特許第5989283号(P5989283)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5989283
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】撮像システム及び信号処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20160825BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   A61B1/04 370
   G02B23/24 B
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-522067(P2016-522067)
(86)(22)【出願日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】JP2015084968
【審査請求日】2016年4月11日
(31)【優先権主張番号】特願2014-253275(P2014-253275)
(32)【優先日】2014年12月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】須藤 賢
【審査官】 佐藤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−223666(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/005054(WO,A1)
【文献】 特開2012−065204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/00−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像を撮像して第1の画像を表す第1の撮像信号を生成する第1の撮像部と、
前記被写体の光学像を撮像し、前記第1の画像に対して視差を有する第2の画像を表す第2の撮像信号を生成する第2の撮像部と、
前記第1の画像と前記第2の画像とにおいて当該被写体の光学像が共通して撮像されている領域を、前記第1の画像における第1共通領域および前記第2の画像における第2共通領域としてそれぞれ規定する領域規定部と、
前記領域規定部において規定された、前記第1の画像における前記第1共通領域内の画像の明るさを検出する第1の測光部と、
前記領域規定部において規定された、前記第2の画像における前記第2共通領域内の画像の明るさを検出する第2の測光部と、
前記第1の測光部の検出結果に基づいて前記第1の画像の明るさを調整する第1の明るさ制御部と、
前記第2の測光部の検出結果に基づいて前記第2の画像の明るさを調整する第2の明るさ制御部と、
を具備することを特徴とする撮像システム。
【請求項2】
前記第1の撮像部は、左目用撮像光学系と、当該左目用撮像光学系の結像位置に配設された左目用撮像素子とを有し、前記第1の画像としての左側画像を表す前記第1の撮像信号を生成し、
前記第2の撮像部は、右目用撮像光学系と、当該右目用撮像光学系の結像位置に配設された右目用撮像素子とを有し、前記第2の画像としての右側画像を表す前記第2の撮像信号を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項3】
前記領域規定部は、前記左側画像と前記右側画像とにおいて当該被写体の光学像が共通して撮像されている領域を、前記左側画像における前記第1共通領域および前記右側画像における前記第2共通領域としてそれぞれ規定する
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【請求項4】
前記第1の明るさ制御部は、前記左目用撮像素子に係る露光時間を制御するための第1の露光時間制御信号を生成する第1の露光時間制御部であり、
前記第2の明るさ制御部は、前記右目用撮像素子に係る露光時間を制御するための第2の露光時間制御信号を生成する第2の露光時間制御部である
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【請求項5】
前記第1の測光部および前記第2の測光部の検出結果に基づいて、所定の絞り制御信号を生成する絞り制御信号生成部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像システム。
【請求項6】
前記左目用撮像素子と前記右目用撮像素子とは別体である
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【請求項7】
前記左目用撮像素子と前記右目用撮像素子とは一の撮像素子により構成され、前記左目用撮像光学系による光学像と前記右目用撮像光学系による光学像とは、当該一の撮像素子における同一撮像面上における異なる領域に結像する
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像システム。
【請求項8】
第1の撮像部により撮像される第1の画像と第2の撮像部により撮像される前記第1の画像に対して視差を有する第2の画像とにおいて被写体の光学像が共通して撮像されている領域を、前記第1の画像における第1共通領域および前記第2の画像における第2共通領域としてそれぞれ規定する領域規定部と、
前記領域規定部において規定された、前記第1の画像における前記第1共通領域内の画像の明るさを検出する第1の測光部と、
前記領域規定部において規定された、前記第2の画像における前記第2共通領域内の画像の明るさを検出する第2の測光部と、
前記第1の測光部の検出結果に基づいて前記第1の画像の明るさを調整する第1の明るさ制御部と、
前記第2の測光部の検出結果に基づいて前記第2の画像の明るさを調整する第2の明るさ制御部と、
を具備することを特徴とする信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像システム及び信号処理装置に関し、特に、視差を有する2つの撮像画像を取得可能な撮像システム及び信号処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに視差を有する2つの撮像画像を取得可能な撮像システム、たとえば、視差を有する2つの撮像画像を用いて立体画像を生成する撮像システムが知られている。
【0003】
より具体的に日本国特開2012−065204号公報および日本国特開2001−148865号公報には、複数の撮像部を用いて立体画像(3D画像)を撮像する撮像装置が開示されている。この日本国特開2012−065204号公報および日本国特開2001−148865号公報に係る撮像装置は、2つの撮像部それぞれから出力される撮像信号を測光し、当該測光結果(輝度値)に基づいて、各撮像部の露光量を制御するようになっている。
【0004】
一方、日本国特許第4955840号明細書には、体腔内の外科手術において微細な術部を立体的に観察するために、視差を有する2つの撮像画像を用いて立体画像を生成する立体内視鏡が開示されている。この立体内視鏡は、左右一対の観察光学系と、これら観察光学系に対応する左右一対の撮像部を備えている。
【0005】
また、日本国特許第2716936号明細書には、2つの撮像素子からの左右の画像信号を1系統に合成して1つのカメラコントロールユニットにより画像処理を行う立体内視鏡について開示されている。
【0006】
これら日本国特許第4955840号明細書および日本国特許第2716936号明細書に示されるような立体内視鏡では、上述したように撮像部は2系統備えるとしても、体腔内の被写体を照射するための光源装置は1つであると考えられる。すなわち、光源装置における光源を調光するにしても調光手段は1系統であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記日本国特許第4955840号明細書または日本国特許第2716936号明細書に記載された立体内視鏡において、左右2つの撮像部のうちいずれかの撮像部に係る視野範囲内に、例えば鉗子が進入し、当該鉗子に照明光が反射することによりいずれかの視野範囲にのみ強く明るい光が入光する状況、換言すれば2つの撮像部間の撮像信号の輝度値に大きな乖離が生じた状況が発生したとする。
【0008】
特に鉗子等の処置具は、左右2つの視野範囲のいずれか一方の視野範囲における左右方向の辺縁端部から挿入されることが多い。したがって、観察する際に、前記いずれか一方の視野範囲に鉗子等の処置具が挿入した場合、左右2つの視野範囲のいずれか一方の視野範囲における左右方向の一端部の領域において極端に明るくなる虞がある。
【0009】
ここで日本国特許第4955840号明細書および日本国特許第2716936号明細書に示されるような立体内視鏡は、上述したように撮像部は左右2系統備えるとしても光源装置は1つであり、かつ、光源装置における光源の調光手段も1系統であると考えられることから、左右の撮影部いずれかの視野範囲にのみ強く明るい光が入光した場合、これに応じて光源からの照射光が調光制御されることとなる。具体的には、照明光を大幅に暗くするよう制御される。
【0010】
そしてこの制御によって視野(観察画像)全体が暗くなってしまい、内視鏡下における処置作業がスムーズに行えない虞があった。
【0011】
一方、日本国特許第4955840号明細書または日本国特許第2716936号明細書に記載された立体内視鏡において上記日本国特開2012−065204号公報に記載の撮像装置の如き左右2つの撮像部に係る撮像信号の輝度値を等しくする技術を適用したとする。このとき、2つの各撮像部からの撮像信号の測光値(輝度値)に基づいてこれら2つの撮像信号の輝度値を等しくするよう撮像露光時間を制御することとなるが、上述したように左右の撮影部の一方の視野範囲にのみ強く明るい光が入光し、これに伴って光源からの照明光が極端に暗くなるように制御された場合は、適切な制御ができない虞があった。
【0012】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、視差を有する2つの撮像画像を取得可能な撮像システム及び信号処理装置において、視差を有する2つの撮像画像に係る撮像信号の輝度値に大きな乖離が生じた場合であっても、適切な露光制御を行い得る撮像システム及び信号処理装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様の撮像システムは、被写体の光学像を撮像して第1の画像を表す第1の撮像信号を生成する第1の撮像部と、前記被写体の光学像を撮像し、前記第1の画像に対して視差を有する第2の画像を表す第2の撮像信号を生成する第2の撮像部と、前記第1の画像と前記第2の画像とにおいて当該被写体の光学像が共通して撮像されている領域を、前記第1の画像における第1共通領域および前記第2の画像における第2共通領域としてそれぞれ規定する領域規定部と、前記領域規定部において規定された、前記第1の画像における前記第1共通領域内の画像の明るさを検出する第1の測光部と、前記領域規定部において規定された、前記第2の画像における前記第2共通領域内の画像の明るさを検出する第2の測光部と、前記第1の測光部の検出結果に基づいて前記第1の画像の明るさを調整する第1の明るさ制御部と、前記第2の測光部の検出結果に基づいて前記第2の画像の明るさを調整する第2の明るさ制御部と、を具備する。
本発明の一態様の信号処理装置は、第1の撮像部により撮像される第1の画像と第2の撮像部により撮像される前記第1の画像に対して視差を有する第2の画像とにおいて被写体の光学像が共通して撮像されている領域を、前記第1の画像における第1共通領域および前記第2の画像における第2共通領域としてそれぞれ規定する領域規定部と、前記領域規定部において規定された、前記第1の画像における前記第1共通領域内の画像の明るさを検出する第1の測光部と、前記領域規定部において規定された、前記第2の画像における前記第2共通領域内の画像の明るさを検出する第2の測光部と、前記第1の測光部の検出結果に基づいて前記第1の画像の明るさを調整する第1の明るさ制御部と、前記第2の測光部の検出結果に基づいて前記第2の画像の明るさを調整する第2の明るさ制御部と、を具備する
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1の実施形態の内視鏡システムの全体構成を示す外観斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態の内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態の内視鏡システムにおける内視鏡の挿入部先端部の正面図である。
図4図4は、第1の実施形態の内視鏡システムにおける内視鏡の挿入部先端部の断面図である。
図5図5は、第1の実施形態の内視鏡システムにおける領域規定部の作用を示す説明図である。
図6図6は、従来の立体内視鏡システムにおける3D合成画像の生成過程を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1から図4を用いて第1の実施形態の内視鏡システムの構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の内視鏡システムの全体構成を示す外観斜視図、図2は、第1の実施形態の内視鏡システムの構成を示すブロック図、図3は、第1の実施形態の内視鏡システムにおける内視鏡の挿入部先端部の正面図、図4は、第1の実施形態の内視鏡システムにおける内視鏡の挿入部先端部の断面図である。
【0017】
図1に示すように本発明の第1の実施形態の内視鏡システム1は、互いに視差を有する2つの撮像ユニットにより立体画像を生成する、いわゆる3D内視鏡である立体内視鏡2と、立体内視鏡2が着脱自在に接続され、前記撮像ユニットからの撮像信号に対して所定の信号処理を行うと共に立体内視鏡2に対して照明光を供給する光源部を備えるプロセッサ3と、プロセッサ3により生成された画像信号を内視鏡画像として表示する表示装置としてのモニタ5と、で主要部が構成される。
【0018】
なお、本実施形態の内視鏡システム1は、手術室においては、カート9上に前記プロセッサ3をはじめとする各種医療機器、たとえば電気メス装置、気腹装置、ビデオレコーダ等の装置類および二酸化炭素を充填したガスボンベ等が載置されるようになっている。
【0019】
立体内視鏡2は、本実施形態においては、体腔内の術部を立体的に観察する、たとえば腹腔手技に適用される硬性内視鏡である。この立体内視鏡2は、体腔内に挿入される挿入部であって腹腔用手技に適用される長さを有した硬質の挿入部6と、操作者によって把持され立体内視鏡2の種々の操作を行う操作部7と、当該挿入部7から延設されプロセッサ3に接続されるユニバーサルコード8を備える。
【0020】
前記挿入部6は、その先端部6a側から基端部6b側に向かって、順に先端硬質部11、湾曲部12および硬質部13が連結されて構成される。すなわち、先端硬質部11の基端部は湾曲部12の先端部に連結され、また湾曲部12の基端部は硬質部13の先端部に連結されている。また前記硬質部13は細長く硬質な硬性管であり、その基端部は、挿入部6の基端部6bとして操作部7に連結されている。
【0021】
また、図2図3および図4に示すように、挿入部6における先端硬質部11には、術部を立体的に観察するために、左側画像(左目)用の左側撮像ユニット21Lと、右側画像(右目)用の右側撮像ユニット21Rとが配設されている。
【0022】
前記左側撮像ユニット21Lは、左側画像(左目)用の撮像光学系22Lと撮像素子23Lとで構成され、前記右側撮像ユニット21Rは、右側画像(右目)用の撮像光学系22Rと撮像素子23Rとで構成される。
【0023】
また、図4に示すように、左側画像用の撮像光学系22Lと右側画像用の撮像光学系22Rとは、いずれも術部を観察する対物レンズと、この対物レンズによって観察される術部の像を結像するための結像レンズとで構成される。
【0024】
さらに撮像光学系22Lおよび撮像光学系22Rにおけるそれぞれの前記結像レンズの結像位置には、それぞれ撮像素子23L、撮像素子23Rが配設されている。これら撮像素子23Lおよび撮像素子23Rは、たとえばCCDイメージセンサにより構成され、いずれも前記撮像光学系22Lまたは撮像光学系22Rにおける対物レンズを透過し、さらに結像レンズによって結像された像(術部)を光電変換し所定の撮像信号を生成するようになっている。
【0025】
また、前記撮像素子23Lおよび撮像素子23Rの後段には、それぞれ相関二重サンプリング回路(以下、CDS回路という)26L,26Rと、アナログデジタル変換回路(以下、A/D変換回路という)27L,27Rが設けられている。
【0026】
そして、撮像素子23Lおよび撮像素子23Rは、撮像面上に形成された被写体像をそれぞれ光電変換してCDS回路26L,26Rに出力する。CDS回路26L,26Rは、撮像信号に相関二重サンプリング処理を施し、A/D変換回路27L,27Rに出力する。A/D変換回路27L,27Rは、撮像信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してプロセッサ3に対して出力するようになっている。
【0027】
一方、前記撮像素子23Lおよび撮像素子23Rに係る信号線等の各種ケーブル15は、挿入部6、操作部7およびユニバーサルコード8の内部を経由してプロセッサ3に接続されるようになっている。また、前記挿入部6、操作部7およびユニバーサルコード8には、プロセッサ3における光源部からの照明光を伝送するライトガイドケーブル16が挿通している。
【0028】
前記ユニバーサルコード8の基端側には、ライトガイドケーブル16の端部である光源用コネクタ17aが配設され前記プロセッサ3における光源コネクタ部30aに着脱自在に接続されるようになっている。一方、前記光源コネクタ17aから分岐して前記信号ケーブル15の端部である信号用コネクタ17bが配設され、前記プロセッサ3における信号コネクタ部30bに着脱自在に接続されるようになっている。
【0029】
また、図3に示すように、挿入部6の先端硬質部11の先端面11aには、前記ライトガイドケーブル16の先端面に対向した位置に照明窓25が配設されている。なお、本実施形態においては、前記ライトガイドケーブル16は2つ設けられ、併せて照明窓25も2つ配設されている。
【0030】
そして、前記光源用コネクタ17aをプロセッサ3における光源コネクタ部30aに接続し、プロセッサ3に内設された光源部4から出射された照明光がライトガイドケーブル16により伝送され、先端硬質部11の先端面11aにおいて当該ライトガイドケーブル16の先端面に対向して設けられた前記照明窓25から当該照明光が出射されることとなる。
【0031】
一方、前記先端硬質部11の先端面11aにおいては、前記照明窓25に隣接して、2つの観察窓24L,24Rが配設され、照明された患部等の被写体の光学像を入力するようになっている。なお、これら観察窓24L,24Rは、それぞれ上述した撮像光学系22L、撮像光学系22Rに対向する位置に配置されている。
【0032】
また、立体内視鏡2は、図4に示すように、左側撮像ユニット21Lを収容する左側用の収容部29Lと、右側撮像ユニット21Rを収容する右側用の収容部29Rとを有している。なお、収容部29Lと収容部29Rとは、それぞれ別体である。
【0033】
なお、上述したように本実施形態においては、3D内視鏡として左右2つの撮像光学系22Lおよび撮像光学系22Rにおいて互いに視差ある光学像を入力し、それぞれ別々の光学像である左側の光学像と右側の光学像とを生成し、これら左右別々の光学像をそれぞれ別々の撮像素子23Lおよび撮像素子23Rにおいて光電変換するものとしたが、これに限らない。
【0034】
すなわち、前記撮像光学系22Lおよび撮像光学系22Rにおけるそれぞれの結像レンズの結像位置に一つの撮像素子を配置し、左右別々の光学像を1つの撮像素子における同一撮像面上における異なる領域に結像するようにしてもよい。
【0035】
この場合、当該1つの撮像素子から出力された撮像信号の信号処理を行うプロセッサ3においては、同一撮像面上における異なる領域に係る撮像信号を左右の光学像として処理すればよい。
【0036】
また、本実施形態においては、撮像素子23Lおよび撮像素子23RとしてCCDイメージセンサを採用したがこれに限らず、例えばCMOSイメージセンサであってもよい。
【0037】
次に、本第1の実施形態の内視鏡システムにおけるプロセッサ3について詳述する。
【0038】
図2に示すように、本実施形態におけるプロセッサ3は、プロセッサ3内の各種回路の制御を行う制御部31と、立体内視鏡2における2つの撮像信号のうち、左側画像用の撮像素子23Lにおいて生成され、CDS回路26LおよびA/D変換回路27Lを経た撮像信号(以下、第1の撮像信号)を入力し制御部31の制御下に所定の信号処理を施す第1信号処理部32と、右側画像用の撮像素子23Rにおいて生成され、CDS回路26RおよびA/D変換回路27Rを経た撮像信号(以下、第2の撮像信号)を入力し制御部31の制御下に所定の信号処理を施す第2信号処理部33と、を有する。
【0039】
ここで制御部31は、プロセッサ3内の各種回路の制御を行うと共に、左側画像を表す第1の撮像信号と右側画像を表す第2の撮像信号とにおいて当該被写体の光学像が共通して撮像されている領域を、前記左側画像における第1共通領域および前記右側画像における第2共通領域としてそれぞれ規定する領域規定部31aを有する。なお、領域規定部31aについては後に詳述する。
【0040】
また、第1信号処理部32および第2信号処理部33は、いずれも撮像素子23Lまたは撮像素子23Rからの撮像信号に対して所定の信号処理を施すが、それぞれ公知の自動利得制御回路(AGC回路)、ホワイトバランス回路、ガンマ補正回路、拡大縮小回路、輪郭強調回路等の信号処理部を備え適宜信号処理を行うようになっている。
【0041】
図2に戻ってプロセッサ3は、第1信号処理部32において処理された第1の撮像信号の調光検波を行う第1調光検波部34と、第2信号処理部33において処理された第2の撮像信号の調光検波を行う第2調光検波部35と、第1信号処理部32において信号処理された第1の撮像信号と第2信号処理部33において信号処理された第2の撮像信号とを合成し、所定の3D画像信号を生成する3D合成部50と、を有する。
【0042】
ここで前記第1調光検波部34は、制御部31の制御下に、第1信号処理部32において処理された第1の撮像信号であって、前記領域規定部31aにおいて規定された前記左側画像における第1共通領域に対応する撮像信号の輝度を測光し第1の測光値(第1の輝度値)に係る情報信号(第1の測光値信号)を出力する第1測光部38と、この第1測光部38において測光された前記第1の輝度値に応じて前記撮像素子23Lに対して露光時間を制御するための第1の露光制御信号を出力する第1露光時間制御部36と、を有する。
【0043】
一方、前記第2調光検波部35は、第2信号処理部33において処理された第2の撮像信号であって、前記領域規定部31aにおいて規定された前記右側画像における第2共通領域に対応する撮像信号の輝度を測光し第2の測光値(第2の輝度値)に係る情報信号(第2の測光値信号)を出力する第2測光部39と、この第2測光部39において測光された前記第2の輝度値に応じて前記撮像素子23Rに対して露光時間を制御するための第2の露光制御信号を出力する第2露光時間制御部37と、を有する。
【0044】
前記第1露光時間制御部36は、第1の撮像信号の輝度を測光した第1の測光値に応じて撮像素子23Lの電子シャッター制御のための制御信号を生成し、撮像素子23Lに対して送出する。一方、前記第2露光時間制御部37は、第2の撮像信号の輝度を測光した第2の測光値に応じて撮像素子23Rの電子シャッター制御のための制御信号を生成し、撮像素子23Rに対して送出する。
【0045】
さらにプロセッサ3は、制御部31の制御下に、前記第1の測光値信号および前記第2の測光値信号に応じて絞り制御信号を生成する絞り制御信号生成部52を有する。
【0046】
この絞り制御信号生成部52は、制御部31の制御下に、領域規定部31aにおいて規定された前記左側画像における第1共通領域および前記右側画像における第2共通領域にそれぞれ対応する、前記第1の測光値信号および前記第2の測光値信号に応じて絞り制御信号を生成するようになっている。
【0047】
また本実施形態においてプロセッサ3は、前記立体内視鏡2に対して照明光を供給するために前記ライトガイドケーブル16に対して照明光を出射するための光源部4を内設する。
【0048】
この光源部4は、ランプ42、絞り43およびレンズ44を有するとともに、光源制御部41と備えて構成されている。ランプ42からの照明光は、光源制御部41により制御される絞り43を介してレンズ44に向けて出射されるようになっている。また、レンズ44は、ライトガイドケーブル16の基端部に光を集光するようになっている。
【0049】
さらに、前記ライトガイドケーブル16の基端部に集光した光は、立体内視鏡2に供給される照明光として、ライトガイドケーブル16内を伝送された後当該ライトガイドケーブル16の先端部から出射することとなる。
【0050】
前記光源制御部41は、前記絞り制御信号生成部52において生成された絞り制御信号に基づいて絞り43を制御するようになっている。
【0051】
すなわち、本第1の実施形態においては、前記第1の測光値信号および第2の測光値信号に応じて生成された絞り制御信号に基づいて、前記光源制御部41により絞り43を制御して照明光の光量を制御することとなる。
【0052】
このように本第1の実施形態の内視鏡システムにおいては、まず、上述したように第1調光検波部34および第2調光検波部35により、撮像素子23Lおよび撮像素子23Rに対してそれぞれ個別に撮像信号の露光時間を制御し、第1の撮像信号と第2の撮像信号との輝度値が等しくなるよう制御するようになっている。
【0053】
一方で本実施形態の内視鏡システムは、第1調光検波部34および第2調光検波部35における第1測光部38および第2測光部39において検出した第1の測光値信号または第2の測光値信号に応じて、前記絞り制御信号生成部52において絞り制御信号を生成し、これにより光源部4における絞り43を制御することで光源を調光するようになっている。
【0054】
<領域規定部における処理>
図5は、第1の実施形態の内視鏡システムにおける領域規定部の作用を示す説明図であり、図6は、従来の立体内視鏡システムにおける3D合成画像の生成過程を示す説明図である。
【0055】
ここで、図6を参照して、通常の3D合成画像を生成する際の左右画像に係る調光検波の過程について説明する。
【0056】
図6に示すように、通常、立体内視鏡における互いに視差のある左右画像(図6においては左側画像70Lおよび右側画像70R)には、その視差により、左右の画像のそれぞれの左右端には左右方向にずれを生じることとなる。
【0057】
なお、図6中、左側画像70Lおよび右側画像70Rは、3D合成され、3D合成画像70Sが生成され、所定のモニタに表示されるものとする。
【0058】
また、図6中、左側画像70Lおよび右側画像70Rにおける符号72は、左右光学系において共通して撮像する被写体の光学像を示す。また、同図6における符号74は、前記左側画像70Lおよび右側画像70Rにおける前記それぞれの被写体像72に対して同じ方向および距離ほど離間した位置を模式的に示す座標点を示す。
【0059】
ここで、当該立体内視鏡においては、上述した左側画像70Lおよび右側画像70Rにおいて、それぞれ画面全体で調光検波を行うものとする。すると、例えば、図6に示すように、左側画像70Lおよび右側画像70R共に、右側端から鉗子73が挿入する場合、左側画像70Lと右側画像70Rとでは、視差があるために、右側辺縁部における鉗子73先端部の進入度合いが異なって見えることとなる。
【0060】
具体的には、図6に示すように右側画像70Rにおける鉗子73の方が、左側画像70Lにおける鉗子73よりもその先端部の露出部分が相対的に大きくなって見えることとなる。
【0061】
通常、上述した如き鉗子73の先端部は反射率が高い部材で構成されるため、斯様な反射率の高い被写体は調光検波に与える影響が大きいことが想定される。
【0062】
したがって、上述した状況の場合、相対的に右側画像70Rが左側画像70Lより明るく検波されてしまい、3D合成した画面全体を目標の明るさにしようと調光制御すると、画面の略中心部分の被写体部の明るさに差異が生じてしまう。具体的には、画面中心部については右側画像70Rの方が暗くなってしまう虞がある。
【0063】
本願発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、視差を有する2つの左右の撮像画像を取得可能な立体内視鏡システムにおいて、左右2つの視野範囲における左右方向の端部の輝度値に大きな乖離が生じた場合であっても、適切な露光制御を行い得る撮像システムを提供するものである。
【0064】
以下、本実施形態の領域規定部における共通領域の規定処理について図2および図5を参照して説明する。
【0065】
上述したように本実施形態においてプロセッサ3における制御部31は、プロセッサ3内の各種回路の制御を行うと共に、前記領域規定部31aを有する。
【0066】
この領域規定部31aは、図5に示すように、前記第1信号処理部32において処理された左側画像60Lを表す第1の撮像信号と、前記第2信号処理部33において処理された右側画像60Rを表す第2の撮像信号とにおいて、当該被写体の光学像が共通して撮像されている領域を、前記左側画像60Lにおける第1共通領域61Lおよび前記右側画像60Rにおける第2共通領域61Rとして、それぞれ規定する。
【0067】
なお、図5においても、図6と同様に、左側画像60Lおよび右側画像60Rにおける符号62は、左右光学系において共通して撮像する被写体の光学像を示す。また、同図5における符号64は、前記左側画像60Lおよび右側画像60Rにおける前記それぞれの被写体像62に対して同じ方向および距離ほど離間した位置を模式的に示す座標点を示す。
【0068】
より具体的に領域規定部31aは、左側画像60Lと右側画像60Rとにおいて、前記左側撮像ユニット21Lと前記右側撮像ユニット21Rとが撮像する被写体像が、互いに共通して表示される領域を、それぞれ前記第1共通領域61Lおよび第2共通領域61Rとして規定する。
【0069】
<共通領域における調光検波処理>
また、本実施形態においては、この第1共通領域61Lおよび第2共通領域61Rは、左側画像60Lおよび右側画像60Rそれぞれにおける調光検波を行う領域と一致する。
【0070】
そして制御部31の制御の下、前記第1調光検波部34における第1測光部38は、第1信号処理部32において処理された第1の撮像信号であって、前記領域規定部31aにおいて規定された前記左側画像60Lにおける第1共通領域61Lに対応する撮像信号の輝度を測光し、第1の測光値(第1の輝度値)に係る情報信号(第1の測光値信号)を出力する。
【0071】
また、第1露光時間制御部36は、この第1測光部38において測光された前記第1の輝度値に応じて前記撮像素子23Lに対して露光時間を制御するための第1の露光制御信号を出力する。
【0072】
一方、制御部31の制御の下、前記第2調光検波部35における第2測光部39は、第2信号処理部33において処理された第2の撮像信号であって、前記領域規定部31aにおいて規定された前記右側画像60Rにおける第2共通領域61Rに対応する撮像信号の輝度を測光し第2の測光値(第2の輝度値)に係る情報信号(第2の測光値信号)を出力する。
【0073】
また、第2露光時間制御部37は、この第2測光部39において測光された前記第2の輝度値に応じて前記撮像素子23Rに対して露光時間を制御するための第2の露光制御信号を出力する。
【0074】
そして、前記第1露光時間制御部36は、第1共通領域61Lにおける第1の撮像信号の輝度を測光した第1の測光値に応じて撮像素子23Lの電子シャッター制御のための制御信号を生成し、撮像素子23Lに対して送出する。
【0075】
一方、前記第2露光時間制御部37は、第2共通領域61Rにおける第2の撮像信号の輝度を測光した第2の測光値に応じて撮像素子23Rの電子シャッター制御のための制御信号を生成し、撮像素子23Rに対して送出する。
【0076】
さらにプロセッサ3は、制御部31の制御下に、前記第1の測光値信号および前記第2の測光値信号に応じて絞り制御信号を生成する絞り制御信号生成部52を有する。
【0077】
さらに制御部31の制御の下、前記絞り制御信号生成部52は、領域規定部31aにおいて規定された前記左側画像における第1共通領域61Lおよび前記右側画像における第2共通領域61Rにそれぞれ対応する、前記第1の測光値信号および前記第2の測光値信号に応じて絞り制御信号を生成する。
【0078】
その後本実施形態における画像合成部35は、制御部31の制御下に、前記第1信号処理部32において処理された左側画像60Lを表す第1の撮像信号と、前記第2信号処理部33において処理された右側画像60Rを表す第2の撮像信号とを合成処理し、図5に示すように3D合成画像60Sを生成しモニタ5に向けてその合成画像信号を出力する。
【0079】
ここで、上述した構成により本実施形態の内視鏡システムにおいて、例えば、図5に示すように、左側画像60Lおよび右側画像60R共にそれぞれの右側端から鉗子63が挿入する場合を想定する。
【0080】
このような状況であっても、すなわち、左側画像60Lと右側画像60Rとの互いの視野範囲における右側辺縁部において鉗子63先端部の進入度合いが異なり、かつ、鉗子63先端部における反射率が左側画像60Lと右側画像60Rとで異なる場合であっても、本実施形態の内視鏡システムにおいては、左側画像60Lと右側画像60Rとで調光検波範囲を共通した領域である第1共通領域61Lと第2共通領域61Rに規定したので、左側画像60Lと右側画像60Rとの明るさのずれが解消される、適切な明るさに調光されるという作用効果を奏する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によると、視差を有する2つの左右の撮像画像を取得可能な立体内視鏡システムにおいて、左右2つの視野範囲における左右方向の端部の輝度値に大きな乖離が生じた場合であっても、適切な露光制御を行い得る撮像システム及び信号処理装置を提供することができる。
【0082】
なお、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【0083】
本出願は、2014年12月15日に日本国に出願された特願2014−253275号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の開示内容は、本願明細書、請求の範囲、図面に引用されたものとする。
【要約】
第1の画像を生成する左側撮像ユニット(21L)と、第1の画像に対して視差を有する第2の画像を生成する右側撮像ユニット(21R)と、第1の画像と第2の画像とにおいて当該被写体の光学像が共通して撮像されている領域を、第1の画像における第1共通領域、および、第2の画像における第2共通領域としてそれぞれ規定する領域規定部(31a)と、前記第1共通領域内の画像の明るさを検出する第1の測光部(38)と、前記第2共通領域内の画像の明るさを検出する第2の測光部(39)と、前記第1または第2の画像の明るさを調整する制御部(31)とを具備する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6