特許第5989448号(P5989448)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

特許5989448乗り物用シートのダイナミックダンパ装置
<>
  • 特許5989448-乗り物用シートのダイナミックダンパ装置 図000002
  • 特許5989448-乗り物用シートのダイナミックダンパ装置 図000003
  • 特許5989448-乗り物用シートのダイナミックダンパ装置 図000004
  • 特許5989448-乗り物用シートのダイナミックダンパ装置 図000005
  • 特許5989448-乗り物用シートのダイナミックダンパ装置 図000006
  • 特許5989448-乗り物用シートのダイナミックダンパ装置 図000007
  • 特許5989448-乗り物用シートのダイナミックダンパ装置 図000008
  • 特許5989448-乗り物用シートのダイナミックダンパ装置 図000009
  • 特許5989448-乗り物用シートのダイナミックダンパ装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989448
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】乗り物用シートのダイナミックダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/48 20060101AFI20160825BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B60N2/48
   A47C7/38
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-170551(P2012-170551)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-28600(P2014-28600A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】大久保 拓也
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−095054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/48
A47C 7/38
B60N 2/44
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物に設置されるシートのダンパ取り付け部にダイナミックダンパを連結手段を介して連結してなる、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置において、
前記ダイナミックダンパを、重錘と、前記重錘を弾性部材を介して支持するダンパケースとから構成し、
前記連結手段を、前記ダンパ取り付け部及前記ダンパケース間の距離及び角度のうちの少なくとも距離の変化に対応して前記ダンパ取り付け部及前記ダンパケース間を連結し得るよう可変式連結手段に構成し
前記可変式連結手段は、前記ダンパ取り付け部と前記ダンパケースとの間の長さを段階的に調整可能であることを特徴とする、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置。
【請求項2】
請求項1記載の乗り物用シートのダイナミックダンパ装置において、
前記可変式連結手段を、ダイナミックダンパに連結した連結アームと、この連結アームの異なる箇所に設けた複数の外側連結部とで構成し、この複数の外側連結部の一部を選択して前記ダンパ取り付け部に連結することを特徴とする、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置。
【請求項3】
請求項1記載の乗り物用シートのダイナミックダンパ装置において、
前記可変式連結手段を、連結アームと、この連結アームの一端に形成されて前記ダンパ取り付け部に連結する外側連結部と、前記連結アームの他端側の異なる箇所に設けられる複数の内側連結部とで構成し、その複数の内側連結部の一部を選択してダイナミックダンパに連結することを特徴とする、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の乗り物用シートのダイナミックダンパ装置において、
前記連結アームを、ダイナミックダンパに回動可能に連結したことを特徴とする、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の乗り物用シートのダイナミックダンパ装置において、
シートに設けられる一対のダンパ取り付け部にダイナミックダンパを取り付けるべく、前記可変式連結手段を、ダイナミックダンパを挟んで対称的に少なくとも一対配設したことを特徴とする、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置。
【請求項6】
請求項5記載の乗り物用シートのダイナミックダンパ装置において、
前記可変式連結手段を、ダイナミックダンパの錘の心を挟んで対称的に配設したことを特徴とする、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置。
【請求項7】
請求項6記載の乗り物用シートのダイナミックダンパ装置において、
前記可変式連結手段を、ダイナミックダンパの錘の心と前記ダンパ取り付け部とを通る直線上に配置したことを特徴とする、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の乗り物に設置されるシートのダンパ取り付け部にダイナミックダンパを連結手段を介して連結してなる、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる乗り物用シートのダイナミックダンパ装置は、特許文献1に開示されるように知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−226255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示される乗り物用シートのダイナミックダンパ装置では、ダイナミックダンパを、重錘と、この重錘の左右両側に接合される一対のゴムブロックとで構成し、これらゴムブロックの外端部をヘッドレストのフレームの左右一対のダンパ取り付け部に連結している。
【0005】
しかしながら、上記構造では、一対のゴムブロック間の距離が一定しているため、ダイナミックダンパを規定のダンパ取り付け部にしか連結することができず、汎用性に乏しく、したがって、ダンパ取り付け部の仕様が異なるシートには、それに対応してダイナミックダンパを新たに設計、製作しなければならず、コスト高となるを免れない。
【0006】
本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、ダンパ取り付け部の仕様が異なる複数種のシートに共通のダイナミックダンパを取り付け得るようにした、汎用性の高い前記乗り物用シートのダイナミックダンパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、乗り物に設置されるシートのダンパ取り付け部にダイナミックダンパを連結手段を介して連結してなる、乗り物用シートのダイナミックダンパ装置において、前記ダイナミックダンパを、重錘と、前記重錘を弾性部材を介して支持するダンパケースとから構成し、前記連結手段を、前記ダンパ取り付け部及前記ダンパケース間の距離及び角度のうちの少なくとも距離の変化に対応して前記ダンパ取り付け部及前記ダンパケース間を連結し得るよう可変式連結手段に構成し、前記可変式連結手段は、前記ダンパ取り付け部と前記ダンパケースとの間の長さを段階的に調整可能であることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記可変式連結手段を、ダイナミックダンパに連結した連結アームと、この連結アームの異なる箇所に設けた複数の外側連結部とで構成し、この複数の外側連結部の一部を選択して前記ダンパ取り付け部に連結することを第2の特徴とする。
【0009】
本発明の第1の特徴に加えて、前記可変式連結手段を、連結アームと、この連結アームの一端に形成されて前記ダンパ取り付け部に連結する外側連結部と、前記連結アームの他端側の異なる箇所に設けられる複数の内側連結部とで構成し、その複数の内側連結部の一部を選択してダイナミックダンパに連結することを第3の特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、第2又は第3の特徴に加えて、前記連結アームを、ダイナミックダンパに回動可能に連結したことを第4の特徴とする。
【0011】
さらにまた本発明は、第1〜第4の特徴の何れかに加えて、シートに設けられる一対のダンパ取り付け部にダイナミックダンパを取り付けるべく、前記可変式連結手段を、ダイナミックダンパを挟んで対称的に少なくとも一対配設したことを第5の特徴とする。
【0012】
さらにまた本発明は、第5の特徴に加えて、前記可変式連結手段を、ダイナミックダンパの重錘の重心を挟んで対称的に配設したことを第6の特徴とする。
【0013】
さらにまた本発明は、第6の特徴に加えて、前記可変式連結手段を、ダイナミックダンパの重錘の重心と前記ダンパ取り付け部とを通る直線上に配置したことを第7の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、連結手段を、シートのダンパ取り付け部及びダイナミックダンパ間の距離及び角度のうちの少なくとも距離の変化に対応してダンパ取り付け部及びダイナミックダンパ間を連結し得るよう可変式連結手段に構成し、前記可変式連結手段は、前記ダンパ取り付け部と前記ダンパケースとの間の長さを段階的に調整可能なので、ダンパ取り付け部の仕様が異なる複数種のシートに対しても共通のダイナミックダンパを取り付けることができ、ダイナミックダンパ装置の汎用性を高め、コストの低減を図ることができる。
【0015】
本発明の第2の特徴によれば、可変式連結手段を、ダイナミックダンパに連結した連結アームと、この連結アームの異なる箇所に設けた複数の外側連結部とで構成し、この複数の外側連結部の一部を選択してシートのダンパ取り付け部に連結するので、ダンパ取り付け部及びダイナミックダンパ間の距離が異なる複数のシートにおいて、複数の外側連結部から使用に適した一部の外側連結部を選択することで、共通のダイナミックダンパを上記ダンパ取り付け部に取り付けることができる。
【0016】
本発明の第3の特徴によれば、可変式連結手段を、連結アームと、この連結アームの一端に形成されてダンパ取り付け部に連結する外側連結部と、連結アームの他端側の異なる箇所に設けられる複数の内側連結部とで構成し、その複数の内側連結部の一部を選択してダイナミックダンパに連結するので、ダンパ取り付け部及びダイナミックダンパ間の距離が異なる複数のシートにおいて、複数の内側連結部から使用に適した一部の内側連結部を選択することで、共通のダイナミックダンパを上記ダンパ取り付け部に取り付けることができる。
【0017】
本発明の第4の特徴によれば、連結アームを、ダイナミックダンパに回動可能に連結したので、ダンパ取り付け部及びダイナミックダンパ間の角度が異なる複数のシートにおいて、連結アームをダイナミックダンパに対して回動させるだけで、共通のダイナミックダンパを上記ダンパ取り付け部に取り付けることができる。
【0018】
本発明の第5の特徴によれば、シートに設けられる一対のダンパ取り付け部にダイナミックダンパを取り付けるべく、前記可変式連結手段を、ダイナミックダンパを挟んで対称的に少なくとも一対配設したので、各種シートに取り付けられるダイナミックダンパは、常に一対のダンパ取り付け部間の中央部に配置されることになり、ダイナミックダンパの支持を安定させると共に、ダイナミックダンパのシートに対する制振機能を効果的に発揮させることができる。
【0019】
本発明の第6の特徴によれば、可変式連結手段を、ダイナミックダンパの重錘の重心を挟んで対称的に配設したので、各種シートに取り付けられるダイナミックダンパの重錘の重心は、一対のダンパ取り付け部間の中央部に位置することになり、ダイナミックダンパの重錘の支持を安定させると共に、ダイナミックダンパのシートに対する制振機能を効果的に発揮させることができる。
【0020】
本発明の第7の特徴によれば、可変式連結手段を、ダイナミックダンパの重錘の重心と前記ダンパ取り付け部とを通る直線上に配置したので、ダイナミックダンパの重錘の支持を一層安定させると共に、ダイナミックダンパのシートに対する制振機能をより効果的に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係る自動車用シートのヘッドレストの斜視図。
図2図1の2−2線断面図。
図3】本発明の第1参考形態を示す、図2との対応図。
図4】本発明の第実施形態に係る自動車用シートのヘッドレストの正面図。
図5図4の5−5線断面図。
図6】本発明の第2参考形態を示す、図2との対応図。
図7】本発明の第実施形態に係る自動車用シートのシートバックの正面図。
図8図7の8−8線断面図。
図9】上記第実施形態において、ダイナミックダンパの異なる取り付け態様を示す、図7との対応図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
先ず、図1及び図2に示す本発明の第1実施形態より説明する。尚、以下の説明中、前後、左右とは、本発明を適用する乗り物としての自動車を基準にしていうことにする。
【0023】
符号Hは、自動車用シートの一部をなすヘッドレストである。このヘッドレストHは、ヘッドレストフレーム1と、このヘッドレストフレーム1の上部を包むように形成されるクッション部材2とで構成され、またヘッドレストフレーム1は、図示しないシートバックフレームの上部に昇降可能に支持される左右一対のピラー部1a,1aと、このピラー部1a,1aの上端部から前方へ屈曲して延びる左右一対の上骨部1b,1bと、これら上骨部1b,1bの前端から下方へ屈曲して延びる左右一対の前縦骨部1c,1cと、これら前縦骨部1c,1cの下端を相互に連結する前横骨部1dとで構成され、上記一対の前縦骨部1c,1cをダンパ取り付け部として、それらにダイナミックダンパDが次のように取り付けられる。
【0024】
ダイナミックダンパDは、前後方向に偏平なダンパケース5と、このダンパケース5内に収容される、ダンパケース5と略相似形の重錘6と、この重錘6を振動可能に包んでダンパケース5内に収容される、ゴム等の弾性材よりなる弾性部材7とで構成される。またダンパケース5は、重錘6及び弾性部材7の収容、取り出しを可能にすべく、互いに開閉可能に結合される、合成樹脂製の一対のケース半体5a,5bよりなっている。
【0025】
上記ダンパケース5は、その左右両側に対称的に構成される一対の可変式連結手段3,3を介して上記ダンパ取り付け部1c,1c、即ち前縦骨部1c,1cに連結される。各可変式連結手段3は、ケース半体5a,5bの一方の左右各側面に一体成形により連結されて左右外方へ延びる連結アーム9,9と、各連結アーム9の長さ方向の異なる箇所に設けた複数の弾性把持部10,10(外側連結部)とを有し、その複数の弾性把持部10,10は、それぞれ優弧状に湾曲して形成されると共に、開口部11を交互に反対方向へ向けて互いに一体に連結される。
【0026】
また左右の可変式連結手段3,3は、重錘6の重心Gを挟んで対称的に配置され、望ましくは、上記重心Gとダンパ取り付け部1c,1cとを通る直線L上に配置される。
【0027】
而して、ヘッドレストHのダンパ取り付け部1c,1cにダイナミックダンパDを取り付けるに当たっては、左右の連結アーム9,9から、左右のダンパ取り付け部1c,1c間の距離に対応する距離を隔てる左右一対の弾性把持部10,10を選択して、それら弾性把持部10,10を、それぞれの開口部11から左右のダンパ取り付け部1c,1cに押しつけると、それら弾性把持部10,10は、ダンパ取り付け部1c,1cの外周面に半周以上にわたりスナップ係合して連結することになる。したがって、左右のダンパ取り付け部1c,1c間の距離が上記とは異なるヘッドレストHに対しては、左右の連結アーム9,9から上記とは別の左右一対の弾性把持部10,10を選択し、それらをダンパ取り付け部1c,1cにスナップ係合することにより、異なるヘッドレストHに共通のダイナミックダンパDを取り付けることができ、汎用性の高いダイナミックダンパ装置を安価に提供することが可能となる。
【0028】
ダイナミックダンパDの取り付け後、前記クッション部材2は、ピラー部1a,1aの上端部から前横骨部1dにわたりそれらを包むようにティアドロップ型に発泡成形され、このクッション部材2にダンパケース5及び左右の可変式連結手段3,3が埋設される。その際、クッション部材2は、ダンパケース5によりその内部への侵入を阻止されるので、弾性部材7のばね定数を狂わせることはない。
【0029】
自動車の走行中、自動車の振動がシートに伝達し、ヘッドレストHを加振すると、ヘッドレストHのヘッドレストフレーム1に支持されたダンパケース5内で重錘6が弾性部材7の弾性変形を伴って共振して、シートバック及びヘッドレストの振動エネルギを代替吸収することになり、ヘッドレストH及びシートバックを制振することができる。
【0030】
ところで、ヘッドレストHにおける左右のダンパ取り付け部1c,1cに連結する可変式連結手段3を、ダイナミックダンパDを挟んで対称的に配設したので、各種ヘッドレストHに取り付けられるダイナミックダンパDは、常に左右のダンパ取り付け部1c,1c間の中央部に配置されることになり、ダイナミックダンパDの支持を安定させると共に、ダイナミックダンパDのヘッドレストH及びシートバックに対する制振機能を効果的に発揮させることができる。
【0031】
さらに左右の可変式連結手段3,3を、ダイナミックダンパDの重錘6の重心Gを挟んで対称的に配設したので、各種ヘッドレストに取り付けられるダイナミックダンパDの重錘6の重心Gは、一対のダンパ取り付け部1c,1c間の中央部に配置されることになり、ダイナミックダンパDの重錘6の支持を安定させると共に、ダイナミックダンパDのヘッドレストH及びシートバックに対する制振機能を、より効果的に発揮させることができる。
【0032】
さらにまた左右の可変式連結手段3を、ダイナミックダンパDの重錘6の重心Gと、左右のダンパ取り付け部1c,1cとを通る直線L上に配置したので、ダイナミックダンパDの重錘6の支持を一層安定させると共に、ダイナミックダンパDのヘッドレストH及びシートバックに対する制振機能を一層効果的に発揮させることができる。
【0033】
次に、図3に示す本発明の第1参考形態について説明する。
【0034】
この第1参考形態は、前記第1実施形態でのダンパケース5を廃止し、重錘6を包んでいる弾性部材7の左右外側面に一対の連結アーム9,9の基端部を接着等により結合したものであり、その他の構成は第1実施形態と同様であるので、図3中、第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0035】
この第1参考形態では、ダンパケースを廃止したことで、コストの低減を図ることができる。
【0036】
次に、図4及び図5に示す本発明の第実施形態について説明する。
【0037】
この第実施形態では、左右の可変式連結手段3,3は、それぞれ合成樹脂製の連結アーム19と、この連結アーム19の一端に一体成形される弾性把持部10(外側連結部)と、連結アーム19の他端側の異なる箇所に設けられる複数の連結孔13,13(内側連結部)とで構成される。弾性把持部10は優弧状に湾曲しており、その開口部11よりヘッドレストHのダンパ取り付け部1cの外周面に半周以上にわたりスナップ係合してそれを把持し得るようになっている。一方、ダンパケース5の前面又は後面には、左右一対の弾性係止爪14,14が突設され、これら弾性係止爪14,14は、左右の連結アーム19,19の複数の連結孔13,13;13,13に選択的にスナップ係合して連結し得るようになっている。
【0038】
その他の構成は、前記第1実施形態と同様であるので、図4及び図5中、第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0039】
而して、ヘッドレストHのダンパ取り付け部1c,1cにダイナミックダンパDを取り付けるに当たっては、先ず連結アーム19,19の弾性把持部10,10をヘッドレストHの左右のダンパ取り付け部1c,1cにスナップ係合した後、左右のダンパ取り付け部1c,1c間の中央部にダンパケース5を配置したとき、左右の弾性係止爪14,14を、それらに最接近した連結孔13,13にスナップ係合して連結する。したがって、左右のダンパ取り付け部1c,1c間の距離が上記とは異なるヘッドレストHに対しては、左右の連結アーム19,19から上記とは別の連結孔13,13を選択し、それらに弾性係止爪14,14をスナップ係合することにより、異なるヘッドレストHに共通のダイナミックダンパDを取り付けることができ、汎用性の高いダイナミックダンパ装置を安価に提供することが可能となる。
【0040】
次に、図6に示す本発明の第2参考形態について説明する。
【0041】
この第2参考形態では、左右の可変連結手段3,3は、それぞれ合成樹脂製の連結アーム29と、この連結アーム29の一端をダンパケース5の外側面に結合するゴム等よりなるばね部材16と、連結アーム29の他端に一体に成形される弾性把持部10とで構成され、その弾性把持部10は、優弧状に湾曲しており、その開口部11よりヘッドレストHのダンパ取り付け部1cの外周面に半周以上にわたりスナップ係合してそれを把持し得るようになっている。その他の構成は、前記第1実施形態と同様であるので、図6中、第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0042】
而して、この第2参考形態によれば、左右のダンパ取り付け部1c,1c間の距離の変化に応じて、左右のばね部材16,16を伸縮させることにより、複数のヘッドレストHのダンパ取り付け部1c,1cに弾性把持部10,10をスナップ係合することができ、汎用性の高いダイナミックダンパ装置を安価に提供することが可能となる。
【0043】
最後に、図7図9に示す本発明の第実施形態について説明する。
【0044】
この第3実施形態では、ダイナミックダンパDはシートのシートバックBに取り付けられる。シートバックBは、シートバックフレーム30と、その前面で支持されるクッション部材31とで構成される。シートバックフレーム30は、左右一対の支柱部30a,30aと、それら上端部間を一体に連結する連結部30bとで構成され、その連結部30bは、ハ字状配置の左右一対の傾斜部30b1,30b1を有する。
【0045】
左右の可変式連結手段3,3は、それぞれ合成樹脂製の連結アーム39と、この連結アーム39の一端に一体成形される弾性把持部10(外側連結部)と、連結アーム39の他端側の異なる箇所に設けられる複数の円形の連結孔23,23…(内側連結部)とで構成される。弾性把持部10は優弧状に湾曲しており、その開口部11よりシートバックフレーム30の支柱部30a又は連結部30bの傾斜部30b1の外周面に半周以上にわたりスナップ係合してそれを把持し得るようになっている。一方、ダンパケース5の前面又は後面には、左右一対の断面円形の弾性係止爪24,24が突設され、これら弾性係止爪24,24は、左右の連結アーム39,39の複数の連結孔23,23…;23,23…に選択的にスナップ係合して連結し、且つ相対回動し得るようになっている。
【0046】
ダイナミックダンパDの構成は、前記第1実施形態と同様であるので、図7図9中、第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0047】
この実施形態によれば、図7のように、左右の支柱部30a,30aにダイナミックダンパDを連結アーム39,39を介して取り付ける際、両支柱部30a,30a間の距離に対応して、前記第1参考形態と同様に、弾性係止爪24,24を、連結アーム39,39の複数の連結孔23,23…;23,23…に選択的に係合することにより、両支柱部30a,30a間の距離が異なる複数種のシートバックBにダイナミックダンパDを取り付けることが可能となる。しかも、各連結アーム39は、弾性係止爪24周りに回動可能であるので、図9に示すように、ダンパケース5に軸支された左右の連結アーム39,39を適宜傾斜させて、それらの弾性把持部10,10を左右の傾斜部30b1,30b1に係合させることができる。こうして、傾斜部30b1,30b1へのダイナミックダンパDの取り付けも可能となり、ダイナミックダンパ装置の汎用性を更に向上させることができる。
【0048】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、本発明は、シートの座部への適用も可能である。ダンパケース17を構成するケース半体17a,17bの一方を、開口部を有する箱状に、他方を、上記開口部を閉鎖する蓋状に形成することもできる。また本発明は自動車用に限らず、鉄道車両、航空機等のシートにも適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
D・・・・・・ダイナミックダンパ
G・・・・・・重錘の重心
B・・・・・・シートバック
H・・・・・・ヘッドレスト
1c・・・・・ダンパ取り付け部
3・・・・・・可変式連結手段
6・・・・・・重錘
9・・・・・・連結アーム
10、10・・複数の外側連結部(複数の弾性把持部)
13、13・・複数の内側連結部(複数の連結孔)
19・・・・・連結アーム
23、23・・複数の内側連結部(複数の内側連結孔)
30a・・・・ダンパ連結部(支柱部)
30b1・・・ダンパ連結部(傾斜部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9