特許第5989462号(P5989462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989462
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20160825BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20160825BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160825BHJP
【FI】
   F21S8/04 310
   F21V33/00 450
   F21Y115:10
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-190575(P2012-190575)
(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公開番号】特開2014-49263(P2014-49263A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100084261
【弁理士】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰幸
(72)【発明者】
【氏名】小平 恭宏
(72)【発明者】
【氏名】神永 曜命
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−044429(JP,A)
【文献】 特開2012−017090(JP,A)
【文献】 特開2003−092007(JP,A)
【文献】 実開昭62−123691(JP,U)
【文献】 特開2006−236713(JP,A)
【文献】 特開2012−064582(JP,A)
【文献】 特開2013−091472(JP,A)
【文献】 特開2011−148406(JP,A)
【文献】 特開平04−126640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21V 33/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井側に取り付けられて下方に向かい内側が開口するケーシングを備え、該ケーシングに組み付けられた光源からの直接光がケーシングの内側で反射され、該反射された間接光によりケーシングの外側を少なくとも間接的に照らす照明装置において、
前記ケーシングは、長尺に延びる同一断面の形状であって、その長手方向に延びる中央部より両側に拡がり互いに平行に延びる両側部は、それぞれ徐々に下向きに湾曲した円弧形断面に形成されて、該円弧形断面の内側が反射面となり、該ケーシングの内側の所定箇所より、下方に向かって一体に延出して、前記光源が所定の配光向きに組み付けられると共に、該光源からの直接光のうち下方に向かう照射範囲の一部を遮る延出部を備え、
前記延出部は、前記ケーシングの長手方向に延びる同一断面の形状であって、前記中央部から一対の側壁リブが左右対称に下方に向かい鉛直より上向きの角度で互いに離隔するように垂下し、それぞれの下端に上向きに湾曲した円弧断面の底壁リブが連結してなり、前記光源を組み付ける部位の他に、各種情報を表示可能な表示装置を取り付けるための取付空間を有し、
前記一対の底壁リブの下面側に沿って、各底壁リブの互いに対向した端縁間の隙間を塞ぐ状態で前記表示装置を展開するように取り付け、
前記一対の側壁リブの外面に沿って、前記光源を長手方向に並べて組み付けることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記延出部の取付空間には、前記表示装置に加えて、香りを放出する芳香器も取り付けることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井側に取り付けられるケーシングを備え、該ケーシングに組み付けられた光源からの直接光がケーシングの内側で反射され、該反射された間接光によりケーシングの外側を少なくとも間接的に照らす照明装置に関し、特に鉄道車両等の乗物の客室内における照明に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両等の乗物の客室内に用いる照明装置としては、蛍光管やLED等の光源の直接光により客室内を照らす直接照明方式と、間接光により客室内を照らす間接照明方式とがある。本件出願人も、特許文献1に示すように、溶融滴下を防止することで安全性に優れた間接照明方式の照明装置を既に提案している。また、これに関連して配光制御を工夫した別の照明装置も、未だ出願公開前であるが特願2011−236241号として既に出願している。
【0003】
ところで、鉄道車両の客室内には、前述の照明装置とは別に表示装置が設けられていることが多い。このような表示装置として例えば特許文献2には、列車の走行距離に応じ列車の現在位置を表す標識を表示する情報表示装置が開示されている。このような表示装置は、各種情報を表示可能なように大型化される傾向があり、例えば車内のドアの上部に設置されていた。
【0004】
前記表示装置は、前述の照明装置とは全く関係なく客室内に設けられるものであり、また、照明装置も、本来の目的である照明だけに用をなすものであった。すなわち、従来一般の照明装置、特に直接照明方式のものでは、これを表示装置と兼用させて活用するような発想は全くなく、また、表示装置を取り付けるようなスペース的な余裕もなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−017090号公報
【特許文献2】特開平10−287243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に開示された照明装置や、特願2011−236241号として出願された照明装置では、従来一般の照明装置とは異なり、光源を組み込むケーシングの内側には光源からの直接光を遮るための構造(受け部)があり、この構造も含めてケーシングの内側にスペース的な余裕があった。そのため、ケーシングの内側における空きスペースの有効活用が望まれていた。
【0007】
また、表示装置に関しては、前述した特許文献2に開示された構成のように、特別な配設スペースが必要となるため、照明装置が設けられている箇所には設置することができないという取り付け上の制約があった。よって、照明装置がなく比較的スペース的にも余裕があるドア上部に設置されていたため、表示装置により提供される情報を享受できるのは、ドア付近の乗客に限られるという問題もあった。
【0008】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、照明装置におけるケーシングの内側に生じた空きスペースを、表示装置の取り付け箇所として有効に活用することができ、また、表示装置を客室内のどの位置にいる乗客からも容易に視認できるようにし、さらに、照明装置に表示装置という付加価値を加えることにより、商品価値を高めることができると共に新たな情報提供も可能となる照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]天井側に取り付けられて下方に向かい内側が開口するケーシング(11)を備え、該ケーシング(11)に組み付けられた光源(20)からの直接光がケーシング(11)の内側で反射され、該反射された間接光によりケーシング(11)の外側を少なくとも間接的に照らす照明装置(10B)において、
前記ケーシング(11)は、長尺に延びる同一断面の形状であって、その長手方向に延びる中央部(12)より両側に拡がり互いに平行に延びる両側部(13,13)は、それぞれ徐々に下向きに湾曲した円弧形断面に形成されて、該円弧形断面の内側が反射面(13a)となり、該ケーシング(11)の内側の所定箇所より、下方に向かって一体に延出して、前記光源(20)が所定の配光向きに組み付けられると共に、該光源(20)からの直接光のうち下方に向かう照射範囲の一部を遮る延出部(14)を備え、
前記延出部(14)は、前記ケーシング(11)の長手方向に延びる同一断面の形状であって、前記中央部(12)から一対の側壁リブ(15)が左右対称に下方に向かい鉛直より上向きの角度で互いに離隔するように垂下し、それぞれの下端に上向きに湾曲した円弧断面の底壁リブ(16)が連結してなり、前記光源(20)を組み付ける部位の他に、各種情報を表示可能な表示装置(40)を取り付けるための取付空間(17)を有し、
前記一対の底壁リブ(16)の下面側に沿って、各底壁リブ(16)の互いに対向した端縁間の隙間を塞ぐ状態で前記表示装置(40)を展開するように取り付け、
前記一対の側壁リブ(15)の外面に沿って、前記光源(20)を長手方向に並べて組み付けることを特徴とする照明装置(10B)。
【0014】
]前記延出部(14)の取付空間(17)には、前記表示装置(40)に加えて、香りを放出する芳香器も取り付けることを特徴とする[1]に記載の照明装置(10B)。
【0015】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載の照明装置(10B)によれば、天井側に取り付けたケーシング(11)は下方に向かい内側が開口する。このケーシング(11)に光源(20)が組み付けられており、光源(20)からの直接光はケーシング(11)の内側で反射され、この反射された間接光によりケーシング(11)の下方を間接的に照らす。これにより、光源(20)からのグレアを低減することができ、間接照明としての演出効果を高めることができる。
【0016】
ケーシング(11)の内側では、所定箇所より延出部(14)が下方に向かって一体に延出しており、この延出部(14)に光源(20)は所定の配光向きに組み付けられる。そして、光源(20)からの直接光のうち、ケーシング(11)の開口より下方に向かう照射範囲の一部は、延出部(14)によって遮られる。このため、光源(20)からの直接光が天井の下方に向かって直接照射されることはない。ここで延出部(14)や反射面(13a)となるケーシング(11)の内側の形状を工夫することにより、主に間接光の照射に関して目的や用途に応じた様々な配光制御が可能となる。
【0017】
しかも、前記延出部(14)は、単に光源(20)を組み付けるための部位や、直接光(ないし間接光)を遮るための配光制御の部位であるだけでなく、各種情報を表示可能な表示装置(40)を取り付けるための取付空間(17)を有している。これにより、ケーシング(11)の内側における延出部(14)の取付空間(17)を、予め確保された空きスペースとして、表示装置(30,40)を取り付けるための用途に有効活用することができる。
【0025】
また、前記延出部(14)を構成する一対の底壁リブ(16)の下面側に沿って、各底壁リブ(16)の互いに対向した端縁間の隙間を塞ぐ状態で表示装置(40)を展開するように取り付けてあるので、表示装置(40)は、各底壁リブ(16)の湾曲した外表面に沿って曲がるように可撓性を有する有機EL等で構成すると良い。
【0026】
さらに、前記[]に記載したように、前記ケーシング(11)の延出部(14)に取り付ける付属品として、前記表示装置(40)に加えて、香りを放出する芳香器を取り付けるようにしても良い。これにより、客室内(2)に不快な臭気がこもることを防止したり、乗客に対して癒しの効果を付加したりすることもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る照明装置によれば、ケーシングの内側に生じた空きスペースを、表示装置の取り付け箇所として有効に活用することができ、また、表示装置を客室内のどの位置にいる乗客からも容易に視認できるようにし、さらに、照明装置に表示装置という付加価値を加えることにより、商品価値を高めることができると共に新たな情報提供も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施の形態に係る照明装置の一端部を拡大して示す端面図である。
図2】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を示す底面図である。
図4】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を示す平面図である。
図5】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を示す正面図である。
図6】本発明の第1実施の形態に係る照明装置の直接光および間接光の照射範囲を模式的に示す端面図である。
図7】本発明の第1実施の形態に係る照明装置を鉄道車両の客室内の天井部に取り付けた状態を概略的に示す断面図である。
図8】本発明の第2実施の形態に係る照明装置の一端部を拡大して示す端面図である。
図9】本発明の第2実施の形態に係る照明装置を示す斜視図である。
図10】本発明の第2実施の形態に係る照明装置を示す正面図である。
図11】本発明の第2実施の形態に係る照明装置を示す背面図である。
図12】本発明の第2実施の形態に係る照明装置を示す平面図である。
図13】本発明の第2実施の形態に係る照明装置を示す底面図である。
図14】本発明の第3実施の形態に係る照明装置の一端部を拡大して示す端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1図7は、本発明の第1実施の形態を示している。
図1に示すように、照明装置10は、天井側に取り付けられて下方に向かい内側が開口するケーシング11を備え、該ケーシング11に組み付けられた光源20からの直接光がケーシング11の内側で反射され、該反射された間接光によりケーシング11の下方を間接的に照らすものである。かかる照明装置10は、乗物の客室内2における天井部3に配置されるものであり、以下、鉄道車両1に適用した例について説明する。
【0030】
図7に示すように、照明装置10は、鉄道車両1の客室内2の天井部3に設置されるものであり、天井部3に沿って前後方向に延びるように設置される。照明装置10は、長手方向に延びる複数のユニットが一列となるように順次繋がれている。ユニットの主要部をなすケーシング11は、その開口側を下方に向けた状態で天井部3に設置されている。天井部3には、前後方向に延びる中心線を対称軸として、左右対称に並ぶ一対の凹溝3a,3aが形成されており、それぞれの凹溝3aにケーシング11は埋設される。
【0031】
図1図5に示すように、ケーシング11の内側の所定箇所である中央部12に沿って、下方に向かって一体に延出する延出部14が形成されている。この延出部14は、光源20が所定の配光向きに組み付けられると共に、該光源20からの直接光のうち下方に向かう照射範囲の一部を遮る部位である。このようなケーシング11は、アルミニウム等の金属や不燃性の樹脂等により容易に押出し成形することができる形状となっている。
【0032】
詳しく言えばケーシング11は、長尺に延びる同一断面の形状であって、その長手方向に延びる中央部12より両側に拡がり互いに平行に延びる両側部13,13は、それぞれ徐々に下向きに湾曲した円弧形断面に形成されて、該円弧形断面の内側が反射面13aとなっている。このようにケーシング11は、その断面形状において左右一対となる反射面13aを内側に備えている。各反射面13aは、光反射効率が高くなる表面処理が施されている。具体的には例えば、白色塗料を塗布したり、あるいは鏡面加工しても良い。
【0033】
ケーシング11の中央部12より垂下した延出部14は、ケーシング11の長手方向に延びる同一断面の形状であり、ケーシング11と一体的に成形されている。かかる延出部14は、後述する光源20を組み付ける部位の他に、各種情報を表示可能な表示装置30を取り付けるための取付空間17を有している。詳しく言えば延出部14は、前記中央部12から一対の側壁リブ15,15が左右対称に下方に向かい鉛直より上向きの角度で互いに離隔するように垂下し、それぞれの下端に上向きに湾曲した円弧断面の底壁リブ16,16が連結してなる。
【0034】
前記延出部14のうち一対の底壁リブ16,16の互いに対向した端縁間の隙間が、前記取付空間17の開口溝17aとなり、一対の側壁リブ15,15および一対の底壁リブ16,16で囲まれた内側が、前記取付空間17の内部空隙17bとなっている。このように延出部14の取付空間17は、下方を向く開口溝17aと、該開口溝17aの内側に拡がる内部空隙17bを備え、表示装置30を、内部空隙17bに収納した状態に取り付けると共に、表示装置30の画面32を、開口溝17aより下方に露出させることができる。なお、表示装置30については後述する。
【0035】
また、ケーシング11の両側部13,13の下端縁と、延出部14の両底壁リブ16,16の上端縁とは、その間より次述する光源20からの直接光を側方に照射できる位置関係に配置されている(図6参照)。ここでケーシング11の中央部12と延出部14の底壁リブ16との間は、光源20の収納空間となっており、一対の側壁リブ15,15の外面に沿って光源20が長手方向に並ぶように組み付けられている。なお、光源20の種類は特に限定されないが、LEDであることが好ましい。LEDは小型であること、低消費電力であること、それに長寿命であるという利点を有する。
【0036】
本実施の形態における光源20は、細幅状に延びる基板21上に表面実装型のLEDチップ22を等間隔に複数配列させて固定したものである。ここでLEDチップ22は、一般的であるので詳細な説明は省略するが、基板21に対して直交する光軸を中心に所定角度の放射範囲で光を出射するタイプが用いられる。LEDチップ22の発光色は任意に選択できる。基板21はその一面が実装面であり、該実装面上にLEDチップ22が電気的に接続される配線回路が形成されている。なお、基板21の実装面上には、LEDチップ22を覆うように蛍光体層を積層させても良い。
【0037】
図1に示すように、光源20の基板21は、前記各側壁リブ15の外面に沿って、それぞれ上向きの角度で側方を向く状態に組み付けられている。詳しく言えば、各側壁リブ15の上端が連なる中央部12の両脇と、各側壁リブ15の下端が連なる各底壁リブ16の内側には、上下に対向する一対のレール溝18a,18aが設けられており、各レール溝18aの間に、基板21の両側端縁がそれぞれ摺動可能に嵌合している。
【0038】
また、前記光源20の前方には保護カバー23が装着されている。この保護カバー23は、前記基板21と同じく細幅状に延びる同形状の平板状に形成されている。保護カバー23の材質は、アクリル樹脂やPC樹脂等の光透過性材料であれば特に限定されないが、加工の容易性等の理由からガラスではなく合成樹脂であることが好ましい。なお、保護カバー23は無色透明の他、有色透明であっても良く、また、保護カバー23に光拡散剤を含有させて、保護カバー23内で積極的に光を拡散させても良い。
【0039】
図1に示すように、保護カバー23は、ケーシング11の中央部12と各底壁リブ16の内側との間に沿って、それぞれ光源20の基板21を外側から囲む状態に装着されている。詳しく言えば、前記中央部12の両端下方と、各底壁リブ16の上端縁寄りの箇所に、上下に対向する一対のレール溝18b,18bが設けられており、各レール溝18bの間に、保護カバー23の両側端縁がそれぞれ摺動可能に嵌合している。ここで保護カバー23は、各底壁リブ16の上端縁より内側に位置している。
【0040】
このように、延出部14の底壁リブ16は、保護カバー23の全域に対して鉛直方向に重なる位置まで少なくとも延出しており、保護カバー23が万一破損した際に、その破片(溶融物も含む)を受け入れる形状に形成されている。ここで保護カバー23は、水平面に対する垂直面をなすことから、下方から乗客の荷物等が直接的には当たりにくい構造となっており、また、万一何らかの衝撃が加わり破損した場合には、その破片は内側に向かうことになり、底壁リブ16上に受け止められる。
【0041】
本実施の形態における取付空間17には、表示装置30が別途取り付けられている。ここで表示装置30は、細長く延びた立方体形のケース31の片面側に画面32を設けたものである。画面32は、例えば発光ダイオードを平面状に密に配設したり、あるいは液晶ディスプレイや有機EL装置により構成する。ケース31の内部には、電力供給用の電源基板、表示制御用の信号の送受部やコネクタ、それに制御回路等が収納される。画面32に表示する各種情報は、前記制御回路によって表示制御されるが、外部からの表示制御指令に基づき、各種情報を表示制御するようにしても良い。
【0042】
各種情報としては、例えば、電車の行き先案内や現在地点案内等の運行案内の他、動画コンテンツ、公衆無線網から受信するニュースや天気予報等と、様々なものが含まれる。ここで運行案内は、客室内2のドア上等に別途設けられている行き先表示装置に表示する情報をそのまま伝送して表示しても良い。また、観光列車等では表示装置30の画面32をイルミネーションのように発光表示することも考えられる。
【0043】
表示装置30は、図1に示すように、延出部14にある取付空間17の内部空隙17bに収納した状態に取り付けられており、その画面32は、取付空間17の開口溝17aより下方に露出する下向きの状態に配されている。図1に示すように、延出部14の各側壁リブ15の下端が連なる各底壁リブ16の内側には、左右に対向する一対のレール溝18c,18cが設けられている。
【0044】
各レール溝18cの間に、表示装置30の両側部を摺動可能に嵌合させることで、表示装置30は取付空間17に収納される。なお、表示装置30は、照明装置10の全長に亘る長さである必要はなく、適当な長さに分断した複数の表示装置30を連なるように並べたり、あるいは図示したように照明装置10の全長に亘る長さの1つの表示装置30を用いても良い。
【0045】
以上のような照明装置10では、図6に示すように、光源20から左右2方向へ照射された直接光は、それぞれ光源20が対向する側にあるケーシング11の側部13の反射面13aにより反射され、下方の客室内2に向かうように設定されている。ただし、各反射面13aにより反射された間接光の一部は、延出部14によって光源20からの直接光と共に下方への照射が遮られる。
【0046】
また、光源20からの直接光のうち、ケーシング11の両側部13の下端縁と、延出部14の底壁リブ16の上端縁との間から側方に向かう直接光は、客室内2の天井部3と側壁面部4の境界付近に到達するように設定されている。天井部3と側壁面部4の境界に沿って額面広告6が展開されており、ケーシング11の隙間より側方に出射された直接光は、額面広告6の全面に到達する。
【0047】
次に、第1実施の形態に係る照明装置10の作用について説明する。
図7に示すように、本照明装置10は、鉄道車両1の客室内2の天井部3に、ケーシング11をその開口側を下方に向けて凹溝3a内に埋設する。照明装置10は、ケーシング11の中央部12の上端面において、取付金具やネジ等の固定手段を介して凹溝3aに取り付けられる。ここで、照明装置10のユニットをなすケーシング11を複数繋げることにより、所望の長さまで適宜延ばすことができる。
【0048】
本実施の形態では、ケーシング11の両側部13の下端縁が天井部3の基準面と同じ高さ位置となるため、照明装置10と天井部3の一体感が高まる。また、天井部3の中心線を対称軸として、左右対称に並ぶように一対の照明装置10を設置するから、客室内2を左右両側からバランス良く広範囲に照らすことができる。なお、左右の照明装置10は、それぞれ個別に点灯制御できるようにしても良い。
【0049】
しかも、本照明装置10では、光源20にLEDチップ22を用いたことにより、所望の明るさを低い電力消費で得られる。また、蛍光灯等に比べて装置全体を小型化することができ、乗客に対しての圧迫感が少なく、客室内2に合わせて形状も自由にデザインすることが可能となる。また、ユニットの主要部をなすケーシング11は、アルミニウム等の金属により容易に押出し成形することができる形状であり、製造コストも低減することができる。
【0050】
図6に示すように、光源20は主に側方に光を出射する配光向きでケーシング11の延出部14に組み付けられている。光源20からの直接光のうち水平面より上向きの光は、ケーシング11の両側部13,13の内側にある反射面13aによって下方へ反射される。この反射した間接光によって客室内2は照らされる。また、光源20からの直接光のうち、ケーシング11の開口より下方に向かう照射範囲の一部は、延出部14によって遮られる。
【0051】
これにより、光源20からの直接光が客室内2(特に座席5のある領域)に届くことはなく、前述したように客室内2は反射面13aにより反射拡散された間接光によって照らされる。従って、客室内2における眩しさを低減して全体的に柔らかく照らすことができ、落ち着いた雰囲気が醸し出される。ここで延出部14や反射面13aの形状を工夫することにより、客室内2での目的や用途に応じた様々な配光制御も可能となる。具体的な配光制御としては、客室内2を均一に照射したり、客室内2の通路や座席5等の特定部位を明るくしたりすること等が考えられる。
【0052】
しかも、前記延出部14は、単に光源20を組み付けるための部位や、直接光ないし間接光を遮るための配光制御の部位であるだけでなく、各種情報を表示可能な表示装置30を取り付けるための取付空間17を有している。この取付空間17を、予め確保された空きスペースとして、表示装置30を取り付けるための用途に有効活用することができる。特に、本実施の形態に係るケーシング11では、光源20の配光向きの設計上、光源20を取り付ける一対の側壁リブ15,15の間にデッドスペースが必然的に生じるため、このデッドスペースを、そのまま表示装置30の取付空間17として生かすことができる。
【0053】
図1に示すように、前記取付空間17は、下方を向く開口溝17aと、該開口溝17aの内側に拡がる内部空隙17bを備える。これにより、表示装置30の全体を内部空隙17bに収納した状態に取り付けると共に、表示装置30の画面32だけを開口溝17aより下方に露出させることができる。よって、照明装置10を表示装置30としても活用することができる。特に照明装置10は、客室内2の天井部3に沿って前後方向に延びるように設置されているため、表示装置30は客室内2のどの位置にいる乗客からも容易に視認することが可能となる。
【0054】
また、照明装置10において、側壁面部4を向く側にある光源20から側方に出射された光は、ケーシング11の両側部13の下端縁と、延出部14の底壁リブ16の上端縁との間を通り、そのまま直接光として、客室内2の天井部3と側壁面部4の境界付近まで到達する。そのため、図7に示すように、天井部3の基準面から側壁面部4に亘り曲がるように展開された額面広告6を、その全面に亘り直接光で明るく照らして目立たせることができる。
【0055】
さらに、ケーシング11には、光源20を外側から覆う保護カバー23を装着している。よって、光源20から照射された光は保護カバー23を透過することにより、光源20の輝度が低減されて過度の強い光の照射を防止することができる。また、光源20の故障の原因となり得る他の物体の接触を防ぎ、光源20を保護することができる。ここで保護カバー23は、水平面に対して垂直となる状態に取り付けられており、下からの物が触れることはあり得るが、保護カバー23に対して衝撃が垂直方向から強く加わる可能性は低い。また、保護カバー23の垂直面には埃がたまることもない。
【0056】
保護カバー23は合成樹脂で形成すれば、仮に乗客の荷物等が当たっても蛍光管のように容易に破損することはないが、保護カバー23が予期せず外れたり万一破損した場合には、その破片は延出部14の底壁リブ16によって受け止められて客室内2に落下することはない。延出部14は、ケーシング11に一体成形されており、着脱自在な別部材のように外れる虞はない。かかる延出部14の底壁リブ16は、保護カバー23の全域に対して鉛直方向に重なる位置まで少なくとも延出し、保護カバー23が万一破損した際には、その破片を受け入れる形状に形成されている。
【0057】
図8図13は、本発明の第2実施の形態を示している。
本実施の形態に係る照明装置10Aは、前述した第1実施の形態に係る照明装置10と基本的な構成は共通するが、ケーシング11の延出部14に対する表示装置30の取り付け態様が異なる。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0058】
本実施の形態では、表示装置30のケース31は、画面32が側方を向く横向きの状態に配され、この状態におけるケース31の上端側に沿って、保持手段である吊下金具33が固定されている。この吊下金具33を、取付空間17の内部空隙17bに収納した状態に取り付けると共に、表示装置30の本体であるケース31は、取付空間17の開口溝17aより下方に垂下させる。ここで表示装置30の画面32は、客室内2でより広範囲から乗客が視認できる向きとなる車体中央を向くようにする。
【0059】
図8に示すように、吊下金具33は略T字形断面の部材からなり、その水平片33aより垂下する垂直片33bの下端が前記ケース31の上端側に固定される。また、前記延出部14の各側壁リブ15の下端が連なる各底壁リブ16の内側には、左右に対向する一対のレール溝18c,18cが設けられている。この各レール溝18cの間に、吊下金具33の水平片33aの両側端縁がそれぞれ摺動可能に嵌合する。吊下金具33の長さは、表示装置30の全長に亘る長さである必要はなく、表示装置30の全長よりも短い長さのものを所定間隔おきに並べて固定するようにしても良い。
【0060】
本実施の形態によれば、表示装置30の画面32全体をケーシング11の外部に露出させることができるため、画面32を客室内2のより広い範囲から容易に視認することが可能となる。ここで表示装置30の画面32は、ケース31の片側だけでなく両側に設けるようにしても良い。なお、延出部14から表示装置30を外す場合には、ケーシング11の一端側より吊下金具33を抜き去れば良く、表示装置30を取り外しての保守ないし点検作業も容易に行うことができる。
【0061】
図14は、本発明の第3実施の形態を示している。
本実施の形態に係る照明装置10Bは、前述した第2実施の形態に係る照明装置10Aとケーシング11の形状も全く同一であるが、表示装置40の構成が前記表示装置30とは異なる。なお、第2実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0062】
本実施の形態では、前記ケーシング11の延出部14を構成する一対の底壁リブ16の下面側に沿って、各底壁リブ16の互いに対向した端縁間の隙間である開口溝17aを塞ぐ状態で、表示装置40が展開するように取り付けられている。この表示装置40は、各底壁リブ16の湾曲した外表面に沿って曲がるように可撓性を有する有機ELで構成されている。
【0063】
表示装置40を構成する有機ELは、一般には、可撓性を有する透明なシート状の基板上に、陽極電極と陰極電極とをマトリクス状に配置してなる。この各電極が交差する部位に、赤、緑、青の各色を発光する各有機蛍光体薄膜を並列配置する。両電極間に電圧を印加することで、赤、緑、青の光の3原色が発光され、該光の3原色の加法混色によりフルカラー表示が可能となる。
【0064】
本実施の形態によれば、延出部14の外表面を広く利用しての表示装置40の取り付けが可能となり、表示装置40全体を延出部14の外部に露出させることができる。しかも、表示装置40が照明装置10の下方に突出することがなく、乗客の邪魔になるような虞もない。なお、表示装置40の長さは、照明装置10の全長に亘る長さである必要はなく、照明装置10Bの全長よりも短い長さのものを所定間隔おきに並べて配置しても良い。
【0065】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述したような実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、鉄道車両1の客室内2の天井部3に設置する例を説明したが、航空機や自動車等の他の乗物における客室内の間接照明に適用しても良い。また、ケーシング11の具体的な形状も図示した例に限定されることはない。
【0066】
また、天井部3に凹溝3aを設けて、この凹溝3aにケーシング11を埋め込むように取り付けたが、天井部3に凹溝3aを設けることなく、天井部3の基準面上にケーシング11をそのまま出っ張る状態で取り付けても良い。また、前記各種実施の形態では、光源20としてLEDチップ22を使用した例を説明したが、他に例えば、小型電球等を使用しても良い。さらに、保護カバー23は、必ずしも設ける必要はなく省略してもかまわない。
【0067】
また、前記表示装置30の全体形状は図示した形状に限られることなく、また、前記保持手段も吊下金具33に限られるものではなく、表示装置30の上端側を吊り下げることができるものであれば何でも良い。さらに、前記延出部14の取付空間17には、前記表示装置30,40に加えて、香りを放出する芳香器を取り付けても良い。
【0068】
ここで芳香器とは、単に芳香剤を収納した容器の類の他、別の箇所に設けた芳香剤の貯留部より導いた芳香剤を拡散する手段(例えば噴霧ノズル)であっても良い。また、芳香剤には消臭剤を含めたり、あるいは芳香剤の代わりに消臭剤を採用しても良い。このように、表示装置30,40に加えて芳香器も取り付けるようにすれば、客室内に不快な臭気がこもることを防止したり、乗客に対して癒しの効果を付加することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る照明装置は、鉄道車両や航空機、自動車等の客室内の間接照明等に幅広く利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…鉄道車両
2…客室内
3…天井部
3a…凹溝
4…側壁面部
5…座席
6…額面広告
10…照明装置
10A…照明装置
10B…照明装置
11…ケーシング
12…中央部
13…側部
14…延出部
15…側壁リブ
16…底壁リブ
17…取付空間
17a…開口溝
17b…内部空隙
18a…レール溝
18b…レール溝
18c…レール溝
20…光源
21…基板
22…LEDチップ
23…保護カバー
30…表示装置
31…ケース
32…画面
33…吊下金具
40…表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14