(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989477
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】移動体情報通信装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/40 20060101AFI20160825BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20160825BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20160825BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
B60Q1/40 A
G08G1/09 D
G08G1/16 D
B60R21/00 628B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-206436(P2012-206436)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-61727(P2014-61727A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年9月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】302071092
【氏名又は名称】三洋テクノソリューションズ鳥取株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】山方 秀則
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】坂田 武晴
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−141655(JP,A)
【文献】
特開2011−207360(JP,A)
【文献】
特開2008−046767(JP,A)
【文献】
特開2010−238037(JP,A)
【文献】
特開2011−044002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/40
B60R 21/00
G08G 1/09
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、少なくとも信号機の信号機情報を送信する路側機からの情報を受信する移動体情報通信装置において、
前記路側機から送信される信号機情報を受信する通信部と、
後続車両に対して進行方向を示すためのウィンカーと、
運転者により操作され、前記ウィンカーを作動状態にするためのウィンカーON操作部と、
運転者により操作され、前記ウィンカーを非作動状態にリセットするためのウィンカーOFF操作部と、
前記ウィンカーOFF操作部は前記ウィンカーを自動的に非作動状態にするためのリセット部を備え、
交差点の手前で受信した前記路側機からの信号機情報が受信できなくなった場合に、前記リセット部を駆動し、前記ウィンカーを非作動状態にリセットする制御部と、
を備えることを特徴とする移動体情報通信装置。
【請求項2】
前記リセット部はソレノイドから構成され、前記ウィンカーOFF操作部を自動的に操作することを特徴とする請求項1に記載の移動体情報通信装置。
【請求項3】
前記信号機情報は信号機のID情報を含み、前記制御部は、前記ID情報に基づいて、前記交差点の手前で受信した前記路側機を特定し、当該路側機からの信号機情報が受信できなくなったことを判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動体情報通信装置。
【請求項4】
交差点の手前に設置され、進行方向前方の信号機のIDを含む情報を送信するビーコン発信機からの情報を受信するビーコン受信部を備え、前記制御部は前記ビーコン受信部が受信した情報に含まれるIDに基づいて前記路側機を特定し、当該路側機からの信号機情報が受信できなくなったことを判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動体情報通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体情報通信装置に関するものであり、特に、移動体に搭載され、信号機等に設置された路側機との間で情報を送受信する移動体情報通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術を用いて、交通事故や渋滞等の道路交通情報の提供、運転支援、車両間での情報交換等を行うことにより、道路交通の問題の解決を図る高度交通通信システム(ITS:intelligent transport systems)の開発が進んでいる。
【0003】
ITSの中でも特に安全運転支援システムを扱う分野における自動車向け無線通信の形態は路車間通信と車車間通信とに大別できる。路車間通信は信号機等に設置された路側機と車両が情報を通信するのに対し、車車間通信は車両同士が直接情報の通信を行う。
【0004】
信号機等に設置された路側機や高速道路のそばに設置された路側機などと車両とが情報を通信する路車間通信装置も知られている。このような路車間通信装置としては、例えば、下記の特許文献1(特開2012−084167号公報)に開示されている路上通信システムや特許文献2(特開2005−227987号公報)に開示されている信号情報提供システムを挙げることができる。
【0005】
特許文献1に開示されている路上間通信システムは、交通信号制御機が、現時点で表示している信号灯色(以下、作成時信号灯色という)と当該作成時信号灯色が開始してからの経過時間、各信号灯色の点灯時間に基づいて、作成時信号灯色及び将来に表示する予定の各信号灯色並びにこれらの継続時間に関する信号情報を作成し、交差点に流入する各道路に設置された各路上装置に送信し、当該路上装置が車載装置(移動体情報通信装置)に対して当該信号情報を送信するように構成されている。
【0006】
特許文献2に開示されている信号情報提供システムは、信号機の信号情報を送信する信号情報送信装置を設置し、車両には、信号情報を受信する信号情報受信装置と、信号機の信号の規制状態の変化を事前に報知する車両用装置を設置し、車両用装置は、車両の現在位置を検出する検出手段と、地図上の現在位置に基づいて信号情報受信装置を介して信号機の識別番号に応じた信号情報を受信して利用者に報知するように構成されている
自動車や自動二輪車、原動機付自転車には右左折や斜線変更に際して、後続車両に進行方向の変更を示すウィンカー(方向指示器)が設けられている。交差点などにおいてウィンカー(方向指示器)を操作した場合には、所望の方向に右左折して交差点を通過するとウィンカーをリセットする必要がある。リセットされないと交差点通過後もウィンカーが作動しており後続車に誤解を与えることになる。
【0007】
ウィンカー(方向指示器)のリセットが正確に行われるようにするため、例えば、下記の特許文献3(特開2007−1370398号公報)には、方向指示器の自動キャンセル装置を搭載した車両が開示されている。この自動キャンセル装置は、傾斜スイッチやタイマーを従来のウィンカーのキャンセル機構などに組み込んだ方向指示器自動キャンセル装置を自動車、自動三輪車、ミニカー、自動二輪車及び原動機付自転車等に搭載させる事により、運転者が方向指示器を使用するさい、方向指示器の役割を終えた後の方向指示灯の消し忘れを補うように構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−084167号公報
【特許文献2】特開2005−227987号公報
【特許文献3】特開2007−137398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先に述べたように、交差点などにおいてウィンカー(方向指示器)を操作した場合には、所望の方向に右左折して交差点を通過するとウィンカーをリセットする必要がある。リセットされないと交差点通過後もウィンカーが作動しており後続車に誤解を与えることになる。
【0010】
上記特許文献3に開示された方向指示器の自動キャンセル装置においては、傾斜スイッチやタイマーを用いて、右左折の際の車両の傾斜を検出し、あるいは、右左折に要する所要時間をタイマーにより検出してウィンカーを自動的にリセットするものであり、いくつかの不都合が存在する。
【0011】
例えば、傾斜スイッチにより傾斜を検出する方法では、交差点などのカーブを曲がる際の速度や車体の大きさによって車両進行時の傾斜が異なるはという問題があり、傾斜検出の設定を車両毎に行わなければならないという問題点がある。また、タイマーを用いる場合には、交差点毎の信号の待ち時間の相違を考慮してタイマー検出時間を設定しなければならないという問題点がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点を解消することを課題とするものであり、路車間通信機能を有する移動体情報通信装置を用い、ウィンカーのリセット忘れがあった場合に路側機から受信する情報を利用して自動的にウィンカーをリセットできるようにした移動体情報通信装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本願の請求項1に係る発明は、移動体に搭載され、少なくとも信号機の信号機情報を送信する路側機からの情報を受信する移動体情報通信装置において、前記路側機から送信される信号機情報を受信する通信部と、後続車両に対して進行方向を示すためのウィンカーと、運転車により操作され、前記ウィンカーを作動状態にするためのウィンカーON操作部と、運転車により操作され、前記ウィンカーを非作動状態にリセットするためのウィンカーOFF操作部と、前記ウィンカーOFF操作部は前記ウィンカーを自動的に非作動状態にするためのリセット部を備え、交差点の手前で受信した前記路側機からの信号機情報が受信できなくなった場合に、前記リセット部を駆動し、前記ウィンカーを非作動状態にリセットする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる移動体情報通信装置において、前記リセット部はソレノイドから構成され、前記ウィンカーOFF操作部を自動的に操作することを特徴とする。
【0015】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1又は請求項2にかかる移動体情報通信装置において、前記信号機情報は信号機のID情報を含み、前記制御部は、前記ID情報に基づいて、前記交差点の手前で受信した前記路側機を特定し、当該路側機からの信号機情報が受信できなくなったことを判定することを特徴とする。
【0016】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1又は請求項2にかかる移動体情報通信装置において、 交差点の手前に設置され、進行方向前方の信号機のIDを含む情報を送信するビーコン発信機からの情報を受信するビーコン受信部を備え、前記制御部は前記ビーコン受信部が受信した情報に含まれるIDに基づいて前記路側機を特定し、当該路側機からの信号機情報が受信できなくなったことを判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1にかかる発明においては、移動体に搭載され、少なくとも信号機の信号機情報を送信する路側機からの情報を受信する移動体情報通信装置において、前記路側機から送信される信号機情報を受信する通信部と、後続車両に対して進行方向を示すためのウィンカーと、運転車により操作され、前記ウィンカーを作動状態にするためのウィンカーON操作部と、運転車により操作され、前記ウィンカーを非作動状態にリセットするためのウィンカーOFF操作部と、前記ウィンカーOFF操作部は前記ウィンカーを自動的に非作動状態にするためのリセット部を備え、交差点の手前で受信した前記路側機からの信号機情報が受信できなくなった場合に、前記リセット部を駆動し、前記ウィンカーを非作動状態にリセットする制御部と、を備える。
【0018】
かかる構成によれば、路側機から送信される信号機情報の受信範囲は、所定の距離範囲、例えば、半径数10M〜100M程度であるから、制御部は、車両が進行し交差点手前で受信した路側機の信号が受信されなくなった場合に車両が交差点の通過を完了したものと判定することができる。すなわち、交差点手前でウィンカーON操作がされた後、ウィンカーOFF操作がされないまま、交差点手前で受信した路側機の信号が受信されなくなった場合には、非作動状態にリセットされるべきウィンカーがリセットされていないと判定することができる。これにより制御部はソレノイドを制御してウィンカーOFF操作部を自動的に動作させウィンカーを非作動状態にリセットすることができ、後続車に誤解を与えることがない。
【0019】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる移動体情報通信装置において、前記リセット部はソレノイドから構成され、前記ウィンカーOFF操作部を自動的に操作するから、制御部は複雑な構成によらず容易にソレノイドを制御してウィンカーOFF操作部を自動的に動作させウィンカーを非作動状態にリセットすることができ、後続車に誤解を与えることがない。
【0020】
請求項3にかかる発明においては、請求項1又は請求項2にかかる移動体情報通信装置において、前記信号機情報は信号機のID情報を含み、前記制御部は、前記ID情報に基づいて、前記交差点の手前で受信した前記路側機を特定し、当該路側機からの信号機情報が受信できなくなったことを判定する。
【0021】
このように構成することにより、制御部は交差点の通過を判定するにあたり、路車間通信により取得した信号機の情報を送信する路側機を特定し、当該路側機からの信号が受信されなくなった場合に交差点を通過したと判定することができるようになる。
【0022】
請求項4にかかる発明においては、請求項1又は請求項2にかかる移動体情報通信装置において、 交差点の手前に設置され、進行方向前方の信号機のIDを含む情報を送信するビーコン発信機からの情報を受信するビーコン受信部を備え、前記制御部は前記ビーコン受信部が受信した情報に含まれるIDに基づいて前記路側機を特定し、当該路側機からの信号機情報が受信できなくなったことを判定する。
【0023】
このように構成することにより、制御部は交差点の通過を判定するにあたり、容易に移
動体の進行方向前方の信号機の信号機情報を送信する路側機を特定することができ、当該路側機からの信号が受信されなくなった場合に交差点を通過したと判定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例における移動体情報通信装置の構成ブロック図である。
【
図2】移動体情報通信装置の制御手順を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の他の実施例における移動体情報通信装置の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための移動体情報通信装置を例示するものであって、本発明をこの移動体情報通信装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の移動体情報通信装置にも等しく適応し得るものである。例えば、ナビゲーション装置に組み込まれたものであってもよく、また、車両から取り外して持ち運びが可能な装置であってもよい。
【実施例1】
【0026】
まず、
図1を参照して、本実施形態の移動体情報通信装置について説明する。
図1は、本実施形態の移動体情報通信装置10の内部ブロック図である。なお、移動体情報通信装置10は、移動体、例えば、自動二輪車、自動車等の車両に搭載される。
【0027】
移動体情報通信装置10は制御部1と、ウィンカーON操作部2と、ウィンカーOFF操作部3と、ウィンカー4と、バッテリ5と、通信部6とを備えている。
【0028】
制御部1は移動体情報通信装置10全体を総括的に制御する制御手段である。制御部1はCPUとROMとRAM(いずれも不図示)とを含んでいる。ROMには制御部1が実行するプログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータが記憶されている。CPUはROMに記憶されている各種プログラムを実行する。RAMは各種処理の過程で得られるデータや各種処理の結果得られるデータを一時的に格納する。これらCPU、RAM、ROM等は、バスを介して接続されている。なお、CPU、ROM及びRAMはこれらの一部または全部を1チップに集積化しても構わない。
【0029】
ウィンカーON操作部2は、車両の運転手により操作されるスイッチ機構であり、例えば、移動体情報通信装置10が自動二輪車に設けられる場合には左右のハンドル部にそれぞれ設けられ、ウィンカー4も車両の左右に設けられる。交差点などの右左折ポイントの手前で運転手が所望する進行方向(右折または左折方向)に従って、左右何れかのスイッチを操作することにより車両に設けられた左右何れかのウィンカーが作動する。
【0030】
ウィンカーOFF操作部3は、作動したウィンカー4を非作動状態にリセットするスイッチ機構であり、ウィンカーON操作部2と同様に、移動体情報通信装置10が自動二輪車に設けられる場合には左右のハンドル部にそれぞれ設けられる。車両が所望の進行方向に進行し、交差点の通過が完了して運転手が左右何れかのスイッチを操作すると作動状態にあったウィンカー4が非作動状態に戻る(リセットされる)。
【0031】
また、ウィンカーOFF操作部3のスイッチ機構にはソレノイドが設けられており、当該ソレノイドは制御部1により制御され、スイッチ機構を操作状態に作動することができる。すなわち、ソレノイドはウィンカーOFF操作部3のスイッチ機構を自動的に操作するリセット部として機能する。
【0032】
このように、ウィンカーOFF操作部3は、車両の運転者により操作されるウィンカー4を非作動状態にリセットする他に、制御部1により操作され、ウィンカー4を自動的に非作動状態にリセットすることができるように構成されている。制御部1によるソレノイド(リセット部)の制御については、後に詳しく説明する。
【0033】
バッテリ5は、移動体情報通信装置10の携帯使用時における電源供給手段であり、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などの二次電池を好適に用いることが可能である。もちろん、バッテリ6として、アルカリマンガン乾電池やマンガン乾電池などの一次電池を用いても構わないし、燃料電池を用いても構わない。また、移動体情報通信装置10が車両搭載中には車両のバッテリから電源供給を受けて動作する。
【0034】
通信部6は、自車(移動体)の移動体情報通信装置10と通信可能な信号機等に設置された路側機(図示せず)から送信される信号機の信号機情報を受信する受信部(図示せず)とを有する。通信方法は、無線通信や赤外線通信などの非接触通信とすることが好ましい。路側機から送信される信号機情報には、該当する信号機のID、当該信号機がその時点で点灯している色の情報、点灯開始時刻、残り点灯時間などの情報が含まれる。
【0035】
車両が交差点に接近すると、交差点進入口手前の路側に設置された路側機から送信される情報が通信部6により受信される。路側機は対応付けられた信号機のID情報を含む信号機情報を送信するから制御部1は信号機辞情報に含まれるIDにより特定の信号機、路側機を識別することができる。
【0036】
路側機から送信される信号機情報の受信範囲は、所定の距離範囲、例えば、半径数10M〜100M程度であるから、制御部1は、車両が進行し交差点手前で受信した路側機の信号が受信されなくなった場合に車両が交差点の通過を完了したものと判定することができる。
【0037】
すなわち、交差点手前でウィンカーON操作がされた後、ウィンカーOFF操作がされないまま、交差点手前で受信した路側機の信号が受信されなくなった場合には、非作動状態にリセットされるべきウィンカー4がリセットされていないと判定することができる。そこで制御部1はソレノイドを制御してウィンカーOFF操作3のスイッチ機構を動作させウィンカー4を強制的に非作動状態にリセットする制御を行う。
【0038】
次に、移動体情報通信装置10の動作について、
図2を参照して説明する。
図2は移動体情報通信装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0039】
車両が右折又は左折すべき交差点に接近し、運転者がウィンカーON操作部2を操作し、所望の進行方向(右折又は左折)を示すウィンカーをONにする(ステップS101)。次に、制御部1は運転者によりウィンカーOFF操作部3の操作があったか否かを判定する(ステップS102)。ウィンカーOFF操作部3の操作があれば(ステップS102のYES)、ステップS101でONにしたウィンカーがOFF(非作動状態)にされ(ステップS105)、処理を終了する。
【0040】
ウィンカーOFF操作部3の操作が検出されなければ(ステップS102のNO)、制御部1は通信部6を介して路側機からの情報(例えは、進行方向前方の信号機の信号機情報)を受信しているか否を判定する(ステップS103)。この時、路側機からの情報には信号機のIDが含まれているから、そのIDにより路側機を識別することができる。路側機からの情報を受信していなければ(ステップS103のNO)、ステップS102の判定処理に戻る。
【0041】
路側機からの情報を受信していれば(ステップS103のYES)、制御部1はステップS104の処理に進み、ステップS103の処理で受信を判定した路側機からの情報が通信部6を介して受信できなくなったか否かを判定する(ステップS104)。路側機からの情報の受信が継続していれば(ステップS104のNO)、ステップS102の判定処理に戻る。
【0042】
路側機からの情報が受信できなくなった(ステップS10のYES)場合には、路側機から送信される信号機情報の受信範囲は、所定の距離範囲、例えば、半径数10M〜100M程度であるから、交差点に接近した時点で受信した路側機(ステップS103で受信判定した路側機)からの信号が受信できなくなったということは、車両が半径数10M〜100M程度進行した、すなわち、交差点を通過したと判断することができる。
【0043】
すなわち、路側機からの情報が受信できなくなった(ステップS10のYES)場合、交差点を通過したにも関わらず、ウィンカーOFF操作部3の操作を検出していないことになるから、運転者によるウィンカーのリセット忘れが生じていると判断できる。従って、制御部1は、ウィンカーOFF操作部3のスイッチ機構に設けたソレノイドを駆動してウィンカーOFF操作部3のスイッチ機構を強制的に作動させ、ステップ101でON(作動)したウィンカー(右折方向又は左折方向)をOFF(非作動状態)にして処理を終了する。
【実施例2】
【0044】
図3は、本発明の他の実施例における移動体情報通信装置10の構成ブロック図である。実施例1においては、交差点進入時に受信した交差点手前に設置された路側機からの信号機情報(信号機情報に含まれるIDにより該当する路側機を特定する)が受信できなくなったことで交差点の通過を判定する構成を説明した。しかしながら、交差点通過の判定は他の方法によっても判定することができる。
図3に示す移動体情報通信装置10は、実施例1の移動体情報通信装置10の構成に加えて、ビーコン受信部7を備えている。
【0045】
図3に示す移動体情報通信装置10においてビーコン受信部16以外の構成は、
図1に示す移動体情報通信装置10の構成と同様であり、説明の重複を避けるため以下においてはビーコン受信部7の機能についてのみ説明する。
【0046】
交差点の手前に車線毎に進行方向前方の信号機の付与されたIDの情報を送信するビーコン発信機(図示せず)が設けられている。移動体情報通信装置10は、ビーコン受信部7によりビーコン発信機が送信する信号機のIDの情報を受信する。これにより、制御部1は、ビーコン受信部7により受信したID情報に基づいて、車両の進行方向前方の信号機を特定し、該当する路側機から送信される信号機情報を特定することができる。従って、移動体の進行方向前方の信号機の信号機情報が受信できなくなったことで容易に交差点を通過したことを判定することができる。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。
【0048】
例えば、本発明は、自動二輪車に設置した場合のみならず自動車に設置することもできる。自動車手はハンドルの操作角度によりウィンカーを自動的にリセットできるが、車線変更や高速道路での合流、分岐(出入り口やPA、SA)など、ハンドル操作角度が小さい地点において自動リセットが作動しない場合にも好適に用いることができる。
【0049】
また、移動体情報通信装置、路車間通信機能を有するのみならず自車の運転者情報の他、現在位置検出と地図情報に基づいて現在位置や進行道路などの自車情報を、周囲を走行
中の車両に設置された移動体情報通信装置との間で送受信する車車間通信機能を有する装置(例えば、特開2010−97443号公報参照)であってもよい。その場合、現在位置を地図情報にマップマッチングさせることにより、移動体の進行方向前方の信号機を特定することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・・制御部
2・・・・ウィンカーON操作部
3・・・・ウィンカーOFF操作部
4・・・・ウィンカー
5・・・・バッテリ
6・・・・通信部
7・・・・ビーコン受信部
10・・・移動体情報通信装置