特許第5989456号(P5989456)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小糸製作所の特許一覧

<>
  • 特許5989456-光源モジュール 図000002
  • 特許5989456-光源モジュール 図000003
  • 特許5989456-光源モジュール 図000004
  • 特許5989456-光源モジュール 図000005
  • 特許5989456-光源モジュール 図000006
  • 特許5989456-光源モジュール 図000007
  • 特許5989456-光源モジュール 図000008
  • 特許5989456-光源モジュール 図000009
  • 特許5989456-光源モジュール 図000010
  • 特許5989456-光源モジュール 図000011
  • 特許5989456-光源モジュール 図000012
  • 特許5989456-光源モジュール 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989456
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】光源モジュール
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20160825BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20160825BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20160825BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160825BHJP
【FI】
   F21S8/10 151
   F21V19/00 150
   F21V19/00 170
   F21V29/503
   F21Y115:10
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-182903(P2012-182903)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-41738(P2014-41738A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】松永 崇
(72)【発明者】
【氏名】伊東 範明
(72)【発明者】
【氏名】平野 富晴
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−146601(JP,A)
【文献】 特開2007−294299(JP,A)
【文献】 実開昭53−096685(JP,U)
【文献】 特開2008−270273(JP,A)
【文献】 特開2012−028161(JP,A)
【文献】 特開2011−134677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21V 19/00
F21V 29/503
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子および前記発光素子の点灯を制御する制御回路を搭載すると共に一端部に受電手段が形成されたプリント配線基板と、
前記プリント配線基板における、前記発光素子が搭載された搭載領域を保持する基板保持部と、前記受電手段との接触部を有する端子を収容した被給電側コネクタ部とが一体成形されたハウジングと、を備えた光源モジュールであって、
前記プリント配線基板が、弱化手段を有する屈曲部を境界として、前記発光素子が搭載される中央の第1搭載領域と、前記受電手段が形成される第2搭載領域と、ICチップが搭載される第3搭載領域に区分されるように前記発光素子の搭載領域に対して裏面側に屈曲されて、前記基板保持部を画成する開口部に上方から挿入され、
前記端子には、前記開口部に挿入される前記プリント配線基板の受電手段の挿入を許容する板ばねが設けられ、該板ばねが前記接触部を構成することを特徴とする光源モジュール。
【請求項2】
前記板ばねは、前記開口部に挿入される前記プリント配線基板の受電手段形成領域に対して斜め下方に延出する傾斜弾性片を備え、前記板ばねには、前記傾斜弾性片の幅方向にオフセットし、前記傾斜弾性片と協働して前記プリント配線基板を挟持する挟持部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の光源モジュール。
【請求項3】
前記搭載領域には、一方の面に前記発光素子が搭載され、他方の面に放熱手段が設けられており、
前記基板保持部には、前記搭載領域を固定する固定手段が設けられたことを特徴とする請求項1または2記載の光源モジュール。
【請求項4】
灯具ボディと前面カバーで画成された灯室に、請求項1〜3のいずれかに記載の光源モジュールが収容されたことを特徴とする車両用灯具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を光源とした組み立てが容易な光源モジュールの発明である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、口金付LEDバルブが示されている。特許文献1の口金付LEDバルブにおいては、整流ブリッジや抵抗を実装して点灯を制御する制御回路を構成する回路部品実装基板(特許文献1の[0034]及び図1)が、複数のLEDを実装したLED実装基板から分離されて形成されている。回路部品実装基板とLED実装基板は、複数のLEDのリードや抵抗のリードを介してT字形に物理的に締結され、かつ電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−12821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の口金付LEDバルブにおいては、LED実装基板のLEDのリードを回路部品実装基板の導電パターンに半田付け等によって接続し、かつ回路部品実装基板の抵抗のリードをLED実装基板の導電パターンに半田付け等によって接続しなければならず、更に半田付け等される給電線によって回路部品実装基板を口金部に接続しなければならないため、各実装基板をハウジング内に組み付ける際の作業工数が増加して組み立て作業が複雑になる点で問題がある。
【0005】
本願発明は、上記課題に鑑みて、発光素子を光源とした、組み立てが簡単な光源モジュールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の光源モジュールにおいては、発光素子および前記発光素子の点灯を制御する制御回路を搭載すると共に一端部に受電手段が形成されたプリント配線基板と、前記プリント配線基板における、前記発光素子が搭載された搭載領域を保持する基板保持部と、前記受電手段との接触部を有する端子を収容した被給電側コネクタ部とが一体成形されたハウジングと、を備えた光源モジュールであって、前記プリント配線基板における前記受電手段の形成領域が前記発光素子の搭載領域に対して裏面側に屈曲されて、前記基板保持部を画成する開口部に上方から挿入され、前記端子には、前記開口部に挿入される前記プリント配線基板の受電手段の挿入を許容する板ばねが設けられ、該板ばねが前記接触部を構成するようにした。
【0007】
(作用)発光素子と点灯を制御する制御回路が、一つの基板上に搭載されるため、発光素子と制御回路を別基板に搭載した場合と異なり、基板同士をケーブルで接続する作業が不要になる。
【0008】
また、請求項1の光源モジュールにおいては、プリント配線基板の受電手段の形成領域を基板保持部に隣接する開口部から端子に挿入するだけで受電手段が端子の板ばねと接触した状態に保持され、かつプリント配線基板の発光素子の搭載領域が基板保持部に保持される。
【0009】
請求項2は、請求項1に記載の光源モジュールであって、前記板ばねは、前記開口部に挿入される前記プリント配線基板の受電手段形成領域に対して斜め下方に延出する傾斜弾性片を備え、前記板ばねには、前記傾斜弾性片の幅方向にオフセットし、前記傾斜弾性片と協働して前記プリント配線基板を挟持する挟持部が設けられるようにした。
【0010】
(作用)プリント配線基板の受電手段は、板ばねの挟持部と、傾斜弾性片との隙間に挿入されて、挟持される。傾斜弾性片と挟持部との間に形成される、プリント配線基板を挿入するための隙間は、挟持部を傾斜弾性片からオフセットした位置に配置することによって減少し、または0になり、またはマイナスになる。従って、挟持部と傾斜弾性片との間に形成される隙間には、厚さの薄いプリント配線基板であっても挟持される。つまり、プリント配線基板を挟持するための隙間を厳格に調整しなくても、多種多様なプリント配線基板が、端子の板ばねに確実に固定される。
【0011】
また、傾斜弾性片がプリント配線基板に対して斜め下方に傾斜するため、端子において挟持部と傾斜弾性片と間に画成される隙間は、挿入口において広く、傾斜弾性片によって受電手段が挟持部に付勢される位置に近づくほど狭くなる。従って、請求項2の光源モジュールにおいては、受電手段を挟持部と傾斜弾性片との間に隙間に挿入しやすい。
【0012】
請求項3は、請求項1または2に記載の光源モジュールであって、前記プリント配線基板の前記受電手段の形成領域を前記発光素子の搭載領域に対して裏面側に屈曲させる部位(屈曲部)には、基板を屈曲しやすくするための弱化手段が設けられるようにした。
【0013】
(作用)屈曲部の強度が、弱化手段によって他の部位よりも低下するため、プリント配線基板が屈曲部において屈曲しやすくする。
【0014】
請求項4は、請求項1から3のうちいずれかに記載の光源モジュールであって、前記搭載領域には、一方の面に前記発光素子が搭載され、他方の面に放熱手段が設けられており、前記基板保持部には、前記搭載領域を固定する固定手段が設けられるようにした。
【0015】
(作用)プリント配線基板に発生した熱が、放熱手段によって外部に放出されると共に、プリント配線基板が、固定手段により、発光素子の搭載領域を介して基板保持部に固定される。
【0016】
請求項5は、車両用灯具において灯具ボディと前面カバーで画成された灯室に、請求項1〜4のいずれかに記載の光源モジュールが収容されるようにした。
【0017】
(作用)組み立てが容易な光源モジュールが、灯室内に収納される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の光源モジュールによれば、開口部から端子にプリント配線基板の受電手段形成領域を挿入するだけで基板を端子に導電可能に接続でき、かつプリント配線基板を基板保持部に保持出来るため、組み立てが簡単な光源モジュールを得ることが出来る。
【0019】
請求項2の光源モジュールによれば、プリント配線基板が端子に挿入されやすくなり、かつ厚さの薄いものから厚いものまで厚さの異なるプリント配線基板を多種多様に保持出来るため、更に組み立てが簡単な光源モジュールを得ることが出来る。
【0020】
請求項3の光源モジュールによれば、プリント配線基板の曲げ加工が屈曲部において容易になるため、更に組み立てが簡単な光源モジュールを得ることが出来る。
【0021】
請求項4の光源モジュールによれば、プリント配線基板に発生したの熱の放熱性が向上しつつ、かつプリント配線基板が固定手段によって基板保持部に容易に取付けられるため、更に組み立てが簡単な光源モジュールを得ることが出来る。
【0022】
請求項5の車両用灯具によれば、請求項1から請求項4の光源モジュールを有することにより、組み立てが簡単な車両用灯具を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施例の光源モジュールの分解斜視図。
図2】第1実施例の光源モジュールの斜視図。
図3】(a)第1実施例のプリント配線基板の平面図。(b)第1実施例のプリント配線基板の右側面図。
図4】(a)第1実施例の光源モジュールの正面図。(b)図4(a)図のIVb-Ivb断面図。
図5】プリント配線基板を端子に保持させる態様を説明する、図4(b)の部分拡大断面図。
図6】(a)第2実施例の光源モジュールにおけるプリント配線基板の平面図。(b)第2実施例のプリント配線基板の右側面図。
図7】(a)第2実施例の光源モジュールの平面図。(b)第2実施例の光源モジュールの正面図。
図8図7(b)のVIII-VIII断面図。
図9】(a)第2実施例の端子を説明する、図8の部分拡大断面図。(b)端子の変形例を示す説明図。
図10図9(b)のX-X断面図。
図11】(a)図9(b)の端子の展開図。(b)ハウジングに固定された図9(b)の端子を説明する部分拡大斜視図
図12】第1実施例の光源モジュールを取り付けた車両用灯具の水平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を本発明の実施例に基づいて説明する。図1図5は、本発明に係る光源モジュールの第1実施例を示す。尚、図1〜11においては、発光素子4(または発光素子46)の配置方向を上方(符号Up方向)とし、光源モジュール1の各方向を(上方:下方:左方:右方:前方:後方=Up:Lo:Le:Ri:Fr:Re)として説明する。第1実施例の光源モジュール1は、図1に示すように、発光素子4を搭載したプリント配線基板2を樹脂等で成形されたハウジング3に取り付けることによって、図2のように形成される。
【0025】
図3(a)(b)に示すプリント配線基板2は、前後に長い平面視矩形形状のFPC(フレキシブルプリント)基板5と、その裏面5bの全体に積層する放熱用の金属層6(請求項4の放熱手段)によって構成される。尚、プリント配線基板2としては、FPC基板5の代わりに可撓性を低くしたポリカーボネート製のプリント配線基板等を使用してもよい。また、金属層6は、設けた方が望ましいが、設けなくてもよい。プリント配線基板2の表面5aには、光源となる発光素子(LED)4,点灯制御用の制御回路を構成するICチップ7(制御回路は、複数の抵抗素子から構成しても良い)、抵抗素子8a、ダイオード8b、電解コンデンサ8c等を含む電子部品群8が搭載されている。
【0026】
プリント配線基板2は、図3(a)に示すように左右に延びる2箇所の屈曲部10を境界として、発光素子4を搭載される中央の第1搭載領域31(請求項1の発光素子の搭載領域)、第1搭載領域31の前側に連続すると共に電子部品群8を搭載される第2搭載領域32、及び第1搭載領域31の後側に連続すると共にICチップ7を搭載される第3搭載領域33の3つの領域に分けられる。第2搭載領域32の先端部25には、請求項1の受電手段である3つの受電部(28a〜28c)が設けられる。
【0027】
受電部(28a〜28c)は、プリント配線基板2の内部に設けられる金属製の導電パターン(図示せず)の複数の端部を表面5a側に、プリント配線基板2の左右方向に等間隔で露出させてなる接点であって、ストップランプ用受電部28a、テールランプ用受電部28b、グラウンド用受電部28cによって構成される。発光素子4,電子部品群8,及びICチップ7は、受電部(28a〜28c)を有する金属製の導電パターン(図示せず)に物理的かつ電気的に接続されている。
【0028】
屈曲部10の左右両端部には、図3(a)に示すように切欠部(11,12)が設けられる。切欠部(11,12、請求項3の弱化手段)は、屈曲部10の強度を低下させることでプリント配線基板2の屈曲を容易にしている。
【0029】
一方、ハウジング3は、図1及び図4(b)に示すとおり、上下に延びる円柱形状のハウジング本体部13と、前方に延出するようにハウジング本体部13の下端部近傍に一体成形された被給電側コネクタ部16によって形成される。ハウジング本体部13の上端における外周縁部13dの内側には、その上面側に開口する前後一対の開口部、即ち前方の第1開口部13aと後方の第2開口部13bとが設けられることで、前後一対の開口部(13a、13b)に挟まれた基板保持部15が画成されている。基板保持部15の上面15aは、ハウジング本体部13の外周縁部13dと面一に形成され、基板保持部15は、下方に開口する中空形状に形成されている。
【0030】
また、図4(b)に示すように、ハウジング本体部13の外周縁部13dには、複数の係合突起13eが設けられ、係合突起13eの下方には、上面に弾性部材からなるパッキン13gを配置した焦点リング13fが設けられる。パッキン13gと係合突起13eとの間には、隙間13hが形成される。係合突起13eは、後述する図12の車両用灯具90におけるランプボディ91の取付孔91aに形成された複数の切欠部(図示せず)と協働してバヨネット係合機構を構成し、ハウジング3(光源モジュール1)は、バヨネット係合機構によってランプボディ91の取付孔91a着脱自在に固定される。
【0031】
上方に延出する基板保持部15の下端部近傍には、図4(b)に示すように前方に突出する段差状の端子載置部18が設けられる。被給電側コネクタ部16は、端子載置部18の前方に開口する開口部16aを有する。被給電側コネクタ部16の内側は、筒状に形成されたハウジング本体部13の第1開口部13aに連通し、被給電側コネクタ部16には、金属製の端子14が収納される。
【0032】
端子14は、図5に示すように前後に延びる給電用接点20と、給電用接点20の後端部から上方に直角に屈曲した位置に一体に形成される板ばね21(請求項1の接触部)によって構成される。板ばね21は、上方から下方に折り返されて基板を付勢される被付勢部22と、被付勢部22の先端部に連続する弾性片23とを有し、かつ側面視U字形状に形成される。弾性片23は、被付勢部22の下端から上方に向けて被付勢部22の近くまで湾曲されることによってバネ状に形成される。弾性片23の先端部23aは、前方に拡がるように湾曲するため、先端部23aが挿入ガイドとなって、後述するプリント配線基板2の先端部25を被付勢部22と弾性片23との間に挿入しやすい。
【0033】
端子14は、図4(b)に示すように、給電用接点20を保持させたリテーナー(端子14の保持部材)26を開口部16aの内周面16bに係合させることにより、被給電側コネクタ部16の内側に取り付けられる。即ち、端子14は、給電用接点20の基端側を端子載置部18上に載置して、被給電側コネクタ部16の内側に配置される。リテーナー26は、ポリカーボネート等の樹脂によって形成され、リテーナー26側に設けた凸部(図示せず)が被給電側コネクタ部16側に設けた凹部に凹凸ランス係合することで前方に抜け止めされる。尚、端子14は、リテーナー26を用いずに、端子載置部18にインサート成形されることによって、被給電側コネクタ部16の内側に固定されてもよい。
【0034】
図4(a)(b)に示すように、第1実施例において端子14は、プリント配線基板2の3つの受電部(28a〜28c)の位置に合せて3本配置される。板ばね21は、図5に示すように、被付勢部22の前面22aが基板保持部15の前面(側面)15bと面一になるように基板保持部15の前面(側面)15bに設けた凹部15cに係合することによって、上方に抜け止めされる。給電用接点20と被給電側コネクタ部16は、共に雄コネクタを形成し、この雄コネクタには、給電ケーブル19aに接続された雌コネクタ19bが装着される。
【0035】
弾性片23の先端湾曲部23bと被付勢部22との間には、図5に示すように前後方向に隙間C1が形成される。隙間C1は、受電部(28a〜28c)を有するプリント配線基板2の先端部25の厚さSi1よりも小さく形成される。ばねである弾性片23は、開口部24の隙間C1よりも厚いプリント配線基板2を挿入されて隙間C1を前方に押し拡げられることより、プリント配線基板2を通電可能な状態で被付勢部22に付勢保持する。
【0036】
次に、プリント配線基板2のハウジング3への具体的な挿着方法を説明する。図1図3(a)、図3(b)と図4(b)に示すように、まず、屈曲部(10,10)において、プリント配線基板2の第2搭載領域32及び第3搭載領域33を、それぞれ、発光素子4を搭載した第1搭載領域31に対して裏面側(符号K1及びK2方向)に折り曲げて、第1搭載領域31からほぼ直角方向に屈曲させることにより、プリント配線基板2をほぼU字形状に形成する。次に受電部(28a〜28c)を設けた第2搭載領域32と、ICチップ7を搭載した第3搭載領域33を下にしてハウジング3の開口部(13a,13b)にそれぞれ挿入する。発光素子4を搭載した第1搭載領域31は、基板保持部15の上面15aによって保持される。第2開口部13bに挿入された、第3搭載領域33は、基板保持部15の後面15dに沿って下方に延出する。
【0037】
一方、第2搭載領域32は、図5の矢印に示すように、板ばね21の被付勢部22の前面22aと面一である基板保持部15の前面(ガイド面)15bに裏面32aを接触させつつ下方に挿入することにより、板ばね21の開口部24に誘導される。更に、先端部25が弾性片23の先端部23aにガイドされるため、先端部25は、開口部24へ容易かつ確実に挿入される。開口部24に挿入された第2搭載領域32の先端部25は、受電部(28a〜28c)が3つの端子ユニット(14,14,14)の各先端湾曲部23bに接触しつつ、弾性片23と被付勢部22との間に保持されることにより、端子14と導電可能な状態で板ばね21に挿着される。このように、第1実施例の光源モジュールにおいては、ほぼU字形状に形成されたプリント配線基板2をハウジング3の開口部(13a、13b)から差込み、第1搭載領域31を基板保持部15に保持させ、第2搭載領域32の先端部25を板ばね21に差し込むことにより、受電部(28a〜28c)と端子14との通電が容易に確保されつつ、プリント配線基板2がハウジング3に保持される。
【0038】
一方、プリント配線基板2には、図1図2図4(a)に示すように発光素子4を挟んだ左右両端部に一対の切欠部(符号34,34)が設けられ、基板保持部15の上面15aには、図1図2図4(b)に示すように切欠部(34,34)と対になって固定手段36を構成する一対の突起(35,35)が設けられる。プリント配線基板2は、二つの切欠部(34,34)に二つの突起(35,35)を係合させて、突起(35,35)を熱カシメすることによって基板保持部15に固定される。
【0039】
次に、図6図9(a)によって光源モジュールの第2実施例を説明する。第1実施例の光源モジュール1では、被給電側コネクタ部16がハウジング本体部13の延びる上下方向に対して直交するL字型に形成されているのに対し、図7(b)に示す第2実施例の光源モジュール39は、被給電側コネクタ部42をハウジング本体部43と同軸状に設けた、ストレート型に形成されている。
【0040】
プリント配線基板40は、図6(a)(b)に示すとおり、表面44aに電子部品を備えた可撓性を有するFPC基板44と、裏面44bの全体に設けられた放熱用の金属層45によって構成され、かつ屈曲部49を境界として第1搭載領域66〜第3搭載領域68の3領域に分けられる。第1搭載領域66には、複数の発光素子46(発光素子の数は、単数でも3以上でも良い)が設けられ、第2搭載領域67には、抵抗47a、ダイオード47b、バリスタ47cからなる電子部品群47が搭載され、第3搭載領域68には、複数の抵抗素子48aで形成された点灯制御用の制御回路48(第1実施例のように制御回路をICチップで構成しても良い)が搭載される。第2搭載領域67の先端部69には、FPC基板44の導電パターン(図示せず)の複数の端部を表面44a側に露出させることで形成された2つの受電部(クリアランスランプ用受電部65a、グラウンド用受電部65b)が設けられる。
【0041】
屈曲部49の裏面(金属層45の裏面45a)には、図6(a)(b)に示すとおり左右に延びる薄肉部50が形成される。プリント配線基板40は、屈曲部(49,49)において、第2搭載領域67と、第3搭載領域68と、をそれぞれ第1搭載領域66から符号K3及びK4方向に折り曲げて、第1搭載領域66からほぼ直角方向に屈曲させることによって、ほぼU字形状に形成される。円柱形状を有するハウジング本体部43の上端の外周縁部43j(図11(b)参照)の内側には、前後に開口する一対の第1開口部43aと、第2開口部43bとが設けられ、かつ前後一対の開口部(43a、43b)に挟まれる基板保持部54が画成される。
【0042】
図7(a)(b)に示すように、ハウジング本体部43の外周縁部43jには、第1実施例のハウジング本体部13と同様に、複数の係合突起43iが設けられ、その下には、焦点リング43kとパッキン43Lが設けられ、ハウジング41は、第1実施例と同様に複数の係合突起43iと、ランプボディ(図示せず)の取付孔において各係合突起43iに対応する位置に形成された複数の切欠部によるバヨネット係合機構によって、ランプボディに固定される。被給電側コネクタ部42は、平面方向から見てハウジング本体部43の下に隠れるため、ハウジング41の外径が小さくなる。第2開口部43bの内側43cにおいて、基板保持部54の基端部の後面には、図8図9(a)に示すようにランス受け部62が突設され、その隣には、孔55を挟んで端子載置部56が設けられる。
【0043】
図8の端子53は、図9(a)に示すように上下に延びる金属製の給電用接点57と板ばね58と被支持部61によって構成される。給電用接点57の前面には、斜め上方に傾斜するランス部63が一体に形成される。被支持部61は、給電用接点57の上端部57aから後方に屈曲形成され、板ばね58は、被支持部61の後端部から下方に屈曲形成された被付勢部59と、弾性片60によって形成される。弾性片60は、被付勢部59の下端から後方に向かって斜め上方に湾曲されると共に被付勢部59に近づけられることでバネ状に形成され、弾性片60の先端部60aは、後方に湾曲する。
【0044】
図8及び図9(a)に示される端子53は、給電用接点57を下に向け、ランス部63を前方に向けた状態で第2開口部43bに連通する端子挿入口43eに挿入される。端子53は、給電用接点57とランス部63を孔55に挿入してランス部63をランス受け部62にランス係合させることにより、被支持部61を端子載置部56に載置された状態でハウジング41内に固定される。給電用接点57は、被給電側コネクタ部42と共に給電ケーブル(図示せず)の雄コネクタを形成する。端子53は、プリント配線基板40の2つの受電部(65a、65b)に対応するように左右に2つ配置される。
【0045】
図8に示すようにほぼU字形状に形成されたプリント配線基板40は、受電部(65a、65b)を設けた第2搭載領域67の先端部69を図7(a)に示すハウジング本体部43の第2開口部43bに挿入し、第3搭載領域68を第1開口部43aに挿入することにより、図8に示すように第1搭載領域66を基板保持部54に保持される。また、図9(a)に示すように第2搭載領域67の先端部69は、端子53の被付勢部59の後面と面一になるように基板保持部54に一体に形成されたガイド面54aに第2搭載領域67の前面67aを接触させることにより、開口部70に誘導される。第2搭載領域67の先端部69は、弾性片60の先端湾曲部60bと被付勢部59との間に形成される開口部70に挿入されて開口部70が後方に押し拡げられることにより、2つの端子53の弾性片60がそれぞれ図6(a)の受電部(65a、65b)に通電可能に接触した状態で被付勢部59に付勢される。
【0046】
また、図6(a)に示すFPC基板44と、図7(a)の基板保持部54には、図6(a)の左端の切欠部71と図7(a)の突起73からなる固定手段75と、図6(a)の右端の円孔72と図7の突起74からなる固定手段76が設けられる。FPC基板44は、切欠部71と円孔72に二つの突起(73,74)をそれぞれ係合させて、突起(73,74)を熱カシメすることでハウジング41に固定される。
【0047】
尚、図9(b)と図11(a)(b)に示されるのは、端子53の変形例である。図9(b)の端子77は、プレス等によって図11(a)の形状に加工された金属板77’を図9(b)の形状に折り曲げることによって端子77に形成される。図9(b)の端子77は、板ばね78の構成が図9(a)の板ばね58と異なる他、共通の構成を有する。
【0048】
図9(b)の端子77は、給電用接点57と、板ばね78と、被支持部79によって形成され、板ばね78は、図11(a)の一対の挟持部(80、81)、延伸部82及び傾斜弾性片83によって形成される。被支持部79は、給電用接点57の上端部57aから後方に曲げられた水平部79aと、屈曲部79cにおいて下方に曲げられた垂直部79bを有する。図11(a)の一対の挟持部(80、81)は、垂直部79bの左右に一対設けられ、屈曲部(80a、81a)において図9(b)に示すように後方に曲げられた後、更に内側に対向するように曲げられる。延伸部82は、垂直部79bの下端部79dから後方に屈曲後、屈曲部82aで上方に屈曲する。傾斜弾性片83は、延伸部82の上端部82bから前方に湾曲されることによって斜め下方に傾斜するばねとして形成され、その先端部83aは、斜め後方に湾曲する。
【0049】
図11(a)の一対の挟持部(80,81)は、上下に延びる垂直面(80c、81c)を備える被付勢部(80b、81b)を有する。被付勢部(80b、81b)は、図10に示すように傾斜弾性片83の幅方向(左右方向)にオフセットして配置される。被付勢部(80b、81b)の奥行きL1(図11(b)を参照)をより大きくするか、または、先端湾曲部83bを被付勢部(80b、81b)の内側に近づけるように傾斜弾性片83を湾曲させることにより、傾斜弾性片83と被付勢部(80b,81b)との間に形成される隙間C2は、より小さくなるか、0になるか、またはマイナスになる。その結果、板ばね78においては、隙間C2に厚さの薄いプリント配線基板84を挿入しても確実に固定される。
【0050】
図9(b)の端子77は、図11(b)に示されるように、ハウジング41のハウジング本体部43に形成された第2開口部43bと、これに連通する端子挿入口43eに挿入される。端子77は、ランス部63を孔43fに係合させ、給電用接点57の左右に形成された立壁57b(図11(a)参照)を孔43gに係合させ、かつ被支持部79の水平部79aを孔43hに係合させるようにして、端子挿入口43eに挿入され、かつ給電用接点57とランス部63を孔55に挿入されることにより、図8に示すハウジング41内の端子載置部56に載置されつつランス受け部62にランス固定される。
【0051】
図9(a)の受電部(65a、65b)と同様の受電部(図示せず)を設けたプリント配線基板84の先端部84aは、傾斜弾性片83の先端湾曲部83bと挟持部(80b、81b)との間に形成される開口部85から被付勢部(80b、81b)の垂直面(80c、81c)に沿って板ばね78に挿入される。プリント配線基板84は、図10に示すように傾斜弾性片83の付勢力によって、傾斜弾性片83と被付勢部(80b、81b)との間に挟持される。その際、傾斜弾性片83は、プリント配線基板84の受電部(図示せず)に接触した状態に保持される。また、プリント配線基板84は、挟持部の垂直面(80c、81c)に連続する水平面(80d、81d)に接触することで、下方に位置決めされる。
【0052】
図9(a)の板ばね58には、弾性片60をバネ状に曲げ形成する際に先端湾曲部60bと被付勢部59との間に隙間C3が形成されてしまうため、板ばね58は、隙間C3以下の厚さSi2を持つプリント配線基板の先端部69を保持できない。しかし、図9(b)の板ばね78は、隙間C2を小さくすることも、0にすることも、さらにはマイナスにも出来るため、プリント配線基板84の板厚Si3が薄いものであっても保持出来る利点がある。言い換えると、隙間C3を0やマイナスに出来ない板ばね58と異なり、板ばね78には、隙間C3を挟持するプリント配線基板に合わせて調整しなくても、板圧の異なる様々なプリント配線基板を幅広く保持できるという汎用性がある。
【0053】
また、図9(b)に示す傾斜弾性片83は、上方から前方に向かって斜め下方に傾斜するため、開口部85の前後方向の隙間は、被付勢部(80b、81b)と先端湾曲部83bとの間の前後方向の隙間C2より広く形成される。従って、板ばね78には、プリント配線基板84を開口部85に挿入しやすい利点がある。
【0054】
尚、本願の第1、第2実施例のプリント配線基板(2、40)に代えて、FPC基板(5、44)の一方の面に放熱用の金属ベースとなる金属板を貼り付けた、いわゆるメタルベースFPCを採用しても良い。
【0055】
また、第1実施例の弱化手段は、屈曲部10に設けられた一以上の薄肉部、スリット、孔部によって形成されてもよいし、前記薄肉部は、屈曲部10の下に金属層6を設けず(図3(b)の符号6aの部分を無くすようにする)、屈曲部を境界として金属層6を複数に分割することで形成されてもよい。また、第2実施例の弱化手段は、屈曲部49に設けられた薄肉部50の代わりに切欠部、スリット、孔部によって形成されてもよい。また、図2及び図7に示される固定手段(36、75,76)は、熱カシメに限られず、ネジ止め等の手段でも良い。
【0056】
尚、図12には、光源モジュール1を装着した車両用灯具90が記載されている。図12においては、発光素子4の配置方向を車両用灯具90の前方(符号Fr)とし、車両用灯具90の各方向を(前方:後方方:左方:右方=Fr:Re:Le:Ri)して説明する。車両用灯具90は、光源モジュール1と、樹脂等で形成されたランプボディ91及びリフレクタ92と、ランプボディ91の前方を閉塞する透明または半透明の前面カバー93と、サブリフレクタ94とを有する。リフレクタ92は、ランプボディ91と前面カバー93の内側に形成された灯室S内においてランプボディに固定される。
【0057】
ランプボディ91には、円孔形状に形成された、光源モジュール1(ハウジング3)の取付孔91aが形成され、取付孔91aの内周には、図2に示すハウジング3の4箇所の係合突起13eに対応する位置にバヨネット係合機構用の切欠部(図示せず)が設けられる。係合突起13eを切欠部に係合させつつ取付孔91aに挿入された光源モジュール1(ハウジング3)は、バヨネット係合機構により、ランプボディ91の取付孔91aの周辺に圧着される。リフレクタ92には、発光素子4の前方に光の通過孔92aが設けられ、通過孔92aの前方には、サブリフレクタ94が設けられる。発光素子4を出射した光B1は、サブリフレクタ94によって後方のリフレクタ92に反射され、更にリフレクタ92によって前方に再反射された後、前面カバー93の前方に出射する。
【符号の説明】
【0058】
1、39 光源モジュール
2,40、84 プリント配線基板
3,41 ハウジング
4、46 発光素子(LED)
6、45 金属層(請求項4の放熱手段)
7 ICチップ(制御回路)
10,49 屈曲部
11,12 切欠部(請求項3の弱化手段)
13a、13b,43a、43b 開口部(請求項1の開口部)
14,53,77 端子
15,54 基板保持部
16,42 被給電側コネクタ部
21,58,78 板ばね
22,59 被付勢部
23,60 弾性片
25,69 プリント配線基板の先端部(一端部)
28a〜28c、65a,65b 受電部(請求項1の受電手段)
31,66 発光素子の第1搭載領域
36,75,76 固定手段
48 制御回路
50 薄肉部(請求項3の弱化手段)
80,81 挟持部
83 傾斜弾性片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12