(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989372
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】安全柵
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20160825BHJP
E01F 1/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
B61B1/02
E01F1/00
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-69418(P2012-69418)
(22)【出願日】2012年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-199225(P2013-199225A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094020
【弁理士】
【氏名又は名称】田宮 寛祉
(72)【発明者】
【氏名】奥原 麻菜美
(72)【発明者】
【氏名】島田 弘
(72)【発明者】
【氏名】石田 一貴
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−162486(JP,A)
【文献】
特表2015−515409(JP,A)
【文献】
特表2014−511302(JP,A)
【文献】
特表2008−526614(JP,A)
【文献】
特開昭52−124738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
E01F 1/00
E01F 13/00 − 15/14
E05F 15/00 − 15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて立設された少なくとも2つの柱体の間に、前記2つの柱体の各々に設置された端部部材を経由して1回折返しで上下方向に引き回されたループを形成するように架設された長尺部材を備え、少なくとも一方の前記端部部材はテンションを掛ける機構を内蔵し前記長尺部材に横方向にテンションを掛けたことを特徴とする安全柵。
【請求項2】
少なくとも2つの前記柱体は、前記長尺部材を上下動可能にする駆動装置を備えた少なくとも1つの駆動柱を含むことを特徴とする請求項1記載の安全柵。
【請求項3】
前記長尺部材は長尺部材設置ユニットとして設けられ、この長尺部材設置ユニットの少なくとも1つの前記端部部材は前記駆動柱に設けた前記駆動装置によって上下動可能に支持され、前記長尺部材設置ユニットは前記駆動装置により上下動自在に設けられることを特徴とする請求項2記載の安全柵。
【請求項4】
前記長尺部材設置ユニットの両側の2つの前記端部部材の各々は上下の位置で配置された2つのプーリを有し、前記長尺部材は前記プーリを利用してループ状に配置されることを特徴とする請求項3記載の安全柵。
【請求項5】
前記長尺部材設置ユニットは少なくとも2つ設けられることを特徴とする請求項3または4記載の安全柵。
【請求項6】
前記端部部材内で、前記長尺部材の一端は固定され、他端は前記長尺部材にテンションを掛けるバネ部材とテンションセンサとを介して固定され、前記テンションセンサは前記テンションを計測し、異常な荷重負荷状態または荷重負荷無し状態を検知したときには安全確保信号を送信することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載した安全柵。
【請求項7】
前記長尺部材は導電性を有し、前記端部部材内で、導電性の前記長尺部材の一端は固定されかつ他端は前記長尺部材にテンションを掛けるバネ部材を介して固定され、前記長尺部材の一端から他端に微弱電流を流す微弱電源と切断検知回路を備え、前記切断検知回路は前記長尺部材に流れる微弱電流を計測し、微弱電流を検知しないときには安全確保信号を送信することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載した安全柵。
【請求項8】
前記長尺部材は導電性を有し、
前記端部部材内で、前記長尺部材の一端は固定され、他端は前記長尺部材にテンションを掛けるバネ部材とテンションセンサとを介して固定され、
前記長尺部材の一端から他端に微弱電流を流す微弱電源と切断検知回路を備え、
前記テンションセンサは前記テンションを計測し、
前記切断検知回路は前記微弱電流を計測し、
前記テンションセンサが異常な荷重負荷状態または荷重負荷無し状態を検知したとき、または前記切断検知回路が微弱電流を検知しないとき、安全確保信号が送信されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載した安全柵。
【請求項9】
鉄道用ホーム柵として用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の安全柵
【請求項10】
前記間隔は列車の一車両分の長さに相当する距離であることを特徴とする請求項9記載の安全柵。
【請求項11】
前記長尺部材はロープであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の安全柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安全柵に関し、特に、ロープ式ホーム柵等に利用され、簡単な構成でロープ等の長尺部材を架設できかつ長尺部材の切断状態を迅速にかつ確実に検知できる構成を備えた安全柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば駅ホーム柵としてロープを用いた安全柵が提案されている(特許文献1)。このロープ式安全柵では旅客の線路側への動きを規制し保護するロープを架設し、旅客が駅ホームから線路に転落するのを防止する。このロープ式安全柵は、例えば、駅ホームの線路側縁部に沿って入線する列車の長さにほぼ等しい長さの複数本のロープを、その両端部に重り等の引張手段を設け、テンションを掛けた状態で、上下動可能な構造にて架設している。駅ホームの線路に列車が入線していないとき、あるいはホームに停止またはホームから発車しようとするときにロープは下方位置にあって旅客を安全に保護する規制部材として機能する。駅ホームに入線し停車した列車に対して開いた車両ドアを介して旅客が乗降しようとするときには、ロープは上方位置に移動し、乗降を可能にする。
【0003】
また、関連する従来技術を開示する先行技術文献として特許文献2を挙げることができる。特許文献2では、バンドの切断を自動的に検知する構成を有した安全具を開示している。帯状のバンドに対してその長手方向に切断検知用の電気配線を設けた構造となっている。バンドが切断されたときには電気配線に流れる検出電気信号が遮断されるので、検出電気信号の遮断に基づきバンドの切断を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−526614号公報
【特許文献2】特開2005−280805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるロープ式安全柵は、プラットフォームの入口から出口までの列車の全体の長さに相当する長さのロープを架設するという大掛かりな構造を有している。従って長大なロープの円滑な昇降動作も容易ではなく、安全性に大きな問題があった。また長大なロープには大きなテンションを掛ける必要があるため、ロープの両端に大きな重量の重りを付さなければならず、そのためロープが切断する可能性が高く、当該ロープ切断が発生したときの安全対策も極めて不十分なものであった。
特許文献2に開示される安全具は、比較的に小型の安全具に設けたベルトの切断を検知する仕組みであり、これを例えばロープ式安全柵のロープの切断検知に使用するにはロープに電気配線の設けることが容易ではなく、実用的に適用することが困難であった。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、簡単な構造で所要のテンションを掛けたロープ等の長尺部材を架設することができ、長尺部材に加わる異常な荷重負荷や長尺部材の切断を迅速にかつ確実に検知し、旅客等の保護の安全性を高めることができる安全柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る安全柵は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0008】
第1の安全柵(請求項1に対応)は、間隔をあけて立設された少なくとも2つの柱体の間に
、2つの柱体の各々に設置された端部部材を経由して1回折返しで上下方向に引き回されたループを形成するように架設された長尺部材(ロープ等)を備え
、少なくとも一方の端部部材はテンションを掛ける機構を内蔵し長尺部材に横方向にテンションを掛けたことを特徴としている。
【0009】
上記の安全柵では、
2つの柱体の間に、2つの柱体の各々に設置された端部部材を経由して1回折返しで上下方向に引き回されたループを形成するように架設され、1本の長尺部材を引き回して上下2本の長尺部材を横方向に平行に配置し
、少なくとも一方の端部部材はテンションを掛ける機構を内蔵し長尺部材に横方向にテンションを掛けるという簡単な構造で安全柵を実現することができる。当該長尺部材を備えた長尺部材配置ユニットの構成は簡素に作ることができる。
【0010】
第2の安全柵(請求項2に対応)は、上記の構成において、好ましくは、少なくとも2つの柱体は、長尺部材を上下動可能にする駆動装置を備えた少なくとも1つの駆動柱を含むことを特徴とする。
【0011】
第3の安全柵(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、長尺部材は長尺部材設置ユニットとして設けられ、この長尺部材設置ユニットの少なくとも1つの端部部材は駆動柱に設けた駆動装置によって上下動可能に支持され、長尺部材設置ユニットは駆動装置により上下動自在に設けられることを特徴とする。
長尺部材は長尺部材設置ユニットとして設けられ、この長尺部材設置ユニットの両側の端部部材はそれぞれ2つの駆動柱の各々に設けた駆動装置によって上下動可能に支持され、長尺部材設置ユニットは2つの駆動装置により上下動自在に設けられることを特徴としている。
この構成では1本の長尺部材を引き回してかつ所要の荷重に耐える必要なテンションを長尺部材に掛ける構造を簡単に実現することができ、装置の構成も簡素で、メンテナンスも容易である。
【0012】
第4の安全柵(請求項4に対応)は、上記の構成において、好ましくは、長尺部材設置ユニットの両側の2つの端部部材の各々は上下の位置で配置された2つのプーリを有し、長尺部材はプーリを利用してループ状に配置されることを特徴としている。
【0013】
第5の安全柵(請求項5に対応)は、上記の構成において、好ましくは、長尺部材設置ユニットは少なくとも2つ設けられることを特徴とする。この構成によれば、2つの駆動柱等の間に2つ以上の長尺部材設置ユニットが例えば上下の位置にてそれぞれ上下動自在に配置され、各長尺部材設置ユニットではロープ等の長尺部材がループ状に設置されている。
【0014】
第6の安全柵(請求項6に対応)は、上記の構成において、好ましくは、
端部部材内で、長尺部材の一端は固定され、他端は長尺部材にテンションを掛けるバネ部材とテンションセンサとを介して固定され、テンションセンサはテンションを計測し、異常な荷重負荷状態または荷重負荷無し状態を検知したときには安全確保信号を送信することを特徴とする。この構成によれば、1つのテンションセンサによって人が寄り掛かった等の異常な荷重負荷状態と切断時の荷重負荷無し状態を検知することができる。
【0015】
第7の安全柵(請求項7に対応)は、上記の構成において、好ましくは、長尺部材は導電性を有し、
端部部材内で、導電性の長尺部材の一端は固定されかつ他端は長尺部材にテンションを掛けるバネ部材を介して固定され、長尺部材の一端から他端に微弱電流を流す微弱電源と切断検知回路を備え、切断検知回路は長尺部材に流れる微弱電流を計測し、微弱電流を検知しないときには安全確保信号を送信することを特徴としている。
【0016】
第8の安全柵(請求項8に対応)は、上記の構成において、好ましくは、
長尺部材は導電性を有し、
端部部材内で、長尺部材の一端は固定され、他端は長尺部材にテンションを掛けるバネ部材とテンションセンサとを介して固定され、
長尺部材の一端から他端に微弱電流を流す微弱電源と切断検知回路を備え、
テンションセンサはテンションを計測し、
切断検知回路は微弱電流を計測し、
テンションセンサが異常な荷重負荷状態または荷重負荷無し状態を検知したとき、または切断検知回路が微弱電流を検知しないとき、安全確保信号が送信されることを特徴としている。
【0017】
第9の安全柵(請求項9に対応)は、上記の構成において、好ましくは、鉄道用ホーム柵として用いられることを特徴とする。
【0018】
第10の安全柵(請求項10に対応)は、上記の構成において、好ましくは、上記の間隔は列車の一車両分の長さに相当する距離であることを特徴としている。
【0019】
第11の安全柵(請求項11に対応)は、上記の構成において、好ましくは、上記の長尺部材はロープであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る安全柵によれば次の効果を奏する。
第1に、例えば列車の一車両分の長さに相当する距離の間隔で2本の柱体(駆動柱等)を立設し、2本の柱体の間に1本のロープ等の長尺部材をループを形成するように配置して長尺部材を2段で横方向に架設し安全柵を形成するようにしたため簡単な構造で安全柵を実現することができる。
第2に、1本のロープ等の長尺部材は長尺部材設置ユニットにおいてループ状に引き回されると共に、ロープ等の取付け構造部でバネ部材でロープ等に引張力を加え、所要のテンションをロープ等に与えて架設するようにしたため、人の荷重が加わったときには確実に当該荷重に応じることができる。
第3に、テンションセンサを設けてロープ等の長尺部材に係る荷重を常時計測して監視することにより、ロープ等に加わる異常な荷重負荷やロープ等の切断を迅速にかつ確実に検知することができ、安全確保信号を出力することにより適切な安全制御を行い、その後の旅客等の安全性を高めることができる。
第4に、ロープ等が伝導性を有する場合には、さらに微弱電源および切断検知回路を付設することにより、ロープ等の切断を迅速にかつ確実に検知することができ、安全確保信号を出力することにより適切な安全制御を行い、旅客等の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る安全柵の代表的な実施形態を示し、長尺部材として導電性のロープを利用した安全柵であって当該ロープが下方配置位置にある状態(閉じた状態)を示す正面図である。
【
図2】ロープを利用した安全柵でロープが上方配置位置にある状態(開いた状態)を示す正面図である。
【
図4】ロープ取付け構造部の内部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
図1〜
図4を参照して本実施形態に係る安全柵を説明する。この安全柵では、特定の距離の間隔において長尺部材を架設することにより柵を形成する。長尺部材としては、代表的には、所要の長さを有するロープ、ワイヤー、ベルト、チェーン等が使用される。この実施形態ではロープを使った構成例、すなわちロープ式の安全柵(以下「ロープ式安全柵」と記す。)について説明する。
ロープ式安全柵10は、代表的に、例えば駅ホームの線路側縁部に設置されて旅客の線路への転落等を防止し安全を図るためのロープ式ホーム柵(鉄道用ホーム柵)として利用される。ロープ式安全柵10は、通常的には、まっすぐな形状を有する2つの駆動柱11,12を備えている。2つの駆動柱11,12は必要な間隔をあけて床13に直立状態で立てて固設されている。駆動柱11,12は、駆動柱11,12の間に架設されるロープ14の両側を支持する働きを有する支柱である。さらに駆動柱11,12の内部にはロープ14を適時に上下動させる駆動装置15を設けている。なお
図1等において、駆動柱11,12の大きさや太さ等は誇張して描かれている。また駆動柱11,12はロープ13を支持する支柱であるが、この例では内部に昇降動作を行うための駆動装置15を備えることから「駆動柱」と呼ぶことにする。
【0024】
2つの駆動柱11,12の間には例えば2本のロープ14が架設されている。
図1と
図2で示された2本のロープ14は、
図3に示すごとく、ロープユニット20において所要の長さを有する1本のロープ14をループ状に引き回すことにより形作られる。ここで「ロープユニット」とは、長尺状のロープをループを形成するように配置させかつ必要なテンションをロープに掛けることができるようにするための構造を有した設置ユニットを意味する。
図1と
図2で示したロープ14については、駆動柱11,12の間に架設された2本のロープ14がほぼ平行に横方向に上下の間隔をあけて配置されるように示されている。さらに
図1において、ロープ14は下側に移動して(矢印D1)下方の配置位置にあり、外力(引張力F1、
図4に示す。)により所要のテンションT1が掛かった状態で架設されている。ロープ14に掛かるテンションT1は、例えば旅客が寄り掛かったり、線路側に飛び出そうとしたときにこの荷重に対抗するための緊張状態を作るものであり、ロープ14は人の望ましくない動きを規制する部材として機能する。
図2において、ロープ14は上側に移動して(矢印D2)上方の配置位置にあり、このときロープ14に掛かるテンションT1に変化はない。ロープ式安全柵10では、ロープ14、すなわちロープユニット20(
図3に示す。)は、駆動装置15によって、予め設定された上記の下方配置位置と上方配置位置に交互に移動するように制御される。なお駆動柱11,12の高さは、例えば、少なくとも2m以上である。
【0025】
図1はロープ14が下方配置位置にあって人の動きや行動を規制し保護する規制部材として機能する場合、すなわちロープ式安全柵10が閉状態になる場合を示す。
図2はロープ14が上方配置位置にあって直接的な規制部材として機能しない場合、すなわちロープ式安全柵10が開状態になる場合を示す。
【0026】
ロープ式安全柵10が駅ホーム用のロープ式ホーム柵として利用される場合には、両側に位置する2つの駆動柱11,12の間隔は、好ましくは、列車の一車両分の長さに相当する距離(約20m)である。また駆動柱11,12の高さは、上方位置に移動したロープ14が列車の車両ドアの上端よりも上側の位置になるように設定される。
なお、
図1と
図2で示したロープ式安全柵10では、2つの駆動柱11,12の間にロープ14をループ状に形成して2段構造で架設したが、支柱は2つの駆動柱11,12だけではなく、少なくとも1つの他の支柱を2つの駆動柱11,12の間に設けることもできる。また駆動柱は2つ設けた例を示したが、いずれか一方の側、または間隔の中間位置等において、少なくとも1つあれば十分である。
【0027】
間隔をあけて床13に直立的に立設された2つの駆動柱11,12において下側間隔と上側間隔は同じである。2つの駆動柱11,12は平行となるように設置されている。
【0028】
上記のロープ14は所要の引っ張り強度を有するロープであり、この実施形態では、金属製(ステンレスワイヤ等)のワイヤロープを使用している。ロープ14は導電性を有するロープである。以下の説明では、ロープ14を「ワイヤロープ14」と記す。なおロープ14は金属製のものには限定されない。
【0029】
次に
図3と
図4を参照してロープユニット20を説明する。符号21は駆動柱11内に配置される端部部材であり、符号22は駆動柱12の内部に配置される端部部材である。端部部材21,22は、好ましくは板状または枠体状の部材であり、かつそれぞれ駆動柱11,12の内部スペースに設けられた駆動装置15の上下に移動する可動部材15aに連結されている。可動部材15aは例えばガイドレール15bに案内されて例えばリニアモータまたは駆動ワイヤ等で上下動(昇降動作)を行うように構成されている。駆動柱11,12内の各可動部材15aは、常に同じ高さの状態で同時に同じ動きを行うように制御される。このため、ロープユニット20の両側の端部部材21,22は、駆動柱11,12内の駆動装置15の構成に基づいて、ワイヤロープ14を水平に保ったまま、上下動可能に支持されることになる。
【0030】
端部部材21,22は、それぞれ、上下の位置にて2つのプーリ21a,21b,22a,22bを備えている。また端部部材21にはロープ取付け構造部23が設けられている。1本のワイヤロープ14は、ロープ取付け構造部23から引出され、上側のプーリ21a,22a、下側のプーリ22b,21bの順序で時計回りに引き回してロープ取付け構造部23に引き込むように配置され、ループの形状を作るように設けられている。このため、前述のごとく駆動柱11,12の間では上下に位置する2本のワイヤロープ14が架設される状態が作られる。また上記のように配置されるループ状のワイヤロープ14は、通常、2本の駆動柱11,12の各々の互いに対面する内側壁面部にて上下方向に形成されたスリット部を通して駆動柱11,12の間の間隔領域に引き出され、当該間隔領域に架設されることになる。ロープ取付け構造部23の内部では、
図4に示されるように、ワイヤロープ14の一端14Aが固定部23Aで固定され、他端14Bは、コイル状のバネ部材24、テンションセンサ25、切断検知回路26、微弱電源27を介して同じく固定部23Aにて固定されている。より具体的には、ワイヤロープ14の一端14Aが固定部23Aに固定され、他端14Bがバネ部材24およびテンションセンサ25を介して固定部23Aに固定される。他端14Bはバネ部材24の
図4中の下端部に結合されている。これによりワイヤロープ14はループ形状に形成されている。さらに微弱電源27はループ形状のワイヤロープ14の一端から他端に向け全周にわたり微弱電流を流すように導線で接続され、切断検知回路26はワイヤロープ14に流れる微弱電流の流れの有無を検知できるように導線で接続されている。
【0031】
ロープ取付け構造部23の上記の構造に基づき、バネ部材24の引張力(外力)F1によってワイヤロープ14の全体に対して前述したテンションT1が加えられる。テンションセンサ25は、ワイヤロープ14に加わるテンションT1の状態を常時計測し、計測値データを図示しない制御装置へ送信する。ワイヤロープ14で、異常な荷重負荷状態が生じたときにはそれに対応する検知信号を送信し、また荷重負荷無し状態を検知したときにはそれに対応する検知信号を送信する。これらの検知信号S1は「異常な荷重負荷状態」または「荷重負荷無し状態」を知らせる信号となり、安全確保を要求する信号となる。安全確保を要求する信号とは、安全確保信号であり、制御装置を介して出力される駆動停止信号や警告信号等となる基礎信号である。
【0032】
さらにロープ取付け構造部23の上記構造に基づき、微弱電源27はワイヤロープ14に微弱電流を流し、切断検知回路26はワイヤロープ14に流れる微弱電流の流れの有無を計測する。微弱電流が流れているときには通常の状態であり、ワイヤロープ14が未切断の状態にある。微弱電流が流れないときにはワイヤロープ14が切断した状態にある。切断検知回路26は、ワイヤロープ14に流れる微弱電流の状態を常時計測し、計測値データを制御装置へ送信する。ワイヤロープ14で微弱電流が流れない状態が生じたときにはそれに対応する検知信号を送信する。この検知信号S2は「ワイヤロープ切断状態」を知らせる信号となり、安全確保を要求する信号となる。
【0033】
上記の実施形態の構成によれば、ロープ式安全柵10においてワイヤロープ14で異常な荷重が発生したときにはテンションセンサ25で迅速かつ確実に検知することができ、ワイヤロープ14が切断したときにはテンションセンサ25と切断検知回路26の両方またはいずれか一方によって迅速かつ確実に検知することができる。
【0034】
また上記の実施形態では、ワイヤロープ14の例で説明したが、非導電性のロープ14を用いることもできる。この場合には、一般的には微弱電流を流すための構成は設けることできない。従って、好ましくは、テンションセンサ25のみで「異常な荷重負荷状態」または「荷重負荷無し状態」を検知するように構成される。但し、この場合においても、ロープ14に導線を付加することにより上記の微弱電流を流すための構成(切断検知回路26と微弱電源27)を設けることもできる。
【0035】
なお、コイル状のバネ部材24を用いず、その代わりにロープ取付け構造部23においてロープ巻取り機構またはロープ巻取りモータを備えたユニットを設けてワイヤロープ14に必要なテンションT1を与えるようにしてもよい。
【0036】
また上記の実施形態では、2本の駆動柱11,12の間にロープユニット20(長尺部材設置ユニット)を1つ設けた例を説明を示したが、当該ロープユニット20を例えば上下の位置で2つ以上、複数設けることも可能である。各ロープユニット20ではロープ14がループ状に配置されることになる。
さらにロープユニット20において、ループ状に配置された上下に位置する2本のロープ14の間にクロス(布)、メッシュ部材、金網等と設けてロープ間の隙間を埋めるように構成することもできる。
さらに上記の実施形態ではロープ14の切断を微弱電流を利用して検知する構成を示したが、同様な構成を有する他の切断検知手段として、光ファイバをロープ14に沿って配置し、この光ファイバに光を流す光源を設け、光ファイバの切断の有無(光の導通の有無)に基づいてロープ14の切断を検知するように構成することもできる。
【0037】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)等については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る安全柵は、例えば駅ホーム用のロープ式ホーム柵として利用され、ロープ等の長尺部材で旅客等の動きを規制し、旅客等が線路に転落するのを確実に防止し、さらにロープ等の切断状態や異常な荷重負荷状態を確実に検知する安全柵として利用される。
【符号の説明】
【0039】
10 ロープ式安全柵
11,12 駆動柱
13 床
14 ロープ(ワイヤロープ)
14A,14B ロープの端部
15 駆動装置
15a 可動部材
15b ガイドレール
20 ロープユニット
21,22 端部部材
21a,21b プーリ
22a,22b プーリ
23 ロープ取付け構造部
23A,24B 固定部
24 バネ部材
25 テンションセンサ
26 切断検知回路
27 微弱電源