(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989553
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】歯科用自動切削加工機
(51)【国際特許分類】
A61C 13/08 20060101AFI20160825BHJP
A61C 13/00 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
A61C13/08 Z
A61C13/00 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-11798(P2013-11798)
(22)【出願日】2013年1月25日
(65)【公開番号】特開2014-140562(P2014-140562A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000181217
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100070105
【弁理士】
【氏名又は名称】野間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】及川 剛志
(72)【発明者】
【氏名】大澤 孝也
【審査官】
増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/137263(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/070977(WO,A1)
【文献】
特開2000−287997(JP,A)
【文献】
特開平07−223141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 13/08
A61C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の歯科切削用ブロック(X)の表裏の切削面(Xa,Xa)を180度反転させてそれぞれの切削面(Xa,Xa)を水平に保った状態で、予め入力された製作しようとする歯科製品の三次元データに基づいて、該歯科切削用ブロック(X)を上面側から自動的に切削加工する歯科用自動切削加工機であって、
係止穴部(1a)に該歯科切削用ブロック(X)を表裏の切削面(Xa,Xa)を露出させた状態で装着固定すると共に該歯科切削用ブロック(X)の表裏の切削面(Xa,Xa)を180度反転自在な固定枠体(1)と、
該歯科切削用ブロック(X)を切削する切削ドリル(Y)を先端に装着して該切削ドリル(Y)を回転駆動させる切削ドリル駆動装置(2)と、
該切削ドリル駆動装置(2)の側部を保持固定する保持体(3)と、
該保持体(3)を三次元移動させる三次元移動装置(4)と、
該歯科切削用ブロック(X)より小径で該切削ドリル駆動装置(2)より大径の筒状をなし、該歯科切削用ブロック(X)が切削加工された際に内部で発生する粉塵を吸引する吸引口が設けられているカバー体(5)と、
該カバー体(5)を該保持体(3)に対して鉛直方向に摺動させる摺動部(6)と、
該歯科切削用ブロック(X)の上面の切削面(Xa)に該カバー体(5)の下端(5a)を当接させた状態で、該カバー体(5)内から突出させた該切削ドリル(Y)で該歯科切削用ブロック(X)を切削加工した際に発生する粉塵を、該カバー体(5)の吸引口から吸引して外部へと排出する吸引部(7)とから構成されていて、
切削加工時に該カバー体(5)の下端(5a)が該固定枠体(1)の係止穴部(1a)の所定位置より下方に位置したことを感知するセンサー部(8)が該摺動部(6)に設けられていると共に、該センサー部(8)からの感知信号により切削ドリル(Y)を駆動させず又は駆動中の切削ドリル(Y)を停止させる自動制御部(9)が設けられていることを特徴とする歯科用自動切削加工機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い精度で切削加工が可能な歯科用自動切削加工機であって、歯科切削用ブロックの装着をし忘れたような場合などにおいて空運転となることを防止できる歯科用自動切削加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に歯科用補綴物や義歯床等の歯科製品を作製する方法としては、レジン材料をロストワックス鋳造法により鋳造して作製する方法や、耐火模型上にセラミックス材料を築盛した後に真空電気炉により焼成して作製する方法等が従来より広く知られている。
【0003】
しかしながら、このような従来の方法により歯科製品を作製する際には、殆どの工程が歯科技工士により手作業で行われるものであり、そしてこの手作業による工程も非常に細かく繁雑なものであるから、このような工程に膨大な時間と手間がかかってしまうと共に、歯科技工士の熟練度により作製される歯科製品の品質の善し悪しが左右されるという問題があった。
【0004】
そこで、歯科技工士による手作業に頼ることなく安定した品質の歯科製品を短時間により多く作製する方法として、近年では三次元計測装置やコンピュータ等を用いて歯科製品の三次元データを作製し、その三次元データに基づいて歯科用自動切削加工機により歯科切削用ブロックを切削加工して歯科製品を作製する歯科用CAD/CAMシステムが開発されてきた。
【0005】
このような歯科用CAD/CAMシステムにおいて使用される歯科用自動切削加工機では、予め歯科製品の三次元データを入力しておけば、歯科切削用ブロックを歯科用自動切削加工機に装着するだけで正確な切削加工を行うことができる。
【0006】
しかしながら通常、歯科用自動切削加工機では、1つの歯科切削用ブロックから複数の歯科製品が作製されることがあり、一旦歯科用自動切削加工機を稼働させると長時間に亘って切削加工が行われるため、歯科切削用ブロックを装着し忘れて空運転すると、作業時間が大きく無駄になる。
【0007】
またこのような歯科用自動切削加工機では、高い加工精度が要求されるため、切削加工時に発生した粉塵をすばやく吸引しないと、歯科切削用ブロックと切削ドリルとの間に入り込んだ粉塵により、著しく加工精度が低下することがある。
【0008】
このような切削加工時に発生した粉塵の問題に対して、切削用ドリルを出し入れ可能な開口部を有する矩形状の天板と、該天板の一対の両側面から垂下連接している両側板とからなる切削部カバーと、該切削部カバーの長手方向の一端を開口部とし、該切削部カバーの長手方向の他端に吸引ダクトを接続し、さらに該吸引ダクトと集塵機とを連接配置したことを特徴とする集塵装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
この集塵装置のように、粉塵が発生する切削ドリルの周囲を囲うようにして吸引すれば、効率よく吸引することができ、加工精度の低下を招くこともない。
【0010】
しかしながら、このように切削ドリルの周囲を集塵装置等のような吸引部で覆うと、切削ドリルの周囲が囲われてしまうため、歯科切削用ブロックを設置し忘れて空運転した場合に、集塵装置等が歯科用自動切削加工機内の他の部位に衝突して、大きく破損したり、その後の歯科用自動切削加工機の使用において加工精度が著しく低下するなどの支障を来たすことがある。
【0011】
このような歯科切削用ブロックの装着をし忘れた場合などにおいて、空運転を防止する方法としては、歯科切削用ブロックの有無を感知するセンサーを取り付けて、このセンサーが感知した信号により歯科用自動切削加工機を停止させることが考えられる。
【0012】
しかしながら、歯科切削用ブロックの有無を感知するには、例えば歯科切削用ブロックに光センサーから光を投射してその反射光の有無を感知することも考えられるが、このような光センサーを使用する場合、光が投射される歯科切削用ブロックが切削ドリルやその周囲の吸引部に覆われた状態となり易いため、歯科切削用ブロックの有無を確実に感知することは難しい。また歯科切削用ブロックが装着固定される固定枠体に接触型のセンサーを装着することも考えられるが、切削加工の際に歯科切削用ブロックを回転させる際に固定枠体も一緒に回転させる必要があり、その固定枠体に接触型のセンサーを取り付けると、配線等が巻き込まれて破損することがある。このように歯科用自動切削加工機においては、歯科切削用ブロックの有無を感知するセンサーを設けることは非常に難しいのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−216635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は前記の問題に鑑み、高い精度で切削加工が可能な歯科用自動切削加工機であって、歯科切削用ブロックの装着をし忘れて空運転となったような場合において、作業時間の無駄や装置の破損等を防止することができる歯科用自動切削加工機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、歯科切削用ブロックを上面側から自動的に切削加工する歯科用自動切削加工機を、係止穴部に歯科切削用ブロックを装着固定する固定枠体と、歯科切削用ブロックを切削する切削ドリルを先端に装着して切削ドリルを回転駆動させる切削ドリル駆動装置と、切削ドリル駆動装置の側部を保持固定する保持体と、保持体を三次元移動させる三次元移動装置と、内部で発生する粉塵を吸引する吸引口が設けられているカバー体と、カバー体を保持体に対して鉛直方向に摺動させる摺動部と、歯科切削用ブロックの上面の切削面にカバー体の下端を当接させた状態で、カバー体内から突出させた切削ドリルで歯科切削用ブロックを切削加工した際に発生する粉塵をカバー体の吸引口から吸引して外部へと排出する吸引部とから構成させれば、粉塵を確実に吸引しながら切削加工できるため高い精度で切削加工ができ、また歯科切削用ブロックの装着をし忘れた場合などにおいて、空運転を防止するために、切削加工時にカバー体の下端が固定枠体の係止穴部の所定位置より下方に位置したことを感知するセンサー部を摺動部に設けると共に、センサー部からの感知信号により切削ドリルを駆動させず又は駆動中の切削ドリルを停止させる自動制御部を設ければ、三次元移動装置によって常に正確な位置に配置される保持体と、歯科切削用ブロックの上面に下端を当接させるために歯科切削用ブロックの有無によってその位置が上下するカバー体との間に摺動部を設け、その摺動部にセンサー部が設けられているから、保持体とカバー体との位置関係により歯科切削用ブロックの有無を正確に感知することができ、更に切削ドリルから離れた摺動部でセンサー部が使用されるため、センサー部が粉塵などの影響を受けることがなく、また回転しない摺動部にセンサー部を設けることで配線を巻き込むなどの問題を生じることがなく、確実に歯科切削用ブロックの有無を感知して歯科用自動切削加工機が空運転することを防止できることを究明して本発明を完成させたのである。
【0016】
即ち本発明は、円板状の歯科切削用ブロックの表裏の切削面を180度反転させてそれぞれの切削面を水平に保った状態で、予め入力された製作しようとする歯科製品の三次元データに基づいて、歯科切削用ブロックを上面側から自動的に切削加工する歯科用自動切削加工機であって、
係止穴部に歯科切削用ブロックを表裏の切削面を露出させた状態で装着固定すると共に歯科切削用ブロックの表裏の切削面を180度反転自在な固定枠体と、
歯科切削用ブロックを切削する切削ドリルを先端に装着して切削ドリルを回転駆動させる切削ドリル駆動装置と、
切削ドリル駆動装置の側部を保持固定する保持体と、
保持体を三次元移動させる三次元移動装置と、
歯科切削用ブロックより小径で切削ドリル駆動装置より大径の筒状をなし、歯科切削用ブロックが切削加工された際に内部で発生する粉塵を吸引する吸引口が設けられているカバー体と、
カバー体を保持体に対して鉛直方向に摺動させる摺動部と、
歯科切削用ブロックの上面の切削面にカバー体の下端を当接させた状態で、カバー体内から突出させた切削ドリルで歯科切削用ブロックを切削加工した際に発生する粉塵を、カバー体の吸引口から吸引して外部へと排出する吸引部とから構成されていて、
切削加工時にカバー体の下端が固定枠体の係止穴部の所定位置より下方に位置したことを感知するセンサー部が摺動部に設けられていると共に、センサー部からの感知信号により切削ドリルを駆動させず又は駆動中の切削ドリルを停止させる自動制御部が設けられていることを特徴とする歯科用自動切削加工機である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る歯科用自動切削加工機は、円板状の歯科切削用ブロックの表裏の切削面を180度反転させてそれぞれの切削面を水平に保った状態で、予め入力された製作しようとする歯科製品の三次元データに基づいて、歯科切削用ブロックを上面側から自動的に切削加工する歯科用自動切削加工機であって、
係止穴部に歯科切削用ブロックを表裏の切削面を露出させた状態で装着固定すると共に歯科切削用ブロックの表裏の切削面を180度反転自在な固定枠体と、歯科切削用ブロックを切削する切削ドリルを先端に装着して切削ドリルを回転駆動させる切削ドリル駆動装置と、切削ドリル駆動装置の側部を保持固定する保持体と、保持体を三次元移動させる三次元移動装置と、歯科切削用ブロックより小径で切削ドリル駆動装置より大径の筒状をなし、歯科切削用ブロックが切削加工された際に内部で発生する粉塵を吸引する吸引口が設けられているカバー体と、カバー体を保持体に対して鉛直方向に摺動させる摺動部と、歯科切削用ブロックの上面の切削面にカバー体の下端を当接させた状態で、カバー体内から突出させた切削ドリルで歯科切削用ブロックを切削加工した際に発生する粉塵を、カバー体の吸引口から吸引して外部へと排出する吸引部とから構成されているから、粉塵を確実に吸引しながら切削加工できるため高い精度で切削加工でき、更に、切削加工時にカバー体の下端が固定枠体の係止穴部の所定位置より下方に位置したことを感知するセンサー部が摺動部に設けられていると共に、センサー部からの感知信号により切削ドリルを駆動させず又は駆動中の切削ドリルを停止させる自動制御部が設けられているから、三次元移動装置によって常に正確な位置に配置される保持体と、歯科切削用ブロックの上面に下端を当接させるために歯科切削用ブロックの有無によってその位置が上下するカバー体との間に摺動部を設け、その摺動部にセンサー部が設けられているので、保持体とカバー体との位置関係により歯科切削用ブロックの有無を正確に感知することができ、更に切削ドリルから離れた摺動部でセンサー部が使用されるため、センサー部が粉塵などの影響を受けることがなく、また回転しない摺動部にセンサー部を設けることで配線を巻き込むなどの問題を生じることがないので確実に歯科切削用ブロックの有無を感知して歯科用自動切削加工機が空運転することを防止でき、その結果、空運転による作業時間の無駄や装置の破損等を防止することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る歯科用自動切削加工機の一実施例を示す斜視図である。
【
図2】カバー体を歯科用自動切削加工機に装着固定された歯科切削用ブロックの上面の切削面に向けて移動させた状態を示す斜視図である。
【
図3】カバー体の下端を歯科用自動切削加工機に装着固定された歯科切削用ブロックの上面の切削面に当接させた状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る歯科用自動切削加工機における歯科切削用ブロックの有無による相違を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて本発明に係る歯科用自動切削加工機について詳細に説明する。
【0020】
Xは円板状の歯科切削用ブロックであって、本発明に係る歯科用自動切削加工機では、その表裏の切削面Xa,Xaを180度反転させてそれぞれの切削面Xa,Xaを水平に保った状態で、予め入力された製作しようとする歯科製品の三次元データに基づいて、上面側から自動的に切削加工される。またYは歯科切削用ブロックXを切削する切削ドリルである。
【0021】
1は係止穴部1aに歯科切削用ブロックXを表裏の切削面Xa,Xaを露出させた状態で装着固定すると共に歯科切削用ブロックXの表裏の切削面Xa,Xaを180度反転自在な固定枠体である。
【0022】
2は歯科切削用ブロックXを切削する切削ドリルYを先端に装着して切削ドリルYを回転駆動させる切削ドリル駆動装置である。
【0023】
3は切削ドリル駆動装置2の側部を保持固定する保持体であり、4は保持体3を三次元移動させる三次元移動装置である。
【0024】
5は歯科切削用ブロックXより小径で切削ドリル駆動装置2より大径の筒状をなし、歯科切削用ブロックXが切削加工された際に内部で発生する粉塵を吸引する吸引口が設けられているカバー体である。
【0025】
6はカバー体5を保持体3に対して鉛直方向に摺動させる摺動部であり、この摺動部6としては、例えば
図1のように断面コ字状の案内溝部と、この案内溝部に摺動自在に係合されている板状部材とから構成されたものなどが使用できる。
【0026】
7は歯科切削用ブロックXの上面の切削面Xaにカバー体5の下端5aを当接させた状態で、カバー体5内から突出させた切削ドリルYで歯科切削用ブロックXを切削加工した際に発生する粉塵を、カバー体5の吸引口から吸引して外部へと排出する吸引部である。
【0027】
8は切削加工時にカバー体5の下端5aが固定枠体1の係止穴部1aの所定位置より下方に位置したことを感知するセンサー部であって、摺動部6に設けられている。
【0028】
9はセンサー部8からの感知信号により切削ドリルYを駆動させず又は駆動中の切削ドリルYを停止させる自動制御部である。
【0029】
このような本発明に係る歯科用自動切削加工機を実際に使用して義歯床や歯科用補綴物等の歯科製品を作製するには、先ず患者の口腔内の印象を採り、定法により石膏模型を作製する。そして作製しようとする歯科製品模型をワックス等で製作し、この歯科製品模型のCADシステムを使用してその三次元データを取得し、本発明に係る歯科用自動切削加工機に転送する。なお切削加工作業の効率化の観点から、1つの歯科切削用ブロックXから複数の歯科製品を作製することができるように、複数の三次元データを予め転送しておくとよい。
【0030】
このような準備を行った後に、本発明に係る歯科用自動切削加工機の固定枠体1の係止穴部1aに歯科切削用ブロックXを装着固定させて、予め転送しておいた三次元データに基づく切削加工を開始させるのである。
【0031】
具体的には、例えば全周囲にフランジを有する歯科切削用ブロックXを用いて、そのフランジを挟持させた状態でねじ止め等することにより、歯科切削用ブロックXを固定枠体1の係止穴部1aに強固に固定する。
【0032】
その際、
図2のようにカバー体5は、歯科切削用ブロックXの上面の切削面Xaより上方に位置するように予め設定しておく。
【0033】
この状態から切削加工を開始すると、カバー体5は三次元移動装置4によって水平方向の所定位置へ移動し、更にカバー体5の下端5aが歯科切削用ブロックXの上面の切削面Xaに当接するように鉛直方向に移動する。
【0034】
その際、
図4の如く、カバー体5は摺動部6に摺動自在に取り付けられていて、その自重によりカバー体5は垂下される。そして
図4(II)の如く、歯科切削用ブロックXを装着し忘れたような場合には、カバー体5は摺動部6のストッパー部(図示なし。)と当接するまで完全に吊り下がった状態となるが、
図4(I)の如く、歯科切削用ブロックXが装着されている場合には、完全には吊り下がった状態とはならない。
【0035】
そこで本発明に係る歯科用自動切削加工機では、歯科切削用ブロックXが装着されていないような場合を感知するため、例えば
図4の各図の如く、光センサーと、光センサーの光が通り抜ける光用穴部とから成るセンサー部8が摺動部6に設けられている。
【0036】
そして
図4(II)のように歯科切削用ブロックXが装着されていない場合には、光センサーの光が光用穴部を通り抜けて反射しないことで、歯科切削用ブロックXが装着されていない状態を感知し、
図4(I)のように歯科切削用ブロックXが装着されている場合には、光センサーの光の反射光を受信することで、歯科切削用ブロックXが装着されていると感知して、切削加工作業が自動的に行われるのである。
【0037】
このように、切削加工時にカバー体5の下端5aが固定枠体1の係止穴部1aの所定位置より下方に位置したことを感知するセンサー部8が摺動部6に設けられていると共に、センサー部8からの感知信号により切削ドリルYを駆動させず又は駆動中の切削ドリルYを停止させる自動制御部9が設けられているから、保持体3とカバー体5との位置関係により歯科切削用ブロックXの有無を正確に感知することができ、更に切削ドリルYから離れた摺動部6でセンサー部8が使用されるため、センサー部8が粉塵などの影響を受けることがなく、また回転しない摺動部6にセンサー部8を設けることで配線を巻き込むなどの問題を生じることがないので、確実に歯科切削用ブロックXの有無を感知して歯科用自動切削加工機が空運転することを防止でき、その結果、空運転による作業時間の無駄や装置の破損等を防止することができるのである。
【符号の説明】
【0038】
X 歯科切削用ブロック
Xa 切削面
Y 切削ドリル
1 固定枠体
1a 係止穴部
2 切削ドリル駆動装置
3 保持体
4 三次元移動装置
5 カバー体
5a 下端
6 摺動部
7 吸引部
8 センサー部
9 自動制御部