(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989497
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】窓部開閉検知機構と自動車用スライドドア
(51)【国際特許分類】
B60J 1/17 20060101AFI20160825BHJP
E05F 15/40 20150101ALI20160825BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
B60J1/17 A
E05F15/40
B60J5/06 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-227311(P2012-227311)
(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公開番号】特開2014-80048(P2014-80048A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】浅井 文彦
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 礼兼
【審査官】
谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−227463(JP,A)
【文献】
特開2008−014025(JP,A)
【文献】
特開2007−154656(JP,A)
【文献】
特開昭59−217883(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0287838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/17
B60J 5/06
E05F 15/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ドアの窓ガラスを昇降するウインドウレギュレータと窓ガラス位置検出器を備え、ウインドウレギュレータは、メインアームとサブアームを回転軸で回転可能に組み合わせたXアーム式であって、ドアのアウターパネルとインナーパネルの間に配置されており、
メインアームは基部が駆動用のモータの出力軸にギア結合された回動軸に取付けられ、先端部に窓ガラスを支持するチャンネルAが摺動自在に取付けられており、サブアームはメインアームの中間部に車の室内外方向の回転軸で回転可能に取付けられており、先端が前記チャンネルAに摺動自在に取付けられてメインアームとともにチャンネルAをほぼ水平に支持すると共に、基部がインナーパネルに固定されたチャンネルBに摺動可能に取り付けられており、前記基部に当該サブアームの長手方向に突出させて操作部が設けられており、
窓ガラス位置検出器は、前記操作部によって移動される受動部を有して受動部の位置により、窓が設定以上に開いた状態と、設定以上は開いていない状態を検出するものであって、インナーパネルの車の内側となる面に取付けられて受動部をインナーパネルの車外側へ突出させており、
ウインドウレギュレータの前記操作部と窓ガラス位置検出器の前記受動部をインナーパネルの車外側位置で係合させてあることを特徴とした窓部開閉検知機構。
【請求項2】
ウインドウレギュレータのサブアームは、メインアームと交差する回転軸の箇所でチャンネルA側のサブアームAとチャンネルB側のサブアームBに2分され、これらはサブアームBを車の室内側としてメインアームを車の内外方向から挟むように配置され、メインアームを車の内外方向に貫通した前記の回転軸で一体に結合されており、
窓ガラス検出器の前記受動軸はインナーパネルから車の外側へ突出する長さをメインアームの回動軌跡と干渉しない長さとしてあることを特徴とした請求項1に記載の窓部開閉検知機構。
【請求項3】
操作部は、受動部との係合部分をフォーク形にして、受動部の移動の往路、復路共に受動部を係合するものであることを特徴とした請求項1又は2に記載の窓部開閉検知機構。
【請求項4】
自動車用スライドドアに請求項1〜請求項3のいずれか一つの窓部開閉検知機構を組み込み、窓ガラス開の時スライドドアと自動車本体間に配置されたドアストッパーを作動させ、スライドドアをはさみこみ未然位置で停止させることを特徴とした自動車用のスライドドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の窓部を開閉する窓ガラスをXアーム式のウインドウレギュレータで昇降させる機構における窓部開閉検知機構とこれを利用した自動車用スライドドアに関する。
【背景技術】
【0002】
ワンボックスカー等では、
図1に示すように、後部座席の乗降口に前後方向へ移動するスライドドア1を設け、スライドドア1の窓部2に窓ガラス3を昇降自在に装備することがある。
このような自動車は、例えば、後部座席に座った子供が手や頭を窓部2から外に出している時に、
図1の(イ)に示すように、スライドドア1を全開にすると、窓部2の前枠2aと乗降口の後縁2bで手や頭を挟まれる虞がある。
【0003】
そこで、従来、自動車用スライドドア1に窓部開閉検知機構を組み込み、スライドドア1の窓部2が開いているとき、スライドドア1と自動車本体4間に配置されたドアストッパー4aを作動させ、スライドドア1を
図1(ロ)のはさみこみ未然位置で停止させる構成が採用されている。
例えば、特許文献1の車両用スライドドア装置では、窓部の開き状態を機械的に検出し、検出手段とストッパ手段をケーブルを介して接続し、窓部が開いている時はストッパー4aを駆動して、スライドドア1の全開状態を規制するようにしている。
特許文献2の車両用スライドドア1では、窓部の開き状態をウインドウレギュレータにおいてメインアームを駆動する軸に取付けたカムの回動量で検出し、その回動量をケーブルでストッパー機構に伝達し、窓部が開いている時にスライドドア1の全開状態を規制している。
特許文献3の自動車用ドアでは、窓部が開き状態のときは、スライドドア1の移動がロックされる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3263805号公報
【特許文献2】特開2003−129747号公報
【特許文献3】特開2003−097122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の検出手段は、窓ガラスの開閉をメインアームの駆動軸と同軸に取付けたカムの回転を利用しており、このカムは機構上、あまり大きくできないことから、窓の開き状態を検出するための変位が小さく、作動の鋭敏さに欠けるところがある。また、小さな変位の範囲で開き状態を検出するので、振動などによるわずかな変位が検出結果に大きく影響することもある。
また、窓部を開閉するウインドウレギュレータはドアのアウターパネルとインナーパネルの間に配置され、検出手段はアウターパネル側に取付けられることが多い。しかし、アウターパネルには、車に対する側方からの衝撃を吸収するためのインパクトビームや補強のためのロアフレームを内側に突出して形成しているので、検出手段を取付けることができる箇所の選択に制限が多い。また、検出手段がウインドウレギュレータよりも車外側に配置されることになり、スライドドアを組み立てた後に検出手段の調整作業が困難であった。
本発明は、窓部の開閉を確実に検出することができ、また、ドアが組み立てられた後でも、窓ガラス位置検出器の調整を容易に行うことができる窓部開閉検知機構の提供とその窓部開閉検知機構を利用した自動車のスライドドアの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
自動車用ドアの窓ガラスを昇降するウインドウレギュレータと窓ガラス位置検出器とで窓部開閉検出機構を構成する。
ウインドウレギュレータは、メインアームとサブアームを回転軸で回転可能に組み合わせたXアーム式とし、ドアのアウターパネルとインナーパネルの間に配置する。
メインアームは基部が回動軸に取付けられ、先端部に窓ガラスを支持するチャンネルAが摺動自在に取付けられる。回動軸は、駆動用のモータの出力軸にギアで結合される。
サブアームはメインアームの中間部に車の室内外方向の回転軸で回転可能に取付けられる。
メインアームとサブアームの先端部に前記チャンネルAを摺動自在に、かつ、ほぼ水平に取り付けて支持する。チャンネルBはインナーパネルに固定されており、これにサブアームの基部が摺動可能に取り付けられる。
そして、サブアームの前記基部に
サブアーム9の長手方向に突出させて操作部が設けられる。
窓ガラス位置検出器は、前記操作部によって移動される受動部を有して受動部の位置により、窓が設定以上に開いた「開」状態と、設定以上は開いていない「閉」状態を検出するものとする。窓ガラス位置検出器は、インナーパネルの車の内側となる面に取付けられて受動部をインナーパネルの車外側へ突出させている。
ウインドウレギュレータの前記操作部と窓ガラス位置検出器の前記受動部をインナーパネルの車外側位置で係合させる。
なお、窓の「閉」状態は窓が完全に閉じていなくても、法令上、窓が閉じていると判断してよいとされている状態である。この状態では、顔はもちろん手等を窓外へ出すことはできない。
【0007】
サブアームにおけるアームガイド側先端の操作部は、窓ガラス位置検出器における受動部と係合してこれを操作するが、受動部のインナーパネルから車外方向への突出量は前記メインアームの車内側面に取付けられたサブアームBの軌跡までで、メインアームの下方移動時及び下方から上方への移動するときの軌跡と干渉しないようにする。
サブアームにおけるアームガイド側先端の操作部は、窓ガラス位置検出器における受動部を往路、復路共に係合できるフォーク状のものとすることがある。
自動車用スライドドアに前記の窓部開閉検知機構を組み込み、スライドドアの窓部が開いている時、スライドドアと自動車本体間に配置されたドアストッパーを作動させ、スライドドアを全開しようとしても、スライドドアの開き方向の移動をはさみこみ未然位置で停止させる。
【発明の効果】
【0008】
窓部開閉検知機構は、窓部の開閉をサブアームのチャンネルB側先端に突出させて設けた操作部の変位によって検出するので、変位量が大きく、前記検出器の受動部を確実に移動させることができる。このため、前記検出器による「開」状態、「閉」状態の検出が確実であると共に、振動などの影響を受けることが少ない。
また、窓ガラス位置検出器は自動車用ドアを構成するインナードアの車内側の面に配置するので、ウインドウレギュレータの組み付け後であっても、簡単に調整作業を行える。
さらに、インナーパネルにはインパクトビームのような凹凸もなく、装着部材も少ないので、窓ガラス位置検出器をインナーパネルに取付ける場合には、アウターパネルの車内側の面に取付けるよりも、窓ガラス位置検出器を比較的自由な位置に配置することができる。
サブアームのアームガイド側先端に設ける操作部をフォーク状のものにすると、窓ガラス位置検出器の受動部を往復で積極的に駆動できるので、受動部が凍りついた時にも受動部を操作の往路はもちろん復路もまた確実に元位置まで移動させることができるので、冬季においても、窓ガラスの開閉状態を支障なく検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】スライドドアを開けた状態の自動車を示し、(イ)はスライドドアの全開時における側面図、(ロ)はスライドドアがはさみ込み未然位置(半開時)に有るときの側面図である。
【
図2】本発明の実施例1を示す自動車用スライドドアの窓部開閉検知機構の車外側から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1を示す自動車用スライドドアの窓部開閉検知機構の車の内側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施例2を示す自動車用スライドドアの窓部開閉検知機構の車の外側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2,3は実施例1における本発明の自動車用スライドドアの窓部開閉検知機構を示したものであり、ウインドウレギュレータ5と窓ガラス位置検出器6(
図3)を有している。
なお、自動車の全体構造は従来のものと同様なので、
図1を参照する。自動車は、スライドドア1と、スライドドア1の窓部2を開閉する昇降可能な窓ガラス3と、窓ガラス3を昇降させるXアーム式のウインドウレギュレータ5と、窓ガラス3の開閉状態を検出する窓ガラス位置検出器6およびスライドドア1をはさみ込み未然位置に停止させるドアストッパー4aを備える。ウインドウレギュレータ5はスライドドア1のアウターパネルとインナーパネル16(
図2,3)間の空間に配置される。アウターパネルは図示を省略している。インナーパネル16は自動車用スライドドア1の車内側の面部材である。
図2は車の外側からの斜視図であり、
図3は車の内側からの斜視図である。
【0011】
また、
図2,3は、窓部が「開」の位置Aと「閉」の位置Bにあるときのウインドウレギュレータ5の状態をそれぞれ示すものであり、チャンネルA7(後述)の位置を代表として示している。このために、ウインドウレギュレータ5が2重に描かれている(
図4においても同じ)。
なお、C位置は窓ガラス3が閉じ方向に移動してきて、前記のように、法令上、窓が閉じたと判断してよいとされている「閉」位置を示している。また、
図2下部に破線で示すチャンネルA7の位置Dは、窓ガラス3が下降して下端に達した、すなわち、窓部が全開している状態時の位置である。
【0012】
ウインドウレギュレータ5は、メインアーム8と、サブアーム9と、駆動用のモータ10を備える。
サブアーム9は、長さ方向に分割されたサブアームA9aとサブアームB9bとからな
る。サブアーム9aとサブアーム9bとは、メインアーム8の中央部において表裏に配置されて
おり、メインアーム8を貫通した回転軸11により一体に連結されている。
メインアーム8は、基部が回動軸12に取付けられ、先端部にチャンネルAが摺動自在に取付けられている。回動軸12は、駆動用のモータ10の出力軸14にギアで結合されている。チャンネルAは窓ガラスの下縁を支持する部材である。サブアーム9は先端が前記チャンネルAに摺動自在に取付けられてメインアーム8とともにチャンネルA7をほぼ水平に支持すると共に、先端と反対側の基部はチャンネルB19に摺動可能に取り付けられている。チャンネルB19は、インナーパネル16にほぼ水平に固定されている。
そして、チャンネルB側のサブアームB9bの長手方向に突出させて操作部25が設けられている。
【0013】
メインアーム8の基部は回動軸12に固定され、また、この回動軸12にギア13が固定されている。ギア13は、モータの出力軸14に固定されたピニオン15と噛み合っている。前記の回動軸12やモータの出力軸14は、インナーパネル16の車外側の面に取付けられるボディプレート17に軸支される。モータは図示されていないが、このボディプレート17に取付けられる。
サブアームB9bのチャンネルB側の先端部には、チャンネルB19に摺動自在に係合させたスライダー18が回動自在に取付けられており、サブアームB9bの前記先端部はチャンネルB19に沿って往復移動する。チャンネルB19は、インナーパネル16の車外側の面に前後方向に沿ってほぼ水平に取り付けられている。
【0014】
窓ガラス位置検出器6は、
図3に示すように、インナーパネル16の車内側の面に取付けられており、この実施例では、軸受け台20とこれに軸21を中心に回転可能に取付けられた検出レバー22で構成されている。検出レバー22はインナーパネル16の車内側の面に沿って回動可能であり、軸受け台20の内部に収めたばねで常時、反時計方向、つまり、
図3において「閉」方向から「開」方向へ常時付勢されている。
検出レバー22は、先端にインナーパネル16から車の内外となる方向に突出した受動部23を有している。受動部23は片持ちされた丸棒状で、インナーパネル16に設けた前記の軸21を中心とした円弧状の長孔24を貫通して車外側に突出している。突出量は、サブアームB9bの先端に取り付けた操作部25の回動軌跡面に入るがメインアーム8の回動軌跡には干渉しない量である。
【0015】
すなわち、窓部2を全開状態(
図2においてDの位置)とするとき、メインアーム8はチャンネルBの位置を越えて下方へ移動することになるが、この作動は、前記のようにサブアーム9が2分されてメインアーム8の両側面に配置されることで、サブアームA9aの先端部とメインアーム8の先端部とでチャンネルA7をインナーパネル16とアウターパネルの室外側に支え、その一方、サブアームB9bの基端部をインナーパネル16に取付けたチャンネルB19にガイドさせることができるのであり、この作動を阻害しないために、窓ガラス位置検出器6の受動部23は、メインアーム8の回動軌跡には干渉しない突出量となっている。
なお、前記検出レバー22の他端にはドアストッパー4aの作動部につながるケーブルや連結棒などの連繋部材を接続するための孔が形成されている。
【0016】
ドアストッパー4aは、窓部2が「閉」状態(窓ガラス3が前記のC位置を上方へ越えた位置にあるとき)、車体本体との係合を解除した状態にあり、窓部2が「開」状態にあるとき(窓ガラス3が前記のC位置を下方へ越えた位置にあるとき、すなわち、設定以上開いた状態)、車体本体との係合可能な状態を維持する構造となっている。窓部2の「開」状態、「閉」状態は前記のように窓ガラス位置検出機構によって判別する。また、車体本体との係合可能な状態とは、はさみ未然位置でスライドドアの開き方向への移動を阻止することが可能との意味である。
【0017】
前記の操作部25は棒状であり、サブアーム9の長手方向に沿って突出して形成され、
図2に示すように、窓ガラス位置検出器6の受動部23に係合する。
操作部25の長さは窓ガラス位置検出器6が取付けられる位置によるが、窓ガラス3、すなわちチャンネルA7の下方向移動に伴うサブアームB基部の移動によって、受動部23と当接してこれを「閉」位置から「開」位置へ移動させることが可能な長さであり、逆に窓ガラス3が下方から上方へ移動するときは、「開」位置にある受動部23と係合してこれを押し、「閉」となるまで押圧できる長さである。受動部23が長孔24の端部に達した「閉」位置ではサブアーム9の回動そのものが停止するが、逆に、受動部23が長孔24の他方の端部である「開」位置に達しても窓ガラス3はまだ下方へ移動することができる。窓ガラス3が引き続き下方へ移動するとき、サブアームB9bの操作部25は、受動部23を長孔24の「開」側端部に残したまま受動部23から離れる方向に移動していき、窓部2を閉じるときのウインドウレギュレータ5の作動によって前記の操作部25が逆方向に戻ってきたとき、前記のように、受動部23を積極的に押圧し、「閉」位置へ移動させる。
【0018】
従って、ウインドウレギュレータ5のモータを駆動してピニオン15を正逆回転させることにより、ギア13を介してメインアーム8が回動される。すると、メインアーム8とサブアーム9の交差角度が変わって、メインアーム8及びサブアーム9の一端部が上下動し、メインアーム8及びサブアーム9で支持された窓ガラス3が昇降する。
【0019】
そして、窓ガラス3、すなわち、チャンネルA7の位置が前記のC位置より下方に下りると窓ガラス位置検出器6の受動部23は長孔24の「開」位置とされ、検出レバー22は軸21を中心に長孔24に沿って回動される。この変位がこの実施例ではケーブルなど(図示していない)を用いてドアストッパー4aに伝達され、ドアストッパー4aが車体本体4と係合可能な状態となる。これにより、スライドドア1を開き方向に移動させても、ドアストッパー4aが車本体側と係合することにより、
図1の挟み込み未然位置以上に開くことが出来ない。
なお、窓部2を開くとき、窓ガラス3は前記のC位置を越えて、前記のD位置まで下降させて窓部2を全開とすることができる。このとき、前記のように、サブアーム9のチャンネルB側先端に位置する操作部25は、当初「閉」位置にある受動部23と接触した状態にあり、窓ガラス3の下降に伴って「開」位置まで受動部23に接した状態で移動し、受動部23が長孔24の端部に達すると、受動部23から離れて移動する。
【0020】
窓部2を閉じるとき、モータによって窓ガラス3が閉じ作動すると、メインアーム8及びサブアーム9が前記の開き動作の場合と逆に回転し、操作部25はその軌道を窓ガラス開放過程と逆方向に移動する。
サブアーム9先のチャンネルB側先端の操作部25は、窓ガラス3の上昇に伴って窓ガラス位置検出器6の受動部23に近づき、前記C位置の前で受動部23に当接し、以後窓ガラス3の上昇と共に受動部23を押し、「閉」位置まで移動させる。窓ガラス3は、この間の上昇で前記のC位置を越える。そして、この間の検出レバー22の「開」から「閉」への移動でドアストッパー4aは車体本体4との係合を解き、スライドドア1を完全に開くことができる状態とする。
したがって、スライドドア1を完全に開けようとする場合は、窓部2を「閉」状態にする必要があり、「閉」状態では窓から顔や手等を出すことはできないので、窓部2から腕や顔が出されたままスライドドア1が全開されてしまう危険を排除することができる。
【0021】
図4は、本発明の実施例2を示す。実施例2は実施例1に対して、サブアーム9のアームガイド側先端に設ける操作部25の構成に特徴を有する。他の構成は同様なので、実施例1で説明した構造を援用する。
サブアーム9のアームガイド側先端部に設けられた操作部25は、二股に分かれた第1突出部26と第2突出部27から成る。
第1突出部26は、第2突出部27よりも短く、サブアーム9が開方向へ回転する時に、第2突出部27より後方に位置するよう形成されている。
【0022】
窓ガラス位置検出器6の検出レバー22に取付けられた受動部23は、「閉」位置において、操作部25の前記第1、第2の突出部26,27の間にゆるく係合された状態とされる。操作部25が「閉」位置から「開」へ回動されると、当初、受動部23は第1突出部26に押されて移動を開始するが、第1突出部26は短いので、徐々に受動部23から離れ、
図4のように、「開」位置では受動部23から離れ、受動部と緩衝しない位置となっている。検出レバー22は、実施例1と同様に、「閉」位置から「開」位置へ回動する方向にばねによって付勢されている。
【0023】
実施例2において、閉じている窓ガラス3の開操作を行うと、受動部23は第1、第2突出部26,27に挟まれているので、受動部23はその移動の当初に第1突出部26によって積極的に押され強制的に移動が開始される。そして、窓ガラス3が前記C位置を越え下降されることにより、操作部25が「開」の位置を越えて回動される場合には、第1突出部26は受動部23と緩衝しない位置にあるので、操作部25が受動部23に衝突することなく、ウインドウレギュレータ5は支障なく作動を継続することができる。
【0024】
窓ガラス3の閉操作では、操作部25は前記の開放時と逆方向に移動する。
操作部25が開位置にある受動部23に達すると、第1突出部26は受動部23の上方を通過し、第2突出部27が受動部23に当接する。そして、サブアーム9の閉方向への回転に伴い、第2突出部27が受動部23を押圧して閉位置まで回動させる。この間に受動部23は第1、第2の突出部26,27の間へ徐々に入り込み、「閉」位置では確実に第1、第2の突出部26,27の間に位置する。
実施例2では、第1突出部26が閉位置にある受動部23及び検出レバー22を開位置へ向かって押圧し、第2突出部27が開位置にある検出レバー22及び受動部23を閉位置へ向かって押圧するので、寒冷地の自動車に搭載して検出レバー22が凍りついた場合でも、確実に窓ガラス3の開閉状態を検出できる。
【0025】
以上、実施例について説明した。実施例1,2では、サブアーム9のチャンネルB側先端側に設けた操作部25で検出レバー22を回動操作し、その回動による変位量をケーブルなどでドアストッパー4aに伝達してストッパー機能を発揮させる構造であるが、検出レバー22が回動されると、軸受け台20に設けたスイッチが操作され、窓開閉位置を電気信号としてドアストッパー4aに伝達してもよい。この場合、ドアストッパー4aは少なくとも作動の開始が電気的に行われる必要がある。
【符号の説明】
【0026】
1 スライドドア
2 窓部
2a 窓部の前枠
2b 乗降口の後縁
3 窓ガラス
4 自動車本体
4a 自動車本体間に配置されたドアストッパー
5 ウインドウレギュレータ
6 窓ガラス位置検出器
7 チャンネルA
8 メインアーム
9 サブアーム
9a サブアームA
9b サブアームB
10 駆動用のモータ
11 回転軸
12 回動軸
13 ギア
14 モーターの出力軸
15 ピニオン
16 インナーパネル
17 ボディプレート
18 スライダー
19 チャンネルB
20 軸受け台
21 軸
22 検出レバー
23 受動部
24 長孔
25 操作部
26 第1突出部
27 第2突出部