特許第5989355号(P5989355)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989355
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】覚醒効果を生じさせる筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 23/008 20060101AFI20160825BHJP
   B43K 3/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B43K23/00 B
   B43K3/00 F
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-31394(P2012-31394)
(22)【出願日】2012年2月16日
(65)【公開番号】特開2013-166318(P2013-166318A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】510337780
【氏名又は名称】有限会社 新井組
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 智真
【審査官】 砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−6867(JP,A)
【文献】 特開2001−321450(JP,A)
【文献】 実開平6−57684(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3026682(JP,U)
【文献】 特開2011−51268(JP,A)
【文献】 特開2007−320245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
文房具として使用される筆記具であって、
刺激突起部が筆記する際に中指の内側に当たる外周部分に形成されるとともに、
楕円穴を内周に備えたゴム製または合成樹脂製のグリップ部材を有し、
当該グリップ部材の楕円穴は、筆記具本体に半径方向へ変位可能に嵌合され、
筆記時に前記楕円穴を備えたグリップ部材を親指で押すことにより、当該グリップ部材が半径方向へ偏心移動して、前記刺激突起部が中指の内側を刺激することを特徴とする文房具として使用される筆記具。
【請求項2】
文房具として使用される筆記具であって、
筆記する際に中指の内側に当たる部分に刺激突起部を備えた円筒形状の刺激ドラムを筆記具本体に半径方向に変移可能に嵌合し、
前記円筒形状の刺激ドラムの刺激突起部側に、当該突起部用の開口部を有するか、または、刺激ドラムを被う軟質ゴム製または軟質合成樹脂製のグリップ部材を有し、
筆記時に前記軟質材のグリップ部材を親指で押すことによって、刺激ドラムを偏芯移動させ、反対側にある中指の内側に当たる部分にある刺激突起部が、軟質材のグリップ部材を介して、または、開口部を介して、中指の内側を刺激することを特徴とする文房具として使用される筆記具。
【請求項3】
文房具として使用される筆記具であって、
刺激突起部を筆記する際の中指の内側に当たる部分の円筒部外周に備えるとともに、円筒部内周にはテーパー部と楕円穴、または、一部に開放部を有する円筒形状のドラムと、
前記刺激突起部を突出させるための軸方向に移動自在で、かつ前記円筒形状のドラムのテーパー部に対応するテーパー部を有する振動衝撃体を有し、
筆記の合間に筆記具を長さ方向に往復運動させることにより、前記振動衝撃体が前記テーパー部を介して前記円筒形状のドラムを軸方向と直角方向に移動させることにより、前記複数の刺激突起部が中指の内側を刺激することを特徴とする文房具として使用される筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文房具として使用されるボールペン等の筆記具に関し、特に学習時において覚醒効果を発揮し、かつ、記憶力を向上させることができるボールペン等の筆記具に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
学習時における人間の集中力は通常、時間の経過とともに低下する。その結果、多くの場合は眠気が襲ってくることとなる。眠気を除去するため、コーヒー等の摂取、軽い運動等により対応するのが一般的であった。
【0003】
ところで長時間の単純作業における覚醒力の低下を防止する方法として、物理的な刺激をコントロールすることによって、長時間の単調作業においても不快感無く覚醒させ、その状態を維持できる手法が研究されている。
【0004】
物理刺激のコントロールによる覚醒力の低下を防止する方法として、眠くなりやすい刺激を除去する方法、または、眠くなりにくくする刺激を積極的に与える方法がある。この中で後者の、眠くなり難くする刺激を積極的に付与する方法として、人体の一部に刺激を与えることによる局所刺激が、長時間単調作業中の人間の覚醒に与えることが知られている。
【0005】
さらに脳回路を形成し、記憶を定着させるためには、学習時に五感(ごかん)を働かせると良いことは従来からよく知られている。「五感」とは、動物やヒトが外界を感知するための多種類の感覚機能のうち、従来からの分類による5種類の感覚、すなわち視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のことである。この分類を前提として、人間の感覚全体を指すために「五感」という表現が用いられる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−147381
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
眠くなりにくくする刺激を積極的に付与する方法として、人体の一部に与えられた刺激が、長時間単調作業中の人間に覚醒効果上有効に作用することは良く知られているが、学習時に眠くなり難くする刺激を自ら積極的に付与する実用的かつ具体的な方法、すなわち人体の一部、殊に中指の覚醒ツボであればより効果的であり、それも自らの意思を持って刺激を能動的に与えることを実現するような筆記具等は、未だ開発されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、文房具として使用される筆記具であって、
筆記具として使用する際に、グリップ部の中指の内側に当たる部分に刺激突起部を有することを特徴とする文房具として使用される筆記具であることをその要旨とした。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、文房具として使用される筆記具であって、
刺激突起部が筆記する際に中指の内側に当たる外周部分に形成されるとともに、
前記刺激突起部を突出移動させるための楕円穴を内周に備えたゴム製または合成樹脂製のグリップ部材を有し、
筆記時に前記楕円穴を備えたグリップ部材を親指で押すことにより前記刺激突起部が中指の内側を刺激することを特徴とする文房具として使用される筆記具であることをその要旨とした。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、文房具として使用される筆記具であって、筆記する際に中指の内側に当たる部分に刺激突起部を備えた円筒形状の刺激ドラムを筆記具本体に半径方向に変移可能に嵌合し、前記円筒形状の刺激ドラムの刺激突起部側に、当該突起部用の開口部を有するか、または、刺激ドラムを被う軟質ゴムまたは軟質合成樹脂製のグリップ部材を有し、筆記時に前記軟質材のグリップ部材を親指で押すことによって、刺激ドラムを偏芯移動させ、反対側にある中指の内側に当たる部分にある刺激突起部が、軟質材のグリップ部材を介して、または、開口部を介して、中指の内側を刺激することを特徴とする文房具として使用される筆記具であることをその要旨とした。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、文房具として使用される筆記具であって、
刺激突起部を筆記する際の中指の内側に当たる部分の円筒部外周に備えるとともに、円筒部内周にはテーパー部と楕円穴、または、一部に開放部を有する円筒形状のドラムと、
前記刺激突起部を突出させるための軸方向に移動自在で、かつ前記円筒形状のドラムのテーパー部に対応するテーパー部を有する振動衝撃体を有し、
筆記の合間に筆記具を長さ方向に往復運動させることにより、前記振動衝撃体が前記テーパー部を介して前記円筒形状のドラムを軸方向と直角方向に移動させることにより、前記複数の刺激突起部が中指の内側を刺激することを特徴とする文房具として使用される筆記具であることをその要旨とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、筆記具のグリップ部の中指と接する部分に複数の刺激突起部を備えることにより、筆記時に刺激突起部による刺激が筆記具を持つ指、特に中指の爪の生え際の人差し指側の中衝という眠気を取るツボを刺激することとなる。かかる刺激によって学習時等に覚醒効果を生じることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】文房具として使用する本発明の筆記具の簡略概念図
図2】刺激突起部を備えた刺激ドラム
図3】刺激ドラムを用いた場合の本発明の筆記具の説明図
図4】外周の一部に刺激突起部を有すると共に、内周に刺激突起部を突出させるための楕円穴を有するグリップ部材を備えた本発明の筆記具の説明図(実施例1)
図5】刺激突起部を突出させるために軸方向に移動する振動衝撃体を備えた本発明の筆記具の説明図(実施例2)
図6】刺激突起部を突出させるために電動回転体を備えた筆記具(実施例3)
図7】刺激突起部を突出させるためと音楽を奏でるために電動回転体(オルゴール仕様)を備えた筆記具(実施例4)
【符号の説明】
【0014】
1 筆記具本体
1a 筆記具本体
1b 筆記具本体
1c 筆記具本体
1d 筆記具本体
2 回り止め
3 スリット
4 グリップ部材
6 楕円穴
7 テーパー部
8 楕円穴部
9 開放部
10 刺激突起部
20 変移可能なグリップ部材
30 円筒形状の刺激ドラム
40 一部円筒形状の刺激ドラム
60 軸方向に移動する振動衝撃体
70 電動回転体
70a 電動回転体
71 突起物
71a 突起物
72 台座共鳴板
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明について図1図5を参照して説明する。図1は文房具として使用される筆記具であって、筆記具として使用する際に、グリップ部の中指の内側に当たる部分に刺激突起部10を備えている。本発明に係る文房具として使用される筆記具の根幹を成す形態であって最小限必要な構成である。
【0016】
図2は本発明に係る文房具として使用される筆記具の刺激突起部10を備えた円筒形状の刺激ドラム30である。刺激突起部10は9本〜11本程度の針状の突起を備えており、この部分が筆記する際に中指の内側に当たることにより筆記者に刺激を与えることとなる。
図3に示すように、刺激ドラム30は筆記具本体1に隙間δを開けて嵌合され、本体1のリブ状の回り止め2に刺激ドラム30のスリット3を対応させていると共に、刺激ドラム30の外側には、軟質ゴムまたは軟質合成樹脂等からなるグリップ部材4を被着してなり、これにより指の皮膚を傷つけずに刺激を与えることができるのである。
従って、グリップ部材4を親指で押すことにより、刺激ドラム30が隙間δの分だけ半径方向に移動する事ができるので、親指と反対側に位置する刺激突起部10が突出し、中指のツボに刺激を与えることができるのである。
なお、グリップ部材4は図示の実施例に限ることなく、刺激突起部10に対応する位置に開口部(図示せず)を設けて、親指で押したときに、刺激突起部10がこの開口部から突出して中指に刺激を与えるようにすることもできる。
【0017】
図4は文房具として使用される筆記具であって、筆記具の使用に際し、中指の内側に当たる筆記具の部分に刺激突起部10を外周に備えると共に、内周に楕円形空間6を形成したゴム製または合成樹脂製の半径方向へ変移可能なグリップ部材20を設けて筆記具本体1aに嵌合させ、筆記者が筆記している合間に前記グリップ部材20を自らの意思により刺激突起部10と反対側の部分を親指で押すことによって、前記楕円形空間6により偏芯移動させて刺激突起部10を突出させることができるので、中指の内側に当たる部分の覚醒ツボにあたる部位が、刺激突起部10により刺激を受けることになり覚醒効果を生ずることが出来る。
【0018】
図5は文房具として使用される筆記具であって、筆記者が筆記する際に、筆記具の中指の内側に当たる部分の円筒部外周に刺激突起部10を備えるとともに、円筒部内周にはテーパー部7と、楕円穴8または一部に開放部9を有する円筒形状の刺激ドラム30と、刺激突起部10を突出させるために軸方向に移動する振動衝撃体60を有し、筆記の合間に筆記具全体を長手方向に往復運動させることにより、振動衝撃体60がテーパー部7を介して円筒形状の刺激ドラム30を軸線と直角方向すなわち半径方向に移動させるため、前記刺激突起部10が中指の内側を刺激することにより覚醒効果を生ずることが出来る筆記具である。図4図7については、さらに実施例1〜実施例4にて詳細に説明する。
【0019】
尚、本願発明の覚醒効果を生じさせる筆記具は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
【実施例1】
【0020】
以下、実施例によって具体的に本発明を説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。図4は文房具として使用される筆記具である。筆記者は、脳への刺激を得て覚醒効果を得るために、筆記している状態のまま、偏芯して設置されたゴム製または合成樹脂製のグリップ部材20を親指で押すことにより覚醒効果を得ることが出来る。
【0021】
筆記者は、脳への刺激を得て覚醒効果を得るために、筆記している状態のまま、偏芯変移可能に設置されたグリップ部材20を自らの意思により親指で押す。筆記者が筆記具本体1aに楕円穴6を介して設置されたグリップ部材20を押すことにより、押された方向の先にある中指の内側に当たる部分にある刺激突起部10が押されることになり、刺激突起部10が押されて突出することになる。中指の内側に当たる部分にあたる刺激突起部10が押されると、かかる部分には眠気をさますツボが存在するため覚醒効果を生ずることが出来る。中指の爪の生え際の人差し指側の中衝という眠気を取るツボを刺激するためである。
【実施例2】
【0022】
図5は文房具として使用される筆記具である。筆記者は、脳への刺激を得て覚醒効果を得るために、筆記している状態から筆記具の長軸方向に筆記具本体1bを連続的に往復運動させることにより覚醒効果を得ることが出来る。
【0023】
筆記者は筆記の合間に筆記具本体1bを長さ方向に連続して往復運動させる。本実施例ではかかる往復運動により、筆記具内部に設置された軸方向に移動する振動衝撃体60がテーパー部7を有する一部円筒形状の刺激ドラム40に衝突する。かかる衝突の衝撃により一部円筒形状の刺激ドラム40が楕円穴部8または開放部9を介して半径方向に変移し、刺激突起部10が衝突時の衝撃により突出する。かかる作用により中指の内側が刺激される。結果として中指の内側には眠気を覚ますツボが存在することにより覚醒効果を生ずることが出来る。中指の爪の生え際の人差し指側の中衝という眠気を取るツボを刺激するためである。
【実施例3】
【0024】
図6は文房具として使用される筆記具である。筆記者が筆記具に備わった電源(図示しない)のスイッチを入れることにより、筆記具本体1cに内蔵された電動回転体70が回転し、電動回転体に設けた突起物71が刺激突起部10に作用して覚醒効果を得ることが出来るものである。
【0025】
筆記者は、電動回転体70を回転させるため筆記具に備わった電源(図示しない)のスイッチを入れる。電動回転体70には複数の突起物71が備わっており、電動回転体70が回転することによって、1つの突起物71が刺激突起部10を支える基盤に到達することにより、その都度、突起物71が刺激突起部10を支える基盤を押しつける。刺激突起部10の下方にある基盤が押打されることによって、その度に刺激突起部10が突出し、かかる作用により中指の内側が刺激される。結果として中指の内側には眠気を覚ますツボが存在することにより覚醒効果を生ずることが出来る。中指の爪の生え際の人差し指側の中衝という眠気を取るツボを刺激するためである。
【実施例4】
【0026】
図7は文房具として使用される筆記具である。筆記者が筆記具に備わった電源(図示しない)のスイッチを入れることにより、筆記具本体1dに内蔵された電動回転体70aが回転し、電動回転体に設けた突起物が刺激突起部10に作用して覚醒効果を得ることが出来るものである。中指の爪の生え際の人差し指側の中衝という眠気を取るツボを刺激するためである。本実施例では電動回転部70aの突起物71aと基盤の構造がオルゴールと同様な構造になっているため、さらに音楽を奏でることが出来る。心地よい音楽による脳への刺激がさらなる覚醒効果を生じさせる。
【0027】
筆記者は、電動回転体70aを回転させるため筆記具に備わった電源(図示しない)のスイッチを入れる。実施例3と同様に、電動回転体70aには複数の突起物71aが備わっており、電動回転体70aが回転することによって、1つの突起物71aが刺激突起部70を支える台座共鳴板72に到達することにより、その都度、突起物71aが刺激突起部10の下方にある台座共鳴板72を押打する。刺激突起部10の下方にある台座共鳴板72が押打されることによって刺激突起部10が僅かに振動突出し、かかる作用により中指の内側が刺激される。結果として中指の内側には眠気を覚ますツボが存在することにより覚醒効果を生ずることが出来る。中指の爪の生え際の人差し指側の中衝という眠気を取るツボを刺激するためである。本実施例では電動回転部の突起物71aと基盤共鳴体72の構造がオルゴールと同様な構造になっているため、さらに音楽を奏でることが出来る。心地よい音楽による脳への刺激がさらなる覚醒効果を生じさせる。
なお、本実施例の場合には、中指の内側に対応する位置に刺激突起部10を設けた場合を例示したが、この刺激突起部10を直接基盤共鳴板72に形成して、この基盤共鳴板72を中指の内側に臨む様に配置し、振動刺激を得る様にすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、文房具として使用される筆記具に関する分野、特に、学習時において覚醒効果を発揮し、かつ、記憶力を向上させることができる筆記具に関する分野で利用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7