特許第5989292号(P5989292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5989292
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】内視鏡用対物光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20160825BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20160825BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   G02B13/04 D
   G02B23/26 C
   A61B1/00 300Y
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-537588(P2016-537588)
(86)(22)【出願日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】JP2015078195
【審査請求日】2016年6月8日
(31)【優先権主張番号】特願2014-221109(P2014-221109)
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123962
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100120204
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 巌
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸也
【審査官】 殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−107391(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/070930(WO,A1)
【文献】 特開2014−160098(JP,A)
【文献】 特開2014−029365(JP,A)
【文献】 特開2012−128294(JP,A)
【文献】 特開2011−075916(JP,A)
【文献】 特開平02−074912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 − 17/08
G02B 21/02 − 21/04
G02B 23/24 − 23/26
G02B 25/00 − 25/04
A61B 1/00 − 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の第1群と、正の第2群と、正の第3群と、からなり
前記第3群は、物体側から順に、正の接合レンズと、正レンズと、からなり、
前記第2群を光軸に沿って移動することにより通常観察状態から近接観察状態までをとることができ、
前記第1群は、接合レンズを有し、
前記第1群は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズと、前記接合レンズと、からなり、
前記接合レンズは負の接合レンズであり、
前記第2群は、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズからなり、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする内視鏡用対物光学系。
4≦FB/f≦7 (1)
ここで、
FBは、前記内視鏡用対物光学系のバックフォーカス、
fは、通常観察状態での前記内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【請求項2】
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用対物光学系。
8≦|fc1/f|≦22 (2)
ここで、
c1は、前記第1群の前記接合レンズの焦点距離、
fは、通常観察状態での前記内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【請求項3】
以下の条件式(3)を満足することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用対物光学系。
1≦|fc1/fc3|≦2.8 (3)
ここで、
c1は、前記第1群の前記接合レンズの焦点距離、
c3は、前記第3群の前記正の接合レンズの焦点距離、
である。
【請求項4】
以下の条件式(4)を満足することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用対物光学系。
4≦fc3/f≦12 (4)
ここで、
c3は、前記第3群の前記正の接合レンズの焦点距離、
fは、通常観察状態での前記内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結像(対物)光学系に関するものであり、例えば医療分野や工業分野などで用いられる内視鏡装置に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、医療用分野及び工業用分野で広く使用されている装置である。医療用分野においては、体腔内に挿入された内視鏡により、体腔内の様々な部位の画像が得られる。この画像を用いて観察部位の診断が行われる。このように、内視鏡は、体腔内の様々な部位の観察と診断に利用されている。
【0003】
内視鏡用対物光学系では、光路内にプリズム等の光学部材を配置することがある。そのため、内視鏡用対物光学系には、長いバックフォーカスを必要とする場合がある。このような長いバックフォーカスを有する対物光学系が、例えば、特許文献1、2に提案されている。
【0004】
また、近年、内視鏡では、撮像素子の高画素化が進んでいる。高画素化に対応して、光学系で形成される光スポットも小さくする必要がある。しかしながら、この対応ができていないと、撮像によって得られた画像では、回折による画質の劣化が生じる。
【0005】
この劣化を防ぐためには、対物光学系のFナンバーを小さくする必要がある。そのため、近年の対物光学系は、被写界深度が狭くなる傾向にある。そのような撮像素子に応じて広範囲の被写界深度を確保する方法として、対物光学系にフォーカシング機能を持たせる方法がある。フォーカシング機能を持つ対物光学系は、例えば、特許文献3、4、5に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4919419号公報
【特許文献2】特許第4675348号公報
【特許文献3】特許第4819969号公報
【特許文献4】特開2012−37768号公報
【特許文献5】特許第5607278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2に開示された対物光学系は、フォーカシング機能を有していない。このため、近年の高画素化が進んだ撮像素子では、広い被写界深度を確保することが困難である。また、特許文献3、4に開示された対物光学系は、フォーカシング機能を有しているが、バックフォーカスが短い。このため、対物光学系と撮像素子との間の光路中に、プリズム等の光学素子を配置することが困難である。また、特許文献5に開示された対物光学系は、長いバックフォーカスとフォーカシング機能を有しているが、レンズ枚数が多く製造コストが高くなってしまう。
【0008】
また、高画質な画像を撮像する撮像装置では、Fナンバーが小さい光学系が必要になる。画質の劣化を防ぐためには、フォーカシング時のレンズ移動による収差変動を小さく抑えることが重要である。Fナンバーが小さく、且つフォーカシング時のレンズ移動による収差変動が小さい高性能な光学系を実現しようとすると、このような光学系は、一般的には、光学系を構成するレンズ枚数が多くなる傾向にある。このようなことから、少ないレンズ枚数で、フォーカシングに伴う収差変動が小さい高性能な光学系が望まれている。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、長いバックフォーカスとフォーカシング機能を備え、フォーカシングに伴う収差変動が小さく、レンズ枚数が少ない高性能な光学特性を有する内視鏡用対物光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。なお、以下、焦点距離は、すべてe線における値である。
本発明の一態様は、
物体側から順に、負の第1群と、正の第2群と、正の第3群と、からなり
第3群は、物体側から順に、正の接合レンズと、正レンズと、からなり、
第2群を光軸に沿って移動することにより通常観察状態から近接観察状態までをとることができ、
前記第1群は、接合レンズを有し、
前記第1群は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負レンズと、前記接合レンズと、からなり、
前記接合レンズは負の接合レンズであり、
前記第2群は、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズからなり、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする内視鏡用対物光学系である。
4≦FB/f≦7 (1)
ここで、
FBは、内視鏡用対物光学系のバックフォーカス、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
8≦|fc1/f|≦22 (2)
ここで、
c1は、第1群の接合レンズの焦点距離、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
1≦|fc1/fc3|≦2.8 (3)
ここで、
c1は、第1群の接合レンズの焦点距離、
c3は、第3群の正の接合レンズの焦点距離、
である。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
4≦fc3/f≦12 (4)
ここで、
c3は、第3群の正の接合レンズの焦点距離、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系は、長いバックフォーカスとフォーカシング機能を備え、フォーカシングに伴う収差変動が小さく、レンズ枚数が少なく高性能な光学特性を有するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る内視鏡用対物光学系の断面構成を示す図であり、(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図2】本発明の実施例1に係る内視鏡用対物光学系の断面構成を示す図であり、(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図3】実施例1の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)をそれぞれ示す収差図である。
図4】本発明の実施例2に係る内視鏡用対物光学系の断面構成を示す図であり、(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図5】実施例2の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)をそれぞれ示す収差図である。
図6】本発明の実施例3に係る内視鏡用対物光学系の断面構成を示す図であり、(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図7】実施例3の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)をそれぞれ示す収差図である。
図8】本発明の実施例4に係る内視鏡用対物光学系の断面構成を示す図であり、(a)は通常観察状態における断面図、(b)は近接観察状態における断面図である。
図9】実施例4の球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)及び倍率色収差(CC)をそれぞれ示す収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態に係る内視鏡用対物光学系について、図面を用いて、このような構成をとった理由と作用を説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態に係る内視鏡用対物光学系の断面構成を示す図である。ここで、図1(a)は、通常観察状態における内視鏡用対物光学系の断面構成を示す図である。図1(b)は、近接観察状態における内視鏡用対物光学系の断面構成を示す図である。
【0020】
本実施形態に係る内視鏡用対物光学系は、物体側から順に、負の第1群G1と、正の第2群G2と、正の第3群G3とを備え、第3群G3は、物体側から順に、正の接合レンズCL2と、正のレンズL7からなり、第2群G2を光軸AXに沿って移動することにより通常観察状態から近接観察状態までをとることができる内視鏡用対物光学系であり、以下の条件式(1)を満足している。
4≦FB/f≦7 (1)
ここで、
FBは、内視鏡用対物光学系のバックフォーカス、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。「バックフォーカス」とは、最も像側のレンズ面から後側焦点位置までの距離(空気換算長)をいう。
【0021】
最も物体側に、負の第1群G1を配置し、その像側に正のレンズ群を配置している。これにより、光学系の構成として、レトロフォーカスタイプの構成を採ることができる。この結果、長いバックフォーカスを確保することができる。第1群G1の負の屈折力を大きくすると、より長いバックフォーカスを得ることができる。よって、第1群G1の負の屈折力は大きい方が好ましい。
【0022】
第1群G1の像側には、正の第2群G2を配置している。第2群G2は、フォーカシング群である。通常観察状態と近接観察状態との間において、第2群G2は、光軸AXに沿って移動する。第2群G2の屈折力は、第3群G3の屈折力よりも小さく設定されている。その結果、第2群G2における収差の発生量や収差の変動量を小さくすることができる。よって、正の第2群G2を移動することで、収差変動の少ないフォーカシングを行うことができる。
【0023】
第2群G2の像側には、正の第3群G3を配置している。正の第3群G3は、主として結像に寄与する、そこで、第3群G3の屈折力は、第2群G2の屈折力よりも大きく設定されている。第3群G3では、物体側に、正のレンズL5と負のレンズL6で構成された正の接合レンズCL2を配置している。物体側に正の接合レンズCL2を配置することで、結像に必要な正屈折力を維持しながら、軸上色収差を良好に補正することができる。
【0024】
第3群G3で軸上色収差と倍率色収差を補正しようとすると、少なくとも2つの接合レンズが必要になる。本実施形態では、第3群G3は色収差に関して、軸上色収差のみを補正するようにしている。そのため、接合レンズは1つで良い。これにより、少ないレンズ枚数で光学系を構成することができる。
【0025】
また、第3群G3の像側では、軸上光束と軸外光束とが分かれる。そこで、第3群G3の像側の軸外光線が高くなる位置に、正のレンズL7を配置している。これにより、非点収差、コマ収差等の軸外の収差を補正することができる。
【0026】
本実施形態は、上述のように、物体側に負の第1群G1を配置し、像側に正の第2群G2と正の第3群G3を配置すると共に、最も像側に正レンズを配置し、さらに条件式(1)を満たしている。これにより、長いバックフォーカスを確保しながら、少ないレンズ枚数で像面湾曲や非点収差といった軸外の収差まで良好に補正し、高画質な内視鏡画像を得ることができる。
【0027】
次に、条件式(1)について説明する。条件式(1)は、バックフォーカスと、内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離との比を規定している。
条件式(1)の上限値を上回ると、内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離に対してバックフォーカスが長くなりすぎる。そのため、全ての収差が悪化してしまう。
条件式(1)の下限値を下回ると、十分なバックフォーカスを得られない。このため、最も像側に配置された正のレンズL7と撮像素子との間の光路中にプリズム等の光学部材を配置することが困難となる。なお、撮像素子は、図1(a)、(b)において、像面Iの位置に配置される。
【0028】
なお、条件式(1)に代えて、以下の条件式(1´)を満たすことが望ましい。
4.3≦FB/f≦6.4 (1´)
さらに、条件式(1)に代えて、以下の条件式(1´´)を満たすことが望ましい。
4.6≦FB/f≦6.2 (1´´)
【0029】
また、本実施形態では、第1群G1は、接合レンズCL1を有することが望ましい。
最も物体側に配置した第1群G1では、軸外光線の位置が高くなる。そこで、第1群G1に接合レンズCL1を配置する。この構成により、倍率色収差を良好に補正することができる。
【0030】
本実施形態では、第1群G1は、倍率色収差を補正し、第3群G3は、軸上色収差を補正するように役割を分担させている。このように、色収差に関しては、収差補正の役割を分担させているので、第3群G3を少ないレンズ枚数で構成することができる。そのため、内視鏡用対物光学系の全体としても、少ないレンズ枚数で、長いバックフォーカスを確保する構成とすることができる。
【0031】
また、本実施形態では、第1群G1は、物体側から順に、像側に凹面を向けた負のレンズL1と、接合レンズCL1とからなり、接合レンズCL1は負の接合レンズであり、第2群G2は、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL4とすることが望ましい。なお、レンズL1は平凹レンズであることが望ましい。
【0032】
上述のように、光学系の構成として、レトロフォーカスタイプの構成をとるため、第1群G1に負屈折力を持たせている。負屈折力が大きいほど、より長いバックフォーカスを得ることができるが、収差も発生し易くなる。そこで、負のレンズL1と接合レンズCL1とで、負屈折力を分担させている。最も物体側には、負のレンズL1を配置する。負のレンズL1の屈折力は、接合レンズCL1の屈折力よりも大きい。このように、本実施形態では、第1群G1の負屈折力を、主に、負のレンズL1に負担させている。
【0033】
負のレンズL1の像側では、周辺光線が高い位置を通過している。そこで、レンズL1の像側には、接合レンズCL1を配置している。この位置に接合レンズCL1を配置することで、負のレンズL1の収差を補正しつつ、レンズ径が大きくならないようにしている。
【0034】
また、接合レンズCL1は、全体として像側に凸面を向けた形状をしている。この接合レンズCL1は、物体側に凹面を向けた負のレンズL2と正のレンズL3とを接合して構成されている。これにより、長いバックフォーカスを得るために必要な負の屈折力(パワー)を保持しながら、倍率色収差を良好に補正することができる。
【0035】
さらに、接合レンズCL1の像側に、正のメニスカスレンズL4を配置している。正のメニスカスレンズL4は、物体側に凸面を向けて配置されている。また、正のメニスカスレンズL4は第2群G2を構成するレンズであって、フォーカシングの際に移動するレンズ群である。上述のように、第2群G2の正屈折力は小さく設定されている。これにより、フォーカシングに伴う収差変動を小さく抑えることができる。
【0036】
また、本実施形態では、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
8≦|fc1/f|≦22 (2)
ここで、
c1は、第1群G1の接合レンズCL1の焦点距離、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0037】
条件式(2)は、第1群G1の接合レンズCL1の焦点距離と、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離との比を規定している。条件式(2)を満たすことにより、長いバックフォーカスを得るために必要な負の屈折力を保持しながら、倍率色収差を良好に補正することができる。
条件式(2)の上限値を上回ると、第1群G1の接合レンズCL1の負の屈折力が小さくなる。このため、長いバックフォーカスを確保することが困難となる。
条件式(2)の下限値を下回ると、第1群G1の接合レンズCL1の負の屈折力が大きくなる。このため、倍率色収差が補正不足となり、好ましくない。
【0038】
なお、条件式(2)に代えて、以下の条件式(2´)を満たすことが望ましい。
9.2≦|fc1/f|≦22 (2´)
さらに、条件式(2)に代えて、以下の条件式(2´´)を満たすことが望ましい。
10.5≦|fc1/f|≦22 (2´´)
【0039】
また、本実施形態は、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
1≦|fc1/fc3|≦2.8 (3)
ここで、
c1は、第1群G1の接合レンズCL1の焦点距離、
c3は、第3群G3の正の接合レンズCL2の焦点距離、
である。
【0040】
条件式(3)は、第1群G1の接合レンズCL1の焦点距離と、第3群G3の正の接合レンズCL2の焦点距離との比を規定している。本実施形態の光学系において、第1群G1の接合レンズCL1と、第3群G3の正の接合レンズCL2は、それぞれ倍率色収差と軸上色収差を補正しながら、長いバックフォーカスを確保するために必要なレトロフォーカス型を構成するための屈折力を有している。
条件式(3)の上限値を上回ると、第1群G1の接合レンズCL1の屈折力が小さくなる。このため、長いバックフォーカスを確保することが困難となる。
条件式(3)の下限値を下回ると、第1群G1の接合レンズCL1の屈折力が大きくなる。このため、長いバックフォーカスを確保するには有利となる。しかし、収差補正が困難となる。特に、倍率色収差と軸上色収差のバランスが崩れてしまうため、好ましくない。
【0041】
なお、条件式(3)に代えて、以下の条件式(3´)を満たすことが望ましい。
1.2≦|fc1/fc3|≦2.8 (3´)
さらに、条件式(3)に代えて、以下の条件式(3´´)を満たすことが望ましい。
1.3≦|fc1/fc3|≦2.8 (3´´)
【0042】
また、本実施形態では、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
4≦fc3/f≦12 (4)
ここで、
c3は、第3群G3の正の接合レンズCL2の焦点距離、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0043】
条件式(4)は、第3群G3の正の接合レンズCL2の焦点距離と、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離との比を規定している。
条件式(4)の上限値を上回ると、第3群G3の正の接合レンズCL2の屈折力が小さくなる。このため、長いバックフォーカスを確保するのには有利となる。しかし、球面収差が補正過剰となるため、好ましくない。
条件式(4)の下限値を下回ると、第3群G3の正の接合レンズCL2の屈折力が大きくなる。このため、長いバックフォーカスを確保することが困難となってしまう。
【0044】
なお、条件式(4)に代えて、以下の条件式(4´)を満たすことが望ましい。
5.5≦fc3/f≦10.5 (4´)
さらに、条件式(4)に代えて、以下の条件式(4´´)を満たすことが望ましい。
7≦fc3/f≦9 (4´´)
【0045】
また、本実施形態では、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
1≦|f1/f|≦2.4 (5)
ここで、
1は、第1群G1の焦点距離、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0046】
条件式(5)は、第1群G1の焦点距離と、通常観察状態での全系の焦点距離との比を規定している。
条件式(5)の上限値を上回ると、第1群G1の屈折力が小さくなる。このため、長いバックフォーカスを確保するのが困難となる。
条件式(5)の下限値を下回ると、第1群G1の負の屈折力が大きくなる。このため、像面湾曲が補正過剰となって好ましくない。
【0047】
なお、条件式(5)に代えて、以下の条件式(5´)を満たすことが望ましい。
1.2≦|f1/f|≦2.2 (5´)
さらに、条件式(5)に代えて、以下の条件式(5´´)を満たすことが望ましい。
1.4≦|f1/f|≦2.1 (5´´)
【0048】
また、本実施形態では、以下の条件式(6)を満足することが望ましい。
2.8≦f3/f≦5.2 (6)
ここで、
3は、第3群G3の焦点距離、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0049】
条件式(6)は第3群G3の焦点距離と、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離との比を規定している。
条件式(6)の上限値を上回ると、第3群G3の屈折力が小さくなる。このため、長いバックフォーカスを確保するには有利となる。しかし、球面収差、像面湾曲が補正過剰となるため、好ましくない。
条件式(6)の下限値を下回ると、第3群G3の屈折力が大きくなる。このため、長いバックフォーカスを確保しようとすると、すべての収差が悪化してしまう。
【0050】
なお、条件式(6)に代えて、以下の条件式(6´)を満たすことが望ましい。
3.1≦f3/f≦4.7 (6´)
さらに、条件式(6)に代えて、以下の条件式(6´´)を満たすことが望ましい。
3.4≦f3/f≦4.2 (6´´)
【0051】
また、本実施形態では、以下の条件式(7)を満足することが望ましい。
27≦f2/f≦50 (7)
ここで、
2は、第2群G2の焦点距離、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0052】
条件式(7)は、第2群G2の焦点距離と、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離との比を規定している。第2群G2は、フォーカシングの際に移動するレンズ群である。移動レンズ群の移動に伴う収差変動を小さくするためには、移動レンズ群の屈折力を十分小さくする必要がある。このため、条件式(7)を満足することが望ましい。
条件式(7)の上限値を上回ると、収差変動を抑えるには有利となる。しかし、移動レンズ群である第2群G2を光軸AXに沿って長い距離を移動させる必要がある。このため、対物光学系の全長が大きくなり、好ましくない。
条件式(7)の下限値を下回ると、移動レンズ群である第2群G2の屈折力が大きくなる。このため、第2群G2の移動に伴う収差変動が大きくなり、画質の劣化を招きやすい。
【0053】
なお、条件式(7)に代えて、以下の条件式(7´)を満たすことが望ましい。
29≦f2/f≦46 (7´)
さらに、条件式(7)に代えて、以下の条件式(7´´)を満たすことが望ましい。
32≦f2/f≦41 (7´´)
【0054】
また、本実施形態では、第3群G3の正の接合レンズCL2は正のレンズL5を有し、以下の条件式(8)を満足することが望ましい。
1.4≦D31/f≦2.6 (8)
ここで、
31は、正のレンズL5の厚み、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
【0055】
条件式(8)は、第3群G3の接合レンズCL2の正のレンズL5の厚みと、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離との比を規定している。
条件式(8)の上限値を上回ると、第3群G3の接合レンズCL2の正のレンズL5の厚みが大きくなる。このため、光学系の全長が大きくなり、好ましくない。
条件式(8)の下限値を下回ると、非点収差の発生量が大きくなるため、好ましくない。
【0056】
なお、条件式(8)に代えて、以下の条件式(8´)を満たすことが望ましい。
1.5≦D31/f≦2.4 (8´)
さらに、条件式(8)に代えて、以下の条件式(8´´)を満たすことが望ましい。
1.7≦D31/f≦2.2 (8´´)
【0057】
また、本実施形態では、第3群G3の正の接合レンズCL2の正のレンズL5は、物体側面の曲率半径を像側面の曲率半径より大きくすることが望ましい。
【0058】
また、本実施形態では、第3群G3の正の接合レンズCL2は正のレンズL5を有し、以下の条件式(9)を満足することが望ましい。
0.44≦(R31f+R31r)/(R31f−R31r)≦0.67 (9)
ここで、
31fは、正のレンズL5の物体側面の曲率半径、
31rは、正のレンズL5の像側面の曲率半径、
である。
条件式(9)の上限値を上回る、または下限値を下回ると、球面収差、コマ収差の発生量が大きくなるため、好ましくない。
【0059】
なお、条件式(9)に代えて、以下の条件式(9´)を満たすことが望ましい。
0.49≦(R31f+R31r)/(R31f−R31r)≦0.66 (9´)
さらに、条件式(9)に代えて、以下の条件式(9´´)を満たすことが望ましい。
0.53≦(R31f+R31r)/(R31f−R31r)≦0.64 (9´´)
【0060】
また、本実施形態では、以下の条件式(10)を満足することが望ましい。
0.7≦fc3/f33≦2 (10)
ここで、
c3は、第3群G3の正の接合レンズCL2の焦点距離、
33は、第3群G3の正のレンズL7の焦点距離、
である。
【0061】
条件式(10)は、第3群G3の正の接合レンズCL2の焦点距離と、第3群G3の正のレンズL7の焦点距離との比を規定している。
条件式(10)の上限値を上回ると、第3群G3の正のレンズL7に対して正の接合レンズCL2の屈折力が小さくなる。このため、球面収差が補正過剰となってしまう。
条件式(10)の下限値を下回ると、第3群G3の正のレンズL7に対して正の接合レンズCL2の屈折力が大きくなる。球面収差が補正不足となり好ましくない。さらには軸上色収差の発生量も大きくなるため、画質の劣化を招きやすい。
【0062】
なお、条件式(10)に代えて、以下の条件式(10´)を満たすことが望ましい。
0.8≦fc3/f33≦1.8 (10´)
さらに、条件式(10)に代えて、以下の条件式(10´´)を満たすことが望ましい。
1≦fc3/f33≦1.6 (10´´)
【0063】
また、第3群G3の正のレンズL7は、物体側面の曲率半径を像側面の曲率半径より大きくすることが望ましい。
【0064】
また、本実施形態では、以下の条件式(11)を満足することが望ましい。
0.1≦(R33f+R33r)/(R33f−R33r)≦1 (11)
ここで、
33fは、第3群G3の正のレンズL7の物体側面の曲率半径、
33rは、第3群G3の正のレンズL7の像側面の曲率半径、
である。
【0065】
条件式(11)は、第3群G3の正のレンズL7の物体側面の曲率半径と像側面の曲率半径とを規定するものである。条件式(11)の上限値を上回る、または下限値を下回ると、球面収差、コマ収差の発生量が大きくなり、好ましくない。
【0066】
なお、条件式(11)に代えて、以下の条件式(11´)を満たすことが望ましい。
0.25≦(R33f+R33r)/(R33f−R33r)≦0.9 (11´)
さらに、条件式(11)に代えて、以下の条件式(11´´)を満たすことが望ましい。
0.4≦(R33f+R33r)/(R33f−R33r)≦0.85 (11´´)
【0067】
また、本実施形態では、第3群G3の正の接合レンズCL2は負のレンズL6を有し、以下の条件式(12)、(13)を満足することが望ましい。
1.84≦Ne32 (12)
35≧νd32 (13)
ここで、
Ne32は、負のレンズL6のe線における屈折率、
νd32は、負のレンズL6のアッベ数、
である。
【0068】
条件式(12)の下限値を下回ると、第3群G3の接合レンズCL2の負のレンズL6の屈折力が大きくなる。このため、像面湾曲が補正過剰となり好ましくない。
また、条件式(13)の上限値を上回ると、軸上色収差が補正不足となるため、好ましくない。
【0069】
なお、条件式(12)、(13)に代えて、以下の条件式(12´)、(13´)を満たすことが望ましい。
1.88≦Ne32 (12´)
32≧νd32 (13´)
さらに、条件式(12)、(13)に代えて、以下の条件式(12´´)、(13´´)を満たすことが望ましい。
1.91≦Ne32 (12´´)
29≧νd32 (13´´)
【0070】
(実施例1)
実施例1に係る内視鏡用対物光学系について説明する。
図2(a)は、本実施例に係る内視鏡用対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0071】
本実施例は、物体側から順に、負の屈折力の第1群G1と、正の屈折力の第2群と、正の屈折力の第3群とから構成されている。また、明るさ絞りSは、第3群G3の物体側に固定されている。第2群G2は、光軸AX上を像側に移動して、通常観察状態から近接観察状態への変化に伴う焦点位置の変化を補正する。
【0072】
第1群G1は、像側に凹面を向けた平凹の負のレンズL1と、平行平板F1と、両凹の負のレンズL2と、両凸の正のレンズL3とからなる。負のレンズL2と正のレンズL3は接合され、負の接合レンズCL1を構成している。平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのコーティングが施されたフィルタである。
第2群G2は、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL4からなる。
第3群G3は、両凸の正のレンズL5と、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズL6と、両凸の正のレンズL7とからなる。正のレンズL5と負のメニスカスレンズL6とは接合され、正の接合レンズCL2を構成する。
【0073】
第3群G3の像側に、プリズムを配置している。光学系中のプリズムでは、光路が折り曲げられる。実施例1〜実施例4の全ての実施例において、プリズムで光路を折り曲げる代わりに、プリズムと等価な光路長を、光路が直線状のカバーガラスCGの厚さに換算して図示している。
【0074】
図3(a)、(b)、(c)、(d)は、本実施例の通常観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
図3(e)、(f)、(g)、(h)は、本実施例の近接観察状態における球面収差(SA)、非点収差(AS)、歪曲収差(DT)、倍率色収差(CC)を示す。
これら、諸収差図は、656.27nm(C線)、546.07nm(e線)、486.13nm(F線)及び435.84nm(g線)の各波長について示されている。また、各図中、”ω”は半画角を示す。以下、収差図に関しては、同様である。
【0075】
(実施例2)
実施例2に係る内視鏡用対物光学系について説明する。
図4(a)は、本実施例に係る内視鏡用対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0076】
本実施例は、物体側から順に、負の屈折力の第1群G1と、正の屈折力の第2群G2と、正の屈折力の第3群G3とから構成されている。明るさ絞りSは、第3群G3の物体側に固定されている。第2群G2は、光軸AX上を像側に移動して、通常観察状態から近接観察状態への変化に伴う焦点位置の変化を補正する。
【0077】
第1群G1は、像側に凹面を向けた平凹の負のレンズL1と、平行平板F1と、両凹の負のレンズL2と、両凸の正のレンズL3とからなる。負のレンズL2と正のレンズL3とは接合され、負の接合レンズCL1を構成している。平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのコーティングが施されたフィルタである。
第2群G2は、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL4からなる。
第3群G3は、両凸の正のレンズL5と、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズL6と、両凸の正のレンズ7とからなる。正のレンズL5と負のメニスカスレンズL6とは接合され、正の接合レンズCL2を構成する。第3群G3の像側には、プリズムを配置している。
【0078】
(実施例3)
実施例3に係る内視鏡用対物光学系について説明する。
図6(a)は、本実施例に係る内視鏡用対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0079】
本実施例は、物体側から順に、負の屈折力の第1群G1と、正の屈折力の第2群G2と、正の屈折力の第3群G3とから構成されている。明るさ絞りSは、第3群G3の物体側に固定されている。第2群G2は、光軸AX上を像側に移動して、通常観察状態から近接観察状態への変化に伴う焦点位置の変化を補正する。
【0080】
第1群G1は、像側に凹面を向けた平凹の負のレンズL1と、平行平板F1と、両凹の負のレンズL2と、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL3とからなる。負のレンズL2と正のメニスカスレンズL3とは接合され、負の接合レンズCL1を構成している。平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのコーティングが施されたフィルタである。
第2群G2は、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL4からなる。
第3群G3は、両凸の正のレンズL5と、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズL6と、両凸の正のレンズL7とからなる。正のレンズL5と負のメニスカスレンズL6とは接合され、正の接合レンズCL2を構成する。第3群G3の像側にはプリズムを配置している。
【0081】
(実施例4)
実施例4に係る内視鏡用対物光学系について説明する。
図8(a)は、本実施例に係る内視鏡用対物光学系の、通常観察状態(遠距離物点)における断面図、(b)は近接観察状態(近距離物点)における断面図である。
【0082】
本実施例は、物体側から順に、負の屈折力の第1群G1と、正の屈折力の第2群G2と、正の屈折力の第3群G3とから構成されている。また、明るさ絞りSは、第3群G3の物体側に固定されている。第2群G2は、光軸AX上を像側に移動して、通常観察状態から近接観察状態への変化に伴う焦点位置の変化を補正する。
【0083】
第1群G1は、像側に凹面を向けた平凹の負のレンズL1と、平行平板F1と、両凹の負のレンズL2と、両凸の正のレンズL3とからなる。負のレンズL2と正のレンズL3は接合され、負の接合レンズCL1を構成している。平行平板F1は、特定の波長、例えばYAGレーザーの1060nm、半導体レーザーの810nm、あるいは赤外域をカットするためのコーティングが施されたフィルタである。
第2群G2は、物体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズL4よりなる。
第3群G3は、両凸の正のレンズL5と、像側に凸面を向けた負のメニスカスレンズL6と、両凸の正のレンズL7とからなる。正のレンズL5と負のメニスカスレンズL6とは接合され、正の接合レンズCL2を構成する。
第3群G3の像側にはプリズムを配置している。
【0084】
以下に各実施例の数値データを示す。r1、r2、・・・はレンズ各面の曲率半径、d1、d2、・・・は各レンズの肉厚および面間隔、n1、n2、・・・は各レンズのe線に対する屈折率、ν1、ν2、・・・は各レンズのd線に対するアッベ数である。
【0085】
以下に、上記各実施例の数値データを示す。記号は、rは各レンズ面の曲率半径、dは各レンズ面間の間隔、neは各レンズのe線の屈折率、νdは各レンズのアッベ数、FnoはFナンバー、ωは半画角である。また、上述したように、焦点距離は、e線における値である。
【0086】
数値実施例1
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
物体面 d0(可変)
1 ∞ 0.396 1.88815 40.76
2 1.1938 0.7619
3 ∞ 0.594 1.51965 75.00
4 ∞ 0.1746
5 -3.8364 0.4006 1.82017 46.62
6 1.7474 0.8067 1.85504 23.78
7 -11.0669 d1(可変)
8 1.7600 0.4510 1.62409 36.26
9 1.7806 d2(可変)
10(明るさ絞り) ∞ 0.0515
11 4.2331 1.3358 1.57124 56.36
12 -1.1682 0.2772 2.01169 28.27
13 -2.2989 0.0495
14 10.8754 0.5384 1.51825 64.14
15 -2.9156 0.5989
16 ∞ 3.861 1.73234 54.68
17 ∞ 0.792
撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
像高 0.654 0.654
Fno. 3.53 3.53
ω(°) 80.6 71.9

d0 19.8 2.97
d1 0.29898 2.16902
d2 2.40541 0.53537

【0087】
数値実施例2
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
物体面 d0(可変)
1 ∞ 0.42 1.88815 40.76
2 1.2521 0.8260
3 ∞ 0.63 1.51965 75.00
4 ∞ 0.1817
5 -4.1214 0.4280 1.82017 46.62
6 1.8820 0.7833 1.85504 23.78
7 -10.0004 d1(可変)
8 1.8257 0.4916 1.62409 36.26
9 1.8399 d2(可変)
10(明るさ絞り) ∞ 0.1045
11 5.3546 1.4025 1.62409 36.26
12 -1.2390 0.2940 1.93429 18.90
13 -3.1201 0.0525
14 12.3705 0.5540 1.62409 36.26
15 -3.2966 0.6352
16 ∞ 4.095 1.73234 54.68
17 ∞ 0.84
撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
像高 0.694 0.694
Fno. 3.52 3.51
ω(°) 80.6 71.4

d0 21.00000 3.15000
d1 0.31710 2.31410
d2 2.56634 0.56934
【0088】
数値実施例3
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
物体面 d0(可変)
1 ∞ 0.392 1.88815 40.76
2 1.1978 0.7258
3 ∞ 0.539 1.51965 75.00
4 ∞ 0.0916
5 -8.5445 0.3562 1.82017 46.62
6 2.0068 0.6236 1.93429 18.9
7 9.6984 d1(可変)
8 1.7412 0.4266 1.85504 23.78
9 1.6907 d2(可変)
10(明るさ絞り) ∞ 0.0434
11 4.8299 1.21 1.57392 52.95
12 -1.1335 0.2744 2.01169 28.27
13 -2.2552 0.049
14 14.3813 0.5466 1.48915 70.23
15 -2.5615 0.5929
16 ∞ 4.508 1.73234 54.68
17 ∞ 0.784
撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
像高 0.648 0.648
Fno. 3.59 3.59
ω(°) 80.4 70.0

d0 19.60000 2.94000
d1 0.88860 2.68265
d2 2.35204 0.55799
【0089】
数値実施例4
単位 mm

面データ
面番号 r d ne νd
物体面 d0(可変)
1 ∞ 0.44 1.88815 40.76
2 1.4956 0.6649
3 ∞ 0.715 1.51965 75.00
4 ∞ 0.229
5 -5.8091 0.4486 1.88815 40.76
6 2.1545 1.6075 1.85504 23.78
7 -9.0988 d1(可変)
8 2.0446 0.5475 1.70442 30.13
9 2.0342 d2(可変)
1O(明るさ絞り) ∞ 0.1028
11 4.7908 1.5177 1.59667 35.31
12 -1.3254 0.33 1.97189 17.47
13 -3.0836 0.0722
14 32.9197 0.5799 1.70442 30.13
15 -3.4904 0.6655
16 ∞ 3.9225 1.73234 54.68
17 ∞ 0.88
撮像面 ∞

各種データ
通常観察状態 近接観察状態
像高 0.727 0.727
Fno. 3.42 3.42
ω(°) 65.6 62.0

d0 22.00000 3.30000
d1 0.32602 2.52093
d2 2.77813 0.58323
【0090】
以下、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4に係る内視鏡用対物光学系における条件式(1)〜(13)の数値を示す。

条件式 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
(1) FB/f 5.43 5.40 6.04 4.78
(2) |fc1/f| 14.23 16.82 11.04 21.73
(3) |fc1/fc3| 1.92 1.98 1.38 2.76
(4) fc3/f 7.40 8.49 8.00 7.86
(5) |f1/f| 1.64 1.69 1.48 1.96
(6) f3/f 3.84 3.81 3.96 3.62
(7) f2/f 38.87 37.28 35.75 34.28
(8) D31/f 2.01 1.97 1.84 1.90
(9) (R31f+R31r)/(R31f-R31r) 0.57 0.62 0.62 0.57
(10) fc3/f33 1.10 1.43 1.17 1.39
(11) (R33f+R33r)/(R33f-R33r) 0.58 0.58 0.70 0.81
(12) Ne32 2.01 1.93 2.01 1.97
(13) νd32 28.27 18.90 28.27 17.47
【0091】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態のみに限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で、これら実施形態の構成を適宜組合せて構成した実施形態も本発明の範疇となるものである。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように、本発明は、長いバックフォーカスとフォーカシング機能を備え、フォーカシングに伴う収差変動が小さく、レンズ枚数が少なく高性能な光学特性を有する内視鏡用対物光学系に有用である。
【符号の説明】
【0093】
L1 負のレンズ
L2 負のレンズ
L3 正のレンズ
L4 正のレンズ
L5 正のレンズ
L6 負のレンズ
L7 正のレンズ
S 明るさ絞り
F1 フィルタ
CG カバーガラス
【要約】
長いバックフォーカスとフォーカシング機能を備え、フォーカシングに伴う収差変動が小さく、レンズ枚数が少ない高性能な光学特性を有する内視鏡対物光学系を提供すること。
物体側から順に、負の第1群G1と、正の第2群G2と、正の第3群G3と、を備え、第3群G3は、物体側から順に、正の接合レンズCL2と、正レンズL7と、からなり、第2群G2を光軸AXに沿って移動することにより通常観察状態から近接観察状態までをとることができ、以下の条件式(1)を満足する内視鏡用対物光学系である。
4≦FB/f≦7 (1)
ここで、
FBは、内視鏡用対物光学系のバックフォーカス、
fは、通常観察状態での内視鏡用対物光学系の全系の焦点距離、
である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9