(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
始動条件の成立に基づき、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームの結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
遊技盤の遊技領域内へ遊技球を発射する発射手段と、
当該発射手段により発射される遊技球の発射勢を調整する発射調整手段と、
遊技を統括的に制御する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段での制御に利用する乱数値を生成する乱数生成手段と、
前記遊技領域内に設けられた遊技球の入賞を第1始動条件とする第1始動入賞領域と、
前記遊技領域内に前記第1始動入賞領域とは別に設けられた遊技球の入賞を第2始動条件とする第2始動入賞領域と、
前記遊技制御手段の指令に基づいて遊技の進行に関連する演出を制御する演出制御手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、
前記乱数生成手段が生成する乱数値を任意のタイミングで取得し、取得した乱数値を遊技制御に利用し、
前記第2始動入賞領域への入賞に対応する変動表示である第2変動表示ゲームを、前記第1始動入賞領域への入賞に対応する変動表示である第1変動表示ゲームに優先して実行し、
前記発射手段は、
予め定められた発振周波数の発振信号を発生させる発振手段と、
前記発振信号と前記発射調整手段からの信号とに基づいて発射を制御する発射制御手段と、
所定のパルス数の駆動信号が印加されることで単位動作を行い、当該発射制御手段により遊技球を発射するための球発射杵の駆動を行う駆動源と、
予め定められた分周比により、前記発振周波数の調整を行う分周回路と、を備え、
前記乱数生成手段により生成される乱数値の大きさをmの整数倍の値、乱数値の生成周波数をMの整数倍の値とし、乱数値の生成周期をm/Mで表わせるように倍数を設定したとき、当該m/Mの分子を構成するm値と分母を構成するM値とは、互いに素となる整数であり、
前記駆動源による1回の発射に要する駆動パルス数と前記分周回路による分周比との積を前記発振手段の発振周波数で割ることで得られる発射周期をn/Nで表わしたとき、当該n/Nの分子を構成するn値と分母を構成するN値とは、互いに素となる整数であり、
前記m値とn値との積値mnを、前記N値とm値との積値Nmと前記M値とn値との積値Mnとの最大公約数Gcd(Nm,Mn)で割った値Dは、前記第2変動表示ゲームの最大変動時間よりも長く、
前記発射周期と前記乱数生成手段ですべての乱数値が生成される周期との同期間隔は、前記第2変動表示ゲームの最大変動時間よりも長く前記値Dと等しくなるように設定されていることを特徴とする遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の遊技機の説明図である。
本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。前面に遊技領域を有する遊技盤は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(内枠)12には、遊技盤の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠15が取り付けられている。
【0016】
また、ガラス枠15の上部には、内部にランプ及びモータを内蔵した照明装置(ムービングライト)16や払出異常報知用のランプ(LED)17が設けられている。また、ガラス枠15の左右には内部にランプ等を内蔵し装飾や演出のための発光をする枠装飾装置18や、音響(例えば、効果音)を発するスピーカ(上スピーカ)19aが設けられている。さらに、前面枠12の下部にもスピーカ(下スピーカ)19bが設けられている。
また、前面枠12の下部には、後述の打球発射装置に遊技球を供給する上皿21、遊技機10の裏面側に設けられている球払出装置から払い出された遊技球が流出する上皿球出口22、上皿21が一杯になった状態で払い出された遊技球を貯留する下皿23aを有する下皿ユニット25及び打球発射装置の操作ハンドル24等が設けられている。さらに、上皿21の上縁部には、遊技者からの操作入力を受け付けるための操作スイッチを内蔵した演出ボタン25が設けられている。
【0017】
この実施形態の遊技機10においては、遊技者が上記操作ハンドル24を回動操作することによって、打球発射装置が、上皿21から供給される遊技球を遊技盤前面の遊技領域に向かって発射する。また、遊技者が演出ボタン25を操作することによって、遊技領域に設けられている表示装置(図示省略)における変動表示ゲーム(飾り特図変動表示ゲーム)において、遊技者の操作を介入させた演出等を行わせることができる。
さらに、上皿21上方のガラス枠15の前面には、遊技者が隣接する球貸機から球貸しを受ける場合に操作する球貸ボタン27、球貸機のカードユニットからプリペイドカードを排出させるために操作する排出ボタン28、プリペイドカードの残高を表示する残高表示部(図示省略)等が設けられている。
【0018】
図2は、本実施形態の遊技機10のガラス枠を開放した状態を示す斜視図である。
図2において、
図1に示されている部品および部材には同一の符号を付して承服した説明は省略する。
図2に示すように、前面枠12の前面であってガラス枠15の背後に相当する位置には、球払出装置46から払い出された遊技球を上皿21へ払い出すための球払出口47が設けられ、ガラス枠15の裏面には、球払出口47から払い出された遊技球を上皿21へ誘導する上皿連通路48が設けられている。
また、前面枠12の前面の下部であって上記操作ハンドル24の上方には、球発射杵と該球発射杵を駆動する駆動源を有する打球発射装置としての発射ユニット72が配設され、該発射ユニット72の左方には右下がりに傾斜した発射レール73が設けられ、発射ユニット72と発射レール73とによって遊技球発射装置が構成される。さらに、下皿23の奥部には、球払出装置46より払い出され上皿21からオーバーフローした遊技球が流出する下皿球出口23aが設けられている。
【0019】
次に、遊技盤30について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態の遊技盤30の正面図である。
遊技盤30の表面には、ガイドレール31で囲われた略円形状の遊技領域32が形成されている。遊技領域32は、遊技盤30の四隅に各々設けられた樹脂製のサイドケース33及びガイドレール31に囲繞されて構成される。
この実施例の遊技盤においては、遊技領域32のほぼ中央に表示装置41を備えたセンターケース40が配置されている。表示装置41は、センターケース40に設けられた凹部に、センターケース40の前面より奥まった位置に取り付けられ、センターケース40の中央に形成された開口窓部より表示装置41の表示部が臨むように配置されている。即ち、センターケース40の周縁部には装飾部材が形成され表示装置41の表示領域の周囲を囲い、表示装置41の表示面よりも前方へ突出するように形成されている。
【0020】
表示装置41は、例えば、LCD(液晶表示器)、CRT(ブラウン管)等の表示画面を有する装置で構成されている。表示画面の画像を表示可能な領域(表示領域)には、複数の識別情報(特別図柄)や特図変動表示ゲームを演出するキャラクタや演出効果を高める背景画像等が表示される。表示装置41の表示画面においては、識別情報として割り当てられた複数の特別図柄が変動表示(可変表示)されて、特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームが行われる。また、表示画面には遊技の進行に基づく演出のための画像(例えば、大当り表示画像、ファンファーレ表示画像、エンディング表示画像等)が表示される。
【0021】
さらに、本実施形態では、遊技領域32のセンターケース40の左側に、普通図柄始動ゲート(普図始動ゲート)34が設けられている。センターケース40の左下側には、三つの一般入賞口35が配置され、センターケース40の右下側には、一つの一般入賞口35が配置されている。
これら一般入賞口35、…には、各一般入賞口35に入った遊技球を検出するための入賞口スイッチ35a〜35n(
図4参照)が配設されている。
また、センターケース40の下方には、特図変動表示ゲームの開始条件を与える始動入賞口36が設けられ、その直下には上部に逆「ハ」の字状に開いて遊技球が流入し易い状態に変換する一対の可動部材37bを備えるとともに内部に第2始動入賞口を有する普通変動入賞装置(普電)37が配設されている。
【0022】
普通変動入賞装置37の一対の開閉部材37bは、常時は遊技球の直径程度の間隔をおいた閉じた閉状態(遊技者にとって不利な状態)を保持している。ただし、普通変動入賞装置37の上方には、始動入賞口36が設けられているので、閉じた状態では遊技球が入賞できないようになっている。
そして、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合には、駆動装置としての普電ソレノイド37c(
図4参照)によって、逆「ハ」の字状に開いて普通変動入賞装置37に遊技球が流入し易い開状態(遊技者にとって有利な状態)に変化させられるようになっている。
さらに、普通図柄始動ゲート34の下方には、特図変動表示ゲームの結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)38が配設されている。
【0023】
特別変動入賞装置38は、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉を有しており、補助遊技としての特図変動表示ゲームの結果如何によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換する。
即ち、特別変動入賞装置38は、例えば、駆動装置としての大入賞口ソレノイド38b(
図4参照)により駆動される開閉扉によって開閉される大入賞口を備え、特別遊技状態中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせ、遊技者に所定の遊技価値(賞球)を付与するようになっている。
【0024】
なお、大入賞口の内部(入賞領域)には、当該大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段としてのカウントスイッチ38a(
図4参照)が配設されている。
さらに、特別変動入賞装置38の下方には、入賞口などに入賞しなかった遊技球を回収するアウト口39が設けられている。
また、遊技領域32の外側(例えば、遊技盤30の右下部)には、特図変動表示ゲームをなす第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲーム及び普図始動ゲート34への入賞をトリガとする普図変動表示ゲームを一箇所で実行する一括表示装置50が設けられている。
【0025】
一括表示装置50は、7セグメント型の表示器等で構成された第1特図変動表示ゲーム用の第1特図変動表示部(特
図1表示器)51及び第2特図変動表示ゲーム用の第2特図変動表示部(特
図2表示器)52と、LEDランプで構成された普図変動表示ゲーム用の変動表示部および各変動表示ゲームの始動記憶数報知用の記憶表示部を有するLED表示部53とを備える。また、一括表示装置50のLED表示部53には、大当りが発生すると点灯して大当り発生を報知する第1遊技状態表示部(第1遊技状態表示器)、時短状態が発生すると点灯して時短状態発生を報知する第2遊技状態表示部(第2遊技状態表示器)、遊技機10の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態となっているエラーを表示するエラー表示部(第3遊技状態表示器)、大当り時のラウンド数(特別変動入賞装置38の開閉回数)を表示するラウンド表示部が設けられている。
【0026】
特
図1表示器51と特
図2表示器52における特図変動表示ゲームは、例えば変動表示ゲームの実行中、即ち、表示装置41において飾り特図変動表示ゲームを行っている間は、中央のセグメントを点滅駆動させて変動中であることを表示する。そして、ゲームの結果が「はずれ」のときは、はずれの結果態様として例えば中央のセグメントを点灯状態にし、ゲームの結果が「当り」のときは、当りの結果態様(特別結果態様)としてはずれの結果態様以外の結果態様(例えば「3」や「7」の数字等)を点灯状態にしてゲーム結果を表示する。
このように、表示装置41とは別に、特図変動表示ゲームを実行する特
図1表示器51と特
図2表示器52が設けられているため、表示装置41では当該遊技機の変動表示ゲームに関する演出ではなく他の遊技機の演出と連動した演出を行うようにしても、当該遊技機の本来の変動表示ゲームはきちんと実行することができる。
【0027】
LED表示部53の普図表示器は、変動中はランプを点滅させて変動中であることを表示する。そして、ゲームの結果が「はずれ」のときは、例えばランプを消灯状態にし、ゲームの結果が「当り」のときはランプを点灯状態にしてゲーム結果を表示する。
特
図1保留表示器は、特
図1表示器51の変動開始条件となる始動入賞口36への入賞球数のうち未消化の球数(始動記憶数=保留数)を表示する。具体的には、保留数が「0」のときは4つのランプを全て消灯状態にし、保留数が「1」のときはランプ1のみを点灯状態にする。また、保留数が「2」のときはランプ1と2を点灯状態にし、保留数が「3」のときはランプ1と2と3を点灯状態にし、保留数が「4」のときは4つのランプ1〜4をすべて点灯状態にする。
【0028】
LED表示部53の特
図2保留表示器は、特
図2表示器52の変動開始条件となる第2始動入賞口(普通変動入賞装置37)の始動記憶数(=保留数)を、特
図1保留表示器と同様にして表示する。
普図保留表示器は、普図表示器の変動開始条件となる普図始動ゲート34の始動記憶数(=保留数)を表示する。例えば保留数が「0」のときはランプ1と2を消灯状態にし、保留数が「1」のときはランプ1のみを点灯状態にする。また、保留数が「2」のときはランプ1と2を点灯状態にし、保留数が「3」のときはランプ1を点滅、ランプ2を点灯状態にし、保留数が「4」のときはランプ1と2を点滅状態にする。
【0029】
第1遊技状態表示器は、例えば通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生している場合にはランプを点灯状態にする。第2遊技状態表示器は、例えば通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、時短状態が発生している場合にはランプを点灯状態にする。第3遊技状態表示器は、例えば遊技機10の電源投入時に大当りの確率状態が低確率状態の場合にはランプを消灯状態にし、遊技機10の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態の場合にはランプを点灯状態にする。
ラウンド表示部は、例えば、通常の遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、大当りが発生した場合にはその大当りのラウンド数に対応するランプ(2ラウンドor15ラウンド)を点灯状態にする。なお、ラウンド表示部は7セグメント型の表示器で構成してもよい。
【0030】
本実施形態の遊技機10では、図示しない発射装置から遊技領域32に向けて遊技球(パチンコ球)が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域32内の各所に配置された障害釘や風車等の方向転換部材によって転動方向を変えながら遊技領域32を流下し、普図始動ゲート34、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37又は特別変動入賞装置38に入賞するか、遊技領域32の最下部に設けられたアウト口39へ流入し遊技領域から排出される。そして、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37又は特別変動入賞装置38に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が、払出制御装置200によって制御される払出ユニットから、前面枠の上皿又は下皿に排出される。
【0031】
一方、普図始動ゲート34内には、該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するための非接触型のスイッチなどからなるゲートスイッチ34a(
図4参照)が設けられており、遊技領域32内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34内を通過すると、ゲートスイッチ34aにより検出されて普図変動表示ゲームが行われる。
また、普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われ、その普図変動表示ゲームが終了していない状態や、普図変動表示ゲームが当って普通変動入賞装置37が開状態に変換されている場合に、普図始動ゲート34を遊技球が通過すると、普図始動記憶数の上限数未満でならば、普図始動記憶数が加算(+1)されて普図始動記憶が1つ記憶されることとなる。この普図始動入賞の記憶数は、一括表示装置50のLED表示部53の始動入賞数報知用の記憶表示部に表示される。
【0032】
また、普図始動記憶には、普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されるようになっていて、この当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様(特定結果)が導出されることとなる。
普図変動表示ゲームは、一括表示装置50に設けられたLED表示部53の変動表示部(普図表示器)で実行されるようになっている。普図表示器は、普通識別情報(普図、普通図柄)として点灯状態の場合に当たりを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、LEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。
【0033】
なお、普通識別情報として例えば数字、記号、キャラクタ図柄などを用い、これを所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うように構成しても良い。この普図変動表示ゲームの停止表示が特定結果となれば、普図の当りとなって、普通変動入賞装置37の一対の可動部材37bが所定時間(例えば、0.3秒間)開放される開状態となる。これにより、普通変動入賞装置37の内部の第2始動入賞口へ遊技球が入賞し易くなり、第2特図変動表示ゲームが実行される回数が多くなる。
普図始動ゲート34への通過検出時に抽出した普図乱数値が当たり値であるときには、LED表示部53の普図表示器に表示される普通図柄が当たり状態で停止し、当たり状態となる。このとき、普通変動入賞装置37は、内蔵されている普電ソレノイド37c(
図4参照)が駆動されることにより、可動部材37bが所定の時間(例えば、0.3秒間)だけ開放する状態に変換され、遊技球の入賞が許容される。
【0034】
始動入賞口36への入賞球及び普通変動入賞装置37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出される。始動入賞口36へ入賞した遊技球は第1特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、普通変動入賞装置37へ入賞した遊技球は第2特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶される。
また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(
図4参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の記憶表示部に表示されるとともに、センターケース40の表示装置41においても表示される。
【0035】
遊技制御装置100は、始動入賞口36若しくは普通変動入賞装置37への入賞、又はそれらの始動記憶に基づいて、一括表示装置50に設けられた特
図1表示器51または特
図2表示器52(変動表示装置)で第1または第2特図変動表示ゲームを行う。
第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームは、複数の特別図柄(特図、識別情報)を変動表示したのち、所定の結果態様を停止表示することで行われる。また、表示装置41にて各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
そして、特図変動表示ゲームの結果として、特
図1表示器51若しくは特
図2表示器52の表示態様が特別結果態様となった場合には、大当りとなって特別遊技状態(いわゆる、大当り状態)となる。また、これに対応して表示装置41の表示態様も特別結果態様となる。なお、この実施例では、特
図2表示器の第2変動表示ゲームで停止結果態様が特別結果態様となった場合には、特
図1表示器の第1変動表示ゲームで停止結果態様が特別結果態様となった場合よりも、遊技者に付与する利益(例えばラウンド数)が多くなるように設定されている。
【0036】
表示装置41における飾り特図変動表示ゲームは、例えば前述した数字等で構成される飾り特別図柄(識別情報)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)の順に変動表示を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。また、表示装置41では、特図始動記憶数に対応する飾り特別図柄による変動表示ゲームを行うとともに、興趣向上のためにキャラクタの出現など多様な演出表示が行われる。
なお、特
図1表示器51、特
図2表示器52は、別々の表示器でも良いし同一の表示器でも良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように各特図変動表示ゲームが表示される。また、表示装置41も、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームで別々の表示装置や別々の表示領域を使用するとしても良いし、同一の表示装置や表示領域を使用するとしても良いが、各々独立して、また、同時には実行しないように飾り特図変動表示ゲームが表示される。
【0037】
また、第2特図変動表示ゲームは、第1特図変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっている。即ち、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームの始動記憶がある場合であって、特図変動表示ゲームの実行が可能となった場合は、第2特図変動表示ゲームが実行されるようになっている。
また、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態で、且つ、始動記憶数が0の状態で、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動権利の発生に伴って始動記憶が記憶されて、始動記憶数が1加算されるととともに、直ちに始動記憶に基づいて、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始され、この際に始動記憶数が1減算される。
【0038】
一方、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が直ちに開始できない状態、例えば、既に第1若しくは第2特図変動表示ゲームが行われ、その特図変動表示ゲームが終了していない状態や、特別遊技状態となっている場合に、始動入賞口36(若しくは、普通変動入賞装置37)に遊技球が入賞すると、始動記憶数が上限数未満ならば、始動記憶数が1加算されて始動記憶が1つ記憶されることになる。そして、始動記憶数が1以上となった状態で、第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始可能な状態(前回の特図変動表示ゲームの終了若しくは特別遊技状態の終了)となると、始動記憶数が1減算されるとともに、記憶された始動記憶に基づいて第1特図変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム)が開始される。
なお、以下の説明において、第1特図変動表示ゲームと第2特図変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
【0039】
なお、特に限定されるわけではないが、上記始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aには、磁気検出用のコイルを備え該コイルに金属が近接すると磁界が変化する現象を利用して遊技球を検出する非接触型の磁気近接センサ(以下、近接スイッチと称する)が使用されている。遊技機10のガラス枠等に設けられた前枠開放検出スイッチ63や前面枠(遊技枠)等に設けられた遊技枠開放検出スイッチ64には、機械的な接点を有するマイクロスイッチを用いることができる。
【0040】
図4は、本実施形態のパチンコ遊技機10の制御システムの構成例を示す。
遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。
上記CPU部110は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン(CPU)111と、入力部120内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン111に入力させるインバータなどからなる反転回路112と、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)113などを有する。遊技制御装置100及び該遊技制御装置100によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置400で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能にされる。
【0041】
電源装置400は、24Vの交流電源から上記DC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V,DC5Vなどのより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータなどを有する通常電源部410と、遊技用マイコン111の内部のRAMに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部420と、停電監視回路や初期化スイッチを有し遊技制御装置100に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの制御信号を生成して出力する制御信号生成部430などを備える。
この実施形態では、電源装置400は、遊技制御装置100と別個に構成されているが、バックアップ電源部420及び制御信号生成部430は、別個の基板上あるいは遊技制御装置100と一体、即ち、主基板上に設けるように構成してもよい。遊技盤30及び遊技制御装置100は機種変更の際に交換の対象となるので、実施形態のように、電源装置400若しくは主基板とは別の基板にバックアップ電源部420及び制御信号生成部430を設けることにより、交換の対象から外しコストダウンを図ることができる。
【0042】
上記バックアップ電源部420は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111(特に内蔵RAM)に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAMに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部430は、例えば通常電源部410で生成された32Vの電圧を監視してそれが例えば17V以下に下がると停電発生を検出して停電監視信号を変化させるとともに、所定時間後にリセット信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。
初期化スイッチ信号は初期化スイッチがオン状態にされたときに生成される信号で、遊技用マイコン111内のRAM111C及び払出制御装置200内のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する。特に限定されるわけではないが初期化スイッチ信号は電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン111が実行するメインプログラムのメインループの中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。
【0043】
遊技用マイコン111は、遊技を統括的に制御する遊技制御手段を構成している。具体的には、遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)111A、読出し専用のROM(リードオンリメモリ)111B及び随時読出し書込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)111C、変動表示ゲームにおける大当りの発生など遊技の制御に使用する乱数を生成する乱数生成回路111Dを備える。
ROM111Bは、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ、各種乱数の判定値等)を不揮発的に記憶し、RAM111Cは、遊技制御時にCPU111Aの作業領域や各種信号や乱数値の記憶領域として利用される。ROM111B又はRAM111Cとして、EEPROMのような電気的に書換え可能な不揮発性メモリを用いてもよい。乱数生成回路111Dを備えるCPUを使用する代わりに、プログラムで乱数を生成するようにしても良い。
【0044】
また、ROM111Bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターンを決定するための変動パターンテーブルを記憶している。
変動パターンテーブルとは、始動記憶として記憶されている変動パターン乱数1〜3をCPU111Aが参照して変動パターンを決定するためのテーブルである。また、変動パターンテーブルには、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターンテーブル、結果が15R当りや2R当りとなる場合に選択される大当り変動パターンテーブル等が含まれる。さらに、これらのパターンテーブルには、後半変動パターンテーブル、前半変動パターンテーブルが含まれている。
【0045】
また、リーチ(リーチ状態)とは、表示状態が変化可能な表示装置を有し、該表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特別遊技状態)となる遊技機10において、複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態をいう。また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、表示装置の変動表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、特別結果態様となる表示条件からはずれていない表示態様をいう。そして、例えば、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。また、リーチ状態とは、表示装置の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、表示結果が導出表示される以前に決定されている複数の変動表示領域の表示結果の少なくとも一部が特別結果態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
【0046】
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応して表示装置に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中の順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。またこの他に、すべての変動表示領域の変動表示を一旦停止した時点で、左、中、右のうち何れか二つの変動表示領域で特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報となった状態、ただし特別結果態様は除く)をリーチ状態とし、このリーチ状態から残りの一つの変動表示領域を変動表示するようにしても良い。
【0047】
そして、このリーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様が導出される可能性が異なる(信頼度が異なる)リーチ演出として、ノーマルリーチ、スペシャル1リーチ、スペシャル2リーチ、スペシャル3リーチ、プレミアリーチ等が設定されている。なお、信頼度は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル1リーチ<スペシャル2リーチ<スペシャル3リーチ<プレミアリーチの順に高くなるようになっている。また、このリーチ状態は、少なくとも特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出される場合(大当りとなる場合)における変動表示態様に含まれるようになっている。即ち、特図変動表示ゲームで特別結果態様が導出されないと判定すると(はずれとなる場合)における変動表示態様に含まれることもある。よって、リーチ状態が発生した状態は、リーチ状態が発生しない場合に比べて大当りとなる可能性の高い状態である。
【0048】
CPU111Aは、ROM111B内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置200や演出制御装置300に対する制御信号(コマンド)を生成したりソレノイドや表示装置の駆動信号を生成して出力して遊技機10全体の制御を行う。
また、遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数や大当りの図柄を決定するための大当り図柄用乱数、特図変動表示ゲームでの変動パターン(各種リーチやリーチ無しの変動表示における変動表示ゲームの実行時間等を含む)を決定するための変動パターン乱数、普図変動表示ゲームの当たり判定用乱数等を生成するための乱数生成回路111Dと、発振回路113からの発振信号(原クロック信号)に基づいてCPU111Aに対する所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号や乱数生成回路111Dの更新タイミングを与えるクロックを生成するクロックジェネレータ(図示省略)を備えている。
【0049】
また、CPU111Aは、後述する特図ゲーム処理(
図12参照)における始動口スイッチ監視処理(ステップA1)や特図普段処理(ステップA9)にて、ROM111Bに記憶されている複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを取得する。具体的には、CPU111Aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当り或いははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態或いは高確率状態)、現在の遊技状態としての普通変動入賞装置37の動作状態(通常動作状態或いは時短動作状態)、始動記憶数などに基づいて、複数の変動パターンテーブルの中から、何れか一の変動パターンテーブルを選択して取得する。
【0050】
払出制御装置200は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース等を備え、遊技制御装置100からの賞球払出し指令(コマンドやデータ)に従って、払出ユニット46(
図2参照)の払出モータを駆動させ、賞球を払い出させるための制御を行う。また、払出制御装置200は、カードユニットからの貸球要求信号に基づいて払出ユニットの払出モータを駆動させ、貸球を払い出させるための制御を行う。さらに、遊技制御装置100は、払出制御装置200を介して、打球発射装置72(
図2参照)を構成する発射モータ721(
図6参照)を制御する発射制御装置210へ発射許可信号や停電検出信号を送って、打球の発射を間接的に制御する。
【0051】
遊技用マイコン111の入力部120には、始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、普図始動ゲート34内のゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aに接続され、これらのスイッチから供給されるハイレベルが11Vでロウレベルが7Vのような負論理の信号が入力され、0V−5Vの正論理の信号に変換するインタフェースチップ(近接I/F)121が設けられている。近接I/F121は、入力の範囲が7V−11Vとされることで、近接スイッチのリード線が不正にショートされたり、スイッチがコネクタから外されたり、リード線が切断されてフローティングになったような異常な状態を検出することができ、異常検知信号を出力するように構成されている。
【0052】
近接I/F121の出力はすべて第2入力ポート122へ供給されデータバス140を介して遊技用マイコン111に読み込まれるとともに、主基板100から中継基板70を介して図示しない試射試験装置へ供給されるようになっている。また、近接I/F121の出力のうち始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号は、第2入力ポート122の他、反転回路112を介して遊技用マイコン111へ入力されるように構成されている。反転回路112を設けているのは、遊技用マイコン111の信号入力端子が、マイクロスイッチなどからの信号が入力されることを想定し、かつ負論理、即ち、ロウレベル(0V)を有効レベルとして検知するように設計されているためである。
【0053】
従って、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aとしてマイクロスイッチを使用する場合には、反転回路112を設けずに直接遊技用マイコン111へ検出信号を入力させるように構成することができる。つまり、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aからの負論理の信号を直接遊技用マイコン111へ入力させたい場合には、近接スイッチを使用することはできない。上記のように近接I/F121は、信号のレベル変換機能を有する。このようなレベル変換機能を可能にするため、近接I/F121には、電源装置400から通常のICの動作に必要な例えば5Vのような電圧の他に、12Vの電圧が供給されるようになっている。
【0054】
また、入力部120には、遊技機10の前面枠等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ61及び振動センサスイッチ62からの信号及び上記近接I/F121により変換された始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、普通変動入賞装置37内の始動口2スイッチ37a、ゲートスイッチ34a、一般入賞口スイッチ35a〜35n、カウントスイッチ38aからの信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する第2入力ポート122が設けられている。第2入力ポート122が保持しているデータは、遊技用マイコン111が第2入力ポート122に割り当てられているアドレスをデコードすることによってイネーブル信号CE1をアサート(有効レベルに変化)することよって、読み出すことができる。後述の他のポートも同様である。
【0055】
さらに、入力部120には、遊技機10のガラス枠15等に設けられた前枠開放検出スイッチ63及び前面枠(遊技枠)等に設けられた遊技枠開放検出スイッチ64からの信号及び払出制御装置200からの払出異常を示すステータス信号や払出し前の遊技球の不足を示すシュート球切れスイッチ信号、オーバーフローを示すオーバーフロースイッチ信号を取り込んでデータバス140を介して遊技用マイコン111に供給する第1入力ポート123が設けられている。オーバーフロースイッチ信号は、下皿23に遊技球が所定量以上貯留されていること(満杯になったこと)を検出したときに出力される信号である。
【0056】
また、入力部120には、電源装置400からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号などの信号を遊技用マイコン111等に入力するためのシュミットトリガ回路124が設けられており、シュミットトリガ回路124はこれらの入力信号からノイズを除去する機能を有する。電源装置400からの信号のうち停電監視信号と初期化スイッチ信号は、一旦第1入力ポート123に入力され、データバス140を介して遊技用マイコン111に取り込まれる。つまり、前述の各種スイッチからの信号と同等の信号として扱われる。遊技用マイコン111に設けられている外部からの信号を受ける端子の数には制約があるためである。
【0057】
一方、シュミットトリガ回路124によりノイズ除去されたリセット信号RSTは、遊技用マイコン111に設けられているリセット端子に直接入力されるとともに、出力部130の各ポートに供給される。また、リセット信号RSTは出力部130を介さずに直接中継基板70に出力することで、試射試験装置へ出力するために中継基板70のポート(図示省略)に保持される試射試験信号をオフするように構成されている。また、リセット信号RSTを中継基板70を介して試射試験装置へ出力可能に構成するようにしてもよい。
なお、リセット信号RSTは入力部120の各ポート122,123には供給されない。リセット信号RSTが入る直前に遊技用マイコン111によって出力部130の各ポートに設定されたデータはシステムの誤動作を防止するためリセットする必要があるが、リセット信号RSTが入る直前に入力部120の各ポートから遊技用マイコン111が読み込んだデータは、遊技用マイコン111のリセットによって廃棄されるためである。
【0058】
出力部130は、データバス140に接続され払出制御装置200へ出力する4ビットのデータ信号とデータの有効/無効を示す制御信号(データストローブ信号)及び演出制御装置300へ出力するデータストローブ信号SSTBを生成する第1出力ポート131と、演出制御装置300へ出力する8ビットのデータ信号を生成する第2出力ポート132とを備える。遊技制御装置100から払出制御装置200及び演出制御装置300へは、パラレル通信でデータが送信される。
また、出力部130には、演出制御装置300の側から遊技制御装置100へ信号を入力できないようにするため、即ち、片方向通信を保証するために第1出力ポート131からの上記データストローブ信号SSTB及び第2出力ポート132からの8ビットのデータ信号を出力する単方向のバッファ133が設けられている。なお、第1出力ポート131から払出制御装置200へ出力する信号に対してもバッファを設けるようにしてもよい。
【0059】
さらに、出力部130には、データバス140に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図停止図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号などを中継基板70を介して出力するバッファ134が実装可能に構成されている。このバッファ134は遊技店に設置される実機(量産販売品)としてのパチンコ遊技機の遊技制御装置(主基板)には実装されない部品である。なお、前記近接I/F121から出力される始動口スイッチなど加工の必要のないスイッチの検出信号は、バッファ134を通さずに中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。
【0060】
一方、磁気センサスイッチ61や振動センサスイッチ62のようにそのままでは試射試験装置へ供給できない検出信号は、一旦遊技用マイコン111に取り込まれて他の信号若しくは情報に加工されて、例えば遊技機が遊技制御できない状態であることを示すエラー信号としてデータバス140からバッファ134、中継基板70を介して試射試験装置へ供給される。なお、中継基板70には、上記バッファ134から出力された信号を取り込んで試射試験装置へ供給するポートや、バッファを介さないスイッチの検出信号の信号線を中継して伝達するコネクタなどが設けられている。中継基板70上のポートには、遊技用マイコン111から出力されるチップイネーブル信号CEも供給され、該信号CEにより選択制御されたポートの信号が試射試験装置へ供給されるようになっている。
【0061】
また、出力部130には、データバス140に接続され特別変動入賞装置38を開成させるソレノイド(大入賞口ソレノイド)38bや普通変動入賞装置37の可動部材37bを開成させるソレノイド(普電ソレノイド)37cの開閉データと、一括表示装置50のLEDのカソード端子が接続されているデジット線のオン/オフデータを出力するための第3出力ポート135、一括表示装置50に表示する内容に応じてLEDのアノード端子が接続されているセグメント線のオン/オフデータを出力するための第4出力ポート136、大当り情報など遊技機10に関する情報を外部情報端子71へ出力するための第5出力ポート137が設けられている。外部情報端子71から出力された遊技機10に関する情報は、例えば遊技店に設置された情報収集端末や遊技場内部管理装置(図示省略)に供給される。
【0062】
さらに、出力部130には、第3出力ポート135から出力される大入賞口ソレノイド38bの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号や普電ソレノイド37cの開閉データ信号を受けてソレノイド駆動信号を生成し出力する第1ドライバ(駆動回路)138a、第3出力ポート135から出力される一括表示装置50の電流引き込み側のデジット線のオン/オフ駆動信号を出力する第2ドライバ138b、第4出力ポート136から出力される一括表示装置50の電流供給側のセグメント線のオン/オフ駆動信号を出力する第3ドライバ138c、第5出力ポート137から管理装置等の外部装置へ供給する外部情報信号を外部情報端子71へ出力する第4ドライバ138dが設けられている。
【0063】
上記第1ドライバ138aには、32Vで動作するソレノイドを駆動できるようにするため、電源電圧としてDC32Vが電源装置400から供給される。また、一括表示装置50のセグメント線を駆動する第3ドライバ138cには、DC12Vが供給される。デジット線を駆動する第2ドライバ138bは、表示データに応じたデジット線を電流で引き抜くためのものであるため、電源電圧は12V又は5Vのいずれであってもよい。12Vを出力する第3ドライバ138cによりセグメント線を介してLEDのアノード端子に電流を流し込み、接地電位を出力する第2ドライバ138bによりカソード端子よりセグメント線を介して電流を引き抜くことで、ダイナミック駆動方式で順次選択されたLEDに電源電圧が流れて点灯される。外部情報信号を外部情報端子71へ出力する第4ドライバ138dは、外部情報信号に12Vのレベルを与えるため、DC12Vが供給される。なお、バッファ134や第3出力ポート135、第1ドライバ138a等は、遊技制御装置100の出力部130、即ち、主基板ではなく、中継基板70側に設けるようにしてもよい。
【0064】
さらに、出力部130には、外部の検査装置500へ各遊技機の識別コードやプログラムなどの情報を送信するためのフォトカプラ139が設けられている。フォトカプラ139は、遊技用マイコン111が検査装置500との間でシリアル通信によってデータの送受信を行なえるように双方向通信が可能に構成されている。なお、かかるデータの送受信は、通常の汎用マイクロプロセッサと同様に遊技用マイコン111が有するシリアル通信端子を利用して行なわれるため、入力ポート122,123のようなポートは設けられていない。
【0065】
次に、
図5を用いて、演出制御手段としての演出制御装置300の構成について説明する。
演出制御装置300は、主制御用マイコン(1stCPU)311と、該1stCPU311の制御下でもっぱら映像制御を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)312と、該2ndCPU312からのコマンドやデータに従って表示装置41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)313と、各種のメロディや効果音などをスピーカ19a,19bから再生させるため音の出力を制御する音源LSI314と、現在時刻を計時するリアルタイムクロック回路316と、を備えている。リアルタイムクロック回路316は、電池などの内蔵電源を備え、電源遮断中も計時動作を継続できるように構成されている。
【0066】
上記主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(プログラマブルリードオンリメモリ)からなるプログラムROM321、322がそれぞれ接続され、VDP313にはキャラクタ画像や映像データ、コマンドリストが記憶された画像ROM323が接続され、音源LSI314には圧縮された音声データやフレーズ再生処理に必要なシーケンス、簡易アクセスのためのコマンド列等が記憶された音声ROM324が接続されている。
主制御用マイコン(1stCPU)311は、遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、演出内容を決定して映像制御用マイコン312へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI314への再生音の指示、装飾ランプの点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理などの処理を実行する。主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312の作業領域を提供するRAM311a,312aは、それぞれのチップ内部に設けられているが、チップの外部に設けるようにしてもよい。
【0067】
特に限定されるわけではないが、主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312との間、主制御用マイコン(1stCPU)311と音源LSI314との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行なわれ、映像制御用マイコン(2ndCPU)312との間、主制御用マイコン(1stCPU)311とVDP313との間は、パラレル方式でデータの送受信が行なわれるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアルの場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。VDP313には、画像ROM323から読み出されたキャラクタなどの画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)313aや、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ313b、LVDS(小振幅信号伝送)方式で表示装置41へ送信する映像信号を生成する信号変換回路313cなどが設けられている。
【0068】
VDP313から主制御用マイコン311へは表示装置41の映像と前面枠や遊技盤30に設けられている装飾ランプの点灯を同期させるために垂直同期信号VSYNCが入力される。さらに、VDP313から映像制御用マイコン312へは、VRAMへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン312からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが入力される。また、映像制御用マイコン312から主制御用マイコン311へは、映像制御用マイコン312が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが入力される。主制御用マイコン311と音源LSI314との間は、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け(コール)信号CTSと応答(レスポンス)信号RTSが交換される。
【0069】
なお、映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、主制御用マイコン(1stCPU)311よりも高速なつまり高価なCPUが使用されている。主制御用マイコン(1stCPU)311とは別に映像制御用マイコン(2ndCPU)312を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン(1stCPU)311のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を表示装置41に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン(2ndCPU)312と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。また、CPUを2つ設けることによって、2つのCPUの制御プログラムを別々に並行して開発することが可能となり、これによって新機種の開発期間を短縮することができる。
【0070】
また、演出制御装置300には、遊技制御装置100から送信されてくる演出制御コマンドを受信するインタフェースチップ(コマンドI/F)331が設けられている。このコマンドI/F331を介して、遊技制御装置100から演出制御装置300へ送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111はDC5Vで動作し、演出制御装置300の主制御用マイコン(1stCPU)311はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F331には信号のレベル変換の機能が設けられている。
なお、本実施形態においては、演出制御コマンドは16ビットで構成されており、これを8ビットのデータバスとストローブ信号SSBTで送信するため、16ビットの演出制御コマンドを8ビットの前半コマンド(MODE)と後半コマンド(ACTION)とに分けて、ストローブ信号SSBTを2度立ち上げることで送信し、受信側ではSSBの立ち上がりに同期してコマンドを取り込むようになっている。
【0071】
また、演出制御装置300には、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42を駆動制御する盤装飾LED制御回路332、前面枠に設けられているLED(発光ダイオード)を有する枠装飾装置(例えば枠装飾装置18等)を駆動制御する枠装飾LED制御回路333、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられている盤演出装置43を駆動制御する盤演出モータ/SOL制御回路334、前面枠に設けられているLEDやモータ等の枠演出装置(例えばムービングライト16のモータ等)45を駆動制御する枠演出モータ制御回路335が設けられている。なお、ランプやモータ及びソレノイドなどを駆動制御するこれらの制御回路332〜335は、アドレス/データバス340を介して主制御用マイコン(1stCPU)311と接続されている。
【0072】
さらに、演出制御装置300には、遊技機の前面枠12に設けられ遊技者が操作可能な演出ボタン25に内蔵されているスイッチ25a、上記盤演出装置43内のモータの初期位置を検出する演出モータスイッチ43aのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336、前面枠に設けられた上スピーカ19aを駆動するオーディオパワーアンプなどからなるアンプ回路337a、前面枠に設けられた下スピーカ19bを駆動するアンプ回路337bが設けられている。
【0073】
電源装置400の通常電源部410は、上記のような構成を有する演出制御装置300やそれによって制御される電子部品に対して所望のレベルの直流電圧を供給するため、モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネルからなる表示装置41を駆動するためのDC12V、コマンドI/F331の電源電圧となるDC5Vの他に、LEDやスピーカを駆動するためのDC18Vやこれらの直流電圧の基準としたり電源モニタランプを点灯させるのに使用するNDC24Vの電圧を生成するように構成されている。さらに、主制御用マイコン(1stCPU)311や映像制御用マイコン(2ndCPU)312として、3.3Vあるいは1.2Vのような低電圧で動作するLSIを使用する場合には、DC5Vに基づいてDC3.3VやDC1.2Vを生成するためのDC−DCコンバータが演出制御装置300に設けられる。なお、DC−DCコンバータは通常電源部410に設けるようにしてもよい。
【0074】
電源装置400の制御信号生成部430により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン311、映像制御用マイコン312、VDP313、音源LSI314、ランプやモータなどを駆動制御する制御回路332〜335、スピーカを駆動するアンプ回路337a、337bに供給され、これらをリセット状態にする。また、この実施形態においては、映像制御用マイコン312の有する汎用のポートを利用して、VDP313に対するリセット信号を生成して供給する機能を有するように構成されている。これにより、映像制御用マイコン312とVDP313の動作の連携性を向上させることができる。
【0075】
次に、遊技制御装置100および演出制御装置300において行われる大まかな遊技制御について説明する。
遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111Aは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、普図の当たり判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当たり外れを判定する処理を行う。そして、LED表示部53において、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する処理を行う。この普図変動表示ゲームの結果が当たりの場合は、LED表示部53に特別の結果態様を表示するとともに、普電ソレノイド37cを動作させ、普通変動入賞装置37の一対の可動部材37bを所定時間(例えば、0.3秒間)上述のように開放する制御を行う。
【0076】
なお、本実施形態においては、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、LED表示部53に、はずれの結果態様を表示する制御を行う。
また、始動入賞口36に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動入賞(始動記憶)をRAM111Cに記憶し、この始動記憶に基づき、第1特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第1特図変動表示ゲームの当たり外れを判定する処理を行う。
より詳細には、始動入賞が検出されるたびに乱数生成回路(乱数カウンタ)の値が乱数ラッチレジスタ(図示略)にラッチされる。そして、始動入賞を検出したタイミングで乱数生成回路の値をラッチするのではなく、始動入賞を検出した直後のクロック信号の立ち上がりで乱数ラッチレジスタに値をラッチさせる。なお、ラッチされる値は、始動入賞を検出したタイミングの乱数値であり、その乱数値を第1特図変動表示ゲームの大当り用判定用乱数値として抽出している。従って、RAM111Cは、始動入賞記憶手段として機能する。
【0077】
また、普通変動入賞装置37に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき始動記憶を記憶し、この始動記憶に基づき、第2特図変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111Bに記憶されている判定値と比較し、第2特図変動表示ゲームの当たり外れを判定する処理を行う。始動口2スイッチ37aの検出に基づく大当り判定用乱数値の抽出も、上記始動口1と同様である。
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、上記の第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームの判定結果を含む制御情報(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、一括表示装置50の特
図1表示器51や特
図2表示器52に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。
【0078】
一方、演出制御装置300は、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、表示装置41で特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する処理を行う。また、演出制御装置300では、遊技制御装置100からの制御信号に基づき、スピーカ19a,19bからの音の出力、各種LEDの発光を制御する処理等を行う。
そして、遊技制御装置100のCPU111Aは、特図変動表示ゲームの結果が当たりの場合は、特
図1表示器51や特
図2表示器52に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる処理を行う。この特別遊技状態を発生させる処理においては、CPU111Aは、例えば、大入賞口ソレノイド38bにより特別変動入賞装置38の開閉扉を開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。
【0079】
そして、大入賞口に所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間(例えば、25秒又は1秒)が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これを所定ラウンド回数(例えば、15回又は2回)継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)を行う。
また、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、特
図1表示器51や特
図2表示器52にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として確変状態を発生可能となっている。
この確変状態は、特図変動表示ゲームにて当り結果となる確率が、通常確率状態に比べて高い状態(高確率状態)である。また、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームのどちらの特図変動表示ゲームの結果態様に基づき確変状態となっても、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの両方が確変状態となる。
【0080】
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として時短状態を発生可能となっている。
この時短状態においては、普図変動表示ゲーム及び普通変動入賞装置37を時短動作状態とする制御を行う。具体的には、時短状態においては、上述の普図変動表示ゲームの実行時間が第1の変動表示時間よりも短い第2の変動表示時間となるように制御され(例えば、10秒が1秒)、これにより、単位時間当りの普通変動入賞装置37の開放回数が実質的に多くなるように制御される。
また、時短状態においては、普図変動表示ゲームが当り結果となって普通変動入賞装置37が開放される場合に、開放時間が通常状態の第1開放時間よりも長い第2開放時間となるように制御される(例えば、0.3秒が1.7秒)。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対して、普通変動入賞装置37の開放回数が1回の第1開放回数ではなく、2回以上の複数回(例えば、3回)の第2開放回数に設定される。以下、かかる制御モードを普電サポートと称する。
【0081】
なお、普図変動表示ゲームの実行時間を第2の変動表示時間(例えば、1秒)とする制御と、普通変動入賞装置37の開放態様を開放時間が第2開放時間(例えば、1.7秒)とし、且つ、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対する開放回数が第2開放回数(例えば、3回)とする制御は、何れか一方のみを行っても良いし、両方を行っても良い。また、時短動作状態においては、普図変動表示ゲームの当り結果となる確率が通常動作状態より高くなるように制御してもよい。
これにより、普通変動入賞装置37に遊技球が入賞し易くなり、第2特図変動表示ゲームの始動が容易となる。
なお、確変状態と普図変動表示ゲーム及び普通変動入賞装置37の時短動作状態は、それぞれ独立して発生可能であり、両方を同時に発生することも可能であるし、一方のみを発生させることも可能である。
【0082】
図6には、
図4の制御システムを構成する遊技制御装置100と払出制御装置200および発射制御装置210との関係が示されている。
図6に示すように、払出制御装置200は、ケーブル81を介して電源装置400と接続され、ケーブル82を介して遊技制御装置100と接続されており、払出制御装置200へは電源装置400から発射モータ用の電源電圧Vmotや発射操作ハンドル24のタッチセンサ用の電源電圧Vsw、接地電位GND、停電検出信号POD、RAM初期化信号RINなどが供給されている。また、払出制御装置200には、遊技制御装置100から払出コマンドデータDCD0〜DCD3や払出コントロール信号DCSなどが供給されている。払出制御装置200から遊技制御装置100へは払出異常信号が供給される。
【0083】
また、払出制御装置200は、ケーブル83を介して発射制御装置210と接続され、払出制御装置200から発射制御装置210へ発射モータ用の電源電圧Vmotや接地電位GND、タッチセンサ用の電源電圧Vsw、発射許可信号LPS、停電検出信号PODなどが供給されている。さらに、発射制御装置210には、ケーブル84を介して発射モータ721が接続され、発射制御装置210から発射モータ721へは駆動パルスを生成するための発射モータ制御信号MCS1〜MCS4と電源電圧Vmotが供給されている。また、発射制御装置210には、ケーブル85を介して発射操作ハンドル24(
図2参照)の発射停止スイッチ722およびタッチセンサ723が接続されており、発射制御装置210からタッチセンサ723へは電源電圧Vswが供給されている。また、ケーブル85には、端部のコネクタを遊技機本体に接続するためのハーネス86が設けられている。
【0084】
図7には、上記発射制御装置210の構成例が示されている。
発射制御装置210は、半導体集積回路として構成された発射制御回路211と、該発射制御回路211に接続され発射制御のためのクロック信号の元となる発振信号を生成するための水晶振動子212と、発射制御回路211の出力信号に基づいて発射モータ721へ発射モータ制御信号MCS1〜MCS4を出力するダーリントン型のドライバ回路216を備える。また、発射制御装置210は、発射停止スイッチ722やタッチセンサ723を接続するための前記ケーブル85が結合されるコネクタ215と、払出制御装置200との間を接続するための前記ケーブル83が結合されるコネクタ213と、発射モータ721を接続するための前記ケーブル84が結合されるコネクタ214を備える。
【0085】
図8には、上記発射制御回路211の構成例が示されている。
この発射制御回路211は、例えばオムロン株式会社が製造している型番W2RF001WPのようなICであり、払出制御装置200からの信号や発射停止スイッチ722、タッチセンサ723からの信号が入力される入力回路221と、水晶振動子212からの発振信号を分周して周波数の低いクロック信号CLK0〜CLK3を生成する分周回路222と、モータ制御信号を生成するモータ制御信号生成回路223と、ソレノイド制御信号を生成するソレノイド制御信号生成回路224と、これらの制御信号を外部へ出力する出力制御回路225を備える。
出力制御回路225は、外部から入力される設定信号SET1,SET2に応じて、使用するパルスモータ(ステッピンクモータ)に応じて2種類のモータ制御信号または2種類のモードのソレノイド制御信号のいずれか一つを生成し出力する機能を有する。本実施例では、設定信号SET1,SET2によって、使用するパルスモータ(ステッピンクモータ)に応じて2種類のモータ制御信号のいずれかが生成され、ソレノイド制御信号は生成されないように設定される。
【0086】
以下、上記のような遊技制御を実行する上記遊技制御装置100の遊技用マイクロコンピュータ(遊技用マイコン)111によって実行される処理について説明する。遊技用マイコン111による制御処理は、主に
図9及び
図10に示すメイン処理と、所定時間周期(例えば4msec)で行われる
図11に示すタイマ割込み処理とからなる。
先ず、メイン処理について説明する。メイン処理は、電源が投入されることで開始される。このメイン処理においては、
図9に示すように、まず、割込み禁止する処理(ステップS1)を行ってから、割込みが発生したときに実行するジャンプ先のベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理(ステップS2)、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定するスタックポインタ設定処理(ステップS3)、割込み処理のモードを設定する割込みモード設定処理(ステップS4)を行う。
【0087】
次に、払出制御装置(払出基板)200のプログラムが正常に起動するのを待つため例えば4msecの時間待ちを行う(ステップS5)。これにより、電源投入の際に仮に遊技制御装置100が先に立ち上がって払出制御装置200が立ち上がる前にコマンドを払出制御装置200へ送ってしまい、払出制御装置200がコマンドを取りこぼすのを回避することができる。その後、RAMやEEPROM等の読出し書込み可能なRWM(リードライトメモリ:RAM111C)のアクセス許可をし、全出力ポートをオフ(出力が無い状態)に設定する(ステップS6,S7)。また、シリアルポート((遊技用マイコン111に予め搭載されているポート)この実施形態では、払出制御装置200や演出制御装置300とパラレル通信を行っているため使用しない)を使用しない状態に設定する処理を行う(ステップS8)。
【0088】
続いて、電源装置400内の初期化スイッチがオンしているか否か判定する(ステップS9)。ここで、初期化スイッチがオフ(ステップS9;No)と判定すると、RWM内の停電検査領域1の値が正常な停電検査領域チェックデータであるかをチェックし(ステップS10)、正常であれば(ステップS11;Yes)、RWM内の停電検査領域2の値が正常な停電検査領域チェックデータであるかをチェックする(ステップS12)。次に、停電検査領域2の値が正常であれば(ステップS13;Yes)、RWM内の所定領域のチェックサムを算出し(ステップS14)、算出されたチェックサムと電源断時のチェックサムを比較して(ステップS15)、一致するかを判定する(ステップS16)。そして、一致する場合(ステップS16;Yes)は、
図10のステップS17へ移行し、停電から正常に復旧した場合の処理を行う。
【0089】
また、初期化スイッチがオン(ステップS9;Yes)と判定された場合や、停電検査領域のチェックデータが正常なデータでないと判定された場合(ステップS11;NoもしくはステップS13;No)、チェックサムが正常でない(ステップS16;No)と判定された場合は、
図10のステップS24へ移行して初期化の処理を行う。
図10のステップS17では全ての停電検査領域をクリアし、チェックサム領域をクリアして(ステップS18)、エラーや不正監視に係る領域をリセットする(ステップS19)。次に、RWM内の遊技状態を記憶する領域を調べて遊技状態が高確率状態であるか否かを判定する(ステップS20)。ここで、高確率でない(ステップS20;No)と判定した場合は、ステップS21,S22をスキップしてステップS23へ移行する。
【0090】
また、ステップS20で高確率である(ステップS20;Yes)と判定した場合は、高確率報知フラグ領域にON情報をセーブし(ステップS21)、例えば一括表示装置50に設けられる高確率報知LED(エラー表示器)のON(点灯)データをセグメント領域にセーブする(ステップS22)。そして、後述の特図ゲーム処理を合理的に実行するために用意されている処理番号に対応する電源復旧時のコマンドを演出制御装置300へ送信する処理(ステップS23)を行ってステップS29へ進む。
【0091】
一方、ステップS9、S11、S13、S16からステップS24へジャンプした場合には、アクセス禁止領域より前の全作業領域をクリアし(ステップS24)、アクセス禁止領域より後の全スタック領域をクリアして(ステップS25)、初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブする(ステップS26)。そして、RWMクリアに関する外部情報を出力する期間の時間値を設定し(ステップS27)、電源投入時のコマンドを演出制御装置300へ送信して(ステップS28)、ステップS29へ進む。ステップS29では、遊技用マイコン111(クロックジェネレータ)内のタイマ割込み信号及び乱数更新トリガ信号(CTC)を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動する処理を行う。
【0092】
なお、CTC回路は、遊技用マイコン111内のクロックジェネレータに設けられている。クロックジェネレータは、水晶発振器113からの発振信号(原クロック信号)を分周する分周回路と、分周された信号に基づいてCPU111Aに対して所定周期(例えば、4ミリ秒)のタイマ割込み信号及び乱数生成回路111Dへ供給する乱数更新のトリガを与える信号CTCを発生するCTC回路とを備えている。
【0093】
上記ステップS29のCTC起動処理の後は、乱数生成回路111Dを起動設定する処理を行う(ステップS30)。具体的には、乱数生成回路内の所定のレジスタ(CTC更新許可レジスタ)へ乱数生成回路111Dを起動させるためのコード(指定値)の設定などがCPU111Aによって行われる。それから、電源投入時の乱数生成回路内の所定のレジスタ(ソフト乱数レジスタ1〜n)の値を、対応する各種初期値乱数(大当り図柄を決定する乱数(大当り図柄乱数1、大当り図柄乱数2)、普図の当たりを決定する乱数(当り乱数))の初期値(スタート値)としてRWMの所定領域にセーブしてから(ステップS31)、割込みを許可する(ステップS32)。本実施形態で使用するCPU111A内の乱数生成回路111Dにおいては、電源投入毎にソフト乱数レジスタの初期値が変わるように構成されているため、この値を各種初期値乱数の初期値(スタート値)とすることで、ソフトウェアで生成される乱数の規則性を崩すことができ、遊技者による不正な乱数の取得を困難にすることができる。
続いて、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理(ステップS33)を行う。
【0094】
上記ステップS33の初期値乱数更新処理の後、電源装置400から入力されている停電監視信号をポート及びデータバスを介して読み込んでチェックする回数を設定し(ステップS34)、停電監視信号がONであるかの判定を行う(ステップS35)。停電監視信号がONでない場合(ステップS35;No)は、初期値乱数更新処理(ステップS33)に戻る。すなわち、停電が発生していない場合には、初期値乱数更新処理と停電監視信号のチェック(ループ処理)を繰り返し行う。初期値乱数更新処理(ステップS33)の前に割り込みを許可する(ステップS32)ことによって、初期値乱数更新処理中にタイマ割込みが発生すると割込み処理が優先して実行されるようになり、タイマ割込みが初期値乱数更新処理によって待たされることで割込み処理が圧迫されるのを回避することができる。
【0095】
なお、上記ステップS33での初期値乱数更新処理は、メイン処理のほか、タイマ割込み処理の中においても初期値乱数更新処理を行う方法もあり、そのような方法を採用した場合には両方で初期値乱数更新処理が実行されるのを回避するため、メイン処理で初期値乱数更新処理を行う場合には割込みを禁止してから更新して割込みを解除する必要があるが、本実施形態のようにタイマ割込み処理の中での初期値乱数更新処理はせず、メイン処理内のみにした場合には初期値乱数更新処理の前に割込みを解除しても何ら問題はなく、それによってメイン処理が簡素化されるという利点がある。
【0096】
また、停電監視信号がONである場合(ステップS35;Yes)は、ステップS34で設定したチェック回数分停電監視信号のON状態が継続しているかを判定する(ステップS36)。そして、チェック回数分停電監視信号のON状態が継続していない場合(ステップS36;No)は、停電監視信号がONであるかの判定(ステップS35;Yes)に戻る。また、チェック回数分停電監視信号のON状態が継続している場合(ステップS36;Yes)、すなわち、停電が発生していると判定した場合は、一旦割込みを禁止する処理(ステップS37)、全出力ポートにOFFデータを出力する処理(ステップS38)を行う。
【0097】
その後、停電復旧検査領域1に停電復旧検査領域チェックデータ1をセーブし(ステップS39)、停電復旧検査領域2に停電復旧検査領域チェックデータ2をセーブする(ステップS40)。さらに、RWMの電源遮断時のチェックサムを算出する処理(ステップS41)、チェックサムをセーブする処理(ステップS42)を行った後、RWMへのアクセスを禁止する処理(ステップS43)を行ってから、遊技機の電源が遮断されるのを待つ。このように、停電復旧検査領域にチェックデータをセーブするとともに、電源遮断時のチェックサムを算出することで、電源の遮断の前にRWMに記憶されていた情報が正しくバックアップされているか否かを電源再投入時に判断することができる。
【0098】
次に、タイマ割込み処理について
図11のフローチャートを用いて説明する。
図11に示すタイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路で生成される周期的なタイマ割込み信号がCPU111Aに入力されることで開始される。
タイマ割込み処理が開始されると、まず所定のレジスタに保持されている値をRWMに移すレジスタ退避の処理(ステップS51)を行う。なお、本実施形態において遊技用マイコンとして使用しているZ80系のマイコンでは、当該処理を表レジスタに保持されている値を裏レジスタに退避することで置き換えることができる。次に、各種センサ(始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、普図のゲートスイッチ34a、カウントスイッチ38aなど)からの入力の取込み、即ち、各入力ポートの状態を読み込む入力処理(ステップS52)を行う。それから、各種処理でセットされた出力データに基づき、ソレノイド(大入賞口SOL38b、普電SOL37c)等のアクチュエータの駆動制御などを行うための出力処理(ステップS53)を行う。
【0099】
次に、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを演出制御装置300や払出制御装置200等に出力するコマンド送信処理(ステップS54)、乱数更新処理1(ステップS55)、乱数更新処理2(ステップS56)を行う。その後、始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、普図のゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a…35n、カウントスイッチ38aから正常な信号の入力があるか否かの監視や、エラーの監視(前面枠やガラス枠が開放されていないかなど)を行う入賞口スイッチ/エラー監視処理(ステップS57)を行う。また、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理(ステップS58)、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理(ステップS59)を行う。
【0100】
次に、遊技機10に設けられ、特図変動ゲームの表示や遊技に関する各種情報を表示するセグメントLEDを所望の内容を表示するように駆動するセグメントLED編集処理(ステップS60)、磁気センサスイッチ61や振動センサスイッチ62からの検出信号をチェックして異常がないか判定する磁石不正監視処理(ステップS61)を行う。それから、外部の各種装置に出力する信号を出力バッファにセットする外部情報編集処理(ステップS62)を行う。続いて、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言する処理(ステップS63)を行い、ステップS51で退避したレジスタのデータを復帰する処理(ステップS64)を行った後、割込みを許可する処理(ステップS65)を行って、タイマ割込み処理を終了する。
【0101】
次に、上述のタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(ステップS58)の詳細について、
図12を用いて説明する。
特図ゲーム処理では、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aの入力の監視と、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図の表示の設定を行う。
図12に示すように、特図ゲーム処理では、先ず、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aの入賞を監視する始動スイッチ監視処理(ステップA1)を行う。
この始動口スイッチ監視処理では、始動入賞口36、第2始動入賞口をなす普通変動入賞装置37に遊技球の入賞があると、各種乱数(大当り乱数など)の抽出を行い、当該入賞に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定する遊技結果事前判定を行う。
なお、本実施例では、始動口1スイッチ36aまたは始動口2スイッチ37aによって始動入賞が検出されるたびに乱数生成回路(乱数カウンタ)の値を乱数ラッチレジスタ(図示略)にラッチする。そして、始動入賞を検出したタイミングで乱数生成回路の値をラッチするのではなく、始動入賞を検出した直後のクロック信号の立ち上がりで乱数ラッチレジスタに値をラッチさせる。また、ラッチされる値は、始動入賞を検出したタイミングの乱数値であり、その乱数値を第1特図変動表示ゲームまたは第2特図変動表示ゲームの大当り用判定用乱数値として抽出している。
【0102】
上記始動スイッチ監視処理(ステップA1)の次に、カウントスイッチ監視処理(ステップA2)を行う。このカウントスイッチ監視処理では、特別変動入賞装置38内に設けられたカウントスイッチ38aのカウント数を監視する処理を行う。
次に、特図ゲーム処理タイマを更新(−1)して、当該ゲーム処理タイマがタイムアップしたか否かをチェックして(ステップA3)、特図ゲーム処理タイマがタイムアップした(ステップA4;Yes)と判定すると、特図ゲーム処理番号に対応する処理に分岐させるために参照する特図ゲームシーケンス分岐テーブルをレジスタに設定する処理(ステップA5)を行って、当該テーブルを用いて特図ゲーム処理番号に対応する処理の分岐先アドレスを取得する処理(ステップA6)を行う。
【0103】
そして、分岐処理終了後のリターンアドレスをスタック領域に退避させる処理(ステップA7)を行った後、ゲーム処理番号に応じてゲーム分岐処理(ステップA8)を行う。
ステップA8にて、ゲーム処理番号が「0」の場合は、特図変動表示ゲームの変動開始を監視し、特図変動表示ゲームの変動開始の設定や演出の設定や、特図変動中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図普段処理(ステップA9)を行う。
また、ステップA8にて、ゲーム処理番号が「1」の場合は、特図の停止表示時間の設定や、特図表示中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図変動中処理(ステップA10)を行う。
さらに、ステップA8にて、ゲーム処理番号が「2」の場合は、特図変動表示ゲームの遊技結果が大当りであれば、大当りの種類(2R大当りor15R大当り)に応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当り(2R大当りor15R大当り)の大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間の設定や、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図表示中処理(ステップA11)を行う。
【0104】
また、ステップA8にて、ゲーム処理番号が「3」の場合は、大入賞口の開放時間の設定や開放回数の更新、大入賞口開放中処理を行うために必要な情報の設定等を行うファンファーレ/インターバル中処理(ステップA12)を行う。
また、ステップA8にて、ゲーム処理番号が「4」の場合は、大当りラウンドが最終ラウンドでなければインターバルコマンドを設定する一方で最終ラウンドであれば大当り終了画面のコマンドを設定する処理や、大入賞口残存球処理を行うために必要な情報の設定等を行う大入賞口開放中処理(ステップA13)を行う。
【0105】
また、ステップA8にて、ゲーム処理番号が「5」の場合は、大当りラウンドが最終ラウンドであれば大入賞口内にある残存球が排出されるための時間を設定する処理や、大当り終了処理を行うために必要な情報の設定等を行う大入賞口残存球処理(ステップA14)を行う。
また、ステップA8にて、ゲーム処理番号が「6」の場合は、特図普段処理(ステップA9)へ移行するために必要な情報の設定等を行う大当り終了処理(ステップA15)を行う。
【0106】
そして、特
図1表示器51または特
図2表示器52の変動を制御するためのテーブルを準備した後(ステップA16)、特
図1表示器51または特
図2表示器52に係る図柄変動制御処理(ステップA17)を行って、当該特図ゲーム処理を終了する。
一方、ステップA4にて、特図ゲーム処理タイマがタイムアップしていない(ステップA4;No)と判定すると、処理をステップA16に移行して、それ以降の処理を行う。
以上説明したように、本実施形態においては、遊技制御装置100が変動表示ゲーム実行手段および特別遊技状態制御手段として機能する。
【0107】
次に、前記演出制御装置300の主制御用マイコン(1stCPU)311によって実行される制御について説明する。
主制御用マイコン311による制御処理は、
図13に示す1stメイン処理と、所定時間ごと(例えば2msecごと)に行われるコマンド受信割込み処理とからなる。1stメイン処理では、プログラム全体の制御を行うようになっている。
〔演出制御装置の1stメイン処理〕
図13に示すように、1stメイン処理においては、先ず、割込みを禁止する処理(ステップB1)を行ってから、RAMを0クリアする処理(ステップB2)を行い、1stCPU311の初期化処理(ステップB3)を行う。
次に、RAMに初期値を設定する処理(ステップB4)を行い、乱数初期化処理(ステップB5)を行う。その後、各種割込みのタイマを起動する処理(ステップB6)を行い、割込みを許可する(ステップB7)。その後、主制御用マイコン311は、メインループ処理ステップB8〜B18を行う。
【0108】
このメインループ処理では、先ず、ウォッチドッグタイマ(WDT)をクリアする処理(ステップB8)を行う。そして、演出操作ボタンSW25aからの入力処理(ステップB9)を行い、遊技制御コマンド解析処理(ステップB10)を行う。
この遊技制御コマンド解析処理では、遊技制御装置100から送信される遊技に関するコマンドを正しく受信したかを判定し、正しく受信していた場合にはコマンドを確定する処理を行う。遊技制御装置100から送信される一つのコマンドは、第1コマンド(MODE)と、第2コマンド(ACTION)との一対のデータにより構成されている。
【0109】
そして、受信した第1コマンド(MODE)と第2コマンド(ACTION)の組み合わせが矛盾しない場合(例えば、MODE→ACTIONの順に受信した場合)に正しくコマンドを受信したと判定し、第1コマンド(MODE)と第2コマンド(ACTION)の組み合わせが矛盾する場合(例えば、ACTION→ACTIONの順やMODE→MODE→MODEの順に受信した場合)にコマンドの受信が異常であると判定するようになっている。
続いて、テストモード処理(ステップB11)を行った後、特図変動表示ゲームに関する処理を行うシーン制御処理(ステップB12)を行う。このシーン制御処理(ステップB12)については、後に詳しく説明する。
【0110】
その後、前面枠(内枠)12やガラス枠15の開放などのエラー発生の監視を行う遊技機エラー監視処理(ステップB13)、特図変動表示ゲームにおける演出に関する演出コマンド編集処理(ステップB14)、音声の出力に関する処理(スピーカ19a、19bの駆動処理)であるサウンド制御処理(ステップB15)、前面枠に設けられた枠装飾装置18の制御に関する処理である装飾制御処理(ステップB16)を行う。そして、センターケース40に設けられた役物等を駆動させる盤演出モータ/SOL制御回路334の制御に関するモータ/SOL制御処理(ステップB17)、飾り特図変動表示ゲームの変動態様(変動パターン)等の詳細を決定する乱数を更新する乱数更新処理(ステップB18)を行い、ウォッチドッグタイマをクリアする処理(ステップB8)に戻る。
【0111】
図14には、
図13に示した1stメイン処理におけるシーン制御処理(ステップB12)の具体的な手順の一例を示す。このシーン制御処理では、まず、テストモード中であるかを判定し(ステップB61)、テストモード中である場合(ステップB61;Yes)は、シーン制御処理を終了する。また、テストモード中でない場合(ステップB61;No)は、シーン変更コマンドを受信したか否かを判定する(ステップB62)。
【0112】
シーン変更コマンドは、遊技制御装置100から演出制御装置300に送信される遊技に関する各種のコマンドである。このシーン変更コマンドを受信した場合(ステップB62;Yes)は、更新する遊技状態(現在の遊技状態)を取得し(ステップB63)、有効なコマンドであるかを判定する(ステップB64)。有効なコマンドであるかの判定(ステップB64)では、受信したシーン変更コマンドが取得した現在の遊技状態に対して有効なものであるかを判定する。そして、有効なコマンドである場合(ステップB64;Yes)は、受信コマンドをセーブし(ステップB65)、演出リクエストフラグをセットして(ステップB66)、受信したコマンドのコマンド識別子による分岐処理(ステップB67)を行う。
【0113】
一方、シーン変更コマンドを受信していない場合(ステップB62;No)や、有効なコマンドでなかった場合(ステップB64;No)は、受信したコマンドのコマンド識別子による分岐処理(ステップB67)を行う。この場合、直近の有効であったコマンドの識別子による分岐を行う。
コマンド識別子による分岐処理(ステップB67)では、受信したコマンドに基づき実行する処理を選択する。電源投入コマンドを受信した場合は電源投入時に必要な処理を行う電源投入処理(ステップB68)を行う。また、停電復旧コマンドを受信した場合は停電復旧時に必要な処理を行う停電復旧(客待ち以外)処理(ステップB69)を行う。また、客待ちデモコマンドを受信した場合は客待ちデモの表示に関する処理等を行う客待ち処理(ステップB70)を行う。
【0114】
また、変動パターンコマンドを受信した場合は飾り特図変動表示ゲームの実行に関する処理等を行う変動中処理(ステップB71)を行う。この変動中処理(ステップB71)では、飾り特図変動表示ゲームを行うために必要な情報の設定を行う。この飾り特図変動表示ゲームを行うために必要な情報の設定では、例えば、遊技制御装置100から送信された変動パターンコマンドに含まれる情報(大当りか否か、モード情報、変動パターン情報など)に基づき演出(変動パターンや変動時間など)の設定を行う。また、図柄停止コマンドを受信した場合は飾り特図変動表示ゲームにおける識別情報の変動表示を停止して結果態様を表示する処理である図柄停止処理(ステップB72)を行う。この図柄停止処理(ステップB72)では、飾り特図変動表示ゲームにおける結果の停止表示時間などの設定を行う。
【0115】
また、ファンファーレコマンドを受信した場合は特別遊技状態の開始に関する処理であるファンファーレ処理(ステップB73)を行う。また、大入開放n回目コマンドを受信した場合はラウンド遊技に関する処理であるラウンド中処理(ステップB74)を行う。また、インターバルコマンドを受信した場合はラウンド間のインターバルに関する処理であるインターバル処理(ステップB75)を行う。また、エンディングコマンドを受信した場合は特別遊技状態の終了に関する処理であるエンディング処理(ステップB76)を行う。
【0116】
コマンド識別子による分岐処理(ステップB67)により選択された上述の各処理を行った後、即座に映像に反映されないコマンドに基づく処理を行う。この処理として、まず、特図変動表示ゲームの停止図柄に関する情報を含む飾り特図コマンドに基づく処理を行う図柄コマンド受信処理(ステップB77)を行い、始動記憶の増減に関する情報を含む保留数コマンド(特
図1保留数コマンド、特
図2保留数コマンド)に基づく処理を行う保留数コマンド受信処理(ステップB78)を行う。
さらに、始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの結果等を当該特図変動表示ゲームの実行前に事前に判定する先読み演出判定処理(
図16)により送信される先読み演出コマンド(始動口入賞演出コマンド、始動口入賞演出図柄コマンド)に基づく処理を行う先読み演出コマンド受信処理(ステップB79)を行う。その後、確率状態に関する情報を含む確率情報コマンド(確率情報コマンド(低確率、高確率))に基づく処理を行う確率情報コマンド受信処理(ステップB80)を行う。
ステップB79の先読み演出コマンド受信処理で、始動記憶の表示態様(保留図柄)を先読み結果に応じて変更する処理が行われる。
【0117】
次に、本実施例の遊技機の制御システムにおける特徴である、遊技用マイクロコンピュータ111(
図3参照)に内蔵されている乱数生成回路111Dにより生成する乱数の更新タイミングと、打球発射装置の発射制御回路211(
図8参照)により生成する発射制御信号の出力タイミング(打球発射タイミング)との関係について説明する。なお、以下に説明する実施例においては、乱数生成回路111Dはカウンタ方式で乱数を所定の更新タイミングで+1ずつ更新するものとする。なお、+1の代わりに−1ずつ更新しても良い。
従来の遊技機の制御システムにおいては、大当り乱数の更新タイミングと打球の発射タイミングとの関係について何ら考慮を払っていなかった。そのため、比較的短い期間内に乱数の更新タイミングと打球の発射タイミングとが同期する瞬間が生じることがあり、連続発射をし続けることで、発射時の乱数値が所定時間後に再度出現し、同期するまでの発射毎の乱数値の列が常に一定となってしまい、同期を利用した大当りタイミングの狙い撃ちが可能となるという不都合が生じていた。
【0118】
具体的には、例えば
図15(A)に示すように、大当り乱数の乱数生成回路の更新範囲を0〜9に設定し1ms(ミリ秒)毎に更新を行う一方、
図15(B)に示すように、打球の発射周期を12msとした場合(パターン1)または11msとした場合(パターン2)を考えると、大当り乱数は10msで一巡することとなる。つまり、乱数の更新周期は10msである。
そのため、
図16に示すように、パターン1(発射周期12ms)の場合には、発射5回(更新回数は60回)に一度は、発射タイミングと大当り乱数の出現タイミングとが一致してしまう。つまり、60msごとに同期することとなる。また、パターン2(発射周期11ms)の場合には、発射10回(更新回数は110回)に一度、発射タイミングと大当り乱数の出現タイミングとが一致することとなる。つまり、110msごとに同期することとなる。
【0119】
図17には、上述した条件における乱数更新周期と発射周期との関係を表にしたものが示されている。ここで、パターン1の発射周期12msの1msを単位時間とした場合の「12」は、素数を用いて表すと「2×2×3」であり、乱数更新周期10msの1msを単位時間とした場合の「10」は素数を用いて表すと「2×5」である。そして、この単位時間の倍数同士の比較をしている。なお、単位時間は1msでなくともよい。
図17より、発射と乱数の同期間隔は、乱数更新周期と発射周期の最小公倍数で表されることが分かる。つまり、発射と乱数の同期間隔を長くするには、乱数更新周期と発射周期の最小公倍数を大きくすればよいこととなる。
ところで、遊技店における1日の営業時間を12時間とすれば、発射と乱数の同期間隔が12時間以上であれば、遊技者は1日中遊技をしたとしても、ある発射タイミングで出現した乱数は同日にもう1度現れることはないので、発射と乱数の同期を利用した大当りの狙い撃ちを確実に防止することができる。しかし、連続して同一の乱数が取得されないようにするために、乱数の更新は最低でも数ミリ秒に1回は実行する必要があることから、発射と乱数の同期間隔を12時間以上とするには、乱数の更新範囲を極端に大きくする必要があり、そのようにすると乱数生成回路の規模の増大やRAMの使用効率の低下をもたらすという不具合が生じる。
【0120】
そこで、本発明者は、発射と乱数の同期間隔の最小時間について検討した。その結果、発射と乱数の同期を利用した大当りの狙い撃ちを確実に防止しつつ乱数の更新範囲を小さくするには、発射と乱数の同期間隔を変動表示ゲームの変動時間のうち最も長いものより若干長くしてやればよいとの結論に達した。変動表示ゲームの変動時間は演出毎に定められているため、同期間隔を認識している遊技者がいた場合に、その時間を基に同期間隔が分かってしまうおそれがあり、発射と乱数の同期間隔を変動表示ゲームの変動時間よりも短く設定した場合には、大当りが発生した変動表示ゲームの変動時間中に再度同一の大当り乱数が生成されるので、発射を継続することでその同期タイミングで大当り乱数を取得させる確率を高めることができてしまうためである。
【0121】
本実施例の遊技機においては、発射と乱数の同期間隔を、変動表示ゲームの変動時間のうち最も長いものよりも長く設定できるようにするため、発射周期を決定する発射制御装置に使用する水晶発振子212(
図7参照)の発振周波数を、乱数の更新周期に応じて選択することとした。以下、具体的な選択の仕方について説明する。
図18(A)には、本実施例の遊技機における発射制御装置の発射周期と1分間当りの発射回数(発射モータ721の回転数rpm)の式が示されている。ここで、水晶発振子212の発振周波数をPFとし、該発振子による発振信号を分周する発振制御回路220(
図8参照)内の分周回路222の分周比をPCとする。また、本実施例で使用する発射モータはパルスモータであり、パルスモータを1回転させるのに必要なパスル数をPNとする。また、発射制御装置210は、発射モータ721が1回転されると遊技球を1個発射するように構成されているものとする。すると、発射周期は、発射周期=PN×PC/PFで表され、発射モータの回転数(rpm)すなわち1分間の発射回数は、発射回数(毎分)=T×PF/PN×PCで表される。なお、Tは1分、すなわち60秒である。
【0122】
パチンコ遊技機における発射制御装置の1分間当りの発射回数は、通常100回以内とされる。そこで、分周回路222の分周比PCを例えば12296に設定した場合に、発射回数が100回以内となるように、市販されている複数種類の発振周波数の水晶発振子212の中から、
図18(B)に示すように、周波数が4.086407(MHz),4.084101(MHz),3.842500(MHz),4.034625(MHz),4.098666(MHz)のものを選択すると、発射周期と1分間当りの発射回数は、それぞれ
図18(B)の表の中欄および右欄に示すような値となる。なお、
図18(B)の表の中欄および右欄に示す値は概略値であり、例えば(1)の中欄の値は、正確には、200×12296/4.086407≒601.50となる。他の値も同様である。
一方、
図19(A)に示すように、遊技制御装置100を構成する遊技用CPU111内の乱数生成回路111Dにおける乱数の更新範囲(乱数の大きさ)を例えば「0〜655535(=2の16乗)」とし、更新時期を例えば20MHzのシステムクロックの1/2の周波数10MHzを用いて100ns(ナノ秒)に1回と設定すると、乱数の更新周期は
図19(B)に示すように、乱数の大きさ/周波数で表されるので、この式より、乱数の更新周期は6.5536msとなる。
【0123】
本発明者は、発射タイミングと乱数の同期周期TLの最適な範囲を数値化することを考えた。しかし、上述したような発振周波数や乱数更新時期を選択した場合、
図18(B)や
図19(B)に示されているように、発射周期と更新周期は、小数点の付く値となってしまう。そこで、
図20(A)に示すように、発射周期と乱数更新周期を、整数の比である分数で表すことにより、分母と分子それぞれを整数で扱うことができるようにした。
具体的には、乱数更新周期をm/M、発射周期をn/Nで表す。ここで、mとMとはそれぞれ互いに素となる整数である。同様に、nとNもそれぞれ互いに素となる整数である。そして、1/MN(秒)を単位時間として扱うと、
図20(B)に示されているように、同期周期TLを、その単位時間の倍数で表現できるようになるので都合がよい。なお、m/Mとn/Nは、既約分数にした状態であるならば、必然的にmとMとは「互いに素となる整数」である。
【0124】
次に、m/Mとn/NにそれぞれMNなる数値を掛けることにより、整数NmとMnを得る。そして、この整数NmとMnの最小公倍数Lcm(Nm,Mn)をとると、Lcm(Nm,Mn)は発射タイミングと乱数の同期周期TLのMN倍になっていることが分かる。従って、Lcm(Nm,Mn)をMN値で割ることで、
図20(B)に示すように、本来の同期周期TLの値を得ることができる。さらに、この上段の式は、最大公約数を表す関数Gcdを用いて、中段、下段のように変形することができる。
従って、mとMおよびnとNはそれぞれ互いに素となる整数であるという条件の下で、上記のようにして得られたTLの値のうち、変動表示ゲームの変動時間の最大値X(例えば65秒)よりも大きい値を選択すれば、発射と乱数の同期を利用した大当りの狙い撃ちを防止することができる。なお、発射タイミングと乱数の同期周期TLは、実機では
図20(B)に示す式の値よりも大きければ、例えば1時間とか12時間のような比較的長い時間であっても良いので、同期周期TLの最適な範囲を数値化すると、
図20(C)に示すような不等式が得られる。
【0125】
次に、上記不等式を満たす具体的な設定例について、
図21を用いて説明する。
ここでは、特に限定されるものではないが、乱数生成回路111Dを「0」から1ずつカウントアップするカウンタモードで動作させ、乱数mの大きさを65536(=2
16)とし、0から65535(=2
16−1)まで計数させるものとする(なお、乱数生成回路111Dは「0」からでなく、「1」から65536まで1ずつカウントアップさせるようにしてもよい)。また、乱数生成回路111Dを動作させるクロックの周波数Mを10MHzに設定する。なお、
図21において、2
^16は2の16乗(=2
16)を意味し、10
^7は10の7乗(=10
7)を意味する。
【0126】
一方、打球発射装置に関しては、発射モータとして200パルスで1回転するパルスモータを使用した。また、発射周期が60ms(毎分発射回数100回)となるように、発射制御用の水晶振動子の周波数Nを4.098666MHzとし、発振制御回路220(
図8参照)内の分周回路222の分周比を12296に設定した。その結果、同期周期として19673600秒が得られた。この値は、変動表示ゲームの最大変動時間はもちろん1日の営業時間を12時間(43200秒)よりも充分に長いので、
図20(C)に示す不等式を満たしており、発射と乱数の同期を利用した大当りの狙い撃ちを確実に防止することができる。また、乱数の更新範囲である65536(=2
16)は、従来より実施されている範囲であるので遊技制御用CPUの負担を増加させることもない。
なお、
図20(C)に示す不等式の右項のmn/Gcd(mN,nM)は、mとnが互いに素となる整数であり、MとNも互いに素となる整数である場合には、積値mNと積値nMの最大公約数は「1」のみであるので、単にmnで表すことができる。つまり、同期周期TLの条件を示す
図20(C)の不等式は、X≦TL≦mnとなる(Xは変動表示ゲームの最大変動時間)。
【0127】
さらに、本発明者は、発射制御用の水晶振動子の周波数Nとして、
図18(B)の左欄に示すような5種類の値(4.086407MHz,4.084101MHz,3.842500MHz,4.034625MHz,4.098666MHz)を想定して、上記と同様の条件で乱数の更新タイミングと発射タイミングとの同期間隔TLと、該同期間隔内における乱数の更新回数および打球発射回数を算出してみた。その結果、
図22に示すような計算値が得られた。なお、
図22において、周波数と同期間隔と乱数更新回数と発射回数の下の欄の数式(2^2*5*7*19*29*53等)は、各値を素因数分解して式で表したものである。
【0128】
図22より、上から2つ(水晶振動子の周波数Nとして4.086407MHz,4.084101MHz,3.842500MHzを使用した場合)と一番下は、同期間隔が変動表示ゲームの最大変動時間よりも充分に長いので適用可能であることが分かる。また、上から3つ目(水晶振動子の周波数Nとして3.842500MHzを使用した場合)は、同期間隔が約20秒であり変動表示ゲームの最大変動時間よりも短いので適用不能である。
さらに、上から4つ目(水晶振動子の周波数Nとして4.034625MHzを使用した場合)は、同期間隔が約102秒であるので変動表示ゲームの最大変動時間が65秒であれば適用可能であるが、最大変動時間が100秒を超えるような変動表示ゲームを実行したい遊技機では適用不能である。
【0129】
図23には、変動表示ゲームの進行例と、上記実施例を適用した場合における変動表示ゲームの最大変動時間および乱数の更新タイミングと発射タイミングとの同期間隔の関係が示されている。
図23(A)に示す変動表示ゲームは、リーチの発生を伴うゲームの進行を示したもので、リーチ演出を実行するために変動時間が長く設定される。本実施形態においては、
図23(B)に示すように、変動表示ゲームの最大変動時間Xよりも、乱数の更新と発射との同期間隔TLの方が長くなるように、水晶振動子の周波数が選択される。
【0130】
図24には、変動表示ゲームの振り分けの例が示されている。本実施例では、変動表示ゲームの変動時間を長くする場合には、前半変動と後半変動に分けてそれぞれの変動時間を設定するようになっている。また、時短モードでの変動時間や先読み演出を実行する場合の変動時間もそれぞれ設定されている。さらに、時短の場合、保留数(始動記憶数)が多い場合と少ない場合とで、変動時間が「3.8s」と「12.8s」のように異なる値となるように設定されている。
図24に示すように、結果が外れとなる場合でリーチなしの通常変動ゲームは前半変動のみとされる。変動時間が最大の変動表示ゲームは、15ラウンドの大当りとなる特別リーチであり、この変動は前半変動の変動時間が35s(秒)で、後半変動の変動時間が30s、合計65sの変動となる。本発明において、変動表示ゲームの変動時間とは特に限定しない限り、合計の変動時間を意味する。
【0131】
なお、上記具体的な設定例では、先ず乱数の更新周期を決定し、決定された乱数更新周期に対して、乱数の更新と発射との同期間隔が変動表示ゲームの最大変動時間よりも長くなるように水晶振動子の周波数を決定するようにしているが、これとは逆に、先ず水晶振動子の周波数(発射周期)を決定し、決定された周波数に対して、乱数の更新と発射との同期間隔が変動表示ゲームの最大変動時間よりも長くなるように乱数更新周期を決定するようにしても良い。
【0132】
次に、大当り乱数の更新周期として定義した上記式「乱数の大きさ/周波数=m/M」の変数であるmの値とMの値の最適な取り方について説明する。
先ず、mの値については、素因数として「2」を含む整数、望ましくは2のべき乗で表わされる数(例えば
図19に示すように2
9)、さらに望ましくはm=2
nと表わしたときのnを4の倍数(いわゆるバイトの倍数)とする。
上記のように、m値として2のべき乗で表わされる数を設定した場合には、バイナリカウンタ回路等で構成される乱数生成回路において、計数する乱数の範囲を規定する手段(回路)を設けることなく所望の大きさの乱数を生成することができるため、乱数生成回路の規模を小さくすることができる。また、m値としてm=2
nと表わしたときのnを4の倍数とした場合には、通常遊技制御装置に使用されるCPU(マイクロコンピュータ)は、扱うデータサイズがバイトの整数倍であるため、CPUによる乱数の生成や乱数データの転送、加工等の処理が非常にやり易くプログラムの開発が容易となる。
【0133】
次に、Mの値については、素因数として「5」を含む整数、望ましくは5のべき乗で表わされる数(例えば
図19に示すように57)とする。mの値として「2」を含む整数もしくは2のべき乗で表わされる数を選択し、Mの値として「5」を含む整数もしくは5のべき乗で表わされる数を選択することで、容易に、mとMを互いに素となる整数にすることができる。また、市販のCPUには、10MHzや100MHz、1GHzのように10のべき乗の動作周波数を持つものが比較的多く提供されており、このような動作周波数は、10
nで表わすことができ、10
nは2
n×5
nと変形できることから、5のべき乗で表わされるのは明らかであり、上記条件を満足するシステムを容易に構成することができるためである。
【0134】
以上の説明から、本出願には、
始動条件の成立に基づき、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームの結果態様が予め定めた特別結果態様となった場合に、遊技者に所定の遊技価値を付与可能な特別遊技状態を発生可能な遊技機において、
所定数を更新範囲として第1カウンタ値を循環して更新する第1乱数生成手段と、
所定数を更新範囲として第2カウンタ値を循環して更新する第2乱数生成手段と、
前記遊技領域内に設けられた遊技球の入賞を第1始動条件とする第1始動入賞領域と、
前記遊技領域内に前記第1始動入賞領域とは別に設けられた遊技球の入賞を第2始動条件とする第2始動入賞領域と、
遊技盤の遊技領域内へ遊技球を発射する発射手段と、
当該発射手段により発射される遊技球の発射勢を調整する発射調整手段と、
遊技を統括的に制御する遊技制御手段と、
前記遊技制御手段の指令に基づいて遊技の進行に関連する演出を制御する演出制御手段と、を備え、
前記遊技制御手段は、
前記第1及び第2乱数生成手段が更新する前記第1及び第2カウンタ値を任意のタイミングで取得し、取得した前記第1及び第2カウンタ値を乱数として遊技制御に利用し、
前記第2始動入賞領域への入賞に対応する変動表示である第2変動表示ゲームを、前記第1始動入賞領域への入賞に対応する変動表示である第1変動表示ゲームに優先 して実行し、
前記発射手段は、
予め定められた発振周波数の発振信号を発生させる発振手段と、
前記発振信号と前記発射調整手段からの信号とに基づいて発射を制御する発射制御手段と、
所定のパルス数の駆動信号が印加されることで単位動作を行い、当該発射制御手段により遊技球を発射するための球発射杵の駆動を行う駆動源と、
予め定められた分周比により、前記発振周波数の調整を行う分周回路と、を備え、
前記発振周波数と前記パルス数及び前記分周比に基づいて決定される前記発射手段による発射周期と、前記第2乱数生成手段による乱数の更新周期との同期間隔が、前記第2変動表示ゲームの最大変動時間よりも長くなるように設定した発明が含まれていることが分かる。
【0135】
そして、上記のような発明によれば、変動表示ゲームの変動時間は演出毎に定められているため、同期間隔を認識している遊技者がいた場合に、その時間を基に同期間隔が分かってしまい特定の変動表示ゲームの変動を基準とした特定乱数が狙い撃ちされるおそれがあるが、上記のような発明によれば、発射周期と乱数の更新周期の同期間隔を第2変動表示ゲームの最大時間よりも長くすることで、特定の変動表示ゲームの変動を基準とした所定の乱数値の狙い撃ちを防止し、遊技の公正さを確保することが出来る。
【0136】
また、本出願には、
前記第2乱数生成手段により更新される乱数の大きさをmの整数倍の値、乱数の更新周波数をMの整数倍の値とし、乱数の更新周期をm/Mで表わせるように倍数を設定したとき、当該m/Mの分子を構成するm値と分母を構成するM値とは、互いに素となる整数であり、
前記駆動源による1回の発射に要する駆動パルス数と前記分周回路による分周比との積を前記発振手段の発振周波数で割ることで得られる発射周期をn/Nで表わしたとき、当該n/Nの分子を構成するn値と分母を構成するN値とは、互いに素となる整数であり、
前記m値とn値との積値mnを、前記N値とm値との積値Nmと前記M値とn値との積値Mnとの最大公約数Gcd(Nm,Mn)で割った値Dは、前記第2変動表示ゲームの最大変動時間よりも長く、
前記発射周期と乱数の更新周期の同期間隔は、前記第2変動表示ゲームの最大変動時間よりも長く前記値Dよりも短くなるように設定した発明が含まれている。
かかる発明によれば、第2乱数生成手段が生成する乱数の範囲を極端に大きくすることなく、発射周期と乱数の更新周期の同期間隔を第2変動表示ゲームの最大時間よりも長くすることができ、遊技制御手段の負担を軽減することができる。
【0137】
さらに、本出願には、前記m値は素因数として「2」を含む値であり、前記M値は素因数として「5」を含む値であるようにした発明が含まれている。
かかる発明によれば、乱数の更新周期を与える「乱数の大きさ/周波数=m/M」の式における分子のm値は素因数として「2」を含む値とすることで、乱数生成手段を一般的なバイナリカウンタ回路等で構成する場合に、乱数生成回路の規模を小さくすることができる。また、「乱数の大きさ/周波数=m/M」の式における分母のM値は素因数として「5」を含む値とすることで、遊技制御手段をCPUで構成する場合に動作周波数が10のべき乗すなわち5のべき乗であるCPUが容易に手に入るため、所望の条件を満足するシステムを容易に構成することができる。
【0138】
また、本出願には、前記m値とn値との最大公約数には、「2」または「2のべき乗数」が含まれるようにした発明が含まれている。
かかる発明によれば、m値とn値との最大公約数に「2」または「2のべき乗数」が含まれる場合には、m値とN値との積値mNと、M値とn値との積値Mnと、の前記最大公約数Gcd(Nm,Mn)にも「2」または「2のべき乗数」が含まれることとなるので、m値とn値との積値mnを、N値とm値との積値NmとM値とn値との積値Mnとの最大公約数Gcd(Nm,Mn)で割った値Dを小さな値にすることができ、扱いが容易となるとともに、同期周期の値が決まっている場合にはm/Mやn/Nが取り得る値が多くなり、選択肢を広げることができる。
【0139】
さらに、本出願には、前記最大公約数Gcd(Nm,Mn)には、「2」と「5」が含まれるようにした発明が含まれている。
かかる発明によれば、m値とn値との積値mnを、N値とm値との積値NmとM値とn値との積値Mnとの最大公約数Gcd(Nm,Mn)で割った値Dをさらに小さな値にすることができ、扱いが容易となるとともに、同期周期の値が決まっている場合にはm/Mやn/Nが取り得る値が多くなり、選択肢を広げることができ、所望の条件を満たす振動子やCPUを手に入れ易くなる。
【0140】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、今回開示した実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではない。また、本発明の範囲は前述した発明の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、前記実施例では、大当り乱数の更新と遊技球の発射とが短い時間の間に同期するのを回避するようにする場合について説明したが、本発明は普図当り判定用の乱数の更新と遊技球の発射とが短い時間の間に同期するのを回避する場合にも適用することができる。