(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
商用交流が入力され、当該商用交流を、当該商用交流の電圧振幅の半分の電圧で正電圧方向にオフセットする入力回路、及び前記入力回路によりオフセットされた電力を前記商用交流の周波数よりも高い周波数の電力に変換するインバータを有する高周波電源と、
前記インバータにより変換された電力を伝送する共振型送信アンテナと、
前記共振型送信アンテナにより伝送された電力を受信する共振型受信アンテナと、
前記共振型受信アンテナにより受信された電力を全波整流する全波整流回路、及び前記全波整流回路により全波整流された電力を、前記商用交流の電圧振幅の半分の電圧で負電圧方向にオフセットする出力回路を有する高周波整流回路と
を備えた電力伝送装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る電力伝送装置の構成例を示す図である。
電力伝送装置は、商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力するものである。なお、商用交流としては、国内外で使用されている標準の周波数(50Hz又は60Hz)の交流、工業用として使用されている周波数の交流等の、低周波数の交流が挙げられる。また以下では、電力伝送装置が無線電力伝送を行う場合を例に説明を行う。
【0011】
この電力伝送装置は、
図1に示すように、送信側AC/ACコンバータ(高周波電源)1、共振型送信アンテナ2、共振型受信アンテナ3及び受信側AC/ACコンバータ(高周波整流回路)4を備えている。なお、送信側AC/ACコンバータ1及び共振型送信アンテナ2は送信装置5を構成し、共振型受信アンテナ3及び受信側AC/ACコンバータ4は受信装置6を構成している。
【0012】
送信側AC/ACコンバータ1は、上記商用交流(
図1では50Hz)が入力され、当該商用交流を、当該商用交流の周波数の振幅変調を持ち、当該商用交流の周波数よりも高い周波数(
図1では6.78MHz)の電力に変換するものである。この送信側AC/ACコンバータ1は、入力回路11、インバータ12及び共振整合回路13を有している。
【0013】
入力回路11は、上記商用交流が入力され、当該商用交流を、当該商用交流の電圧振幅の半分の電圧で正電圧方向にオフセットするものである。この入力回路11によりオフセットされた電力は、インバータ12に出力される。
【0014】
インバータ12は、入力回路11から出力された電力を、上記高い周波数でスイッチングすることで、当該高い周波数の電力に変換するものである。このインバータ12により変換された電力は、共振整合回路13を介して共振型送信アンテナ2に出力される。
【0015】
共振整合回路13は、インバータ12の出力インピーダンスと共振型送信アンテナ2の入力インピーダンスとの整合を取る(共振型送信アンテナ2との間で共振条件を合わせる)ものである。なお、共振整合回路13は、共振整合回路13を構成する各素子の定数が固定である固定整合型、各素子の定数が可変である可変整合型、各素子の定数が自動で可変されて整合を取る自動整合型の何れであってもよい。
【0016】
共振型送信アンテナ2は、インバータ12により変換された電力を入力して共振動作を行い、非放射型の電磁界を近傍に発生させることで、共振型受信アンテナ3に対して電力伝送を行う共振型の電力送信アンテナである。
【0017】
共振型受信アンテナ3は、共振型送信アンテナ2からの非放射型の電磁界と共振結合動作を行うことで電力を受信する共振型の電力受信アンテナである。この共振型受信アンテナ3により受信された電力は、受信側AC/ACコンバータ4の後述する共振整合回路41を介して全波整流回路42に出力される。
【0018】
なお、共振型送信アンテナ2と共振型受信アンテナ3との間の電力の無線伝送方式は特に限定されるものではなく、磁界共鳴による方式、電界共鳴による方式、電磁誘導による方式の何れであってもよい。
【0019】
受信側AC/ACコンバータ4は、共振型受信アンテナ3により受信された電力を、上記商用交流と同じ周波数(
図1では50Hz)の交流に変換するものである。この受信側AC/ACコンバータ4は、共振整合回路41、全波整流回路42及び出力回路43を有している。
【0020】
共振整合回路41は、共振型受信アンテナ3の出力インピーダンスと全波整流回路42の入力インピーダンスとの整合を取る(共振型受信アンテナ3との間で共振条件を合わせる)ものである。なお、共振整合回路41は、共振整合回路41を構成する各素子の定数が固定である固定整合型、各素子の定数が可変である可変整合型、各素子の定数が自動で可変されて整合を取る自動整合型の何れであってもよい。
【0021】
全波整流回路42は、共振型受信アンテナ3により受信された電力を全波整流するものである。この全波整流回路42により全波整流された電力は、出力回路43に出力される。
【0022】
出力回路43は、全波整流回路42により全波整流された電力を、上記商用交流の電圧振幅の半分の電圧で負電圧方向にオフセットするものである。これにより、上記商用交流と同じ周波数の交流を得ることができる。この出力回路43により得られた電力は、負荷(不図示)に出力される。
【0023】
次に、送信装置5の具体的な回路構成例について、
図2を参照しながら説明する。
図2はこの発明の実施の形態1における送信装置5の回路構成例を示す図である。なお
図2では、送信装置5の入力端に、商用交流を出力する商用交流源7が接続された場合を示している。また
図2では、インバータ12としてE級型のインバータを用いた場合を示している。
【0024】
まず、送信側AC/ACコンバータ1の回路構成例について説明する。
図2では、送信側AC/ACコンバータ1の入力回路11は、直流電源Vdc1及びコンデンサC11により構成されている。直流電源Vdc1は、電圧が上記商用交流の電圧振幅の半分の値である直流を出力するものである。この直流電源Vdc1は、プラス端子が商用交流源7のマイナス端子に接続されている。また、コンデンサC11は、一端が商用交流源7のプラス端子に接続され、他端が直流電源Vdc1のマイナス端子に接続されている。この直流電源Vdc1を有する入力回路11によって、上記商用交流を、当該商用交流の電圧振幅の半分の電圧で正電圧方向にオフセット(+1/2・Vinp−p)することができる。
【0025】
また、送信側AC/ACコンバータ1のインバータ12は、インダクタL11、共振回路素子(コンデンサC12,C13及びインダクタL12)及びスイッチング素子Q11により構成されている。
【0026】
インダクタL11は、入力回路11から入力された電力を、スイッチング素子Q11の動作毎に一時的に保持する働きをするものである。このインダクタL11は、一端が商用交流源7のプラス端子及びコンデンサC11の一端に接続されている。
【0027】
共振回路素子(コンデンサC12,C13及びインダクタL12)は、スイッチング素子Q11のスイッチング動作を共振スイッチング動作とさせるものである。すなわち、この共振回路素子により、スイッチング素子Q11のスイッチング動作が、Ids電流とVds電圧積によるスイッチング損失が最も小さくなるように、ZVS(ゼロボルテージスイッチング)が成立するように、スイッチング条件が設定されている。
【0028】
コンデンサC12は、一端がインダクタL11の他端に接続され、他端が直流電源Vdc1のマイナス端子に接続されている。また、インダクタL12は、一端がインダクタL11の他端に接続されている。また、コンデンサC13は、一端がインダクタL12の他端に接続されている。
【0029】
スイッチング素子Q11は、上記高い周波数でスイッチング動作を行うものである。このスイッチング素子Q11は、ドレイン端子がインダクタL11の他端に接続され、ソース端子が直流電源Vdc1のマイナス端子に接続されている。
【0030】
また、送信側AC/ACコンバータ1の共振整合回路13は、コンデンサC14,C15及びインダクタL13により構成されている。
コンデンサC14は、一端がコンデンサC13の他端に接続され、他端が直流電源Vdc1のマイナス端子に接続されている。また、インダクタL13は、一端がコンデンサC13の他端に接続されている。また、コンデンサC15は、一端がインダクタL13の他端に接続され、他端が直流電源Vdc1のマイナス端子に接続されている。
【0031】
次に、共振型送信アンテナ2の回路構成例について説明する。
図2では、共振型送信アンテナ2は、コンデンサC16,C17及びインダクタL14により構成されている。このコンデンサC16,C17及びインダクタL14は共振型送信アンテナ2の共振条件を設定するものである。なお、インダクタL14は、共振型送信アンテナ2の共振条件を設定する機能の他、アンテナとしても兼用されている。
【0032】
コンデンサC16は、一端がインダクタL13の他端に接続されている。また、コンデンサC17は、一端が直流電源Vdc1のマイナス端子に接続されている。また、インダクタL14は、一端がコンデンサC16の他端に接続され、他端がコンデンサC17の他端に接続されている。
【0033】
また
図2では、入力回路11を直流電源Vdc1から構成した場合を示したが、この直流電源Vdc1を例えば
図3に示す回路に変更してもよい。この
図3に示す回路は、スイッチング素子Q12,Q13、コンデンサC18、電位差検出部14及び負帰還制御部15により構成されている。
スイッチング素子Q12は、ソース端子がスイッチング素子Q13のソース端子に接続され、ドレイン端子が商用交流源7のマイナス端子に接続されている。また、スイッチング素子Q13は、ドレイン端子がインバータ12のリターンライン16に接続されている。また、コンデンサC18は、一端がスイッチング素子Q12のドレイン端子に接続され、他端がスイッチング素子Q13のドレイン端子に接続されている。また、電位差検出部14は、スイッチング素子Q12のドレイン端子とスイッチング素子Q13のドレイン端子との間の電位差を検出するものである。また、負帰還制御部15は、電位差検出部14により検出された電位差と基準電圧Vref(=オフセット電圧Vdc1)とを比較することで、Hレベル又はLレベルの信号をスイッチング素子Q12のゲート端子及びスイッチング素子Q13のゲート端子に出力するものである。この
図3に示す回路から成る入力回路11によっても、上記商用交流を、当該商用交流の電圧振幅の半分の電圧で正電圧方向にオフセットすることができる。
【0034】
次に、受信装置6の具体的な回路構成例について、
図4を参照しながら説明する。
図4はこの発明の実施の形態1における受信装置6の回路構成例を示す図である。なお
図4では、全波整流回路42としてブリッジ整流回路を用いた場合を示している。
【0035】
まず、共振型受信アンテナ3の回路構成例について説明する。
図4では、共振型受信アンテナ3は、インダクタL21及びコンデンサC21,C22により構成されている。このインダクタL21及びコンデンサC21,C22は共振型受信アンテナ3の共振条件を設定するものである。なお、インダクタL21は、共振型受信アンテナ3の共振条件を設定する機能の他、アンテナとしても兼用されている。
インダクタL21は、一端にコンデンサC21が接続され、他端にコンデンサC22が接続されている。
【0036】
次に、受信側AC/ACコンバータ4の回路構成例について説明する。
図4では、受信側AC/ACコンバータ4の共振整合回路41は、インダクタL22及びコンデンサC23により構成されている。
インダクタL22は、一端がコンデンサC21の他端に接続されている。また、コンデンサC23は、一端がインダクタL22の他端に接続され、他端がコンデンサC22の他端に接続されている。
【0037】
また、受信側AC/ACコンバータ4の全波整流回路42は、整流ダイオードD21〜D24及びコンデンサC24により構成されている。
【0038】
整流ダイオードD21〜D24は、ブリッジ接続され、共振型受信アンテナ3から入力された電力を全波整流するものである。
整流ダイオードD21〜D24は、整流ダイオードD21のカソード及び整流ダイオードD23のアノードがインダクタL22の他端に接続され、整流ダイオードD22のカソード及び整流ダイオードD24のアノードがコンデンサC22の他端に接続されている。
【0039】
コンデンサC24は、整流ダイオードD21〜D24により全波整流された電力を、交流成分(
図6Bに示す波形)を残しつつ平滑するものである。すなわち、コンデンサC24の容量は、出力波形に交流成分(図の例は商用交流と同じ50Hz)が残る程度の小さな値に設定されている。このコンデンサC24は、一端が整流ダイオードD23のカソード及び整流ダイオードD24のカソードに接続され、他端が整流ダイオードD21のアノード及び整流ダイオードD22のアノードに接続されている。
【0040】
また、受信側AC/ACコンバータ4の出力回路43は、スイッチング素子Q21及び直流電源Vdc2により構成されている。直流電源Vdc2は、電圧が商用交流の電圧振幅の半分の値である直流を出力するものである。
スイッチング素子Q21は、ドレイン端子が整流ダイオードD23のカソード及び整流ダイオードD24のカソードに接続され、ソース端子が整流ダイオードD21のアノード及び整流ダイオードD22のアノードに接続されている。また、直流電源Vdc2は、マイナス端子がスイッチング素子Q21のソース端子に接続されている。この直流電源Vdc2を有する出力回路43によって、全波整流回路42により全波整流された電力を、上記商用交流(=出力される交流)の電圧振幅の半分の電圧で負電圧方向にオフセット(−1/2・Voutp−p)することができる。
【0041】
なお、受信側AC/ACコンバータ4の一対の出力端子のうち、HOT端子はスイッチング素子Q21のドレイン端子に接続され、RTN端子は直流電源Vdc2のプラス端子に接続されている。
また、受信側AC/ACコンバータ4の出力回路43についても、送信側AC/ACコンバータ1の入力回路11と同様に、直流電源Vdc2を
図3に示すような回路に変更してもよい。
【0042】
次に、上記のように構成された電力伝送装置の動作例について、
図1〜6を参照しながら説明する。なお以下では、電力伝送装置に入力される上記商用交流の周波数を50Hzとし、電力伝送装置で用いる上記高い周波数を6.78MHzとした場合を例に説明を行う。
まず、送信装置5では、送信側AC/ACコンバータ1の入力回路11は、商用交流源7から50Hzの商用交流Vin(AC)が入力されると(
図5A)、当該商用交流を、当該商用交流の電圧振幅の半分の電圧Vdc1で正電圧方向にオフセットする。
【0043】
そして、インバータ12は、入力回路11からの電力を6.78MHzの電力に変換する(
図5B)。ここで、スイッチング素子Q11により6.78MHzでスイッチングされたドレイン−ソース間電圧Vds(Q11)のピークは、50Hzのサイン波状に変化する。なお、
図5Bにおいて、実線で示す波形(ハッチングされた部分に含まれる波形)は、インバータ12により変換された電力(6.78MHz)の波形を示し、破線で示す波形は、当該電力のピークの軌跡(50Hz)を示している。
【0044】
そして、共振型送信アンテナ2は、50Hzの振幅変調を持つ6.78MHzの電力(伝送波)を伝送する(
図5C)。なお、
図5Cにおいて、実線で示す波形(ハッチングされた部分に含まれる波形)は、共振型送信アンテナ2により伝送される電力(6.78MHz)の波形を示し、破線で示す波形は、当該電力のピークの軌跡(50Hz)を示している。
【0045】
一方、受信装置6では、共振型受信アンテナ3は、共振型送信アンテナ2により伝送された50Hzの振幅変調を持つ6.78MHzの電力(伝送波)を受信する(
図6A)。なお
図6Aに示す波形は、
図5Cに示す波形と同一である。
【0046】
そして、受信側AC/ACコンバータ4の全波整流回路42は、共振型受信アンテナ3により受信された電力を全波整流する(
図6B)。これにより、コンデンサC24の電圧V(C24)は、正電圧方向にオフセットされた50Hzのサイン波状に整流された値となる。
【0047】
そして、出力回路43は、全波整流回路42により全波整流された電力を、上記商用交流の電圧振幅の半分の電圧Vdc2で負電圧方向にオフセットする。この際、電圧Vdc2に対してコンデンサC24の電圧V(C24)の値が小さくなるのに従い、スイッチング素子Q21のドレイン−ソース間を線形的にオンさせる。これにより、受信装置6の出力は、電力伝送装置に入力された商用電力の周波数である50Hzと同じ周波数のサイン波となる(
図6C)。
【0048】
次に、実施の形態1に係る電力伝送装置の適用例について、
図7を参照しながら説明する。なお
図7では、固定部51が道路面の場合を示し、送信装置5のうちの共振型送信アンテナ2及び受信装置6のうちの共振型受信アンテナ3のみを図示している。
実施の形態1に係る電力伝送装置の適用例としては、共振型送信アンテナ2を道路面や駐車場等の固定部51に設置し、共振型受信アンテナ3を、停止した際又は移動中に固定部51と対向する車両等の移動体52に設置することが可能である。なお、
図7に示すように、固定部51が道路面である場合には、共振型送信アンテナ2は、移動体52の走行方向に沿って複数設けられる。これにより、移動体52が固定部51に対向して停止又は移動している際に共振型送信アンテナ2から共振型受信アンテナ3に電力伝送を行うことができ、移動体52に電力を供給することができる。
【0049】
なお上記では、共振型送信アンテナ2を単一のコイルから構成した場合について示した。しかしながら、これに限るものではなく、共振型送信アンテナ2を、2個以上のコイルで構成してもよく、例えば給電用コイル及び共鳴用コイルから構成してもよい。
同様に、上記では、共振型受信アンテナ3を単一のコイルから構成した場合について示した。しかしながら、これに限るものではなく、共振型受信アンテナ3を、2個以上のコイルで構成してもよく、例えば給電用コイル及び共鳴用コイルから構成してもよい。
【0050】
また上記では、共振型送信アンテナ2と共振型受信アンテナ3との間の電力の伝送方式が無線伝送方式であるとして説明を行った。しかしながら、これに限るものではなく、例えば
図8に示すように、共振型送信アンテナ2と共振型受信アンテナ3とを等価的に1点接続となるよう導線8で接続した接触型の共振結合伝送としてもよい。なお
図8では、送信装置5のうちの共振型送信アンテナ2及び受信装置6のうちの共振型受信アンテナ3のみを図示している。
【0051】
また上記では、インバータ12としてE級型のインバータを用いた場合を示した。しかしながら、これに限るものではなく、入力された電力を、上記高い周波数でスイッチングすることで、当該高い周波数の電力に変換するインバータであればよい。例えば、インバータ12として、ブリッジ型のインバータ、D級型のインバータ、DE級型のインバータを用いてもよい。
【0052】
また上記では、全波整流回路42としてダイオード型のブリッジ整流回路を用いた場合を示した。しかしながら、これに限るものではなく、入力された電力を全波整流する回路であればよい。例えば、整流ダイオードD21〜D24に代えて電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を用いて全波整流回路42を構成してもよい。
【0053】
また上記では、インバータ12の外部に共振整合回路13を設けた場合を示した。しかしながら、これに限るものではなく、インバータ12に共振整合回路13を内蔵してもよい。例えば、共振整合回路13が固定整合型の場合にはインバータ12に内蔵し、可変整合型又は自動整合型の場合にはインバータ12の外部回路として設けてもよい。
また上記では、全波整流回路42の外部に共振整合回路41を設けた場合を示した。しかしながら、これに限るものではなく、全波整流回路42に共振整合回路41を内蔵してもよい。例えば、共振整合回路41が固定整合型の場合には全波整流回路42に内蔵し、可変整合型又は自動整合型の場合には全波整流回路42の外部回路として設けてもよい。
【0054】
以上のように、この実施の形態1によれば、商用交流が入力され、当該商用交流を、当該商用交流の電圧振幅の半分の電圧で正電圧方向にオフセットする入力回路11、及び入力回路11によりオフセットされた電力を商用交流の周波数よりも高い周波数の電力に変換するインバータ12を有する送信側AC/ACコンバータ1と、インバータ12により変換された電力を伝送する共振型送信アンテナ2と、共振型送信アンテナ2により伝送された電力を受信する共振型受信アンテナ3と、共振型受信アンテナ3により受信された電力を全波整流する全波整流回路42、及び全波整流回路42により全波整流された電力を、商用交流の電圧振幅の半分の電圧で負電圧方向にオフセットする出力回路43を有する受信側AC/ACコンバータ4とを備えたので、AC/DCコンバータ101及びDC/ACインバータ106を用いずに、商用交流が入力されて電力伝送を行って当該商用交流と同じ周波数の交流を出力することができる。その結果、従来構成に対してシステム全体を小型化、軽量化、低コスト化することができる。
【0055】
また、従来構成では送信側で電力の変換を2度(直流への変換と周波数変換)行い、受信側で電力の変換を2度(直流への変換と周波数変換)行っている。それに対し、実施の形態1に係る電力伝送装置では、送信側で、入力された商用交流に対して電力の変換を1度(周波数変換)行い、受信側でも電力の変換を1度(整流)行っている。よって、従来構成に対して変換効率は高くなり、装置全体における入出力の電力伝送効率を高めることができる。このように、実施の形態1に係る電力伝送装置では、従来構成に対して、装置全体における入出力の電力伝送効率を高めることができ、発熱量が小さくなるため、その放熱のためのヒートシンク構造を小型化できる。これによっても、従来構成に対して装置全体を小型化、軽量化、低コスト化することができる。
なお、実施の形態1に係る電力伝送装置は、部品点数が少ないため、小電力型の電力伝送装置への適用がより有効である。
【0056】
また、このように、装置全体の小型化、軽量化、低コスト化を図りつつ、商用交流の無線電力伝送が可能となるため、既存の商用交流で動作する機器(負荷)に対して、非接触電力伝送システムを容易に構成することができる。よって、非接触電力伝送用の受電機能を内蔵した機器の登場を待たずに非接触電力伝送の実用化と普及に効果がある。
【0057】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
商用交流が入力され、当該商用交流を、当該商用交流の電圧振幅の半分の電圧で正電圧方向にオフセットする入力回路(11)、及び入力回路(11)によりオフセットされた電力を商用交流の周波数よりも高い周波数の電力に変換するインバータ(12)を有する送信側AC/ACコンバータ(1)と、インバータ(12)により変換された電力を伝送する共振型送信アンテナ(2)と、共振型送信アンテナ(2)により伝送された電力を受信する共振型受信アンテナ(3)と、共振型受信アンテナ(3)により受信された電力を全波整流する全波整流回路(42)、及び全波整流回路(42)により全波整流された電力を、商用交流の電圧振幅の半分の電圧で負電圧方向にオフセットする出力回路(43)を有する受信側AC/ACコンバータ(4)とを備えた。