ10の経年劣化とそれに伴う自己診断電流の減少は、ずっと後の時点で初めてセンサ10の故障に結びつく(つまりセンサ10の経年劣化に伴う診断電流の減少が誤った故障判断に結びつくことはない)。
図1
図2