(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記センサマグネットの磁極位置に対して所定の位置関係であって前記規制部と対向する面及び前記規制部における前記センサマグネットと対向する面のうちの何れかの一方に突出形成された係合凸部と、
前記係合凸部が嵌合可能に前記何れかの他方に凹設形成され、前記係合凸部が入り込んで前記センサマグネットの前記ギヤに対する前記回転方向への変位を規制する係合凹部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のモータ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように熱かしめによりセンサマグネットを固定する構成では、熱による減磁などセンサマグネットの磁気特性が変化したり、また、センサマグネットを形成するバインダ等が変質又は変形したりする虞がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、加熱せずにセンサマグネットをギヤに固定できるモータ装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係るモータ装置は、ハウジングに回転自在に収容されたロータと共にロータ軸を回転駆動するモータと、前記ロータ軸の回転を減速して出力する出力軸が軸方向一方の面の側に突出して設けられたギヤと、前記ギヤの軸方向他方の面の側において、前記出力軸と同軸上に設けられるセンサマグネットと、前記センサマグネットと対向して設けられ、前記センサマグネットの磁束の変化を検出する磁気センサと、を備えたモータ装置であって、前記ギヤは、前記ギヤにおける軸方向他方の面の側に
突出状態で形成され、前記センサマグネットが載置される載置面が前記出力軸の軸線と直交して形成された台座と、前記台座より
も径方向外方において、前記ギヤにおける軸方向他方の面の側から前記載置面を超えて前記出力軸の軸線方向に延出されると共に、前記載置面上の前記センサマグネットに係合して前記センサマグネットを保持する爪部を先端部に有し、基端部側を支点
に径方向に弾性変形可能な保持片と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係るモータ装置では、モータが作動するとモータを構成するヨーク等のハウジングに収容されたロータのロータ軸が回転する。ロータ軸の回転はギヤに直接又は間接的に伝えられ、ギヤにおける軸方向一方の面の側でギヤから突出して設けられた出力軸から減速して出力される。
【0008】
一方、ギヤにおける軸方向他方の面の側には台座が
突出状態で形成されており、この台座の載置面上には出力軸と同軸上に永久磁石からなるセンサマグネットが載置される。この台座より
も径方向外方には、ギヤにおける軸方向他方の面の側から保持片が載置面を超えて出力軸の軸線方向に延出形成されており、保持片が基端部を支点
に径方向に弾性変形して保持片の先端部に形成された爪部がセンサマグネットに係合する。こうして、熱溶着や接着剤等による固着を施さなくても容易に台座上にセンサマグネットを保持固定できる。
【0009】
このため、モータが駆動されてギヤが回転するとセンサマグネットがギヤ(出力軸)と共に回転する。このセンサマグネットと対向するように磁気センサが設けられており、ギヤと共にセンサマグネットが回転すると、磁気センサはこのセンサマグネットの磁束の変化を検出し、これら変化量からギヤの回転位置、ひいては出力軸の回転位置が検出される。そして、この磁気センサによる検出結果に基づいてモータの駆動制御がなされる。
【0010】
ところで、台座上にセンサマグネットを取り付けるに際しては、センサマグネットを保持片の爪部よりも台座側へ嵌め込む。すると、保持片はその基端部を支点
に径方向へ弾性変形可能であり、しかも、保持片は台座
の径方向外方において、ギヤの他側面側から載置面を超えて出力軸の軸線方向に延出して形成、言い換えれば、保持片の基端部は台座の載置面
の高さ分だけ長く形成できる。このため、ギヤの軸方向に沿った台座の載置面と保持片の爪部との間隔が狭くても、弾性変形の支点からの保持片の長さを容易に確保して、保持片を比較的容易に弾性変形させることができる。
【0011】
請求項2に記載の本発明に係るモータ装置は、請求項1に記載の本発明において、前記保持片は、前記ギヤにおける軸方向他方の面の側からの軸方向の力
を径方向外方への向きに変換して前記保持片の基端部を支点に前記台座から離間する方向へ弾性変形させる斜面を有しており、さらに、前記ギヤは、前記台座より
も径方向外方において、前記ギヤにおける軸方向他方の面の側から前記爪部位置を超えて前記出力軸の軸線方向に延出されると共に前記保持片の前記斜面に前記センサマグネットが当接した状態で前記センサマグネット周面に当接し
て径方向への前記センサマグネットの変位を規制する規制部を有する、ことを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の本発明に係るモータ装置では、ギヤに規制部が設けられる。この規制部はギヤにおける軸方向他方の面の側から爪部位置を超えて出力軸の軸線方向に延出している。このため、ギヤにおける軸方向他方の面の側から保持片の爪部にセンサマグネットが接近して爪部の斜面にセンサマグネットが当接した状態では、センサマグネットにおけ
る径方向外方から規制部がセンサマグネットの周面に当接する。このように、台座上にセンサマグネットを取り付けるに際して、保持片の斜面との当接に先立ってセンサマグネット周面と規制部とが当接する。これによっ
て径方向に沿ったセンサマグネットの変位が規制され、保持片の斜面との当接状態へ案内される。
【0013】
さらに、この状態で、出力軸の軸線方向に沿ってセンサマグネットが台座に接近すると、爪部の斜面がセンサマグネットによって押圧される。すると、爪部の斜面はこのような力を受けて保持片がその基端部を支点
に径方向外方へ台座から離間するように弾性変形される。このような保持片の弾性変形に伴って爪部がセンサマグネットの外側へ変位する。これによってセンサマグネットが台座に接近し、台座の載置面上にセンサマグネットが位置すると、保持片はその弾性復元力により爪部がセンサマグネットの載置面とは反対側の面に係合する。
【0014】
このように、本発明に係るモータ装置では、保持片にセンサマグネットが保持される前の状態で
、径方向に沿ったセンサマグネットの変位が規制部によって規制されて案内され、さらにセンサマグネットを押圧することで保持片の爪部がセンサマグネットに係合して台座の載置面上に容易に位置決め保持できる。
【0015】
請求項3に記載の本発明に係るモータ装置は、請求項2に記載の本発明において、前記センサマグネットの磁極位置に対して所定の位置関係であって前記規制部と対向する面及び前記規制部における前記センサマグネットと対向する面のうちの何れかの一方に突出形成された係合凸部と、前記係合凸部が嵌合可能に前記何れかの他方に凹設形成され、前記係合凸部が入り込んで前記センサマグネットの前記ギヤに対する前記回転方向への変位を規制する係合凹部と、を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の本発明に係るモータ装置では、センサマグネットの磁極位置に対して所定の位置関係であって規制部と対向する面及び規制部におけるセンサマグネットと対向する面の何れかの一方には係合凸部が形成され、何れかの他方にはこの係合凸部が嵌合可能な係合凹部が形成される。係合凹部に係合凸部が入り込んだ状態では、ギヤに対する回転方向へのセンサマグネットの変位が規制される。
【0017】
このため、保持片の爪部に形成された斜面にセンサマグネットが接した状態で係合凹部に係合凸部が入り込むと、センサマグネット
は径方向及び回転方向への変位、すなわち、ギヤの軸方向に対して直交する方向へのセンサマグネットの変位が規制される。このため、この状態から台座側へセンサマグネットを押圧すれば、センサマグネット
は径方向及び回転方向へ特に変位することなく、センサマグネットを取り付けることができる。
請求項4に記載の本発明に係るモータ装置は、ハウジングに回転自在に収容されたロータと共にロータ軸を回転駆動するモータと、前記ロータ軸の回転を減速して出力する出力軸が軸方向一方の面の側に突出して設けられたギヤと、前記ギヤの軸方向他方の面の側において、前記出力軸と同軸上に設けられるセンサマグネットと、前記センサマグネットと対向して設けられ、前記センサマグネットの磁束の変化を検出する磁気センサと、を備えたモータ装置であって、前記ギヤは、前記ギヤにおける軸方向他方の面の側に形成され、前記センサマグネットが載置される載置面が前記出力軸の軸線と直交して形成された台座と、前記台座よりも径方向外方において、前記ギヤにおける軸方向他方の面の側から前記載置面を超えて前記出力軸の軸線方向に延出されると共に、前記載置面上の前記センサマグネットに係合して前記センサマグネットを保持する爪部を先端部に有し、基端部側を支点に径方向に弾性変形可能な保持片と、を備え、前記保持片は、前記ギヤにおける軸方向他方の面の側からの軸方向の力を径方向外方への向きに変換して前記保持片の基端部を支点に前記台座から離間する方向へ弾性変形させる斜面を有しており、前記ギヤは、前記台座よりも径方向外方において、前記ギヤにおける軸方向他方の面の側から前記爪部位置を超えて前記出力軸の軸線方向に延出されると共に前記保持片の前記斜面に前記センサマグネットが当接した状態で前記センサマグネット周面に当接して径方向への前記センサマグネットの変位を規制する規制部を有しており、前記センサマグネットの磁極位置に対して所定の位置関係であって前記規制部と対向する面及び前記規制部における前記センサマグネットと対向する面のうちの何れかの一方に突出形成された係合凸部と、前記係合凸部が嵌合可能に前記何れかの他方に凹設形成され、前記係合凸部が入り込んで前記センサマグネットの前記ギヤに対する前記回転方向への変位を規制する係合凹部と、を備えることを特徴としている。
請求項4に記載の本発明に係るモータ装置では、モータが作動するとモータを構成するヨーク等のハウジングに収容されたロータのロータ軸が回転する。ロータ軸の回転はギヤに直接又は間接的に伝えられ、ギヤにおける軸方向一方の面の側でギヤから突出して設けられた出力軸から減速して出力される。
一方、ギヤにおける軸方向他方の面の側には台座が形成されており、この台座の載置面上には出力軸と同軸上に永久磁石からなるセンサマグネットが載置される。この台座よりも径方向外方には、ギヤにおける軸方向他方の面の側から保持片が載置面を超えて出力軸の軸線方向に延出形成されており、保持片が基端部を支点に径方向に弾性変形して保持片の先端部に形成された爪部がセンサマグネットに係合する。こうして、熱溶着や接着剤等による固着を施さなくても容易に台座上にセンサマグネットを保持固定できる。
このため、モータが駆動されてギヤが回転するとセンサマグネットがギヤ(出力軸)と共に回転する。このセンサマグネットと対向するように磁気センサが設けられており、ギヤと共にセンサマグネットが回転すると、磁気センサはこのセンサマグネットの磁束の変化を検出し、これら変化量からギヤの回転位置、ひいては出力軸の回転位置が検出される。そして、この磁気センサによる検出結果に基づいてモータの駆動制御がなされる。
ところで、台座上にセンサマグネットを取り付けるに際しては、センサマグネットを保持片の爪部よりも台座側へ嵌め込む。すると、保持片はその基端部を支点に径方向へ弾性変形可能であり、しかも、保持片は台座の径方向外方において、ギヤの他側面側から載置面を超えて出力軸の軸線方向に延出して形成、言い換えれば、保持片の基端部は台座の載置面高さ分だけ長く形成できる。このため、ギヤの軸方向に沿った台座の載置面と保持片の爪部との間隔が狭くても、弾性変形の支点からの保持片の長さを容易に確保して、保持片を比較的容易に弾性変形させることができる。
また、本発明に係るモータ装置では、ギヤに規制部が設けられる。この規制部はギヤにおける軸方向他方の面の側から爪部位置を超えて出力軸の軸線方向に延出している。このため、ギヤにおける軸方向他方の面の側から保持片の爪部にセンサマグネットが接近して爪部の斜面にセンサマグネットが当接した状態では、センサマグネットにおける径方向外方から規制部がセンサマグネットの周面に当接する。このように、台座上にセンサマグネットを取り付けるに際して、保持片の斜面との当接に先立ってセンサマグネット周面と規制部とが当接する。これによって径方向に沿ったセンサマグネットの変位が規制され、保持片の斜面との当接状態へ案内される。
さらに、この状態で、出力軸の軸線方向に沿ってセンサマグネットが台座に接近すると、爪部の斜面がセンサマグネットによって押圧される。すると、爪部の斜面はこのような力を受けて保持片がその基端部を支点に径方向外方へ台座から離間するように弾性変形される。このような保持片の弾性変形に伴って爪部がセンサマグネットの外側へ変位する。これによってセンサマグネットが台座に接近し、台座の載置面上にセンサマグネットが位置すると、保持片はその弾性復元力により爪部がセンサマグネットの載置面とは反対側の面に係合する。
このように、本発明に係るモータ装置では、保持片にセンサマグネットが保持される前の状態で、径方向に沿ったセンサマグネットの変位が規制部によって規制されて案内され、さらにセンサマグネットを押圧することで保持片の爪部がセンサマグネットに係合して台座の載置面上に容易に位置決め保持できる。
さらに、本発明に係るモータ装置では、センサマグネットの磁極位置に対して所定の位置関係であって規制部と対向する面及び規制部におけるセンサマグネットと対向する面の何れかの一方には係合凸部が形成され、何れかの他方にはこの係合凸部が嵌合可能な係合凹部が形成される。係合凹部に係合凸部が入り込んだ状態では、ギヤに対する回転方向へのセンサマグネットの変位が規制される。
このため、保持片の爪部に形成された斜面にセンサマグネットが接した状態で係合凹部に係合凸部が入り込むと、センサマグネットは径方向及び回転方向への変位、すなわち、ギヤの軸方向に対して直交する方向へのセンサマグネットの変位が規制される。このため、この状態から台座側へセンサマグネットを押圧すれば、センサマグネットは径方向及び回転方向へ特に変位することなく、センサマグネットを取り付けることができる。
【0018】
請求項
5に記載の本発明に係るモータ装置は、請求項3
又は請求項4に記載の本発明において、前記センサマグネットは、N極とS極が交互に着磁された2以上磁極を有し、該磁極の境界位置に前記係合凸部又は前記係合凹部を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項
5に記載の本発明に係るモータ装置では、センサマグネットに形成される係合凹部又は係合凸部が、磁極の境界位置に形成されるため、凹設又は凸設形状による磁束の変化を最小限に抑制することができる。これにより、磁気センサによって検出される検出値への実質的な影響を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<本実施の形態の構成>
図1には本発明の一実施形態に係るモータ装置としてのワイパモータ10の構成の概略が断面図により示されている。また、
図2には
図1における紙面手前側で
図1と平行に切ったワイパモータ10の一部断面図が示されている。
【0022】
図1に示されるように、ワイパモータ10はモータ12を備えている。このモータ12は磁性材料により形成されたモータハウジング14を備えている。モータハウジング14は
図1における左側へ向けて開口した有底筒形状に形成されている。モータハウジング14の内側にはロータ(回転子)としてのアーマチャ16が回転自在に収容されている。アーマチャ16はロータ軸としてのアーマチャ軸18を備えている。アーマチャ軸18は軸方向がモータハウジング14の開口方向及びその反対方向(
図1の左右方向)に沿っている。アーマチャ軸18の軸方向一端(
図1における右側の端部)に対向するようにモータハウジング14の底部には軸受部20が設けられている。
【0023】
軸受部20はモータハウジング14の底部中心に金属製のプレート22を備えている。プレート22は、中心軸線がアーマチャ軸18の中心軸線に略一致した円板形状とされている。また、アーマチャ軸18の軸方向一端部には、有底円筒状の凹部26が形成されており、この凹部26に収容された軸受球24がプレート22に点接触している。この軸受球24は、直径寸法がアーマチャ軸18の凹部26の内径寸法よりも僅かに小さい球形状とされている。また、アーマチャ軸18の一端部に設けられた凹部26の底部にも、プレート22と同様の金属製のプレートが収容固定されており、軸受球24が点接触している。これにより、アーマチャ軸18の軸方向一端においてスラスト力を受止めている。なお、両プレートと軸受球24との両点接触位置を結ぶ直線は、アーマチャ軸18の軸線と平行で極僅かにずれており、アーマチャ軸18の回転に対して軸受球24が自転しながら公転し、プレートの摩耗が抑制されている。
【0024】
また、モータハウジング14の軸受部20の内側には軸受23が固定されている。この軸受23は、例えば、多孔質の焼結金属や合成樹脂材等に潤滑油を含浸することにより形成された含油軸受とされており、この軸受23によってアーマチャ軸18の凹部26の外周部がその中心軸線周りに回転自在に支持されている。
【0025】
一方、モータハウジング14の内周面にはN極とS極とが交互に等角度間隔で2対の界磁用磁石28がアーマチャ16のアーマチャ本体30を介して互いに対向するように設けられており、アーマチャ本体30に施された巻線が形成する磁界と界磁用磁石28が形成する磁界との相互作用によってアーマチャ16がアーマチャ軸18の中心軸線周りに回転する。
【0026】
また、
図1に示されるように、アーマチャ軸18の他端側(
図1における左側)ではアーマチャ軸18にウォームギヤ32が転造等によって形成されている。このウォームギヤ32を含むアーマチャ軸18の他端側はモータハウジング14の側方に設けられたギヤハウジング42の内部に入り込んでいる。ギヤハウジング42はハウジング本体44を備えている。ハウジング本体44にはウォーム収容部46が形成されている。このウォーム収容部46はアーマチャ軸18の軸方向に対して直交した向き(
図1における上方)に開口しており、上述したアーマチャ軸18の他端側(
図1における左側)はウォーム収容部46に入り込んでいる。
【0027】
ウォーム収容部46に入り込んだアーマチャ軸18の他端部に対応してハウジング本体44には軸受部52が設けられている。軸受部52には嵌挿孔54が形成されている。嵌挿孔54はアーマチャ軸18における軸方向一端側へ向けて開口した孔とされている。嵌挿孔54の内にはプレート56が配置されている。プレート56は金属製で板状に形成されており、その板面は概ねアーマチャ軸18の軸線に直交しており、嵌挿孔54におけるアーマチャ軸18の軸方向一端側と他端側とを区画するよう閉止している。
【0028】
また、この嵌挿孔54におけるアーマチャ軸18の軸方向の他端側が樹脂充填部55とされ、組付け後に充填樹脂57が充填される。この充填樹脂の充填硬化によって、上記のプレート56が後述する軸受球58を介してアーマチャ軸18の軸方向他端を受止め、アーマチャ軸18がスラスト方向に支持される。嵌挿孔54の内側には後述する軸受球保持部材60を介して軸受球58が収容されている。軸受球58はプレート56に対してアーマチャ軸18側に配置されており、アーマチャ軸18の軸方向他端が軸受球58を介してプレート56に点接触可能に支持されている。
【0029】
さらに、嵌挿孔54には軸受球保持部材60が設けられている。軸受球保持部材60はアーマチャ軸18の軸方向に開口した筒状に形成されている。この軸受球保持部材60の外周形状は嵌挿孔54の内周形状に略等しく、嵌挿孔54の開口側から嵌挿孔54に圧入により嵌挿されている。軸受球保持部材60の内周形状は、アーマチャ軸18の軸線直交方向断面形状がアーマチャ軸18に対して略同軸の円形とされており、内径寸法は軸受球58の直径寸法より極僅かに大きく、軸受球58は軸受球保持部材60の内側に嵌め込まれた状態で軸受球保持部材60と共に嵌挿孔54に収容されている。
【0030】
軸受球保持部材60におけるアーマチャ軸18側には透孔62がアーマチャ軸18に対して同軸的に形成され、その内径寸法は軸受球58の直径寸法よりも小さくアーマチャ軸18の直径寸法と略等しい寸法とされ、軸受球保持部材60における透孔62側が軸受球58配置側に対してテーパ面で繋がった段付き形状となっている。そして、アーマチャ軸18の軸方向他端側、更に言えば、アーマチャ軸18においてウォームギヤ32よりも軸方向他端側の部分は透孔62を通過して軸受球保持部材60の内側に入り込んでおり、その先端(他端)は軸受球58に点接触している。これにより、アーマチャ軸18の軸方向他端側がスラスト方向及び径方向に回転自在に支持される。
【0031】
一方、
図2に示されるように、ハウジング本体44にはウォームホイール収容部72が形成されている。ウォームホイール収容部72は、ウォーム収容部46の側方に隣接しており、一部(後述するウォームホイール74とウォームギヤ32との噛合部に対応する部分)がウォーム収容部46に連通している。また、ウォームホイール収容部72はウォーム収容部46の開口方向と同じ向きに開口している。このウォームホイール収容部72の内側には、ギヤとしてのウォームホイール74が配置されている。
【0032】
ウォームホイール74は、金属製の出力軸80に合成樹脂材からなるギヤ部78が一体成形により固定されており、出力軸80は主にギヤ部78における軸方向一方の面(以下、ギヤ部78におけるこの向きの面を「一側面」と称し、ギヤ部78における「一側面」とは反対側の面を「他側面」と称する)側に突出している。そして、この出力軸80のギヤ部78に対する突出部分が、ハウジング本体44のウォームホイール収容部72(ハウジング本体44の底部)から外方に突出形成された出力軸支持部82によって回転自在に支持されている。また、ウォームホイール74は、ギヤ部78の一部がウォーム収容部46に入り込んでウォームギヤ32に噛み合っており、モータ12が作動してアーマチャ軸18が回転すると、この回転力がウォームギヤ32を介してウォームホイール74に伝わりウォームホイール74が回転する。
【0033】
さらに、ウォームホイール74の構成について詳述すると、
図2、
図3、及び
図4に示されるように、主に金属製の出力軸80と合成樹脂材からなるギヤ部78とを含めて構成されている。ギヤ部78は、出力軸80に固着された後述するボス部122と、ボス部122の外周部に連続して繋がり径方向外方に延出形成された円板状の円板部76と、円板部76の外周部から連続してリング状に形成されたギヤ歯部79とが一体に合成樹脂材を成形することによって形成されている。ギヤ歯部79は、軸方向寸法(厚さ寸法)が円板部76の軸方向寸法よりも大きく形成されており、円板部76はギヤ歯部79の軸方向中間部でギヤ歯部79と一体に繋がっている。
【0034】
このギヤ歯部79の外周部には上述したウォームギヤ32に噛合可能な外歯が形成されている。ここで、ギヤ歯部79の外周部に形成された外歯は、
図2及び
図4に示すように、断面形状が一方側が所謂片円弧状、より詳しくは、外歯の断面一方側(本例では出力軸80の突出側、つまり、ギヤ部78に対して後述する回路基板182側とは反対側)がウォームギヤ32との噛合い代を増加させるべく全歯たけが増加する円弧状に形成され、外歯の断面他方側(本例では出力軸80の突出側と反対側、つまり、ギヤ部78に対して回路基板182側)は全歯たけが一定となっている。言い換えれば、外歯の歯先円や歯元円の直径寸法はハウジング本体44の開口側へ向けて小さくなっている。
【0035】
また、
図2から
図4の各図に示されるように、このウォームホイール74を構成する出力軸80はギヤ部78に対して同軸の棒状に形成されており、ギヤ部78を成形する際にインサート成形によりギヤ部78に一体的に形成される。出力軸80は、
図2に示されるウォームホイール収容部72の底部に形成された出力軸支持部82の内側を通過してギヤハウジング42の外部へ突出している。この出力軸80の先端は、ワイパ装置を構成するワイパアームの基端部に直接または間接的に駆動連結される。
【0036】
このワイパアームの先端にはゴム材又はゴム材程度の弾性を有するエラストマー材により形成されたブレードラバーを含めて構成されたワイパブレードが連結されている。このワイパブレードのブレードラバーは車両における払拭面としてのウインドシールドガラスに圧接した状態でワイパアームの基端側が、ワイパモータ10を回転駆動することで往復回動され、ウインドシールドガラスの表面を払拭する。
【0037】
図2に示されるように、この出力軸80の先端から軸方向基端側へ所定距離離間した位置の外周部にはティースワッシャ98が締着されている。ティースワッシャ98はギヤハウジング42の外側からハウジング本体44の出力軸支持部82の端面に接しており、出力軸80、ひいては、出力軸80と一体のギヤ部78が出力軸80の軸方向他端側(すなわち、ハウジング本体44におけるウォームホイール収容部72の開口側で、
図2の上方)へ移動して抜け出ることを防止している。
【0038】
また、ウォームホイール74のギヤ部78、より詳しくはボス部122には、出力軸80に対するウォームホイール74の回転方向強度(出力軸80への固着強度)を高めるために、出力軸80のギヤ部形成部位に固着プレート100が軸方向に離間して圧入固定され、その後、この固着プレート100が出力軸80とともにインサート成形されてギヤ部78の形成によって埋設される。
【0039】
なお、固着プレート100の外周面には、凹凸形状が形成され、成形後のギヤ部78の出力軸80に対する固着強度がより一層高められている。
【0040】
一方、ウォームホイール74を構成する円板部76の中心部には、円板部76よりも小径のボス部122が円板部76に対して同軸的にかつ軸方向両側に突出して形成されている。また、このボス部122の半径方向外側には複数のリブ124がボス部122を中心に放射状に形成されている。さらに、ボス部122には、出力軸80と共に上述した固着プレート100が埋設されており、円板部76に対して一側面側に突出形成されている。また、ギヤ部78の他側面側(ギヤ部78に対する出力軸80の突出方向と反対側)、即ち、円板部76に対して他側面側に突出するボス部122には台座126が形成されている。台座126はボス部122よりも小径のリング状とされ、ボス部122の端面に対して同軸的に形成されている。そして、この台座126上に後述するセンサマグネット132が載置される載置面が出力軸80の軸線と直交して形成されている。
【0041】
なお、台座126はその形状がリング状ではなく、例えば、円板状であっても構わない。しかしながら、本実施の形態では台座126は中央に孔を有するリング状とされており、この孔の内底(ウォームホイール74の中心部)には、成形時の樹脂流れを考慮してウォームホイール74を成形する際のゲートが設定される。このため、ウォームホイール74を成形した際のゲート跡が突出形成されてしまっても、そのゲート跡が孔の内側に収容されて台座126の上面(すなわち、センサマグネット132が載置される載置面)までは影響が及ばない。このため、ゲート跡を除去するなどの後処理が不要になる。
【0042】
センサマグネット132は、磁性粉末と合成樹脂材等により構成されるバインダとを混合して成形して着磁することにより形成されており、
図5に示されるように、ボス部122よりも小径の略円板状に形成されている。このセンサマグネット132は、N極とS極の2極が着磁された2つの磁極を有している。また、センサマグネット132の外周一部には各々が係合凹部としての一対の三角溝134が形成されている。
【0043】
三角溝134は、センサマグネット132の平面視でセンサマグネット132の中央側へ向けて開口幅寸法が小さくなる三角形状に形成されており、一方の三角溝134に対して他方の三角溝134はセンサマグネット132の中央を介して反対側に形成されている。この一方の三角溝134と他方の三角溝134とを結ぶ仮想線を磁極の境界として、センサマグネット132の半径方向一方はセンサマグネット132の極性がN極とされ他方がS極となるようにセンサマグネット132が着磁されている。
【0044】
一方、上記の台座126の半径方向外側ではボス部122上に(ボス部122の中心と同心の円周上に)複数(本実施の形態では4つ)の保持片142が形成されている。これらの保持片142は脚片144を備えている。これらの脚片144は台座126の外周部よりも更に台座126の半径方向外方でボス部122から立設されている。本実施の形態において脚片144はボス部122の中心と同心の円周に沿って湾曲した板状に形成されており、ボス部122の中央から脚片144の内周面までの半径寸法はセンサマグネット132の外周部の半径寸法に略等しい。また、これらの脚片144は上記のようにボス部122の中央を曲率の中心として湾曲した構成であるが、その先端側がボス部122の半径方向外方へ弾性変形できるように脚片144の周方向寸法や厚さ寸法等が設定されている。
【0045】
これらの脚片144の先端には爪部146が形成されている。これらの爪部146は脚片144の先端からボス部122の半径方向内側へ突出しており、ボス部122の中心から爪部146におけるボス部122の半径方向内側の端部までの半径方向寸法はセンサマグネット132の外周部における半径寸法よりも小さい。また、爪部146のボス部122と対向する側の面(すなわち、センサマグネット132が固定保持された状態で、爪部146が軸方向にセンサマグネット132と係合する面)は係合面148とされている。
【0046】
係合面148はボス部122に対して略平行な平面とされており、ウォームホイール74の軸方向に沿ったボス部122と係合面148との間隔はセンサマグネット132の厚さ寸法に略等しく設定されている。このため、台座126上にセンサマグネット132を載置した状態では、係合面148がセンサマグネット132に係合して、台座126、すなわち、ウォームホイール74からセンサマグネット132が脱落することを保持片142の爪部146が防止している。
【0047】
また、爪部146における係合面148とは反対側の面は斜面150とされている。斜面150はウォームホイール74(出力軸80)の軸線方向に対して径方向内側に下り勾配面となるよう傾斜している。このため、爪部146はウォームホイール74の中心軸線側へ向けて漸次厚さ寸法(すなわち、爪部146におけるウォームホイール74の軸方向に沿った寸法)が小さくなるようなテーパ状に形成されている。
【0048】
斜面150に対してウォームホイール74の他側面側、すなわち、ハウジング本体44の開口側からの荷重が付与されると、保持片142は脚片144において弾性変形が生じ、爪部146がウォームホイール74の中心軸線からその半径方向外方へ変位する。したがって、センサマグネット132の一端面(すなわち、台座126と対向する側の面)を斜面150に当接させた状態でセンサマグネット132を台座126に接近させるように押圧すると、上記のように保持片142の脚片144が基端部を支点として弾性変形し、台座126と爪部146の係合面148との間にセンサマグネット132を配置できる。
【0049】
また、台座126の半径方向外方ではボス部122上に規制部としての一対の仮保持片162が形成されている。これらの仮保持片162はウォームホイール74の中心軸線(出力軸80の中心軸線)を中心とする円周上に湾曲した板状に形成されている。また、本実施の形態において一方の仮保持片162に対して他方の仮保持片162がウォームホイール74の中心軸線を中心に点対称となるよう対向するように形成されており、ウォームホイール74の中心軸線から仮保持片162の内周面までの間隔はセンサマグネット132の半径寸法に略等しく設定されている。このため、上述したセンサマグネット132を一方の仮保持片162と他方の仮保持片162との間に配置すると、センサマグネット132がウォームホイール74(出力軸80)に対して略同軸的に配置される。
【0050】
これらの仮保持片162の内周面における周方向中央には係合凸部としての三角突起164がウォームホイール74の中心軸線側へ向けて突出形成されている。これらの三角突起164は平面視でウォームホイール74の中心軸線側へ向けて漸次幅寸法が小さくなり、しかも、上述したセンサマグネット132の三角溝134の形状に略等しい三角形状に形成されている。このため、センサマグネット132を一方の仮保持片162と他方の仮保持片162との間に配置した状態で一方の三角突起164を一方の三角溝134に入り込ませると、他方の三角突起164を他方の三角溝134に入り込む。これにより、ウォームホイール74の中心軸線周りのセンサマグネット132の回転が規制され、ウォームホイール74の中心軸線周りのセンサマグネット132の位置決め、すなわち、センサマグネット132の磁極位置に対して所定の位置関係でウォームホイール74に固定できる。
【0051】
また、これらの仮保持片162は上述した保持片142の先端、より具体的には爪部146よりも更にウォームホイール74(出力軸80)の軸方向他側面側に延出形成されている。このため、
図3及び
図4に示されるように、センサマグネット132の一端面(台座126と対向する側の面)が保持片142の斜面150に接した状態では両方の仮保持片162の間にセンサマグネット132を配置することができる。これにより、センサマグネット132は斜面150に至るまで仮保持片162によって回転方向の位置決めがなされた状態のまま案内される。さらに、本実施の形態では、仮保持片162は保持片142の脚片144と同様に台座126の外周部よりも更に台座126の半径方向外方でボス部122から台座126の載置面を超えてウォームホイール74(出力軸80)の軸方向他側面側に向けて立設されている。但し、保持片142とは異なり、仮保持片162は台座126の外周部から離間していなくてもよい。
【0052】
一方、
図2に示されるように、ウォームホイール74に対して軸方向他方側のギヤハウジング42内には、回路基板182が配置されている。この回路基板182にはプリント配線等の配線が形成されていると共に検出回路を構成する磁気センサ184がウォームホイール74の軸方向にセンサマグネット132と対向するように非接触で配置されている。この磁気センサ184は、対向するセンサマグネット132のN極からS極への磁束の向きや大きさ(強さ)磁束密度等に応じて電気抵抗値が変化し、これにより、磁気センサ184の出力が変化する。
【0053】
この磁気センサ184の出力の変化に基づいてECU等の制御手段がセンサマグネット132の回転位置、すなわち、出力軸80の回転位置、ひいてはワイパアームの回動位置を検出する。この磁気センサ184での検出結果に基づき上記の制御手段がウインドシールドガラスにおけるワイパブレードの払拭範囲の折り返し位置(反転位置)に到達したと判断すると、制御手段がモータ12に流すモータ駆動電流の向きを反転させて、モータ12を反転駆動させる。
【0054】
この回路基板182のウォームホイール74とは反対側からはハウジング本体44と共にギヤハウジング42を構成するハウジングカバー192が設けられ、ウォームギヤ32やウォームホイール74、回路基板182がハウジング本体44の開口側からハウジングカバー192に覆われると共に、ハウジング本体44が閉塞される。
【0055】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本ワイパモータ10の組立方法の概略の説明を通して本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0056】
本ワイパモータ10は、先ず、ギヤ取付工程でハウジング本体44におけるウォームホイール収容部72の開口側からウォームホイール74がウォームホイール収容部72内に配置されて出力軸80が出力軸支持部82に挿通される。但し、ウォームホイール74がウォームホイール収容部72内に配置される際には、まだウォームホイール74にセンサマグネット132が装着されていない。
【0057】
この状態でウォームホイール74の出力軸80にティースワッシャ98がギヤハウジング42の外側から出力軸支持部82の端面に接するように締着される。これにより、ウォームホイール74がその軸方向一方側(ハウジング本体44の開口側)へ移動する(抜け出る)ことが規制されるとともに、ティースワッシャ98の軸方向の弾力によってウォームホイール74が出力軸80の突出方向側(ウォームホイール74の一側面側)に付勢力が付与されるように出力軸80を常に付勢している。
【0058】
次いで、モータ取付工程でモータハウジング14にアーマチャ16が組付けられる。すなわち、ウォームホイール74がウォームホイール収容部72内に組付けられた状態でアーマチャ軸18がハウジング本体44に挿し込まれてウォーム収容部46にウォームギヤ32が収容され、モータハウジング14がギヤハウジング42のハウジング本体44に取り付けられる。この状態では、アーマチャ16のアーマチャ軸18の軸方向一端はモータハウジング14の軸受部20に支持されて、アーマチャ軸18の軸方向他端(ウォームギヤ32よりも先端側)はハウジング本体44の軸受部52に支持される。
【0059】
ここで、上述したように、ウォームホイール74のギヤ部78のギヤ歯部79は、外歯の断面形状の軸方向一方側(本例では出力軸80の突出側、つまり、ギヤ部78に対して回路基板182側とは反対側)が所謂片円弧状となっており、外歯の断面他方側(本例では出力軸80の突出側と反対側、つまり、ギヤ部78に対して回路基板182側)は全歯たけが一定となっている。このため、ウォームホイール74のギヤ歯部79の外歯は、ウォームホイール74が回路基板182側に移動しようとすると、ギヤ歯部79の外歯の上記片円弧形状がウォームギヤ32との噛合いを増すため、その移動が規制される。
【0060】
このように、ウォームホイール74の軸方向移動がウォームギヤ32との噛合いによっても規制されているので、ワイパモータ10の作動状態でウォームホイール74が軸方向移動しても、センサマグネット132と回路基板182、より詳しくは、回路基板182上に対向して配置された磁気センサ184との干渉が防止される。
【0061】
次に、ウォームホイール74がハウジング本体44に組み付けられた状態で、マグネット組付工程でウォームホイール74にセンサマグネット132が装着される。センサマグネット132は、ウォームホイール74の他側面側からウォームホイール74に接近されて、先ず、両仮保持片162の間に配置される。この両仮保持片162の間に配置される際に、センサマグネット132は、仮保持片162の三角突起164と、センサマグネット132の三角溝134とが対応するようにセンサマグネット132がその中心軸線周りに適宜に位置調整される。
【0062】
上記のように、本ワイパモータ10では、仮保持片162が保持片142の斜面150よりもウォームホイール74の軸方向他側面側へ延びている。このため、
図6に示されるように、保持片142の斜面150上にセンサマグネット132を載置した状態に至るまでの間、仮保持片162の三角突起164をセンサマグネット132の三角溝134に入り込ませつつ両仮保持片162の間にセンサマグネット132が配置され、センサマグネット132の姿勢と位置が保持されて案内される。
【0063】
すなわち、センサマグネット132が保持片142の斜面150上に当接する状態に至るまでの間は、センサマグネット132のウォームホイール74に対する回転が、三角突起164と三角溝134との係合により規制される。また、この状態では、センサマグネット132のウォームホイール74に対する半径方向への変位も規制される。
【0064】
このように、本ワイパモータ10では、保持片142によってセンサマグネット132が台座126の載置面上に保持固定させる前に、センサマグネット132の姿勢と位置が予め保持されて案内されるため、容易にセンサマグネット132におけるウォームホイール74の半径方向及び周方向の位置決めをすることができる。
【0065】
このように、両仮保持片162によって位置決めが成されたセンサマグネット132を、ウォームホイール74の軸方向に沿ってさらに台座126側へ押圧すると、その荷重が保持片142の斜面150に付与され、保持片142の爪部146はウォームホイール74の半径方向外側へ変位しようとし、保持片142はその基端部、つまり脚片144の基端部を支点として弾性変形する。
【0066】
ここで、保持片142の脚片144の基端部は、ウォームホイール74の他側面側の円板部76から台座126におけるセンサマグネット132の載置面を超えて延出形成され、その先端部には爪部146が形成されている。このため、例えば、保持片142の基端部の弾性変形支点位置が台座126におけるセンサマグネット132の載置面と同じ位置に設定される場合に比べると、保持片142(脚片144)における基端部(弾性変形支点位置)から先端部までの長さが、ウォームホイール74の他側面側への突出量を抑えつつもより長く確保できる。
【0067】
このため、上記のようにセンサマグネット132を固定保持する保持片142の許容弾性変形量(ウォームホイール74の中心軸線からの離間方向への弾性変形量)を大きく確保できる。言い換えれば、保持片142(脚片144)の弾性変形支点位置周りの回動角度を小さくして小さな組付け力でも装着することができる。これにより、熱溶着や接着剤等による固着を施さなくても、保持片142のウォームホイール74他側面側への突出量を抑えつつ、ウォームホイール74に対してセンサマグネット132を容易に台座上に保持固定できる。
【0068】
以上のようにして、ギヤハウジング42のハウジング本体44にモータ12やウォームホイール74が取り付けられた状態で、回路組付工程で回路基板182がハウジング本体44に取り付けられる。すなわち、磁気センサ184が固定配置された回路基板182が、ハウジング本体44の開口側からウォームホイール74の軸方向に沿って磁気センサ184とセンサマグネット132とが対向するようにハウジング本体44に取り付けられる。そして更に、ハウジング本体44におけるウォーム収容部46やウォームホイール収容部72の開口側からハウジングカバー192がハウジング本体44に装着される。
【0069】
本ワイパモータ10では、上記のように保持片142だけでウォームホイール74にセンサマグネット132を固定でき、ウォームホイール74にセンサマグネット132を固定するに際して熱かしめ等の加熱が不要である。このため、ウォームホイール74にセンサマグネット132を装着するにあたり減磁などのセンサマグネット132の磁気特性が変化したり、センサマグネット132を形成するバインダなどが変質又は変形したりすることがない。
【0070】
また、ハウジング本体44へのウォームホイール74の組付けにおいて、ティースワッシャ98が出力軸80に挿通されて締着されるが、このとき出力軸80の突出側と反対側、すなわち、センサマグネット132配置側で締着時の力を受止める必要がある。しかし、ウォームホイール74の出力軸80の突出側と反対側には、出力軸と同軸的にセンサマグネット132が固定されることから、ウォームホイール74に対するセンサマグネット132の保持固定は、ハウジング本体44に対するウォームホイール74の組付けの後に行われる。これにより、ティースワッシャ98の挿通締着時にセンサマグネット132に荷重が付与されることがない。これにより、センサマグネット132の欠けや割れ、変形等が防止される。
【0071】
なお、本実施の形態では、本発明をワイパモータ10に適用した構成であったが、本発明がワイパモータ10に限定されるものではなく、ウォームホイール74等のギヤに設けられたセンサマグネット132と、ギヤの回転に伴う磁束の変化(磁束の向きや大きさ、磁束密度等の変化)を検出する磁気センサ184とを有し、この磁気センサ184での検出結果に基づいてモータ等を制御する構成のモータ装置であればよい。
【0072】
したがって、例えば、車両のドアガラスをモータの駆動力で昇降させるためのパワーウインドウ装置に本発明を適用してもよい。また、車両のルーフ部分に形成された開口を閉止する天窓をモータの駆動力で移動させて開口を開閉させるサンルーフ装置やムーンルーフ装置に本発明を適用してもよい。さらには、車両のシートをモータの駆動力で車両前後方向に移動させるためのシートスライド装置や、シートのシートバックをモータの駆動力で傾動させるリクライニング装置等に本発明を適用してもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、センサマグネット132として強磁性粉末と合成樹脂材等により構成されるバインダとを混合して成形する所謂「ボンド磁石」を適用した。しかしながら、本発明におけるセンサマグネット132がこのような構成に限定されるものではなく、磁性材料を焼結して形成したセンサマグネットであってもよい。
【0074】
さらに、本実施の形態では、磁気センサ184に磁気抵抗素子を用いたが、磁気センサがこのような構成に限定されるものではなく、例えば、ホール素子を用いた磁気センサであってもよい。