特許第5989359号(P5989359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5989359-センサ装置及び便座装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989359
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】センサ装置及び便座装置
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/20 20060101AFI20160825BHJP
   A47K 13/24 20060101ALI20160825BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   G01V9/04 P
   A47K13/24
   E03D11/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-43797(P2012-43797)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-181762(P2013-181762A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】辻 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】古谷 保行
【審査官】 田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−089631(JP,A)
【文献】 特開平10−132953(JP,A)
【文献】 特開2002−294812(JP,A)
【文献】 特開2001−074853(JP,A)
【文献】 特開2011−167383(JP,A)
【文献】 特開2007−187570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 8/20
A47K 13/24
E03D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の窓開口内に窓プレートが設けられ、該窓プレートの背後側に複数個の光学式の人体検知用のセンサが設けられているセンサ装置において、
前記窓プレートは、上部と下部とが斜交するように前方から見て凹に屈曲した形状となっており、
該窓プレートの上部は斜め下向きであり、該窓プレートの下部は斜め上向きであり、
該窓プレートの上部の背後と下部の背後とにそれぞれ前記センサが設けられており、
前記窓プレートの上部の背後のセンサの投光の光軸が該窓プレートの上部と垂直であり、
前記窓プレートの下部の背後センサの投光の光軸が該窓プレートの下部と垂直であることを特徴とするセンサ装置
【請求項2】
請求項において、前記窓プレートは、左右の一半側と他半側とがそれぞれ透光板部となっており、透光板部同士の間が遮光部となっていることを特徴とするセンサ装置。
【請求項3】
請求項1又は2のセンサ装置が便座ボックスに設けられている便座装置。
【請求項4】
請求項において、前記センサ装置は、着座センサと人体検知センサとを有し、該着座センサの下方に該人体検知センサを配置したものであり、
該センサ装置が前記便座ボックスの左右方向の中央部に設置されていることを特徴とする便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓プレートの背後側に光学式の人体検知センサを配置したセンサ装置に係り、特に複数のセンサを備えたセンサ装置に関する。また、本発明はこのセンサ装置を備えた便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洋風便器に設置される便座装置に、トイレルーム内の人体を赤外線によって検知するための人体検知センサと、便座への着座をセンサによって検知するための着座センサとを設置することがある(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1の図4〜6には、赤外線透過プレート(特許文献1では表面パネルと称している。)の背後側に人体検知センサと着座センサを配置した構造が示されている。特許文献1の図4では、各センサの光軸は赤外線透過プレートに対し斜交している。図5,6では、各センサの光軸は平面状の赤外線透過プレートに対し略垂直に図示されているが、特許文献1の0025段落には、人体検知センサの信号発信方向は、平面的に見れば左右いずれか一方へ所定角度ずらしてあると記載されており、人体検知センサの光軸は赤外線透過プレートに対し斜交している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−275268
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、光学式の人体検知センサの光軸を赤外線透過プレートに対し斜交させた場合、センサからの投光の一部が赤外線透過プレート表面で反射し、人体検知距離が短くなる。また、この反射や、プレート内を伝播する迷光によって人体検知精度が低下するおそれもある。
【0006】
本発明は、光学式のセンサの検知距離低下を防止することができると共に、検知精度も高くすることができるセンサ装置と、このセンサ装置を備えた便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のセンサ装置は、筐体の窓開口内に窓プレートが設けられ、該窓プレートの背後側に複数個の光学式の人体検知用のセンサが設けられているセンサ装置において、各センサの投光の光軸を該窓プレートと垂直としたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明では、前記窓プレートは、上部と下部とが斜交するように前方から見て凹に屈曲した形状となっており、該窓プレートの上部の背後と下部の背後とにそれぞれ前記センサが設けられている。
【0009】
この場合、前記窓プレートは、左右の一半側と他半側とがそれぞれ透光板部となっており、透光板部同士の間が遮光部となっていることが好ましい。
【0010】
本発明の便座装置は、かかる本発明のセンサ装置が便座ボックスに設けられたものである。
【0011】
この便座装置にあっては、センサ装置は、着座センサと人体検知センサとを有し、該着座センサの下方に該人体検知センサを配置したものであり、該センサ装置が前記便座ボックスの左右方向の中央部に設置されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のセンサ装置においては、各センサの光軸が窓プレートに対し垂直であるため、各センサの投光及び受光の反射光量が少なく、検知距離低下が抑制されると共に、反射や迷光によるノイズ成分が減少し、検知精度が向上する。
【0013】
本発明では、左右の透光板部間に遮光部を設けることにより、投光側の透光板部から受光部側の透光板部への迷光の伝播がなく、迷光による誤検知が防止される。
【0014】
本発明では、窓プレートを前方から見て凹に屈曲した形状とした場合、前面から窓プレートの最深部までの深さが比較的小さいものとなる。
【0015】
このセンサ装置が、着座センサを上側に配置し、その下側に人体検知センサを設けたものである場合、センサ装置を便座ボックスの左右方向中央に配置し、便座への着座者及び便器前方に立つ人体の身体左右方向中央に向って赤外線を投光して着座や人体の検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係るセンサ装置の斜視図である。
図2図1のセンサ装置の縦断面図である。
図3図2のIII−III線断面図である。
図4】実施の形態に係る便座装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図4の通り、便座装置1は、洋風便器の後部上面に設置される便座ボックス2と、該便座ボックス2と起倒回動可能に取り付けられた便蓋3及び便座4と、便座ボックス2の前部上縁に設けられたセンサ装置5とを有する。
【0018】
センサ装置5は、図1〜3の通り、筐体6と、窓プレート9と、着座センサ7及び人体検知センサ8とを有する。筐体6は、便座ボックス2の外面と面一状に配置される前面プレート部10と、該前面プレート部10に設けられた窓開口11と、前面プレート部10の背後側に一体的に設けられたセンサ保持部12とを有している。
【0019】
窓開口11の奥底面に窓プレート9が設けられている。この窓プレート9は、赤外線透過材料よりなる透光板部13,14と、該透光板部13,14同士の間に設けられた遮光部15とを有する。この実施の形態では、透光板部13,14はPMMA(ポリメチルメタクリレート)等の赤外線透過合成樹脂材料よりなり、遮光部15はABS樹脂にて構成されている。窓プレート9には、内部を見えにくくするためにスモーク加工が施されている。透光板部13,14と遮光部15とはインサート成形により一体に成形されている。なお、各樹脂材料は一例であり、上記のものに限定されない。
【0020】
窓プレート9は、前方から見て凹に屈曲しており、上面側Sと下面側Sとが角度θで交わる一体の屈曲板状となっている。角度θは128.5〜134.5°特に131.5°程度が好ましい。窓プレート9は、上面側Sが斜め下向きとなり、下面側Sが斜め上向きとなるように設けられている。
【0021】
着座センサ7は、上面側Sの背後に配置され、人体検知センサ8は下面側Sの背後に配置されており、センサ8がセンサ7の下側に配置されている。各センサ7,8は、赤外線の投光部Aと、人体からの反射赤外線の受光部Bとを有している。着座センサ7の投光部Aからの投光の光軸Lは透光板部13の上面側Sに対し垂直であり、人体検知センサ8の投光部Aからの投光の光軸Lは透光板部13の下面側Sに対し垂直である。なお、この実施の形態において、垂直とは90°±3°の範囲である。センサ7,8の受光部Bの光軸も、それぞれ透光板部14の上面側S,下面側Sに対し垂直となっている。
【0022】
このように構成されたセンサ装置5においては、センサ7の光軸が窓プレート9の上面側Sに対し垂直であり、センサ8の光軸が下面側Sに対し垂直であるため、各センサ7,8の投光及び受光の反射光量が少なく、検知距離低下が抑制されると共に、反射によるノイズ成分が減少し、検知精度が向上する。
【0023】
この実施の形態では、2個のセンサ7,8を上下に配置しているので、各センサ7,8を便座ボックス2の左右方向(便器の幅方向)の中央部に配置することができる。このため、便座への着座者及び便器前方に立つ人体(例えば男子小便使用者)の身体左右方向中央に向って赤外線を投光することになり、着座や人体の検知精度が向上する。
【0024】
この実施の形態では、透光板部13,14間に遮光部15を設けているので、投光側の透光板部13から受光部側の透光板部14への迷光の伝播がなく、誤検知が防止される。
【0025】
この実施の形態では遮光部15を金型内にインサートしておき、透光板部13,14を射出成形するインサート成形により窓プレート9を全体として一体に成形しており、遮光部15は上面側Sの上端から下面側Sの下端まで連続して延在している。このため、遮光部15付き透光板部13,14よりなる窓プレート9を安価に製造できると共に、ヒケやウェルドを抑制することもできる。
【0026】
この実施の形態では、図2の通り、窓プレート9を前方から見て凹に屈曲した逆「く」字形縦断面形状としているので、前面プレート部10から窓プレート9の最深部までの深さが比較的小さい。
【0027】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態とされてもよい。本発明のセンサ装置では3個以上のセンサを設置してもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 便座装置
2 便座ボックス
4 便座
5 センサ装置
6 筐体
7 着座センサ
8 人体検知センサ
9 窓プレート
10 前面プレート
11 窓開口
12 センサ保持部
13,14 透光板部
15 遮光部
図1
図2
図3
図4