特許第5989369号(P5989369)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989369
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】可撓性管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/10 20060101AFI20160825BHJP
   F16L 33/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   F16L27/10 B
   F16L33/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-65117(P2012-65117)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-194877(P2013-194877A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】391000092
【氏名又は名称】株式会社サンケイ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】林 兼芳
(72)【発明者】
【氏名】林 茂吉
【審査官】 杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−231085(JP,A)
【文献】 特開2009−127727(JP,A)
【文献】 実開平06−069579(JP,U)
【文献】 特開2000−320737(JP,A)
【文献】 特開2004−278544(JP,A)
【文献】 実開昭56−012189(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/10
F16L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続される管(1)のフランジ(2)に対向して、一対の鍔部(3)が両端に一体に突設され、軸線方向の略全長に渡ってタイヤコード(4)が埋設されたゴム材よりなる筒状の継手本体(5)と、
その継手本体(5)の内周面に隣接し、その軸に平行な断面が波形に形成され、その継手 本体(5)の内周との間に空間部(11)を有する耐蝕金属製の蛇腹管(7)と、
各鍔部(3)の継手本体(5)の軸方向中心側の一端面およびその外周に整合し、その半径方 向の中心側に断面L字状に環状段付き部(6b)が突設され、半径方向の外側に複数のボルト 孔(6a)を有する相フランジ(6)と、
その鍔部(3)の軸方向の端に、相フランジ(6)の端面より一体に突出したシール部(10)と 、
複数に分割された環状のプレートからなり、その半径方向外側の大径部が前記環状段付 き部(6b)に対向すると共に、半径方向の内側の小径部が前記蛇腹管(7)の軸方向の端の前 記波の谷部外周に嵌入されて、前記鍔部(3)に平行に一体に埋設された分割フランジ(8)と、
その分割フランジ(8)の大径部と、相フランジ(6)の環状段付き部(6b)との間に介装され て、内周が蛇腹管(7)の半径方向の外側に位置し、各鍔部(3)に平行に一体に埋設され、その外周を前記タイヤコード(4)が巻回する環状プレー ト(9)と、を具備し、
前記継手本体(5)の前記鍔部(3)は、その内周が蛇腹管(7)の内周に一致し、外周が前記分割フランジ(8)の直径以上の大きさに形成され、
前記分割フランジ(8)は、その大径部が前記環状プレート(9)に前記タイヤコード(4)を介して鍔部(3)内で近接されると共に、小径部が蛇腹管(7)の端部の半サイクル内で前記ゴム材に抱持され、
前記蛇腹管(7)の軸方向の先端の波の少なくとも半サイクル分が軸方向に潰されて、そこに補強部(12)が形成されると共に、その補強部(12)が前記鍔部(3)の前記ゴム材に埋設され、
前記分割フランジ(8)は、その大径部が前記鍔部(3)と環状プレート(9)とに挟持されると共に、小径部が鍔部(3)の補強部(12)と蛇腹管(7)の端部の谷部のゴム材との間に支持された可撓性管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステンレス鋼等の耐蝕金属製の蛇腹管とゴム製の継手本体とからなる複合可撓性管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
腐蝕性の薬品等が内部を流通する可撓性管継手には、ステンレス製のフレキシブルチューブが従来用いられていた。これは両端部にフランジ部を有するステンレス製蛇腹管の外周にステンレス製の網を被着したものである。
また、下記特許文献1として、ベローズ状金属管の外周にゴム層を埋設し、内部に螺旋状の補強層を設けたものが提案されている。これは、ベローズ状金属管の外周の谷部にゴム層が埋設されたものであり、また、可撓性管継手の軸方向の端に割リングが配置され、その小径側がベローズ状金属管の端部に嵌入して係止されている。そして、割リングを相フランジに接合して離れないようにしてある。さらに、ベローズ状金属管の端部をその割リングから突出させ、そこにガスケットを着脱自在に配置するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−159478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステンレス製蛇腹管の外周に金属網を被着した可撓性管継手は、繰り返しの屈曲強度が低いことが判った。即ち、繰り返し荷重をその半径方向に加えると、比較的短時間に外周の金網が損傷する。また、金網が外側からの腐蝕に弱い欠点があった。
上記特許文献1の可撓性管継手は、ベローズ状金属管の外周の谷部にゴム層が埋設されたものであるので、本発明者の実験によれば、半径方向への可撓性が殆どないことが判った。
また、ベローズ状金属管の端部をその割リングから突出させ、そこにガスケットを着脱自在に配置するものであるため、ベローズ状金属管の軸方向端部が露出し、そこに腐食性物質が堆積する虞がある。
そこで本発明は、屈曲性及びその耐久性が高く、継手外周からの腐食性物質の浸入を防止し且つ、液密性が高く取り扱い易い可撓性管継手を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、接続される管(1)のフランジ(2)に対向して、一対の鍔部(3)が両端に一体に突設され、軸線方向の略全長に渡ってタイヤコード(4)が埋設されたゴム材よりなる筒状の継手本体(5)と、
その継手本体(5)の内周面に隣接し、その軸に平行な断面が波形に形成され、その継手 本体(5)の内周との間に空間部(11)を有する耐蝕金属製の蛇腹管(7)と、
各鍔部(3)の継手本体(5)の軸方向中心側の一端面およびその外周に整合し、その半径方 向の中心側に断面L字状に環状段付き部(6b)が突設され、半径方向の外側に複数のボルト 孔(6a)を有する相フランジ(6)と、
その鍔部(3)の軸方向の端に、相フランジ(6)の端面より一体に突出したシール部(10)と 、
複数に分割された環状のプレートからなり、その半径方向外側の大径部が前記環状段付 き部(6b)に対向すると共に、半径方向の内側の小径部が前記蛇腹管(7)の軸方向の端の前 記波の谷部外周に嵌入されて、前記鍔部(3)に平行に一体に埋設された分割フランジ(8)と、
その分割フランジ(8)の大径部と、相フランジ(6)の環状段付き部(6b)との間に介装され て、内周が蛇腹管(7)の半径方向の外側に位置し、各鍔部(3)に平行に一体に埋設され、その外周を前記タイヤコード(4)が巻回する環状プレー ト(9)と、を具備し、
前記継手本体(5)の前記鍔部(3)は、その内周が蛇腹管(7)の内周に一致し、外周が前記分割フランジ(8)の直径以上の大きさに形成され、
前記分割フランジ(8)は、その大径部が前記環状プレート(9)に前記タイヤコード(4)を介して鍔部(3)内で近接されると共に、小径部が蛇腹管(7)の端部の半サイクル内で前記ゴム材に抱持され、
前記蛇腹管(7)の軸方向の先端の波の少なくとも半サイクル分が軸方向に潰されて、そこに補強部(12)が形成されると共に、その補強部(12)が前記鍔部(3)の前記ゴム材に埋設され、
前記分割フランジ(8)は、その大径部が前記鍔部(3)と環状プレート(9)とに挟持されると共に、小径部が鍔部(3)の補強部(12)と蛇腹管(7)の端部の谷部のゴム材との間に支持された可撓性管継手である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の可撓性管継手は、分割フランジ8および環状プレート9が、それぞれ鍔部に平行に埋設され、その環状プレート9は蛇腹管7の半径方向外側に位置し、分割フランジ8の小径部が蛇腹管7の谷部に嵌着する。
そして、分割フランジ8は、その小径部が鍔部3の補強部12と蛇腹管7の端部の谷部のゴム材との間に支持され、大径部が前記鍔部3と環状プレート9とに挟持されたものである。
そのため、複数に分割された分割フランジは、その小径部が蛇腹管7内でゴム材と一体に強固になって支持されることになり、継手本体に加わる外力に対して変形することがない。また分割フランジの大径部は、それに平行に且つ近接して埋設された環状プレート9と鍔部3との間に支持され、その環状プレート9と共に、軸方向に加わる外力を支持できる。
また、蛇腹管7の軸方向の端部の補強部12はゴム材からなる鍔部3に埋設されているため、耐蝕性を保持することができる。
また、分割フランジ8の大径部と、相フランジ6の環状段付き部6bとの間に環状プレー ト9が配置され、それが鍔部3に一体に埋設され且つ、その外周をタイヤコード4が巻回 する。そのため、そのタイヤコード4により蛇腹管7の伸張を抑制して、安定した継手構造を形成できる。即ち、蛇腹管7の過度な伸張を抑制して、その蛇腹管7の損傷を防ぐ。
また、その抑制効果は外力により鍔部3が管1のフランジ2から外れるのを防止できる。
さらには、継手本体5の内周と蛇腹管7との間には空間部11が形成されているため、全体の可撓性を維持し、耐震と防振効果を保持する。
また、鍔部3の軸方向の端に、相フランジ6の端面より一体に突出したシール部10を有 し且つ、外周の継手本体5の存在により、継手の外面側からの腐食を効果的に抑制すると共に液密性を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の可撓性管継手の要部断面図。
図2】同可撓性管継手の一部破断面正面図。
図3】同可撓性管継手に内装された環状プレート9の側面図。
図4】同分割フランジ8の側面図。
図5】同可撓性管継手の接続状態を示す要部断面図。
図6】同分割フランジ8の他の例を示す斜視図。
図7】同分割フランジ8を組立てた状態を示す斜視図。
図8】本発明の可撓性管継手の他の例を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
本発明の可撓性管継手は、図1図2に示す如く、中心側にステンレス等の耐蝕金属製の蛇腹管7が配置され、その外周にゴム材よりなる筒状の継手本体5が被着されている。そしてその蛇腹管7の外周の頂部が継手本体5の内周に接触し、その谷部には継手本体5のゴムが埋設されていない。そして、そこに空間部11が形成されている。
継手本体5の端部には鍔部3が設けられ、そこに環状プレート9と分割フランジ8とが埋設されている。
【0011】
環状プレート9はその内直径が蛇腹管7の外直径よりも大であり、図3の如く、環状に形成されている。環状プレート9に対向した位置に分割フランジ8が配置され、この分割フランジ8は図4の如く、この例では二分割に形成されている。分割フランジ8の内周直径は蛇腹管7の外直径よりも小さく且つ、その外周の谷部の底の直径よりも僅かに大である。そして蛇腹管7の端部が半サイクル分軸方向に潰されて補強部12を形成し、その補強部12とそれに対向する波面との間に分割フランジ8の小径部が嵌入する。そしてその分割フランジ8の軸方向端部側にシール部10が一体に形成され、分割フランジ8及び環状プレート9並びに補強部12が継手本体5内に埋設される。
【0012】
この継手本体5は、その略全長に渡りタイヤコード4が埋設され、その両端部は環状プレート9の外周に懸回される。しかしながら、分割フランジ8にはタイヤコード4は懸回されない。そして、鍔部3の外周面及びその継手本体5の軸方向中心側の側面には、相フランジ6のL字状の環状段付き部6bが嵌着固定されている。
このような可撓性管継手を製造するには、端部に補強部12を有する蛇腹管7の外周に未加硫のゴム,タイヤコード4,環状プレート9,分割フランジ8、相フランジ6を配置すると共に、シール部10として未加硫のパッキンゴムを配置する。なお、分割フランジ8の外周に未加硫のゴムが懸回されている。
次いで、各ゴムを加硫し、それらが一体となった可撓性管継手を完成する。
【0013】
(作用)
このようにしてなる本発明の可撓性管継手は、図5に示す如く、管1のフランジ2を継手本体5のシール部10に当接し、ボルト14及びナット15を介して、相フランジ6とフランジ2との間を締結する。そしてシール部10を変形させ、継手本体5と管1との液密性を確保する。
このような管継手を有する配管の内部に、一例として加圧された液体が流通する。このとき継手本体5内にはタイヤコード4が略その全長に渡って配置されると共に、その端部が環状プレート9に懸回されている。そして、その環状プレート9と分割フランジ8とが相フランジ6と管1のフランジ2との間に締結保持されている。そのため、流通する液体の内圧が高くても、内部のタイヤコード4が可撓性管の軸方向の伸張を一定に抑制する。
【0014】
仮に、タイヤコード4が存在しないと、内圧により継手本体5及び蛇腹管7は軸方向に容易に伸張する。その伸張に伴い、継手本体5の鍔部3が相フランジ6及びフランジ2から分離する虞がある。それを、タイヤコード4と環状プレート9と分割フランジ8とにより防止している。そして管継手は半径方向への可撓性が十分あり、その外周には耐薬品性の継手本体5が配置されているため、外面側からの腐蝕が進行することがない。
また、内面側にはステンレス等からなる耐蝕金属製の蛇腹管7が配置されているため、継手の内面側が腐蝕することも防止される。そして耐久性及び可撓性の高い管継手を提供する。
【0015】
次に、図6及び図7は分割フランジ8の他の例であり、この例の分割フランジ8は三分割され、各片の両端部に段部13が形成され、それらが互いに重ねあわされて、図7の如く組立てられる。
【0016】
次に、図8は本発明の可撓性管継手の他の例であり、この例が図1のそれと異なる点は、継手本体5の内周面が僅かに蛇腹管7の頂部及び谷部に嵌入していることである。このような状態であっても、管継手は半径方向に可撓性を十分有する。
【符号の説明】
【0017】
1 管
2 フランジ
3 鍔部
4 タイヤコード
5 継手本体
6 相フランジ
6a ボルト孔
6b 環状段付き部
【0018】
7 蛇腹管
8 分割フランジ
9 環状プレート
10 シール部
11 空間部
12 補強部
13 段部
14 ボルト
15 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8