(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インクを加振して噴出し粒子化するノズルと、前記粒子化されたインクを帯電する帯電電極と、帯電したインク粒子を偏向させる電界を形成する偏向電極と、印字に使用されないインク粒子を捕捉して回収するガターとを有し、被印字物を搬送する搬送ラインの移動方向に対して直角方向に往復移動しながら、偏向させた前記インク粒子を用いて前記被印字物に印字する印字ヘッドと、
前記印字ヘッドの往路、および復路における印字制御をそれぞれ行う印字制御部と、を有し、
前記印字制御部は、
往路の印字を行う際、開始側のインク粒子の偏向量を最も少なくし、徐々に偏向量を増やしながら終了側のインク粒子の偏向量が最も多い偏向量となるように前記印字ヘッドを制御し、復路の印字を行う際、開始側のインク粒子の偏向量を最も多くして、徐々に偏向量を減少させながら終了側のインク粒子の偏向量が最も少ない偏向量となるように前記印字ヘッドを制御する、インクジェット記録装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0019】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0020】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0021】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0022】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0023】
〈インクジェット記録装置の構成例〉
図1は、本発明の一実施の形態におけるインクジェット記録装置の一例を示す説明図である。
【0024】
インクジェット記録装置1は、被印字物である製品50に対して印字を行う。製品50は、例えばペットボトルや缶などであり、例えばベルトコンベアなどの搬送ライン51上に載置された製品50に製造年月日や賞味期限などの情報を印字する。
【0025】
インクジェット記録装置1は、
図1に示すように、コントローラCTL、および印字装置IKSを有する。コントローラCTLは、入力部10、制御部11、記憶部12、および出力部13を有する。また、制御部11、記憶部12、および出力部13によって、印字制御部が構成される。
【0026】
入力部10は、被印字物検知部14、搬送速度検知部15、接続部16、電源部17、および入力受信部18を有する。記憶部12は、メモリ19、およびプログラム格納装置20を有する。出力部13は、偏向電圧発生部21、帯電電圧発生部22、励振電圧発生部23、接続部24、電源部25、および表示部26を有する。
【0027】
印字装置IKSは、ディスプレイ27、タッチパネル28、装置電源29、外部接続端子30、ポンプ31、インク容器32、および印字ヘッド33を有する。印字ヘッド33は、ノズル34、帯電電極35、偏向電極36、およびガター37を有する。
【0028】
この印字ヘッド33は、搬送ライン51の上方に配置されている。印字ヘッド33は、往復印字機能を有している。往復印字機能は、印字の際に搬送ライン51に対して直角方向に印字ヘッド33を往路、または復路のいずれかの方向に移動させ、往路と復路で同じ印字結果を得るように印字結果の文字向きを切り替える機能である。
【0029】
被印字物検知部14は、製品50を搬送する搬送ライン51に設けられた被印字物センサ52に接続されている。被印字物センサ52は、被印字物である製品50を検出するセンサである。被印字物検知部14は、被印字物センサ52の検出結果に基づいて製品50を検出する。
【0030】
搬送速度検知部15は、該搬送ライン51に設けられた搬送速度検出センサ53に接続されている。搬送速度検出センサ53は、例えばロータリエンコーダなどからなり、搬送ライン51の速度をパルス信号に変換して出力する。搬送速度検知部15は、入力されたパルス信号から搬送ライン51の速度を検出する。入力受信部18は、オペレータからタッチパネル28などによって入力された入力信号を受信する。
【0031】
メモリ19は、例えば、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリからなり、一時的にデータを記憶する。プログラム格納装置20は、例えばROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、あるいはハードディスクドライブなどの不揮発性メモリからなり、制御部11が制御する際に用いるプログラムや各種のデータなどが格納されている。
【0032】
偏向電圧発生部21は、制御部11の制御に基づいて、偏向電極36に印加する電圧を発生させる。帯電電圧発生部22は、制御部11の制御に基づいて、帯電電極35に印加する帯電電圧を発生させる。
【0033】
励振電圧発生部23は、制御部11の制御に基づいて、ノズル34を励振させる励振電圧を発生させる。表示部26は、タッチパネル28などから入力された情報、あるいは印字内容などをディスプレイ27に表示させる。
【0034】
ノズル34は、インク粒子を形成して噴出させる。帯電電極35は、ノズル34より噴出して粒子となったインクに電荷を印加する電極である。偏向電極36は、帯電したインク粒子を偏向させる。ガター37は、印字に使用しないインクを回収する。ポンプ31は、ガター37によって回収されたインクをインク容器32に貯蔵すると共に、該インク容器32に貯蔵されたインクを再びノズル34へ供給する。
【0035】
続いて、
図1のインクジェット記録装置における動作の概要について説明する。
【0036】
タッチパネル28から、製品50の情報などが入力されると、入力受信部18がその情報を受け取る。そして、制御部11は、入力受信部18から得た情報を、メモリ19、およびプログラム格納装置20に格納されたプログラムに基づいて解析し、印字を行う際の印字データや各種印字条件を設定し、最適な印字結果が得られるように出力部13の制御を行う。
【0037】
印字を行う際の印字データや各種印字条件を設定し変更するときは、印字装置IKSのタッチパネル28から変更する情報を入力する。タッチパネル28から入力された情報は、例えばメモリ19に格納されるとともに、制御部11によって演算処理され、表示部26によりディスプレイ27に表示される。
【0038】
また、搬送ライン51上にある製品50に対して印字を開始する場合は、被印字物センサ52、および搬送速度検出センサ53によって製品50の位置を特定する。そして、インク容器32からポンプ31によって供給されたインクを、印字ヘッド33におけるノズル34を励振電圧発生部23にて発生させた励振電圧によって励振させる。
【0039】
これにより、ノズル34のインクには、励振電圧の周波数によって決定される振動が加えられ、ノズル34からは、粒子化されたインク、すなわちインク粒子54が噴出される。インク粒子54には、メモリ19に格納された印字データに合わせて、帯電電圧発生部22が発生させた帯電電圧を帯電電極35に印加させる。
【0040】
帯電電圧が印加されて荷電したインク粒子54は、偏向電圧発生部21が発生した偏向電圧が印加されている偏向電極36を通過する際に偏向し、製品50に対して印字ドットを形成し印字を行う。また、荷電されないインク粒子54は、偏向しないので印字に使用されずにガター37に回収された後、インク容器32に戻る。
【0041】
〈往復印字機能の一例〉
図2は、
図1のインクジェット記録装置1が有する印字ヘッド33における往復印字機能の一例を示す説明図である。
【0042】
図2において、搬送ライン51は、搬送ライン移動方向55に示すように、
図2の右側から左側に移動するものとする。また、印字ヘッド33は、印字ヘッド移動方向56に示すように、搬送ライン移動方向55に対して直角の方向に移動する。
【0043】
搬送ライン51上には、搬送ライン移動方向55、および印字ヘッド移動方向56にそれぞれ被印字物である複数の製品50が配列されている。この
図2の例では、搬送ライン移動方向55に5つの製品50がそれぞれ配列されており、印字ヘッド移動方向56には、4つの製品50がそれぞれ配列されている。
【0044】
ここで、
図2に示す搬送ライン51の左側において、印字ヘッド移動方向56の印字ヘッド移動方向に配列されている製品50の列を第1の列とする。また、第1の列の右側に配列されている列を第2の列、該第2の列の右側に配列されている列を第3の列とする。以下、同様に、第3の列の右側に配列されている列を第4の列とし、該第4の列の右側に配列されている列を第5の列とする。
【0045】
印字ヘッド33は、第1の列における搬送ライン51の一方側面に位置する製品50から印字を開始し、配列された製品50に順次印字を行う。ここで、
図2において、ハッチングによって示された製品50は、最初に印字される第1の列の製品50を示している。
【0046】
よって、印字ヘッド33は、搬送ライン51の一方側面から該搬送ライン51の他方側面にかけて移動する。そして、搬送ライン51の他方側面に位置する製品50までの印字が終了すると、第1の列に配列されているすべての製品50の印字が終了となる。
図2のドットにて示す製品50は、第1の列において最後に印字される製品50を示している。
【0047】
ドットにて示す第1の列に配列されている製品50の印字が終了すると、搬送ライン51が搬送ライン移動方向55に移動する。搬送ライン51は、印字ヘッド33が、搬送ライン51の他方側面に位置する第2の列の製品50上に位置したところで停止する。
【0048】
続いて、印字ヘッド33は、第2の列における搬送ライン51の他方側面に位置する製品50から印字を開始し、配列された製品50に順次印字を行う。このとき、印字ヘッド33は、第1の列の製品50に印字したときとは逆の方向、すなわち搬送ライン51の他方側面から該搬送ライン51の一方側面にかけて移動する。
【0049】
そして、搬送ライン51の一方側面に位置する製品50までの印字が終了すると、第2の列に配列されているすべての製品50の印字が終了となる。以降、この動作を繰り返すことにより、製品50の印字が行われる。
【0050】
このように、印字ヘッド33は、搬送ライン51の一方側面から該搬送ライン51の他方側面に、および搬送ライン51の他方側面から該搬送ライン51の一方側面にそれぞれ往復移動しながら製品50に印字を行う。
【0051】
〈インク粒子の帯電例〉
図3は、
図1のインクジェット記録装置1における印字ヘッド33の往路移動時におけるインク粒子の荷電順番の一例を示す説明図である。
図4は、
図1のインクジェット記録装置1における印字ヘッド33の復路移動時におけるインク粒子の荷電順番の一例を示す説明図である。
【0052】
図3(a)は、往路において印字ヘッド33が印字する文字パターン57の一例を示しており、ここでは、文字パターン57としてアルファベットの「E」を例としている。文字パターン57は、例えばフォント5×7の印字マトリクスであり、黒丸は、インク粒子54を示しており、白丸は、非印字粒子を示している。
【0053】
インクジェット記録装置1は、文字パターン57の縦列方向の1列をそれぞれ印字単位とし、その印字単位毎にインク粒子54を帯電させる。ここで、
図3(a)の太線は、印字単位を示したものである。
【0054】
往路における太線にて示した印字単位の荷電順番、すなわち印字順番は、
図3(b)の左側に示すように、印字単位のインク粒子54のうち、最下位にあるインク粒子54aが最も早く、最上位にあるインク粒子54bが最も遅い順番となる。
【0055】
また、印字単位における帯電電荷量は、
図3(b)の右側に示すように、印字単位の最下位にあるインク粒子54aの帯電電荷量が最も少なく、印字順番の順に徐々に増加していき、最上位のインク粒子54bが最も多い帯電電荷量となる。前述したように、インク粒子54は偏向電極36にて偏向するため、帯電電荷量に応じてインク粒子54が偏向し、文字パターン57の縦方向を表現することができる。
【0056】
ここで、往路の印字において、印字単位のうち、印字順番が最も早いインク粒子54aは、開始側のインク粒子となり、印字順番が最も遅いインク粒子54bは、終了側のインク粒子となる。
【0057】
図4(a)は、復路において印字ヘッド33が印字する文字パターン57の一例を示しており、
図3(a)と同様に、文字パターン57としてアルファベットの「E」を例としている。文字パターン57は、例えばフォント5×7の印字マトリクスであり、黒丸は、インク粒子54を示しており、白丸は、非インク粒子を示している。
【0058】
ここで、復路における太線にて示した印字単位の荷電順番は、
図3(b)とは逆となり、
図4(b)の左側に示すように、印字単位のインク粒子54のうち、最上位にあるインク粒子54bが最も早く、最下位にあるインク粒子54aが最も遅い順番となる。
【0059】
帯電電荷量においても、
図3(b)とは逆になり、
図4(b)の右側に示すように、印字単位の最上位にあるインク粒子54bの帯電電荷量が多く、印字順番の順に減少していき、最下位のインク粒子54aが最も少ない帯電電荷量となる。
【0060】
このように、印字単位の荷電順番、および帯電電荷量を往路と復路とにおいて逆のパターンとなるように制御して印字することにより、実際に印字される位置が印字ヘッド33の移動方向に影響することなく、同じ傾きで印字することができる。
【0061】
ここで、復路の印字において、印字単位のうち、印字順番が最も早いインク粒子54bは、開始側のインク粒子となり、印字順番が最も遅いインク粒子54aは、終了側のインク粒子となる。
【0062】
〈往復印字機能による印字例〉
図5は、
図3、および
図4による印字例の一例を示す説明図である。
【0063】
この
図5において、往路における印字の場合、印字ヘッド33は、
図5の左側から右側にかけて移動する方向である印字ヘッド移動方向56aに移動し、復路の印字の場合、印字ヘッド33は、
図5の右側から左側にかけて移動する印字ヘッド移動方向56aとは逆の方向である印字ヘッド移動方向56bに移動するものとする。
【0064】
往路の印字において、印字ヘッド33は、
図3(b)の印字単位の最下位にあるインク粒子54aを最初に荷電させる。このとき、帯電電荷量が最も少ないのでインク粒子54aの偏向量も少なくなり、印字単位の最下位の位置に印字される。前述したようにインク粒子54aは、最初に印字されるインク粒子であるので、開始側のインク粒子となる。
【0065】
続いて、印字ヘッド33は、2番目に印字させるインク粒子54を荷電させる。このインク粒子54は、
図3(b)の最下位のインク粒子54aの上方のインク粒子である。2番目に印字させるインク粒子54は、帯電電荷量が最下位のインク粒子54aよりも多いのでインク粒子54の偏向量も最下位のインク粒子54aの偏向量よりも多くなる。
【0066】
これにより、2番目のインク粒子は、印字単位の最下位の位置の上方に印字される。以上の動作を3番目に印字するインク粒子から順番に繰り返すことにより、印字単位における印字が行われる。
【0067】
図3(b)の印字単位の最上位にあるインク粒子54bは最後に荷電させる。このインク粒子54bの帯電電荷量は、最も多いのでインク粒子54aの偏向量も多くなり、印字単位の最上位の位置に印字される。上述したように、インク粒子54bは、最後に印字されるインク粒子であるので、終了側のインク粒子となる。
【0068】
ここで、印字ヘッド33は、
図5に示したように印字ヘッド移動方向56aに移動しながら印字を行っている。そのため、最下位のインク粒子の位置が始点となって印字が行われるので、印字ヘッド移動方向56aに傾いて印字される。
【0069】
続いて、復路の印字の場合、印字ヘッド33は、はじめに
図4(b)の印字単位の最上位にあたるインク粒子54bを荷電させる。このインク粒子54bの帯電電荷量は、印字単位の中で最も多い量である。これにより、インク粒子の偏向量が最も多くなり、その結果、
図4(b)の印字単位の最上位の位置に印字される。復路の場合、インク粒子54bが最初に荷電されるので、前述したように、該インク粒子54bが開始側のインク粒子となる。
【0070】
その後、印字ヘッド33は、2番目に印字させるインク粒子54を荷電させる。このインク粒子54は、
図4(b)の最上位のインク粒子54bの下方のインク粒子である。2番目に印字させるインク粒子54は、帯電電荷量が最上位のインク粒子54bよりも少ないのでインク粒子54の偏向量も最上位のインク粒子54bの偏向量よりも少なくなる。
【0071】
これにより、2番目のインク粒子は、印字単位の最上位の位置の下方に印字される。以上の動作を3番目に印字するインク粒子から順番に繰り返すことにより、印字単位における印字が行われる。
【0072】
そして、
図4(b)の印字単位の最下位にあるインク粒子54aは最後に荷電させる。このインク粒子54aの帯電電荷量は、最も少ないのでインク粒子54aの偏向量も少なくなり、印字単位の最下位の位置に印字される。復路の場合、前述のようにインク粒子54aは、最後に印字されるインク粒子であるので、終了側のインク粒子となる。
【0073】
復路の印字では、印字ヘッド33が往路の印字ヘッド移動方向56aとは逆の方向である印字ヘッド移動方向56bに移動する。印字ヘッド33が印字ヘッド移動方向56bに移動しながら、
図4(b)に示す最上位のインク粒子54bから順番に最下位のインク粒子54aまでの印字を行うことになるので、最上位のインク粒子の位置を始点としながら、印字ヘッド移動方向56bに傾いて印字される。よって、往路と復路とで同じ方向に傾いて印字がされる。
【0074】
その結果、
図5の右側に示すように、製品50における印刷結果58は、往路、および復路において同じ方向に傾いた印字が施されることになる。
【0075】
ここで、往路と復路とにおいて、印字単位の荷電順番、および帯電電荷量を同じパターンにして印字した場合について考える。
【0076】
〈往路と復路とで荷電順番、および帯電電荷量が同じ場合〉
図6は、往路と復路とにおいて印字単位の荷電順番、および帯電電荷量を同じパターンにして印字した際の一例を示す説明図である。
【0077】
図示するように、印字単位の荷電順番、および帯電電荷量を同じパターンにて印字した場合、往路での印字結果60と復路での印字結果61は、文字の傾きがそれぞれ異なる方向となる。
【0078】
図6において、往路に製品65における印字では、印字ヘッドが
図6の左側から右側にかけて移動する方向である印字ヘッド移動方向70に移動し、復路では、印字ヘッドが
図6の右側から左側にかけて移動する方向である印字ヘッド移動方向71に移動するものとする。
【0079】
具体的には、
図6の印字ヘッド移動方向70に印字ヘッドが移動する往路における印字の場合、印字結果60は、全体的に右側、すなわち印字ヘッド移動方向70に傾いた印字結果となる。
【0080】
一方、
図6の印字ヘッド移動方向71に印字ヘッドが移動する復路における印字の場合、印字結果61は、全体的に左側、すなわち印字ヘッド移動方向71に傾いた印字結果となる。これらの傾きは、印字ヘッドの移動速度が印字スピードに比べて速ければ速いほど顕著となる。
【0081】
図6における印字動作について、
図7、および
図8を用いて説明する。
【0082】
図7は、印字ヘッドの往路移動時における帯電粒子の縦方向荷電順番の一例を示す説明図である。
図8は、印字ヘッドの復路移動時における帯電粒子の縦方向荷電順番の一例を示す説明図である。
【0083】
図7(a)は、往路において印字ヘッドが印字する文字パターン72の一例を示しており、ここでは、文字パターン72としてアルファベットのEを例としている。文字パターン72は、例えばフォント5×7の印字マトリクスであり、黒丸は、インク粒子73を示しており、白丸は、非印字粒子を示している。
【0084】
印字の際は、文字パターン72の縦列方向の1列をそれぞれ印字単位とし、その印字単位毎にインク粒子73を帯電させる。ここで、
図7(a)の太線は、印字単位を示したものである。
【0085】
往路における太線にて示した印字単位の荷電順番、すなわち印字順番は、
図7(b)の左側に示すように、印字単位の最下位にあるインク粒子73が最も早く、最上位にあるインク粒子73が最も遅い順番となる。
【0086】
印字単位における帯電電荷量は、
図7(b)の右側に示すように、印字単位の最下位にあるインク粒子73の帯電電荷量が最も少なく、印字順番の順に増加していき、最上位のインク粒子73が最も多い帯電電荷量となる。
【0087】
図8(a)は、復路において印字する文字パターン72の一例を示しており、
図7(a)と同様に、文字パターン72としてアルファベットのEを例としている。文字パターン72は、例えばフォント5×7の印字マトリクスであり、黒丸は、インク粒子73を示しており、白丸は、非インク粒子を示している。
【0088】
ここで、復路における太線にて示した印字単位の荷電順番は、
図7(b)と同じであり、
図8(b)の左側に示すように、印字単位の最下位にあるインク粒子73が最も早く、最上位にあるインク粒子73が最も遅い順番となる。
【0089】
帯電電荷量においては、
図7(b)と逆となり、
図8(b)の右側に示すように、印字単位の最上位にあるインク粒子73の帯電電荷量が多く、印字順番の順に減少していき、最下位のインク粒子73が最も少ない帯電電荷量となる。
【0090】
このように、印字単位の荷電順番、および帯電電荷量が往路と復路とで同じパターンとして印字すると、印字される位置が印字ヘッドの移動方向に影響し、印字ヘッドが印字ヘッド移動方向70に移動する場合と印字ヘッド移動方向71に移動する場合とによって、
図6に示すように、それぞれ異なる傾きによって印字されてしまうことになる。
【0091】
ここで、
図7、および
図8による印字動作について考える。
【0092】
まず、
図6の往路印刷の場合、印字ヘッドは、
図7(b)の印字単位の最下位にあるインク粒子73を荷電させる。帯電電荷量は最も少ないのでインク粒子73の偏向量も少なくなり、印字単位の最下位の位置に印字される。
【0093】
続いて、印字ヘッドは、2番目に印字させるインク粒子73を荷電させる。このインク粒子73は、
図7(b)の最下位のインク粒子73の上方のインク粒子である。2番目に印字させるインク粒子73は、帯電電荷量が最下位のインク粒子73よりも多く帯電されるのでインク粒子73の偏向量も最下位のインク粒子73の偏向量よりも多くなる。
【0094】
これにより、2番目のインク粒子73は、印字単位の最下位の位置の上方に印字される。以上の動作を3番目に印字するインク粒子73から順番に繰り返すことにより、印字単位における印字が行われる。
【0095】
ここで、印字ヘッドは、
図6の印字ヘッド移動方向70に移動しながら印字を行っているため、最下位のインク粒子73の位置を始点としながら、印字ヘッド移動方向70に傾いて印字され、
図6の印字結果60に示すような傾きとなる。
【0096】
復路の印字の場合においても、同様の印字パターンとなる。印字ヘッドは、
図8(b)の印字単位の最下位にあるインク粒子73を荷電させる。帯電電荷量は最も多いのでインク粒子73の偏向量も多くなり、印字単位の最下位の位置に印字される。
【0097】
続いて、印字ヘッドは、最下位のインク粒子73の上方の2番目に印字させるインク粒子73を荷電させる。2番目に印字させるインク粒子73は、帯電電荷量が最下位のインク粒子73よりも少なく帯電されるので、インク粒子73の偏向量も最下位のインク粒子73の偏向量よりも少なくなる。
【0098】
これにより、2番目のインク粒子73は、印字単位の最下位のインク粒子73の上方に印字される。以上の動作を3番目に印字するインク粒子から順番に繰り返すことにより、印字単位における印字が行われる。
【0099】
ここで、復路の印字では、印字ヘッドが
図6の印字ヘッド移動方向71に移動しながら印字を行っている。そのため、最下位のインク粒子73の位置を始点としながら、印字ヘッド移動方向71に傾いて印字され、
図6の印字結果61に示すように、往路とは異なる傾きとなってしまうことになる。
【0100】
このように、傾きが異なる場合、印字処理の後に行われる印字検査の際に、印字検査装置が不良と判定してしまう恐れがあり、その場合には、製品の生産性を低下させてしまうことになる。
【0101】
一方、
図1のインクジェット記録装置1における印字では、印字の傾きは存在するが、
図5の印刷結果58に示すように、往路と復路とにおいて同じ傾きにて印字される。よって、往路と復路とで印字した印字結果の品質にバラツキをなくすことができる。
【0102】
このことから、印字検査装置による誤検出を低下させることが可能となり、品質検査結果精度を向上させることができ、製品50における生産のスループットを向上させることができる。
【0103】
〈インクジェット記録装置の印字処理例〉
図9、および
図10は、
図1のインクジェット記録装置1によるインク粒子の荷電順番、および帯電電荷量を補正する処理の一例を示すフローチャートである。
【0104】
図9は、
図1のインクジェット記録装置1が印字できる状態となったときの印字単位における荷電順番、および帯電電荷量を計算する制御について示している。この場合、インクジェット記録装置1が印字できる状態となったときであるので、往路における印字開始前の制御である。以下、インクジェット記録装置1が印字できる状態を、印字可能状態という。
【0105】
まず、制御部11は、印字可能状態であるかを判定する(ステップS101)。このステップS101の処理は、タッチパネル28、あるいは外部接続端子30に接続した入力装置によって、インクジェット記録装置1を印字可能状態とする要求を入力する。
【0106】
入力された要求は、入力部10から制御部11に入力され、該制御部11によって印字可能状態とする要求があったことを検出する。
【0107】
このとき、制御部11は、インクジェット記録装置1を印字可能状態としてもよいかを判定するために、プログラム格納装置20からプログラムを取得するとともに、各種設定値をメモリ19から取得する。
【0108】
そして、制御部11は、取得したプログラム、および各種設定値に基づいて、インクジェット記録装置1を印字可能状態としてもよいかを判定する。印字可能状態としてもよいと判定した場合、制御部11は、表示部26の制御を行ってディスプレイ27に、印字可能状態である旨のメッセージを表示させる。また、制御部11は、メモリ19にインクジェット記録装置1が印字可能状態であることを示すデータを格納させる。
【0109】
ステップS101の処理において、インクジェット記録装置1が印字可能状態であると判定すると、制御部11は、往復印字機能を実行するか否かを判定する(ステップS102)。また、ステップS101の処理において、インクジェット記録装置1が印字可能状態でないと判定すると、処理は終了となる。
【0110】
ステップS102の処理において、制御部11は、往復印字機能実行有無の設定値をメモリ19から取得し、その設定値に基づいて、インクジェット記録装置1が印字時に往復印字機能を実行するかを判定する。
【0111】
取得した設定値から、インクジェット記録装置1が往復印字機能を実行すると判定した場合、往路の印字における印字単位の荷電順番、および帯電電荷量をそれぞれ計算し、メモリ19に格納する(ステップS103)。
【0112】
このステップS103の処理において、制御部11は、プログラム格納装置20から計算用のプログラムを取得し、メモリ19から各種設定値を取得する。制御部11は、取得した計算用のプログラム、および各種設定値に基づいて、往路用の荷電順番、および帯電電荷量を計算する。そして、制御部11は、その計算結果をメモリ19に格納する。このステップS103の処理において、制御部11に計算され、メモリ19に格納される計算結果が第1の印字制御データとなる。
【0113】
続いて、復路の印字における印字単位の荷電順番、および帯電電荷量をそれぞれ計算し、メモリ19に格納する(ステップS104)。ステップS104の処理において、制御部11は、プログラム格納装置20から計算用のプログラムを取得し、メモリ19から各種設定値を取得し、取得した計算用のプログラム、および各種設定値に基づいて、復路用の荷電順番、および帯電電荷量を計算する。このステップS104の処理において、制御部11に計算され、メモリ19に格納される計算結果が第2の印字制御データとなる。そして、その計算結果をメモリ19に格納し、処理が終了となる。その後、インクジェット記録装置1による往路の印字が開始される。
【0114】
また、ステップS102の処理において、インクジェット記録装置1が印字時に往復印字機能を実行しないと判定した場合、往復印字機能を実行しない場合の印字単位における荷電順番、および帯電電荷量をそれぞれ計算し、メモリ19に格納する(ステップS105)。
【0115】
この場合、印字ヘッド33が、例えば往路に移動する方向である印字ヘッド移動方向56aなどの一方向でのみ印字されることになる。よって、制御部11は、往復印字を実行しない印字単位の荷電順番、および帯電電荷量を計算するために、計算用のプログラムをプログラム格納装置20から取得し、各種設定値をメモリ19から取得して計算を実行する。制御部11は、計算結果をメモリ19に格納し、処理が終了となる。その後、インクジェット記録装置1による往路の印字が開始される。
【0116】
図10のフローチャートは、印字ヘッド33が往路から復路、あるいは復路から往路へと移動方向を切り替える方向切り替え点に到達したときに、印字単位の荷電順番、および帯電電荷量を取得する処理の一例を示している。なお、この
図10に示す処理は、一定周期毎に処理が行われているものである。
【0117】
まず、印字ヘッド33の移動方向を切り替える方向切り替え点に印字ヘッド33が到達したかを判定する(ステップS201)。印字ヘッド33が方向切り替え点に到達したとき、印字ヘッド33から、方向切り替え点に到達したことを知らせる印字方向切り替え信号が出力される。
【0118】
印字方向切り替え信号は、外部接続端子30から入力部10の接続部16によって受信され、制御部11に入力される。制御部11は、印字方向切り替え信号を受け取ると、印字ヘッド33が方向切り替え点に到達したと判定する。
【0119】
ステップS201の処理において、印字ヘッド33が方向切り替え点に到達したと判定すると、印字方向が往路か、または復路かを判定する(ステップS202)。印字ヘッド33が方向切り替え点に到達するまでの印字方向は、例えばメモリ19などに格納されている。よって、制御部11は、メモリ19に格納されている印字方向の情報を読み出し、次に印字する印字方向を判定する。
【0120】
その結果、次の印字方向が往路の場合、
図9のステップS103の処理においてメモリ19に格納された往路の印字における印字単位の荷電順番、および帯電電荷量をそれぞれメモリ19から取得する(ステップS203)。
【0121】
また、ステップS202の処理において、次の印字方向が復路と判定した場合、
図9のステップS104の処理においてメモリ19に格納された往路の印字における印字単位の荷電順番、および帯電電荷量をそれぞれメモリ19から取得する(ステップS204)。
【0122】
続いて、制御部11は、ステップS203の処理、またはステップS204の処理のいずれかによって取得した荷電順番、および帯電電荷量に基づいて、印字制御を行う(ステップS205)。
【0123】
ここでは、メモリ19から読み出した往路、または復路における荷電順番、および帯電電荷量を印字制御に反映するため、制御部11は、反映用プログラムをプログラム格納装置20から取得する。
【0124】
制御部11は、反映用のプログラムに基づいて、メモリ19から読み出した荷電順番、および帯電電荷量からインク粒子54ごとに最適な帯電電圧を計算し、その計算結果から帯電電圧発生部22を制御し、帯電電極35に印加する電圧を変更する。帯電電極35は、インク粒子54へ帯電電圧を付加するため、これに応じて印字結果が変更される。
【0125】
以上により、往路と復路とにおいて荷電順番、および帯電電荷量が最適となるように制御することによって、往復印字機能を用いて印字した際の印字の傾き方向を同じとすることができる。それにより、印字結果の品質にばらつきが生じることを防止することができる。
【0126】
また、印字結果の品質にばらつきが生じることを防止することにより、印字検査の検査精度を向上させることができる。
【0127】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0128】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0129】
また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。