特許第5989431号(P5989431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989431
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】異形断面軽金属材料の成形方法
(51)【国際特許分類】
   B21D 26/033 20110101AFI20160825BHJP
   B21D 53/88 20060101ALI20160825BHJP
   B21D 47/01 20060101ALI20160825BHJP
   B21D 26/043 20110101ALI20160825BHJP
   B60J 5/04 20060101ALN20160825BHJP
【FI】
   B21D26/033
   B21D53/88 Z
   B21D47/01 Z
   B21D26/043
   !B60J5/04 M
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-157035(P2012-157035)
(22)【出願日】2012年7月13日
(65)【公開番号】特開2014-18805(P2014-18805A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】シロキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083286
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】吉原 二郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 謙二
(72)【発明者】
【氏名】大澤 成信
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−100679(JP,A)
【文献】 特開2010−120571(JP,A)
【文献】 特開2008−105053(JP,A)
【文献】 特開2002−106230(JP,A)
【文献】 特開平08−175180(JP,A)
【文献】 特開2010−105531(JP,A)
【文献】 特開平11−342743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 26/033 − 26/045
B21D 47/01
B60J 5/04
B21D 53/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延長方向と直交する断面において、閉鎖断面からなる袋状部と該袋状部に連なる非袋状部とを有する軽金属からなる一様断面の押出成形材を成形する押出成形ステップ;
該押出成形材の非袋状部を保持する一様断面部保持部と、袋状部を保持する長手方向に少なくとも一部が非一様断面の非一様断面部成形部とを有する成形型を準備するステップ;
上記押出成形ステップで成形された一様断面の押出成形材の非袋状部を上記成形型の一様断面部保持部にセットし、袋状部を上記非一様断面部成形部にセットするステップ;及び
上記成形型にセットされた押出成形材の袋状部内に液圧を加えて、上記成形型の非一様断面部成形部形状に従い該袋状部を延長方向に非一様断面に成形する内圧成形ステップ;
を有し、
上記非袋状部は、車両用ドアサッシュ立柱の車外側に位置する意匠部であり、
上記袋状部は車内側に位置していて接続壁を介してこの意匠部に連なっており、
上記袋状部は、車外側壁と、該車外側壁より幅狭の車内側壁と、該車外側壁と車内側壁の車両前後方向の両端部を接続する一対の前後側壁とを有する一定断面部と、上記一対の前後側壁の車内側への突出量を変化させて形成された徐変断面部とを備えていることを特徴とする異形断面軽金属材料の成形方法。
【請求項2】
請求項1記載の異形断面軽金属材料の成形方法において、上記一対の前後側壁と車内側壁の徐変断面部は、互いに平行をなす車内側への突出量を徐変させる平行板部と、この平行板部の車内側を接続する凸円弧断面部とを有している異形断面軽金属材料の成形方法。
【請求項3】
請求項1記載の異形断面軽金属材料の成形方法において、上記一対の前後側壁と車内側壁の徐変断面部は、車内側壁の車両前後方向の幅を変化させることなく、一対の前後側壁の車内側への突出量及び形状を変化させて形成されている異形断面軽金属材料の成形方法。
【請求項4】
請求項1記載の異形断面軽金属材料の成形方法において、上記一対の前後側壁と車内側壁の徐変断面部は、車内側に向かうに連れて互いの距離を接近させる上記一対の前後側壁を車内側に延長した前後側壁延長部によって形成されている異形断面軽金属材料の成形方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項記載の異形断面軽金属材料の成形方法において、上記袋状部と上記接続壁との接続部は、押出成形ステップの終了状態において、最も厚肉である異形断面軽金属材料の成形方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の異形断面軽金属材料の成形方法において、上記内圧成形ステップには、上記袋状部の液密を保持したまま、該袋状部の両端部に軸方向の圧縮力を及ぼす軸力付与ステップを含む異形断面軽金属材料の成形方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載の異形断面軽金属材料の成形方法において、上記袋状部の上記一定断面部は、長さ方向の両端部に形成されており、上記徐変断面部は、中間部の断面積を長さ方向に徐々に拡大した後徐々に減じている異形断面軽金属材料の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異形(非一様)断面軽金属材料の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用ドアサッシュ、住宅の窓用サッシュ等のサッシュ部材(窓枠部材)は、軽量化を目的として、従来の鉄系材料のロール成形品に代え、アルミ合金の押出成形品を用いることが提案され実用化されている。しかし、押出成形品は一様断面であるため、部分的な強度アップに対応することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-25855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、例えば車両用ドアサッシュの立柱サッシュは、押出成形の後、車両ドアの左右(車幅)方向の膨らみに従って曲折する加工(立柱サッシュ曲げ加工)が不可欠であり、部分的な強度アップを図ることが好ましい。
本発明は特に、押出成形完了状態で、閉鎖断面の袋状部と、この袋状部に接続壁を介して連なる非袋状部とを有する押出成形品を、部分的に強度アップすることができる異形断面軽金属材料の成形方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、非袋状部の一様断面は長さ方向に維持する一方、閉鎖断面の袋状部の断面形状を長さ方向に変化(部分的に拡大)することにより、部分的な強度アップを図るという着眼に基づいてなされたものである。
【0006】
本発明による異形断面軽金属材料の成形方法は、
延長方向と直交する断面において、閉鎖断面からなる袋状部と該袋状部に連なる非袋状部とを有する軽金属からなる一様断面の押出成形材を成形する押出成形ステップ;
該押出成形材の非袋状部を保持する一様断面部保持部と、袋状部を保持する長手方向に非一様断面の非一様断面部成形部とを有する成形型を準備するステップ;
上記押出成形ステップで成形された一様断面の押出成形材の非袋状部を上記成形型の一様断面部保持部にセットし、袋状部を上記非一様断面部成形部にセットするステップ;及び
上記成形型にセットされた押出成形材の袋状部内に液圧を加えて、上記成形型の非一様断面部成形部形状に従い該袋状部を延長方向に非一様断面に成形する内圧成形ステップ;
を有し、
上記非袋状部は、車両用ドアサッシュ立柱の車外側に位置する意匠部であり、
上記袋状部は車内側に位置していて接続壁を介してこの意匠部に連なっており、
上記袋状部は、車外側壁と、該車外側壁より幅狭の車内側壁と、該車外側壁と車内側壁の車両前後方向の両端部を接続する一対の前後側壁とを有する一定断面部と、上記一対の前後側壁の車内側への突出量を変化させて形成された徐変断面部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
上記一対の前後側壁と車内側壁の徐変断面部の態様としては、少なくとも
互いに平行をなす車内側への突出量を徐変させる平行板部と、この平行板部の車内側を接続する凸円弧断面部とを有する態様、
車内側壁の車両前後方向の幅を変化させることなく、一対の前後側壁の車内側への突出量及び形状を変化させて形成する態様、あるいは
車内側に向かうに連れて互いの距離を接近させる上記一対の前後側壁を車内側に延長した前後側壁延長部によって形成する態様、
が可能である。
【0012】
これらの各態様においては、上記袋状部と接続壁との接続部は、押出成形ステップの終了状態において、最も厚肉とすることが好ましい。
【0013】
内圧成形ステップでは、上記袋状部の液密を保持したまま、該袋状部の両端部に軸方向の圧縮力を及ぼす軸力付与ステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、押出成形完了状態で、閉鎖断面の袋状部と、この袋状部に接続壁を介して連なる非袋状部とを有する押出成形品に対し、その袋状部に内圧を加えて所定部分の断面形状を徐変(部分的に拡大)する(押出成形品に簡単な内圧成形を加える)という簡単な方法により、同拡大部分の強度をアップした異形断面金属材料(車両用ドアサッシュ立柱)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による異形断面軽金属材料を立柱サッシュに用いた車両ドアの一例を示す側面図である。
図2図1のII-II線に沿う立柱サッシュの断面図である。
図3】(A)、(B)は、本発明による異形断面軽金属材料の押出成形後の内圧成形工程を示す型開き状態と型締め状態の断面図である。
図4図3(B)の型締め状態の側面図である。
図5】(A)、(B)、(C)は、図4のV1-V1線及びV2-V2線に沿う断面を重ねて描いた、それぞれ袋状部の別の断面形状例を示す断面図である。
図6図3図4の内圧成形工程を経た立柱サッシュを車両ドアの左右(車幅)方向の膨らみに従って曲折加工(立柱サッシュ曲げ)した後の形状例を示す車両後方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、車両ドア10を有する乗用車の側面形状を示している。車両ボディBのドア開口(ボディ開口)Aを開閉する車両ドア10は、ドア本体(インナパネルとアウタパネル)11の上部に窓開口12を形成するドアサッシュ(窓枠)20を備えている。
【0017】
ドアサッシュ20は、窓ガラスGの上縁を受け入れる側面視で曲折したアッパサッシュ21と、車両ボディBのセンターピラー16に沿い窓ガラスGの上下方向縁部を受け入れる立柱サッシュ22とを有している。立柱サッシュ22の上端部とアッパサッシュ21の端部とは周知手段で接続固定され、アッパサッシュ21と立柱サッシュ22の下方は、ドア本体11内に延びて該ドア本体11に固定される。本実施形態は、このドアサッシュ20の立柱サッシュ22に適用したものである。
【0018】
立柱サッシュ22は、アルミ合金(軽金属)からなるもので、図2に示すように、車外側に位置する車両前後方向に延びる非袋状部(板状部、意匠部)22aと、車内側に位置する閉鎖断面からなる袋状部22bと、非袋状部22aと袋状部22bを接続する接続壁22cとを有している。非袋状部22aの接続壁22cより前方に位置する前方部分22a1の裏面(車内側の面)にはガラスラン保持突起22dが突出形成されている。非袋状部22aの接続壁22cより後方に位置する後方部分22a2の裏面(車内側の面)には、ウェザーストリップ保持突起22eが突出形成されている。また、非袋状部(意匠部)22aの車外側には、合成樹脂製のガーニッシュ23が装着されている。なお、図2ないし図6の「車内」、「車外」、「前方」、「後方」、「上」、「下」は、立柱サッシュ22を基準とした方向を述べている。
【0019】
袋状部22bは、接続壁22cより前方に位置していて、車外側壁22b1と、該車外側壁22b1より幅狭の車内側壁22b2と、該車外側壁22b1と車内側壁22b2の車両前後方向の両端部を接続する一対の前後側壁22b3とを有している。車内側壁22b2は、車両ドア10を閉じた状態では、車両ボディBに支持されるボディ側ウェザーストリップBWに当接して、該ボディ側ウェザーストリップBWを弾性変形させる(ボディ側ウェザーストリップBWは、立柱サッシュ22の上方から下方にかけてドア開口の車内側に位置が変化している)。この車内側壁22b2は断面凸円弧状に形成してもよい。車外側壁22b1には、車外側に突出するガラスラン保持突起22fが形成されていて、このガラスラン保持突起22fと非袋状部22a(前方部分22a1)裏面側のガラスラン保持突起22dとの間に、ガラスランGRが保持される。
【0020】
また、接続壁22cの車内側端部には袋状部22bとは反対側に突出させて、先端部を車外側に曲折したウェザーストリップ保持突起22gが形成されている。このウェザーストリップ保持突起22gと非袋状部22a(後方部分22a2)裏面側のウェザーストリップ保持突起22eとの間に、ドア側ウェザーストリップDWが保持される。
【0021】
以上の立柱サッシュ22は、鉄系材料のロール成形品と異なり、アルミ合金(軽金属)を周知の押出成形によって一様断面に形成した後、車両ドアの左右(車幅)方向の膨らみに従って曲げる後加工(立柱サッシュ曲げ)が施されて完成される。すなわち、押出成形後の立柱サッシュ22は、一様断面の直線状部材であり、長さ方向の強度は一様であるのに対し、立柱サッシュ曲げでは、局部的に(特に長さ方向の中間部分の)強度を高めることが好ましい。そこで、本実施形態では、立柱サッシュ曲げの前に、立柱サッシュ22の強度を局部的に高めるため、立柱サッシュ22の袋状部22bを利用して、その断面積を変化させている。図3図4は、その袋状部22bの断面形状を長さ方向に変化させる内圧成形の様子を示している。なお、厳密には、立柱サッシュ22は、押出成形後、内圧成形後、立柱サッシュ曲げ後でそれぞれ形状が異なるが、本実施形態の説明では、便宜上、いずれの状態も立柱サッシュ22と呼ぶこととする。
【0022】
内圧成形型30は、上型31、下型32、芯金33及び左右のシール押圧軸34、35を備えている。上型31は、主に立柱サッシュ22の袋状部22bを保持する凹部31aと、ウェザーストリップ保持突起22gとウェザーストリップ保持突起22eに対応する凹部31bとを備えている。下型32は、立柱サッシュ22の非袋状部22aを収納する凹部(一様断面部保持部)32aを備えており、非袋状部22aの後方部分22a2(のウェザーストリップ保持突起22eより後方部分)が非袋状部保持凹部32aと上型31の下面との間に保持される。芯金33は、袋状部22bの車外側壁22b1(ガラスラン保持突起22f)を保持する凹部33aと、接続壁22cの前側の面に当接する当接面33bとを備えている。
【0023】
以上の内圧成形型30は、上型31の袋状部保持凹部(非一様断面部成形部)31a以外は、長さ方向(図3の紙面に垂直な方向)に同一の断面形状を有している。これに対し、袋状部保持凹部31aは、袋状部22bの断面形状を長さ方向に変化(増減)させるべく、形状が長さ方向に徐変している。上型31の袋状部保持凹部31aと、この保持凹部31aによって成形される立柱サッシュ22の袋状部22の形状は、凹凸の関係にあるので、以下、両者を一緒に論じる。具体的に、袋状部保持凹部31a(袋状部22b)は、長さ方向の両端部に一定断面部31ac(一定断面部22bc)を備えており、中間部に徐変断面部31av(徐変断面部22bv)を備えている。徐変断面部31av(徐変断面部22bv)は、両端部の一定断面部31ac(一定断面部22bc)の断面積を長さ方向に一旦拡大してから再び縮小するもので、図示実施形態では、袋状部保持凹部31a(袋状部22b)の車内側への突出量を変化させることで、断面積(骨格形状)を増減させている。
【0024】
シール押圧軸34とシール押圧軸35は、立柱サッシュ22の袋状部22bに対して軸方向の圧縮力を与えつつ、袋状部22b内に液圧を及ぼす部材である。液圧付与通路34aと液圧付与通路35aは、液圧源(図示せず)に接続されており、図3(B)、図4に示すように上型31と下型32を閉じた状態において、袋状部22b内に所定圧の液圧を及ぼすと、徐変断面部31avの形状に従って徐変断面部22bvの形状が変化する。シール押圧軸34(35)と袋状部22bとの液密手段の図示は省略している。シール押圧軸34とシール押圧軸35により、立柱サッシュ22に軸力を及ぼすと、袋状部22bを軸方向に圧縮して袋状部22bに徐変断面部22bvを良好に形成することができる。
【0025】
図5(A)、(B)、(C)は、徐変断面部22bv(徐変断面部31av)の形状例を示している。図5は、図4のV1-V1線に沿う断面形状(一定断面部22bcの断面形状、実線ハッチング)と、V2-V2線に沿う断面形状(徐変断面部22bvのうち最大断面積形状、破線ハッチング)とを重ねて描いたものである。立柱サッシュ22の接続壁22cと袋状部22b(車外側壁22b1)との接続部22h(図5)は、押出成形ステップの終了状態(立柱サッシュ22の一様断面状態)において、最も厚肉に成形されている。
【0026】
図5(A)は、徐変断面部22bv(徐変断面部31av)を、互いに平行をなして車内側への突出量を変化させる一対の平行板部22b4と、この一対の平行板部22b4の車内側を接続する凸円弧断面部22b5から構成した実施形態である。この実施形態によると、肉厚の減少は大きいが、断面2次モーメント(断面係数)を大きくすることができるという利点がある。
【0027】
図5(B)は、徐変断面部22bv(徐変断面部31av)を、車内側壁22b2の車両前後方向の幅を変化させることなく、一対の車内側壁22b2の車内側への突出量及び形状(突出角度)を変化させた前後非対称前後側壁延長部22b6によって形成した実施形態である。この実施形態によると、車内側壁22b2の車両前後方向の幅が一定であるので、徐変断面部22bvのボディ側ウェザーストリップWPとの接地面を長さ方向に等しくすることができるという利点がある。
【0028】
図5(C)は、徐変断面部22bv(徐変断面部31av)を、一対の前後側壁22b3の角度を変化させることなく、車内側に向かうに連れて互いの距離を短縮する一対の前後対称前後側壁延長部22b7によって断面三角形状に形成した実施形態である。この実施形態によると、肉厚変化が少なく、図5(A)の形態よりは小さいが、断面2次モーメント(断面係数)を大きくし、かつ軸方向の押圧力を付与することなく成形することができるという利点がある。
【0029】
以上の内圧成形に際しては、特に、徐変断面部22bvの変形の際に、立柱サッシュ22の厚肉接続部22hから肉が流れるため、軸方向の押圧力を付与することで、徐変断面部22bvを良好に成形することができる。
【0030】
以上の内圧成形の終了した立柱サッシュ22は、図6に示すように、車外側に位置する非袋状部22aが凸形状に、車内側に位置する袋状部22bが凹形状となるように、車両ドアの左右(車幅)方向の膨らみに従って曲げる後加工(立柱サッシュ曲げ)が施される。この際、立柱サッシュ22の袋状部22bには、長さ方向の中間部に徐変断面部22bvが存在するため、十分な強度を確保することができる。
【0031】
以上は、本発明を20の立柱サッシュ22の成形に適用した実施形態であるが、本発明は、閉鎖断面からなる袋状部と、この袋状部に接続壁を介して接続された非袋状部とを有し、最初に押出成形される軽金属材料一般に適用可能である。例えば、車両ドア内に横方向に配置されるドアベルトリンフォースや、建築建材としてのアルミサッシュにも適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
B 車両ボディ
D 車両ドア
BW ボディ側ウェザーストリップ
DW ドア側ウェザーストリップ
GR ガラスラン
10 車両ドア
12 ドアサッシュ
20 ドアフレーム
22 立柱サッシュ
22a 非袋状部
22a1 前方部分
22a2 後方部分
22b 袋状部
22b1 車外側壁
22b2 車内側壁
22b3 前後側壁
22b4 平行板部
22b5 凸円弧断面部
22b6 前後非対称前後側壁延長部
22b7 前後対称前後側壁延長部
22bc 一定断面部
22bv 徐変断面部
22c 接続壁
22d ガラスラン保持突起
22e ウェザーストリップ保持突起
22f ガラスラン保持突起
22g ウェザーストリップ保持突起
30 内圧成形型
31 上型
31a 袋状部保持凹部(非一様断面部成形部)
31ac 一定断面部
31av 徐変断面部
31b 凹部
32 下型
32a 非袋状部保持凹部(一様断面部保持部)
33 芯金
34 35 シール押圧軸
34a 35a 液圧付与通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6