(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ラジエータケースの前記冷却風入口側には、砂塵の侵入を防止する冷却風入口スクリーンと、前記ラジエータケースへと冷却風を案内する冷却風入口ダクトと、を一体的に形成し、前記ラジエータケースの前記冷却風入口側に着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエンジン。
前記ラジエータケースの前記冷却風入口側に係止穴を形成し、前記係止穴と対応する前記冷却風入口ダクトに掛止部材を形成し、ラジエータケースと前記冷却風入口ダクトとを締結する締結手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載のエンジン。
前記冷却風入口ダクトは、ラジエータケース側に突出し、且つラジエータケースの内縁に沿う突起が設けられることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のエンジン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、簡素な構造で、エンジンの冷却装置における冷却効率の低下を防止するエンジンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
請求項1においては、シリンダブロック上にラジエータを配置し、前記ラジエータの一側方に冷却ファンを配置したエンジンにおいて、前記ラジエータは、ラジエータケースにより覆われ、前記ラジエータケースは、冷却風を取り入れる冷却風入口と、前記冷却風を流出する冷却風出口とを備え、前記ラジエータケースの冷却風出口側には、
外枠と複数の桟より形成された冷却風出口スクリーンが設けられ、
前記ラジエータケースと冷却風出口スクリーンとの間にファンカバーが介装され、前記ファンカバーの内側には、冷却ファンと、冷却ファンを駆動させるファンプーリ及びファンベルトが配置され、前記冷却風出口スクリーンは、前記ファンプーリ及びファンベルトが側面よりも突出するように、前記ファンプーリとファンベルトの形状に合わせて、略逆「V」字状に形成した外枠の一部を突出して形成され、前記複数の桟の冷却風の通過面は、外側が高くなるように傾斜しているものである。
【0008】
請求項2においては、シリンダブロック上にラジエータを配置し、前記ラジエータの一側方に冷却ファンを配置したエンジンにおいて、前記ラジエータは、ラジエータケースにより覆われ、前記ラジエータケースは、冷却風を取り入れる冷却風入口と、前記冷却風を流出する冷却風出口とを備え、前記ラジエータケースの冷却風出口側には、
外枠と複数の桟より形成された冷却風出口スクリーンが設けられ、
前記ラジエータケースと冷却風出口スクリーンとの間にファンカバーが介装され、前記ファンカバーの内側には、冷却ファンと、冷却ファンを駆動させるファンプーリ及びファンベルトが配置され、前記冷却風出口スクリーンは、前記ファンプーリ及びファンベルトが側面よりも突出するように、前記ファンプーリとファンベルトの形状に合わせて、略逆「V」字状に形成した外枠の一部を突出して形成され、前記複数の桟は、冷却風の流れる方向と
垂直方向の面において、エンジン本体に付設されるエアクリーナの側が高く、エアクリーナと反対の側が低くなるように、傾斜させて架設されるものである。
【0009】
請求項3においては、前記ラジエータケースの前記冷却風入口側には、砂塵の侵入を防止する冷却風入口スクリーンと、前記ラジエータケースへと冷却風を案内する冷却風入口ダクトと、を一体的に形成し、前記ラジエータケースの前記冷却風入口側に着脱自在に構成したものである。
【0010】
請求項4においては、前記ラジエータケースの前記冷却風入口側に係止穴を形成し、前記係止穴と対応する前記冷却風入口ダクトに掛止部材を形成し、ラジエータケースと前記冷却風入口ダクトとを締結する締結手段を備えたものである。
【0011】
請求項5においては、前記冷却風入口ダクトは、ラジエータケース側に突出し、且つラジエータケースの内縁に沿う突起が設けられるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0013】
請求項1においては、簡素な構造でありながら、ラジエータにより熱せられた冷却風が冷却風出口スクリーンの近傍にある障害物に当たった場合でも、冷却風が上向きに流出されてエンジンの上方を通過し、エアクリーナや冷却風入口に再び吸い込まれることがない。したがってエンジンが高温となることによるエンジン出力の低下や、冷却不良を防止することができる。また、エンジンが置かれる周辺の状況に関係なくエンジンの冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。
【0014】
請求項2においては、簡素な構造でありながら、ラジエータにより熱せられた冷却風がエアクリーナに回り込まぬようになり、エンジンが高温となることによるエンジン出力の低下を防止することができ、エンジン自体が高温になることを防止できるため、エンジンの冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。
【0015】
請求項3においては、冷却風入口スクリーンと冷却風入口ダクトを一体的に形成することで、冷却風入口スクリーンと冷却風入口ダクトの間のシール性が向上し、メンテナンス等の際に両方を一度に取り外すことができる。
且つ、冷却風入口スクリーンと冷却風入口ダクトの構造が簡素となり低コスト化にも繋がる。加えて、メンテナンスが容易となることで、砂塵などの異物が付着しやすい冷却風入口の開口状態を良好に保つことができるため、エンジン内への冷却風の導入をスムーズにすることができ、エンジンの冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。
【0016】
請求項4においては、冷却風入口スクリーンと一体となった冷却風入口ダクトにある掛止部材を、冷却風入口側の係止穴に係止し、締結手段で両方を締結することで、冷却風入口に対する冷却風入口ダクトの位置決めが容易となり、簡単に着脱することができる。
したがって、簡素な構造で、メンテナンスが行いやすく、冷却風入口の開口状態を良好に保つことが容易となり、ひいては、エンジンの冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。
【0017】
請求項5においては、冷却風入口ダクトの突起がラジエータケースの内縁に沿うように設けられるという簡素な構造で、メンテナンスを行ったあとの設置不良を防止することができ、両方の間のシール性が向上するため、エンジンの冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
【0020】
先ず、本発明の一実施形態に係るエンジン1の全体構成について、
図1から
図5により説明する。なお、以下の説明では、エンジン1のクランク軸9の軸方向を前後方向として、
図1の矢印Uで示す方向を「上方」、矢印Lで示す方向を「左方」、矢印Fで示す方向を「前方」という。
【0021】
図1から
図3に示すように、エンジン1は、いわゆる横形水冷エンジンである。エンジン1において、シリンダブロック2の左側面には、シリンダヘッド3が設けられる。シリンダヘッド3の上方には、エアクリーナ4及びマフラー5が前後に並べて設けられる。また、シリンダブロック2の前面には、ギヤケース6が、シリンダブロック2の後面には、フライホイール7が、シリンダブロック2の下面には、オイルパン8が、それぞれ設けられる。フライホイール7は、詳しくは後述するクランク軸9の後端部に設けられる。
【0022】
また、シリンダブロック2の上面には、ラジエータ13(
図4参照)を覆うラジエータカバー11及びエンジン1の燃料が貯溜される燃料タンク10が左右に並べて設けられる。ラジエータカバー11内には、ラジエータ13及び冷却ファン14が収容される(
図5参照)。ラジエータカバー11の前面には、冷却風入口スクリーン15が、ラジエータカバー11の後面には、冷却風出口スクリーン16が、それぞれ設けられる。燃料タンク10の右側面には、照明用のライト12が設けられる。
【0023】
図4及び
図5に示すように、シリンダブロック2内には、クランク軸9が前後方向に架設される。クランク軸9は、図示しない軸受を介してシリンダブロック2に回転可能に軸支される。クランク軸9の後端部は、シリンダブロック2の後面から後方に突出する。クランク軸9の後端部には、フライホイール7が設けられる。
【0024】
また、シリンダブロック2の左側部には、ライナ17が左右水平方向に設けられる。シリンダブロック2において、ライナ17の周囲には、冷却水が流れるウォータージャケット18が形成される。ウォータージャケット18は、シリンダブロック2の上面にて開口するように形成される。なお、ウォータージャケット18は、シリンダヘッド3に形成される図示しない冷却水通路と連通される。
【0025】
また、ライナ17には、ピストン20が水平方向に往復運動(摺動)可能に内設される。ピストン20は、コネクティングロッド19を介してクランク軸9と連接される。ピストン20の往復運動は、コネクティングロッド19を介してクランク軸9の回転運動に変換される。また、ライナ17とピストン20とシリンダヘッド3との間には、燃焼室21が形成される。
【0026】
次に、ラジエータ13について、
図4から
図7により説明する。
【0027】
図4から
図6に示すように、ラジエータ13は、ラジエータコア26及びアッパータンク27等で構成される。ラジエータ13は、ラジエータ取付間座25及びラジエータケース51を介してシリンダブロック2の上面に取り付けられる。
【0028】
ラジエータコア26では、冷却水が流れる多数の冷却水チューブ28が上下方向に延設される。多数の冷却水チューブ28間には、多数の放熱用のフィン29が設けられる。また、ラジエータコア26の上面には、アッパータンク27が設けられる。アッパータンク27内には、冷却水チューブ28の上端部が差し込まれる。
【0029】
また、アッパータンク27には、冷却水を補給するための補給口27aが設けられる。補給口27aには、圧力調整用のラジエータキャップ27bが取り付けられる。また、ラジエータ13(ラジエータコア26)の左側面には、サブタンク30が設けられる。サブタンク30は、固定ステー39とラジエータ13とで挟まれるように配置され、固定ステー39によってラジエータカバー11に固定される。
【0030】
サブタンク30は、ラジエータ13内の冷却水を所定量に維持するためのものである。つまり、ラジエータ13内の冷却水が熱膨張により増加すると、ラジエータ13内の冷却水がサブタンク30内に流入する一方、ラジエータ13内の冷却水が減少すると、サブタンク30内の冷却水がラジエータ13に戻されることにより、ラジエータ13内の冷却水が所定量に維持される。サブタンク30とラジエータキャップ27bとは、ホース37を介して連通される。
【0031】
次に、ラジエータ13の冷却装置について、
図7から
図16により説明する。
【0032】
図7に示すように、ラジエータ13の冷却装置は、主として、冷却風入口スクリーン15、冷却風入口ダクト50、ラジエータケース51、ファンカバー31に覆われた冷却ファン14、冷却風出口スクリーン16、によって構成される。ラジエータ13の冷却装置は、上記の順に前方から後方へと順にシリンダブロック2の上方に設けられる。
【0033】
図7及び
図8に示すように、ラジエータケース51は、ラジエータ13のラジエータコア26を覆いラジエータコア26に効率良く冷却風を接触させるためのものである。ラジエータケース51は、断面が矩形の筒状に形成され、前部に冷却風を取り入れるための冷却風入口51aと、後部に冷却風を流出するための冷却風出口51bが設けられる。ラジエータケース51の上面には、開口部51cが設けられ、開口部51cの上方にアッパータンク27を設けることでラジエータコア26の冷却水チューブ28と連通可能とするとともに、アッパータンク27の下部によって開口部51cが閉塞される。ラジエータケース51の冷却風入口51aの外周には、左右及び上方の3方向へと突出する縁部51dが設けられる。左右それぞれの縁部51dには、後述する冷却風入口ダクト50の掛止部材506・506を係止するための上下方向を長手方向とするスリット状の係止穴51e・51eが形成される。ラジエータケース51の冷却風出口51bの外周には、左右及び上方の3方向へと突出する縁部51fが設けられる。左右それぞれの縁部51fには、ファンカバー31を取り付けるための係止孔(図示省略)が形成される。
【0034】
ラジエータケース51の下方のラジエータ取付間座25の前側面には、左右方向の中央部より下方に突出する係止部253が形成される。係止部253は、前後方向に貫通した係止孔253aが形成される。係止部253及び係止孔253aは、ラジエータケース51と冷却風入口ダクト50を締結する締結手段の一部を構成するものである。
【0035】
ラジエータケース51の冷却風入口51aには、冷却風入口ダクト50を介して冷却風入口スクリーン15が取り付けられる。なお、本実施形態の冷却風入口スクリーン15は冷却風入口ダクト50と一体的に形成されるものである。
【0036】
図7、
図9、及び
図10に示すように、冷却風入口スクリーン15は、外枠151と複数の桟(立桟152、横桟153)、側面部154・155によって構成される。
【0037】
外枠151は、中央に開口を有した略四角形に形成される部分である。この外枠151の内部には、後面視において「V」の字状に立桟152が架設される。外枠151と立桟152には、横桟153・153・・・が上下所定の間隔を隔ててラジエータカバー11の上面に対して略平行となるように架設される(
図2参照)。したがって、外枠151の開口部に複数の桟を架設することで略格子状に構成される。外枠151の冷却風入口ダクト50側には、冷却風入口ダクト50を冷却風入口スクリーン15に一体的に取り付けるための第一ボス部156・156が上部に、第二ボス部157・157が下部にそれぞれ形成される。
【0038】
さらに、第一ボス部156には、ボルト300を螺設可能とするボス孔156aがそれぞれ形成されている。外枠151の左右両側には、ラジエータカバー11の前側面(
図2参照)に合わせて側面部154・155が形成される。外枠151と桟(立桟152と横桟153)とで形成された隙間から砂塵などの小さな異物がラジエータケース内に流入することを防ぐために、図示しない網が、外枠151のラジエータケース51側に取り付けられる。
【0039】
冷却風入口ダクト50は、
図7、
図10から
図12に示すように、冷却風入口スクリーン15とラジエータケース51との間に設けられ、冷却風入口スクリーン15から流入する冷却風を効率よくラジエータケース51内へと誘導するためのものである。冷却風入口ダクト50は、前後にそれぞれ開口を設けた風路断面が略矩形状のダクト本体部501を主構造とする。ダクト本体部501のラジエータケース51側には、上下左右の外側へと突出する鍔部502が形成される。ダクト本体部501と鍔部502の左右方向の中央部には、下方へ突出するように取付部503が形成される。取付部503には、後述するボルト200が螺挿可能となる孔503aが形成される。取付部503及び孔503aは、ラジエータケース51と冷却風入口ダクト50を締結する締結手段の一部を構成するものである。
【0040】
ダクト本体部501の前部には、冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50とを一体的に形成するため、前記冷却風入口スクリーン15の第一ボス部156に対応する箇所に第一円柱部504が設けられる。第一円柱部504には、冷却風入口スクリーン15の第一ボス部156が挿入可能なメスネジ部504aが設けられる。冷却風入口スクリーン15の第二ボス部157に対応する箇所には、第二円柱部505が設けられる。第二円柱部505には、冷却風入口スクリーン15の第二ボス部157が挿入可能な挿入孔505aが設けられる。
【0041】
冷却風入口ダクト50のラジエータケース51側には、ラジエータケース51の係止穴51e・51eに対応する位置であり、鍔部502の左右両外に掛止部材506・506が形成されている。掛止部材506は、鍔部502の後面よりも後方に突出するように設けられる。掛止部材506は、先端が上方に向いたフック状に形成されるとともに、ラジエータケース51の係止穴51eに挿入可能な形状となっている。
【0042】
シール突起507は、ラジエータケース51に取り付けられた際に、ダクト本体部501の内側面に密着するように、ラジエータケース51側に延設され、掛止部材506・506の下方に略「U」字状に形成されるものである。
【0043】
上記のように冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50を構成することで、両方を一体的に形成することが可能となる。具体的には、冷却風入口スクリーン15の第一ボス部156・156を冷却風入口ダクト50のメスネジ部504a・504aへと挿入するとともに、冷却風入口スクリーン15の第二ボス部157・157を冷却風入口ダクト50の挿入孔505aへと挿入し、
図11の(a)の状態とする。さらに、ボルト300・300がメスネジ部504a・504aから挿入され、冷却風入口スクリーン15のボス孔156a・156aへ締結されることで、
図11の(b)に示す状態となり、冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50は一体的に形成される。
【0044】
一方、
図7に示すように、ラジエータケース51の冷却風出口51b側には、縁部51fに接するように、ファンカバー31に覆われた冷却ファン14が設けられる。
【0045】
冷却ファン14は、
図7及び
図13に示すように、その回転中心部にファン軸14aを有し、ファンカバー31で覆われてラジエータ13の後方に設けられる。ファン軸14aは、ファンカバー31内に前後方向に架設されるとともに、軸受32を介してファンカバー31に回転可能に軸支される。ファン軸14aの後端部には、ファンプーリ33が設けられる。
【0046】
クランク軸9の後端部のフライホイール7(
図3参照)には、クランクプーリ34が設けられる。クランクプーリ34及びファンプーリ33には、ファンベルト35が巻かれる。これにより、クランク軸9の動力が、クランクプーリ34、ファンベルト35、ファンプーリ33を経て、ファン軸14aに伝達されることにより、冷却ファン14が回転する。なお、ファンベルト35には、テンションプーリ36によって張力が付与される。
【0047】
ファンカバー31は、ラジエータケース51と冷却風出口スクリーン16との間に配置される。ラジエータケース51の縁部51fにボルト等で固定することで、ラジエータカバー11に取り付けられる。ラジエータケース51と冷却風出口スクリーン16を共締め可能とする連結部31aがファンカバー31の左側の上部に設けられる。さらに、ファンカバー31の左下及び右側の上下中央部には、冷却風出口スクリーン16を取付可能とするための取付孔31b・31cが配置される。
【0048】
図7、
図14、
図15に示すように、冷却風出口スクリーン16は、主として外枠(第一外枠161、第二外枠162)と桟(立桟163・163、第一中桟164・164・・・、第二中桟166・166・・・)、側面部167によって構成される。本実施形態の冷却風出口スクリーン16は、冷却ファン14を駆動させるためのファンプーリ33及びファンベルト35が、ラジエータカバー11の後側面よりも後方に突出するように配置されているため、冷却風出口スクリーン16はそれらの形状に合わせて一部が突出するように形成される。
【0049】
第一外枠161は、右下部に開口を有した略四角形に形成される部分であり、ラジエータカバー11の後側面と略同一平面上となるように配置される。第二外枠162は、第一外枠161の中央に上下方向に所定の間隔を隔てて配置される山型の部分である。第二外枠162の上部は、第一外枠161の前後幅よりも大幅に長くなるように形成される。第二外枠162の下部165は、略逆「V」字状に形成され、第二外枠162よりも前後幅が短く形成される。第二外枠162は、第一外枠161よりも外側に大幅に突出するように、且つ、下部に空間を設けることで、ファンプーリ33やファンベルト35等の冷却ファン14を駆動させるための部材と接触せぬように構成される。
【0050】
第一外枠161と第二外枠162との間には、立桟163・163が左右方向に所定の間隔を隔てて、且つ、上方に向かうにつれて左右の間隔が大きくなるように架設される。
【0051】
第一中桟164は、ラジエータカバー11の上面(
図3参照)の傾斜と平行となるように上下方向に所定の間隔を隔てて、第一外枠161と第二外枠162との間に架設される。このように構成することで、意匠性を高めている。そして、第一中桟164の左側は、略水平に配置されているのに対して、第一中桟164の右側は、右方に向かうにつれて低くなるように設けられる。つまり、第一外枠161と右側の立桟163との間に架設される第一中桟164は、右方に向かうにつれて低くなるように配置され、且つ、その断面が後方に向かうにつれて高くなっている、つまり、エアクリーナ4やマフラー5が位置する側が高く、エアクリーナ4やマフラー5が位置する逆の方向(反対方向)が低くなるように傾斜して配設されている。こうして、高温となった冷却風がエアクリーナ4に吸い込まれ難くなり、マフラー5から排出される排気ガスを攪拌することもないのである。
【0052】
第二中桟166は、所定の間隔を隔てて略水平となるように第二外枠162に架設される。
【0053】
図14の(b)(c)の断面図に示すように、第一中桟164及び第二中桟166の各面は、前側から後側、つまり、ラジエータケース51側から外側、言い換えれば、流出側に向かうにつれて高くなるように傾斜して第一外枠161と第二外枠162と立桟163・163にそれぞれ架設される。
【0054】
第一外枠161の右側面には、側面部167が右方へと突出するように形成される。この側面部167は、冷却風出口スクリーン16がファンカバー31に取り付けられた際に、ラジエータカバー11の後側面と同一平面上となるように形成される。側面部167には、ファンカバー31に取り付けるための取付孔167aが形成される。
【0055】
また、冷却風出口スクリーン16の左下の第一中桟164・164には、取付孔168が形成される。第一外枠161の左側面には、取付部169が左方に突設され、取付部169には取付孔169aが形成される。これら取付孔167a・168・169aは、それぞれ
図13に示すファンカバー31の取付孔31b・31c、連結部31aと対応し、それぞれにボルトが螺挿されことによって、冷却風出口スクリーン16がファンカバー31に固定される。
【0056】
以下に、一体的に形成された冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50の着脱方法について説明する。
【0057】
先ず、ラジエータケース51に、冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50が装着されていない状態から両方を装着する方法について説明する。
【0058】
図8に示すように、係止穴51e・51eは、正面視において、ラジエータカバー11に隠れた状態ではあるが、冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50とをラジエータカバー11の右下より挿入することで、ラジエータカバー11とラジエータケース51との間に、冷却風入口ダクト50を位置させる。
【0059】
そして、
図16の(a)の状態から
図16の(b)に示す状態となるように、掛止部材506・506が係止穴51e・51eに挿入されとともに、ラジエータケース51の縁部51dと冷却風入口ダクト50の鍔部502とを接触させる。さらに、冷却風入口ダクト50と冷却風入口スクリーン15は、掛止部材506が係止穴51eに沿うようにして、上方へと移動させる。すると、
図16の(c)に示すように、係止穴51eの上端が掛止部材506の括れと接触し、それ以上、冷却風入口ダクト50と冷却風入口スクリーン15が上方に移動しなくなる。この状態において、ラジエータ取付間座25の係止孔253aと冷却風入口ダクト50の孔503aの軸心が同じとなり、係止孔253aと孔503aへとボルト200を螺挿することで、ラジエータケース51と冷却風入口ダクト50を締結することができる。つまり、ラジエータ取付間座25の係止孔253aと冷却風入口ダクト50の孔503a及びボルト200は、ラジエータケース51に冷却風入口ダクト50を介して冷却風入口スクリーン15を締結させるための締結手段となっている。
【0060】
このとき、ラジエータケース51の縁部51dよりもラジエータケース51内に突出している冷却風入口ダクト50のシール突起507が、ラジエータケース51の内縁に沿うように接触することで、ラジエータケース51と冷却風入口ダクト50とのシール性が向上する。
【0061】
また、冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50とは、上記の逆の手順で取り外され、ラジエータケース51は、
図8に示す状態とすることができる。このように、冷却風入口ダクト50と冷却風入口スクリーン15とが一体的に形成されているため、上記のように着脱しやすく、したがって、メンテナンスが行いやすい。
【0062】
本実施形態のエンジン1は、前記ラジエータケース51の前記冷却風入口51a側には、砂塵の侵入を防止する冷却風入口スクリーン15と、前記ラジエータケース51へと冷却風を案内する冷却風入口ダクト50と、を一体的に形成し、前記ラジエータケース51の前記冷却風入口51a側に着脱自在に構成したものである。
【0063】
このように構成することにより、冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50を一体的に形成することで、冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50の間のシール性が向上し、メンテナンス等の際に両方を一度に取り外すことができる。且つ、冷却風入口スクリーン15と冷却風入口ダクト50の構造が簡素となり低コスト化にも繋がる。加えて、メンテナンスが容易となることで、砂塵などの異物が付着しやすい冷却風入口51aの開口状態を良好に保つことができるため、エンジン1内への冷却風の導入をスムーズにすることができ、エンジン1の冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。
【0064】
本実施形態のエンジン1は、前記ラジエータケース51の前記冷却風入口51a側に係止穴51e・51eを形成し、前記係止穴51e・51eと対応する前記冷却風入口ダクト50に掛止部材506を形成し、ラジエータケース51と前記冷却風入口ダクト50とを締結する締結手段を備えたものである。
【0065】
このように構成することにより、冷却風入口スクリーン15と一体となった冷却風入口ダクト50にある掛止部材506・506を冷却風入口側の係止穴51e・51eに係止し、締結手段で両方を締結することで、冷却風入口51aに対する冷却風入口ダクト50の位置決めが容易となり、簡単に着脱することができる。したがって、簡素な構造で、メンテナンスが行いやすく、冷却風入口51aの開口状態を良好に保つことが容易となり、ひいては、エンジン1の冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。
【0066】
前記冷却風入口ダクト50は、ラジエータケース51側に突出し、且つラジエータケース51の内縁に沿うシール突起507が設けられるものである。
【0067】
このように構成することにより、冷却風入口ダクト50のシール突起507がラジエータケース51の内縁に沿うように設けられるという簡素な構造で、メンテナンスを行ったあとの設置不良を防止することができ、両方の間のシール性が向上するため、エンジンの冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。
【0068】
以下に、冷却ファン14の駆動による冷却風の流れについて説明する。なお、冷却風の向きは図中の太矢印で表す。
【0069】
図7に示すように、本実施形態のラジエータ13の冷却装置において、冷却ファン14が回転すると、冷却風入口スクリーン15の外側の空気が冷却風となって、冷却風入口スクリーン15から冷却風入口ダクト50を介して、ラジエータ13のラジエータコア26を収容したラジエータケース51内へと流入する。このとき、この冷却風は、高温となったラジエータ13の熱を奪うことで、ラジエータ13を冷却し、冷却風が高温となる。つまり、この冷却風によってラジエータ13が冷却される。この高温となった冷却風は、ファンカバー31内を通過して、冷却風出口スクリーン16から流出する。
【0070】
このとき、冷却風出口スクリーン16から流出する冷却風は、
図7、
図14及び
図15に示すように、第一中桟164及び第二中桟166が後方に向かうにつれて高くなるように傾斜しているので、冷却風は、この第一中桟164の上面に当たることで、上方へと向きを変えられ、冷却風出口スクリーン16から流出される。また、右側の第一中桟164は、右方に向かうにつれて低くなるように配置され、且つ、その断面が後方に向かうにつれて高くなっている、つまり、エアクリーナ4と逆の方向に傾斜しているため、冷却風出口スクリーン16の右側から流出される冷却風は、右側の第一中桟164を通過することで、右斜め上方へと向きを変えられる。つまり、右側の第一中桟164を流出する冷却風は、エアクリーナ4から遠ざかる方向に流出されることとなる。
【0071】
つまり、ラジエータ13により熱せられた冷却風が冷却風出口スクリーン16の近傍にある障害物に当たった場合でも、冷却風が上向きに流出されるため、エンジン1の上方を通過し、エアクリーナ4や冷却風入口51a(冷却風入口スクリーン15)に再び吸い込まれることがない。したがって、エンジン1が高温となることによるエンジン出力の低下や、冷却不良を防止することができる。また、エンジン1が置かれる周辺の状況に関係なくエンジン1の冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。
【0072】
右側の第一中桟164は、エンジン本体に付設されるエアクリーナ4と逆の方向に傾斜しているため、簡素な構造でありながら、ラジエータ13により熱せられた冷却風がエアクリーナ4に回り込まぬようになり、エンジン1が高温となることによるエンジン出力の低下を防止することができ、エンジン1自体が高温になることを防止できるためエンジン1の冷却装置における冷却効率の低下を防止することができる。