(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記金属膜の代わりに、リッドウエハ上にクロム膜の第1の金属膜と、当該第1の金属膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた第2の金属膜とを有する二層の金属膜を用いたことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか記載の水晶デバイスの製造方法。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
水晶デバイスである水晶振動子には、リード型のものと、表面実装型がある。
表面実装型水晶振動子は、振動片とその枠部、振動片を支持する支持部を備える振動チップと、それを下側からベースと上側からリッドで重ね合わせて接合されたものである。
そして、表面実装型水晶振動子は、振動チップ、ベース、リッドを複数形成したウエハ単位(振動チップウエハ、ベースウエハ、リッドウエハの単位)で製造できるため、一度に大量の水晶振動子を製造できるものである。
【0003】
従来の水晶デバイスの製造方法では、ベースウエハ、振動チップウエハ、リッドウエハを接合してリッドウエハ面にレーザー印字を行うものである。印字のための成膜として金(Au)を使用することが考えられる。
【0004】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開2009−076685号公報「ダイオード、ダイオードの製造方法及びマーキング装置」(株式会社ルネサステクノロジ)[特許文献1]、特開2005−150636号公報「レーザーマーキング方法」(日本特殊陶業株式会社)[特許文献2]がある。
【0005】
また、関連する先行技術として、特開昭61−095990号公報「マーキング方法」(富士通株式会社)[特許文献3]、特開2000−114129号公報「半導体装置及びその製造方法」(株式会社東芝)[特許文献4]、特開2001−053032号公報「半導体ダイシングエリアに設けられる溝の構造およびダイシング方法」(日本板硝子株式会社)[特許文献5]がある。
【0006】
特許文献1には、ダイオードチップは、カソード側及びアノード側ジュメット線部に挟まれて、カソード電極及びアノード電極がそれぞれ対応するカソード側及びアノード側ジュメット線部と電気的に接続され、ガラスによって形成された封止体で封止され、カソード側ジュメット線の表面部には、封止体を通して照射されたレーザー光線により亜酸化銅皮膜が変色されることによって描かれたカソード電極側の標識を兼ねた品種マークが円周方向に設けられることが示されている。
【0007】
特許文献2には、焼成セラミック体(明度が50%以下である黒色系)と、導電塗膜(銀粉末、銅粉末等を含有する。)とを備える電子部品素体の焼成セラミック体にレーザー光(YAGレーザー等)を照射してマークを形成し、その後、熱処理することが示されている。
【0008】
特許文献3には、半導体装置の製造方法で、接合前にウエハの表面に有機質の膜を被着し、被着膜上にレーザービームの照射によりマークを描き、その後に被着膜を除去することが示されている。
【0009】
特許文献4には、半導体装置の製造方法において、シリコンウエハに溶融痕によりレーザーマークを形成し、裏面研削された凹凸のある粗面化された裏面にマーキングするので、視認性を高くすることが示されている。
【0010】
特許文献5には、半導体ダイシング方法において、ダイシングエリアに設ける溝について部分的に溝未形成部を設け、その溝未形成部の位置でダイシング位置の確認を行うことが示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の水晶デバイスへの印字方法では、印字認識性を高めるためにはAu膜が考えられるが、Auは高価な金属のため、製品の原価が高くなってしまうという問題点があった。
【0013】
そこで、製品の原価を安くするために、レーザー印字のための成膜として、Auの代わりにニッケル(Ni)やニッケルとタングステン(W)の合金(Ni/W)膜を使用する場合があるが、色合いとして銀色となるため文字が見えにくいという問題点があった。
【0014】
また、特許文献1,2では、ニッケルやニッケルとタングステンの合金を用いて、レーザー印字した文字を見やすくできるものとはなっていない。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ニッケルやニッケルとタングステンの合金を用いて、レーザー印字した文字を見易くできる水晶デバイスへの印字方法、水晶デバイス及び水晶デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、水晶デバイスへの印字方法であって、リッドウエハの一方の主面上に酸化して変色する金属膜を成膜し、リッドウエハの他方又は一方の主面上に接着層を形成し、
茶色又は焦げ茶色となるよう焼成して金属膜を酸化させ、レーザーにて酸化させた金属膜を削り取って印字することを特徴とする。
【0017】
本発明は、水晶デバイスへの印字方法であって、リッドウエハの一方の主面上に酸化して変色する金属膜として、ニッケル、ニッケルとタングステンの合金、ニッケルと鉄の合金のいずれかである金属膜を成膜し、リッドウエハの他方又は一方の主面上に接着層を形成し、焼成して金属膜を酸化させ、レーザーにて酸化させた金属膜を削り取って印字することを特徴とする。
本発明は、上記水晶デバイスへの印字方法において、レーザーによる金属膜の削り取りが、リッドウエハの表面が露出するまで行うことを特徴とする。
【0018】
本発明は、上記水晶デバイスへの印字方法において、金属膜が、茶色又は焦げ茶色となるよう焼成することを特徴とする。
【0020】
本発明は、上記水晶デバイスへの印字方法において、レーザーによる印字部分が、透明又は白色であることを特徴とする。
【0021】
本発明は、
リッドを備える水晶デバイスであって、リッドの一方の主面には、焼成により
茶色又は焦げ茶色となって酸化して変色した金属膜が形成され、リッドの他方又は一方の主面には、接着層が形成され、金属膜の印字部分がレーザーによって削り取られて透明又は白色の文字が形成されていることを特徴とする。
【0023】
本発明は、
リッドを備える水晶デバイ
スであって、
リッドの一方の主面には、焼成により酸化して変色した、ニッケル、ニッケルとタングステンの合金、ニッケルと鉄の合金のいずれかである
金属膜が形成され、リッドの他方又は一方の主面には、接着層が形成され、金属膜の印字部分がレーザーによって削り取られて透明又は白色の文字が形成されていることを特徴とする。
【0024】
また、本発明は、リッドウエハ、振動片を備える振動チップウエハ、ベースウエハを接合して水晶デバイスウエハを製造する水晶デバイスの製造方法であって、リッドウエハ下面に金属膜を形成し、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ上面から当該リッドウエハを透過させて金属膜にレーザー印字を
行うと共にダイシングマークも印字し、更に金属膜が内側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造することを特徴とする。
【0025】
本発明は、リッドウエハ、振動片を備える振動チップウエハ、ベースウエハを接合して水晶デバイスウエハを製造する水晶デバイスの製造方法であって、リッドウエハ下面に金属膜を形成し、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ下面から金属膜にレーザー印字を
行うと共にダイシングマークも印字し、更に金属膜が内側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造することを特徴とする。
【0026】
本発明は、リッドウエハ、振動片を備える振動チップウエハ、ベースウエハを接合して水晶デバイスウエハを製造する水晶デバイスの製造方法であって、リッドウエハ上面に金属膜を形成し、リッドウエハ上面から金属膜にレーザー印字を行い、更に金属膜が外側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造することを特徴とする水晶デバイスの製造方法。
【0027】
本発明は、上記水晶デバイスの製造方法において、金属膜を、クロム膜又はニッケルとタングステンの混合膜の金属膜とし、金属膜を形成する前に、リッドウエハにおける振動チップウエハの接合面をガラス印刷して焼成する工程を設けたことを特徴とする。
【0028】
本発明は、上記水晶デバイスの製造方法において、金属膜の代わりに、リッドウエハ上にクロム膜の第1の金属膜と、当該第1の金属膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた第2の金属膜とを有する二層の金属膜を用いたことを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、リッドウエハ、振動片を備える振動チップウエハ、ベースウエハを接合して水晶デバイスウエハを製造する水晶デバイスの製造方法であって、リッドウエハ下面に金属膜を形成し、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ上面から当該リッドウエハを透過させて金属膜にレーザー印字を行い、更に金属膜が内側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造することを特徴とする。
【0031】
本発明は、リッドウエハ、振動片を備える振動チップウエハ、ベースウエハを接合して水晶デバイスウエハを製造する水晶デバイスの製造方法であって、リッドウエハ下面に金属膜を形成し、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ下面から金属膜にレーザー印字を行い、更に金属膜が内側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造することを特徴とする。
【0032】
本発明は、リッドウエハ、振動片を備える振動チップウエハ、ベースウエハを接合して水晶デバイスウエハを製造する水晶デバイスの製造方法であって、リッドウエハ上面に金属膜を形成し、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ上面から金属膜にレーザー印字を
行うと共にダイシングマークも印字し、更に金属膜が外側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造することを特徴とする。
【0033】
本発明は、リッドウエハ、振動片を備える振動チップウエハ、ベースウエハを接合して水晶デバイスウエハを製造する水晶デバイスの製造方法であって、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ上面に金属膜を形成し、リッドウエハ上面から金属膜にレーザー印字を
行うと共にダイシングマークも印字し、更に金属膜が外側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造することを特徴とする。
【0034】
本発明は、上記水晶デバイスの製造方法において、金属膜を、クロム膜又はニッケルとタングステンの混合膜の金属膜としたことを特徴とする。
【0035】
本発明は、上記水晶デバイスの製造方法において、上記金属膜の代わりに、リッドウエハ上にクロム膜の第1の金属膜と、当該第1の金属膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた第2の金属膜とを有する二層の金属膜を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、リッドウエハの一方の主面上に酸化して変色する金属膜を成膜し、リッドウエハの他方又は一方の主面上に接着層を形成し、
茶色又は焦げ茶色となるよう焼成して金属膜を酸化させ、レーザーにて酸化させた金属膜を削り取って印字する水晶デバイスへの印字方法としているので、レーザー印字した文字を見易くできる効果がある。
【0038】
本発明によれば、リッドウエハの一方の主面には、焼成により酸化して変色
する金属膜として、ニッケル、ニッケルとタングステンの合金、ニッケルと鉄の合金のいずれかである金属膜が形成され、リッドウエハの他方又は一方の主面には、接着層が形成され、金属膜の印字部分がレーザーによって削り取られて透明又は白色の文字が形成される水晶デバイスとしているので、レーザー印字した文字を見易くできる効果がある。
【0039】
また、本発明によれば、リッドウエハ下面に金属膜を形成し、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ上面から当該リッドウエハを透過させて金属膜にレーザー印字を
行うと共にダイシングマークも印字し、更に金属膜が内側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造する水晶デバイスの製造方法としているので、レーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができる効果がある。
【0040】
本発明によれば、リッドウエハ下面に金属膜を形成し、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ下面から金属膜にレーザー印字を
行うと共にダイシングマークも印字し、更に金属膜が内側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造する水晶デバイスの製造方法としているので、レーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができる効果がある。
【0041】
本発明によれば、リッドウエハ上面に金属膜を形成し、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ上面から金属膜にレーザー印字を
行うと共にダイシングマークも印字し、更に金属膜が外側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造するレーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができる効果がある。
【0042】
本発明によれば、リッドウエハにおける振動チップウエハ接合面をガラス印刷して焼成し、リッドウエハ上面に金属膜を形成し、リッドウエハ上面から金属膜にレーザー印字を
行うと共にダイシングマークも印字し、更に金属膜が外側に向くようにしたリッドウエハとベースウエハで振動チップウエハを挟み込んで接合して水晶デバイスウエハを製造するレーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができる効果がある。
【0043】
本発明によれば、上記金属膜の代わりに、リッドウエハ上にクロム膜の第1の金属膜と、当該第1の金属膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた第2の金属膜とを有する二層の金属膜を用いた上記水晶デバイスの製造方法としているので、第2の金属膜の付着性を強固にできる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態1の概要]
本発明の実施の形態に係る水晶デバイスへの印字方法は、水晶基板上にニッケル(Ni)又はニッケルとタングステン(W)の合金(Ni/W)又はクロム(Cr)等の金属膜を成膜し、当該金属膜を加熱して焼成し、金属膜を酸化させることで金属膜の色を茶又は焦げ茶にし、その金属膜を水晶基板の下地が露出するまでレーザーで削り取るようにしているので、文字部分が透明又は白っぽい色となって見易い文字を形成できるものである。
【0046】
[実施の形態2の概要]
本発明の実施の形態2に係る第1の水晶デバイスの製造方法は、リッドウエハにガラス印刷して焼成し、リッドウエハ上面にクロム膜又はニッケルとタングステンの混合膜、若しくはクロム膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた2層の金属膜を形成し、リッドウエハ上面から金属膜にレーザー印字を行い、更にベースウエハ、振動チップウエハ、リッドウエハの順に接合して水晶デバイスウエハを製造するものであり、レーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができるものである。
【0047】
また、本発明の実施の形態2に係る第2の水晶デバイスの製造方法は、リッドウエハ下面にクロム膜又はニッケルとタングステンの混合膜、若しくはクロム膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた2層の金属膜を形成し、リッドウエハにガラス印刷して焼成し、リッドウエハ上面からリッドウエハを透過させて金属膜にレーザー印字を行い、更にベースウエハ、振動チップウエハ、リッドウエハの順に接合して水晶デバイスウエハを製造するものであり、レーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができるものである。
【0048】
また、本発明の実施の形態2に係る第3の水晶デバイスの製造方法は、リッドウエハ下面にクロム膜又はニッケルとタングステンの混合膜、若しくはクロム膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた2層の金属膜を形成し、リッドウエハにガラス印刷して焼成し、リッドウエハ下面から金属膜にレーザー印字を行い、更にベースウエハ、振動チップウエハ、リッドウエハの順に接合して水晶デバイスウエハを製造するものであり、レーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができるものである。
【0049】
[実施の形態1の詳細]
[本印字方法:
図1]
本発明の実施の形態1に係る水晶デバイスへの印字方法について
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る水晶デバイスへの印字方法を示すプロセス断面説明図である。
本発明の実施の形態1に係る水晶デバイス(本水晶デバイス)への印字方法は、
図1(a),(b)に示すように、リッドウエハとなる水晶基板5上に、Ni単体の金属膜、Ni/Wの合金の金属膜、若しくは、Niと鉄(Fe)の合金(Ni/Fe)の金属膜、または、クロム(Cr)単体の金属膜を成膜する。これら金属膜を総称して「金属膜4」とする。
【0050】
そして、
図1(c)に示すように、金属膜4が形成された面とは反対の水晶基板5の面(
図1(c)では下面)に、低融点ガラス又はポリイミドの接着層6を形成する。
次に、本水晶デバイスを加熱して焼成する。加熱により、金属膜4が酸化し、茶又は焦げ茶の色になる。つまり、金属膜4を酸化させて変色させるものである。
【0051】
その後、
図1(d)に示すように、金属膜4をレーザーで削り取って文字を印刷する。この場合、金属膜4を完全に除去して下地の水晶基板5が露出するまでレーザーを照射しないと、その後の加熱工程で、残った金属膜4は茶又は焦げ茶に変色するため、文字部分に相当する金属膜4を完全に除去することが望ましい。
但し、完全に金属膜4を除去しなくても、除去していない金属膜4の色と文字部分の色が区別できればよい。文字の色は、透明又は白色となる。
【0052】
尚、本水晶デバイスは、水晶振動子を形成するためのリッドウエハ(リッドに分離される前のウエハ)における印字方法を示したものである。但し、
図1では、紙面の制約上、リッドウエハにおける一つのリッドを示している。従って、
図1に示す構成が本来ウエハ上に複数存在するものである。
また、リッドは、通常、水晶振動子の蓋として用いられるものである。
尚、レーザーによる印字は、接合前にリッドウエハの一方の主面に形成された金属膜4に対して行うものである。
【0053】
また、リッドウエハは、Zカット水晶基板、ATカット等の水晶基板であってもよいし、ガラス基板であってもよい。
更に、リッドウエハの下面(下側の主面)に接合ガラス等の接着層6を印刷し、約400℃で高温焼成をする。
尚、
図1では、水晶基板5の一方の主面に金属膜4を形成し、水晶基板5の他方の主面に接着層6を形成するようにしているが、金属膜4が形成された面に接着層6を形成し、焼成してレーザー印刷を行ってもよい。この場合、金属膜4が形成されていない側が蓋の上面となるため、文字は反転させて印刷する必要がある。
【0054】
[リッド概略:
図2]
本水晶デバイスのリッドの概略について
図2を参照しながら具体的に説明する。
図2は、レーザー印字が為されたリッドの概略図である。
図2に示すリッド10は、リッドウエハからダイシングラインに従って切り出されたものである。
【0055】
次に、本水晶デバイスの一例として水晶振動子について説明する。
以下に説明する第1〜3の水晶振動子の構成は、発振回路を備えたIC(Integrated Circuit)を有する水晶発振器にも適用可能である。
[第1の水晶振動子:
図3]
実施の形態1に係る第1の水晶振動子について
図3を参照しながら説明する。
図3は、第1の水晶振動子の断面説明図である。
第1の水晶振動子は、
図3に示すように、リッド部10が板状であり、ベース部41が凹部形状であり、凹部形状のベース部41内に、水晶の振動片7が導電性接着剤8で固着され、ベース部41の周辺上部で接着層6を介してリッド部10が接合される。
そして、リッド部10の上面には本実施の形態のレーザーによって印字された金属膜4が形成されている。
【0056】
[第2の水晶振動子:
図4]
実施の形態1に係る第2の水晶振動子について
図4を参照しながら説明する。
図4は、第2の水晶振動子の断面説明図である。
第2の水晶振動子は、
図4に示すように、ベース部41が板状であり、リッド部10が凹部形状であり、ベース部41上に水晶の振動片7が導電性接着剤8で固着され、ベース部41の周辺部分で接着層6を介して開口部を下にしたリッド部10が接合される。
そして、リッド部10の開口部とは反対の平面には本実施の形態のレーザーによって印字された金属膜4が形成されている。
【0057】
[第3の水晶振動子:
図5]
実施の形態1に係る第3の水晶振動子について
図5を参照しながら説明する。
図5は、第3の水晶振動子の断面説明図である。
第3の水晶振動子は、印字処理されたリッドウエハと、ベースウエハとで、振動チップウエハを挟み込むよう接合し、ダイシングラインで分離して個々の水晶振動子を形成したものである。
【0058】
具体的には、第3の水晶振動子は、
図5に示すように、リッド部10とベース部41で、水晶の振動片7を有する振動チップ20を挟み込むよう接合されている。
リッド部10の上面には、レーザー印字された金属膜4が形成されている。
【0059】
振動チップ20は、中央部分が振動片7を構成し、その振動片7の表裏に励振電極としてクロム(Cr)の金属膜と金(Au)の金属膜が重ねて形成されている。
そして、振動チップ20の周辺部分を、接合ガラス等の接着層6を介してリッド部10と、接着層6を介してベース部41で接合している。
【0060】
[実施の形態1の効果]
本水晶デバイスへの印字方法は、水晶基板1上にNi又はNi/W等の金属膜4を成膜し、当該金属膜4を加熱して焼成し、金属膜を酸化させることで金属膜4の色を茶又は焦げ茶にし、その金属膜4を水晶基板5の下地が露出するまでレーザーで削り取って印字するようにしているので、文字部分が透明又は白っぽい色となって見易い文字を形成できる効果がある。
【0061】
[実施の形態2の詳細]
本実施の形態2の詳細について説明する。
本実施の形態2について説明する前に、従来技術の課題を整理すると、従来の水晶デバイスの製造方法では、ベースウエハ、振動チップウエハ、リッドウエハを接合してリッドウエハ面にレーザー印字を行うと、レーザーが透過して振動チップの励振電極もトリミングしてしまう可能性があり、水晶振動子として不具合が生じるという問題点があった。
【0062】
また、印字のための成膜として金(Au)を使用すれば、レーザーの透過は発生しづらいが、製品の原価が高くなってしまうという問題点があった。
【0063】
また、ダイシングの際に、リッドウエハを上にしてベースウエハをダイシングテープに貼り付けることになると、そのテープがベースウエハの周辺に貼られるため、ダイシングラインが不明確になってキャスタレーション(切り込み)等を目印に作業をしているので、作業性が悪く、ティーチングできないため精度が悪くなるという問題点があった。
【0064】
そこで、実施の形態2は、リッドウエハにレーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率がよい水晶デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【0065】
[第1の水晶デバイスウエハ:
図6]
本発明の実施の形態2に係る水晶デバイスの製造方法について
図6を参照しながら説明する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る第1の水晶デバイスの断面説明図である。特に、
図6(a)では、第1のリッドウエハの断面説明図を示し、
図6(b)では、第1の水晶デバイスの断面説明図を示している。
図6(a)に示すように、Zカット水晶基板が用いられたリッドウエハ1の下面に接合ガラス12を印刷(ガラス印刷)し、約400℃で高温焼成をする。
尚、リッドウエハは、Zカット以外のATカット等の水晶基板であってもよいし、ガラス基板であってもよい。
【0066】
その後、リッドウエハ1の上面に、クロム(Cr)膜又はニッケルとタングステンの混合膜(Ni/W膜)の金属膜4を形成(成膜)する。
金属膜4は、レジストを用いたパターニングにより、複数のリッド部10とウエハ外周内側の成膜部11が形成され、成膜後にレーザー印字を行う。
更に、レーザー印字を行う際に、リッドウエハ1の外周内側の成膜部11にダイシングマークをトリミング(印字)する。
尚、上記例では、ガラス12を印刷焼成した後に、金属膜4を成膜しているが、先に金属膜4を成膜した後に、カラス12を印刷焼成してもよい。
【0067】
そして、
図6(b)に示すように、リッドウエハ1とATカット水晶基板の振動チップウエハ2とZカット水晶基板のベースウエハ3とを封止材で接合して重ね合わせる。尚、リッドウエハ1と振動チップウエハ2との間には接合ガラス12が設けられている。
そして、重ね合わされた3枚のウエハは、トリミングしたダイシングマークに基づいてチップ毎に切断する作業を行う。
【0068】
[リッドウエハの概略:
図7、
図2]
レーザー印字が為されたリッドウエハについて
図7,2を参照しながら説明する。
図7は、リッドウエハの概略図である。尚、
図7における各リッド10を拡大したものが
図2となっている。
図6に示したように、リッドウエハ1の下面で金属膜4が形成されない部分に接合ガラス12が形成され、高温焼成した後に、リッドウエハ1の上面に金属膜4が形成され、パターニングによりリッド部10と成膜部11が形成される。
図7はリッドウエハ1を上面から見た図であり、リッドウエハ1の上部から金属膜4が形成されずに透けて見える部分を接合ガラス12として指し示している。
金属膜4は、各リッド部10とリッドウエハ1の外周内側の成膜部11に形成される。
尚、成膜部11は、リッドウエハ1の全面に形成されていてもよい。
【0069】
そして、リッドウエハ1の上面からレーザー印字が為される。
印字は、
図2に示すようなもので、リッドウエハ1における全てのリッド部10に印字される。
更に、リッドウエハ1の外周内側の成膜部11にはダイシングマーク13も印字される。
【0070】
[第1の水晶デバイスウエハの応用例:
図8]
次に、第1の水晶デバイスウエハの応用例について
図8を参照しながら説明する。
図8は、第1の水晶デバイスウエハの応用例の断面説明図である。特に、
図8(a)では、第1のリッドウエハの応用例の断面説明図を示し、
図8(b)では、第1の水晶デバイスの応用例の断面説明図を示している。
図8の水晶デバイスウエハと、
図6の水晶デバイスウエハとの相違点は、リッドウエハ1上に成膜される金属膜を二層とした点である。
【0071】
リッドウエハ1の上面に形成される第1の金属膜4aとして、クロム(Cr)膜を形成し、その上に第2の金属膜4bとして、ニッケルとタングステンの混合膜(Ni/W膜)を形成している。
リッドウエハ1上に第1の金属膜4aのCr膜を形成することで、第2の金属膜4bのNi/W膜の付着性を強固にできる。
金属膜を二層とした点以外は、
図6の水晶デバイスウエハと同様の構成であり、同様の製造方法となっている。
金属膜を二層としたことにより、リッド部10も成膜部11も二層構造となっている。
【0072】
[3枚のウエハの概略:
図9]
水晶デバイスウエハについて3枚のウエハを重ね合わせる状況について
図9を参照しながら説明する。
図9は、3枚のウエハを重ね合わせる前の概略図である。
図9に示すように、リッドウエハ1には上述したようにガラス印刷、高温焼成、成膜、レーザー印字が為され、リッドの集合体が形成される。
【0073】
振動チップウエハ2には、ATカット水晶基板で形成され、振動チップの集合体が形成される。
ベースウエハ3には、Zカット水晶基板で形成され、ベースの集合体が形成される。
リッド、振動チップ、ベースから成る水晶デバイスの具体的な構成については後述する。
【0074】
[水晶デバイスの構成:
図10]
次に、水晶デバイスについて
図10を参照しながら説明する。
図10は、水晶デバイスの断面説明図である。
水晶デバイスは、水晶デバイスウエハを、ダイシングマークを用いてダイシングして個片にすることで形成されるものである。
水晶デバイスは、
図10に示すように、リッド部10とベース30で振動チップ20を挟み込むよう接合されている。
【0075】
リッド部10の上面には、レーザー印字された金属膜40が形成されている。
振動チップ20は、中央部分が振動片を構成し、その振動片の表裏に励振電極としてクロム(Cr)の金属膜21と金(Au)の金属膜22が重ねて形成されている。
そして、振動チップ20の周辺部分を、接合ガラス12aを介してリッド部10と、接合ガラス12bを介してベース30で接合している。
また、
図10では、金属膜40は、接合ガラス12aが形成された部分に対向する箇所には形成されないようにしているが、その箇所まで金属膜40を形成してもよい。
尚、上記水晶デバイスの構成は、発振回路を備えたICを有する水晶発振器にも適用可能である。
【0076】
[第2の水晶デバイスウエハ:
図11]
次に、本発明の実施の形態2に係る第2の水晶デバイスウエハについて
図11を参照しながら説明する。
図11は、本発明の実施の形態2に係る第2の水晶デバイスの断面説明図である。特に、
図11(a)では、第2のリッドウエハの断面説明図を示し、
図11(b)では、第2の水晶デバイスの断面説明図を示している。
図11(a)に示すように、Zカット水晶基板が用いられたリッドウエハ1の下面(振動チップウエハ2が接合する面)に、クロム(Cr)膜又はニッケルとタングステンの混合膜(Ni/W膜)の金属膜4cを形成し、レジストを用いたパターニングにより複数のリッド部10とウエハ1の外周内側の成膜部11を形成(成膜)する。
【0077】
リッドウエハ1の成膜後に、リッドウエハ1の下面に、金属膜4cが形成されない部分に、接合ガラス12を印刷(ガラス印刷)し、高温焼成をする。つまり、リッドウエハ1には、格子状に接合ガラス12が印刷される。その後、リッドウエハ1の上面からリッドウエハ1を透過させて金属膜4cにレーザー印字を行う。従って、リッドウエハ1に接着する面の金属膜4cにレーザー印字が為される。
更に、レーザー印字を行う際に、リッドウエハ1の外周内側の成膜部11にダイシングマークをトリミング(印字)する。ダイシングマークもリッドウエハ1に接着する面の金属膜4cにレーザー印字が為される。
【0078】
また、金属膜4cをリッドウエハ1側にクロム(Cr)膜の第1金属膜を形成し、それに重ねてニッケルとタングステンの混合膜(Ni/W膜)の第2の金属膜を形成してもよい。
成膜してからガラス印刷し、高温焼成するので、膜付着強度を維持するために、第1の金属膜と第2の金属膜を積層したCr−Ni/W膜が望ましい。つまり、リッドウエハ1側にCr膜を形成することで、その上に形成されるNi/W膜の付着性を強固にできる。
【0079】
そして、
図11(b)に示すように、リッドウエハ1とATカット水晶基板の振動チップウエハ2とZカット水晶基板のベースウエハ3とを封止材で接合して重ね合わせ、トリミングしたダイシングマークに基づいてチップ毎に切断する作業を行う。
【0080】
[第3の水晶デバイスウエハ:
図12]
次に、本発明の実施の形態2に係る第3の水晶デバイスウエハについて
図12を参照しながら説明する。
図12は、本発明の実施の形態2に係る第3の水晶デバイスの断面説明図である。特に、
図12(a)では、第3のリッドウエハの断面説明図を示し、
図12(b)では、第3の水晶デバイスの断面説明図を示している。
図12(a)に示すように、Zカット水晶基板が用いられたリッドウエハ1の下面(振動チップウエハ2が接合する面)に、クロム(Cr)膜又はニッケルとタングステンの混合膜(Ni/W膜)の金属膜4cを形成し、レジストを用いたパターニングにより複数のリッド部10とウエハ1の周囲の成膜部11を形成(成膜)する。
【0081】
リッドウエハ1の成膜後に、リッドウエハ1の下面に、金属膜4cが形成されない部分に、接合ガラス12を印刷(ガラス印刷)し、高温焼成をする。つまり、リッドウエハ1には、格子状に接合ガラス12が印刷される。その後、リッドウエハ1の下面(振動チップウエハ2が接合する面)から金属膜4cにレーザー印字を行う。従って、振動チップウエハ2が接合する面の金属膜4cにレーザー印字が為される。
更に、レーザー印字を行う際に、リッドウエハ1の外周内側の成膜部11にダイシングマークをトリミング(印字)する。ダイシングマークも振動チップウエハ2が接合する面の金属膜4cにレーザー印字が為される。
【0082】
また、金属膜4cをリッドウエハ1側にクロム(Cr)膜の第1金属膜を形成し、それに重ねてニッケルとタングステンの混合膜(Ni/W膜)の第2の金属膜を形成してもよい。
成膜してからガラス印刷し、高温焼成するので、膜付着強度を維持するために、第1の金属膜と第2の金属膜を積層したCr−Ni/W膜が望ましい。つまり、リッドウエハ1側にCr膜を形成することで、その上に形成されるNi/W膜の付着性を強固にできる。
【0083】
そして、
図12(b)に示すように、リッドウエハ1とATカット水晶基板の振動チップウエハ2とZカット水晶基板のベースウエハ3とを封止材で接合して重ね合わせ、トリミングしたダイシングマークに基づいてチップ毎に切断する作業を行う。
【0084】
[文字方向:
図13]
但し、第3の水晶デバイスウエハでは、レーザー印字をリッドウエハ1の上面からでなく、下面から行うようにしているので、通常に文字を印字してはリッド上面から見る文字が反転してしまうことになる。
そこで、
図13に示す文字方向で印字する必要がある。
図13は、第3の水晶デバイスウエハの印字の時の文字方向を示す図である。つまり、レーザー印字する文字を予め反転させて印字を行うことで、リッド上面から見た文字を正常の文字とすることができる。
尚、レーザー印字の文字の反転は、レーザー照射を行う装置において、コンピュータプログラムで反転印字となるよう制御しておく。
【0085】
ここで、第3の水晶デバイスウエハでは、振動チップ2の接合面からのレーザー印字がリッドウエハ1の上面からリッドウエハ1を透過して認識できる必要があるため、金属膜4aに対するレーザー印字がリッドウエハ1側の面まで認識できる程度に為される必要がある。
【0086】
[第4の水晶デバイスウエハ:
図14]
次に、本発明の実施の形態2に係る第4の水晶デバイスウエハについて
図14を参照しながら説明する。
図14は、本発明の実施の形態2に係る第4の水晶デバイスの断面説明図である。特に、
図14(a)では、第4のリッドウエハの断面説明図を示し、
図14(b)では、第4の水晶デバイスの断面説明図を示している。
図14(a)に示すように、Zカット水晶基板が用いられたリッドウエハ1の下面(振動チップウエハ2が接合する面)に、クロム(Cr)膜又はニッケルとタングステンの混合膜(Ni/W膜)の金属膜4cを形成し、複数のリッド部10とウエハ1の外周内側の成膜部11を形成(成膜)する。
【0087】
リッドウエハ1の成膜後に、リッドウエハ1の下面で、金属膜4cが形成されている部分に、接合ガラス12を印刷(ガラス印刷)し、高温焼成をする。つまり、リッドウエハ1には、格子状に接合ガラス12が印刷される。その後、リッドウエハ1の上面からリッドウエハ1を透過させて金属膜4cにレーザー印字を行う。従って、リッドウエハ1に接着する面の金属膜4cにレーザー印字が為される。
更に、レーザー印字を行う際に、リッドウエハ1の外周内側の成膜部11にダイシングマークをトリミング(印字)する。ダイシングマークもリッドウエハ1に接着する面の金属膜4cにレーザー印字が為される。
【0088】
また、金属膜4cをリッドウエハ1側にクロム(Cr)膜の第1金属膜を形成し、それに重ねてニッケルとタングステンの混合膜(Ni/W膜)の第2の金属膜を形成してもよい。
成膜してからガラス印刷し、高温焼成するので、膜付着強度を維持するために、第1の金属膜と第2の金属膜を積層したCr−Ni/W膜が望ましい。つまり、リッドウエハ1側にCr膜を形成することで、その上に形成されるNi/W膜の付着性を強固にできる。
【0089】
そして、
図14(b)に示すように、リッドウエハ1とATカット水晶基板の振動チップウエハ2とZカット水晶基板のベースウエハ3とを封止材で接合して重ね合わせ、トリミングしたダイシングマークに基づいてチップ毎に切断する作業を行う。
【0090】
尚、
図14(a)で、リッドウエハ1の下面全体を金属膜4cで覆い、当該金属膜4cの下側(振動チップウエハ側)に部分的に接合ガラス12を形成するようにしているのは、接合ガラスは水晶(リッドウエハ1)と直接に接合するよりも、金属膜4cと接合する方が、接合強度が高くなるためである。
【0091】
[実施の形態2の効果]
第1の水晶デバイスの製造方法によれば、リッドウエハ1にガラス印刷して高温焼成し、リッドウエハ1上面にクロム膜又はニッケルとタングステンの混合膜の金属膜4、若しくはクロム膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた2層の金属膜4a,4bを形成し、リッドウエハ1上面から金属膜4,4a,4bにレーザー印字を行い、更にベースウエハ3、振動チップウエハ2、リッドウエハ1の順に接合して水晶デバイスウエハを製造するものであり、レーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができる効果がある。
【0092】
第2の水晶デバイスの製造方法によれば、リッドウエハ1下面にクロム膜又はニッケルとタングステンの混合膜の金属膜4c、若しくはクロム膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた2層の金属膜4cを形成し、リッドウエハ1にガラス印刷して高温焼成し、リッドウエハ1上面からリッドウエハ1を透過させて金属膜4cにレーザー印字を行い、更にベースウエハ3、振動チップウエハ2、リッドウエハ1の順に接合して水晶デバイスウエハを製造するものであり、レーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができる効果がある。
【0093】
第3の水晶デバイスの製造方法によれば、リッドウエハ1下面にクロム膜又はニッケルとタングステンの混合膜の金属膜4c、若しくはクロム膜にニッケルとタングステンの混合膜を重ねた2層の金属膜4cを形成し、リッドウエハ1にガラス印刷して焼成し、リッドウエハ1下面から金属膜4cにレーザー印字を行い、更にベースウエハ3、振動チップウエハ2、リッドウエハ1の順に接合して水晶デバイスウエハを製造するものであり、レーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率を向上させることができる効果がある。
【0094】
第1〜3の水晶デバイスの製造方法によれば、レーザー印字を行う際に、リッドウエハ1の外周内側の部分にダイシングマーク13も印字するようにしているので、ダイシング作業を容易に行うことができる効果がある。
【0095】
尚、本実施の形態2は、リッドウエハにレーザー印字を行っても振動チップに影響を及ぼすことがなく、安価で作業効率がよい水晶デバイスの製造方法に好適である。