(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989507
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】リッドロック装置
(51)【国際特許分類】
E05B 83/34 20140101AFI20160825BHJP
B60K 15/05 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
E05B83/34
B60K15/05 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-240514(P2012-240514)
(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公開番号】特開2014-88741(P2014-88741A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121120
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男
(72)【発明者】
【氏名】石原 博稔
(72)【発明者】
【氏名】森山 陽一郎
【審査官】
佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭59−78463(JP,U)
【文献】
実開昭60−44829(JP,U)
【文献】
実開昭56−113021(JP,U)
【文献】
実開昭56−114929(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
B60K 11/00− 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッドと係合脱離するロックピンと、前記ロックピンを操作するためのケーブルと、前記ケーブルに与えられた操作力を前記ロックピンに伝達するリンク部材と、前記ロックピン及び前記リンク部材を収容するハウジングとを備え、
固定対象物に嵌合して回転されることにより前記ハウジングを固定対象物へ固定する嵌合固定部を有し、
前記ロックピンを前記ハウジングから押し出す方向に付勢するコイルスプリングを有し、
前記ロックピンは、前記ハウジングの突出孔から突出可能なように、前記ハウジングに配置され、
前記リンク部材は、前記ロックピンと接続するロックピン接続部と、前記ケーブルのケーブルエンドと接続するケーブル接続部とを有し、
前記ケーブルの引き操作をすることで、前記リンク部材が前記ロックピンを前記ハウジングに収納する方向に移動し、前記ケーブルの引き操作を開放することで、前記コイルスプリングの付勢力により前記ロックピンが前記ハウジングから突出する方向に移動するように構成され、
前記ハウジング中に、前記ロックピンを操作させるための動作をなす動作面が、前記ロックピンの軸と平行となるように前記リンク部材が配置され、
前記ハウジングが前記ロックピンを収容するロックピン収容部と前記リンク部材を収容するリンク収容部とを有し、前記ロックピン収容部と前記リンク収容部との間に挟まれた空間が形成され、前記ハウジングが回転されて前記固定対象物に固定する際に、固定初期の前記空間の位置に前記リンク収容部が固定終期に位置するようにされたことを特徴とするリッドロック装置。
【請求項2】
前記ハウジングが前記ロックピンの移動方向と直交する断面における外形が略L字状であることを特徴とする、請求項1に記載のリッドロック装置。
【請求項3】
前記ロックピンが分割可能であり、一方をハウジングに収納し、他方を前記ハウジングにおける前記突出孔から収納させて、前記ハウジング内で嵌合可能な嵌合構造を備えたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のリッドロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッドロック装置に関し、さらに詳しくは、自動車のフューエルリッドのロック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に用いられるフューエルリッドなどのリッドをロックするリッドロック装置は、車体に取り付けられ、遠隔操作によりリッドのロック・アンロックを行う。例えば、
図1に示すように、リッドロック装置としてフューエルリッドのロック装置は、ワンボックスタイプの車体20の車体後方側に採用されるのが通常である。車体20の側面には、中央に位置するレール20a、上端及び下端に位置するレール20b,20bが設けられている。車体20の側面には、レール20a、20bに沿ってスライド移動可能なスライドドア21が取り付けられている。スライドドア21の後方の車体20の側面には、フューエルリッド22が設けられている。リッドロック装置1は、運動変換機構11と、その運動変換機構11から運動が伝達されスライドドア21のスライド移動を規制するストッパ6とからなる。運動変換機構11は、フューエルリッド22の周囲に配置されており、ストッパ6は中央のレール20aの付近に設けられている。また、ストッパ6を上下のレール20bに設けられることもある。
【0003】
自動車のフューエルリッドをロックするためのリッドロック装置として、特許文献1に記載されたようなものがある。
特許文献1に記載されたリッドロック装置は、プランジャ、インナーケーブル、ストッパ、リンク部材、係合ピン、ロックレバーを有している。プランジャは、フューエルリッドの開閉により突出・引き込み位置に移動する。インナーケーブルは、プランジャにより押し引きされる。ストッパには、インナーケーブルの一端が接続され、ストッパは、スライドドアの作動範囲に出没する。リンク部材は、プランジャの突出・引き込み運動をインナーケーブルの押し引き運動に連動して回動する。係合ピンは、スライドドアのロック・アンロックに同期して移動する。ロックレバーは、リンク部材に設けられ、係合ピンと係合可能である。
【0004】
このリッドロック装置では、プランジャが引き込み位置にあるときに、係合ピンがドアロックによりプランジャ方向へ移動した際にロックレバーの被係合部と係合する。ロックレバーは、係合ピンから離間する方向へ回動可能にリンク部材に接続されている。また、プランジャは、リンク部材と摺動可能に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−080301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したようなリッドロック装置では、ケーブルによって遠隔操作され、スプリング等の付勢部材によってリッドと係合脱離するように、車体に取り付けられている。
車体が軽量化された自動車や電気自動車又はプラグインハイブリッド車などの充電操作が必要な車体の場合、フューエルリッドや充電リッドの取り付けスペースが限定される。また、フューエルリッドや充電リッドは、設置位置によっては、路面上から跳ね上げられた水や泥がかかるおそれがある。この場合、リッドロック装置を防水のためにハウジング内に収納しておく必要がある。
【0007】
本発明の課題は、ハウジングを有するリッドロック装置を限られたスペースで車体に固定可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0009】
本発明の一見地に係るリッドロック装置は、ロックピンと、ケーブルと、リンク部材と、ハウジング、嵌合固定部、コイルスプリングとを備えている。ロックピンは、リッドと係合脱離する。ケーブルは、ロックピンを操作するためのものである。リンク部材は、ケーブルに与えられた操作力をロックピンに伝達する。ハウジングは、ロックピン及びリンク部材を収容する。嵌合固定部は、固定対象物に嵌合して回転されることによりハウジングを固定対象物へ固定する。コイルスプリングは、ロックピンをハウジングから押し出す方向に付勢する。
ここで、ロックピンは、ハウジングの突出孔から突出可能なように、ハウジングに配置されている。リンク部材は、ロックピンと接続するロックピン接続部と、ケーブルのケーブルエンドと接続するケーブル接続部とを有している。
また、ケーブルの引き操作をすることで、リンク部材がロックピンをハウジングに収納する方向に移動し、ケーブルの引き操作を開放することで、コイルスプリングの付勢力によりロックピンがハウジングから突出する方向に移動するように構成されている。
さらに、ハウジング中に、ロックピンを操作させるための動作をなす動作面が、ロックピンの軸と平行となるようにリンク部材が配置されている。
ハウジングがロックピンを収容するロックピン収容部とリンク部材を収容するリンク収容部とを有し、ロックピン収容部とリンク収容部との間に挟まれた空間が形成され、ハウジングが回転されて固定対象物に固定する際に、固定初期の空間の位置にリンク収容部が固定終期に位置するようにされる。
【0010】
本発明では、嵌合固定部が固定対象物に対して嵌合して回転されることによって、ハウジングが固定対象物に固定される。このとき、ロックピン収容部とリンク収容部との間に挟まれた空間側に、リンク収容部を移動させるようにハウジングが回転される。このことにより、リッドロック装置を収容するハウジングのうち、予めロックピン収容部とリンク収容部との間に設けられた空間に、リンク収容部が位置するように移動されることから、限られたスペースでリッドロック装置を取り付けることが可能となる。
【0011】
リッドロック装置では、ハウジングは、ロックピンの移動方向と直交する断面における外形が略L字状とすることができる。
この場合、ロックピン収容部を中心にハウジングを回転させて、固定対象物に嵌合固定する場合に、固定終期にリンク収容部が略L字状の空間に位置するように移動させることができる。
【0012】
リッドロック装置では、ロックピンが分割可能であり、一方をハウジングに収納し、他方をハウジングにおける突出孔から収納させて、ハウジング内で嵌合可能な嵌合構造を備えることができる。
この場合、分割されたロックピンの一方をハウジング内に収納した状態で、固定対象物にハウジングを嵌合固定した後、ロックピンの他方を外部から挿入して、ハウジング内で嵌合する。このことにより、ハウジング内に予めロックピンを収納する場合に比して、ハウジングの大きさを軽減することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るリッドロック装置は、限られたスペースで車体に固定することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】車両にリッドロック装置が採用される車体の概略説明図である。
【
図2】本発明の1実施形態に係るリッドロック装置の説明図である。
【
図6】リッドロック装置を固定対象物に取り付ける際の動作を示す説明図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に採用されるロックピンの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)第1実施形態
図2は、本発明の1実施形態に係るリッドロック装置の説明図であり、
図3は、リッドロック装置の要部拡大説明図、
図4は、リッドロック装置の正面図、
図5は、リッドロック装置の側面図である。
【0016】
図2に示すように、運動変換機構11は、ロックピン230と、ケーブル210と、リンク部材220と、ハウジング201とを備えている。
ロックピン230は、車体20の側面に取り付けられるフューエルリッド22(
図1参照)と係合脱離可能に設けられる。
ケーブル210は、ロックピン230を操作するためのものであり、筒形状の外索211と、外索211の内部を摺動可能な内索212とを有している。
内索212の一端は、ロックピン230とフューエルリッド22とのロック状態の解除を操作するための操作部213に固定されている。
内索212の他端であるケーブルエンド214は、リンク部材220に固定されている。
【0017】
リンク部材220は、ケーブル210に与えられた操作力をロックピン230に伝達するものである。リンク部材220は、ロックピン230と接続するロックピン接続部223と、ケーブル210のケーブルエンド214と接続するケーブル接続部221とを有している。
リンク部材220は、ロックピン接続部223とケーブル接続部221との中間に位置する支持軸222によって、回転自在に支持される。
【0018】
ハウジング201は、ロックピン230及びリンク部材220を収容するものである。
ハウジング201は、ロックピン230を収容するロックピン収容部202と、リンク部材220を収容するリンク収容部203とを有している。
ロックピン収容部202は、略円筒形状に形成されており、ロックピン230を摺動可能に収容する。ロックピン収容部202の先端には、ロックピン230を突出可能な突出孔205を有し、さらに、固定対象物(図示せず)に嵌合可能な嵌合固定部204を有している。
【0019】
ロックピン230の一方の端部には、ロックピン収容部202の突出孔205から外部に突出して、フューエルリッド22に係合可能なロック係合部231が形成される。
また、ロックピン230は、ロックピン収容部202内を貫通して収容されており、他方の端部はリンク収容部203に位置するリンク係合部232が形成される。
さらに、ロックピン230にはコイルスプリング240が取り付けられており、ロック係合部231が突出孔205から突出する方向に付勢されている。具体的には、コイルスプリング240は、ハウジング201内に収容され、ロックピン230と同軸になるようにコイルスプリング240の一端側の一部がロックピン230の他の端部側に設けられた孔に収容され、コイルスプリング240の他端がハウジング201の内面に当接するように配置されている。
【0020】
リンク部材220は、支持軸222によってハウジング201に対して回転可能に支持されており、ケーブル210の内索212の押し引き運動に対応して、支持軸222を中心に回転する。具体的には、リンク部材220は、ハウジング201中に、ロックピン230を操作させるための動作をなす動作面が、ロックピン230の軸と平行となるように配置されている。
リンク部材220のロックピン接続部223は、ロックピン230のリンク係合部232に係合している。
内索212が、操作部213側に引かれると、リンク部材220が、
図3の反時計方向に回転する。これにより、リンク部材220のロックピン接続部223が、ロックピン230のリンク係合部231に作動し、コイルスプリング240の付勢に抗してロックピン230を移動させる。
このことにより、ロックピン230のロック係合部231がロックピン収容部202の突出孔205に引き込まれ、フューエルリッド22との係合が解除されて、フューエルリッド22のロックが解除される。
【0021】
(2)取付工程
図6は、リッドロック装置を固定対象物に取り付ける際の動作を示す説明図である。
図示したように、ロックピン収容部202とリンク収容部203は、ロックピン230の軸方向から見て略L字状に配置されており、ロックピン収容部202とリンク収容部203との間に挟まれた空間300が形成されている。
ロックピン収容部202の先端に形成された嵌合固定部204を、固定対象物の嵌合部(図示せず)に挿入して所定角度回転することによって、ハウジング201を固定対象物に固定することが可能である。
【0022】
図6に示すように、ハウジング201を固定対象物に固定する際には、まず、ハウジング201を固定初期位置Sに位置させる。このとき、図示したように、空間300は初期位置Aに位置する。
次に、ロックピン230の軸周りに図の時計方向にハウジング201を回転させることにより、ハウジング201を固定終期位置Eに位置させる。このことにより、嵌合固定部204を固定対象物の嵌合部に嵌合固定することができる。
【0023】
ハウジング201が固定終期位置Eに位置する場合、
図6に示すように、空間300の初期位置Aにリンク収容部203が位置する。
【0024】
以上に述べたように、嵌合固定部204が固定対象物に対して嵌合して回転されることによって、ハウジング201が固定対象物に固定される。このとき、ロックピン収容部202とリンク収容部203との間に挟まれた空間300側に、リンク収容部203を移動させるようにハウジング201が回転される。このことにより、リッドロック装置1を収容するハウジング201のうち、予めロックピン収容部202とリンク収容部203との間に設けられた空間300に、リンク収容部203の一部が位置するように移動されて固定されることから、運動変換機構11の取り付け時のハウジング201の回転のために必要なスペースを小さくすることができ、限られたスペースでリッドロック装置1を取り付けることが可能となる。
この結果、リッドロック装置1は、ハウジング201の形状を小型化することを可能とし、スペースが限られた車体にも取り付けることが可能となる。
【0025】
本実施形態では、ハウジング201は、ロックピン230の移動方向と直交する断面における外形が略L字状であるが、本発明はこの実施形態に限定されない。
また、空間の形状は前記実施形態に限定されない。
さらに、ハウジング201内の各部材であるリンク部材220、ロックピン230、コイルスプリング240の具体的な形状及び配置は前記実施形態に限定されない。
【0026】
(3)第2実施形態
図7は、本発明の第2実施形態に採用されるロックピンの説明図である。
第1実施形態に係るリッドロック装置1において、ロックピン230を分割することができる。
図7に示すように、ロックピン230は、第1ピン250と第2ピン260とで構成されている。
第1ピン250は、一方の端部がロックピン収容部202の突出孔205から外部に突出するように、ロックピン収容部202に収容可能である。第1ピン250の一方の端部は、フューエルリッド22に係合可能なロック係合部251を構成している。
第1ピン250の他方の端部は、第2ピン260と嵌合可能な第1嵌合部252を構成している。
【0027】
第2ピン260は、一方の端部がリンク部材220のロックピン接続部223と係合可能なリンク係合部262を側面に有し、コイルスプリング240の一部を収納可能なコイルスプリング収容孔263を有している。
また、第2ピン260の他方の端部は、第1ピン250と嵌合可能な第2嵌合部261を構成している。
【0028】
第2ピン260のリンク係合部262とリンク部材220のロックピン接続部223とが係合する状態で、第2ピン260をロックピン収容部202に収容しておく。
この状態で、第1ピン250をロックピン収容部202の突出孔205から挿入し、第1嵌合部252と第2嵌合部261とを嵌合させる。
【0029】
このように構成することにより、ハウジング201のサイズをロックピン230の全長以上にする必要がなくなり、ハウジング201を小型化することが可能である。
【0030】
なお、第1ピン250を予めロックピン収容部202に収容しておき、第2ピン260をロックピン収容部202の後部から挿入して、ハウジング201内部で嵌合することも可能である。
この場合も、ハウジング201のサイズをロックピン230の全長以上に設定する必要がなくなり、ハウジング201を小型化することが可能である。
ただし、この構成では、第2ピン260を挿入するための開口が必要となることから、防水構造にすることが困難である。
【0031】
(4)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、フューエルリッドや充電リッドを有する自動車の車体に適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 リッドロック装置
6 ストッパ
11 運動変換機構
20 車体
20a レール
20b レール
21 スライドドア
22 フューエルリッド
201 ハウジング
202 ロックピン収容部
203 リンク収容部
210 ケーブル
211 外索
212 内索
213 操作部
214 ケーブルエンド
220 リンク部材
221 ケーブル接続部
222 支持軸
223 ロックピン接続部
230 ロックピン
231 ロック係合部
232 リンク係合部
240 コイルスプリング
250 第1ピン
251 ロック係合部
252 第1嵌合部
260 第2ピン
261 リンク係合部
262 第2嵌合部
263 コイルスプリング収容孔
300 空間