特許第5989480号(P5989480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 太平洋セメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5989480-吸着剤の製造方法 図000003
  • 特許5989480-吸着剤の製造方法 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989480
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】吸着剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/30 20060101AFI20160825BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20160825BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20160825BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20160825BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20160825BHJP
   B03D 1/10 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B01J20/30ZAB
   B01J20/28 Z
   B01J20/20 A
   B09B5/00 N
   B09B3/00 304G
   B03D1/10
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-207910(P2012-207910)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-61480(P2014-61480A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000240
【氏名又は名称】太平洋セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一志
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−237959(JP,A)
【文献】 特許第3613347(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/30
B01J 20/20
B01J 20/28
B03D 1/10
B09B 3/00
B09B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石炭灰から浮選により未燃カーボンを分離する際に用いられた捕集剤が表面に付着した未燃カーボンを溶媒で洗浄し、該捕集剤を除去した未燃カーボンを得ることを特徴とする吸着剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭灰の湿式脱炭プロセスによって得られる未燃カーボンから吸着剤を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石炭焚き火力発電所等で発生した石炭灰は、未燃カーボンの少ない石炭灰をセメントの原料等に利用し、未燃カーボン含有率の高い石炭灰は、有効利用することができず、産業廃棄物として埋め立て処理されていた。
【0003】
そこで、特許文献1等に記載のように、石炭灰に水を加えてスラリーとし、スラリーに捕集剤を添加し、スラリー及び捕集剤に剪断力を付与して表面改質を行った後、浮選工程において、気泡に石炭灰の未燃カーボンを付着させて浮上させ、浮選分離された未燃カーボンを燃料として、また、未燃カーボン分を1重量%以下とした石炭灰(製品)をセメント用混合材、軽量骨材製造用原料として利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3613347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の石炭灰の湿式脱炭プロセスで回収される未燃カーボンは、燃料として再利用することはできるが、燃料としての再利用だけでは処理量に制限を受けるため、その他の用途の開発が求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、石炭灰の湿式脱炭プロセスによって得られる未燃カーボンの用途を拡大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、吸着剤の製造方法であって、石炭灰から浮選により未燃カーボンを分離する際に用いられた捕集剤が表面に付着した未燃カーボンを溶媒で洗浄し、該捕集剤を除去した未燃カーボンを得ることを特徴とする。これにより、未燃カーボンの表面に付着した軽油等の捕集剤を取り除いて吸着剤を得ることができる。この吸着剤は、疎水性を有する多孔質の炭素質の粒子である疎水性固体状未燃カーボンを含むため、親油性のダイオキシン類やPCB等の有機塩素化合物を捕捉することができ、燃焼排ガス等に添加してこれらの濃度を低減又は制御することなどが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、石炭灰の湿式脱炭プロセスによって回収された未燃カーボンから吸着剤を製造し、未燃カーボンの用途の拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る吸着剤の製造方法を示すフローチャートである。
図2】本発明に係る吸着剤の製造方法によって製造された吸着剤の試験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
上記特許文献1等に記載されている石炭灰の湿式脱炭プロセスにおいては、石炭灰から浮選により未燃カーボンを分離する際に軽油、灯油、重油等の捕集剤を用いる。そのため、未燃カーボンの表面に捕集剤が付着し、未燃カーボンの細孔(特にミクロ孔)が覆われている。表1及び図2の比較例1は、このような湿式脱炭プロセスから回収された未燃カーボンを示し、口径2nm未満のミクロ孔の容積は、0.0000mL/gであり、比表面積も19.7m2/gと小さく、このままでは吸着剤として使用することはできない。尚、比表面積及びメソ孔の細孔容積の測定は、島津マイクロメリティクスASP-2400(株式会社島津製作所製)を使用して行った。
【0014】
【表1】
【0015】
そこで、図1のステップS1において、上記湿式脱炭プロセスから回収された未燃カーボンを受け入れた後、ステップS2において、受け入れた未燃カーボンをトルエン、ベンゼン、ヘキサン等の溶媒で洗浄する。尚、これら以外にも、捕集剤としての軽油等を溶媒処理することができるものであれば、他の溶媒を使用することもできる。
【0016】
上記溶媒処理により、未燃カーボンの表面の軽油等の捕集剤が除去され、細孔が復活し、比表面積の大きい疎水性固体状未燃カーボンが得られる。表1及び図2の実施例は、このようにして得られた洗浄品を示し、ミクロ孔の容積は、0.0045mL/gであり、メソ孔及びマクロ孔の容積も比較例1に比較して増加している。また、比表面積も57.5m2/gと比較例1に比較して大幅に増加し、吸着剤として好適に使用することができる。
【0017】
比較例2、3は、別途未燃カーボンを含有する原料を非極性有機溶媒と水とを用いて液液抽出して得られた吸着剤であるが、これらと比較しても実施例の洗浄品は、吸着剤の品質として遜色ないことが判る。尚、比較例2、3は、各々未燃カーボンを含有する原料の由来が異なるため、性状が異なっている。
【0018】
次に、図1のステップS3において、未燃カーボンの洗浄処理を行った後の、軽油等の捕集剤を含む溶媒を、沸点の差(例えば、軽油:約180〜300℃、トルエン:約110℃)によって分離し、分離した軽油等を、石炭灰から未燃カーボンを浮選を介して除去する際に使用する捕集剤として再利用し、分離したトルエン等を溶媒として再利用することができる。
【0019】
以上のように、本発明によれば、石炭灰の湿式脱炭プロセスで回収される未燃カーボンを燃料として再利用するだけでなく、この未燃カーボンを溶媒洗浄して吸着剤としても再利用可能することができ、未燃カーボンの用途の拡大を図ることができる。
図1
図2