(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5989557
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】インクジェットプリンター
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20160825BHJP
B41J 29/377 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 303
B41J2/01 305
B41J29/00 N
B41J29/00 P
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-14633(P2013-14633)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-144588(P2014-144588A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】395003187
【氏名又は名称】株式会社OKIデータ・インフォテック
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 孝紀
【審査官】
牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−179802(JP,A)
【文献】
特開2000−280546(JP,A)
【文献】
実開平4−37364(JP,U)
【文献】
特開2006−175645(JP,A)
【文献】
特開2009−255424(JP,A)
【文献】
特開2004−284059(JP,A)
【文献】
特開2007−331283(JP,A)
【文献】
特開2010−201677(JP,A)
【文献】
特開2005−59478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
B41J 29/377
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルから記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録ヘッドを搭載して前記記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に往復移動するキャリッジと、
前記記録ヘッドの前記ノズルの配置された面に対向して配置され、前記記録媒体を保持するプラテンと、
前記プラテンに備えられ前記記録媒体を加熱するヒーターと、
前記プラテンと前記キャリッジとを少なくとも内蔵した筐体と、
を備え、前記記録媒体を間欠搬送しながら前記記録ヘッドから前記インクを吐出し、前記記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンターにおいて、
前記キャリッジの前記搬送方向の上流側の背面に対向する位置に配置され、外部の気体を前記筐体の内に吸気する筐体吸気手段と、
前記キャリッジの移動方向の前方側と後方側の上部に夫々設けられたダクトと、
前記ダクトは前記筐体吸気手段に向かって突出して配置され、該突出した部分の先端であって前記筐体吸気手段に対向する位置に前記筐体吸気手段によって吸気される前記気体を前記キャリッジ内に吸気するキャリッジ吸気手段と、
前記キャリッジの前記搬送方向の下流側の正面の下部に前記移動方向に沿って配置された長穴状の排気口と、を有し、
前記筐体吸気手段の鉛直方向に沿った高さが前記キャリッジ吸気手段の鉛直方向に沿った高さより高く構成され、前記筐体吸気手段によって吸気された前記気体は、前記キャリッジ吸気手段によって前記キャリッジの内を流れる前記気体と、前記キャリッジの外を流れる前記気体に分かれ、
前記ダクトは前記キャリッジ吸気手段によって吸気された前記気体を前記キャリッジの内方向に向けて流す屈曲部を有し、前記キャリッジの内を流れる前記気体は前記キャリッジの内を冷却し、前記キャリッジの内を流れる前記気体は前記排気口から排出され、該排出された前記気体は前記キャリッジの外を流れる前記気体と混合され、前記筐体外に排出されることを特徴とするインクジェットプリンター。
【請求項2】
前記プラテンの前記搬送方向の下流側に前記記録媒体を案内すると共に加熱するフロントペーパーガイドと、前記フロントペーパーガイドに対して離間して配置され、前記記録ヘッドの前記ノズルの配置された面より鉛直方向の下方側に先端が位置し、前記筐体に回動可能に接続されたカバーと、をさらに有し、
前記筐体吸気手段によって吸気された前記気体の一部が前記フロントペーパーガイドと前記カバーの間から排出され、前記排出口は前記カバー方向に向けられて配置され、前記排出口から排出される前記気体の方向が前記フロントペーパーガイドに沿って排出されるように、前記カバーは前記先端に向かうほど前記フロントペーパーガイドに近くなるように配置され、前記フロントペーパーガイドは鉛直方向に向かって湾曲していることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンター。
【請求項3】
前記記録ヘッドの上部には前記インクを供給するチューブを接続するインクコネクタと、電気信号を伝えるフラットケーブルを接続する電気コネクタを有し、前記チューブは前記筐体に配置されたインクタンクと前記インクコネクタとを接続し、前記フラットケーブルは、前記筐体内に配置された回路基板と前記電気コネクタとを接続し、前記ダクトの前記キャリッジ内の夫々の開口部間に前記チューブと前記フラットケーブルが通るように配置され、前記開口部から排出される前記気体の流が前記チューブと前記フラットケーブルによって、前記チューブと前記フラットケーブルの上下に分かれて流れることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンター。
【請求項4】
前記筐体の前記筐体吸気手段が備わる背面側に配置され、前記筐体内の前記気体を外に排気する第1の排気手段と、前記筐体の長手方向の一方の側面側に配置され、前記筐体内の前記気体を外に排気する第2の排気手段と、を更に有し、前記筐体内の前記気体を少なくとも3方向に排気することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインクジェットプリンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙、樹脂フィルムなどの記録媒体にインクを吐出して画像等を記録するインクジェットプリンターが知られている。インクジェットプリンターでは、様々な種類のインクが使用される。例えば、主溶剤に有機溶剤を用いた溶剤インク、紫外線によって硬化する紫外線硬化型インク、熱によって硬化する熱硬化型インクなど、用途に応じていろいろな種類のインクが用いられている。
【0003】
近年、印刷後の印刷面を保護するためにフィルムのラミネートや、印刷後に所望にサイズに切断するなど次の作業工程に素早く移るため、インクを素早く乾燥させたいという要望が高まってきている。これら要望に対して、紫外線硬化型インク、熱硬化型インクなどインクの特性によって解決する方法が考えられている。
【0004】
しかし一方では、有機溶剤を主溶剤として使用している溶剤インクは、塩ビシートなどの樹脂フィルムに対して定着性が良く、摩耗に対して強い記録物が得られるなど利点があり、この種のインクの乾燥性を良くすることが望まれている。この種のインクは、記録媒体に対して定着性を良くするために記録媒体を適度に加熱した状態でインクを吐出し、その記録後も溶剤を素早く乾燥させるために適度に加熱することがされている。例えば、プラテン、プラテンの前段のペーパーガイド、プラテン後段のペーパーガイドを夫々加熱し、その熱で記録媒体を加熱している。記録ヘッドも加熱してしまうし、また記録ヘッド自体も発熱する。一方、記録ヘッドやインクは温度が変わると粘度が変わり、吐出性能や画質に影響を及ぼすので適度に冷却する必要がある。
【0005】
例えばプリンター内の送風、冷却にかんするものとして、特開2006−264328号公報に記載のものがある。この従来技術には、熱によって定着を促進させる熱硬化型インクを用いたインクジェットプリンターが開示されている。この装置は、ヒーターをキャリッジの上方に、またキャリッジの走査方向に沿って配置させた構成となっている。そのため、キャリッジがかなり加熱され、それを冷やす必要があり、風の流れを強制的に作り出し、空気で冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−264328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開2006−264328号公報に記載の技術は、効率的にインクを乾燥させるために、インクがインクジェットヘッドから吐出された直後に熱をインク及び記録媒体に加える方式である。この種の方法は溶剤インクにも利用できる。しかしこの場合、ヒーターはインクジェットヘッドの真上に配置されることになる。このような構成では、インクジェットヘッドを有するキャリッジはヒーターの直下で熱せられることになり、インクジェットヘッドの温度を上昇させ、吐出不良を招く。そのため、ヒーターに平行に冷却ファンを配置し、キャリッジに風を当てて冷却する構成が示されている。また更に、キャリッジに風防を設けて風を受けやすくしている。また更に、キャリッジに冷却ファンを両端に設置し、キャリッジの中央側から両端側に向かって風が流れるようにしている。また、キャリッジを冷却水で冷却するシステム、キャリッジ上部に光を反射する耐熱板を配置した構成などの、キャリッジの温度を上げないようにしている。このような場合、冷却水や耐熱板などを用いた場合に余分なスペースが必要となり、またコストがかかってしまう問題がある。
【0008】
また、キャリッジ上方に記録媒体方向に向けてファンが取り付けられている。吸入した空気の排出口は記録媒体の排紙口と共通のため、印刷直前および直後の記録媒体に対して風が送くられ、冷却しすぎてしまう恐れもある。記録媒体の温度が下がり、記録媒体に着弾したインクの定着のムラが生じ、また、インクジェットヘッドのノズル面に風が回りこむことで吐出不良を起こすことなどの問題が生じる恐れもある。単に風を起こせば良いわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明のインクジェットプリンターは、複数のノズルから記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録ヘッドを搭載して前記記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に往復移動するキャリッジと、前記記録ヘッドの前記ノズルの配置された面に対向して配置され、前記記録媒体を保持するプラテンと、前記プラテンに備えられ前記記録媒体を加熱するヒーターと、前記プラテンと前記キャリッジとを少なくとも内蔵した筐体と、を備え、前記記録媒体を間欠搬送しながら前記記録ヘッドから前記インクを吐出し、前記記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンターにおいて、前記キャリッジの前記搬送方向の上流側の背面に対向する位置に配置され、外部の気体を前記筐体の内に吸気する筐体吸気手段と、前記キャリッジの移動方向の前方側と後方側の上部に夫々設けられたダクトと、前記ダクトは前記筐体吸気手段に向かって突出して配置され、該突出した部分の先端であって前記筐体吸気手段に対向する位置に前記筐体吸気手段によって吸気される前記気体を前記キャリッジ内に吸気するキャリッジ吸気手段と、前記キャリッジの前記搬送方向の下流側の正面の下部に前記移動方向に沿って配置された長穴状の排気口と、を有し、前記筐体吸気手段の鉛直方向に沿った高さが前記キャリッジ吸気手段の鉛直方向に沿った高さより高く構成され、前記筐体吸気手段によって吸気された前記気体は、前記キャリッジ吸気手段によって前記キャリッジの内を流れる前記気体と、前記キャリッジの外を流れる前記気体に分かれ、前記ダクトは前記キャリッジ吸気手段によって吸気された前記気体を前記キャリッジの内方向に向けて流す屈曲部を有し、前記キャリッジの内を流れる前記気体は前記キャリッジの内を冷却し、前記キャリッジの内を流れる前記気体は前記排気口から排出され、該排出された前記気体は前記キャリッジの外を流れる前記気体と混合され、前記筐体外に排出されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
装置が取り込んだ外気がそのままキャリッジ内に入ることでキャリッジ内温度の上昇を防ぎ、キャリッジが取り込まなかった外気は装置全体を冷却する。排気ファンが装置内の気体を外部に吐き出すことで、記録メディア上を集中して冷却することなく、着弾直後のインクの温度低下を防ぐこともでき、また着弾後のインクの乾燥を促進することもできる。さらに、ヘッドのノズル面への風の回りこみを少なくでき、インク着弾精度の低下、インクミストの増加、ノズル乾燥などのヘッドの諸問題を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、キャリッジの上方から内部を説明する図である。
【
図3】
図3は、インクジェットプリンター内の吸気手段と排気手段の配置を説明する図である。
【
図4】
図4は、インクジェットプリンターの断面図である。
【
図5】
図5は、インクジェットプリンターの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
図1は、キャリッジの断面図である。キャリッジ1は、キャリッジベース2とそれを覆うキャリッジカバー3を備える。キャリッジベース2は、側方から見るとL字型であり、その水平部には記録ヘッド4が固定され、立設部にはローラー6がYレール5の上下を挟み込むように配置されている。記録ヘッド4は例えばインクジェットヘッドであり、ノズル面に多数のノズルを備え、インクを吐出する。キャリッジベース2には記録ヘッド4のノズル面に対応させて開口部が設けられている。この開口部を介して記録ヘッド4のノズル面は記録媒体と対向する。記録ヘッド4のノズル面には、複数のノズルがあり、そこからインクが吐出される。キャリッジ1はYレール5に沿って往復移動する。記録ヘッド4の上部にはフラットケーブル8とインクチューブ7が接続されている。フラットケーブル8を介してキャリッジ1の外部にある制御回路と記録ヘッド4が接続され、電気信号の通信が行われる。インクチューブ7を介して記録ヘッド4にインクが供給される。記録ヘッド4を覆うようにキャリッジカバー3が設けられ、キャリッジカバー3の下方のキャリッジベース2との境部分に、排気口10が設けられている。
【0013】
キャリッジカバー3の上部にはダクト9が備えられている。ダクト9はキャリッジ1の両端に夫々設けられている。ダクト9の先端には、キャリッジ1内に気体を吸入するキャリッジ吸気手段であるキャリッジ吸入ファン11が設けられている。このキャリッジ吸入ファン11から気体を吸入し、その気体はダクト9を通りキャリッジベース2とキャリッジカバー3で覆われるキャリッジ1内の空間を通り排気口10からキャリッジ1の外部、すなわち筐体12内に排出される。排気口10は後述のカバーに向けられ、排出された気体はこのカバー方向に流れる。このキャリッジ1内の気体の流によって記録ヘッド4も含めキャリッジ1内が冷却される。
【0014】
ダクト9の排気口の、高さ方向の中央部付近を通るようにフラットケーブル8とインクチューブ7が這いまわされて配置されている。ダクト9の排気口からの気体の流れをこのフラットケーブル8とインクチューブ7によって上下に分けている。これにより、上部と下部を流れる気流を作り、すなわち気流を2分して効果的にキャリッジ1内を空冷している。例えば、記録ヘッド3を冷却して暖かくなった気体がキャリッジ1の上方に流れにくくできている。
【0015】
図2は、キャリッジの上方から内部を説明する図である。ダクト9の一方の端にはキャリッジ吸入ファン11が備わっている。ダクト9は他方の端がキャリッジ1の内側に向かって曲る屈曲部があり、さらに屈曲部の先端に行くほどダクト9の通路が狭くなっている。これは、風向をキャリッジ1の内方向に変えると共に、風速を早めるためである。キャリッジベース2には記録ヘッド4が7台固定されている。キャリッジベース2の紙面右方向側の端に1台分の空きスペースがある。ここに8台目の記録ヘッド4が固定できる。この空きスペースの開口部を板で覆い開口部から下に気流が流れないようにしている。7台の記録ヘッド4は、夫々異なる色を吐出する。排気口10が記録媒体の搬送方向の下流に、正面の辺にそって、ほぼ記録ヘッド4の配置されている幅の範囲にわたって設けられている。排気口10は長穴状になっている。広い範囲から排気することで風が一点に集中せずに、あまり乱れることが無く好適に排気される。フラットケーブル8と記録ヘッド4の接続部では、フラットケーブル8の幅方向が記録ヘッド4の長手方向に沿っているが、途中でひねられ配置されている。フラットケーブル8の幅方向がキャリッジ1の移動方向に向くようにひねられている。すなわち、フラットケーブル8の扁平な面で風向を2分するように配置されている。インクチューブ7は、フラットケーブル8の下側に配置され、曲げられている。
図2では、フラットケーブル8は右側の2台の記録ヘッド4と接続されているものしか記載していないが、実際には全ての記録ヘッドに同様にフラットケーブル8が接続されている。また、
図2では、インクチューブ7は左側の2台の記録ヘッド2と接続されているものしか記載していないが、実際には全ての記録ヘッド7にインクチューブ7が同様に接続されている。説明をしやすくするために作図を省いてある。
【0016】
図3は、インクジェットプリンター内の吸気手段と排気手段の配置を説明する図である。インクジェットプリンター20の筐体12の背面には気体を吸引する筐体吸気手段である筐体吸入ファン13が多数備わる。筐体吸入ファン13は筐体12の長手方向に沿って配置されている。筐体吸入ファン13はキャリッジ吸入ファン11と対向する高さに配置されている。こうすることで、キャリッジ1内に筐体12の外側の空気を多く吸い込めるからである。
【0017】
Yレール5およびプラテン17も筐体の長手方向に沿って配置されている。プラテン17は平板プラテンであり、貫通孔が多数設けられている。プラテン17の下側には、プラテン17、プラテン17の両端の下方にある立設板15などで区切られた空間があり、その空間内の気体を吸引ファン14で外に排出して負圧を作り、プラテン17上を搬送されてきた記録媒体を吸引して固定する。吸引ファン14による排気は後述のフロントペーパーガイドの下方から排気される。
【0018】
プラテン17の記録媒体の搬送方向上流側には、記録媒体を搬送するための搬送ローラー16が多数あり、搬送ローラー16はプラテン17の長手方向に沿って等間隔に配置されている。筐体12の一方の端には記録ヘッド4のメンテナンスユニット21が備わる。メンテナンスユニット21は、記録ヘッド4のノズル面を払拭するワイパーとノズル面に密着してインクを吸引するキャップなどが備わる。このメンテナンスユニット21側の筐体12の側面には、筐体側面排気ファン18が備わり、筐体12内の気体を外部に排気する。また、筐体12のプラテン17を挟んで逆側には、キャリッジ1の往復移動時の折り返しのための空間が備わる。その空間の奥、すなわち筐体12の背面には、筐体背面排気ファン19が備わり、筐体12内の気体を外部に排気する。
【0019】
筐体12内の筐体側面排気ファン18側の空間の容積は、メンテナンスユニット21があるため、筐体背面排気ファン19側の空間の容積より小さい。そのため、容積の小さい側を側面に、大きい側を背面に夫々排気のためのファンを設け、気体の流れ具合をなるべく均等化し、キャリッジ1の移動時の移動方向のよる空気抵抗の差を小さくしている。
【0020】
図4は、インクジェットプリンターの断面図である。筐体吸入ファン13の高さは、キャリッジ吸入ファン11より高くしてあり、2倍の高さとしてある。筐体吸入ファン13は大型のファンを用いて外気をたくさん吸引している。筐体12内に吸われた気体はキャリッジ吸入ファン11によってキャリッジ1の内部に吸われるものと、キャリッジ1の外側を通るものがある。吸われた空気は、筐体12の正面に配置されているカバー22方向に向かう。キャリッジ吸入ファン11によって、筐体吸入ファン13が塞がれないようすることで、急激な気流の向きの変更を少なくできる。カバー22は筐体12に回動可能に接続されている。お互いのダクト9のキャリッジ1の内部側の開口部27は、お互いが向かい合うように内側に向かって配置されている。内側に気体が流れ、更に、フラットケーブル8により上下に流れが分かれる。たまインクチューブ7によっても上下に気体の流れが分かれる。フラットケーブル8の方がインクチューブ7より気流を上下に別れさせるのに支配的に作用する。
【0021】
プラテン17の記録媒体の搬送方向下流側にはフロントペーパーガイド23が備わり、上流側にはリアペーパーガイド24が備わる。搬送ローラー16はリアペーパーガイド24とプラテン17の間に配置されている。記録媒体はリアペーパーガイド24で加熱され、搬送ローラー16によって挟持されながら搬送され、プラテン17に送られ、更にフロントペーパーガイド23に沿って排出される。プラテン17とフロントペーパーガイド23にもヒーターが備わり加熱し、記録媒体に付着したインクの乾燥を即す。
【0022】
リアペーパーガイド24は、その上部にある筐体12の端部を曲げた部分である屈曲部25と対向している。屈曲部25は筐体12の内側方向に曲げられ、さらに、先端に行くほどリアペーパーガイド24に近づく。また、屈曲部25の先端部は、鉛直方向において、プラテン17の表面の平坦部より低く配置してある。このようにすることで、筐体吸入ファン13で吸った気体を少しでも記録媒体の搬送方向の下流方向、すなわち記録ヘッド3あるいはカバー22の方向に流れ易くしている。言い換えれば、吸い込んだ気体がここから出にくくなる。
【0023】
フロントペーパーガイド23は、その上部にあるカバー22の先端と対向している。また、先端に向かうほどフロントペーパーガイド23に近づく。フロントペーパーガイド23は、記録媒体の搬送方向の下流方向に行くほど下に下がるように曲面を構成している。このようにすることで、カバー22とフロントペーパーガイド23によって、筐体12内の気体がフロントペーパーガイド23の表面に沿って流れやすくしている。フロントペーパーガイド23は内部にヒーターがあり、それによって加熱することで、記録媒体に付着したインクの乾燥を即す。その場合に記録媒体の表面付近に蒸発した溶剤が滞留するとインクの乾燥を阻害する。そのため、風を送り滞留を防止する。フロントペーパーガイド23に沿って矢印26で示された方向に気流を作るようにフロントペーパーガイド23に対してカバー22を近づけ、更に下方に向くように配置してある。
【0024】
また、排気口10から排出された気体はカバー22に向けられ、カバー22にあたった気体は、カバー22に沿って下方向に気流を生じさせ、さらに、フロントペーパーガイド23に沿って流れる。排気口10から排気された気体は、キャリッジ1外を流れる気体と混ざり合いながら外に排出されることになる。キャリッジ吸入ファン11で吸引された気体は、排出口10から排出されるときに、キャリッジ1外を流れる気体より早く流れている。この排出口10からの気流に連動し、周囲の気体の流れも速くなり、スムーズにフロントペーパーガイド23とカバー22の間から外に排出できる。筐体内に滞留するインクから蒸発して気体となった溶剤の排出を進めることができるので、インクの乾燥を早められる。
【0025】
また、筐体12の中に吸われた気体は、筐体側面排気ファン18、筐体背面排気ファン19、リアペーパーガイド21と屈曲部25の間、プラテン17からの吸引、およびフロントペーパーガイド23とカバー22の間から排出される。
【0026】
図5は、インクジェットプリンターの外観図である。インクジェットプリンター20は、筐体12を足28で支えている。足28は筐体12の下面の端方に固定される。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明はインクジェットプリンターに利用できる。特に大型のインクジェットプリンターに利用できる。
【符号の説明】
【0028】
1 キャリッジ
2 キャリッジベース
3 キャリッジカバー
4 記録ヘッド
5 Yレール
6 ローラー
7 インクチューブ
8 フラットケーブル
9 ダクト
10 排気口
11 キャリッジ吸入ファン
12 筐体
13 筐体吸入ファン
14 吸引ファン
15 立設板
16 搬送ローラー
17 プラテン
18 筐体側面排気ファン
19 筐体背面排気ファン
20 インクジェットプリンター
21 メンテナンスユニット
22 カバー
23 フロントペーパーガイド
24 リアペーパーガイド
25 屈曲部