(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
切断材を載置するテーブルと、該テーブルの上方に支持された切断機本体と、該切断機本体を直角切り位置に加えて左側又は右側に複数の傾斜角度の傾斜切り位置についてストッパ部材の当接により位置決め可能な傾斜位置決め機構を備えた卓上切断機であって、
前記切断機本体を直角切り位置に位置決めする位置決め位置と、該位置決め位置から外れた退避位置との間を移動する第1切り換え部材と、該第1切り換え部材を前記位置決め位置から退避位置に移動させるための操作部材を備え、
前記傾斜位置決め機構は、前記操作部材の解除操作による前記第1切り換え部材の前記退避位置への移動動作により移動して傾斜角度を切り換える第2切り換え部材を備えており、前記操作部材の操作により前記第1切り換え部材を介して前記第2切り換え部材を連動して移動させることにより位置決め可能な傾斜角度を切り換える構成とされ、
前記切断機本体を左側又は右側に少なくとも4つの傾斜角度に位置決め可能で、前記直角切り位置を含む該全ての傾斜角度について前記操作部材の1方向への操作により傾斜角度を切り換え可能な構成とした卓上切断機。
請求項1記載の卓上切断機であって、前記少なくとも4つの傾斜角度は、前記直角切り位置を除いて、左側又は右側の何れか一方について少なくとも2つの傾斜角度が設定された卓上切断機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のポジティブストップ機構についてもさらに改良を加えて使い勝手を向上させる必要があった。例えば、上記の特許文献に開示された技術によれば、切断機本体を左側又は右側へ傾斜させる場合には、直角位置を位置決めするための第1切り換え部材を退避操作(直角位置決め状態の解除操作)と、傾斜角度を切り換えるための操作とをそれぞれ別の操作部材の操作により行う構成となっていた。このため、切断機本体を左側又は右側へ傾斜させるためには2つの操作部材を操作する必要があり、この点で操作が面倒で当該切断工具の操作性ひいてはその使い勝手を改善する必要があった。
本発明は、切断機本体を使用者から向かって左側又は右側に傾斜させる際の操作性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は以下の各発明により解決される。
第1の発明は、切断材を載置するテーブルと、テーブルの上方に支持された切断機本体と、切断機本体を直角切り位置に加えて、使用者から向かって左側又は右側に複数の傾斜角度の傾斜切り位置についてストッパ部材の当接により位置決め可能な傾斜位置決め機構を備えた卓上切断機であって、傾斜位置決め機構は、切断機本体を左側又は右側に少なくとも4つの傾斜角度に位置決め可能で、直角切り位置(傾斜角度0°)を含むこの全ての傾斜角度について1つの操作部材の1方向への操作により傾斜角度を切り換え可能な構成とした卓上切断機である。
第1の発明によれば、1つの操作部材の1方向への操作により切断機本体の傾斜角度を切り換えることができるので、直角切り位置の解除操作と傾斜角度の切り換え操作を行うために別々に設けられた2つの操作部材をそれぞれ個別に操作することを必要とする従来構成に比して当該卓上切断機の操作性ひいては使い勝手を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明において、少なくとも4つの傾斜角度は、直角切り位置を除いて、左側又は右側の何れか一方について少なくとも2つの傾斜角度が設定された卓上切断機である。
第2の発明によれば、直角切り位置(傾斜角度0°)を除いて、左側又は右側の一方に少なくとも2つの傾斜角度に切断機本体を位置決めすることができる。第2の発明によれば、例えば、直角切り位置の他、左側に45°と48°、右側に5°の合計3つの傾斜角度を設定することができる。さらに、左右両側にそれぞれ45°と48°に位置決め可能として合計5つの傾斜角度(直角切り位置含む)を設定することができる。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、切断機本体を直角切り位置に位置決めする位置決め位置と、この位置決め位置から外れた退避位置との間を移動する第1切り換え部材と、第1切り換え部材を位置決め位置から退避位置に移動させるための操作部材を備え、傾斜位置決め機構は、操作部材の解除操作による第1切り換え部材の退避位置への移動動作により移動して傾斜角度を切り換える第2切り換え部材を備えており、操作部材の操作により第1切り換え部材を介して第2切り換え部材を連動して移動させることにより位置決め可能な傾斜角度を切り換える構成とした卓上切断機である。
第3の発明によれば、1つの操作部材を1方向に操作すると、直角切り位置の位置決め状態が解除されるとともに、第2切り換え部材が連動して移動することにより位置決めされる傾斜角度が自動的に切り換えられる。このように1つの操作部材の1方向への操作により位置決め可能な傾斜角度が切り換えられるので、2つの操作部材に対する2つの操作を要する従来構成に比して当該卓上切断機の操作性及び使い勝手を高めることができる。
第4の発明は、第3の発明において、操作部材の解除操作により第1切り換え部材を円弧移動させ、該第1切り換え部材の円弧移動により前記第2切り換え部材を直接移動させて傾斜角度を切り換える構成とした卓上切断機である。
第4の発明によれば、操作部材を解除操作すると第1切り換え部材が円弧移動して位置決め位置から退避する。第1切り換え部材が位置決め位置から退避されると、切断機本体の直角切り位置での位置決め状態が解除される。第1切り換え部材が円弧移動して位置決め位置から退避されると、第2切り換え部材が直線移動して傾斜角度が切り換えられる。第2切り換え部材が直線移動することによりストッパ部材の当接部位が変化して切断機本体の位置決め可能な傾斜角度が切り換えられる。
第5の発明は、第4の発明において、操作部材を直線移動させて前記第1切り換え部材を円弧移動させる構成とした卓上切断機である。
第5の発明によれば、操作部材を直線移動操作する、第1切り換え部材が円弧して切断機本体の直角切り位置での位置決め状態が解除される。
第6の発明は、第3〜第5の発明において、第2切り換え部材にストッパ部材を当接させて切断機本体を第1傾斜角度に位置決め可能であり、第2切り換え部材を移動させて該第2切り換え部材とは別の傾斜位置決め部材に前記ストッパ部材を当接させて前記切断機本体を第2傾斜角度に位置決め可能な構成とした卓上切断機である。
第6の発明によれば、第2切り換え部材の直線移動により、当該第2切り換え部材にストッパ部材が当接する状態と、第2切り換え部材には当接せず別の傾斜位置決め部材にストッパ部材が当接する状態とに切り換えられて、切断機本体の位置決め可能な傾斜角度が切り換えられる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明の実施形態を
図1〜
図13に基づいて説明する。
図1に示すように卓上切断機1は、上面に切断材Wを固定するためのテーブル2と、このテーブル2を水平方向に一定の角度範囲で回転可能に支持するベース3と、テーブル2の後部(
図1において左端部)に設けた本体支持部4と、この本体支持部4によってテーブル2の上方に支持された切断機本体10を備えている。
図1においてこの卓上切断機1の右側に使用者Hが位置する。以下説明する部材あるいは構成等の前後方向、左右方向及び上下方向については、使用者Hを基準として用いる。図にも各方向が表示されている。なお、
図3以下は後側から見た図であるので、左右方向が紙面の左右方向とは反対になっている。
テーブル2の上面には、切断材Wをテーブル面方向に位置決めするための位置決めフェンス5が配置されている。この位置決めフェンス5は、ベース3の左右側部に設けた一対の補助テーブル部3a,3a間に跨った状態に取り付けられており、テーブル上面との間に僅かな隙間が設けられてテーブル2の水平回転が許容されるようになっている。位置決めフェンス5により位置決めされた切断材Wは、図示省略したクランプ装置によってテーブル2の上面に沿って固定される。
本体支持部4は、切断機本体10をテーブル2に対して前後方向(
図1において左右方向)にスライド可能に支持するスライド支持部7と、切断機本体10を使用者から見て左右(
図1において紙面に直交する方向)に一定の傾斜角度で支持するための傾斜支持部20を備えている。傾斜支持部20の本体支持アーム26の上部にスライド支持部7を介して切断機本体10が支持されている。スライド支持部7は、左右に一定の間隔をおいて相互に平行に配置された2本のスライドバー7a,7aを備えている。2本のスライドバー7a,7aの前端はホルダ7bで相互に結合されている。このホルダ7bに上下傾動支軸9を介して切断機本体10が上下に傾斜可能に支持されている。スライド支持部7による切断機本体10のスライド方向が切断方向となる。通常、切断機本体10を手前側から後側(
図1において右側から左側)に向けてスライドさせることによって切断材Wの切断がなされる。
【0008】
切断機本体10は、本体ケース11を備えている。本体ケース11の後部が上下傾動支軸9を介してスライド支持部7のホルダ7bに支持されている。本体ケース11によって円形の回転刃具12の上側ほぼ半周の範囲が覆われている。回転刃具12は、
図1において時計回り方向に回転する。回転刃具12はスピンドル13に取り付けられている。スピンドル13は本体ケース11に回転支持されており、本体ケース11の背面側(使用者Hから見て右側部)に取り付けた電動モータ(図では見えていない)と減速歯車列を経て回転する。スピンドル13の回転軸線が、回転刃具12の回転軸線となる。
また、本体ケース11の背面側には、使用者が把持するハンドル部14が設けられている。使用者がこのハンドル部14を把持してトリガ式のスイッチレバー(図では見えていない)を指先で引き操作すると電動モータが起動して回転刃具12が回転する。また、使用者がハンドル部14を把持して当該切断機本体10を上下傾動支軸9を中心にして下方へ傾動操作することにより回転する回転刃具12を切断材Wに対して切り込むことができる。回転刃具12の下側ほぼ半周の範囲(
図1ではほぼ全開状態で示されている)は、可動カバー16によって覆われるようになっている。この可動カバー16は、スピンドル13と平行な支軸を介して上下に回動可能な状態で本体ケース11に支持されている。この可動カバー16は、ホルダ7bとの間に介装したリンクレバー17によって切断機本体10の上下動に連動して開閉される。
本実施形態は、傾斜支持部20について従来にない特徴を有するもので、卓上切断機1についてのその他の基本的構成については特に変更を要しない。
【0009】
図2以降に傾斜支持部20の詳細が示されている。この傾斜支持部20は、それぞれ概ね円形の椀形を有する傾斜基台部21と傾斜可動部22を備えている。傾斜基台部21は、テーブル2の後部に一体に設けられている。
傾斜可動部22は、左右傾動支軸23を介して傾斜基台部21に回転可能に結合されている。傾斜可動部22の上部に本体支持アーム26が上方へ延びる状態で一体に設けられている。このため、左右傾動支軸23を中心にして傾斜可動部22を傾斜基台部21に対して回転させることにより切断機本体10を左右に傾斜させることができる。
左右傾動支軸23の後端部にはねじ軸部が設けられ、このねじ軸部には固定レバー28が締め付けられている。この固定レバー28を締め付け方向に回転操作すると、傾斜可動部22が傾斜基台部21に対して固定されて、切断機本体10の左右傾動位置が固定される。固定レバー28を緩め方向に回転操作すると、傾斜可動部22が傾斜基台部21に対して回転可能となり、従って切断機本体10を左側又は右側へ傾斜させることができる。
傾斜基台部21に対する傾斜可動部22の回動位置、ひいては切断機本体10の左右の傾斜位置は、直角切り位置(傾斜角度0°)から3つの傾斜角度を選択して位置決めできるようになっている。第1実施形態の場合、左側へ45°、左側へ48°、右側へ5°を選択して切断機本体10を位置決めすることができるようになっている。
切断機本体10の直角切り位置は、切断材Wをいわゆる直角切りするための位置で、回転刃具12の回転軸線(スピンドル13の軸線)をテーブル2の上面に対して平行に位置させて、当該回転刃具12をテーブル2の上面に直角に位置させた状態となる。この直角切りが最も多用される切断形態である。この直角切り位置は、従来公知(例えば特開2003−205501号公報)の直角位置決め機構30によって位置決めされる。
【0010】
図3に示すようにこの直角位置決め機構30は、第1切り換え部材31を備えている。第1切り換え部材31は、支軸32を介して傾斜可動部22の内部に回動可能に支持されている。支軸32は、左右傾動支軸23に対して平行に配置されている。第1切り換え部材31の回動先端側には、円柱体形の当接部31aが設けられている。この当接部31aは、傾斜基台部21の内部(前側)に延びている。
第1切り換え部材31は、図示省略した捩りばねによって
図3において時計回り方向に付勢されている。この捩りばねによって第1切り換え部材31は、その当接部31aを傾斜可動部22の内壁に設けた直角位置決め用の位置決め壁部22aに当接させた位置決め位置に保持される。
図3に示すように、傾斜基台部21の上部右側には、直角位置決め用の第1ストッパ部材B1が設けられている。この第1ストッパ部材B1は、傾斜基台部21の外部から内部に貫通してその先端部を内周側に突き出した状態に配置されている。この第1ストッパ部材B1が、切断機本体10を直角切り位置に位置決めする機能を有しており、本実施形態ではボルト(ねじ)が用いられている。第1切り換え部材31が位置決め位置に保持されてその当接部31aを位置決め壁部22aに当接させた状態で、当該当接部31aに第1ストッパ部材B1を当接させることで切断機本体10が直角切り位置に位置決めされる。この位置決め状態で、固定レバー28を固定側に締め付けて傾斜基台部21に対して傾斜可動部22を固定することにより、切断機本体10が直角切り位置に固定される。
【0011】
第1切り換え部材31が捩りばねの付勢力によりその当接部31aを傾斜可動部22の位置決め壁部22aに当接させた位置決め位置に位置する状態では、切断機本体10を左側へ傾斜させることができる一方、右側へ傾斜させることができない。切断機本体10を右側へ傾斜させる場合には、第1切り換え部材31を
図4に示すように捩りばねに抗して図示反時計回り方向(当接部31aを位置決め壁部22aから離間させる方向)に回転させた退避位置に変位させる必要がある。
第1切り換え部材31を退避位置に変位させるには、傾斜可動部22の左側部に設けた操作部材36を押し操作する。この操作部材36は、作動軸部36aを備えている。この作動軸部36aを介して当該操作部材36は、直線移動可能な状態で傾斜可動部22の左側部に支持されている。この作動軸部36aは、傾斜可動部22の内側に突き出されている。この作動軸部36aの先端部は、第1切り換え部材31の側部に向けられている。この操作部材36は、圧縮ばね38によってその作動軸部36aの先端部を位置決め部材31の側部に突き当てた状態に保持される。この圧縮ばね38の付勢力に抗して当該操作部材36を
図4中白抜きの矢印で示すように右側へ押し操作すると、作動軸部36aで押されることにより第1切り換え部材31が捩りばねの付勢力に抗して退避位置側に変位する。第1切り換え部材31が退避位置に移動すると、その当接部31aが第1ストッパ部材B1に当接しない位置に変位して傾斜可動部22が傾斜基台部21に対して
図4において反時計回り方向へ回動可能となり、これにより切断機本体10を
図7に示すように右側へ傾斜させることができるようになる。操作部材36は、その押し操作を止めることにより圧縮ばね38によって
図3に示す初期位置に戻される。
切断機本体10を右側へ傾斜させた状態から再び左側に戻すと、直角切り位置を通過した段階で第1切り換え部材31が捩りばねの付勢力によって退避位置から位置決め位置に自動的に戻される。このため、直角切り位置を通過した後、再度右側へ戻すと、第1切り換え部材31の当接部31aが位置決め壁部21bと第1ストッパ部材B1の双方に当接して、当該切断機本体10が直角切り位置に精確に位置決めされる。
第1ストッパ部材B1は、傾斜基台部21の外部からその締め込み量を調整することができる。第1ストッパ部材B1の締め込み量を調整することにより、直角切り位置を微調整することができる。右側への傾斜位置決めについては後述する。
【0012】
傾斜支持部20は、上記直角位置決め機構30に加えて傾斜位置決め機構40を備えている。この傾斜位置決め機構40によって、上記の直角切り位置の他、切断機本体10を左側へ45°、48°、及び右側へ5°傾斜させた傾斜位置に位置決めすることができる。
この傾斜位置決め機構40は、第2及び第3ストッパ部材B2,B3と第2切り換え部材41を備えている。
図3において左側の第2ストッパ部材B2は切断機本体10を左側へ45°又は48°傾斜させた位置に位置決めする機能を有し、
図3において右側の第3ストッパ部材B3は切断機本体10を右側へ5°傾斜させた位置に位置決めする機能を有している。本実施形態では、第1ストッパ部材B1と同じく第2、第3ストッパ部材B2,B3にもボルト(ねじ)が用いられている。
第2切り換え部材41は、傾斜可動部22の内部に一体に設けた支持台座部22bと左右傾動支軸23との間に跨った状態で上下に移動可能に設けられている。第2切り換え部材41の長手方向中央には、その長手方向に長い溝孔形状の支持孔41aが設けられている。この支持孔41a内に左右傾動支軸23がその径方向(上下方向)に相対変位可能に挿通されている。
第2切り換え部材41の下部には、前側へL字形に屈曲する切り換え縁部41b,41cが設けられている。この左右一対の切り換え縁部41b,41c間に支持台座部22bが上下に相対変位可能な状態で挟み込まれている。この支持台座部22bの左右側面に切り換え縁部41b,41cが摺接されることにより、当該第2切り換え部材41は、左右方向にガタツキなく上下に直線移動する状態に支持されている。
第2切り換え部材41は、図示省略した圧縮ばねによって上方へ変位する方向に付勢されている。
左右の切り換え縁部41b,41cの中央には、それぞれその板厚方向に貫通する逃がし部41ba,41caが設けられている。
【0013】
第2切り換え部材41の上部には、半円形の係合凹部41dが設けられている。前記したように操作部材36の解除操作(押し込み操作)により第1切り換え部材31が退避位置に移動するとその当接部31aが係合凹部41d内に進入する。係合凹部41d内に当接部31aが進入した状態で第1切り換え部材31が退避位置側に傾動することにより、第2切り換え部材41が下方へ直線移動する。第2切り換え部材41の下方へ移動は、図示省略した圧縮ばね付勢力に抗してなされる。
このように、操作部材36の解除操作がなされない状態(
図3に示す状態)では、第2切り換え部材41は図示省略した圧縮ばねの付勢力により上側の第1位置に保持される。これに対して、
図4に示すように操作部材36を解除操作することにより第1切り換え部材31が退避位置に移動すると、第2切り換え部材41が下側の第2位置に変位する。第2切り換え部材41は、上側の第1位置と下側の第2位置との間を直線移動する。また、第2切り換え部材41は、図示省略した圧縮ばねにより上側の第1位置側へ移動する方向に付勢されている。
第2切り換え部材41が第1位置と第2位置との間を直線移動することにより、左右の切り換え縁部41b,41cが上下に変位し、従って逃がし部41ba,41caが上下に変位する。
第2切り換え部材41の右側の切り換え縁部41cひいてはその逃がし部41caが上下に変位することにより、切断機本体10の左側への傾斜角度を45°又は48°に切り換えることができる。左側の切り換え縁部41bは、第1実施形態では機能しない。左側の切り換え縁部41bの左側方には、右傾斜位置決め用の位置決め凸部42が設けられている。この位置決め凸部42は、支持台座部22bと同様傾斜可動部22の内面に一体に設けられている。第1実施形態では、この位置決め凸部42が切断機本体10を右側へ5°だけ傾斜させる際に位置決め機能を有する。
【0014】
以下、切断機本体10を左側及び右側へ傾斜させる際の操作及び直角位置決め機構30と傾斜位置決め機構40の動作について説明する。
先ず、固定レバー28を緩めることにより切断機本体10を直角切り位置から左側へ傾斜させることができる。この場合、操作部材36の解除操作は必要ない。操作部材36を解除操作しない状態では、第2切り換え部材41が上側の第1位置に保持されている。
図5に示すように切断機本体10を左側へ45°だけ傾斜させると、第2ストッパ部材B2が右側の切り換え縁部41cに当接する。これにより切断機本体10が左側へ45°傾斜した位置(左45°傾斜位置)に位置決めされる。その後固定レバー28を締め込むことにより切断機本体10が左45°傾斜位置に固定される。
これに対して、固定レバー28を緩めた後、さらに操作部材36を解除操作した状態で切断機本体10を左側へ傾斜させると、切断機本体10が左側へ48°だけ傾斜した位置(左48°傾斜位置)に位置決めされる。
図6に示すように操作部材36を解除操作すると、第1切り換え部材31が退避位置に傾動し、これにより第2切り換え部材41が下側の第2位置に直線移動する。第2切り換え部材41が第2位置に移動すると、左側の切り換え縁部41cの逃がし部41caが下側に変位した状態となる。第2切り換え部材41が第2位置に変位した状態では、切断機本体10を左側へ傾斜させると第2ストッパ部材B2の先端部が逃がし部41ca内に進入して支持台座部22bの右側面に直接当接する。このため、切断機本体10は、右側の切り換え縁部41cの板厚に相当する分(傾斜角度3度分)だけさらに大きな傾斜角度(48°)まで傾斜させることができる。こうして第2ストッパ部材B2が、傾斜切り換え縁部41cを通過して支持台座部22bの右側面に直接当接することにより、切断機本体10が左48°傾斜位置に位置決めされる。その後固定レバー28を締め込むことにより切断機本体10が左48°傾斜位置に固定される。
次に、固定レバー28を緩めた状態で、
図7に示すように操作部材36を解除操作することにより切断機本体10を右側へ傾斜させることができる。切断機本体10を右側へ傾斜させると5°だけ傾斜させた時点で、第3ストッパ部材B3が位置決め凸部42の左側面に当接され、これにより切断機本体10が右側に5°だけ傾斜した位置(右5°傾斜位置)に位置決めされた状態となる。その後固定レバー28を締め込むことにより切断機本体10が右5°傾斜位置に固定される。
【0015】
以上説明したように第1実施形態の卓上切断機1によれば、切断機本体10の直角切り位置での位置決め状態を解除操作するための操作部材36を解除操作し、又は解除操作しないことにより、切断機本体10の左側への傾斜位置決め角度を45°又は48°に切り換えることができる。このように切断機本体10の直角切り位置での位置決め状態を解除するための操作部材36に、傾斜角度切り換え機能を併せ持たせた構成であり、単一の操作部材36を操作することにより切断機本体10の直角切り位置での位置決め状態を解除できるとともに、傾斜角度の切り換えを行うことができる。このため、第1実施形態の卓上切断機1によれば、従来直角切り位置での位置決め解除用の操作部材とは別の操作部材を操作して傾斜角度を切り換える構成に比して当該卓上切断機1の操作性を高めることができる。
【0016】
図8〜
図13には第2実施形態に係る卓上切断機1の本体支持部4が示されている。第2実施形態に係る傾斜支持機構20は、位置決め凸部42を備えない点で第1実施形態とは異なっている。第2実施形態では、位置決め凸部42に代わって第2切り換え部材41の左側の切り換え縁部41が、切断機本体10を右側へ傾斜させる際の位置決め部材として機能する。
図8は、切断機本体10を直角切り位置に位置決めした状態を示している。
図3に示す第1実施形態と比較すると、第2実施形態では位置決め凸部42が省略されている点が第1実施形態とは異なっており、その他の構成については第1実施形態と同様である。第1実施形態と同様の構成及び部材については同位の符号を用いてその説明を省略する。
図9は、切断機本体10を直角切り位置に位置させた状態で、固定レバー28を緩めた後、操作部材36を解除操作(押し込み操作)した状態を示している。操作部材36の解除操作により、第1切り換え部材31が右側に傾動してその当接部31aが位置決め壁部22aから離間した状態となっている。第1実施形態を示す
図4と比較して、位置決め凸部42を備えない点以外については第1実施形態と同様の動作状態となっている。
図10に示すように切断機本体10を左側へ傾動させる際には、固定レバー28を緩めれば足り、操作部材36の解除操作は必要ない。この点も第1実施形態と同様である。操作部材36を解除操作しない状態では第2切り換え部材41が上側の第1位置に位置しているため、切断機本体10を左側へ45°傾斜させると右側の切り換え縁部41cに第2ストッパ部材B2が当接する。これにより、切断機本体10が左側へ45°傾斜した位置(左45°傾斜位置)に位置決めされる。第1実施形態を示す
図5と比較すると
図10では位置決め凸部42が省略されている点のみで異なっている。
図11に示すように切断機本体10を左側へ傾動させる際に、操作部材36を解除操作(押し込み操作)すると、第2切り換え部材41が下側の第2位置に移動した状態となる。このため、切断機本体10を左側へ傾斜させる際に、第2ストッパ部材B2は左側の切り換え縁部41cの逃がし部41caを通過して支持台座部22bの右側面に直接当接する。これにより切断機本体10が左側に48°傾斜した位置(左48°傾斜位置)に位置決めされる。第1実施形態を示す
図6と比較すると
図11では位置決め凸部42が省略されている点のみで異なっておりその他の動作状態は第1実施形態と同じである。
このように第2実施形態においても、切断機本体10の直角切り位置及び左側への45°、48°傾斜位置決めについては第1実施形態の直角位置決め機構30及び傾斜位置決め機構40と同じ動作状態となっている。
【0017】
これに対して切断機本体10を右側へ傾斜させる際に第2実施形態では第2切り換え部材41の右側の切り換え縁部41bが機能する点で第1実施形態とは異なっている。切断機本体10を右側へ傾斜させる際には、固定レバー28を緩めた後、操作部材36を解除操作(押し込み操作)する必要がある。操作部材36を解除操作して切断機本体10を右側へ僅かな角度だけ傾斜させれば、第1切り換え部材31の当接部31aが第1ストッパ部材B1の下方を通過することから、以後操作部材36の解除操作を解除した状態で切断機本体10を右側へさらに傾斜させることができる。
図12に示すように操作部材36の解除操作を解除すると、第2切り換え部材41が上側の第1位置に戻される。このため、切断機本体10を右側へ45°傾斜させると、第2切り換え部材41の左側の切り換え縁部41bに第3ストッパ部材B3が当接され、これにより切断機本体10が右側に45°傾斜した位置(右45°傾斜位置)に位置決めされた状態となる。その後、固定レバー28を締め込むことにより切断機本体10が右45°傾斜位置に固定される。
これに対して、
図13に示すように操作部材36の解除操作を保持したまま切断機本体10を直角切り位置から右側へ傾斜させると、この場合には第2切り換え部材41が下側の第2位置に直線移動しているため、第3ストッパ部材B3が左側の切り換え縁部41bに当接することなくその逃がし部41baを通過して支持台座部22bの左側面に直接当接する。これにより切断機本体10が右側に48°傾斜した位置(右48°傾斜位置)に位置決めされた状態となる。その後、固定レバー28を締め込むことにより切断機本体10が右48°傾斜位置に固定される。
以上説明したように、第2実施形態の卓上切断機1によっても、切断機本体10の直角切り位置での位置決め状態を解除操作するための操作部材36の解除操作し、又は解除操作しないことにより、切断機本体10の傾斜角度を左右両側においてそれぞれ45°又は48°に自動的に切り換えることができる。
このように、第2実施形態によっても、切断機本体10の直角切り位置での位置決め状態を解除するための操作部材36に、傾斜角度切り換え機能を併せ持たせた構成とすることにより、従来直角位置決め状態を解除するための操作部材とは別の操作部材を操作して傾斜角度を切り換える構成に比して当該卓上切断機の操作性を高めることができる。
しかも、第2実施形態の場合、操作部材36の傾斜角度切り換え機能により、左右両側についてそれぞれ45°と48°の傾斜角度を任意に選択することができ、より多くの傾斜角度を選択することができる点で、当該卓上切断機1の使い勝手をより一層高めることができる。
【0018】
以上説明した第1、第2実施形態には、さらに変更を加えることができる。例えば、第1実施形態で例示した位置決め凸部42を本体支持部4の外部から使用者Hが簡単に位置変更可能若しくは脱着可能に構成することにより、第1実施形態における右5°傾斜と、第2実施形態における右45°傾斜と右48°傾斜との切り換え機能を任意に選択して利用することができ、これにより右傾斜角度についてより多くの傾斜角度を選択できるようになる点で卓上切断機1の使い勝手をさらに高めることができる。
また、切断機本体10を位置決め可能な傾斜角度として0°(直角切り位置)の他、左側45°と48°、右側5°(第1実施形態)、左側45°と48°、右側45°と48°を例示したが、より小さな傾斜角度あるいはより大きな傾斜角度で左右少なくとも一方について2つ以上の傾斜角度を設定する場合に例示した傾斜支持部20(直角位置決め機構30と傾斜位置決め機構40)を適用することができる。
さらに、第2切り換え部材41の左右両切り換え縁部41b,41cに逃がし部41ba,41caを設けることにより傾斜角度を45°と48°に切り換える構成を例示したが、逃がし部41ba,41caに代えて例えば凸部を設けることにより傾斜角度を切り換える構成としてもよい。
また、切断機本体10の直角切り位置での位置決め状態を解除操作するための押しボタン形式の操作部材36を例示したが、係る操作部材を例えば3段階に直線移動可能に設けることにより、左右少なくとも片側で3つの傾斜角度を選択可能な構成としてもよい。
さらに、直線移動させる操作部材36を例示したが、これに代えて回転操作するダイヤルを操作部材としてもよい。この場合、回転ダイヤルと一体で第1切り換え部材を傾動させ、これにより第2切り換え部材を連動して例えば例示したように直線移動させることにより、左右少なくとも片側において複数の傾斜角度を選択可能な構成とすることができる。また、円弧移動する第1切り換え部材31、直線移動する第2切り換え部材41を例示したが、直線移動する第1切り換え部材、円弧移動(回転)する第2切り換え部材を用いても同様の作用効果を得ることができる。
さらに、切断機本体10を前後方向にスライド可能な形態の卓上切断機1を例示したが、係るスライド支持部7を省略して単に切断機本体を上下に傾動操作して切断加工を行う形態の卓上切断機についても例示した傾斜支持部20を適用することにより同様の作用効果を得ることができる。