(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周辺封止材は、前記封止用ガラス板と前記第1電極層との間および前記封止用ガラス板と前記第2電極層との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
前記充填材が液状の樹脂、ガラス、オイルまたはゲル材である場合において、前記周辺封止材の内側に、前記充填材の漏出を防止するダム材が配置されていることを特徴とする請求項15に記載の有機EL装置。
前記基板と前記封止用ガラス板との間に形成される空間に、所定の充填材を充填する工程をさらに有することを特徴とする請求項19または20に記載の有機EL装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【
図2】
図1に示された有機EL装置のP部の拡大図。
【
図3】第2の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【
図4】(a)
図3に示された有機EL装置のQ部の拡大図、(b)比較例に係るスペーサを示す模式的断面構造図。
【
図5】第3の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【
図6】第4の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図。
【
図7】
図6に示された有機EL装置のR部の拡大図。
【
図8】第5の実施の形態に係る有機EL装置の模式的断面構造図であり、(a)周辺封止材とダム材が接触して配置される場合の構造図、(b)周辺封止材とダム材が隙間を介して配置される場合の構造図。
【
図9】第6の実施の形態に係る有機EL装置を示す模式的断面構造図。
【
図10】第2、第4、第6の実施の形態に係る有機EL装置において、スペーサの模式的平面パターン構成図であって、(a)正方形パターン例、(b)円形パターン例、(c)三角形を基調とする円形パターン例、(d)六角形を基調とする正方形パターン例、(e)六角形パターン例。
【
図11】微細なスペーサを設けた有機EL装置の外観を示す撮影図。
【
図12】六角形パターンのスペーサの形成例を示す撮影図。
【
図13】耐湿寿命の評価結果についてダークスポット直径(μm)と時間(h)との関係を示すグラフ。
【
図14】比較例に係る有機EL装置のダークスポットの進行の様子を示す撮影図であって、耐湿寿命の85℃/85%RH評価実験において、(a)0h、(b)200h経過後、(c)400h経過後の撮影図。
【
図15】本実施の形態に係る有機EL装置のダークスポットの進行の様子を示す撮影図であって、耐湿寿命の85℃/85%RH評価実験において、(a)0h、(b)200h経過後、(c)400h経過後の撮影図。
【
図16】自己修復の例について、リーク電流の電流密度(A/cm
2)と累積発生確率との関係を示すグラフ。
【
図17】第3の実施の形態に係る有機EL装置のセルCijをマトリクス状に複数形成した状態を示す模式的鳥瞰図。
【
図18】第3の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、封止用ガラス板上の縁部側にガラスフリットを塗布して焼成した状態を示す断面図。
【
図19】第3の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、(a)有機EL素子を形成した基板を示す断面図、(b)ガラスフリットの外側に所定の隙間を挟んで仮封止用の紫外線硬化樹脂を塗布し、ガラスフリットで囲繞された中央部に充填材を滴下した状態を示す断面図。
【
図20】第3の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、有機EL素子を形成した基板と封止用ガラス板とを真空下で対向させ密着させた状態を示す断面図。
【
図21】第3の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、有機EL素子を形成した基板と封止用ガラス板とを対向させた状態で真空下で密着させ、密着させた状態で大気圧に開放し、大気圧の押し圧が加わった状態で紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して仮封止した状態を示す断面図。
【
図22】第3の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、ガラスフリットにレーザ光を照射して、封止用ガラス板と基板とを融着した状態を示す断面図。
【
図23】第3の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、
図22に示す状態からガラスフリットの外側に位置する仮封止部を切り落として有機EL装置を完成した状態を示す断面図。
【
図24】第4の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、スペーサを備える有機EL素子を形成した基板を示す断面図。
【
図25】第4の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、(a)スペーサを備える有機EL素子を形成した基板を示す断面図、(b)ガラスフリットの外側に所定の隙間を挟んで仮封止用の紫外線硬化樹脂を塗布し、ガラスフリットで囲繞された中央部に充填材を滴下した状態を示す断面図。
【
図26】第4の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、スペーサを備える有機EL素子を形成した基板と封止用ガラス板とを対向させた状態を示す断面図。
【
図27】第4の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、スペーサを備える有機EL素子を形成した基板と封止用ガラス板とを対向させた状態で真空下で密着させ、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して仮封止した状態を示す断面図。
【
図28】第4の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、ガラスフリットにレーザ光を照射して、封止用ガラス板と基板とを融着した状態を示す断面図。
【
図29】第4の実施の形態に係る有機EL装置の製造工程の一工程であって、
図28に示す状態からガラスフリットの外側に位置する仮封止部を切り落として有機EL装置を完成した状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0016】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
以下の実施の形態に係る有機EL装置において、「透明」とは、透過率が約50%以上であるものと定義する。また「透明」とは、実施の形態に係る有機EL装置において、可視光線に対して、無色透明という意味でも使用する。可視光線は波長約360nm〜830nm程度、エネルギー約3.45eV〜1.49eV程度に相当し、この領域で透過率が50%以上あれば透明である。
【0018】
[第1の実施の形態]
(有機EL装置)
第1の実施の形態に係る有機EL装置1の模式的断面構造は、
図1に示すように表される。
【0019】
第1の実施の形態に係る有機EL装置1は、
図1に示すように、基板10と、基板10上に配置された第1電極層12と、第1電極層12上に配置された有機EL層40と、有機EL層40上に配置された第2電極層20と、第2電極層20上に配置される封止用ガラス板50と、基板10と封止用ガラス板50との間を所定のギャップを挟んで封止し、かつ防湿性の無機材料で構成される周辺封止材100とを備える。ここで、所定のギャップとは、基板10と封止用ガラス板50との間の距離をいう。
【0020】
ギャップの距離は、1μm〜500μm程度、望ましくは10μm〜100μmとすると良い。
【0021】
周辺封止材100は、封止用ガラス板50と第1電極層12との間および封止用ガラス板50と第2電極層20との間に配置される。
【0022】
また、周辺封止材100は、ガラスフリットで構成される。ガラスフリットは、粉末状ガラスであるが、レーザ光を照射することによって、溶融体を形成することができる。
【0023】
より具体的には、
図1に示すように、第1電極層12は、基板10上の左側端部から中央部を過ぎた位置まで形成されている。また、有機EL層40は、第1電極層12上の左側端部の近傍から右側の端部を覆うように形成されている。第2電極層20は、有機EL層40上の左側端部の近傍から基板10上の右側端部まで形成されている。
【0024】
第1電極層12上の左側端部の近傍および第2電極層20上の右側端部の近傍に、防湿性の無機材料で構成される周辺封止材100が配置される。
【0025】
図2に示すように、有機EL層40は、基板10側から、例えば、正孔輸送層14、発光層16および電子輸送層18が順次積層されている。また、積層順序を逆にして、電子輸送層18、発光層16および正孔輸送層14の順序で積層されていても良い。
【0026】
正孔輸送層14は、第1電極層12から注入された正孔を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル−1−)N−フェニル−アミノ]−ビフェニルなどで形成することができる。
【0027】
発光層16は、注入された正孔および電子が再結合して発光するための層であり、例えば、ドーパントとして、ルブレンや、遷移金属原子を含む錯体がドーピングされたアルミニウム(8−ヒドロキシ)キノリネートで形成することができる。
【0028】
電子輸送層は、第2電極層20から注入された電子を円滑に発光層に輸送するための層であり、例えば、アルミニウム(8−ヒドロキシ)キノリネートで形成することができる。
【0029】
なお、有機EL層40は、上記、正孔輸送層、電子輸送層以外の層、例えば、正孔注入層、電子注入層等を用いて構成しても良い。
【0030】
図1に示すように、第1の実施の形態に係る有機EL装置1は、発光層16で発光した光(hν)が基板10側から出射されるボトムエミッション構成となっている。
【0031】
第1の実施の形態に係る有機EL装置1によれば、防湿性の無機材料で構成される周辺封止材100を備えているので、基板10と封止用ガラス板50との間の空間80への水分や酸素の浸入をほぼ完全に遮断することができ、有機EL素子の信頼性、特に耐湿寿命を向上させることができる。
【0032】
また、周辺封止材100を構成するガラスフリットは比較的安価であり、第1の実施の形態によれば、低コストで信頼性を向上させることができる有機EL装置を提供することができる。
【0033】
[第2の実施の形態]
(有機EL装置)
第2の実施の形態に係る有機EL装置1の模式的断面構造は、
図3に示すように表される。
【0034】
第2の実施の形態に係る有機EL装置1においては、
図3に示すように、
図1に示される第1の実施の形態において、基板10と封止用ガラス板50との間に、所定のギャップを保つスペーサ(柱)60が設けられた構成を備える。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0035】
ギャップの距離は、1μm〜500μm程度、望ましくは10μm〜100μmとすると良い。
【0036】
図3に示すように、スペーサ60は、基板10と第1電極層12との間に設けられている。
【0037】
スペーサ60の厚さは、所定のギャップの距離の±30%以内とすることが望ましい。また、スペーサ60は、フォトレジストなどのレジストまたはビーズ材料などで構成することができる。
【0038】
図3のスペーサ部を拡大すると
図4に示すように構成されている。
【0039】
即ち、
図3のQ部を拡大した
図4(a)に示すように、スペーサ60は、第1電極層12上に配置され、有機EL層40は、スペーサ60を覆うように第1電極層12上に配置され、第2電極層20は、有機EL層40上に配置される構成となっている。
【0040】
図4(a)に示すように、スペーサ60は、基板10から封止用ガラス板50方向に向かうほど断面積が小さくなる順テーパ形状を有する。より具体的には、スペーサ60の側壁部と第1電極層12の水平面との角度θが、30〜90度とされる。これにより、スペーサ60の全体を覆うように有機EL層40および第2電極層20を形成することができる。
【0041】
図4(b)には、比較例としてのスペーサ60aを示す。
図4(b)に示すように、比較例としてのスペーサ60aは逆テーパを有している。このような逆テーパ形状のスペーサ60aでは、有機EL層40および第2電極層20をスペーサ60aを覆うように形成することが難しい。また、
図4(b)に示すように、スペーサ60aの近傍で有機EL層40および第2電極層20が連続形成されず、途切れてしまう。
【0042】
また、
図4(b)の拡大部A1、A2に示すように、第1電極層12と第2電極層20の短絡破壊が生じやすい。但し、短絡が軽度であれば、逆バイアス印加により電流集中が起こり、短絡部分を分離して短絡状態を回避することができる。
【0043】
図3に示すように、第2の実施の形態に係る有機EL装置1は、発光層16で発光した光(hν)が基板10側から出射されるボトムエミッション構成となっている。
【0044】
第2の実施の形態に係る有機EL装置1によれば、防湿性の無機材料で構成される周辺封止材100を備えているので、基板10と封止用ガラス板50との間の空間80への水分や酸素の浸入をほぼ完全に遮断することができ、有機EL素子の信頼性、特に耐湿寿命を向上させることができる。
【0045】
さらに、所定のギャップを保つスペーサ60が設けられているので、大気圧や外力によって封止用ガラス板50が歪む事態を回避することができる。これにより、有機EL層40と封止用ガラス板50とが接触して、有機EL素子が破壊されてしまう事態を未然に防止することができる。
【0046】
また、封止用ガラス板50として比較的安価な平板ガラスを用いることができ、第2の実施の形態によれば、低コストで信頼性を向上させることができる有機EL装置を提供することができる。
【0047】
[第3の実施の形態]
(有機EL装置)
第3の実施の形態に係る有機EL装置1の模式的断面構造は、
図5に示すように表される。
【0048】
第3の実施の形態に係る有機EL装置1においては、
図5に示すように、
図1に示される第1の実施の形態において、基板10と封止用ガラス板50との間に形成される空間80に、所定の充填材30が充填された構成を備える。その他の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0049】
充填材30は、固形状または液状の樹脂、ガラス、フッ素系などの不活性オイルまたはゲル材あるいは窒素ガス、Heガス等の不活性ガスで構成することができる。固形状の樹脂としては、紫外線硬化樹脂等の光硬化樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂を用いることができる。
【0050】
液状の樹脂としては、液状プラスチック、液状エポキシ樹脂等を用いることができる。また、オイルとしては、フッ素系オイルやシリコン系オイルを用いることができる。フッ素系オイルやシリコン系オイルは、有機EL層40と反応せず、耐熱性、不燃性、耐薬品性に優れているからである。ゲル材としては、シリコン系やフッ素系のゲル材を用いることができる。不活性ガスとしては、窒素ガス等を用いることができる。これらの充填材は、有機EL層40と反応せず、耐熱性、不燃性、耐薬品性に優れているからである。
【0051】
また、充填材30に、所定の吸湿材料をフィラーとして加えるようにしても良い。
【0052】
吸湿材料としては、例えば、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0053】
吸湿材料を用いる場合には、有機EL素子の内部の残留水分等を吸着させて、有機EL素子へのダメージを軽減することができ、寿命を向上させることができる。
【0054】
図5に示すように、第3の実施の形態に係る有機EL装置1は、発光層16で発光した光(hν)が基板10側から出射されるボトムエミッション構成となっている。
【0055】
第3の実施の形態に係る有機EL装置1によれば、防湿性の無機材料で構成される周辺封止材100を備えているので、基板10と封止用ガラス板50との間の空間80への水分や酸素の浸入をほぼ完全に遮断することができ、有機EL素子の信頼性、特に耐湿寿命を向上させることができる。
【0056】
さらに、基板10と封止用ガラス板50との間に充填材30が充填されているので、大気圧や外力によって封止用ガラス板50が歪む事態を回避することができる。これにより、有機EL層40と封止用ガラス板50とが接触して、有機EL素子が破壊されてしまう事態を未然に防止することができる。
【0057】
また、封止用ガラス板50として比較的安価な平板ガラスを用いることができ、第3の実施の形態によれば、低コストで信頼性を向上させることができる有機EL装置を提供することができる。
【0058】
また、充填材30が液状の樹脂、フッ素系などの不活性オイル、ゲル材あるいは窒素ガス等の不活性ガスである場合には、有機EL素子におけるショート箇所の自己修復を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0059】
また、液状の充填材30の導入により、ガス封止よりも有機EL素子から発生する熱を外部に逃がすことが容易になる。これにより、有機EL素子の温度上昇を抑制することができ、有機EL装置の寿命を向上させることができる。
【0060】
[第4の実施の形態]
(有機EL装置)
第4の実施の形態に係る有機EL装置1の模式的断面構造は、
図6に示すように表される。
【0061】
第4の実施の形態に係る有機EL装置1においては、
図6に示すように、
図5に示される第3の実施の形態において、基板10と封止用ガラス板50との間に、所定のギャップを保つスペーサ60が設けられた構成を備える。その他の構成は、第3の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0062】
ギャップの距離は、1μm〜500μm程度、望ましくは10μm〜100μmとすると良い。
図6に示すように、スペーサ60は、基板10と第1電極層12との間に設けられている。
【0063】
スペーサ60の厚さは、所定のギャップの距離の±30%以内とすることが望ましい。
【0064】
また、スペーサ60は、フォトレジストなどのレジストまたはビーズ材料などで構成することができる。
【0065】
図6のスペーサ部を拡大すると
図7に示すように構成されている。
【0066】
即ち、
図6のR部を拡大した
図7に示すように、スペーサ60は、第1電極層12上に配置され、有機EL層40は、スペーサ60を覆うように第1電極層12上に配置され、第2電極層20は、有機EL層40上に配置される構成となっている。
【0067】
図7に示すように、スペーサ60は、基板10から封止用ガラス板50方向に向かうほど断面積が小さくなる順テーパ形状を有する。より具体的には、スペーサ60の側壁部と第1電極層12の水平面との角度θが、30〜90度とされる。これにより、スペーサ60の全体を覆うように有機EL層40および第2電極層20を形成することができる。
【0068】
図6に示すように、第4の実施の形態に係る有機EL装置1は、発光層16で発光した光(hν)が基板10側から出射されるボトムエミッション構成となっている。
【0069】
第4の実施の形態に係る有機EL装置1によれば、防湿性の無機材料で構成される周辺封止材100を備えているので、基板10と封止用ガラス板50との間の空間80への水分や酸素の浸入をほぼ完全に遮断することができ、有機EL素子の信頼性、特に耐湿寿命を向上させることができる。
【0070】
さらに、所定のギャップを保つスペーサ60が設けられているので、大気圧や外力によって封止用ガラス板50が歪む事態を回避することができる。これにより、有機EL層40と封止用ガラス板50とが接触して、有機EL素子が破壊されてしまう事態を未然に防止することができる。
【0071】
また、封止用ガラス板50として比較的安価な平板ガラスを用いることができ、第4の実施の形態によれば、低コストで信頼性を向上させることができる有機EL装置を提供することができる。
【0072】
また、充填材30が液状の樹脂、フッ素系などの不活性オイル、ゲル材あるいは窒素ガス、Heガス等の不活性ガスである場合には、有機EL素子におけるショート箇所の自己修復を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0073】
また、充填材30の導入により、有機EL素子から発生する熱を外部に逃がすことが容易になる。これにより、有機EL素子の温度上昇を抑制することができ、有機EL装置1の寿命を向上させることができる。
【0074】
[第5の実施の形態]
(有機EL装置)
第5の実施の形態に係る有機EL装置1の模式的断面構造は、
図8に示すように表される。
【0075】
第5の実施の形態に係る有機EL装置1においては、
図8(a)、(b)に示すように、
図5に示される第3の実施の形態において、充填材30が液状の樹脂、ガラス、フッ素系などの不活性オイルまたはゲル材である場合において、周辺封止材100の内側に、充填材30の漏出を防止するダム材70が配置された構成を備える。その他の構成は、第3の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0076】
図8(a)には充填材30とダム材70を接触させて設けた構成を示す。
図8(b)には充填材30とダム材70を空間80を挟んで設けた構成を示す。
【0077】
ダム材70としては、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の接着性を有する材料を用いることができる。
【0078】
また、ダム材70に、所定の吸湿材料をフィラーとして加えるようにしても良い。
【0079】
吸湿材料としては、例えば、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0080】
図8に示すように、第5の実施の形態に係る有機EL装置1は、発光層16で発光した光(hν)が基板10側から出射されるボトムエミッション構成となっている。
【0081】
第5の実施の形態に係る有機EL装置1によれば、防湿性の無機材料で構成される周辺封止材100を備えているので、基板10と封止用ガラス板50との間の空間80あるいは充填材30への水分や酸素の浸入をほぼ完全に遮断することができ、有機EL素子の信頼性、特に耐湿寿命を向上させることができる。
【0082】
また、充填材30の漏出を防止するダム材70が配置されているので、周辺封止材100の外側に充填材30が漏出する事態を防止することができる。また、ダム材70を設けることにより、充填材30に液体を用いた場合の製造工程を簡略化することができる。
【0083】
また、ダム材が、吸湿機能を備える場合には、有機EL素子の内部の残留水分等を吸着させて、有機EL素子へのダメージを軽減することができ、寿命を向上させることができる。
【0084】
[第6の実施の形態]
(有機EL装置)
第6の実施の形態に係る有機EL装置1の模式的断面構造は、
図9に示すように表される。
【0085】
第6の実施の形態に係る有機EL装置1においては、
図9に示すように、
図8(a)に示される第5の実施の形態において、基板10と封止用ガラス板50との間に、所定のギャップを保つスペーサ60が設けられた構成を備える。その他の構成は、第5の実施の形態と同様であるため、重複説明は省略する。
【0086】
ギャップの距離は、1μm〜500μm程度、望ましくは10μm〜100μmとすると良い。
図9に示すように、スペーサ60は、基板10と第1電極層12との間に設けられている。
【0087】
スペーサ60の厚さは、所定のギャップの距離の±30%以内とすることが望ましい。 また、スペーサ60は、フォトレジストなどのレジストまたはビーズ材料などで構成することができる。
【0088】
また、
図9のスペーサ部を
図4(a)や
図7に示すような構成としても良い。
図9に示すように、第6の実施の形態に係る有機EL装置1は、発光層16で発光した光(hν)が基板10側から出射されるボトムエミッション構成となっている。
【0089】
第6の実施の形態に係る有機EL装置1によれば、防湿性の無機材料で構成される周辺封止材100を備えているので、基板10と封止用ガラス板50との間の空間80への水分や酸素の浸入をほぼ完全に遮断することができ、有機EL素子の信頼性、特に耐湿寿命を向上させることができる。
【0090】
また、充填材30の漏出を防止するダム材70が配置されているので、周辺封止材100の外側に充填材30が漏出する事態を防止することができる。また、ダム材70を設けることにより、充填材30に液体を用いた場合の製造工程を簡略化することができる。
【0091】
また、ダム材が、吸湿機能を備える場合には、有機EL素子の内部の残留水分等を吸着させて、有機EL素子へのダメージを軽減することができ、寿命を向上させることができる。
【0092】
さらに、所定のギャップを保つスペーサ60が設けられているので、大気圧や外力によって封止用ガラス板50が歪む事態を回避することができる。これにより、有機EL層40と封止用ガラス板50とが接触して、有機EL素子が破壊されてしまう事態を未然に防止することができる。
【0093】
また、封止用ガラス板50として比較的安価な平板ガラスを用いることができ、第6の実施の形態によれば、低コストで信頼性を向上させることができる有機EL装置を提供することができる。
【0094】
また、充填材30が液状の樹脂、フッ素系などの不活性オイル、ゲル材あるいは窒素ガス、Heガス等の不活性ガスである場合には、有機EL素子におけるショート箇所の自己修復を図ることができ、歩留まりを向上させることができる。
【0095】
また、液状の充填材30の導入により、ガス封止よりも有機EL素子から発生する熱を外部に逃がすことが容易になる。これにより、有機EL素子の温度上昇を抑制することができ、有機EL装置1の寿命を向上させることができる。
【0096】
(スペーサの形成パターン)
図10〜
図12を参照して、第2、第4、第6の実施の形態に係る有機EL装置におけるスペーサ60の形成パターンについて述べる。
【0097】
スペーサ60は、所定のパターン構造でパターニングされて配置することができる。パターン構造は、矩形パターン、円形パターン、六角形パターンのいずれかとすることができる。
【0098】
図10は、第2、第4、第6の実施の形態に係る有機EL装置において、スペーサ60の模式的平面パターン構成図である。
【0099】
図10において、(a)は正方形パターン例、(b)は円形パターン例、(c)は三角形を基調とする円形パターン例、(d)は六角形を基調とする正方形パターン例、(e)は六角形パターン例である。なお、「a」は各スペーサ間の距離、「b」はスペーサの幅を示す。
【0100】
図11は、微細なスペーサを設けた第6の実施の形態に係る有機EL装置1の作成例の外観を示す撮影図である。スペーサは、フォトリソグラフィにより、例えば直径10μm以下の幅とすることにより、肉眼では見えない状態とすることができる。
【0101】
図12は、六角形パターンのスペーサ60の形成例を示す撮影図である。この例では、各スペーサ60を幅7.7μmの六角形パターンで形成している。これにより、スペーサ60を肉眼では見えない状態とすることができると共に、有機EL装置1の外力等に対する強度を向上させることができる。
【0102】
(耐湿寿命の評価結果)
次に、
図13〜15を参照して、第1〜第6の実施の形態に係る有機EL装置1の耐湿寿命の評価結果について述べる。
【0103】
図13は、耐湿寿命の評価結果についてダークスポット直径(μm)と時間(h)との関係を示すグラフである。
【0104】
図13において、グラフ曲線Aは比較例としての樹脂封止構造において液体充填材を用いた有機EL装置、グラフ曲線Bはガラスフリットによる封止構造において液体充填材を用いた有機EL装置1、グラフ曲線Cはガラスフリットによる封止構造において窒素ガスを充填を用いた有機EL装置1についての評価結果を示す。
【0105】
なお、評価実験は、温度85℃、湿度85%RH加速試験である。
【0106】
図13に示すように、グラフ曲線Aに係る比較例としての有機EL装置では、約200〜300hでダークスポットの直径が急激に大きくなり、水分の浸入が進んでいると推測される。
【0107】
一方、グラフ曲線B、Cに係る本実施形態に係る有機EL装置1では、約700h経過時においてもダークスポットの進行は見られず、耐湿寿命が向上していることが分かる。
【0108】
図14は、比較例に係る有機EL装置のダークスポットの進行の様子を示す撮影図である。比較例に係る有機EL装置は、基板と封止用ガラス板との間を樹脂で封止した構成である。耐湿寿命の評価実験において、
図14(a)に示す0hでは幅1mmの所定領域においてダークスポットは存在しない。
図14(b)に示す200h経過後では数個のダークスポットが発生している。
図14(c)に示す400h経過後ではダークスポットが大きく成長していることが分かる。
【0109】
図15は、本実施の形態に係る有機EL装置1のダークスポットの進行の様子を示す撮影図である。耐湿寿命の評価実験において、
図15(a)に示す0hでは幅1mmの所定領域においてダークスポットは存在しない。
図15(b)に示す200h経過後では数個のダークスポットが発生している。しかし、
図15(c)に示す400h経過後においてもダークスポットは成長していないことがわかる。
【0110】
このように、本実施形態に係る有機EL装置1では、基板10と封止用ガラス板50との間をガラスフリット等の防湿性の無機材料で封止することにより、耐湿寿命が向上されている。
【0111】
(自己修復の例)
充填材30が液状の樹脂、フッ素系などの不活性オイル、ゲル材あるいは窒素ガス、Heガス等の不活性ガスである場合には、逆バイアスを印加することで有機EL素子におけるショート箇所の自己修復を図ることができる。
【0112】
図16は、自己修復の例について、リーク電流の電流密度(A/cm
2)と累積発生確率との関係を示すグラフである。
【0113】
図16に示すように、初期状態に比して、自己修復後にはリーク電流が減少していることが分かる。この結果、有機EL素子のショート破壊を未然に防ぐことができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0114】
(第3の実施の形態に係る有機EL装置の製造方法)
図17〜
図23を参照して、
図5に示す第3の実施の形態に係る有機EL装置1の製造方法について説明する。
【0115】
図17は、第3の実施の形態に係る有機EL装置1をマトリクス状に複数形成した状態を示す模式的鳥瞰図である。なお、SLは各有機EL装置1を分離するスクライブラインである。I−I線は、有機EL装置1の断面部を示す。
【0117】
(a)まず、
図18に示すように、封止用ガラス板50上の縁部側に周辺封止材100としてガラスフリットを塗布して焼成する。
【0118】
(b)次に、
図19(b)に示すように、周辺封止材100の外側に所定の隙間を挟んで仮封止用の紫外線硬化樹脂101を塗布し、周辺封止材100で囲繞された中央部に充填材30を滴下する。
【0119】
(c)また、
図19(a)に示すように、第1電極層12、有機EL層40、第2電極層20から成る有機EL素子を形成した基板10を素子側を下向きにして、封止用ガラス板50と対向させる。
【0120】
(d)次に、
図20に示すように、有機EL素子を形成した基板10と封止用ガラス板50とを対向させた状態で真空下で密着させる。このとき、基板10と封止用ガラス板50と紫外線硬化樹脂101で囲まれた部分は真空状態に保たれる。この際の基板10と封止用ガラス板50との距離はW1である。
【0121】
(e)次に、
図21に示すように、有機EL素子を形成した基板10と封止用ガラス板50とを対向させた状態で大気圧状態に戻すことにより、基板10と封止用ガラス板50とが大気圧Paによって押圧される。これにより、基板10と封止用ガラス板50との距離はW1より小さいW2の状態となり、充填材30が空間全体に広がる。具体的には、
図17に示す有機EL装置1のセルCijをマトリクス状に複数形成したものを真空チャンバに収容して真空状態として圧着させる。その後、大気圧状態に戻すことにより、基板10と封止用ガラス板50とが大気圧Paによって押圧される。これにより、基板10と封止用ガラス板50との距離はW1より小さいW2の状態となり、充填材30が空間全体に広がる。
【0122】
(f)次に、紫外線硬化樹脂101に紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂101を硬化させて仮封止する。
【0123】
(g)次に、
図22に示すように、周辺封止材100にレーザ光PLを照射して、封止用ガラス板50と基板10とを融着させて密封する。ここで、
図22は、
図17のI−I線に沿うセルCijの断面図に対応している。ただし、
図22において、基板10と封止用ガラス板50を上下反転させることで、
図17のI−I線に沿う断面図に対応するセルCijを得ることができる。
【0124】
(h)次に、
図22において、スクライブラインSL1、SL2に沿ってスクライブして、仮封止部を切り落とし、切断部に残留した充填材を洗浄・除去する。
【0125】
以上の工程により、
図23に示す有機EL装置を量産することができる。
【0126】
(第4の実施の形態に係る有機EL装置の製造方法)
図24〜
図29を参照して、
図6に示す第4の実施の形態に係る有機EL装置1の製造方法について説明する。
【0127】
第4の実施の形態に係る有機EL装置1は、
図17と同様にマトリクス状に複数形成される。
【0129】
(a)まず、
図24に示すように、第1電極層12を有する基板10にフォトリソグラフィによってスペーサ60を形成する。その後に、有機EL層40と第2電極層20を積層していく。
【0130】
(b)次に、
図25(b)に示すように、封止用ガラス板50上の縁部側に周辺封止材100を塗布して焼成する。
【0131】
(c)次に、
図25(b)に示すように、周辺封止材100の外側に所定の隙間を挟んで仮封止用の紫外線硬化樹脂101を塗布し、周辺封止材100で囲繞された中央部に充填材30を滴下する。
【0132】
(d)次に、
図25(a)に示すように、スペーサ60および有機EL素子を形成した基板10を素子側を下向きにして、封止用ガラス板50と対向させる。
【0133】
(e)次に、
図26に示すように、有機EL素子を形成した基板10と封止用ガラス板50とを対向させた状態で真空下で密着させる。このとき、基板10と封止用ガラス板50と紫外線硬化樹脂101で囲まれた部分は真空状態に保たれる。この際の基板10と封止用ガラス板50との距離はW1である。
【0134】
(f)次に、
図27に示すように、有機EL素子を形成した基板10と封止用ガラス板50とを対向させた状態で大気圧状態に戻すことにより、基板10と封止用ガラス板50とが大気圧Paによって押圧される。これにより、基板10と封止用ガラス板50との距離はW1より小さいW2の状態となり、充填材30が空間全体に広がる。具体的には、
図17に示す有機EL装置1のセルCijをマトリクス状に複数形成したものを真空チャンバに収容して真空状態として圧着させる。その後、大気圧状態に戻すことにより、基板10と封止用ガラス板50とが大気圧Paによって押圧される。これにより、基板10と封止用ガラス板50との距離はW1より小さいW2の状態となり、充填材30が空間全体に広がる。また、スペーサ60の先端が、封止用ガラス板50に当接した状態となる。
【0135】
(f)次に、紫外線硬化樹脂101に紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂101を硬化させて仮封止する。
【0136】
(g)次に、
図28に示すように、周辺封止材100にレーザ光PLを照射して、封止用ガラス板50と基板10とを融着させて密封する。ここで、
図28は、
図17のI−I線に沿うセルCijの断面図に対応している。ただし、
図28において、基板10と封止用ガラス板50を上下反転させることで、
図17のI−I線に沿う断面図に対応するセルCijを得ることができる。
【0137】
(h)次に、
図28において、スクライブラインSL1、SL2に沿ってスクライブして、仮封止部を切り落とし、切断部に残留した充填材を洗浄・除去する。
【0138】
以上の工程により、
図29に示す有機EL装置を量産することができる。
【0139】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1〜第6の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0140】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。