(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、サイドシールはそもそも塗工液の漏れを抑制するものであるため、そのシール機能を確保するためには平滑面との摺接力をある程度維持する必要がある。このため、溶剤成分の供給のみによってその摩擦力を低減するのは難しい。また、溶剤成分を積極的に追加供給することはその揮発や溶剤臭の拡散を増大させることにつながり、チャンバ型の塗工装置であることの利点を低減させることにもつながる。
【0006】
また、上述したチャンバ型の塗工装置は、コーティング機やグラビア印刷機のみならず、例えばラミネートフィルムを製造するラミネート装置にも備えられる。すなわち、食品包装、医療品・薬品等の包装、化粧品等の包装などのパッケージにはラミネートフィルムが広く用いられるところ、このようなラミネートフィルムは、樹脂フィルムなどの基材シートに接着剤を塗工し、アルミ箔等を貼り合わせることで製造される。この接着剤の塗工にも同様の塗工装置が用いられることがある。特にこのような接着剤は、塗工液としての粘度が比較的低いため、液漏れを生じさせやすい。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、チャンバ型の塗工装置において、版胴とシール部材との摺接部分の良好なシール性能を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の塗工装置は、回転する版胴の版面に液を供給することにより塗工を行う塗工装置であって、版面の側方に液室を画定するチャンバであって、チャンバ本体と、チャンバ本体の側端に設けられ、版面の回転軸方向外側につながる平滑面に先端面にて摺接するシール部材と、チャンバ本体における版胴の回転方向前端部に延在する第1ブレードと、チャンバ本体における版胴の回転方向後端部に延在する第2ブレードと、を備えるチャンバと、平滑面に付着した余分の塗工液を掻き取る掻き取り部材と、を備える。
【0009】
この態様によると、版胴の平滑面とシール部材の先端面との間に摺動摩擦が生じるため、その摺接部分に付着した塗工液が乾きやすくなるところ、掻き取り部材により平滑面に付着した余分の塗工液が掻き取られるため、摺接部分に溶質成分が固化することが防止または抑制される。
【0010】
本発明の別の態様もまた、塗工装置である。この装置は、回転する版胴の版面に液を供給することにより塗工を行う塗工装置であって、版面の側方に液室を画定するチャンバであって、チャンバ本体と、チャンバ本体の側端に設けられ、版面の回転軸方向外側につながる平滑面に先端面にて摺接するシール部材と、チャンバ本体における版胴の回転方向前端部に延在する第1ブレードと、チャンバ本体における版胴の回転方向後端部に延在する第2ブレードと、を備えるチャンバを備える。シール部材が可撓性を有する部材からなり、第1ブレードおよび第2ブレードの少なくとも一方は、その側端部がシール部材の先端面の幅方向内側部分に押し付けられており、シール部材は、その先端面と上記の少なくとも一方の側端部との隙間と、チャンバの外部との接続を、その先端面の幅方向外側部分が遮断するよう構成されている。
【0011】
この態様によると、第1ブレードの側端部がシール部材の幅方向内側部分に押し付けられ、また第2ブレードの側端部がシール部材の幅方向内側部分に押し付けられることにより、シール部材の幅方向外側部分が外壁として機能するようになる。その結果、塗工液の横漏れが防止または抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、チャンバ型の塗工装置において、版胴とシール部材との摺接部分の良好なシール性能を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一実施形態に係る塗工装置は、回転する版胴の版面に液を供給することにより塗工を行うチャンバ型の塗工装置として構成される。チャンバは、チャンバ本体、シール部材、第1ブレードおよび第2ブレードを備え、版面の側方に塗工液室を画定する。シール部材は、チャンバ本体の両側端にそれぞれ設けられる。版胴における版面の両外側には平滑面が設けられ、版胴の回転時にはシール部材の先端面が摺接する。第1ブレードは、チャンバ本体における版胴の回転方向前端部において、一方のシール部材から他方のシール部材にわたるよう版胴の回転軸方向に延在する。一方、第2ブレードは、チャンバ本体における版胴の回転方向後端部において、一方のシール部材から他方のシール部材にわたるよう版胴の回転軸方向に延在する。すなわち、チャンバ本体、一対のシール部材、第1ブレードおよび第2ブレードと、版胴の側面とにより囲まれる空間に塗工液が給排される塗工液室が形成される。このような構成において、版胴の平滑面に付着した余分の塗工液を掻き取るための掻き取り部材が設けられる。掻き取り部材は、その先端縁が版胴の平滑面に向けられるが、チャンバの外部に設けられてもよい。
【0015】
シール部材は可撓性を有する部材からなるものでよい。第1ブレードの側端部がシール部材の幅方向内側部分に押し付けられ、また第2ブレードの側端部がシール部材の幅方向内側部分に押し付けられることにより、シール部材の幅方向外側部分が相対的に盛り上がり、外壁として機能するように構成してもよい。このような構成では、第1ブレードおよび第2ブレードの外側に液漏れが生じることを抑制できるが、塗工液の粘度によってはその外側部分にも塗工液が染み出て付着する場合が想定される。このような場合であっても、掻き取り部材によりその外側部分の余分な塗工液が掻き取られるため、第1ブレードが欠落する部分においても塗工液の固化、およびそれによるシール性能の低下を防止または抑制することができる。
【0016】
掻き取り部材は、版胴の回転軸方向に関して少なくとも第1ブレードの欠落部分に設けられるとよい。また、掻き取り部材を版胴に対して弾性的に圧接させる弾性押圧機構をさらに備えてもよい。例えばばね機構により掻き取り部材に付勢力を与えるものでもよい。このような構成により、塗工液の掻き取りを促進することができる。その場合、掻き取り部材と版胴との間の摩擦力が大きくなるため、掻き取り部材の先端縁と版胴の側面との間に、潤滑剤として塗工液の溶剤成分を供給する潤滑剤供給装置を設けるのが好ましい。また、掻き取り部材に塗工液の固形物が付着するとその掻き取り機能に支障をきたす可能性があるため、掻き取り部材に付着した塗工液の溶質成分を除去するための除去機構を設けるのが好ましい。
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明を具体化した実施例について詳細に説明する。
[第1実施例]
図1は、第1実施例に係る塗工装置を構成するチャンバ周辺の概略構成を表す斜視図である。
図2は、塗工装置のシステム構成を模式的に示す図である。
【0018】
図1に示すように、本実施例の塗工装置1は、ラミネート装置の一部を構成し、ラミネートフィルムを形成する前段階で基材シート10に塗工液としての接着剤(糊)を塗工するものである。すなわち、上流工程から搬送される基材シート10を圧胴12により版胴14に押し付け、その版胴14の版面16に均一に塗布された塗工液を基材シート10の片側面に転写させるものである。その版面16に塗工液を塗布するために、版胴14の側方には塗工液を満たすチャンバ18が対向配置されている。
【0019】
図2にも示すように、塗工液を貯留するタンク20が設けられ、供給管22および戻り管24を介してチャンバ18と接続されている。すなわち、塗工液は、ポンプ26を駆動することによりタンク20から汲み上げられ、供給管22を介してチャンバ18内の塗工液室28に供給される。また、塗工液室28内の塗工液は、戻り管24を介してタンク20に戻される。塗工装置1の作動時にはこのように、塗工液がタンク20とチャンバ18との間で循環し、その過程で版胴14の版面16に塗布される。
【0020】
チャンバ18は、チャンバ本体30、一対のサイドシール32(「シール部材」に対応する)、上刃34(「第1ブレード」に対応する)および下刃36(「第2ブレード」に対応する)を備える。チャンバ本体30は、概ね断面C字状の直方体形状をなし、その開口部が版胴14の側面に対向配置されている。一対のサイドシール32は、チャンバ本体30の両側端をそれぞれ覆うように設けられる。サイドシール32は可撓性を有する合成樹脂製の発泡材料等からなり、その先端面が版胴14の側面に沿う曲面となっている。版胴14の版面16の外側には平滑面17がつながっており(
図1参照)、サイドシール32の先端面はその平滑面17に摺接する。
【0021】
一方、チャンバ本体30の上端部に上刃34が設けられ、下端部に下刃36が設けられている。上刃34は、矩形状の鋼板材等からなり、図中矢印にて版胴14の回転方向を示すように、チャンバ本体30における版胴の回転方向前端部に設けられる。上刃34は、一対のサイドシール32の一方から他方にわたるよう版胴14の回転軸方向に延在し、その先端縁(下端縁)が版胴14の周面に摺接する。一方、下刃36は、矩形状の合成樹脂製の板材等からなり、チャンバ本体30における版胴の回転方向後端部に設けられ、一対のサイドシール32の一方から他方にわたるよう版胴14の回転軸方向に延在し、その先端縁(上端縁)が版胴14の周面に摺接する。各ブレードは、ブレード押さえ板38によりチャンバ本体30に対して固定される。
【0022】
図3は、チャンバにおけるシール部の詳細を模式的に示す図である。
図3(A)はチャンバの開口部側からみたサイドシール周辺の構造を示し、
図3(B)はそのA方向矢視図である。
図4は、サイドシールの組み付け方法を示す説明図である。
図4(A)〜(D)はその組み付け過程を示し、
図4(B)および(D)は
図3(A)のB−B矢視断面を示す。
図5は、
図4(A)および(C)のC部拡大図である。
【0023】
図3(A)に示すように、チャンバ本体30の側端開口部を覆うようにサイドシール32が配置されている。サイドシール32は、その外側に配置されるシール押さえ板40を図示しないボルトを介してチャンバ本体30に締結することにより、チャンバ本体30とシール押さえ板40との間に挟まれるようにして固定される。シール押さえ板40は、鋼板をサイドシール32の形状に沿うように加工したものである。一対のブレード押さえ板38の側端はそれぞれサイドシール32の外端に及んでおり、サイドシール32が版胴14側へ抜けることを防止する。
【0024】
上刃34は、その側端部がサイドシール32の先端面にオーバラップするが、その側端縁がサイドシール32の内側端と外側端との中間に位置するように構成されている。具体的には、そのオーバラップ長さLがサイドシール32の幅Wの1/2程度となるようにされている。
図3(B)に示すように、上刃34は、その側端部がサイドシール32の上面に押し付けられることにより、サイドシール32の外側部分とほぼ面一となっている。下刃36も同様に、その側端部がサイドシール32の内側端と外側端との中間に位置するように構成されている。下刃36もその側端部がサイドシール32の上面に押し付けられ、サイドシール32の外側部分とほぼ面一となっている。
【0025】
すなわち、サイドシール32の位置決めに際しては、
図4(A)に示すように、サイドシール32をチャンバ本体30の側端を覆うように突き当てる。このとき、
図4(B)に示すように、上刃34および下刃36の下面とサイドシール32の上面とが当接する。この状態からサイドシール32をやや版胴14の側、つまり上刃34および下刃36の側に変位させることにより、
図4(C)に示すように、サイドシール32の先端面が版胴14の平滑面17に摺接可能となる。
【0026】
このとき、
図4(D)に示すように、上刃34および下刃36は、サイドシール32の幅方向内側部分32aに押し付けられ、サイドシール32に対して少しめり込んだ状態となる。それにより、サイドシール32の幅方向外側部分32bが外壁となり、塗工液室28から塗工液が流出しそうになってもこれを堰き止め、シールとして機能するようになる(図中太線矢印参照)。
【0027】
すなわち、仮に
図5(A)に示すように、例えば上刃34をサイドシール32の上面に突き当てただけでは、上刃34の介在により版胴14の平滑面17とサイドシール32との間に隙間CL1が形成される。また
図5(B)に示すように、サイドシール32の曲面部を短くして平滑面17に当接させたとしても、上刃34の介在により平滑面17とサイドシール32との間に隙間CL2が形成される。このような隙間が形成されると、塗工液がその隙間を通って外部に漏れ出てしまう。なお、下刃36についても同様である。
【0028】
この点、本実施例では、
図5(C)に示すように、上刃34の側端部をサイドシール32にめり込ませ、そのサイドシール32の先端面と上刃34の先端縁が平滑面17に摺接するようにしている。下刃36についても同様である。その結果、チャンバ18の側端に隙間が形成されなくなり、塗工液の漏れ出しを防止できるようになる。
【0029】
図2に戻り、このようにチャンバ本体30の開口部を一対のサイドシール32、上刃34および下刃36にて囲み、それぞれの先端部を版胴14の周面に摺接させることにより、外部に対して閉じた塗工液室28が形成される。塗工液室28に導入された塗工液は、回転する版胴14の版面16に供給されて付着する。サイドシール32および下刃36は、塗工液室28の塗工液が外部に漏れ出ないようにシールする。上刃34は、版胴14から余分な塗工液を掻き取り、版面16における塗工液の均一な塗布状態を維持する。
【0030】
ところで、以上のような構成によりチャンバ18の外側に液漏れが生じることを抑制できるものの、サイドシール32と版胴14との摩擦熱により塗工液の溶質成分が摺接部分において固化するようなことがあると、サイドシール32のシール性能の低下につながる虞がある。そこで本実施例では、版胴14のチャンバ18に対して反対側に掻き取り装置50を設けている。
【0031】
掻き取り装置50は、ブレードユニット52および潤滑剤供給装置54を備える。ブレードユニット52は、版胴14の平滑面17に先端縁が向けられるクリーニングブレード56(「掻き取り部材」に対応する)、クリーニングブレード56を平滑面17の側に付勢するばね機構58(「弾性押圧機構」に対応する)、クリーニングブレード56に付着した塗工液の溶質成分を除去するための除去機構60を備える。
【0032】
潤滑剤供給装置54は、潤滑剤として塗工液の溶剤成分を貯留するタンク62と、タンク62からクリーニングブレード56に延びる供給管64と、タンク62内の潤滑剤を供給管64に送り出す圧送装置66を含む。供給管64の先端には、クリーニングブレード56に向けられたノズルが設けられている。ただし、本実施例では、潤滑剤をクリーニングブレード56に少量ずつ滴下する程度に留めることで、溶剤成分の揮発による作業環境への影響を極力少なくしている。
【0033】
図6は、ブレードユニット周辺を示す説明図であり、
図2のD方向矢視図に相当する。クリーニングブレード56は、版胴14の回転軸方向に関して少なくとも上刃34の欠落部分に設けられている。具体的には図示のように、クリーニングブレード56は、その先端縁が少なくとも版胴14の平滑面17の全体に当接できるよう平滑面17よりもやや大きい幅を有する。クリーニングブレード56は、平滑面17に押し付けられることで、その平滑面17に付着した余分の塗工液を掻き取る。その際、摩擦熱を抑えるよう供給管64のノズルから適量の塗工液が滴下される。それにより、平滑面17に溶質成分の固形物が付着することを防止でき、サイドシール32のシール性能の低下を防止することができる。
【0034】
図2に戻り、クリーニングブレード56は、ばね機構58により版胴14に対して適度に押し付けられることにより、その先端縁にて余分の塗工液を掻き取る。このとき、掻き取られた塗工液の溶質成分が刃先に滞留して固化することのないよう、除去機構60を作動させる。本実施例では、除去機構60としてブレードユニット52の本体から延びる爪部材がクリーニングブレード56の先端近傍まで延出している。作業員が適度なタイミングでクリーニングブレード56を手前(図中左側)に引くことで、クリーニングブレード56が手前側にスライドする。それにより、除去機構60の先端がクリーニングブレード56の上端面に付着した塗工液を削ぎ取る形でその溶質成分を除去することができる。
【0035】
以上に説明したように、本実施例の塗工装置1においては、
図3に示したように、上刃34および下刃36のそれぞれの側端部がサイドシール32の幅方向内側部分に押し付けられることにより、サイドシール32の幅方向外側部分が外壁として機能するようになり、塗工液の横漏れが防止または抑制される。また、版胴14の平滑面17とサイドシール32の先端面との間に摺動摩擦が生じるため、その摺接部分に付着した塗工液が乾きやすくなるところ、クリーニングブレード56により平滑面17に付着した余分の塗工液が掻き取られるため、摺接部分に溶質成分が固化することが防止または抑制される。
【0036】
[第2実施例]
本実施例に係る塗工装置は、クリーニングブレードの構成が異なる以外は第1実施例とほぼ同様である。このため、第1実施例と同様の構成部分については同一の符号を付すなどしてその説明を省略する。
図7は、第2実施例に係るブレードユニット周辺を示す説明図であり、
図6に対応する。
図7(A)は第2実施例に係るクリーニングブレードの構成を示し、
図7(B)はその変形例を示す。
【0037】
図7(A)に示すように、本実施例では、クリーニングブレード256の先端縁が、平滑面17における上刃34の欠落部分に当接するものの、平滑面17の内端には及ばない幅を有する。すなわち、クリーニングブレード256は、平滑面17の幅全体にわたっては当接しない構成となっている。平滑面17におけるサイドシール32との摺接部分であって、上刃34により塗工液を掻き取ることができない範囲をクリーニングブレード256により補うという考えのもと、最低限の構成を備えるものである。
【0038】
なお、変形例においては逆に、
図7(B)に示すように、クリーニングブレード258を版胴14の幅全体にわたって延在するように設けてもよい。その場合、クリーニングブレード258の先端縁の全体を版胴14の周面に摺接させてもよいが、潤滑剤の消費が多くならぬよう、
図6に対応する箇所または
図7(A)に対応する箇所を限定的に摺接させるよう刃先の形状を調整してもよい。塗工液の固化は摩擦力の大きい平滑面17にて発生しやすいと考えられるため、そのようにクリーニングブレードによって掻き取る部分を限定してもよい。
【0039】
[第3実施例]
本実施例に係る塗工装置は、ブレードユニット52をチャンバに設ける点が異なる以外は第1,第2実施例とほぼ同様である。このため、第1,第2実施例と同様の構成部分については同一の符号を付すなどしてその説明を省略する。
図8は、第3実施例に係るチャンバにおけるシール部の詳細を模式的に示す図である。
図8(A)はチャンバの開口部側からみたサイドシール周辺の構造を示し、
図8(B)はそのA方向矢視図である。
【0040】
本実施例では、ブレードユニット52がチャンバ318に設けられている。具体的には
図8(A)に示すように、サイドシール332における上刃34と下刃36との中間部に外側に切り欠いた凹部330が設けられている。一方、押さえ板340の凹部330との対向部にはスリット341が設けられ、その下端部に凹部330と嵌合する凸部342が設けられている。そして、ブレードユニット52がそのスリット341の部分に収容されるように設けられている。
【0041】
図8(B)に示すように、クリーニングブレード56の先端縁が版胴14の平滑面17に押し付けられるように配置される。本実施例においてもばね機構58がクリーニングブレード56に対して適度な付勢力を与える。
図8(A)に示すように、クリーニングブレード56は、サイドシール332の外側部分に位置し、その内端位置が上刃34および下刃36の側端位置よりも内側(チャンバ本体30側)に位置するように設定されている(L1<L)。一方、クリーニングブレード56の先端縁の幅は、サイドシール332における上刃34および下刃36の外側部分の長さよりも大きく設定されている(W1>W−L)。
【0042】
このような構成により、平滑面17におけるサイドシール332との摺接部分であって、上刃34により塗工液を掻き取ることができない範囲をクリーニングブレード56により掻き取ることが可能とされている。一方、ブレードユニット52をサイドシール332の外側部分に配置することで、そのサイドシール332のシール性能を阻害しないようにされている。
【0043】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0044】
上記実施例においては、
図6および
図7に示したように、クリーニングブレード56,256の幅を、その先端縁が平滑面17の外端まで当接できるように設定する例を示した。変形例においては、クリーニングブレードの先端縁が平滑面17の外端にまで及ばなくとも、サイドシールの外端まで及ぶ幅としてもよい。
【0045】
上記実施例においては、
図2に示したように、クリーニングブレード56をチャンバ18の外側に配置する場合の一つの配置例を示したが、これとは異なる位置に配置してもよい。例えば、上刃34と圧胴12との間に配置してもよいし、下刃36の近傍に配置してもよい。
【0046】
上記実施例においては、弾性押圧機構として、クリーニングブレード56を平滑面17の側に付勢するばね機構58を例示したが、例えば空圧駆動によりクリーニングブレード56を平滑面17に押しつける構成を採用してもよい。
【0047】
上記実施例においては、除去機構60として位置固定された爪部材を設け、作業員がクリーニングブレード56を手前側にスライドさせることで、その爪部材によりクリーニングブレード56に付着した塗工液の溶質成分を除去する構成を示した。変形例においては、爪部材をスライド可能に構成し、作業員がその爪部材をスライドさせることによりクリーニングブレード56に付着した溶質成分を除去する構成としてもよい。また、クリーニングブレード56や爪部材を手動でスライドさせるのではなく、それらを自動的にスライドさせる駆動部を設け、所定タイミングでその駆動部を動作させるようにしてもよい。
【0048】
なお、上記実施例では述べなかったが、上刃34は必ずしも刃状であることは要せず、版胴14から余分な塗工液を掻き取り、版面16における塗工液の均一な塗布状態を維持できるものであれば、いかなる形状も採用することができる。また、下刃36についても、塗工液室28を画成し、塗工液室28の塗工液が外部に漏れ出ないようにシールできるものであれば、刃状である必要はなく、いかなる形状も採用することができる。さらに、クリーニングブレード56についても、平滑面17に付着した余分の塗工液を掻き取ることができるものであれば、刃状である必要はなく、いかなる形状も採用することができる。
【0049】
上記実施例においては、塗工装置をラミネート装置に適用する例を示したが、コーティング機やグラビア印刷機等その他の装置に適用することもできる。