【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書の冒頭部に記載した種類のノズル構造体において、本発明は、位置決め要素が、第2の構成部材の取付け穴(fitting bore:嵌合穴)に延びると共に第1の構成部材の対応凹部に延びる芯出しねじとして形成されることで、その目的を達成する。
【0011】
これに関して、本発明は、芯出しねじすなわち位置決めねじが、位置決めピンのように、位置決めすべきそれらの構成部材に押し込まれる必要がなく、螺動により、ねじ山によって係合させることができるという認識を利用する。本明細書の冒頭部に記載した種類のノズルにおける位置決めねじ又は芯出しねじの使用は、これまで知られていない。
【0012】
大きな利点は、芯出しねじすなわち位置決めねじがいつでも可逆的に解放可能であることで、第1の構成部材及び第2の構成部材を互いから分離することができることに見られる。そのように、ノズルオリフィスを新しくすること又は手入れするためのメンテナンス作業及び摩耗部品の交換を例えば、複雑さ及び経費の程度を著しく減らして実施することができる。本発明によれば、芯出しねじすなわち位置決めねじという用語は、例えばISO7379に従ったねじを指すのに用いられる。
【0013】
本発明の有利な一展開は、第1の構成部材の対応凹部のうちの第1の凹部が取付け穴であることを提示する。その場合、芯出しねじが第2の構成部材の取付け穴及び第1の構成部材の取付け穴をも双方とも貫通することが、第1の構成部材の第2の構成部材に対する位置決めがその一点で正確に確立されることをもたらす。
【0014】
好ましくは、第1の構成部材の対応凹部のうちの1つ又は複数の第2の凹部が、細長い孔の形状の部分を含む。1つ又は複数の細長い孔は好ましくは同じ方向に配向され、好ましくはノズルオリフィスの幅の方向に延びる。
【0015】
第1の構成部材の対応凹部のうちの1つ又は複数の第2の凹部を取付け穴の形態で有する構造に比して、細長い孔の形態の構成は、細長い孔が少なくとも該細長い孔の縦方向の広がりの方向に延びている限り、画定範囲を超えた固定(static over definition)を減らす。第1の構成部材の1つ又は複数の第2の凹部を貫通して第2の構成部材の取付け穴に延びる芯出しねじはそのように、細長い孔の幅狭側が実質的に取付け穴の直径に対応する場合に申し分なく精度よく位置決めされることができる。
【0016】
ノズルオリフィスは好ましくは、1つ又は複数のオリフィス断面、特に1つ又は複数のスロットを有する。
【0017】
本発明の有利な一実施の形態では、吐出スロットを形成するように第1の構成部材と第2の構成部材との間に或る距離を保証するシムが設けられる。ノズルオリフィスを呈する吐出スロットは、ノズル構造体の幅全体にわたって途切れることなく延びることができるか、又は複数のスロット部に細分化されることができる。
【0018】
吐出スロットの幅は、シムの寸法決めによって直接変えることもできる。本実施の形態では、シムの変更は、芯出しねじとして設けられた位置決め要素が解放されることによって特に有利に可能であり、その際、第1の構成部材と第2の構成部材との間に配置されたシムを取り外して変更することができる。
【0019】
シムは好ましくは、第1の凹部及び1つ又は複数の第2の凹部を含み、シムの第1の凹部及び1つ又は複数の第2の凹部の配置は、第1の構成部材の凹部の配置と一致する。この実施の形態における芯出しねじの形態の位置決め要素は、第1の構成部材、第2の構成部材及びシムを貫通する。
【0020】
本発明によるノズル構造体のさらなる好適な実施の形態では、シムの第1の凹部は取付け穴である。そのように、シムは第1の構成部材と同様にして第1の構成部材及び第2の構成部材に対して正確に一箇所に位置決めされる。したがって、シムの第1の凹部は、シムのための、それらの構成部材の位置決めに関する基準点を形成する。
【0021】
さらに好適な実施の形態では、シムの1つ又は複数の第2の凹部は細長い孔の形態である。したがって、シムの細長い孔は、第1の構成部材の対応凹部のうちの、細長い孔の形態の第2の凹部と同じ利点を享受する。十分に精密な位置決めが達成されるが、これは、芯出しねじが取り外されて再取り付けされるときに、画定範囲を超えた固定が減ることによって確実に再現することもできる。
【0022】
本発明の有利な一展開は、第2の構成部材の取付け穴及び第1の構成部材の対応凹部がノズル構造体に沿って非対称に配置されることを提示する。非対称の配置により、第1の構成部材及び第2の構成部材並びに好ましくは第1のシム(これらの配置は第1の構成部材の凹部に対応する様式で配置される)も、所与の向きにのみ取り付けることができることがもたらされる。
【0023】
例えば、シムは第1の構成部材と第2の構成部材との間に逆位置で取り付けることはできず、その理由は、凹部の非対称配置が、向きを逆にすると他方の構成部材のさらなる凹部ともはや適合しなくなるからである。その利点は、第1の構成部材が基材と接触する、スロットノズルを有するノズル構造体にも当てはまる。
【0024】
或る用途では、シムは基材との接触面も有する。接触面は好ましくは、第1の構成部材の接触面と共に研削プロセスによって作製され、したがって、第1の構成部材及び基材に密に合致する。シムの向きを逆にすれば、基材との接触の結果、シムの摩耗を加速することにつながるであろうし、最悪の場合のシナリオでは、基材への損傷又は基材の破損につながるであろう。しかしながら、凹部の非対称構成という本発明による構成がそれを防止する。
【0025】
好ましくは、第1の構成部材の第1の凹部及び第2の構成部材の関連する取付け穴は、ノズル構造体の縁部に配置される。構成部材の相対的な位置決めのための基準点を形成する凹部の上記配置は、非対称配置の設計を単純化するが、特に、第1の構成部材及び第2の構成部材の互いに対する取付けにおける角度の精度がノズル構造体の中央部の基準凹部の配置に比して高まるため、構成部材の相対的な位置の精度も実質的に高まる。
【0026】
本発明によるノズル構造体のさらに好適な実施の形態では、第1の芯出しねじは、第1の構成部材の第1の凹部に関連し、第1の構成部材の1つ又は複数の第2の凹部に関連する1つ又は複数の第2の芯出しねじとは異なる。取付け穴又は芯出しねじの直径が大きいほど、それに対応して、絶対的な製造誤差又は製造公差の、取付け穴に対する芯出しねじの位置決めの相対的な精度に対する影響が小さくなる。その点に関して、第1の凹部及び該第1の凹部に関連する第1の芯出しねじができる限り大きな寸法を有する場合が有利であり、そのようにして、それによって作製される基準点の正確さを高めるようにする。
【0027】
好ましくは、第1の芯出しねじは、1つ又は複数の第2の芯出しねじよりも大きな直径及び/又は長い長さを有する。
【0028】
さらなる好適な実施の形態では、第1の構成部材の凹部は、芯出しねじの頭部を受け入れるように構成されている座ぐり(countersink:皿穴)を含む。芯出しねじの頭部を隠す構成により、芯出しねじの頭部がノズル構造体の外側に延びていないために動作の際にノズル構造体の取扱い性が高まる。
【0029】
代替的に、座ぐり部には、取付け穴の直径よりも大きいが芯出しねじの頭部を受け入れる穴の直径よりも小さい直径が設けられる。芯出しねじの頭部はそのように、より深刻なファウリングに晒されることは確かであるが、芯出しねじの頭部を受け入れる第1の構成部材の製造が単純化される。
【0030】
本発明の好適な実施の形態では、基材上に吐出するように第1の構成部材に液体を導くように構成された流路が第2の構成部材内に形成されている。
【0031】
さらに好適な実施の形態では、第2の構成部材はアプリケーターに固定されるように構成される。代替的に、第2の構成部材はアプリケーターの一部の形態である。したがって、そのような構成のノズル構造体は一部がアプリケーターに一体化され、一部が別個の構成部材の形態である。アプリケーターに対して外側に配置されると共にアプリケーターに機能的にのみ関連し得る2つの別個の構成部材によってノズル構造体を設計することは、伴う部品に関して複雑性の程度の増大を受け入れることになるが、2つの部品を別々により容易に交換することができるという利点を得る。
【0032】
好ましくは、ノズル構造体の第1の構成部材は口金であり、ノズル構造体の第2の構成部材は口金アダプターである。この実施の形態では、ノズル構造体は、特にホットメルト接着剤を基材に面状塗布するように構成される。本発明の利点は特に、概して幅広のスロットノズルが同様に幅広の口金及び幅広の口金アダプター(これらは流体の均一な塗布を確実にすると共に基材を損傷させる危険性を抑えるように互いに特に正確に位置決めされねばならない)を有しているという理由で、基材への面状塗布のためのノズル構造体の場合に恩恵を享受する。
【0033】
好ましくは、第1の構成部材及び/又は第2の構成部材は、層硬化型(layer-hardened)又は完全硬化型(completely hardened)の材料からなる。特に、完全硬化型の構成部材が、現行の技術水準に勝る本発明の利点をはっきり示している。第1の構成部材及び第2の構成部材を互いに対して位置決めすることは、位置決めにおける非常にわずかな違いでさえも、ノズル構造体、特にスロットノズルからの液体の不均一な吐出を生じさせるため、非常に厳密な公差での製造を要する。層硬化型又は完全硬化型の構成部材は、困難なしには依然として加工することができず、その理由から、硬化手順の前に材料成形加工又は材料切断加工をできる限り先に行う。
【0034】
しかしながら、硬化手順の結果、構成部材のサイズに対する精度が影響を受けることに留意されたい。歪が生じる。接触面又は位置決めピンによる位置決めは概して、完全硬化型の構成部材の場合では実施されることができない。硬化手順後、寸法歪みによって、構成部材を互いに対して芯出しするための凹部を構成部材に導入せねばならないため、非常に複雑で費用のかかる手順、例えばEDM(放電加工)を伴う。
【0035】
その理由から、層硬化型又は完全硬化型の構成部材の場合では、本発明により提案される解決策が特に好適である。硬化手順により構成部材の歪が生じることは既に確かに確認されている。しかしながら、特に、スロットノズルを有するノズル構造体は、スロットに対する垂直方向よりもスロット方向に実質的に幅広く、そのため、スロットに対する垂直方向よりもスロット方向に、より大きな寸法歪みが予測されることになる。
【0036】
したがって、第1の構成部材の1つ又は複数の第2の凹部、及び場合によってはシムを、細長い孔の形態で設計することが特に好ましい。細長い孔は、それらの広がりの方向に予測すべき大きな寸法歪みを吸収する。細長い孔に対する垂直方向の寸法歪みは無視するものとする。したがって、完全硬化型の構成部材であっても、非常に正確な位置決めを達成することができ、その場合、完全硬化型の構成部材だけでなく層硬化型の構成部材も、従来の製造プロセスに比して、製造費用が著しく安価であり、互いに対して位置決めすることができる。本発明の大きな利点はその点にも見られるものとする。
【0037】
代替的に、第1の構成部材及び第2の構成部材は、セラミック又はさらなる複合材料から作製される。本発明に必須の利点はそれらの材料の場合にも享受される。
【0038】
好適な実施の形態では、第1の芯出しねじ、及び/又は、1つ又は複数の芯出しねじは、特別なねじの形態である。好ましくは、芯出しねじはねじ部、頭部、該ねじ部と頭部との間に配置された芯出し部を有する。上記タイプの標準ねじとは異なり、本実施の形態における好適な芯出しねじはねじ部と芯出し部との間に面取り部を有する。面取り部により、第1の構成部材、第2の構成部材及びシムのそれぞれに関連する穴に芯出しねじをねじ込んで通すことがより容易となる。
【0039】
さらに好ましくは、特別なねじの形態の芯出しねじは、上記標準に対し、平部の両端にわたって幅が増しており、特に六角形の凹部断面が増している。これにより、ねじが接着剤による汚染を受けることが減る。ねじは、ねじ回しのための凹部に入り込む接着剤が増したとしても依然として作動可能である。
【0040】
本発明によれば、液体材料、特にホットメルト接着剤を基材に塗布するアプリケーターであって、ベースボディと、ノズルオリフィスを含むノズル構造体とを備えるアプリケーターが、該アプリケーターにおけるノズル構造体が本発明の好適な実施の形態に従って形成されるように展開されることになることがさらに提案される。
【0041】
液体材料を塗布する製造設備(production facility:製造装置)であって、液体材料を塗布する1つ又は複数のアプリケーターと、液体材料を供給するユニットと、液体材料を1つ又は複数のアプリケーターに供給する搬送手段とを備える、液体材料を塗布する製造設備が、1つ又は複数のアプリケーターの少なくとも1つが本発明の好適な実施の形態によるノズル構造体を有するように展開されることがさらに提案される。