特許第5989449号(P5989449)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989449
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/10 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   B62D1/10
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-173687(P2012-173687)
(22)【出願日】2012年8月6日
(65)【公開番号】特開2014-31133(P2014-31133A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】306009581
【氏名又は名称】タカタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小野原 啓介
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/067131(WO,A1)
【文献】 特開2001−159410(JP,A)
【文献】 特開2012−106689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作を舵角操作に変換するステアリングシャフトに組み付けられる本体部と、該本体部の略中央に配置されるパッド部と、を有し、前記ステアリングシャフトの軸方向に移動可能に前記パッド部を前記本体部に組み付け、前記本体部側に配置される固定接点と前記パッド部側に配置される可動接点との間でホーンスイッチを構成したステアリングホイールにおいて、
前記本体部に固定される第一ホーンプレートと、前記パッド部に固定される第二ホーンプレートと、前記第一ホーンプレートの開口部に挿通されるとともに前記第二ホーンプレートに立設されたガイドピンと、該ガイドピンに形成されたフランジ状のストッパと、前記第一ホーンプレートの開口部に係止されるとともに前記ガイドピンに沿って摺動可能に配置されたインシュレータと、前記第二ホーンプレートと前記インシュレータとの間に配置されるとともに前記インシュレータを前記ストッパに向けて付勢するコイルスプリングと、を有し、
前記開口部は、部分的に拡径した複数の拡張部と、縁部に形成された切欠部と、を有し、前記インシュレータは、前記開口部よりも大径の支持部と、該支持部よりも小径で前記開口部に挿通可能な胴部と、該胴部から部分的に拡径されるとともに前記拡張部を通過可能な複数の係止部と、前記胴部の側面に形成されるとともに前記切欠部に係合可能な爪部と、前記ストッパとの接触面に形成され前記インシュレータを前記開口部に固定するための治具を係合させる係合穴と、を有し、
前記インシュレータは、前記ストッパとの接触面を形成する第一フランジ部と前記ガイドピンに沿って配置される第一脚部とを有する第一インシュレータと、前記コイルスプリングとの接触面を形成する第二フランジ部と前記ガイドピンに沿って配置される第二脚部とを有する第二インシュレータと、前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部の間に配置されるとともに前記支持部及び前記胴部を構成するプロテクタと、該プロテクタと前記第一インシュレータ及び前記第二インシュレータとの間に配置された弾性体と、を有し、
前記第一インシュレータは、前記第一フランジ部を貫通する第一係合穴を有し、前記弾性体は、自身を貫通する第二係合穴を有し、前記プロテクタは、前記支持部を貫通しない第三係合穴を有しており、
前記第一係合穴、前記第二係合穴及び前記第三係合穴は、前記インシュレータを組み付けた状態で前記係合穴を構成するように、前記インシュレータを組み付けた状態で一致する位置に形成されている、
ことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
前記開口部は、前記複数の拡張部のうち少なくとも一箇所の拡張部が他の拡張部と異なる大きさ又は形状を有している、ことを特徴とする請求項1に記載のステアリングホイール。
【請求項3】
前記切欠部は、前記開口部の縁部の一箇所に形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載のステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両に搭載されるステアリングホイールに関し、特に、制振機構であるダイナミックダンパーを有するステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両を操舵するステアリングホイールには、回転操作を舵角操作に変換するステアリングシャフトに組み付けられる本体部と、該本体部の略中央に配置されるパッド部と、を有し、前記ステアリングシャフトの軸方向に移動可能に前記パッド部を前記本体部に組み付け、前記本体部と前記パッド部との間でホーンスイッチを構成したものが既に知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載されたステアリングホイールは、本体部に固定された第一ホーンプレートと、パッド部に固定された第二ホーンプレートと、第二ホーンプレートに立設されたガイドピンと、ガイドピンの先端に形成されたストッパと、ガイドピンに沿って摺動可能に挿通されたブッシュ(インシュレータとも称する)と、ブッシュに嵌合されるとともに外周部に第一ホーンプレートが係合された弾性体と、ブッシュをストッパに向けて付勢するようにガイドピンに挿通されたコイルスプリングと、を有する。
【0004】
また、特許文献2に記載されたステアリングホイールは、ステアリングホイールに固定されるホーンブラケットと、インフレータを有して、ウエイトとなるエアバッグモジュールと、エアバッグモジュールとホーンブラケットとの間に設けられ、ステアリングホイールの振動をエアバッグモジュールへ伝達してダイナミックダンパーを構成するためのバネユニットとを備え、バネユニットは、振動を伝達する弾性体と、ホーンプレートおよびエアバッグモジュールのいずれか一方に装着され、内部に弾性体を弾性変形可能に収容する合成樹脂製のプロテクタと、これらプロテクタと弾性体との間に設けられ、プロテクタ内部での弾性体の回転を規制する回転規制機構と、を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−110941号公報
【特許文献2】特開2012−56460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載されたステアリングホイールでは、ホーンプレートに形成された開口部に、直に又はカラーを介して弾性体が接続される構成を有しており、ホーンプレートにダンパーを組み付ける作業に時間と労力を要していた。
【0007】
また、上述した特許文献2に記載されたステアリングホイールでは、ホーンプレートに形成された開口部(装着穴)に挿入スロット及び制止スロットを形成することにより、ダンパー(シェルピース)を装着穴及び挿入スロットに挿入した後、回転させることによって位置決め片を制止スロットに係止させるようにしている。しかしながら、ダンパー(シェルピース)は、ホーンプレートに強固に固定する必要があることから、ダンパーの回転には大きなトルクを要し、治具を利用しなければ位置決め片を制止スロットに係止させることができない。そこで、ホーンプレートの上面からダンパー(シェルピース)を装着穴に挿入した状態を保持したままホーンプレートを裏返し、ダンパー(シェルピース)の先端部を治具で拘束し、回転させるようにするのが一般的である。したがって、ホーンプレートにダンパー(シェルピース)を組み付ける作業が煩雑になっていた。
【0008】
また、上述した特許文献2に記載されたステアリングホイールでは、ダンパー(シェルピース)を装着穴に拘束するグリップ片及び位置決めする位置決め片が相対する位置に一対ずつ形成されており、ダンパー(シェルピース)を装着穴に挿入した後、一定方向にダンパー(シェルピース)を回転させることによって、ダンパー(シェルピース)をホーンプレートに固定することができる。しかしながら、位置決め機構を複数有する場合には、制止スロット及びダンパー(シェルピース)の製作誤差やダンパー(シェルピース)の組み付け誤差により、制止スロットに対して位置決め片が干渉し、位置決め片を制止スロットに係止させることができない可能性もあることから、高い製作精度及び組み付け精度が要求されるという問題があった。
【0009】
さらに、位置決め機構を単数にした場合には、位置決め片の位置を確認しながら、ダンパー(シェルピース)を装着穴に挿入したり、回転方向を決定したりしなければならず、ホーンプレートにダンパー(シェルピース)を組み付ける作業が煩雑になってしまう。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、ダイナミックダンパーの組み付け作業の簡略化又は省力化を図ることができる、ステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、回転操作を舵角操作に変換するステアリングシャフトに組み付けられる本体部と、該本体部の略中央に配置されるパッド部と、を有し、前記ステアリングシャフトの軸方向に移動可能に前記パッド部を前記本体部に組み付け、前記本体部側に配置される固定接点と前記パッド部側に配置される可動接点との間でホーンスイッチを構成したステアリングホイールにおいて、前記本体部に固定される第一ホーンプレートと、前記パッド部に固定される第二ホーンプレートと、前記第一ホーンプレートの開口部に挿通されるとともに前記第二ホーンプレートに立設されたガイドピンと、該ガイドピンに形成されたフランジ状のストッパと、前記第一ホーンプレートの開口部に係止されるとともに前記ガイドピンに沿って摺動可能に配置されたインシュレータと、前記第二ホーンプレートと前記インシュレータとの間に配置されるとともに前記インシュレータを前記ストッパに向けて付勢するコイルスプリングと、を有し、前記開口部は、部分的に拡径した複数の拡張部と、縁部に形成された切欠部と、を有し、前記インシュレータは、前記開口部よりも大径の支持部と、該支持部よりも小径で前記開口部に挿通可能な胴部と、該胴部から部分的に拡径されるとともに前記拡張部を通過可能な複数の係止部と、前記胴部の側面に形成されるとともに前記切欠部に係合可能な爪部と、前記ストッパとの接触面に形成され前記インシュレータを前記開口部に固定するための治具を係合させる係合穴と、を有し、前記インシュレータは、前記ストッパとの接触面を形成する第一フランジ部と前記ガイドピンに沿って配置される第一脚部とを有する第一インシュレータと、前記コイルスプリングとの接触面を形成する第二フランジ部と前記ガイドピンに沿って配置される第二脚部とを有する第二インシュレータと、前記第一フランジ部及び前記第二フランジ部の間に配置されるとともに前記支持部及び前記胴部を構成するプロテクタと、該プロテクタと前記第一インシュレータ及び前記第二インシュレータとの間に配置された弾性体と、を有し、前記第一インシュレータは、前記第一フランジ部を貫通する第一係合穴を有し、前記弾性体は、自身を貫通する第二係合穴を有し、前記プロテクタは、前記支持部を貫通しない第三係合穴を有しており、前記第一係合穴、前記第二係合穴及び前記第三係合穴は、前記インシュレータを組み付けた状態で前記係合穴を構成するように、前記インシュレータを組み付けた状態で一致する位置に形成されている、ことを特徴とするステアリングホイールが提供される。
【0012】
前記開口部は、前記複数の拡張部のうち少なくとも一箇所の拡張部が他の拡張部と異なる大きさ又は形状を有していてもよい。さらに、前記切欠部は、前記開口部の縁部の一箇所に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明に係るステアリングホイールによれば、インシュレータのストッパとの接触面に係合穴を形成し、この係合穴に治具を挿入してインシュレータを回転させるようにしたことから、第一ホーンプレートの開口部にインシュレータを挿入した後、第一ホーンプレートを裏返すことなく治具をインシュレータに取り付けることができ、容易にインシュレータを回転させることができる。したがって、インシュレータの組み付け作業、すなわち、ダイナミックダンパーの組み付け作業の簡略化又は省力化を図ることができる。
【0016】
また、インシュレータを装着する開口部に形成された複数の拡張部のうち、少なくとも一箇所の拡張部を他の拡張部と異なる大きさ又は形状に形成することにより、開口部に挿入するインシュレータの向きを常に同じ方向にすることができ、インシュレータを開口部に挿入すれば自動的に回転方向及び回転量を決定することができ、インシュレータの組み付け作業を簡略化又は省力化することができる。
【0017】
また、切欠部を一箇所とすることにより、切欠部に係合する爪部の干渉が生じないことから、インシュレータの製作誤差や組み付け誤差の許容値を拡張することができ、インシュレータの製作及び組み付け作業に要する負担を軽減することができる。
【0018】
また、インシュレータを、第一インシュレータ、第二インシュレータ、プロテクタ及び弾性体に分割して構成することにより、質量体であるパッド部の固有振動数を調整し本体部から伝達される振動をパッド部の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパーを構成することができるとともに、上述した構成を有するインシュレータを容易に製作することができる。
【0019】
また、係合穴を、第一係合穴、第二係合穴及び第三係合穴で構成することにより、インシュレータに適切な回転トルクを与えるために十分な深さまで治具を挿入することができる。特に、第三係合穴まで治具を挿入することにより、開口部の縁部に係止されるプロテクタに直に回転トルクを付与することができ、容易にインシュレータを回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るステアリングホイールを示す断面図である。
図2図1に示したインシュレータの部品展開図である。
図3】インシュレータを構成する第一インシュレータの詳細図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は背面図、である。
図4】インシュレータを構成する第二インシュレータの詳細図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は側面図、(D)は背面図、である。
図5】インシュレータを構成するプロテクタの詳細図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は背面図、(D)は図6(A)におけるD矢視図、である。
図6】インシュレータを構成する弾性体の詳細図であり、(A)は平面図、(B)は則面図、(C)は背面図、である。
図7】インシュレータの組み付け手順を示す下面図であり、(A)は挿入前の状態、(B)は挿入後の状態、(C)は回転後の状態、を示している。
図8】インシュレータの組み付け手順を示す断面図であり、(A)は回転前の状態、(B)は治具を取り付けた状態、(C)は回転後の状態、(D)は治具を取り外した状態、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図1図8を用いて説明する。ここで、図1は、本発明の実施形態に係るステアリングホイールを示す断面図である。図2は、図1に示したインシュレータの部品展開図である。図3は、インシュレータを構成する第一インシュレータの詳細図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は背面図、である。図4は、インシュレータを構成する第二インシュレータの詳細図であり、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は側面図、(D)は背面図、である。図5は、インシュレータを構成するプロテクタの詳細図であり、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は背面図、(D)は図6(A)におけるD矢視図、である。図6は、インシュレータを構成する弾性体の詳細図であり、(A)は平面図、(B)は則面図、(C)は背面図、である。
【0022】
本発明の実施形態に係るステアリングホイールSWは、図1図6に示すように、回転操作を舵角操作に変換するステアリングシャフトSに組み付けられる本体部1と、本体部1の略中央に配置されるパッド部2と、を有し、ステアリングシャフトSの軸方向に移動可能にパッド部2を本体部1に組み付け、本体部1側に配置される固定接点3aとパッド部2側に配置される可動接点3bとの間でホーンスイッチ3を構成したステアリングホイールSWであって、本体部1に固定される第一ホーンプレート11と、パッド部2に固定される第二ホーンプレート21と、第一ホーンプレート11の開口部111に挿通されるとともに第二ホーンプレート21に立設されたガイドピン4と、ガイドピン4に形成されたフランジ状のストッパ5と、第一ホーンプレート11の開口部111に係止されるとともにガイドピン4に沿って摺動可能に配置されたインシュレータ6と、第二ホーンプレート21とインシュレータ6との間に配置されるとともにインシュレータ6をストッパ5に向けて付勢するコイルスプリング7と、を有し、開口部111は、部分的に拡径した複数の拡張部111aと、縁部に形成された切欠部111bと、を有し、インシュレータ6は、開口部111よりも大径の支持部6aと、支持部6aよりも小径で開口部に挿通可能な胴部6bと、胴部6bから部分的に拡径されるとともに拡張部111aを通過可能な複数の係止部6cと、胴部6bの側面に形成されるとともに切欠部111bに係合可能な爪部6dと、ストッパ5との接触面に形成されインシュレータ6を開口部111に固定するための治具8を係合させる係合穴6eと、を有している。
【0023】
前記本体部1は、図1に示したように、ステアリングシャフトSに固定具1aにより固定されるボス部1bと、ボス部1bから径方向に延設された複数のスポーク部1cと、スポーク部1cに連結された環状のリム部1dと、を有する。また、本体部1の内側には、第一ホーンプレート11が固定される壁面部1eが形成されている。かかる本体部1の構成は、基本的に従来の構成と同様であり、図示された構成に限定されるものではない。
【0024】
前記パッド部2は、図1に示したように、ステアリングホイールSWの略中央部に配置され、エアバッグモジュール22を収容する部品である。エアバッグモジュール22は、緊急時に膨張展開されるエアバッグ22aと、エアバッグ22aにガスを供給するインフレータ22bと、を有する。パッド部2は、一般に、樹脂成形されており、エアバッグ22aの膨張展開時には裏面に形成された薄肉部により破断できるように構成されている。また、パッド部2は、第二ホーンプレート21が固定される壁面部23と、第二ホーンプレート21と当接する支持部24と、を有する。
【0025】
さらに、パッド部2に固定される第二ホーンプレート21の略中央部には、インフレータ22bが固定される。エアバッグ22aは、インフレータ22bと一緒に第二ホーンプレート21に固定されており、折り畳まれた状態でパッド部2内に収容されている。エアバッグ22aは、ラッピングシート22cにより包まれていてもよい。なお、第二ホーンプレート21は、個別の部品ではなく、インフレータ22bを保持するリテーナにより構成されていてもよい。
【0026】
また、パッド部2は、ステアリングシャフトS側に接続されるとともにインフレータ22bに点火信号を伝達するハーネス25を有する。ハーネス25は、パッド部2の本体部1への取り付け構造上、例えば、100〜200mm程度の長さを有しており、パッド部2を本体部1に取り付けた後、パッド部2と本体部1との間に形成される空間R内に収納される。
【0027】
前記第一ホーンプレート11は、図1に示したように、ガイドピン4が挿通される第一平面部11aと、ホーンスイッチ3の固定接点3aが配置される第二平面部11bと、第一平面部11a及び第二平面部11bを接続する段差部11cと、を有する。第一ホーンプレート11は、本体部1の壁面部1eにリベット等の固定具により固定される。なお、第一平面部11aと第二平面部11bとは、一体の板材により形成されていてもよいし、個別の板材により形成されていてもよい。すなわち、固定接点3aは、第一ホーンプレート11に形成されていてもよいし、別部材として本体部1に接続されていてもよい。
【0028】
前記第二ホーンプレート21は、図1に示したように、インフレータ22bが固定されるとともにガイドピン4が立設される第一平面部21aと、ホーンスイッチ3の可動接点3bが配置される第二平面部21bと、第一平面部21aと第二平面部21bとを接続する側面部21cと、を有する。側面部21cは、パッド部2の壁面部23にリベット等の固定具により固定される。なお、第一平面部21aと第二平面部21bとは、一体の板材により形成されていてもよいし、個別の板材により形成されていてもよい。すなわち、可動接点3bは、第二ホーンプレート21に形成されていてもよいし、別部材としてパッド部2に接続されていてもよい。
【0029】
上述した本体部1及びパッド部2は、ガイドピン4、ストッパ5、インシュレータ6及びコイルスプリング7によって構成されるホーンスイッチの支持機構により、いわゆるダイナミックダンパーが形成され、ステアリングシャフトSの軸方向に相対移動可能かつ絶縁可能に構成されている。そして、本体部1及びパッド部2の相対移動により、固定接点3aと可動接点3bとが接触し、ホーンスイッチ3が鳴笛する。
【0030】
前記ガイドピン4は、図1に示したように、ストッパ5と一体に形成されたナット状に構成されており、第二ホーンプレート21を挟んでボルト等の固定部材41が螺合され、第二ホーンプレート21に固定される。前記ストッパ5は、例えば、ガイドピン4の先端付近に一体に形成され、ガイドピン4よりも拡径されたフランジ部により構成される。ただし、ガイドピン4とストッパ5とは、一体部品である必要はなく、別体の部品であってもよい。かかるストッパ5により、ホーンスイッチ3の通常状態(ホーン鳴笛時以外の状態)における、インシュレータ6の位置決めを行うとともにインシュレータ6の脱落を抑制している。なお、ストッパ5とインシュレータ6との間にワッシャ等を介在させるようにしてもよい。
【0031】
前記インシュレータ6は、ガイドピン4に沿って摺動する部品である。具体的には、インシュレータ6は、図2に示したように、ストッパ5との接触面を形成する第一フランジ部61aとガイドピン4に沿って配置される第一脚部61bとを有する第一インシュレータ61と、コイルスプリング7との接触面を形成する第二フランジ部62aとガイドピン4に沿って配置される第二脚部62bとを有する第二インシュレータ62と、第一フランジ部61a及び第二フランジ部62aの間に配置されるとともに支持部6a及び胴部6bを構成するプロテクタ63と、プロテクタ63と第一インシュレータ61及び第二インシュレータ62との間に配置された弾性体64と、を有している。なお、図2において、説明の便宜上、複数の開口部111のうち、一箇所の開口部111に装着されるインシュレータ6のみを図示し、他のインシュレータ6の図を省略してある。
【0032】
第一インシュレータ61は、図3(A)〜(C)に示したように、第一フランジ部61a及び第一脚部61bを有し、第一インシュレータ61の中央部には、ガイドピン4を挿通する開口部61cが形成されている。また、第一フランジ部61aの周縁部には、ストッパ5の外周部を覆う壁面部61dが形成されている。かかる壁面部61dを形成することにより、空間Rに収納されるハーネス25の噛み込みを抑制することができる。
【0033】
また、第一フランジ部61aのストッパ5側の表面(すなわち、ストッパ5との接触面)には、複数の凹凸61eが形成されている。ここでは、格子状の突起により凹凸61eを形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、円形状の突起や窪み等であってもよい。かかる凹凸61eを形成することにより、第一フランジ部61aの貼り付きを抑制することができ、異音の発生やインシュレータ6の破損を抑制することもできる。
【0034】
また、第一フランジ部61aは、周縁部にプロテクタ63の柱状突起63b(図5参照)を挿通可能な挿通孔61fを有する。かかる挿通孔61fを形成することにより、プロテクタ63と第一インシュレータ61とを周方向に係止させることができ、第一インシュレータ61(すなわち、インシュレータ6)の使用時における回転を抑制することができ、インシュレータ6の磨耗を抑制することができる。
【0035】
また、第一フランジ部61aは、周縁部に第一ホーンプレート11に係止したプロテクタ63の爪部6d(図5参照)を上方から目視可能な透孔61gを有する。かかる透孔61gを形成することにより、ホーンスイッチの支持構造(ダイナミックダンパー)の組み付け状態を容易に確認することができる。
【0036】
また、第一インシュレータ61は、第一フランジ部61aを貫通する第一係合穴61hを有している。かかる第一係合穴61hは、インシュレータ6の取り付け時にインシュレータ6を回転させる治具8の一部を挿入するための貫通孔である。第一係合穴61hは、例えば、均等な間隔で三箇所に形成されるが、かかる配置に限定されるものではなく、治具8の構成に応じて少なくとも二つ以上配置されていればよい。
【0037】
また、第一フランジ部61aの背面には、複数の線状突起61iが形成されている。線状突起61iは、例えば、放射状に形成されるが、図示した配置に限定されるものではなく、第一フランジ部61aの背面の他の部分に短い線状突起を追加するようにしてもよいし、一部の線状突起61iは放射状に配置されていなくてもよい。かかる線状突起61iの本数、長さ、幅、高さ等を適宜調整することにより、線状突起61iを弾性体64に食い込み可能に構成し、所望の摩擦力を生じさせるようにする。かかる摩擦力を調整することによって、パッド部2の振動により生じる振幅又は周波数を任意に調整することができる。
【0038】
第一脚部61bは、開口部61cの周縁部の一部に立設されており、先端部に第二インシュレータ62に係止可能な爪部61jを有する。ここでは、三本の第一脚部61bを図示しているが、第一脚部61bは、二本であってもよいし、四本以上であってもよい。また、第一脚部61bは、後述する第二インシュレータ62の第二脚部62bと組み合わされてガイドピン4に沿って配置される略筒状部を形成する。
【0039】
第二インシュレータ62は、図4(A)〜(D)に示したように、第二フランジ部62a及び第二脚部62bを有し、第二インシュレータ62の中央部には、ガイドピン4を挿通する開口部62cが形成されている。また、第二フランジ部62aは、第一ホーンプレート11の開口部111に挿通される部分であることから、第一フランジ部61a及び開口部111の径よりも小さく形成されている。
【0040】
また、第二フランジ部62aの開口部62cの周縁部には、第一インシュレータ61の第一脚部61bを挿通可能な収容部62dが形成されている。かかる収容部62dに第一インシュレータ61の第一脚部61bを挿通し、第一インシュレータ61と第二インシュレータ62とを組み付けることによって、ガイドピン4に沿って摺動可能な略筒状部を形成することができる。また、収容部62dの縁部には、第一脚部61bの爪部61jを係止可能な凹部62eが形成されていてもよい。このように、爪部61jの係止部を第二フランジ部62aの表面から窪んだ位置に配置することにより、爪部61jの係止部にコイルスプリング7が接触しないようにすることができる。
【0041】
また、第二フランジ部62aのコイルスプリング7側の表面には、開口部62cの周縁部に沿って立設されたスプリングガイド62fが形成されている。スプリングガイド62fの外周にはコイルスプリング7が挿通される。スプリングガイド62fは、例えば、コイルスプリング7の内径と一致する又は僅かに大きい外径を有し、コイルスプリング7は、スプリングガイド62fに押込まれて係止される。
【0042】
また、第二脚部62bは、第二フランジ部62aの開口部62cに沿って形成される。第二脚部62bは、第一脚部61bの隙間を埋めて筒形状を構成する部分であることから、第一脚部61bの形状及び配置によって適宜変更されるものである。第一脚部61b及び第二脚部62bによって筒形状を形成することにより、ガイドピン4に沿って摺動する筒状部を構成することができる。
【0043】
また、第二フランジ部62aの弾性体64側の表面の周縁部には、プロテクタ63の表面に当接可能なストッパ壁62gが形成されていてもよい。かかるストッパ壁62gは、第二フランジ部62aとプロテクタ63との間で弾性体64が押圧された場合に、所定以上の荷重が弾性体64に負荷されないように、プロテクタ63の表面に当接して一定の間隔を確保する機能を有する。
【0044】
また、第二フランジ部62aの弾性体64との接触面には、複数の点状突起62hが形成されている。かかる点状突起62hを形成することにより、第二フランジ部62aにおけるインシュレータ6と弾性体64との間で摩擦力を生じさせることができ、第一フランジ部61aにおいて生じる摩擦力を補助することができる。ここでは、三箇所に点状突起62hを配置しているが、図示した配置や形状に限定されるものではなく、配置箇所、個数、径の大きさ等は任意に設定することができる。
【0045】
前記プロテクタ63は、弾性体64が第一ホーンプレート11と直接接触しないように保護する部品である。具体的には、プロテクタ63は、弾性体64に外嵌され、第一フランジ部61aと第二フランジ部62aとの間に挟持される。かかるプロテクタ63を配置することにより、ダイナミックダンパーの振動時やホーン鳴笛時に、弾性体64と第一ホーンプレート11との間における擦れがなくなり、弾性体64の磨耗を抑制することができる。
【0046】
また、プロテクタ63は、全体として薄平たい略円筒形状をなしており、第一ホーンプレート11の開口部111よりも大径の支持部6aと、支持部6aよりも小径で開口部111に挿通可能な胴部6bと、胴部6bから部分的に拡径されるとともに開口部111の拡張部111aを通過可能な複数の係止部6cと、胴部6bの側面に形成されるとともに開口部111の切欠部111bに係合可能な爪部6dと、を有している。また、プロテクタ63の中央部には、ガイドピン4を挿通する開口部63aが形成されている。
【0047】
また、プロテクタ63は、支持部6aの周縁部に立設された柱状突起63bを有する。柱状突起63bは、インシュレータ6の第一フランジ部61aに形成された挿通孔61fに挿通可能に構成されている。また、柱状突起63bは、ストッパ5に当接可能に配置されており、弾性体64がストッパ5と第一ホーンプレート11との間に圧縮された場合であっても、柱状突起63bがストッパ5に当接することにより、過剰な荷重が弾性体64に負荷されないように構成してもよい。
【0048】
また、胴部6bは、第一ホーンプレート11に係止可能な爪部6dを有し、支持部6aは、第一ホーンプレート11に係止した爪部6dを上方から目視可能な切欠部63cを有している。爪部6dは支持部6aと係止部6cとの間に形成され、弾性力により径方向に変位可能に構成されている。爪部6dは、開口部111に形成された切欠部111bと同じ個数だけ形成され、少なくとも一箇所以上に形成する必要がある。ただし、複数の爪部6dを有する場合には、これらと切欠部111bとの位置が干渉し合ってしまう可能性があることから、爪部6dは一箇所に形成することが好ましい。
【0049】
また、係止部6cは、例えば、胴部6bの外周に均等な間隔で三箇所に配置されるが、かかる配置に限定されるものではない。この三箇所の係止部6cのうち、爪部6dと対応する位置に形成された係止部6c′は、他の係止部6cよりも幅広に形成されている。このように、複数の係止部6cのうち、少なくとも一箇所の係止部6c′を他の係止部6cと異なる大きさ又は形状に形成することにより、開口部111にインシュレータ6を挿入する際に容易に位置決めすることができ、挿入する向きのバラツキを抑制することができる、インシュレータ6の組み付け作業を簡略化又は省力化することができる。
【0050】
また、胴部6bの下端部には、係止部6c間に段差部63dが形成されていてもよい。かかる段差部63dを形成することにより、段差部63d以外の部分を第二インシュレータ62の第二フランジ部62aに形成されたストッパ壁62gに当接させることができ、弾性体64にかかる負荷を低減するための空間を形成することができる。
【0051】
また、プロテクタ63は、支持部6aを貫通しない第三係合穴63eを有している。かかる第三係合穴63eは、インシュレータ6の取り付け時にインシュレータ6を回転させる治具8の一部を挿入するための窪みである。第三係合穴63eは、例えば、均等な間隔で三箇所に形成されるが、かかる配置に限定されるものではなく、治具8の構成に応じて少なくとも二つ以上配置されていればよい。ただし、第三係合穴63eは、第一インシュレータ61の第一フランジ部61aに形成された第一係合穴61hと一致する位置に形成しておく必要がある。
【0052】
前記弾性体64は、図2に示したように、第一インシュレータ61と第二インシュレータ62とにより構成されたインシュレータ6の第一フランジ部61aと第二フランジ部62aとの間に嵌合されるゴム成形部品である。弾性体64は、図6(A)〜(C)に示したように、薄平たい略円筒形状をなしており、略円筒形状の胴部64aと、胴部64aの第一フランジ部61a側の端部に形成された第一拡径部64bと、胴部64aの第二フランジ部62a側の端部に形成された第二拡径部64cと、を有する。また、弾性体64の中央部には、インシュレータ6の第一脚部61b及び第二脚部62bを挿通可能な開口部64dが形成されている。
【0053】
また、第一拡径部64bは、周縁部にプロテクタ63の柱状突起63bと係止可能な凹部64eを有する。かかる凹部64eを形成することにより、プロテクタ63と弾性体64とを周方向に係止させることができ、弾性体64の使用時における回転を抑制することができ、弾性体64の磨耗を抑制することができる。
【0054】
また、第一拡径部64bは、周縁部に第一ホーンプレート11に係止したプロテクタ63の爪部6dを上方から目視可能な切欠部64fを有する。切欠部64fは、例えば、プロテクタ63の切欠部63cと一致する位置に形成される。かかる切欠部64fを形成することにより、ホーンスイッチの支持構造(ダイナミックダンパー)の組み付け状態を容易に確認することができる。
【0055】
また、弾性体64は、第一拡径部64a(すなわち、弾性体64の一部)を貫通する第二係合穴64gを有している。かかる第二係合穴64gは、インシュレータ6の取り付け時にインシュレータ6を回転させる治具8の一部を挿入するための貫通孔である。第二係合穴64gは、例えば、均等な間隔で三箇所に形成されるが、かかる配置に限定されるものではなく、治具8の構成に応じて少なくとも二つ以上配置されていればよい。ただし、第二係合穴64gは、第一係合穴61h及び第三係合穴63eと一致する位置に形成される。すなわち、治具8を挿入可能な係合穴6eは、第一フランジ部61aを貫通する第一係合穴61hと、弾性体64の一部を貫通する第二係合穴64gと、支持部6aを貫通しない第三係合穴63eと、により構成される。
【0056】
また、第二拡径部64cは、第一拡径部64bの凹部64e及び切欠部64fと対応する周縁部に形成された凹部64hを有する。かかる凹部64hには、第二フランジ部62aに形成されたストッパ壁62gが配置され、ストッパ壁62gとプロテクタ63とが当接可能に構成される。
【0057】
上述したように、インシュレータ6を、第一インシュレータ61、第二インシュレータ62、プロテクタ63及び弾性体64に分割して構成することにより、質量体であるパッド部2の固有振動数を調整し本体部1から伝達される振動をパッド部2の共振により打ち消して制振するダイナミックダンパーを構成することができるとともに、インシュレータ6を容易に製作することができる。なお、インシュレータ6は、第一フランジ部61a及び第二フランジ部62aを有する一体成形部品であってもよいし、図示したように、複数の部品を組み付けて成形される組立部品であってもよい。
【0058】
前記コイルスプリング7は、図1に示したように、インシュレータ6と第二ホーンプレート21との間に挿通されており、インシュレータ6の第二フランジ部62aに当接してインシュレータ6をストッパ5に押し付ける方向に付勢している。上述したように、弾性体64は、インシュレータ6の外周に嵌合され、その外周にプロテクタ63が嵌合されていることにより、コイルスプリング7の付勢力により押し潰された状態になっておらず、弾性体64に付加される荷重を低減し、弾性体64の寿命を延ばすことができる。
【0059】
前記治具8は、第一ホーンプレート11の開口部111に挿入されたインシュレータ6を回転させる工具である。図2に示したように、第一ホーンプレート11は、略中央部に形成されるとともにインフレータ22bを挿通するインフレータ用開口部112と、インフレータ用開口部112の外周に配置されるとともにインシュレータ6を係止する開口部111と、を有する。開口部111は、例えば、図示したように、三箇所に配置されるが、かかる個数に限定されるものではない。
【0060】
ここで、図7は、インシュレータの組み付け手順を示す下面図であり、(A)は挿入前の状態、(B)は挿入後の状態、(C)は回転後の状態、を示している。図8は、インシュレータの組み付け手順を示す断面図であり、(A)は回転前の状態、(B)は治具を取り付けた状態、(C)は回転後の状態、(D)は治具を取り外した状態、を示している。なお、図7の各図は、第一ホーンプレート11の下面側を図示している。
【0061】
図7(A)に示したように、開口部111は、部分的に拡径した複数の拡張部111aと、縁部に形成された切欠部111bと、を有している。拡張部111aは、例えば、開口部111の縁部に均等な間隔で三箇所に形成されている。ここで、三箇所の拡張部111aのうち、一箇所の拡張部111a′は他の拡張部111aよりも幅広に形成されている。すなわち、開口部111は、複数の拡張部111aのうち少なくとも一箇所の拡張部111a′が他の拡張部111aと異なる大きさ又は形状を有している。
【0062】
上述したように、インシュレータ6(プロテクタ63)に形成された複数の係止部6cのうち、爪部6dと対応する位置に形成された係止部6c′は、他の係止部6cよりも幅広に形成されている。したがって、幅広の係止部6c′を幅広の拡張部111a′に一致させなければ、インシュレータ6を開口部111に挿入することができないように構成されている。
【0063】
また、切欠部111bは、開口部111の縁部の一箇所に形成されている。かかる構成により、爪部6dを複数形成した場合のような切欠部111bに係合する爪部6dの干渉が生じないことから、インシュレータ6の製作誤差や組み付け誤差の許容値を拡張することができ、インシュレータ6の製作及び組み付け作業に要する負担を軽減することができる。ただし、かかる構成は、複数の爪部6dを形成することを除外するものではない。
【0064】
第一インシュレータ61、第二インシュレータ62、プロテクタ63及び弾性体64を組み立ててインシュレータ6を形成した後、インシュレータ6を開口部111に装着する。まず、図7(B)に示したように、インシュレータ6の幅広の係止部6c′を幅広の拡張部111a′に一致させると、他の係止部6cは他の拡張部111aと一致する位置に配置される。そして、係止部6c′,6cを拡張部111a′,111aに通過させると、図8(A)に示したように、インシュレータ6の支持部6aが第一ホーンプレート11に当接し、インシュレータ6の開口部111への挿入が完了する。
【0065】
このように、他の拡張部111aと形状又は大きさの異なる拡張部111a′を形成し、これに対応する他の係止部6cと形状又は大きさの異なる係止部6c′を形成することにより、開口部111に挿入するインシュレータ6の向きを常に同じ方向にすることができる。したがって、開口部111の切欠部111bに対応する位置に爪部6dを形成しておくことにより、インシュレータ6を開口部111に挿入すれば自動的に回転方向及び回転量を決定することができ、インシュレータ6の組み付け作業を簡略化又は省力化することができる。また、開口部111に挿入するインシュレータ6の向きを常に同じ方向にすることにより、個々のインシュレータ6に組立誤差が生じていた場合でも、インシュレータ6を装着した場合の組み付け誤差のバラツキを抑制することができる。
【0066】
次に、図8(B)に示したように、治具8の一部をインシュレータ6の係合穴6eに挿入する。治具8は、例えば、第一インシュレータ61の第一フランジ部61a及び壁面部61dにより構成される凹部に挿入可能な円形のフランジ部81と、フランジ部81の前面に立設された複数のピン82と、フランジ部81の後面に形成された連結部83と、を有している。ピン82は、インシュレータ6に形成された係合穴6eと対応する位置に配置されている。連結部83は、治具8に回転トルクを付与するレンチや電動トルクレンチ等の工具に固定可能に構成されている。治具8は、工具に固定された状態でインシュレータ6に接続されてもよいし、治具8をインシュレータ6に接続してから工具に固定するようにしてもよい。治具8のインシュレータ6への接続は、ピン82を係合穴6eに挿入することによって完了する。
【0067】
また、係合穴6eは、第一係合穴61h、第二係合穴64g及び第三係合穴63eにより構成されており、インシュレータ6に適切な回転トルクを与えるために十分な深さまで治具8のピン82を挿入することができる。特に、プロテクタ63に形成された第三係合穴63eまで治具8のピン82を挿入することにより、開口部111の縁部に係止されるプロテクタ63に直に回転トルクを付与することができ、容易にインシュレータ6を回転させることができる。
【0068】
次に、図8(C)に示したように、治具8に回転トルクを付与することにより、インシュレータ6を回転させる。このとき、インシュレータ6は、図7(B)に示したインシュレータ6の爪部6dが、開口部111の切欠部111bに係合する方向(図では反時計回り)に回転される。そして、図7(C)に示したように、インシュレータ6の爪部6dが、開口部111の切欠部111bに係合した状態で、インシュレータ6の回転を停止させる。このとき、インシュレータ6の係止部6c,6c′は、インシュレータ6の回転に伴って第一ホーンプレート11の表面に沿って回転することから、図8(C)に示したように、開口部111の縁部はインシュレータ6の係止部6c,6c′と支持部6aとの間に挿入され、インシュレータ6が開口部111に固定される。
【0069】
また、インシュレータ6の爪部6dが、開口部111の切欠部111bに係合していることから、使用時におけるインシュレータ6の回転を抑制することができ、インシュレータ6の摩耗及び脱落を抑制することができる。なお、爪部6dが切欠部111bに係合したか否かは、第一インシュレータ61に形成された透孔61g、弾性体64に形成された切欠部64f及びプロテクタ63に形成された切欠部63cを介して目視により容易に確認することができる。
【0070】
その後、図8(D)に示したように、治具8をインシュレータ6から取り外すことによって、インシュレータ6の開口部111への装着が完了する。このように、インシュレータ6のストッパ5との接触面(第一フランジ部61aの表面)に係合穴6eを形成し、この係合穴6eに治具8を挿入してインシュレータ6を回転させるようにしたことから、第一ホーンプレート11の開口部111にインシュレータ6を挿入した後、その挿入方向と同じ方向から治具8のピン82を係合穴6eに挿入することができ、第一ホーンプレート11を裏返すことなく治具8をインシュレータ6に取り付けることができる。したがって、インシュレータ6の組み付け作業の簡略化及び省力化を図ることができる。
【0071】
最終的に、インシュレータ6にガイドピン4を挿入し、第二ホーンプレート21を介して固定部材41をガイドピン4に締結することによって、ダイナミックダンパーの組み付け作業が完了する。なお、インシュレータ6と第二ホーンプレート21との間には、コイルスプリング7が挿入される。上述した本実施形態によれば、インシュレータ6の組み付け作業を簡略化及び省力化したことにより、ダイナミックダンパーの組み付け作業を簡略化及び省力化することができる。
【0072】
本発明は上述した実施形態に限定されず、第一ホーンプレート11と第二ホーンプレート21の配置を入れ替えるようにしてもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
1 本体部
1a 固定具
1b ボス部
1c スポーク部
1d リム部
1e 壁面部
2 パッド部
3 ホーンスイッチ
3a 固定接点
3b 可動接点
4 ガイドピン
5 ストッパ
6 インシュレータ
6a 支持部
6b 胴部
6c,6c′ 係止部
6d 爪部
6e 係合穴
7 コイルスプリング
8 治具
11 第一ホーンプレート
11a 第一平面部
11b 第二平面部
11c 段差部
21 第二ホーンプレート
21a 第一平面部
21b 第二平面部
21c 側面部
22 エアバッグモジュール
22a エアバッグ
22b インフレータ
22c ラッピングシート
23 壁面部
24 支持部
25 ハーネス
41 固定部材
61 第一インシュレータ
61a 第一フランジ部
61b 第一脚部
61c 開口部
61d 壁面部
61e 凹凸
61f 挿通孔
61g 透孔
61h 第一係合穴
61i 線状突起
61j 爪部
62 第二インシュレータ
62a 第二フランジ部
62b 第二脚部
62c 開口部
62d 収容部
62e 凹部
62f スプリングガイド
62g ストッパ壁
62h 点状突起
63 プロテクタ
63a 開口部
63b 柱状突起
63c 切欠部
63d 段差部
63e 第三係合穴
64 弾性体
64a 胴部
64b 第一拡径部
64c 第二拡径部
64d 開口部
64e 凹部
64f 切欠部
64g 第二係合穴
64h 凹部
81 フランジ部
82 ピン
83 連結部
111 開口部
111a,111a′ 拡張部
111b 切欠部
112 インフレータ用開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8