(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
造影しながら経時的に収集された複数の3次元医用画像データそれぞれについて、所定の領域ごとに、当該所定の領域に含まれるボクセルそれぞれの特徴量の頻度分布において、非血管領域に相当する特徴量の範囲を特定する特定手段と、
前記所定の領域に含まれるボクセルそれぞれの特徴量のうち、前記特定手段によって特定された特徴量の範囲に含まれる特徴量を用いて前記所定の領域内の特徴量を平滑化させる特徴量設定手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
前記特定手段は、前記所定の領域に含まれるボクセルそれぞれの特徴量の頻度分布において、前記特徴量の最低値から所定の割合までの値の範囲を前記非血管領域に相当する特徴量の範囲として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
前記特定手段は、前記所定の領域に含まれるボクセルそれぞれの特徴量の頻度分布において、各特徴量を最低値から順に加算し、加算後の標準偏差が所定の閾値を上回る前までに加算された特徴量の値から前記最低値までの範囲を前記非血管領域に相当する特徴量の範囲として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
前記特定手段は、複数の3次元医用画像データそれぞれについて、3次元画像データに含まれるノイズに応じて前記所定の領域のサイズを決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
前記特定手段は、複数の3次元医用画像データそれぞれの撮影条件に基づいて、前記3次元画像データに含まれるノイズをそれぞれ算出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
前記特定手段は、複数の3次元医用画像データにおける任意の領域を用いて前記3次元画像データに含まれるノイズをそれぞれ算出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
前記特定手段は、複数の3次元医用画像データそれぞれに含まれる水ファントムの領域を用いて前記3次元画像データに含まれるノイズをそれぞれ算出することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
造影しながら経時的に収集された複数の3次元医用画像データそれぞれについて、所定の領域ごとに、当該所定の領域に含まれるボクセルそれぞれの特徴量の頻度分布において、非血管領域に相当する特徴量の範囲を特定する特定手順と、
前記所定の領域に含まれるボクセルそれぞれの特徴量のうち、前記特定手順によって特定された特徴量の範囲に含まれる特徴量を用いて前記所定の領域内の特徴量を平滑化させる特徴量設定手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、画像処理装置100は、入力部110と、表示部120と、通信部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。例えば、画像処理装置100は、ワークステーションや、任意のパーソナルコンピュータなどであり、図示しない医用画像診断装置や、画像保管装置などとネットワークを介して接続される。医用画像診断装置は、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などである。また、医用画像診断装置は、3次元の医用画像データ(例えば、造影しながら経時的に撮影された頭部や腹部の3次元医用画像データなど)を生成可能である。画像保管装置は、医用画像を保管するデータベースである。具体的には、画像保管装置は、医用画像診断装置から送信された3次元医用画像データを記憶部に格納し、これを保管する。なお、以下では、3次元医用画像データを、ボリュームデータと記す場合がある。
【0009】
上述した画像処理装置100と、医用画像診断装置と、画像保管装置とは、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)により、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
【0010】
入力部110は、マウス、キーボード、トラックボール等であり、画像処理装置100に対する各種操作の入力を操作者から受け付ける。具体的には、入力部110は、パーフュージョン解析に用いられる複数位相のボリュームデータを画像保管装置から取得するための情報の入力などを受け付ける。例えば、入力部110は、パーフュージョン解析に用いるためにX線CT装置のダイナミックスキャンによって経時的に撮影された頭部や腹部のボリュームデータを取得するための入力を受け付ける。
【0011】
表示部120は、立体表示モニタとしての液晶パネル等であり、各種情報を表示する。具体的には、表示部120は、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、後述する制御部150による処理によって生成された表示画像等を表示する。なお、制御部150によって生成される表示画像については、後述する。通信部130は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。
【0012】
記憶部140は、
図1に示すように、画像データ記憶部141と、画像記憶部142とを有する。例えば、記憶部140は、ハードディスク、半導体メモリ素子等であり、各種情報を記憶する。画像データ記憶部141は、通信部130を介して画像保管装置から取得された複数位相のボリュームデータを記憶する。画像記憶部142は、後述する制御部150の処理中の画像データや、処理によって生成された血管領域除去画像等を記憶する。なお、血管領域除去画像については後述する。
【0013】
制御部150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路であり、画像処理装置100の全体制御を行なう。そして、制御部150は、以下、詳細に説明する各部の処理により、血管領域を高精度に除去することを可能にする。
【0014】
ここで、まず、パーフュージョン解析を実行する際の血管除去と、従来技術に係る課題について詳述する。
図2Aは、血管領域を除去しなかった場合のパーフュージョン画像の一例を示す図である。
図2Aにおいては、頭部をスキャンしたX線CT画像のパーフュージョン画像を示す。例えば、パーフュージョン画像において、血管除去をしなかった場合には、
図2Aの矢印に示すように、パーフュージョンの値が高い領域が現れる。これは、血流量の多い血管領域のCT値に起因するものであり、このパーフュージョンの値が高い領域を病変と間違えてしまう可能性もある。従って、パーフュージョン解析を実行する場合には、血管領域を除去することで血管領域がパーフュージョン画像に影響を与えることを抑止している。
【0015】
そこで、例えば、従来技術においては、血管領域の画素値がある時間で高くなることを利用して、任意の閾値以上になる画素領域を血管と判定して除去する技術が知られている。ここで、上述した従来技術では、体動の影響により血管が移動してしまい、注目する画素における値が想定通りに変化しないために、正確に血管領域を特定することができず、血管領域の除去に一定の限界があった。例えば、解析の対象が頭部である場合には、体動をあまり考慮する必要がなく、時系列方向に画素値を加算して血管領域を特定することができる。
【0016】
図2Bは、従来技術に係る血管領域の特定において、体動がない場合の血管領域の特定について説明するための図である。
図2Bにおいては、体動を考慮する必要がない領域(例えば、頭部など)が経時的に撮影されたX線CT画像における血管の座標と、その座標におけるCT値の変化を示す。例えば、頭部などが撮影されたX線CT画像においては、
図2Bの上側の図に示すように、時間の経過に伴って血管に造影剤が到達するが、このときのX線CT画像における血管の座標は、体動がないため、変化しない。すなわち、その座標のCT値(HU)は、
図2Bの下側の図に示すように、血管内を流れる造影剤の流れに応じて徐々に上昇してピークに達し、その後、徐々に低下する。このように、体動がない場合には、撮影された部分と座標との関係が位相ごとに変化しないため、座標ごとのCT値から血管領域を特定することができる。
【0017】
しかしながら、例えば、腹部では、体動や腸管などの不随意な動きがあるため、血管自体も連動して動いてしまい、正確に血管領域を特定することができない。
図2Cは、従来技術に係る血管領域の特定において、体動がある場合の血管領域の特定について説明するための図である。
図2Cにおいては、体動がある領域(例えば、腹部など)が経時的に撮影されたX線CT画像における血管の座標と、その座標におけるCT値の変化を示す。例えば、腹部などが撮影されたX線CT画像においては、
図2Cの上側の図に示すように、時間の経過に伴って血管に造影剤が到達するが、このときのX線CT画像における血管の座標は、体動などの不随意な動きによって変化してしまう。すなわち、その座標のCT値(HU)は、
図2Cの下側の図に示すように、血管内を流れる造影剤の流れを反映したものではなくなってしまう。このように、体動などの不随意な動きがある場合には、撮影された部分と座標との関係が位相ごとに変化してしまうため、座標ごとのCT値から血管領域を特定することができず、血管領域の除去に一定の限界があった。
【0018】
また、頭部においても、ビームハードニング効果によって、頭蓋骨に近い組織のCT値が高くなってしまい、血管領域を正確に特定することが困難となる場合がある。さらに、従来技術では、血管を特定するための閾値が固定であるため、全脳領域の血管を適切に識別して特定することが困難である。また、被写体の大きさや画像の再構成に用いられる再構成関数によってもCT値が変化する。つまり、血管と想定する領域のCT値は多くの要因によって変動しうるため、そのたびに閾値を変更する手間がかかってしまう。
【0019】
そこで、本願に係る制御部150は、以下、詳細に説明する各部の処理により、血管領域を高精度に除去することを可能にする。
図1に戻って、制御部150は、例えば、画像取得部151と、カーネルサイズ決定部152と、血管領域特定部153と、画素値設定部154と、表示制御部155とを有する。そして、制御部150は、パーフュージョン解析に用いられる複数位相のボリュームデータそれぞれについて、血管領域を特定し、血管領域以外の領域のボクセルの特徴量を用いて平滑化処理を実行することで、血管領域を除去した画像を表示する。以下、複数位相のボリュームデータとして、X線CT装置によって経時的に撮影されたボリュームデータを用いる場合を一例に挙げて説明する。
【0020】
画像取得部151は、通信部130を介して、図示しない画像保管装置からパーフュージョン解析に用いられる複数位相のボリュームデータを取得して、画像データ記憶部141に格納する。例えば、画像取得部151は、入力部110を介して操作者から入力された情報に基づいて、X線CT装置によって経時的に撮影されたボリュームデータを取得して、画像データ記憶部141に格納する。
【0021】
カーネルサイズ決定部152は、後述する血管領域特定部153及び画素値設定部154によって用いられるカーネルのサイズを決定する。具体的には、カーネルサイズ決定部152は、後述する血管領域特定部153及び画素値設定部154が、複数のボリュームデータそれぞれについて血管領域を特定し、血管領域以外の領域のボクセルの特徴量(例えば、CT値)を用いて平滑化処理を実行するためのカーネルのサイズを決定する。
【0022】
ここで、カーネルサイズ決定部152は、ボリュームデータに含まれるノイズに応じてカーネルのサイズを決定する。すなわち、カーネルサイズ決定部152は、ノイズの増加に伴う平滑化処理に用いられるCT値の減少を抑止するために、ボリュームデータに含まれるノイズに応じたカーネルサイズを決定する。ここで、ノイズとCT値との関係について説明する。
図3Aは、第1の実施形態に係るノイズとCT値との関係について説明するための図である。
【0023】
図3Aにおいては、同一サイズのカーネルに血管領域と非血管領域が含まれ、ノイズが増加した場合のCT値のとりうる範囲(以下、標準偏差(Standard Deviation):SDと記す場合がある)を示す。
図3Aにおいては、上段にノイズの異なるX線CT画像を示し、下段に各X線CT画像に対応するCT値の範囲を示す。また、
図3Aにおいては、上段のX線CT画像は、左から順にノイズが増加する場合について示す。
【0024】
例えば、
図3Aの左側の図に示すように、ノイズが小さい場合に、血管領域20と非血管領域(その他)10とがとりうるCT値の範囲は40HU〜100HUであるとする。ここで、血管領域20を示す画素に対応するボクセルのCT値は、造影剤により高いCT値を示すことから、100HU側に分布する。一方、非血管領域(その他)10を示す画素に対応するボクセルのCT値は、血流量の多い血管領域よりも低いCT値を示すことから、40HU側に分布する。
【0025】
ここで、例えば、ノイズが高い場合には、
図3Aの真ん中及び右側の図に示すように、ノイズが上昇するにつれて、血管領域と非血管領域(その他)とがとりうるCT値の範囲は広くなる。例えば、
図3Aの真ん中の図に示すように、血管領域21と非血管領域11とがとりうるCT値の範囲は、20HU〜120HUに広がる。同様に、さらにノイズが上昇すると、
図3Aの右側の図に示すように、血管領域22と非血管領域12とがとりうるCT値の範囲は、0HU〜160HUに広がる。すなわち、ノイズとCT値のとりうる範囲とは比例関係にあり、ノイズの上昇に伴って、画像のSDが大きくなる。
【0026】
そのため、
図3Aに示すように、非血管領域(その他)を示す画素に対応するボクセルのCT値のSDも大きくなり、非血管領域(その他)におけるCT値の平均値が低下することとなり、後述する血管領域の特定及び平滑化処理において誤差が生じてしまう。そこで、この誤差を抑制するために、カーネルサイズ決定部152は、ボリュームデータに含まれるノイズに応じてカーネルのサイズを変化させる。
【0027】
図3Bは、第1の実施形態に係るカーネルサイズとCT値との関係について説明するための図である。
図3Bにおいては、上段に同一のノイズでサイズの異なるカーネルによって囲まれたX線CT画像を示す。また、
図3Bにおいては、下段に各X線CT画像における非血管領域(その他)を示す画素に対応するボクセルのCT値の分布を示す。なお、
図3Bの下側の図において、CT値範囲は上側が高く、下側が低い。
【0028】
例えば、
図3Bに示すように、同一のノイズである場合には、カーネルのサイズの変化に関わらず、CT値範囲は変化せず、一定である。すなわち、画像のSDに変化はない。ここで、
図3Bの左側の図に示すように、カーネルのサイズが小さい場合には、非血管領域(その他)を示す画素に対応するボクセルのCT値は、サンプル数が少ないため、CT値範囲にまんべんなく分布する。従って、カーネルサイズが小さい場合には、CT値の平均値は、CT値範囲の中央付近となってしまう。すなわち、
図3Aで示したように、ノイズが少ない画像と比較すると、CT値の平均値は低下する。
【0029】
一方、カーネルサイズを大きくして、非血管領域(その他)を示す画素に対応するボクセルのサンプル数を増加させると、
図3Bの真ん中及び右側の図に示すように、非血管領域(その他)を示す画素に対応するボクセルの真のCT値を反映した値に分布が集中することとなり、真の平均値に近い平均値が算出されることとなる。すなわち、カーネルサイズ決定部152は、ノイズが高い場合にカーネルサイズを大きくすることによって、CT値の平均値の低下を抑止する。
【0030】
上述したように、カーネルサイズ決定部152は、ノイズ(画像のSD)に応じたカーネルサイズを決定する。具体的には、カーネルサイズ決定部152は、記憶部140に予め記憶されたノイズ(画像のSD)とカーネルサイズとが対応付けられたカーネルサイズ情報を用いてカーネルサイズを決定する。なお、カーネルサイズ情報は、ユーザなどにより画像のSDとカーネルサイズとが任意に対応付けられ、記憶部140に格納される。
【0031】
ここで、カーネルサイズ決定部152は、ボリュームデータに含まれる情報を用いて画像のSDを算出し、カーネルサイズ情報を参照して、算出した画像のSDに対応するカーネルサイズを抽出し、抽出したカーネルサイズを当該ボリュームデータに対する処理に用いるカーネルのサイズとして決定する。
【0032】
例えば、カーネルサイズ決定部152は、以下で説明する3つの手法によりボリュームデータごとの画像SDを算出する。
図4は、第1の実施形態に係るカーネルサイズ決定部152による画像SDの決定処理の例を説明するための図である。
図4に示す3つの手法は、ユーザによって任意に選択されて実行される。以下、各手法について、順に説明する。
【0033】
まず、第1の手法について説明する。第1の手法では、カーネルサイズ決定部152は、複数のボリュームデータそれぞれの撮影条件に基づいて、ボリュームデータに含まれるノイズをそれぞれ算出する。例えば、カーネルサイズ決定部152は、
図4の左側の図に示すように、画像撮影時のmAs(単位時間あたりの管電流)を参照して、画像SDを算出する。ここで、
図4に示すように、画像SDとmAsは相関関係にあり、この関係を示すデータが予め記憶部140に格納される。
【0034】
例えば、カーネルサイズ決定部152は、記憶部140に記憶された画像SDとmAsとの関係を示すデータを参照して、ボリュームデータから生成される画像の画像SDを算出する。パーフュージョン解析においては、スキャンの途中でmAsが変更される場合がある(例えば、20 Phaseのスキャンのうち、後半のスキャンを前半の半分のmAsで実行する場合がある)。上記した手法を用いることにより、このような場合にも容易に対応することが可能となる。
【0035】
次に、第2の手法について説明する。第2の手法では、カーネルサイズ決定部152は、複数のボリュームデータにおける任意の領域を用いてボリュームデータに含まれるノイズをそれぞれ算出する。例えば、カーネルサイズ決定部152は、
図4の真ん中の図に示すように、画像を参照して、画像SDを算出する。一例を挙げると、カーネルサイズ決定部152は、パーフュージョン解析に用いられる画像上にユーザによって任意に設定されたROI(Region of Interest)に含まれる画素値(或いは、画素に対応するボクセルのCT値)から画像SDを算出する。
【0036】
上述した手法を用いた場合には、各位相の画像SDの変化からカーネルサイズを変化させてもよい。すなわち、最初の位相の画像SDによってその後の位相の画像SDを正規化し、正規化した倍率によってカーネルサイズを変更する場合であってもよい。例えば、カーネルサイズ決定部152は、最初の位相の画像について、算出した画像SDとカーネルサイズ情報とからカーネルサイズを決定する。そして、カーネルサイズ決定部152は、次の位相の画像SDを最初の位相の画像SDで除算した値を算出する。その後、カーネルサイズ決定部152は、算出した値を最初の位相のカーネルサイズに乗算して得られたサイズを次の位相の画像におけるカーネルサイズとして決定する。カーネルサイズ決定部152は、その後の位相の画像について、上述した手法により順にカーネルサイズを決定する。
【0037】
次に、第3の手法について説明する。第3の手法では、カーネルサイズ決定部152は、複数のボリュームデータそれぞれに含まれる水ファントムの領域を用いてボリュームデータに含まれるノイズをそれぞれ算出する。例えば、カーネルサイズ決定部152は、
図4の右側の図に示すように、水ファントム画像を参照して、画像SDを算出する。一例を挙げると、まず、画像撮影時にFOV内に水ファントムを設置して画像が撮影される。カーネルサイズ決定部152は、撮影された画像内の水ファントム領域に設定されたROIの画像SDを算出する。その後、カーネルサイズ決定部152は、上述した第2の手法と同様の処理を実行することで、各位相のボリュームデータ(画像)におけるカーネルサイズを決定する。
【0038】
なお、上述した3つの手法は、ユーザによって任意に選択されて用いられるが、第3の手法では、水ファントムを用いて画像SDを算出していることから、精度の高い処理を行うことができる。従って、高精度の処理が求められる場合には、第3の手法が用いられることが望ましい。
【0039】
図1に戻って、血管領域特定部153は、造影しながら経時的に収集された複数のボリュームデータそれぞれについて、所定の領域ごとに、当該所定の領域に含まれるボクセルそれぞれの特徴量の頻度分布において、非血管領域に相当する特徴量の範囲を特定する。具体的には、血管領域特定部153は、カーネルサイズ決定部152によって決定されたサイズのカーネルを用いて、カーネルに含まれるボクセルそれぞれの特徴量の頻度分布において、特徴量の最低値から所定の割合までの値の範囲を非血管領域に相当する特徴量の範囲として決定する。
【0040】
また、血管領域特定部153は、カーネルサイズ決定部152によって決定されたサイズのカーネルを用いて、カーネルに含まれるボクセルそれぞれの特徴量の頻度分布において、各特徴量を最低値から順に加算し、加算後の標準偏差が所定の閾値を上回る前までに加算された特徴量の値から最低値までの範囲を非血管領域に相当する特徴量の範囲として決定する。
【0041】
図5は、第1の実施形態に係る血管領域特定部153による処理の一例を説明するための図である。
図5においては、各ボリュームデータから生成されるX線CT画像を表示部120に表示する場合の各画素を丸で示す。また、
図5においては、カーネルサイズ決定部152によってカーネルのサイズが「3×3」に決定された場合の例について示す。
【0042】
例えば、
図5の(A)に示すように、カーネルサイズ決定部152によって、カーネルのサイズが「3×3」に決定されると、血管領域特定部153は、決定された「3×3」のカーネルに含まれる非血管領域(血管領域)を、
図5の(B)に示す2つの手法を用いて特定する。なお、2つの手法はそれぞれ単独で用いてもよく、或いは、2つの手法を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
まず、第1の手法について説明する。例えば、血管領域特定部153は、
図5の(B)の左側に示すように、カーネルに含まれる9つの画素について対応するCT値のヒストグラムを生成し、生成したヒストグラムにおいて下位の任意%に含まれるCT値を、組織を示すCT値として特定する。すなわち、血管領域特定部153は、CT値のヒストグラムにおいて下位から任意%の範囲を非血管領域の範囲として特定し、それ以上の範囲を血管領域の範囲として決定する。
【0044】
血管領域特定部153は、カーネルを1画素分ずつずらしながら、カーネルに含まれる画素に対応するCT値のヒストグラムをそれぞれ生成して、各位置のカーネルにおける非血管領域の範囲を特定する。
【0045】
次に、第2の手法について説明する。例えば、血管領域特定部153は、
図5の(B)の右側に示すように、ヒストグラムを生成した後に、下位のCT値から順に加算処理と、標準偏差の算出を行う。そして、血管領域特定部153は、標準偏差が急激に大きくなる地点を特定して、それ以下を非血管領域として特定する。なお、
図5の(B)の右側の図においては、横軸に標準偏差の算出回数を示し、縦軸に標準偏差を示す。
【0046】
すなわち、血管領域特定部153は、下位からCT値を加算して、そのときの標準偏差を算出して、1回前の標準偏差と差分処理を実行する。ここで、差分した値が所定の閾値を上回った場合に、血管領域特定部153は、標準偏差が急激に大きくなったと判定する。そして、血管領域特定部153は、標準偏差が急激に大きくなったと判定した加算処理の1回前に加算されたCT値から最下位のCT値までの範囲を非血管領域(例えば、組織など)に対応するCT値の範囲であると特定する。これは、
図5の(A)にも示すように、非血管領域(組織)に対応するCT値の分布と、血管領域に対応するCT値の分布とがそれぞれのピークで分かれており、加算処理において血管領域に対応するCT値の加算を開始した場合に、標準偏差が急激に大きくなることを利用した特定手法である。
【0047】
上述した処理についても、血管領域特定部153は、カーネルを1画素分ずつずらしながら、カーネルに含まれる画素に対応するCT値のヒストグラムをそれぞれ生成して、加算処理と標準偏差の判定を行い、各位置のカーネルにおける非血管領域の範囲を特定する。
【0048】
ここで、第1の実施形態に係る血管領域特定部153は、上述した第1の手法及び第2の手法を組み合わせて用いることが可能である。例えば、血管領域特定部153は、まず、第1の手法によって非血管領域の特定を行う。このとき、血管領域特定部153は、同時にヒストグラムにおける分布を解析してピークが明確に2つ存在するか否かを判定する。ここで、ピークが明確に2つ存在しない場合に、血管領域特定部153は、手法を第2の手法に切替え、第2の手法によって非血管領域の特定を行うようにする。
【0049】
なお、上述した第1の手法における下位からの任意の%、及び、第2の手法における閾値は、ユーザによって任意に設定することが可能である。例えば、解析する対象となる組織(頭部の組織や、腹部の組織など)ごとに、下位からの任意の%、閾値を設定するようにしてもよい。
【0050】
図1に戻って、画素値設定部154は、所定の領域に含まれるボクセルそれぞれの特徴量のうち、血管領域特定部153によって特定された特徴量の範囲に含まれる特徴量を用いて所定の領域内の特徴量を平滑化させる。具体的には、画素値設定部154は、血管領域特定部153によってカーネルごとに特定された非血管領域に対応するCT値の範囲に含まれるCT値の平均値を当該カーネルの中心の画素のCT値として設定する。
【0051】
図6は、第1の実施形態に係る画素値設定部154による処理の一例を説明するための図である。
図6においては、
図5に示す大きさ「3×3」のカーネルを用いて非血管領域が決定された場合の画素値設定部154による処理を示す。例えば、画素値設定部154は、
図6の上側に示すように、カーネルで囲まれた9つの画素に対応するCT値それぞれから、血管領域特定部153によって非血管領域として特定された範囲に含まれるCT値を抽出して、平均値を算出する。そして、画素値設定部154は、算出した平均値をカーネルの中心の画素Aに設定する。
【0052】
同様に、画素値設定部154は、
図6の下側の図に示すように、1画素分ずらして非血管領域の範囲が特定されたカーネルに含まれる9つの画素に対応するCT値それぞれから、血管領域特定部153によって非血管領域として特定された範囲に含まれるCT値を抽出して、平均値を算出する。そして、画素値設定部154は、算出した平均値をカーネルの中心の画素Bに設定する。
【0053】
画素値設定部154は、血管領域特定部153によってカーネルごとに非血管領域に対応する範囲が特定されると、非血管領域として特定された範囲に含まれるCT値の平均値を各カーネルそれぞれについて算出し、算出した平均値を各カーネルの中心の画素それぞれに設定する。これにより、各画素で表現される画像は、血管領域に対応する範囲のCT値を除いた画像となる。すなわち、血管領域を除去した画像となる。
【0054】
図1に戻って、表示制御部155は、画素値設定部154によって設定された平均値に対応する画素値を各画素から出力した画像を表示部120に表示させる。
図7は、第1の実施形態に係る表示制御部155による制御によって表示される画像例を示す図である。ここで、
図7においては、
図7の(A)に血管領域を除去していないX線CT画像を示し、
図7の(B)に血管領域を除去したX線CT画像を示す。
【0055】
例えば、表示制御部155は、血管領域を除去していない場合には、
図7の(A)に示すように、血管領域が高輝度で現されるX線CT画像を表示する。一方、上述した各部の処理により血管領域を除去した場合には、表示制御部155は、
図7の(B)に示すように、血管領域の高輝度部分の輝度が抑制されたX線CT画像を表示する。
【0056】
上述した制御部150の処理は、経時的に撮影されたボリュームデータそれぞれについて実行される。すなわち、各位相の画像それぞれについて、カーネルを用いた血管領域除去が実行される。従って、これらの画像を用いてパーフュージョン解析が実行された場合には、体動などの不随意な動きの有無に関わらず、各位相において血管領域の除去が確実に実行されたパーフュージョン画像を提供することが可能である。
【0057】
なお、上述した例では、CT値を用いて血管領域の除去を行う場合について説明した。しかしながら、各画素における特徴量は、画素値を用いる場合であってもよい。すなわち、CT値に対応する画素値を用いて、非血管領域を特定(非血管領域に対応する画素値の範囲を特定)して、各画素における画素値を設定する場合であってもよい。
【0058】
次に、
図8を用いて、第1の実施形態に係る画像処理装置100の処理について説明する。
図8は、第1の実施形態に係る画像処理装置100による処理の手順を示すフローチャートである。なお、
図8においては、各処理に画素値を用いる場合について示す。また、
図8においては、造影しながら経時的に収集された複数のボリュームデータから画像がそれぞれ生成され、画像取得部151によって生成された画像が取得された後の処理について示す。
【0059】
図8に示すように、第1の実施形態に係る画像処理装置100においては、カーネルサイズ決定部152が、1Phase分の画像を取得する(ステップS101)。そして、カーネルサイズ決定部152は、画像SDを算出して(ステップS102)、算出した画像SDに基づいて、カーネルサイズを決定する(ステップS103)。
【0060】
そして、血管領域特定部153は、カーネルサイズ分の画素値を取得して(ステップS104)、ヒストグラムを生成する(ステップS105)。その後、血管領域特定部153は、ヒストグラムにおける血管領域(非血管領域)に対応する範囲を特定する(ステップS106)。
【0061】
そして、画素値設定部154は、血管領域特定部153によって特定された血管領域の範囲に含まれる画素値を除去した画素値の平均値(非血管領域の範囲に含まれる画素値の平均値)を算出して、算出した平均値をカーネルの中心の画素に適用する(ステップS107)。
【0062】
そして、血管領域特定部153は、1Phase分の画素全てに対して処理を行ったか否かを判定する(ステップS108)。ここで、1Phase分の画素全てに対して処理を行っていないと判定した場合には(ステップS108否定)、血管領域特定部153は、ステップS104に戻って、移動した先のカーネルにおいて、カーネルサイズ分の画素値を取得する。
【0063】
一方、1Phase分の画素全てに対して処理を行ったと判定された場合には(ステップS108肯定)、カーネルサイズ決定部152は、全Phase分の画像全てに対して処理が実行されたか否かを判定する(ステップS109)。
【0064】
ここで、全Phase分の画像全てに対して処理が実行されていないと判定した場合には(ステップS109否定)、カーネルサイズ決定部152は、ステップS101に戻って、未処理の1Phase分の画像を取得する。一方、全Phase分の画像全てに対して処理が実行したと判定された場合には(ステップS109肯定)、画像処理装置100は、処理を終了する。
【0065】
上述したように、第1の実施形態によれば、血管領域特定部153が、造影しながら経時的に収集された複数のボリュームデータそれぞれについて、カーネルごとに、カーネルに含まれるボクセルそれぞれの特徴量のヒストグラムにおいて、非血管領域に相当する特徴量の範囲を特定する。そして、画素値設定部154が、カーネルに含まれるボクセルそれぞれの特徴量のうち、血管領域特定部153によって特定された特徴量の範囲に含まれる特徴量を用いてカーネル内の特徴量を平滑化させる。従って、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、各位相の画像それぞれについて、各画素を非血管領域の範囲に相当する画素値から算出された値で設定することができ、血管領域を高精度に除去することを可能にする。その結果、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、パーフュージョン画像を用いた診断の診断能を向上させることを可能にする。
【0066】
また、第1の実施形態によれば、血管領域特定部153は、カーネルに含まれるボクセルそれぞれの特徴量のヒストグラムにおいて、特徴量の最低値から所定の割合までの値の範囲を非血管領域に相当する特徴量の範囲として決定する。従って、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、血管領域に対応する範囲を効率よく除去することを可能にする。
【0067】
また、第1の実施形態によれば、血管領域特定部153は、カーネルに含まれるボクセルそれぞれの特徴量のヒストグラムにおいて、各特徴量を最低値から順に加算し、加算後の標準偏差が所定の閾値を上回る前までに加算された特徴量の値から最低値までの範囲を非血管領域に相当する特徴量の範囲として決定する。従って、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、血管領域に対応する範囲を高精度で除去することを可能にする。
【0068】
また、第1の実施形態によれば、血管領域特定部153は、複数のボリュームデータそれぞれについて、ボリュームデータに含まれるノイズに応じてカーネルのサイズを決定する。従って、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、位相ごとに適切なカーネルサイズを設定することを可能にする。
【0069】
また、第1の実施形態によれば、血管領域特定部153は、複数のボリュームデータそれぞれの撮影条件に基づいて、ボリュームデータに含まれるノイズをそれぞれ算出する。従って、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、撮影条件によって変化するノイズを考慮したカーネルサイズを設定することを可能にする。
【0070】
また、第1の実施形態によれば、血管領域特定部153は、複数のボリュームデータにおける任意の領域を用いてボリュームデータに含まれるノイズをそれぞれ算出する。従って、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、ユーザが設定した領域からノイズを算出することができ、画像の特徴を考慮したカーネルサイズを設定することを可能にする。
【0071】
また、第1の実施形態によれば、血管領域特定部153は、複数のボリュームデータそれぞれに含まれる水ファントムの領域を用いてボリュームデータに含まれるノイズをそれぞれ算出する。従って、第1の実施形態に係る画像処理装置100は、高精度にノイズを算出することができ、より適切なカーネルサイズを設定することを可能にする。
【0072】
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0073】
上述した第1の実施形態においては、画像処理装置100がネットワークを介して医用画像診断装置や画像保管装置と接続され、通信部を介して画像を取得する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、操作者が所望する画像データがフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどの記憶媒体を介して、記憶部140に格納される場合であっても適用可能である。また、本実施形態は、操作者が所望する画像データを記憶する記憶装置が、記憶部140以外に設置される場合であっても適用可能である。
【0074】
上述した第1の実施形態では、X線CT装置によって撮影されX線CT画像を用いる場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、MRI装置によって撮影されたMR画像を用いる場合であってもよい。
【0075】
また、上述した第1の実施形態における画像処理装置100の構成はあくまでも一例であり、各部の統合及び分離は適宜行うことができる。例えば、カーネルサイズ決定部152と血管領域特定部153とを統合したり、血管領域特定部153をヒストグラムを作成するヒストグラム作成部と領域特定部に分離したりすることが可能である。
【0076】
以上説明したとおり、第1の実施形態及び第2の実施形態によれば、本実施形態の画像処理装置及びプログラムは、血管領域を高精度に除去することを可能にする。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。