特許第5989244号(P5989244)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5989244シート搬送装置、画像読取装置、及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989244
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像読取装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   B65H5/06 P
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-519714(P2015-519714)
(86)(22)【出願日】2014年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2014058622
(87)【国際公開番号】WO2014192395
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2015年10月13日
(31)【優先権主張番号】特願2013-115611(P2013-115611)
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健史
【審査官】 西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−066937(JP,U)
【文献】 特開2011−070106(JP,A)
【文献】 特開平10−114437(JP,A)
【文献】 特開平08−337345(JP,A)
【文献】 実開昭63−048749(JP,U)
【文献】 特開2001−285571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
G03G 15/00,21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを挟んで搬送する駆動ローラーおよび従動ローラーと、
前記従動ローラーを前記駆動ローラーに押圧する押圧部材と
前記従動ローラーを回転可能に支持する第1支持部材と、
前記押圧部材と前記第1支持部材との間に配置され、前記押圧部材による押圧に応じて前記従動ローラーを前記駆動ローラーに付勢する弾性部材と、
前記押圧部材による押圧が解除された状態で、前記第1支持部材が前記従動ローラーを支持したまま前記駆動ローラーから離れることが可能なように、前記第1支持部材を支持する第2支持部材と
を備え、
前記従動ローラーは、前記押圧部材による押圧が解除された状態で、前記押圧部材とは独立して移動可能に支持され、
前記弾性部材は、前記押圧部材に設けられ、
前記押圧部材の裏面には、配置部が形成され、
前記配置部には、前記弾性部材が設けられ、
前記弾性部材は、弾性体及び当接部を含み、
前記当接部は、前記弾性体によって前記押圧部材の裏面から離れる方向に向かって付勢され、前記第1支持部材の先端部に当接し、
前記第1支持部材の基端部には軸孔が形成され、
前記第2支持部材は、支軸であり、
前記第1支持部材の前記軸孔には前記第2支持部材が挿入される、シート搬送装置。
【請求項2】
シートを挟んで搬送する駆動ローラーおよび従動ローラーと、
前記従動ローラーを前記駆動ローラーに押圧する押圧部材と、
前記従動ローラーを回転可能に支持する第1支持部材と、
前記押圧部材と前記第1支持部材との間に配置され、前記押圧部材による押圧に応じて前記従動ローラーを前記駆動ローラーに付勢する弾性部材と、
前記押圧部材による押圧が解除された状態で、前記第1支持部材が前記従動ローラーを支持したまま前記駆動ローラーから離れることが可能なように、前記第1支持部材を支持する第2支持部材と
を備え、
前記従動ローラーは、前記押圧部材による押圧が解除された状態で、前記押圧部材とは独立して移動可能に支持され、
前記第1支持部材の先端部分には、配置部が形成され、
前記配置部には、前記弾性部材が設けられ、
前記弾性部材は、弾性体及びキャップを含み、
前記キャップは、前記配置部の底面から離れる方向に向かって付勢され、
前記押圧部材の裏面には、前記キャップが当接する当接部が形成され、
前記第1支持部材の基端部には軸孔が形成され、
前記第2支持部材は、支軸であり、
前記第1支持部材の前記軸孔には前記第2支持部材が挿入される、シート搬送装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、第1軸線の周りに回転可能であり、
前記第2支持部材は、第2軸線の周りに回転可能なように前記第1支持部材を支持する、請求項1又は請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記第2支持部材と前記駆動ローラーとの相対的位置関係は一定である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記駆動ローラーは、前記シートを反転するためのローラーである、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記押圧部材は、前記シートを案内する部材である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記第1支持部材は、前記駆動ローラーに対応した大きさを有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置が搬送したシートの画像を読み取る画像読取部と
を備える画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置が搬送したシートに画像を形成する画像形成部と
を備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、画像読取装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、シートを収容したカセットからシートを1枚ずつ転写部及び定着部に搬送し、画像が形成されたシートを外部へ排出する。
【0003】
自動原稿送り装置は、多枚数のシートを1枚ずつ画像読取装置に搬送し、画像が読み取られたシートを外部へ排出する。
【0004】
シートの搬送中にジャムが発生することがある。ジャムは、画像形成装置内又は自動原稿送り装置内のどこかでシートが引っ掛かって排出されず、印刷又は読取を達成できない現象である。ジャム発生時に、装置内に残ったシートを取り除く必要がある。
【0005】
例えば、特許文献1に開示された画像形成装置では、紙詰まりを起こした場合、ユーザーは、ガイド板を開放して、コロ(従動ローラー)とローラー(駆動ローラー)との間のニップを解除する。そして、ユーザーは詰まった紙を取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−233495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ガイド板にコロが設けられるため、ガイド板の単品の寸法、反り、剛性、及び取り付け位置の寸法公差などにより、ローラーに対してコロの位置がばらつく可能性が高くなる。ローラーに対してコロの位置がずれていると、シートが斜めに搬送されることもあり、搬送性能が低下する。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従動ローラーの位置のばらつきを抑制しつつ、ジャム発生時に従動ローラーと駆動ローラーとの間に挟まったシートを容易に取り除くことができるシート搬送装置、画像読取装置、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点によるシート搬送装置は、駆動ローラーおよび従動ローラーと、押圧部材とを備える。駆動ローラーおよび従動ローラーは、シートを挟んで搬送する。押圧部材は、前記従動ローラーを前記駆動ローラーに押圧する。前記従動ローラーは、前記押圧部材による押圧が解除された状態で、前記押圧部材とは独立して移動可能に支持される。
【0010】
本発明の第2の観点による画像読取装置は、第1の観点によるシート搬送装置と、画像読取部とを備える。画像読取部は、前記シート搬送装置が搬送したシートの画像を読み取る。
【0011】
本発明の第3の観点による画像形成装置は、第1の観点によるシート搬送装置と、画像形成部とを備える。画像形成部は、前記シート搬送装置が搬送したシートに画像を形成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従動ローラーは押圧部材とは独立して移動可能なように支持されているため、従動ローラーの位置の精度は押圧部材の影響を受け難い。その結果、従動ローラーの位置のばらつきを抑制しつつ、ジャム発生時に押圧部材による押圧を解除して従動ローラーを駆動ローラーから離すことによって、従動ローラーと駆動ローラーとの間に挟まったシートを容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本発明の実施形態1に係るシート搬送部の第1状態を模式的に示す図である。
図1B】本発明の実施形態1に係るシート搬送部の第2状態を模式的に示す図である。
図1C】本発明の実施形態1に係るシート搬送部の第3状態を模式的に示す図である。
図2】本発明の実施形態2に係るシート搬送部を搭載した原稿送り部及び画像読取部の外観斜視図である。
図3】片面読取を行う際の図2の原稿送り部の状態を示す縦断面図である。
図4】両面読取を行う際の図2の原稿送り部の状態を示す縦断面図である。
図5図4のシート搬送部の第1状態を示す斜視図である。
図6図4のシート搬送部の第2状態を示す斜視図である。
図7図4のシート搬送部の分解斜視図である。
図8図5に示す第1状態のシート搬送部の縦断面図である。
図9図6に示す第2状態のシート搬送部の縦断面図である。
図10】本発明の実施形態3に係るシート搬送部の第1状態を示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態3に係るシート搬送部の第2状態を示す斜視図である。
図12】本発明の実施形態3に係るシート搬送部の分解斜視図である。
図13図10に示す第1状態のシート搬送部の縦断面図である。
図14図11に示す第2状態のシート搬送部の縦断面図である。
図15】本発明の実施形態4に係る画像形成装置の概略を説明するための模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0015】
(実施形態1)
[基本原理]
図1A図1B、及び図1Cは、それぞれ、本発明の実施形態1に係るシート搬送装置として機能するシート搬送部1(以下、「搬送部1」と記載する。)を模式的に示す図である。搬送部1は、ローラー3a(駆動ローラー)およびコロ3b(従動ローラー)と、押圧部材5とを備える。ローラー3aおよびコロ3bは、シートPを挟んで搬送する。押圧部材5は、コロ3bをローラー3aに押圧する。コロ3bは、押圧部材5による押圧が解除された状態で、押圧部材5とは独立して移動可能に支持される(図1B図1C)。
【0016】
本実施形態1によれば、コロ3bは押圧部材5とは独立して移動可能に支持されているため、コロ3bの位置の精度が押圧部材5の影響を受け難い。その結果、コロ3bの位置のばらつきを抑制しつつ、ジャム発生時に押圧部材5による押圧を解除してコロ3bをローラー3aから離すことによって、コロ3bとローラー3aとの間に挟まったシートPを容易に取り除くことができる(図1C)。
【0017】
[搬送部の第1状態、第2状態、第3状態]
図1A図1B、及び図1Cは、それぞれ、搬送部1の第1状態、第2状態、及び第3状態を示す。第1状態とは、押圧部材5による押圧によりコロ3bがローラー3aに押し付けられた状態である。第2状態とは、押圧部材5による押圧が解除された後において、コロ3bがローラー3aに当接している状態である。第3状態とは、押圧部材5による押圧が解除された後において、コロ3bがローラー3aから離れるように移動した状態である。本明細書において、当接とは、コロ3bとローラー3aとが直接接触している場合の他、シートPを介して間接的に接触している場合を含む。また、後述する実施形態2〜実施形態4において、第1状態〜第3状態の定義は本実施形態1と同じである。
【0018】
[適用例]
搬送部1は、駆動ローラー(駆動源に連結されて回転するローラー)と従動ローラー(駆動ローラーに従って回転するローラー、即ち、コロ)とでシートを搬送する機構に適用可能である。搬送部1は、例えば、画像形成装置の原稿送り部(原稿送り装置)、画像形成部、給紙ユニット(給紙装置)等に搭載することができる。後述する実施形態2〜実施形態4では、搬送部1を原稿送り部に搭載した例を挙げる。
【0019】
搬送部1が原稿送り部に搭載される場合、シートPは、例えば、被読み取り用シート(原稿)である。搬送部1が画像形成部に搭載される場合、シートPは、例えば、画像が形成される記録シートである。画像形成部は、搬送部1が搬送したシートPに画像を形成する。図2図14では、シートPの図示を省略する。
【0020】
(実施形態2)
図1図9を参照して、本発明の実施形態2における搬送部1について説明する。本実施形態2では、搬送部1は、反転部として原稿送り部100に搭載される。反転部は両面読取を行うための機構である。従って、ローラー3aはシートPを反転するための反転ローラーであり、コロ3bは反転コロである。
【0021】
[原稿送り部の概要]
図2及び図3を参照する。図2は、搬送部1を搭載した原稿送り部100及び画像読取部200の外観斜視図である。図3は、片面読取を行う際の原稿送り部100の状態を示す縦断面図である。原稿送り部100は、画像読取部200の上面に配置される。原稿送り部100及び画像読取部200は画像読取装置300を構成する。
【0022】
原稿送り部100は、原稿テーブル7、排出トレイ9、及びカバー11を含む。原稿テーブル7にはシートPがセットされる。原稿送り部100は、原稿テーブル7からシートPを1枚ずつ取り出して、自動的にコンタクトガラス201に向けて搬送する。画像読取部200は、コンタクトガラス201を通過するシートPの画像を光学的に読み取り、画像データを生成する。原稿送り部100は、読み取られたシートPを排出トレイ9に排出する。シートPの搬送経路が矢印A1で示される。
【0023】
カバー11は軸21の周りに回転可能である。従って、例えば、ジャム発生時又はメンテナンス時に、カバー11を開放可能である。
【0024】
[原稿送り部の動作(片面読取)]
図3を参照する。原稿送り部100は、搬送部1、搬送ローラー23a、搬送コロ23b、排出ローラー27a、排出コロ27b、及び分岐ガイド29を含む。シートPは、搬送ローラー23a、搬送コロ23b、排出ローラー27a、及び排出コロ27bによって、コンタクトガラス201を経由して、排出トレイ9に排出される(矢印A1)。
【0025】
[原稿送り部の動作(両面読取)]
図4を参照する。図4は、両面読取を行う際の原稿送り部100の状態を示す縦断面図である。シートPは、搬送ローラー23a及び搬送コロ23bによってコンタクトガラス201を通過し、片面の画像が読み取られる。シートPの裏面の読取のため、分岐ガイド29は経路を切り換える(分岐ガイド29の先端が下降)。その結果、コンタクトガラス201を通過したシートPは搬送部1へ搬送される(矢印A2)。
【0026】
シートPが分岐ガイド29を抜けると、搬送部1のローラー3aが逆回転し、シートPはスイッチバックされる(矢印A3)。そして、シートPは、再び搬送ローラー23a及び搬送コロ23bに向けて搬送され(矢印A4)、コンタクトガラス201を通過し、裏面の画像が読み取られる。その後、シートPは再度搬送部1を経由したあと排出トレイ9に排出される。
【0027】
[搬送部の各部材の配置]
図4図6を参照する。図5は、搬送部1の第1状態を示す斜視図である。図6は、搬送部1の第2状態を示す斜視図である。図6では、図5に示したフレーム45、軸部49、駆動源6、軸線39、軸線41、及び軸線43の図示を省略する。
【0028】
搬送部1は、押圧部材5、一対の弾性部材15、一対のコロユニット13(一対のコロ3bを含む。)、支持部材35(第2支持部材)、一対のローラー3a、及び軸31を含む。押圧部材5は、本実施形態2では、シートPを案内する部材、つまり、ガイド板である。
【0029】
一対のローラー3aは規定距離だけ離れて軸31に固定される。軸31は回転可能にフレーム45に支持される。フレーム45は原稿送り部100の内部に設置される。軸31には、駆動源6(例えば、モーター)が連結され、回転力が伝達される。その結果、軸31及びローラー3aは、軸線43の周りに回転する。なお、駆動源6は原稿送り部100に内蔵される。
【0030】
一対のコロ3bが一対のローラー3aに対向するように、一対のコロユニット13が配置される。コロユニット13は支持部材35に固定される。本実施形態2では、支持部材35は支軸である。支持部材35は軸線41の周りに回転可能にフレーム45に支持される。
【0031】
押圧部材5の両端には軸受47が設けられる。軸受47には、フレーム45から突出する軸部49が挿入される。従って、押圧部材5は、軸線39の周りに回転可能である。
【0032】
押圧部材5の裏面には、一対のコロユニット13に対応して一対の配置部60が形成される。配置部60の各々は、2つガイド片58により画定される。一対の配置部60には、一対の弾性部材15が設けられる。
【0033】
[搬送部の各部材の構造]
図4図7を参照する。図7は、搬送部1の分解斜視図である。弾性部材15の各々は、当接部53、側板54、及び弾性体55を含む。本実施形態2では、弾性体55はバネである。当接部53は2つの側板54の基端部で挟まれて固着される。突起部57が側板54の側面に形成される。
【0034】
弾性部材15は次にようにして押圧部材5の配置部60に配置される。ガイド片58の側面にはU字状の孔59が形成される。突起部57は、弾性体55を当接部53の裏部と押圧部材5の裏面との間で挟みこんだ状態で孔59に挿入される。この場合、突起部57は、弾性体55の弾性力に抗して孔59に挿入される。従って、当接部53は、弾性体55によって押圧部材5の裏面から離れる方向に向かって付勢される。当接部53がコロユニット13の支持部材37の先端部に当接する(図8参照)。
【0035】
コロユニット13の各々は、コロ3b、軸51、及び支持部材37(第1支持部材)を含む。本実施形態2では、支持部材37はコロホルダーである。支持部材37の側面中央部には軸孔65が形成される。一方、コロ3bには、円筒状の孔67が形成される。コロ3bが軸51の周りに回転可能なように、軸51が孔67に挿入される。孔67に軸51が挿入された状態で、軸51は、軸孔65に挿入されて固定される。以上のようにコロユニット13が形成される結果、支持部材37はコロ3bを回転可能に支持することができる。
【0036】
支持部材37の基端部には軸孔63が形成される。軸孔63には支持部材35が挿入される。この場合、支持部材35に挿入されたスプリングピン62が支持部材37の基端部の一方側面に挿入される。従って、支持部材37は支持部材35に対して相対的に回転不能になる。その結果、支持部材37の回転に伴って支持部材35も回転する。つまり、支持部材35は、軸線41の周りに回転可能なように支持部材37を支持する。また、リング状のストッパー61が、支持部材37の基端部の他方側面に接するように支持部材35に取り付けられる。その結果、ストッパー61及びスプリングピン62によって、支持部材35上で軸線41に沿った方向へのコロユニット13の移動が規制される。
【0037】
[搬送部の第1状態]
図1A図4図5及び図8を参照する。図8は、搬送部1の第1状態を示す縦断面図である。カバー11が閉じられている状態では、カバー11の裏面に設けられた突起部19が、押圧部材5の被当接部17に当接し、押圧部材5を押圧する。その結果、押圧部材5は、搬送部1がシートPを搬送可能な位置にセットされる。弾性部材15の当接部53が支持部材37の先端部に当接しているので、突起部19による押圧に応じて、弾性体55の弾性力によって支持部材37が押圧される。支持部材37が押圧されると、コロ3bがローラー3aに押し付けられる。従って、コロ3bはローラー3aの回転に伴って回転することができる。
【0038】
本実施形態2において、例えば、第1状態は、搬送部1がシートPを搬送するために待機している状態、搬送部1がシートPを搬送しているときの状態、又はジャム発生直後の状態である(図1A参照)。
【0039】
[搬送部の第2状態]
図1B図4図6及び図9を参照する。図9は、搬送部1の第2状態を示す縦断面図である。カバー11が開けられると、突起部19は被当接部17から離れ、押圧部材5への押圧が解除される。カバー11が開けられた直後では、押圧部材5の当接部53は支持部材37に当接している。従って、弾性部材15は、押圧部材5の自重を受けて支持部材37を押圧している。押圧部材5を回転させ、当接部53を支持部材37から離すことによって、弾性部材15による支持部材37への押圧が解除される。その結果、コロ3bがローラー3aに押し付けられた状態が解除される。
【0040】
本実施形態2において、例えば、第2状態は、ジャムが発生したとき、又はメンテナンスするとき、カバー11及び押圧部材5が開放された状態である(図1B参照)。
【0041】
[搬送部の第3状態]
図1C及び図9を参照する。支持部材35は、押圧部材5による押圧が解除された状態で、支持部材37がコロ3bを支持したままローラー3aから離れることが可能なように、支持部材37を支持する。従って、第2状態においては、コロユニット13の支持部材37への押圧が解除されているため、コロユニット13は支持部材35と共に回転することができる。コロユニット13が回転すると、コロ3bはローラー3aから離れる。その結果、ジャム発生時に、ローラー3aとコロ3bとの間に挟まったシートPを容易に取り除くことができる。また、メンテナンスも容易に行うことができる。
【0042】
本実施形態2において、例えば、第3状態は、ジャムが発生したとき、又はメンテナンスするとき、カバー11及び押圧部材5が開放され、さらに、コロユニット13がローラー3aから離れた状態である(図1C参照)。
【0043】
以上、図1図9を参照して説明したように、本実施形態2によれば、コロ3bは押圧部材(ガイド板)5には設けられていない。従って、コロ3bの位置の精度が押圧部材5の影響を受け難い。その結果、高い精度でコロ3bの位置を設定でき、搬送不良を抑制できる。なお、押圧部材5の単品の寸法、反り、剛性、及び取り付け位置の寸法公差などはコロ3bへの押圧力の差となって現れるが、その差はローラー3aとコロ3bとの位置ずれよりも搬送性能に及ぼす影響は少ない。また、コロユニット13を支持する支持部材35とローラー3aとの相対的位置関係は一定であることも、コロ3bの位置の精度を高めている。
【0044】
また、図5図9を参照して説明したように、本実施形態2によれば、コロ3bをローラー3aに押し付けている弾性部材15は押圧部材(ガイド板)5に設けられる。従って、ジャムが発生したとき、シートPを取り除くため押圧部材5を開放すると、コロ3bへの押圧力も開放される。その結果、シートPを取り除き易くなる。原稿送り部100がシートPの画像を読み取るためにシートPを搬送する場合、特にシートPの破損防止には注意を払う必要がある。本実施形態2では、強引にシートPを取り除いたり、強引にローラー3aとコロ3bとの間のニップを解除したりしないため、シートPの破損防止に効果的である。
【0045】
さらに、図1図9を参照して説明したように、本実施形態2によれば、ジャム発生時にローラー3aとコロ3bとの間のニップを解除するための駆動源を備えていない。その結果、コストを抑制しつつ、簡易にジャム発生時にシートPを取り除くことができる。
【0046】
さらに、図5図9を参照して説明したように、本実施形態2によれば、弾性部材15は押圧部材5と支持部材37との間に配置される。そして、第1状態において、弾性部材15は、押圧部材5による押圧に応じてコロ3bをローラー3aに押し付ける(付勢する)。この場合、弾性体55の弾性力に抗して押し付けているので、押圧部材5による押圧の方向とは逆方向に弾性体55の反発力は向いている。従って、カバー11を開けると、押圧部材5は、弾性体55の反発力によって押し上げられる。その結果、容易に押圧部材5を開放して、シートPを取り除くことができる。
【0047】
さらに、図5図7を参照して説明したように、本実施形態2によれば、コロユニット13又は支持部材37は、ローラー3aに対応した大きさを有し、ローラー3aを含む軸31の全体を覆っていない。従って、ジャム発生時に、挟まれたシートPの状態をコロユニット13で覆われていない部分から容易に視認できる。
【0048】
さらに、図3及び図4を参照して説明したように、本実施形態2によれば、搬送部1は両面読取における転送部として搭載される。転送部への本発明の適用は好適な例ではあるが、本発明は転送部への適用に限定されない。例えば、図4の搬送ローラー23a及び搬送コロ23bに本発明を適用することもできる。
【0049】
(実施形態3)
図1図4図10図14を参照して、本発明の実施形態3における搬送部1について説明する。図10図12では、図5図7で搬送部1を斜視した方向とは逆方向から搬送部1を斜視している。
【0050】
本実施形態3では、図3及び図4に示した原稿送り部100に搭載された搬送部1に代えて、原稿送り部100に図10図14に示す搬送部1を搭載する。従って、実施形態2と同様に、搬送部1は、反転部として原稿送り部100に搭載され、ローラー3aは反転ローラーであり、コロ3bは反転コロである。押圧部材5はガイド板である。
【0051】
両者の主な相違点は次の通りである。実施形態2では、弾性部材15は押圧部材5に設けられる。本実施形態3では、弾性部材15はコロユニット13の支持部材37(第1支持部材)に設けられる。以下、本実施形態3について、実施形態2との相違点を中心に説明する。
【0052】
[搬送部の各部材の配置]
図10及び図11を参照する。図10は、搬送部1の第1状態を示す斜視図である。図11は、搬送部1の第2状態を示す斜視図である。図11では、図10に示したフレーム45、軸部49、駆動源6、軸線39、軸線41、及び軸線43の図示を省略する。搬送部1は、押圧部材5、一対の弾性部材15、一対のコロユニット13、支持部材35(第2支持部材)、一対のローラー3a、及び軸31を含む。
【0053】
コロユニット13の各々において、支持部材37の先端部分には、枡状の配置部70が形成される。弾性部材15は配置部70に設けられる。押圧部材5の裏面には、弾性部材15の各々に対応して、当接部72が形成される。当接部72は弾性部材15に当接する。
【0054】
[搬送部の各部材の構造]
図10図14を参照する。図12は、搬送部1の分解斜視図である。図13は、搬送部1の第1状態を示す縦断面図である。図14は、搬送部1の第2状態を示す縦断面図である。弾性部材15の各々は、キャップ71及び弾性体55を含む。本実施形態3では、弾性体55はバネである。キャップ71の両側面には、長孔73が形成される。
【0055】
弾性部材15は次にようにしてコロユニット13の支持部材37に設けられる。支持部材37の配置部70には、2つの長孔73に対応して2つの爪部75が形成される。爪部75は、弾性体55をキャップ71の裏部と配置部70の底面とで挟むように長孔73に挿入される。この場合、弾性体55の弾性力に抗して長孔73に爪部75が挿入され、爪部75の先端がキャップ71に引っ掛かる。従って、キャップ71は、配置部70の底面から離れる方向に向かって付勢される。キャップ71が押圧部材5の当接部72に当接する。
【0056】
[搬送部の第1状態]
図4図10及び図13を参照する。カバー11が閉じられている状態では、カバー11の突起部19が、押圧部材5の被当接部17に当接し、押圧部材5を押圧する。その結果、押圧部材5は、搬送部1がシートPを搬送可能な位置にセットされる。突起部19による押圧に応じて、押圧部材5は、当接部72によって、弾性部材15のキャップ71を押圧する。キャップ71が押圧されると、弾性体55の弾力によって、コロ3bがローラー3aに押し付けられる。従って、コロ3bはローラー3aの回転に伴って回転することができる。第1状態に至る機構は実施形態2と異なるが、第1状態は、図1A図4図5及び図8を参照して説明した実施形態2の第1状態と同様である。
【0057】
[搬送部の第2状態]
図4図11及び図14を参照する。カバー11が開けられている状態では、突起部19は被当接部17から離れており、押圧部材5への押圧が解除される。カバー11が開けられた直後では、押圧部材5の当接部72はキャップ71に当接している。従って、押圧部材5の自重によって、支持部材37が押圧されている。押圧部材5を回転させ、当接部72をキャップ71から離すことによって、支持部材37への押圧が解除される。その結果、コロ3bがローラー3aに押し付けられた状態が解除される。第2状態に至る機構は実施形態2と異なるが、第2状態は、図1B図4図6及び図9を参照して説明した実施形態2の第2状態と同様である。
【0058】
[搬送部の第3状態]
図14を参照する。第3状態においては、キャップ71への押圧が解除されているため、コロユニット13は支持部材35と伴に回転することができる。コロユニット13が回転されると、コロ3bはローラー3aから離れる。その結果、ジャム発生時にシートPを容易に取り除くことができ、また、メンテナンスを容易に行うことができる。第3状態は、図1C及び図9を参照して説明した実施形態2の第3状態と同様である。
【0059】
以上、図1図4図10図14を参照して説明したように、本実施形態3では、搬送部1は実施形態2の搬送部1と同様の機能を有する。従って、本実施形態3では、実施形態2と同様の効果を奏する。
【0060】
(実施形態4)
図2図15を参照して、本発明の実施形態4における画像形成装置500について説明する。図15は、画像形成装置500の概略を説明するための模式的断面図である。画像形成装置500は、例えば、複写機、プリンター、及び/若しくはファクシミリの機能を備えた複合機、又は複写機、プリンター、若しくはファクシミリである。
【0061】
画像形成装置500は、原稿送り部100、画像読取部200、及び画像形成部400を備える。原稿送り部100は、実施形態2の搬送部1又は実施形態3の搬送部1を搭載する。
【0062】
画像読取部200は、コンタクトガラス201及びコンタクトガラス203を含む。画像読取部200は、コンタクトガラス201又はコンタクトガラス203を介して、シートPの画像を読み取り、画像データを生成する。例えば、画像読取部200は、コンタクトガラス201を介して、搬送部1が搬送したシートPの画像を読み取り、画像データを生成する。
【0063】
画像形成部400は、給紙カセット87又は手差しトレイ80から搬送されたシートPに画像読取部200が生成した画像データに基づく画像を形成する。具体的に次の通りである。画像形成部400は、定着ユニット85、画像形成ユニット84、搬送ユニット83、及び給紙ユニット82を含む。
【0064】
給紙ユニット82は、給紙カセット87及び手差しトレイ80を含む。給紙カセット87はシートPを収容する。手差しトレイ80は手差しのシートPを積載する。シートPは、給紙カセット87又は手差しトレイ80から搬送ユニット83に送り出される。
【0065】
搬送ユニット83は、画像形成ユニット84にシートPを搬送する。画像形成ユニット84は次のようにしてシートPに画像を形成する。画像形成ユニット84は、感光体91、帯電部92、露光部93、現像部94、転写部95、クリーニング部96、及び除電部97を含む。
【0066】
帯電部92は感光体91の表面を帯電する。露光部93は、画像読取部200によって生成された画像データに基づく光を感光体91の表面に照射する。その結果、感光体91の表面に静電潜像が形成される。
【0067】
現像部94は感光体91の表面に形成された静電潜像を現像し、感光体91の表面にトナー像を形成する。シートPが感光体91と転写部95との間に供給されることにともなって、転写部95はシートPにトナー像を転写する。
【0068】
トナー像が転写されたシートPは定着ユニット85に向けて搬送される。定着ユニット85は、シートPを加熱及び加圧して、シートPにトナー像を定着させる。そして、排出ローラー対98はシートPを排出トレイ81に排出する。
【0069】
クリーニング部96は、感光体91の表面に残留しているトナーを除去する。除電部97は、感光体91の表面の残留電荷を除去する。
【0070】
以上、図2図15を参照して説明したように、本実施形態4によれば、画像形成装置500は、実施形態2又は実施形態3の搬送部1を搭載する。その結果、本実施形態4では、実施形態2又は実施形態3と同様の効果を奏する。
【0071】
なお、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、ジャムが発生し得る原稿送り装置及び画像形成装置の分野に利用可能である。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15