(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態の動体情報表示装置及びプログラムを詳細に説明する。
図1は、実施形態にかかる動体情報表示装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【0009】
動体情報表示装置1は、管制空域の動体情報を表示する情報処理装置であり、
図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されるコンピュータ構成の制御部10と、通信I/F12と、I/O機器制御部13とがバス11によって接続されて構成されている。
【0010】
制御部10は、CPUがROMや記憶部17に記憶されるプログラム171をRAMの作業領域に展開して順次実行することで、動体情報表示装置1の動作を統括制御する。具体的には、制御部10は、記憶部17に記憶されるプログラム171を順次実行することで、監視情報処理部101、監視情報表示部102、監視情報操作部103としての機能(詳細は後述する)を実現する。通信I/F12は、制御部10の制御のもと、RDP(Radar Data Processing system)等の外部の管制情報処理システムとの間のデータ通信を行う。具体的には、通信I/F12は、外部の管制情報処理システムから管制空域内を移動する動体(航空機、艦船、地上移動体)の位置(緯度、経度、高度、誤差)、速度、フライトプラン等の動体情報を随時取得する。
【0011】
制御部10には、I/O機器制御部13を介して操作部14、表示部15、プリンタ16及び記憶部17が接続されている。操作部14は、キーボード、マウスや表示部15に積層されたタッチパネル等のポインティングデバイスであり、オペレータ(管制官)からの操作を受け付ける。表示部15は、制御部10からの表示情報を表示するディスプレイ装置である。記憶部17は、HDD(Hard Disk Drive)等のストレージデバイスである。記憶部17は、制御部10が実行するプログラム171の他、各種設定情報を記憶する。記憶部17が記憶する各種設定情報としては、表示部15に管制空域の動体情報を表示する監視画面を表示する際に、建造物や地形等の地図の表示に利用される、管制空域内の建造物や地形の位置(緯度、経度、高度)が記述された建造物・地形情報ファイルなどがある。
【0012】
図2は、実施形態にかかる動体情報表示装置1の機能構成を模式的に示すブロック図である。
図2に示すように、監視情報処理部101は、外部の管制情報処理システムから入力された動体情報、監視情報操作部103から入力された操作データをもとに、管制空域内に存在する動体の各々を示すシンボルをオペレータが所望する状態で投影する2次元監視画面の表示情報を生成する。監視情報処理部101は、生成した表示情報を監視情報表示部102へ出力する。具体的には、監視情報処理部101は、動体情報や操作データの他、管制空域内の建造物や地形の位置が記述された建造物・地形情報ファイルを参照し、管制空域内の動体、建造物・地形を、鉛直上方から水平面に投影し、鉛直上方から見下ろした2次元監視画面を表示する表示情報を生成する。なお、管制空域内の動体を投影する方向については、鉛直直上から水平面に投影する以外、水平方向から鉛直面に投影してもよい。この場合は、水平方向から管制空域を見た2次元監視画面を表示する表示情報が生成される。
【0013】
監視情報表示部102は、監視情報処理部101より出力された表示情報をもとに、表示部15に上述した2次元監視画面を表示させる。監視情報操作部103は、操作部14により2次元監視画面を表示部15に表示する際の、オペレータの操作入力を操作部14より受け付ける。具体的には、操作部14におけるキーボード、マウス、タッチパネル等の操作をもとに、2次元監視画面上のポインティング操作や各種設定操作をオペレータより受け付ける。監視情報操作部103は、受け付けた操作内容を示す操作データを監視情報処理部101へ出力する。
【0014】
次に、上述した監視情報処理部101、監視情報表示部102、監視情報操作部103により実現される動体情報表示装置1の動作の詳細について説明する。
図3は、動体情報表示装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0015】
図3に示すように、制御部10のCPUによりプログラム171が実行されて処理が開始されると、監視情報処理部101は、オペレータの操作による入力を監視情報操作部103より受け付けて(S11a)、監視情報操作部103から出力される操作データをもとに、管制空域内に存在する動体をグループ化して表示する表示諸元の設定を行う(S11)。なお、S11における表示諸元の設定は、操作部14における設定ボタンの操作などに応じて行われてよく、オペレータの任意のタイミングで設定変更が可能であってよい。
【0016】
S11aにおけるオペレータの入力は、各種設定を行う設定画像を表示部15に表示し、操作部14からオペレータの操作を受け付けて行う。また、S11で設定を行う表示諸元は、管制空域内においてグループ化するエリア(範囲)の区切りの設定、エリアを区切る分割線の表示/非表示の設定、区切られた複数のエリアの選択による、動体をグループ化して表示するエリアの範囲の設定、グループ化された動体のシンボルを切り替えて表示する際の切替間隔(周期)の設定、優先して表示する動体シンボルの設定、航跡インジケータの表示/非表示とその表示方位の設定、管制空域内に存在する動体をグループ化し、グループ化された動体のシンボルを切り替えて表示する機能の発動/停止の設定などがある。
【0017】
図4は、表示画面Gの一例を示す概念図であり、より具体的には、上述した表示諸元の設定を行う設定画像G2を含む表示画面Gの一例を示す図である。
【0018】
図4に示すように、表示画面Gは、制御部10の制御のもとで表示部15に表示される画面であり、監視画像G1、設定画像G2を有する構成である。監視画像G1は、監視情報処理部101の表示情報をもとに、監視情報表示部102が表示部15に表示する画像であり、管制空域内の動体(例えばP1〜P5)を、鉛直上方から水平面に投影し、鉛直上方から見下ろした状態を表示する画像である。
【0019】
なお、
図4に例示した監視画像G1では、縦分割線G11、横分割線G12で分割された矩形状の基準エリアG10ごとに動体をグループ化し、グループ化された動体のシンボルを切り替えて表示する機能は停止されており、すべての動体のシンボルが表示されている。このため、例えば基準エリアG10iでは動体シンボルP1〜P3の3つの動体シンボルが、基準エリアG10jでは動体シンボルP4、P5の2つの動体シンボルが同時に表示され、識別しづらいものとなっている。なお、動体シンボルP1〜P5などの各動体シンボルは、動体情報をもとに、動体の現位置を示す航跡存在点S1、動体に対応したシンボル画像S2、動体の進行方向を示す進行方位画像S3を有する構成である。
【0020】
設定画像G2は、管制空域内に存在する動体をグループ化して表示する表示諸元の設定を行うための設定領域G21〜G27と、その設定を反映させるボタンG28を有する。設定領域G21は、監視画像G1を縦分割線G11、横分割線G12で分割した基準エリアG10ごとに、動体をグループ化するための基準エリアG10の区切りを設定する領域である。具体的には、基準エリアG10の縦横の実距離、監視画像G1上のドット数、監視画像G1における縦横の分割数のいずれで設定するかを選択し、入力値に例えば(縦)×(横)の値を入力して設定を行う。
【0021】
設定領域G22は、縦分割線G11、横分割線G12の表示/非表示を設定する領域である。具体的には、「表示」のボタン/「非表示」のボタンのいずれかの選択で設定する。設定領域G23は、動体をグループ化して表示するエリアの範囲を設定する領域である。具体的には、「全体」のボタン/「個別」のボタンのいずれかの選択で監視画像G1全体の個々の基準エリアG10についてグループ化するか、又は基準エリアG10を個別に選択し、選択した基準エリアG10についてグループ化するかの選択を行う。
【0022】
ここで、基準エリアG10を個別に選択する場合(設定領域G23で「個別」ボタンを選択した場合)は、監視画像G1の中からグループ化を所望する基準エリアG10のタッチ操作を操作者から受け付ける。例えば、動体シンボルP1〜P3の3つの動体シンボルが同時に表示される基準エリアG10iをグループ化し、グループ化した動体シンボルP1〜P3を切り替えて表示させたい場合、操作者は監視画像G1の基準エリアG10iをタッチ操作することで、基準エリアG10iをグループ化するエリアとすることができる。
【0023】
設定領域G24は、グループ化された動体のシンボルを切り替えて表示する際の切替間隔(周期)を設定する領域である。具体的には、入力値に切替間隔の値を入力して設定する。設定領域G25は、優先して表示する動体シンボルを設定する領域である。具体的には、優先して表示する動体シンボルに対応するボタンを選択して設定する。動体シンボルには、動体情報をもとに、動体の状態を識別する種々の形状の動体シンボルがある。例えば、味方の航空機を示す動体シンボル、敵の航空機を示す動体シンボル、敵味方不明の航空機を示す動体シンボルなどがある(艦船、地上移動体も同様)。操作者は、これら種々の形状の動体シンボルの中から優先して表示する動体シンボルを選択できる。
【0024】
設定領域G26は、航跡インジケータの表示/非表示とその表示方位を設定する領域である。ここで、航跡インジケータとは、グループ化された動体シンボルの数を示す標識のことである。基準エリアG10ごとにグループ化された動体シンボルを切り替えて表示する場合は、いくつの動体シンボルが基準エリアG10内に存在するのかを分り易くするため、グループ化された動体シンボルの数を航跡インジケータとして表示させる。具体的には、「表示」のボタン/「非表示」のボタンのいずれかを選択し、表示する場合は表示方位(動体シンボルに対する航跡インジケータの表示位置)を入力して設定する。なお、表示方位については、動体シンボルに対する航跡インジケータの表示位置を「左上」などと指定してもよいし、単純に方位角(例えば315°等)で指定してもよい。
【0025】
設定領域G27は、グループ化された動体シンボルを切り替えて表示する機能の発動/停止を設定する領域である。具体的には、「機能発動」のボタン/「機能停止」のボタンのいずれかの選択で設定する。
【0026】
図3に戻り、S11に次いで、監視情報処理部101は、管制空域内に存在する動体の各々を示す動体シンボルを、動体情報をもとにS11で設定された表示諸元に従って設定された基準エリアG10ごとにグループ化するグループ化処理を行う(S12)。具体的には、動体情報に含まれる各動体の位置を参照し、区切りが設定された基準エリアG10の中でグループ化すると設定された基準エリアG10内に存在する動体を抽出して、その抽出した動体にグループIDなどを割り当ててグループ化する。
【0027】
例えば、
図4の例で基準エリアG10i、G10jがグループ化するエリアとされた場合は、基準エリアG10i内に存在する動体シンボルP1〜P3が抽出され、同一のグループID「i」などが割り当てられる。また、基準エリアG10j内に存在する動体シンボルP4、P5が抽出され、同一のグループID「j」などが割り当てられる。
【0028】
次いで、監視情報処理部101は、監視画像G1の各監視画像G1において表示する動体シンボルである表示シンボルの選択を行う(S13)。ここで、グループIDの割り当てがない基準エリアG10については、すべての動体シンボルが表示シンボルとされる。また、グループIDの割り当てがある、グループ化された基準エリアG10については、同一のグループIDの動体シンボルなかで、表示シンボルの選択が所定の時間間隔で切り替えられる。例えば、前述した
図4の例において、同一のグループID「i」などが割り当てられた基準エリアG10i内の動体シンボルP1〜P3については、動体シンボルP1→P2→P3→P1…などのように、所定の時間間隔で切り替えられることとなる。
【0029】
ここで、優先して表示する動体シンボルが設定されている場合は、その優先して表示する動体シンボルの表示頻度を高くするように、表示シンボルの選択が行われる。例えば、同一のグループID「i」などが割り当てられた基準エリアG10i内の動体シンボルP1〜P3について、動体シンボルP1を優先して表示する場合は、動体シンボルP1→P2→P1→P3→P1…などのように、動体シンボルP2、P3に比べて動体シンボルP1の表示頻度が高くなるように選択される。
【0030】
次いで、監視情報処理部101は、動体情報をもとに、監視画像G1上において動体シンボルを表示するシンボル表示の中心位置を算出する(S14)。ここで、シンボル表示の中心位置と縦分割線G11、横分割線G12との距離が所定値(動体シンボルの中心から周囲までの距離)以下である場合は、監視画像G1上に表示した動体シンボルの一部が縦分割線G11、横分割線G12を跨いで基準エリアG10外に出ることとなる。したがって、シンボル表示の中心位置と縦分割線G11、横分割線G12との距離が所定値以下である場合は、シンボル表示の中心位置を基準エリアG10の中心方向に移動させて、動体シンボルの一部が縦分割線G11、横分割線G12を跨いで基準エリアG10外に出ないように補正する。
【0031】
次いで、監視情報処理部101は、動体情報をもとに、監視画像G1上における各動体の航跡存在点S1の表示位置を算出する(S15)。次いで、監視情報処理部101は、設定領域G26における航跡インジケータの設定に従い、グループIDの割り当てがある、グループ化された基準エリアG10の動体シンボルについて、同一のグループIDが割り当てられた動体の数の表示を設定する(S16)。次いで、監視情報処理部101は、S12〜S16の処理をもとに、監視画像G1における動体シンボルを表示させる(S17)。
【0032】
図5は、監視画像G1の一例を示す概念図であり、より具体的にはグループ化された動体シンボルを切り替えて表示する機能を発動後のS17の処理で表示された監視画像G1の一例を示す図である。
図5に示すように、複数の動体が存在している基準エリアG10では、S12で動体シンボルがグループ化され、S13で一つずつ所定の時間間隔で切り替えて表示シンボルの選択が行われ、選択された表示シンボルが表示されることから、一領域に多くの動体が密集する場合であっても、動体シンボルが重なって見づらくなることがない。
【0033】
図6は、動体シンボルP1〜3の切り替えを例示する概念図である。
図6に示すように、複数の動体が存在している基準エリアG10iでは、動体シンボルP1〜P3が所定の時間間隔で切り替えて表示される。
【0034】
図7は、優先して表示する動体シンボルが設定されている場合の切り替えを例示する概念図である。
図7に示すように、動体シンボルP10〜P13の中で動体シンボルP10を優先して表示する場合は、動体シンボルP10→P11→P10→P12→P10→P13→P10→P11…などのように、一巡して表示する間に動体シンボルP10の表示頻度が高くなるように選択される。したがって、優先度の高い動体シンボルP10を、オペレータがより識別しやすくなる。
【0035】
図8は、動体シンボルの移動を例示する概念図である。
図8に示すように、シンボル表示の中心位置が基準エリアG10の縁に近く、そのままシンボル画像S2を表示した時に、一部が基準エリアG10外に出る場合は、基準エリアG10の中心方向に移動させたシンボル画像S2a、進行方位画像S3aとする。これにより、基準エリアG10を区切る縦分割線G11、横分割線G12と重畳することや、基準エリアG10外に出た一部が他の動体シンボルと重畳することを防止できる。
【0036】
図9は、グループ化された動体シンボルPの数を示す航跡インジケータS4を例示する概念図である。
図9に示すように、グループ化された動体シンボルPには、航跡インジケータの設定に従って、グループ化された動体シンボルの数が航跡インジケータS4に表示される。このため、オペレータは、航跡インジケータS4を確認することで、基準エリアG10内でグループ化されている動体の数を認識できる。
【0037】
なお、本実施形態の動体情報表示装置1で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の動体情報表示装置1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0038】
さらに、本実施形態の動体情報表示装置1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の動体情報表示装置1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0039】
本実施形態の動体情報表示装置1で実行されるプログラムは、上述した各部(監視情報処理部101、監視情報表示部102、監視情報操作部103)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。