特許第5989336号(P5989336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989336
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20160825BHJP
   F21S 8/02 20060101ALI20160825BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160825BHJP
【FI】
   F21S2/00 230
   F21S8/02 100
   F21Y115:10
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-287420(P2011-287420)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-137894(P2013-137894A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100084261
【弁理士】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】古川 賢志
(72)【発明者】
【氏名】横田 雄二
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 実開平07−018309(JP,U)
【文献】 特開2011−086602(JP,A)
【文献】 特開2006−012511(JP,A)
【文献】 特開昭58−026403(JP,A)
【文献】 特開2011−210594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21S 8/00−8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の別方向に光を照射可能であり、上方照射用光源と、下方照射用光源と、これら各光源を収容するケーシングと、を有する照明装置において、
前記ケーシングの正面側に光出射面を形成し、
該ケーシング内に、
該ケーシングの両側方向と直交する奥行方向に交差するように前記上方照射用光源および前記下方照射用光源それぞれの基板を収容し、
前記上方照射用光源を、その光軸が前記光出射面に交差しない位置に収容すると共に、該上方照射用光源からの直接光を反射し、該反射した間接光を前記光出射面から少なくとも斜め上方に向けて出射させる反射面を設け、
かつ、前記下方照射用光源を、その光軸が前記光出射面に交差し、該下方照射用光源からの直接光を前記光出射面から斜め下方に向けて出射させる位置に収納したことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記上方照射用光源と前記下方照射用光源とを、それぞれ同一構造の光源から構成し、
前記反射面は、前記上方照射用光源からの直接光を反射した間接光の照射範囲を、前記下方照射用光源からの直接光の照射範囲よりも拡大するものであることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記下方照射用光源は、前記ケーシングに対して着脱自在なハンドランプに含まれ、
前記ケーシングは、前記ハンドランプを所定の位置に着脱自在に収納するための取付部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記ハンドランプは、前記ケーシング側に対して電源コードを介して接続されていることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記ケーシングは、両側方向に延びる長尺のユニット形状であり、
前記上方照射用光源と、前記反射面と、前記下方照射用光源も、それぞれ前記ケーシングの両側方向に沿って延びる形状であることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記上方照射用光源と、前記下方照射用光源は、それぞれ前記基板上に複数のLEDを配列させたものであることを特徴とする請求項1,2,3,4または5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記ケーシングを、絶縁性を備えた樹脂材料により成形したことを特徴とする請求項1,2,3,4,5または6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記上方照射用光源および前記下方照射用光源を、それぞれ点灯させる制御部を備え、
前記制御部は、前記上方照射用光源および前記下方照射用光源の点灯消灯の他、点灯時の明るさを調整可能であることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記照明装置は、鉄道車輌基地の床下に設けられた点検ピットにおける車輌点検作業時の作業面を照らすと共に安全性を確保するものであり、
前記ケーシングは、前記点検ピット内における開口断面の両側壁、あるいは両側壁の上方に沿って敷設された一対の軌条に設置され、
前記上方照射用光源は、前記点検ピット内で点検作業を行う作業者の目線位置ないし前記一対の軌条上にある車輌底面を間接的に照射し、
前記下方照射用光源は、前記点検ピット内の床面ないし作業者の足元を直接的に照射することを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下の別方向に光を照射可能であり、上方照射用光源と、下方照射用光源と、これら各光源を収容するケーシングと、を有する照明装置に関し、特に、鉄道車輌基地の床下に設けられた点検ピットにおける車輌点検作業時の作業面を照らすと共に安全性を確保するためのものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車輌基地の床下に設けられた点検ピットでは、車輌点検作業時の作業面を照らすと共に安全性を確保するための照明用として蛍光灯が主に使用されていた。かかる点検ピット内での車輌点検作業時には、作業面である車輌底面の他、ピット床面ないし作業者の足元も広く照らす必要があり、一般に蛍光灯は、ピット内の両側壁、あるいは両側壁の上方に沿って敷設された一対の軌条に沿って、互いに等間隔に並ぶように設置されていた。
【0003】
このような点検ピット等の特殊な環境下で使用する照明器具であっても、今までは専用のものは開発されておらず、特に配光制御も行っていなかった。また、最近の照明器具の全般的な傾向として、蛍光灯の代わりにLEDランプを光源とするものが増えている。点検ピット用の照明器具として利用可能なものとしては、例えば、特許文献1に記載された駅構内照明用のLED照明器をそのまま流用することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−128948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した従来一般の蛍光灯や特許文献1に記載のLED照明器では、点検ピット用として配光制御は考慮されていなかった。特に、ピット内での取り付け位置は作業者の目線の近傍となるため、眩しさへの配慮に欠けて安全上好ましくなく、また、足元まで広い範囲で十分に照らすことができない虞もあった。
【0006】
また、点検ピット内では作業内容により必要な照度があり、通常は一般に100〜200ルクス程度で足りるが、作業内容によっては局所的にさらに高い照度が必要となる場合がある。ところが、従来の点検ピット用の照明は固定されており動かすことはできないため、別途ハンドランプを補助灯として用意しなければならず、作業上面倒であった。
【0007】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点に着目してなされたものであり、上方は間接光で広く照射し下方は直接光で明るく照射する配光制御により、特に点検ピット用の照明として用いた場合に、作業者への眩しさを低減し、車輌底面や足元を効率良く照射することができ、また、特定の箇所を自由に照明することも可能となり、効率の良い適切な照明を実現することができる照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]上下の別方向に光を照射可能であり、上方照射用光源(20)と、下方照射用光源(30)と、これら各光源(20,30)を収容するケーシング(11)と、を有する照明装置(10)において、
前記ケーシング(11)の正面側に光出射面(12)を形成し、
該ケーシング(11)内に、
該ケーシング(11)の両側方向と直交する奥行方向に交差するように前記上方照射用光源(20)および前記下方照射用光源(30)それぞれの基板(21,31)を収容し、
前記上方照射用光源(20)を、その光軸が前記光出射面(12)に交差しない位置に収容すると共に、該上方照射用光源(20)からの直接光を反射し、該反射した間接光を前記光出射面(12)から少なくとも斜め上方に向けて出射させる反射面(40)を設け、
かつ、前記下方照射用光源(30)を、その光軸が前記光出射面(12)に交差し、該下方照射用光源(30)からの直接光を前記光出射面(12)から斜め下方に向けて出射させる位置に収納したことを特徴とする照明装置(10)。
【0009】
[2]前記上方照射用光源(20)と前記下方照射用光源(30)とを、それぞれ同一構造の光源から構成し、
前記反射面(40)は、前記上方照射用光源(20)からの直接光を反射した間接光の照射範囲を、前記下方照射用光源(30)からの直接光の照射範囲よりも拡大するものであることを特徴とする[1]に記載の照明装置(10)。
【0010】
[3]前記下方照射用光源(30)は、前記ケーシング(11)に対して着脱自在なハンドランプ(50)に含まれ、
前記ケーシング(11)は、前記ハンドランプ(50)を所定の位置に着脱自在に収納するための取付部(14)を有することを特徴とする[1]または[2]に記載の照明装置(10)。
【0011】
[4]前記ハンドランプ(50)は、前記ケーシング(11)側に対して電源コードを介して接続されていることを特徴とする[3]に記載の照明装置(10)。
【0012】
[5]前記ケーシング(11)は、両側方向に延びる長尺のユニット形状であり、
前記上方照射用光源(20)と、前記反射面(40)と、前記下方照射用光源(30)も、それぞれ前記ケーシング(11)の両側方向に沿って延びる形状であることを特徴とする[1],[2],[3]または[4]に記載の照明装置(10)。
【0013】
[6]前記上方照射用光源(20)と、前記下方照射用光源(30)は、それぞれ前記基板(21,31)上に複数のLED(22,32)を配列させたものであることを特徴とする[1],[2],[3],[4]または[5]に記載の照明装置(10)。
【0014】
[7]前記ケーシング(11)を、絶縁性を備えた樹脂材料により成形したことを特徴とする[1],[2],[3],[4],[5]または[6]に記載の照明装置(10)。
【0015】
[8]前記上方照射用光源(20)および前記下方照射用光源(30)を、それぞれ点灯させる制御部(61)を備え、
前記制御部(61)は、前記上方照射用光源(20)および前記下方照射用光源(30)の点灯消灯の他、点灯時の明るさを調整可能であることを特徴とする[1],[2],[3],[4],[5],[6]または[7]に記載の照明装置(10)。
【0016】
[9]前記照明装置(10)は、鉄道車輌基地の床下に設けられた点検ピット(A)における車輌点検作業時の作業面を照らすと共に安全性を確保するものであり、
前記ケーシング(11)は、前記点検ピット(A)内における開口断面の両側壁、あるいは両側壁の上方に沿って敷設された一対の軌条(B)に設置され、
前記上方照射用光源(20)は、前記点検ピット(A)内で点検作業を行う作業者の目線位置ないし前記一対の軌条(B)上にある車輌底面を間接的に照射し、
前記下方照射用光源(30)は、前記点検ピット(A)内の床面ないし作業者の足元を直接的に照射することを特徴とする[1],[2],[3],[4],[5],[6],[7]または[8]に記載の照明装置(10)。
【0017】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の照明装置(10)によれば、ケーシング(11)の正面側の光出射面(12)より上下の別方向に光が出射される。すなわち、ケーシング(11)内において、上方照射用光源(20)からの直接光は光出射面(12)に交差することなく反射面(40)により反射され、この反射された間接光が光出射面(12)から少なくとも斜め上方に向けて出射される。また、ケーシング(11)内において、下方照射用光源(30)からの直接光は光出射面(12)を交差して、そのまま光出射面(12)より斜め下方に向けて出射される。
【0018】
このような配光制御により、上方は間接光で下方は直接光となる上下に非対称の2方向に光を照射可能となる。例えば、前記[9]に記載したように、鉄道車輌基地の点検ピット(A)用の照明装置(10)とした場合、点検ピット(A)内で点検作業を行う作業者の目線位置ないし車輌底面には間接光を照射し、点検ピット(A)内の床面ないし作業者の足元には直接光を照射するので、作業者への眩しさを低減し、車輌底面や足元を効率良く照射することができる。
【0019】
前記[2]に記載の照明装置(10)によれば、上方照射用光源(20)と下方照射用光源(30)とを、それぞれ同一構造の光源から構成する。これにより、部品が共用化されてコスト低減が可能となる。また、反射面(40)は、上方照射用光源(20)からの直接光を反射した間接光の照射範囲を、下方照射用光源(30)からの直接光の照射範囲よりも拡大する。これにより、上方照射に関してはいっそう眩しさを低減することができ、また広い範囲を照らすことができる。
【0020】
前記[3]に記載の照明装置(10)によれば、下方照射用光源(30)は、ケーシング(11)に対して着脱自在なハンドランプ(50)に含まれる。ケーシング(11)には、ハンドランプ(50)を所定の位置に着脱自在に収納するための取付部(14)がある。ハンドランプ(50)をケーシング(11)の取付部(14)に収納した状態では、ケーシング(11)内において、ハンドランプ(50)に含まれる下方照射用光源(30)は、前述したように直接光を光出射面(12)から斜め下方に向けて出射させる位置となる。ハンドランプ(50)は、ケーシング(11)から取り外して、自由に手に持ち使用することができる。
【0021】
前記[4]に記載の照明装置(10)によれば、前記ハンドランプ(50)は、ケーシング(11)側に対して電源コードを介して接続されている。これにより、ハンドランプ(50)は取り外した状態でもケーシング(11)と有線で繋がった状態であり、紛失したり他の場所に置き忘れるようなことを防止することができる。なお、電源コードは、引き出した分を自動で巻き取り可能な構成にすると良い。
【0022】
前記[5]に記載の照明装置(10)によれば、前記ケーシング(11)は、両側方向に延びる長尺のユニット形状であり、上方照射用光源(20)と、反射面(40)と、下方照射用光源(30)も、それぞれ前記ケーシング(11)の両側方向に沿って延びる形状とする。これにより、各々のユニットを例えば長手方向に連なるように配置することにより、長手方向に延びる広範囲な照明として活用するのに適する。
【0023】
前記[6]に記載の照明装置(10)によれば、上方照射用光源(20)と、下方照射用光源(30)は、それぞれ基板(21,31)上に複数のLED(22,32)を配列させて構成する。これにより、従来の蛍光灯に比べて小型化が可能であり、消費電力を抑えることができ、配光制御も容易となり、また長寿命でもあるから交換の頻度を減らすことができる。
【0024】
前記[7]に記載の照明装置(10)によれば、前記ケーシング(11)を、絶縁性を備えた樹脂材料により成形する。これにより、絶縁性が備わるだけでなく、防水性や材質の選択によっては耐衝撃性にも優れ、また自由な形状に成形することが可能となる。
【0025】
前記[8]に記載の照明装置(10)によれば、上方照射用光源(20)および下方照射用光源(30)を、それぞれ点灯させる制御部(61)を備え、この制御部(61)は、上方照射用光源(20)および下方照射用光源(30)の点灯消灯の他、点灯時の明るさを調整可能である。これにより、前述した構造面における配光制御に加えて、電気的にもより多様な配光制御が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る照明装置によれば、上方は間接光で広く照射すると共に下方は直接光で明るく照射する配光制御により、特に点検ピット用の照明として用いた場合に、作業面を照らす際に作業者への眩しさを低減し、車輌底面や足元を効率良く照射することができ、作業の安全性や迅速性を補助することができる。
【0027】
また、下方照射用光源を、ケーシングに対して着脱自在なハンドランプとしたから、ケーシングから取り外して手に持ち使用することができ、特定の箇所を自由に照明することも可能となり、ケーシングの設置場所に限定されることなく、効率の良い適切な照明を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施の形態に係る照明装置の内部構造を拡大して示す端面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る照明装置を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態に係る照明装置を示す正面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る照明装置を示す背面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る照明装置を示す平面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る照明装置を示す底面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る照明装置を拡大して示す右側面図である。
図8】本発明の実施の形態に係る照明装置を拡大して示す左側面図である。
図9】本発明の実施の形態に係る照明装置のケーシングから取り外したハンドランプを拡大して示す斜視図である。
図10】本発明の実施の形態に係る照明装置のハンドランプを示す正面図である。
図11】本発明の実施の形態に係る照明装置のハンドランプを示す平面図である。
図12】本発明の実施の形態に係る照明装置のハンドランプを示す底面図である。
図13】本発明の実施の形態に係る照明装置のハンドランプを拡大して示す右側面図である。
図14】本発明の実施の形態に係る照明装置のハンドランプを拡大して示す左側面図である。
図15】本発明の実施の形態に係る照明装置の制御部を示すブロック図である。
図16】本発明の実施の形態に係る照明装置を鉄道車輌基地の点検ピットに取り付けた状態を概略的に示す断面図である。
図17】本発明の実施の形態に係る照明装置を鉄道車輌基地の点検ピットに取り付けた状態を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施の形態を説明する。
図1図17は、本発明の一実施の形態を示している。
本実施の形態に係る照明装置10は、上下の別方向に光を照射可能なものであり、点検ピット用の照明として適している。以下、照明装置10を鉄道車輌基地の点検ピットに設置する場合を例にして説明する。
【0030】
点検ピットについて先ず説明する。図16に示すように、鉄道車輌基地の床下に矩形断面の凹溝として点検ピットAは設けられている。点検ピットAの大きさは、例えば開口断面の幅は850mm程度である。図16(a)では、点検ピットA内の両側壁の上方に沿って、床面上に一対の軌条BおよびレールCが敷設されている。軌条BはI型鋼からなり、レールC上には点検する車輌が載せられる。図16(b)では、床面上に直接レールCが敷設されている。
【0031】
照明装置10は、図16(a)に示す軌条Bの内側に設置しても良く、あるいは図16(b)に示すように、点検ピットA内の両側壁の上部に沿って設けられた取付溝に設置しても良い。照明装置10は、同一直線上に等間隔に並ぶように複数設置され、それぞれが独立して点灯制御される。図17に示す例では、各照明装置10は、それぞれ隣同士で中心間の距離が2.5m程度に配置されているが、実際には2.5〜10m程度に適宜設定される。また、図17に示す例では、左右両側で互い違いに千鳥配列に配置されているが、左右両側で互い対面するように配置しても良い。要は、必要な照度に応じて配置は異なる。
【0032】
図1に示すように、照明装置10は、上方照射用光源20と、下方照射用光源30と、これら各光源20,30を収容するケーシング11と、を有して成る。図1図6に示すように、ケーシング11は、両側方向に延びる長尺のユニット形状であり、両端が開口した扁平管状の閉鎖断面形に成形されている。ケーシング11は、絶縁性を備えた樹脂材料により押し出し成形することができるが、正面側は光出射面12を形成するため、少なくとも正面側は透光性の樹脂材料により成形される。
【0033】
図1に示すように、ケーシング11内には、上方照射用光源20が、その光軸が前記光出射面12に交差しない位置に収容され、該上方照射用光源20からの直接光を反射し、該反射した間接光を前記光出射面12から斜め上方に向けて出射させる反射面40が設けられている。また、ケーシング11内には、下方照射用光源30が、その光軸が前記光出射面12に交差し、該下方照射用光源30からの直接光を前記光出射面12から斜め下方に向けて出射させる位置に収納されている。
【0034】
上方照射用光源20は、前記ケーシング11の両側方向に沿って延びる形状であり、詳しくは、細幅状の基板21上に表面実装型のLEDチップ22を複数配列させたものである。LEDチップ22は、一般的であるので詳細な説明は省略するが、基板21に対して直交する光軸を中心に所定角度の放射範囲で光を出射するタイプが用いられる。LEDチップ22の発光色は任意に選択できる。基板21はその一面が実装面であり、該実装面上にLEDチップ22が電気的に接続される配線回路が形成されている。
【0035】
下方照射用光源30も、前記ケーシング11の両側方向に沿って延びる形状であり、前記上方照射用光源20と同一構造である。すなわち、細幅状の基板31上に表面実装型のLEDチップ32を複数配列させたものである。かかる下方照射用光源30は、後述するがケーシング11に対して着脱自在なハンドランプ50に含まれている。なお、上方照射用光源20や下方照射用光源30の具体的な種類は特に限定されないが、LEDであることが好ましい。LEDは小型であること、低消費電力であること、長寿命であることという利点を有する。
【0036】
反射面40は、図1に示す断面形状であり、前記ケーシング11の両側方向に沿って延びる形状に成形された反射部材41に含まれている。詳しく言えば反射部材41は、その下端部の内側に、前記上方照射用光源20をその光軸が斜め後側(図1中で左側)の上方に向かう状態に装着する固定部42を備えている。この固定部42の前後には、互いに対向する一対の嵌合溝42a,42aが設けられており、各嵌合溝42aの間に、前記上方照射用光源20の基板21の両側端縁がそれぞれ嵌合した状態で固定される。
【0037】
固定部42の後端縁に沿って、斜め後側の上方に湾曲して立ち上がり、徐々に斜め前側(図1中で右側)の上方に向かって湾曲した主反射板43が設けられており、この主反射板43の内側が前記反射面40となっている。また、前記固定部42の前端縁に沿って、斜め後側の上方に湾曲して立ち上がる副反射板44が設けられている。この副反射板44は、光出射面12の外側からは上方照射用光源20が見えないように隠蔽する構造であり、副反射板44の内側は、前記上方照射用光源20からの直接光を前記反射面40に向けて反射する反射面40aとなっている。
【0038】
前記反射面40は、前述したように上下に大きく拡がる形状であり、前記上方照射用光源20からの直接光を反射した間接光の照射範囲を、前記下方照射用光源30からの直接光の照射範囲よりも拡大するものである。なお、前記各反射面40,40aは、光反射効率が高くなる表面処理が施されたものであり、具体的には例えば、鏡面加工を施したり、あるいは白色塗料を塗布しても良い。
【0039】
図2に示すように、ケーシング11の光出射面12の中央下部の内側には電源収納部13が設けられている。電源収納部13は、図1に示すように、次述する取付部14と同様の扇形断面の空間となっており、その内部には、図15に示す照明装置10の制御部61や電源62の他、ハンドランプ用のコードリール等が収納されている。
【0040】
ここで制御部61は、上方照射用光源20および下方照射用光源30の各種点灯制御を実行するものである。制御部61は具体的には、制御の中枢的機能を果たすCPU(中央処理装置)と、CPUの実行するプログラムや各種の固定的データを記憶するROMと、プログラムを実行する上で一時的に必要になるデータを記憶するためのRAM等を主要部とする回路により構成されている。制御部61は、上方照射用光源20および下方照射用光源30の点灯消灯の他、点灯時の明るさを無段階に調整可能である。具体的な調光方法としては、一般に知られている電流調光でもPWM調光でも良い。
【0041】
また、ケーシング11内において、前記電源収納部13の両側にはそれぞれ前記下方照射用光源30を含むハンドランプ50を着脱自在に収納する取付部14が設けられている。各取付部14は、それぞれ側方を向く一端側がハンドランプ50の出入口として開口している。取付部14の内部は、ハンドランプ50の断面形状に合致する扇形断面の空間となっており、取付部14にハンドランプ50を収納した際、ハンドランプ50の下方照射用光源30が前述した配光向きに位置するように設定されている。
【0042】
図9図14に示すように、ハンドランプ50は、前記取付部14の全長に合致する長さの光源ケース部51と、該光源ケース部51の一端側より所定長さ延出した円柱形の把持部52とから成る。図1に示すように、光源ケース部51は、扇形断面形状に成形されており、扇形の頂部内側に前記下方照射用光源30の基板31を取り付ける装着面53が設けられている。また、光源ケース部51の円弧形の外壁部54は、前記ケーシング11の光出射面12と同様に透光性の樹脂材料により成形されている。
【0043】
前記ハンドランプ50は、ケーシング11側に対して図示省略した電源コードを介して接続されている。かかる電源コードは、前記電源収納部13に収納されているコードリールによって引き出した分を自動で巻き取り可能に構成されている。なお、コードリールについても図示省略したが、その構成も一般的であるので詳細な説明は省略する。
【0044】
また、図1に示すように、ケーシング11内において、前記取付部14の斜めに傾斜した上面側は、前記反射部材41の固定部42を取り付けるための支持台15となっている。この支持台15には、前記固定部42の裏側に設けられた嵌合突起45がスライド自在に係合する被嵌合溝16が設けられている。また、前記反射部材41の主反射板43の上端縁が対接する前記光出射面12の内面側には、該主反射板43の上端縁がスライド自在に係合する被嵌合溝17が設けられている。
【0045】
図2に示すように、ケーシング11の両端の開口には着脱自在なキャップ18が設けられており、このキャップ18を外した状態でケーシング11の開口より、内部に反射部材41および上方照射用光源20を挿入することができる。反射部材41は、その主反射板43の上端縁と嵌合突起45を、それぞれケーシング11側の被嵌合溝16,17に係合させることで位置決めして取り付けることができ、上方照射用光源20が前述した配光向きに位置するように設定されている。
【0046】
次に、照明装置10の作用について説明する。
図16に示すように、本照明装置10は、鉄道車輌基地にある点検ピットA用の照明として用いられ、車輌点検作業時の作業面を照らすと共に安全性を確保する。照明装置10の具体的な設置箇所としては、図16(a)に示すように、軌条Bの上にレールCが敷設されている場合は、軌条Bの内側に設置しても良く、あるいは図16(b)に示すように、点検ピットA内の両側壁の上部に沿って設けられた取付溝に設置しても良い。図17に示すように、照明装置10は、同一直線上に等間隔に並ぶように複数設置される。
【0047】
何れの設置箇所にせよ、照明装置10の高さ位置は、点検ピットA内における作業者の目線位置とほぼ同じとなるが、従来のピット照明として用いていた蛍光灯の配光のような眩しさは低減される。すなわち、本照明装置10によれば、上方は間接光で広く照射すると共に下方は直接光で明るく照射する配光制御により、作業者への眩しさを低減し、車輌底面や足元を効率良く照射することができ、従来の蛍光灯では不可能である効率の良い照明が可能となる。
【0048】
詳しく言えば、図1に示すように、照明装置10はその通常の設置状態において、ケーシング11の正面側の光出射面12より上下の別方向に光が出射する。すなわち、ケーシング11内において、上方照射用光源20からの直接光は光出射面12に交差することなく反射面40により反射され、この反射された間接光が光出射面12から少なくとも斜め上方に向けて出射される。また、ケーシング11内において、下方照射用光源30からの直接光は光出射面12を交差して、そのまま光出射面12より斜め下方に向けて出射される。
【0049】
このような照明装置10の配光制御により、上方は間接光で下方は直接光となる上下に非対称の2方向に光を照射可能となる。よって、点検ピットA内で点検作業を行う作業者の目線位置ないし車輌底面には間接光を照射し、点検ピットA内の床面ないし作業者の足元には直接光を照射するので、作業面を照らす際に作業者への眩しさを低減し、車輌底面や足元を効率良く照射することが可能となり、作業の安全性や迅速性を補助することができる。
【0050】
本照明装置10では、上方照射用光源20や下方照射用光源30としてLEDチップ22,32を用いたことにより、最適な配光制御を容易に実現することができるばかりでなく、所望の明るさを低い電力消費で得ることができ、蛍光灯に比べて装置全体を小型化することができ、設置場所やケーシング11の形状に合わせて自由にデザインすることも可能となる。また、LEDは蛍光灯に比べて寿命も長いため、頻繁に交換する必要もない。
【0051】
また、本実施の形態では、上方照射用光源20と下方照射用光源30とを、それぞれ同一構造の光源から構成するから、部品が共用化されてコスト低減が可能となる。また、反射面40は、比較的広い面積を有しており、上方照射用光源20からの直接光を反射した間接光の照射範囲を、下方照射用光源30からの直接光の照射範囲よりも拡大する。これにより、上方照射に関してはいっそう眩しさを低減することができ、広い範囲を照らすことができる。
【0052】
さらに、下方照射用光源30は、ケーシング11に対して着脱自在なハンドランプ50に含まれる。ケーシング11には、ハンドランプ50を所定の位置に着脱自在に収納するための取付部14がある。ハンドランプ50をケーシング11の取付部14に収納した状態では、ケーシング11内において、ハンドランプ50に含まれる下方照射用光源30は、前述したように直接光を光出射面12から斜め下方に向けて出射させる位置となる。
【0053】
点検ピットA内では作業内容により必要な照度があり、通常は一般に100〜200ルクス程度で足りるが、作業内容によっては局所的にさらに高い照度が必要となる場合がある。そこで、ハンドランプ50をケーシング11から取り外して、自由に手に持ち特定の箇所を自由に照射することができる。これにより、照明装置10とは別に補助灯を用意する必要はなくなり、いっそう効率の良い適切な照明を実現することができる。
【0054】
ハンドランプ50は、ケーシング11側に対して電源コードを介して接続されている。これにより、ハンドランプ50は取り外した状態でもケーシング11と有線で繋がった状態であり、紛失してしまったり、他の場所に置き忘れるようなことを防止することができる。なお、電源コードは、コードリール等により引き出した分は自動で巻き取り可能に構成されている。
【0055】
また、本実施の形態では、照明装置10のケーシング11は、両側方向に延びる長尺のユニット形状であり、上方照射用光源20と、反射面40と、下方照射用光源30も、それぞれ前記ケーシング11の両側方向に沿って延びる形状である。これにより、各々のユニットを長手方向に連なるように配置することにより、長手方向に延びる広範囲な照明として活用するのに適する。また、ケーシング11やハンドランプ50は、絶縁性を備えた樹脂材料により成形するため、絶縁性が備わるだけでなく、防水性や材質の選択によっては耐衝撃性にも優れ、また自由な形状に成形することが可能となる。ここで耐衝撃性に優れた材質としては、例えばポリカーボネート等がある。
【0056】
さらに、本照明装置10によれば、上方照射用光源20および下方照射用光源30を、それぞれ点灯させる制御部61を備え、この制御部61は、上方照射用光源20および下方照射用光源30の点灯消灯の他、点灯時の明るさを無段階に調整可能である。これにより、前述した構造的な配光制御に加えて、電気的にもより多様な配光制御が可能となる。他の制御としては例えば、制御部61により、点検ピットA内に設けた人感センサからの検出出力に応じて、作業者がいる付近の照明装置10のみを選択して点灯するように制御しても良い。
【0057】
また、レールC上における車輌の有無を検知するセンサからの出力に応じて、例えば、制御部61により、車輌がある場合には、上方照射用光源20および下方照射用光源30を両方とも点灯させる一方、車輌がない場合には、下方照射用光源30のみを点灯させるように制御しても良い。
【0058】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述したような実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、照明装置10を鉄道車輌基地の点検ピットに設置する例を説明したが、自動車やエレベーター等の他の設備における点検ピットに設置しても良い。もちろん、点検ピットの照明用に用途が限定されることもない。また、ケーシング11や反射面40の具体的な形状も、図示した例に限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る照明装置は、鉄道車輌基地の点検ピット用の照明等に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
A…点検ピット
B…軌条
C…レール
10…照明装置
11…ケーシング
12…光出射面
13…電源収納部
14…取付部
15…支持台
16…被嵌合溝
17…被嵌合溝
20…上方照射用光源
21…基板
22…LEDチップ
30…下方照射用光源
31…基板
32…LEDチップ
40…反射面
40a…反射面
41…反射部材
42…固定部
43…主反射板
44…副反射板
45…嵌合突起
50…ハンドランプ
51…光源ケース部
52…把持部
61…制御部
62…電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17