(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989377
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】排気浄化装置
(51)【国際特許分類】
B60K 13/04 20060101AFI20160825BHJP
F01N 3/02 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
B60K13/04 A
F01N3/02 301H
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-85269(P2012-85269)
(22)【出願日】2012年4月4日
(65)【公開番号】特開2013-212817(P2013-212817A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌裕
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−226298(JP,A)
【文献】
特開2003−239723(JP,A)
【文献】
特開平08−303231(JP,A)
【文献】
特開2009−036041(JP,A)
【文献】
特開2010−269725(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3156146(JP,U)
【文献】
特開2001−227337(JP,A)
【文献】
特開2005−186723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを通過させて浄化する後処理装置を抱持したケーシングの軸心を車幅方向外側に向けた状態とし且つその内側の端部を排気ガスの入側端部として車両のフレームの外側に配置すると共に、該フレームの内側を通して前記後処理装置近傍まで導いた排気管を前記フレームの下を潜らせて前記ケーシングの入側端部におけるガス入口に接続するようにした排気浄化装置であって、前記ガス入口を前記ケーシングの軸心に対し下方に偏心させて配置したことを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
後処理装置が排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタであることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の排気管途中に排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタを備えると共に、該パティキュレートフィルタの下流側に酸素共存下でも選択的にNOxをアンモニアと反応させ得る選択還元型触媒を備え、該選択還元型触媒と前記パティキュレートフィルタとの間に還元剤として尿素水を添加してパティキュレートとNOxの同時低減を図ることが考えられている。
【0003】
そのようにする場合、パティキュレートフィルタと選択還元型触媒の夫々をケーシングにより抱持して車両に搭載しなければならないが、これらは比較的大きな配置スペースを占有するものとなり、該配置スペースを車両のフレームの内側に確保することが困難な車型にあっては、フレームの外側にパティキュレートフィルタや選択還元型触媒のケーシングを装備しなければならない。
【0004】
ただし、フレームの外側には、燃料タンクや尿素水タンク等といった各種の装備品も配置しなければならないため、
図3に一例を示す如く、パティキュレートフィルタ1と選択還元型触媒2とを夫々抱持したケーシング3,4の軸心3x,4xを車幅方向(
図3中の上下方向)の外側(
図3中の上側)に向けた状態として並列に配置し、その並列配置によりケーシング3の出側端部とケーシング4の入側端部とを近接させて相互間を連絡流路5により排気ガス6の流れを折り返すように接続し、フレーム7の長手方向に占める配置スペースを極力小さく抑える措置が採られることがある。
【0005】
ここで、パティキュレートフィルタ1と選択還元型触媒2とを夫々抱持したケーシング3,4は、
図3中に図示されていないサポート部材によりフレーム7側から支持されるようになっている。
【0006】
尚、
図3中における符号の8は選択還元型触媒2を収容している下流側のケーシング4の出側端部に接続されたテールパイプを示す。
【0007】
また、この種の排気浄化装置に関連する先行技術文献情報としては下記の特許文献1、2等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−43078号公報
【特許文献2】特開2009−108685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述の如きレイアウトを採用した場合においては、図示しないエンジンから排気ガス6を導く排気管9はフレーム7の内側(
図3中の下側)を延びてパティキュレートフィルタ1近傍まで到り、前記フレーム7の下を潜って該フレーム7の外側(
図3中におけるフレーム7の上側)でパティキュレートフィルタ1のケーシング3のガス入口3aと接続されることになるが、このガス入口3aは、ケーシング3の入側端部の軸心3xの位置に合わせて配置されていたため、
図4に
図3のIV−IV方向の矢視図を示している通り、パティキュレートフィルタ1のケーシング3の位置が大幅に下がり、該ケーシング3の地上高hが小さくなって悪路走行時等における飛石等により損傷する虞れが高まるという問題があった。
【0010】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、パティキュレートフィルタ等の後処理装置をケーシングにより抱持し且つ該ケーシングの軸心を車幅方向外側に向けた状態で車両のフレームの外側に配置しても地上高を極力大きく確保し得る排気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、排気ガスを通過させて浄化する後処理装置を
抱持したケーシングの軸心を車幅方向外側に向けた状態
とし且つその内側の端部を排気ガスの入側端部として車両のフレームの外側に配置すると共に、該フレームの内側を通して前記後処理装置近傍まで導いた排気管を前記フレームの下を潜らせて前記ケーシングの入側端部におけるガス入口に接続するようにした排気浄化装置であって、前記ガス入口を前記ケーシングの軸心に対し下方に偏心させて配置したことを特徴とするものである。
【0012】
而して、このようにすれば、ガス入口がケーシングの軸心に対し下方に偏心して配置されているので、フレームの内側から該フレームの下を潜らされて外側に張り出す排気管を前記ガス入口に接続するにあたり、ケーシングの位置を僅かに下げるだけでガス入口と排気管とを接続することが可能となり、ケーシングの地上高が極力大きく確保されることになる。
【0013】
また、本発明を具体的に実施するに際し、例えば、後処理装置を排気ガス中のパティキュレートを捕集するパティキュレートフィルタとすることが可能であり、このようにすれば、パティキュレートフィルタのケーシングの地上高を極力大きく確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明の排気浄化装置によれば、パティキュレートフィルタ等の後処理装置をケーシングにより抱持し且つ該ケーシングの軸心を車幅方向外側に向けた状態で車両のフレームの外側に配置しても地上高を極力大きく確保することができ、悪路走行時等における飛石等により前記ケーシングが損傷する虞れを著しく低減することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明を実施する形態の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は本発明を実施する形態の一例を示す側面図で、従来例の説明に用いた
図3のIV−IV矢視に相当する図である。ここで、本形態例の平面視は実質的に
図3と変わるところがないため、以下の説明では
図3を本形態例の平面図に相当するものとして参照する。
【0018】
本形態例の排気浄化装置は、前述の
図3及び
図4で説明したレイアウトの場合と同様に、車両のフレーム7の外側(
図3の上側)において、パティキュレートフィルタ1と選択還元型触媒2とを夫々抱持したケーシング3,4の軸心3x,4xを車幅方向(
図3中の上下方向)の外側(
図3の上側)に向けた状態として並列に配置し、その並列配置によりケーシング3の出側端部とケーシング4の入側端部とを近接させて相互間を連絡流路5により排気ガス6の流れを折り返すように接続した例を示しており、
図3及び
図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0019】
ただし、本形態例においては、上流側のパティキュレートフィルタ1を抱持しているケーシング3の
車幅方向内側の入側端部におけるガス入口3aが前記ケーシング3の軸心3xに対し下方に偏心して配置されており、フレーム7の内側を通してパティキュレートフィルタ1近傍まで導いた排気管9を前記フレーム7の下を潜らせて前記ガス入口3aに接続するようにしている。
【0020】
而して、このようにすれば、ガス入口3aがケーシング3の軸心3xに対し下方に偏心して配置されているので、フレーム7の内側から該フレーム7の下を潜らされて外側に張り出す排気管9を前記ガス入口3aに接続するにあたり、ケーシング3の位置を僅かに下げるだけでガス入口3aと排気管9とを接続することが可能となり、ケーシング3の地上高hが極力大きく確保されることになる。
【0021】
従って、上記形態例によれば、パティキュレートフィルタ1をケーシング3により抱持し且つ該ケーシング3の軸心3xを車幅方向外側に向けた状態で車両のフレーム7の外側に配置しても地上高hを極力大きく確保することができ、悪路走行時等における飛石等により前記ケーシング3が損傷する虞れを著しく低減することができる。
【0022】
図2は本発明の別の形態例を示すもので、前述の
図1の形態例においては、パティキュレートフィルタ1の下流側に選択還元型触媒2を並列に配置した例を示したが、この
図2のように、パティキュレートフィルタ1をケーシング3により抱持して単独で装備したものであっても良く、このようにした場合でも、ガス入口3aを偏心して配置することによって、
図1の形態例の場合と同様にケーシング3の地上高hを極力大きく確保することができる。
【0023】
尚、本発明の排気浄化装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、ケーシングにより抱持される後処理装置は、必ずしもパティキュレートフィルタに限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0024】
1 パティキュレートフィルタ(後処理装置)
3 ケーシング
3a ガス入口
3x 軸心
6 排気ガス
7 フレーム
9 排気管